説明

画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラム

【課題】プリント処理を効率的かつ確実に実行することができる画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラムの提供。
【解決手段】ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラ20と、コントローラ20からイメージデータを受信して記憶部に記憶すると共にイメージデータに基づいてプリント処理を行う画像処理装置30と、を含み、画像処理装置30は、イメージデータを記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、所定の間隔を長くする制御と、を実行する画像処理システムにおいて、画像処理装置30は、現在の時刻に基づいて、閾値を変更する制御部31(閾値制御部31b)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機能を備えた複写機やファクシミリ機能を備えたファクシミリ装置、プリンタ機能を備えたプリンタ、及びこれら機能やスキャナ機能などを備える複合機(以下、これらを総称して画像処理装置と呼ぶ。)が普及している(例えば、下記特許文献1参照)。この画像処理装置を利用して印刷する場合、まず、ネットワークに接続されているクライアントからページ記述言語(PDL:Page Description Language)形式の印刷データを受信し、印刷データをラスタライズ(ビットマップ展開)して多値(例えば、8ビット)のイメージデータを生成し、この多値のイメージデータをスクリーニング(2値化)して2値のイメージデータを生成し、2値のイメージデータに画像調整を行って用紙に出力している。
【0003】
しかしながら、複数の画像処理装置がネットワークで接続されているシステムの場合、印刷データから多値のイメージデータを生成する処理(以下、RIP(Raster Image Processor)処理と呼ぶ。)や、多値のイメージデータのスクリーニング処理を各々の画像処理装置で実行すると、各々の画像処理装置に上記処理を実行する機能を持たせなければならず、画像処理装置の構成が複雑になる。そこで、このようなシステムでは、上記RIP処理機能とスクリーニング処理機能とを備えたコントローラをネットワークに接続し、コントローラで上記処理を代表して行う構成が採用されている。
【0004】
このようなシステムでは、図6に示すように、クライアントのプリンタドライバは、アプリケーションで作成した文書データをページ記述言語形式の印刷データに変換してコントローラに送信し、コントローラは印刷データにRIP処理やスクリーニング処理を行ってイメージデータを作成し、イメージデータを画像処理装置に送信する。画像処理装置では、イメージデータをRAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶部に格納し、順次プリントを実行する。また、画像処理装置は、次の印刷データに基づくイメージデータの受け入れ準備が整ったらACK(了解)信号を通知し、コントローラはこの通知をプリンタドライバに送り、プリンタドライバはこの通知を受けて次の印刷データを送信する。
【0005】
ここで、イメージデータの格納完了後、直ちにACK(了解)信号を通知した場合、次々にイメージデータが送信され、やがて画像処理装置の記憶部に格納できなくなってしまう。この場合は、画像処理装置はコントローラにオーバーフローを通知し、コントローラはこのオーバーフロー通知をクライアントのプリンタドライバに送り、プリンタドライバは、このオーバーフロー通知を受けて印刷データの送信を中止又は中断する。
【0006】
このようなオーバーフローが発生するとプリント処理が滞ることから、ACK(了解)信号を通知する間隔を長くして、プリンタドライバからの印刷データの送信を遅らせる制御が行われている。
【0007】
【特許文献1】特開2001−94707号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようにACK(了解)信号を通知する間隔を長くすると、オーバーフローは起こりにくくなるが、プリンタドライバからの印刷データの送信が滞り、プリント処理が遅延する。一方、この間隔を短くすると、プリント処理は遅延しないが、次々にイメージデータが送信され、やがてオーバーフローを起こしてしまう。そこで、従来は、画像処理装置の記憶部の残量に対する閾値(記憶部の残量の最低値)を設定し、残量が閾値以下となったらACK(了解)信号を通知する間隔を長くするといった制御を行っていた。
【0009】
ここで、プリント処理を実行する状況は様々であり、オーバーフローに対して対処可能な状況であれば、できるだけ迅速にプリンタドライバから印刷データを送信して効率的なプリント処理を行った方が好ましい。一方、オーバーフローに対して対処できない状況であれば、できるだけオーバーフローを起こりにくくして確実なプリント処理を行った方が好ましい。
【0010】
しかしながら、従来のシステムでは、予め設定した閾値で常にACK(了解)信号を通知する間隔が制御されるため、様々な状況に対応することができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、プリント処理を効率的かつ確実に実行することができる画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラと、前記コントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行う画像処理装置と、を含み、前記画像処理装置は、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する画像処理システムにおいて、前記画像処理装置は、現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更する制御部を少なくとも備えるものである。
【0013】
本発明においては、前記制御部は、現在の時刻が昼時刻か夜時刻かを判断し、前記閾値を、昼時刻よりも夜時刻の方が大きくなるように設定する構成とすることができる。
【0014】
また、本発明においては、前記制御部は、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの数量及び容量の内の、いずれか一方の少ない方の残量が前記閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする構成とすることができる。
【0015】
また、本発明は、ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラと、前記コントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行う画像処理装置と、を含む画像処理システムにおけるプリント制御方法であって、前記画像処理装置は、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する場合において、前記画像処理装置は、現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更するものである。
【0016】
また、本発明は、ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行い、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する画像処理装置で動作するプリント制御プログラムであって、コンピュータを、現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更する制御部、として機能させるものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラムによれば、プリント処理を効率的かつ確実に実行することができる。
【0018】
その理由は、画像処理装置がコントローラにACK(了解)信号を通知する間隔が閾値に基づいて制御される画像処理システムにおいて、画像処理装置の制御部は、時刻に応じて閾値を変更(夜間の閾値を昼間の閾値よりも高く設定)するため、オーバーフローに対してユーザが対応可能な昼間は、記憶部に多くのイメージデータを格納して迅速なプリント処理を実行することができ、ユーザがいない夜間はオーバーフローを起こりにくくして確実なプリント処理を実行することができるからである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
背景技術で示したように、クライアント(プリンタドライバ)とコントローラと画像処理装置とで構成されるシステムでは、クライアントのプリンタドライバはページ記述言語形式の印刷データをコントローラに送信し、コントローラは印刷データにRIP処理やスクリーニング処理を行ってイメージデータを作成し、イメージデータを画像処理装置に送信する。画像処理装置では、イメージデータをRAMやHDD等の記憶部に格納してプリントを実行する。また、画像処理装置は、次の印刷データを送信してよいというACK(了解)信号をコントローラに通知する。そして、コントローラはACK(了解)信号をプリンタドライバに通知し、それを受けてプリンタドライバは次の印刷データを送信する。
【0020】
上記制御(いわゆるハンドシェーク)において、ACK(了解)信号を通知する間隔を意図的に長くすれば、次の印刷データの送り出しが遅くなり、オーバーフローは起こりにくくなるが、プリント処理は遅延してしまう。一方、ACK(了解)信号を通知する間隔を意図的に短くすれば、次の印刷データの送り出しが早くなり、プリント処理は早くなるが、オーバーフローが起こりやすくなってしまう。そこで、従来は記憶部の残量に対して閾値(残量の最低値)を設定し、記憶部の残量が閾値以下になったらACK(了解)信号を通知する間隔を長くする制御を行っていた。
【0021】
しかしながら、プリント処理を実行する状況は様々であり、オーバーフローに対して対処可能な状況であれば、できるだけ迅速にプリンタドライバから印刷データを送信して効率的なプリント処理を行った方が好ましく、オーバーフローに対して対処できない状況であれば、できるだけオーバーフローを起こりにくくして確実なプリント処理を行った方が好ましく、閾値を一定の値に設定すると、様々な状況に適切に対応することができない。
【0022】
この問題について、10,000枚分のイメージデータを格納できるシステムを例にして具体的に説明する。
【0023】
まず、閾値を高い値(例えば20%、すなわち格納できる割合を80%)に設定した場合、8,000枚分のイメージデータが格納された時点で、ACK(了解)信号を通知する間隔が長く(具体的にはプリンタドライバがタイムアウトする時間以内、例えば、1分)設定される。すると、オーバーフローが起こるまでに2,000分(当初格納された8,000枚分のイメージデータはプリントが終了すると記憶部から消去されるため、実際には2000分以上)かかることになり、一晩でオーバーフローすることはない。これにより、例えば帰宅前にプリンタドライバから巨大な印刷データを送信した場合でも、オーバーフローすることなく、翌朝にはプリントを完了させることができる。
【0024】
しかしながら、プリント処理を効率的に実行するためには、できるだけ多くのイメージデータを格納した方がよく、残り2000枚分のイメージデータを画像処理装置に送信することができれば、クライアントの資源を有効に利用することができ、クライアントで別作業を実行することができる。また、万一オーバーフローが起こったとしても、昼間であれば、ユーザがオーバーフローを認識して、送信できなかったイメージデータを再送するなどの処理を行うこともできる。
【0025】
従って、状況に応じて閾値を変更した方が画像処理装置の使い勝手はよい。そこで、本発明では、プリント処理を実行する状況に応じて閾値を変更できるようにする。
【0026】
具体的には、画像処理装置の制御部は、現在の時刻又はタイマの経過時間を監視し、例えば、夜間の閾値を昼間の閾値よりも高く設定したり、モードを切り替えるタイマの動作に連動して閾値を変更する制御を行う。
【0027】
これにより、ユーザがオーバーフローに対して対応可能な昼間では、記憶部に多くのイメージデータを格納して迅速なプリント処理を実行できるようにし、ユーザがいない夜間ではオーバーフローを起こりにくくして確実なプリント処理を実行できるようにする。
【実施例】
【0028】
上記した本発明の実施の形態についてさらに詳細に説明すべく、本発明の一実施例に係る画像処理システム及びプリント制御方法並びにプリント制御プログラムについて、図1乃至図5を参照して説明する。図1は、本実施例の画像形成システムの構成を模式的に示す図であり、図2は、各装置の具体的な構成を示すブロック図である。また、図3乃至図5は、本実施例の画像形成システムを用いたプリント制御手順を示すフローチャート図である。
【0029】
図1に示すように、本実施例の画像処理システムは、イントラネット上に、通信ネットワークで接続可能なクライアント10、コントローラ20、画像処理装置30がそれぞれ配置される。なお、通信ネットワークの規格としてEthernet(登録商標)などを用いることができるが、コントローラ20から画像処理装置30へのデータ転送はEthernet(登録商標)以外にもIEEE1394、Parallelなどを用いることも可能である。また、図1では、コントローラ20を画像処理装置30とは別に設けているが、コントローラ20は画像処理装置30に内包してもよい。
【0030】
クライアント10はパーソナルコンピュータなどのコンピュータ機器であり、制御部11、OS(Operating System)12、アプリケーション13、プリンタドライバ14、ネットワークI/F部15、記憶部16、表示部17、操作部18などを備える。
【0031】
制御部11はCPU(Central Processing Unit)及びROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリからなり、クライアント10全体の動作を制御する。OS12はWindows(登録商標)やMacintosh(登録商標)などであり、クライアント10でアプリケーション13を動作可能にする。アプリケーション13は文書などを作成するためのソフトウェアである。プリンタドライバ14はアプリケーション13で作成された文書をコントローラ20が読み取り可能な言語(PCL(Printer Control Language)やPostScriptなどのPDL)の印刷データに変換する。ネットワークI/F部15はNIC(Network Interface Card)などからなり、クライアント10を通信ネットワークに接続する。記憶部16はメモリやHDD(Hard Disk Drive)などからなり、印刷データなどを記憶する。表示部17はLCD(Liquid Crystal Display)などからなり文書作成画面や印刷画面などを表示する。操作部18はマウスやキーボードなどからなり印刷指示などの操作を可能にする。
【0032】
コントローラ20は、クライアント10の指示に従って画像処理装置30を制御する機器であり、制御部21、ネットワークI/F部22、RIP部23、記憶部24、プリンタI/F部25、アプリケーション部26、必要に応じて表示部27及び操作部28などを備える。
【0033】
制御部21はCPU及びROMやRAMなどのメモリからなり、コントローラ20全体の動作を制御する。ネットワークI/F部22はNICなどからなり、コントローラ20を通信ネットワークに接続する。RIP部23はPDLで記述された印刷データを翻訳しビットマップ形式のイメージデータに展開し、必要に応じてスクリーニングする。記憶部24はメモリやHDDなどからなり、印刷データやイメージデータなどを記憶する。プリンタI/F部25は画像処理装置30にイメージデータの送信及び出力方法の指示を行う。アプリケーション部26はRIP部23により作成されたイメージデータの編集や仕上げ処理を行うためのジョブチケットを編集し、印刷のためのデータ制御を行う。表示部27はLCDなどからなり、各種定画面を表示する。操作部28はマウスやキーボードなどからなり各種操作を可能にする。
【0034】
画像処理装置30は、コントローラ20の指示に基づいて印刷を実行する装置であり、制御部31、コントローラI/F部32、パネル操作部33、プリンタ部34、記憶部35、時計部36などにより構成される。
【0035】
制御部31はCPU及びROMやRAMなどのメモリからなり画像処理装置30全体の動作を制御する。コントローラI/F部31はNICなどからなりコントローラ20との通信を可能にする。パネル操作部33は表示部上に透明電極が格子状に配置された感圧式の操作部(タッチパネル)を設けたものであり、画像処理装置30の操作や設定情報の登録などを可能にする。プリンタ部34は感光体、帯電装置、露光装置、現像装置、転写装置、定着装置などを備え、印刷指示に従い印刷を実行する。記憶部35はメモリやHDDなどからなり、イメージデータやACK(了解)信号を通知する間隔を制御する基準となる閾値(すなわち、記憶部35の残量がどの程度まで減少したらACK(了解)信号を通知する間隔を長くするかを規定する値、大きい値と小さい値を含む。)などを記憶する。時計部36は時刻やタイマの経過時間などを計測する。
【0036】
また、制御部31は、コントローラ20から受け取ったイメージデータを記憶部35に格納し、予め定めた時間が経過したら、コントローラ20に対して、次のイメージデータの送信を許可するACK(了解)信号を通知する通知制御部31aと、現在の時刻やタイマの経過時間に基づいて、ACK(了解)信号を通知する間隔を調整するための基準となる閾値を変更する閾値制御部31bとしても機能する。この閾値制御部31bは、ハードウェアとして構成してもよいし、コンピュータを、閾値制御部31bとして機能させるプリント制御プログラムとして構成し、該プリント制御プログラムを制御部31上で実行させる構成としてもよい。
【0037】
このように、時刻やタイマと連動して上記閾値を切り替える(例えば、夜間8時から翌朝8時までは閾値を20%に設定し、上記時間帯以外は閾値を10%に設定する)ことにより、切り替えの煩わしさなく、自動的に閾値が切り替わり、ユーザはプリント処理の状況に応じた利便を享受することができる。なお、これらの閾値や切り替え条件(時間帯等)は、パネル操作部33を用いて設定できるようにしてもよいし、制御部31が算出してもよい。
【0038】
なお、図1及び図2は、本実施例の画像処理システムの一例であり、画像処理装置30が通知制御部31a及び閾値制御部31bとして機能する限りにおいて、その構成は適宜変更可能である。
【0039】
次に、上記構成の画像処理システムを用いてプリントを実行する手順について、図3乃至図5のフローチャート図を参照して説明する。
【0040】
まず、クライアント10のプリンタドライバの動作について図3のフローチャート図を参照して説明する。
【0041】
ステップS101で、プリンタドライバにアプリケーションから文書データが流入すると、ステップS102で、プリンタドライバは、文書データをページ記述言語の印刷データに変換し、ステップS103で、この印刷データの各々のページデータをコントローラ30に送信する。なお、文書データがダイレクトプリントに対応したファイル形式、例えばXPS(XML Paper Specification)やPDF(Portable Document Format)等のフォーマットで記述されたデータの場合はページ記述言語に変換せずにコントローラ30に送信してもよい。
【0042】
次に、ステップS104で、プリンタドライバは、ページデータが正常に送信できたかを判断し、正常に送信できた場合は、ステップS105で、送信したページが最終ページであるかを判断し、最終ページでない場合は、ステップS102に戻って順次ページデータを送信する。
【0043】
一方、ページデータが正常に送信できない場合は、ステップS106で、プリンタドライバは、送信してから所定時間が経過したかを判断し、所定時間が経過したら、ステップS107でタイムアウト処理を行う。
【0044】
次に、コントローラ20の動作について図4のフローチャート図を参照して説明する。
【0045】
ステップS201で、コントローラ30は、クライアント10から印刷データが流入したら、ステップS202で、画像処理装置30からオーバーフローが通知されているかを判断する。
【0046】
オーバーフローが通知されていない場合は、ステップS203で、RIP部23は、印刷データを解析し、ラスタライズ処理やスクリーニング処理を行ってイメージデータを作成し、このイメージデータを画像処理装置30に送信する。そして、ステップS204で、次の印刷データがプリンタドライバから送信されるのを待つ。
【0047】
一方、画像処理装置30からオーバーフローが通知されている場合は、ステップS205で、プリンタドライバにオーバーフローを通知し、次回プリンタドライバからの印刷データの流入を拒否する。
【0048】
次に、画像処理装置30の動作について図5のフローチャート図を参照して説明する。
【0049】
ステップS301で、画像処理装置30は、コントローラ30からイメージデータが流入したら、ステップS302で、制御部31は、記憶部35にイメージデータを格納可能であるかを判断し、格納できない場合は、ステップS303で、コントローラ20にオーバーフローを通知して処理を終了する。一方、格納できる場合は、ステップS304で、制御部31は、記憶部35にイメージデータを格納する。
【0050】
ここで、従来の画像処理システムでは、予め設定した閾値に応じて設定された時間間隔で、コントローラ20にACK(了解)信号を通知するが、上述したように、プリント処理の状況に応じて閾値を変更した方が画像処理装置30の使い勝手はよい。
【0051】
そこで、本実施例では、様々な状況に適切に対応できるようにするために、現在が昼間であるか夜間であるかに応じて閾値を自動的に変更する。
【0052】
具体的には、制御部31(閾値制御部31b)は、時計部36に問い合わせて現在の時刻を取得し、ステップS305で、現在の時刻が昼時刻(例えば、08:00〜20:00)であるか夜時刻(上記以外)であるかを判断する。そして、昼時刻であれば、ステップS306で閾値(残量の最低値)を予め定めた低い値に設定(又は予め定めた割合で小さく)し、夜時刻であれば、ステップS307で閾値を予め定めた高い値に設定(又は予め定めた割合で大きく)する。なお、ステップS306で閾値が既に低い値に設定されている場合や、ステップS307で閾値が既に高い値に設定されている場合は、これらのステップは省略することができる。
【0053】
そして、ステップS308で、制御部31は、記憶部35の残量を調べ、その残量が上記ステップで設定した閾値以下であるかを判断し、閾値以下であれば、ステップS309で、ACK(了解)信号を通知する間隔を長くする。
【0054】
ここで、残量は通常、使用していない容量(記憶領域の面積)を意味する。例えば、1GBの記憶領域がイメージデータの格納に割り当てられている場合、残量が20%とは、200MBの記憶領域が残っていることを意味する。しかしながら、イメージデータは通常、FAT(File Allocation Tables)などの管理テーブルで管理されており、この管理テーブルで管理可能なノード数(記憶可能なイメージデータの数量)は有限であり、例えば1万などで上限が区切られている。一方、イメージデータは色数や画素数、圧縮の程度等によってそのサイズが大きく変化するという特質を有している。従って、例えば非常に小さいサイズのイメージデータを大量に格納した場合、記憶部35の記憶領域を使い切る前にノード数が上限に達してオーバーフローが発生してしまう。
【0055】
そこで、このような不都合が生じないように、記憶部35の容量の残量のみならずノード数の残量をも考慮し、画像処理装置30の制御部31は、記憶部35に記憶可能なイメージデータの数量と容量とを監視し、いずれか一方の少ない方の残量を記憶部35の残量として利用することもできる。
【0056】
その後、ステップS310で、制御部31(通知制御部31a)は、ステップS304でイメージデータの格納が完了してからの時間経過を監視し、ACK(了解)信号を通知する間隔が経過したら、ステップS311で、コントローラ20に対して、ACK(了解)信号を通知し、次のイメージデータの受信を待つ。
【0057】
このように、昼間は閾値が低く(残量の最低値が小さく)なるために、記憶部35の残量が閾値以下になりにくく、ACK(了解)信号を通知する間隔が短くなるため、次の印刷データの送り出しが早くなり、プリント処理は早くなる。一方、夜間は閾値が高く(残量の最低値が大きく)なるため、記憶部35の残量が閾値以下になりやすく、ACK(了解)信号を通知する間隔が長くなるため、次の印刷データの送り出しが遅くなる。従って、状況に応じた制御が可能となる。
【0058】
なお、上記フローでは、現在の時刻が昼時刻であるか夜時刻であるかに基づいて閾値を変更したが、画像処理装置30の中には、オートシャットオフモードといって、何時からローパワー(定着温度を下げるなど)に突入させるかをセットできるものもある。このような画像処理装置30では、このオートシャットオフモードと上記閾値の切り替えとを連動させ、ローパワー時には閾値を高く設定し、通常パワー時には閾値を低く設定すれば、上記と同様の効果を達成することができる。
【0059】
また、上記各実施例では、現在の時刻に応じて閾値を制御する場合を示したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、現在の時刻に応じて、ACK(了解)信号を通知する間隔を直接制御(例えば、昼時刻は間隔を短く、夜時刻は間隔を長く)することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、コントローラと画像処理装置とが分離して構成される画像処理システム及び該画像処理システムにおけるプリント制御方法並びにプリント制御プログラムに利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の一実施例に係る画像処理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施例に係る画像処理システムの各装置の具体的構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施例に係る画像処理システムにおけるクライアント(プリンタドライバ)の動作を示すフローチャート図である。
【図4】本発明の一実施例に係る画像処理システムにおけるコントローラの動作を示すフローチャート図である。
【図5】本発明の一実施例に係る画像処理システムにおける画像処理装置の動作を示すフローチャート図である。
【図6】画像処理システムにおけるデータの流れを示すタイミングチャート図である。
【符号の説明】
【0062】
10 クライアント
11 制御部
12 OS
13 アプリケーション
14 プリンタドライバ
15 ネットワークI/F部
16 記憶部
17 表示部
18 操作部
20 コントローラ
21 制御部
22 ネットワークI/F部
23 RIP部
24 記憶部
25 プリンタI/F部
26 アプリケーション部
27 表示部
28 操作部
30 画像処理装置
31 制御部
31a 通知制御部
31b 閾値変更部
32 コントローラI/F部
33 パネル操作部
34 プリンタ部
35 記憶部
36 時計部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラと、前記コントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行う画像処理装置と、を含み、
前記画像処理装置は、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する画像処理システムにおいて、
前記画像処理装置は、現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更する制御部を少なくとも備えることを特徴とする画像処理システム。
【請求項2】
前記制御部は、現在の時刻が昼時刻か夜時刻かを判断し、前記閾値を、昼時刻よりも夜時刻の方が大きくなるように設定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの数量及び容量の内の、いずれか一方の少ない方の残量が前記閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くすることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理システム。
【請求項4】
ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラと、前記コントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行う画像処理装置と、を含む画像処理システムにおけるプリント制御方法であって、
前記画像処理装置は、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する場合において、
前記画像処理装置は、現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更することを特徴とするプリント制御方法。
【請求項5】
前記画像処理装置は、現在の時刻が昼時刻か夜時刻かを判断し、前記閾値を、昼時刻よりも夜時刻の方が大きくなるように設定することを特徴とする請求項4に記載のプリント制御方法。
【請求項6】
前記記憶部に記憶可能なイメージデータの数量及び容量の内の、いずれか一方の少ない方の残量が前記閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くすることを特徴とする請求項4又は5に記載のプリント制御方法。
【請求項7】
ページ記述言語の印刷データに基づいてイメージデータを作成するコントローラから前記イメージデータを受信して記憶部に記憶すると共に当該イメージデータに基づいてプリント処理を行い、前記イメージデータを前記記憶部に記憶した後、所定の間隔を空けて、前記コントローラに対して次のイメージデータの送信を許可する通知を行う制御と、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの残量がその最低値を規定する閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くする制御と、を実行する画像処理装置で動作するプリント制御プログラムであって、
コンピュータを、
現在の時刻に基づいて、前記閾値を変更する制御部、として機能させることを特徴とするプリント制御プログラム。
【請求項8】
前記制御部は、現在の時刻が昼時刻か夜時刻かを判断し、前記閾値を、昼時刻よりも夜時刻の方が大きくなるように設定することを特徴とする請求項7に記載のプリント制御プログラム。
【請求項9】
前記制御部は、前記記憶部に記憶可能なイメージデータの数量及び容量の内の、いずれか一方の少ない方の残量が前記閾値以下となった場合に、前記所定の間隔を長くすることを特徴とする請求項7又は8に記載のプリント制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−253655(P2009−253655A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98941(P2008−98941)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】