説明

画像処理プログラム、画像処理方法および画像処理装置

【課題】ボイドの誤検出を抑制することができる画像を提供すること。
【解決手段】画像処理プログラムは、コンピュータ(画像処理装置)1を、画像作成手段2、除去手段3として機能させる。画像作成手段2は、例えば半田バンプ等の検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像4の、検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける(X線)透過濃度を有する画像を作成する。除去手段3は、画像作成手段2により作成された画像を用いて、X線透過画像4の複数の部材が重なった部位の検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は画像処理プログラム、画像処理方法および画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品が半田付け実装されたプリント基板実装品等において、半田接合部に対する品質確認方法の1つとして、半田接合部にX線を透過し、その透過画像によって半田に存在するボイド(空孔)の有無を判断するX線透過検査方法が知られている。一定以上の面積のボイドが存在する場合には、そのプリント基板を不良品として取り扱う等の処理が可能である。
【0003】
この検査方法は、例えば、外観上、半田付け部分の検査が困難であるBGA(Ball Grid Array)等の半田接合部の検査方法に用いられる。
また、ボイドが存在するか否かを検出する方法としては、例えば、X線透過画像の濃淡をグレースケールの濃度値とし、2値化処理等の閾値処理を施してボイドを検出する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−12932号公報
【特許文献2】国際公開第99/52072号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子機器の高密度化に伴う半田接合部の微細化や、重金属である鉛を使わない鉛フリー半田化等によって、プリント基板実装品における半田接合部とバックグラウンドとのX線透過濃度差が減少し、濃淡画像のコントラストが低下するためにボイドの検出率も低下する傾向がある。
【0006】
プリント基板実装品の微細な半田接合部では、半田の厚みが薄くなることからX線透過画像での濃度も薄くなり、相対的にプリント基板や電子部品の電極等、金属部分との厚みの差が小さくなる。このため、金属部分の内部構造の、X線透過画像に及ぼす濃度変化部分が、X線透過画像に写った半田接合部のボイド部分と重なった場合に、前述した閾値処理を行うと、ボイドが検出できない場合が発生するという問題があった。
【0007】
特に、微細ピッチのWLCSP(Wafer Level Chip Scale Package)等のBGAタイプの電子部品では、NSMD(Non-Solder Mask Defined)と呼ばれるプリント基板電極構造を採ったり、部品の内部構造として、応力緩衝のための銅(Cu)ポスト付き構造であったりした場合に、半田バンプ接合部内に電極部に起因するX線透過濃度が重なって投影されてしまう。
【0008】
このことで、半田バンプ接合部内に電極部の濃度が重畳された部分的な濃度変化を生じ、電極部外周に位置する濃度変化の境界、例えば、WLCSPの銅ポスト、または、NSMDランドの輪郭部付近にボイドが存在した場合、閾値処理では適切なボイドの検出が難しいという問題があった。
【0009】
なお、WLCSPについて説明したが、半田接合部を有する他の半導体チップのボイド検出時にも同様の問題がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ボイドの誤検出を抑制することができる画像を提供することができる画像処理プログラム、画像処理方法および画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、開示の画像処理プログラムが提供される。この画像処理プログラムは、コンピュータを、画像作成手段、除去手段として機能させる。
画像作成手段は、検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成する。
【0011】
除去手段は、画像作成手段により作成された画像を用いて、X線透過画像の複数の部材が重なった部位の検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する。
【発明の効果】
【0012】
開示の画像処理によれば、ボイドの誤検出を抑制することができる画像を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態の画像処理装置の概要を示す図である。
【図2】第2の実施の形態のシステムを示す図である。
【図3】検査対象物の半田付け端子部構造を模式的に示す図である。
【図4】X線透過画像データ記録部に記録されたX線透過画像の一部の一例を示す図である。
【図5】画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図6】画像処理装置の機能を示すブロック図である。
【図7】濃度補正画像情報生成処理を示すフローチャートである。
【図8】濃度補正画像の位置合わせからボイド検出までの処理を説明するフローチャートである。
【図9】具体例の濃度補正画像を作成する処理を示す図である。
【図10】具体例の濃度補正を示す図である。
【図11】濃度分布の比較を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
まず、実施の形態の画像処理装置について説明し、その後、実施の形態をより具体的に説明する。
【0015】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の画像処理装置の概要を示す図である。
実施の形態の画像処理プログラムは、コンピュータ(画像処理装置)1を、画像作成手段2、除去手段3として機能させる。
【0016】
画像作成手段2は、例えば半田バンプ等の検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像4の、検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける(X線)透過濃度を有する画像を作成する。
【0017】
検査対象物を含む複数の部材としては、例えば、プリント基板等が挙げられる。また、構造情報としては、例えば、部材の厚さや、材質等が挙げられる。
また、透過濃度は、例えば、演算により求めることができる。透過濃度の算出方法としては、例えば、予め用意した、材質毎の単位厚さ辺りのX線透過画像の濃度データを用いて、該当する部材の厚さの透過濃度を算出する方法等が挙げられる。
【0018】
例えば、X線透過画像4に第1の部材と第2の部材と第3の部材が重なった状態で撮像されている場合において、第1の部材が検査対象物である場合、第2の部材の構造と第3の部材の構造情報に基づいて、X線透過画像4の重なった部分の第2の部材の透過濃度と、第3の部材の透過濃度とを算出する。
【0019】
そして、算出した第2の部材の透過濃度を有する第2の部材の形状(X線透過画像4に写っている形状)の画像と、算出した第3の部材の透過濃度を有する第3の部材の形状の画像とを作成する。
【0020】
なお、濃度が予め用意された閾値以下である部材については、画像の作成を省略するようにしてもよい。これにより、処理の簡略化を図ることができる。
除去手段3は、画像作成手段2により作成された画像を用いて、X線透過画像4の複数の部材が重なった部位の検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する。
【0021】
前述した例では、X線透過画像4の重なった部分の透過濃度から、第2の部材の濃度と、第3の部材の透過濃度を減算する。この際、必要に応じて、第2の部材の形状の画像と、第3の部材の形状の画像のネガポジ反転を行う。
【0022】
なお、画像作成手段2の処理は、除去手段3の要求に応じて行ってもよいし、X線透過画像4が撮像された時点で処理を行うようにしてもよい。
このようなコンピュータ1によれば、複数の部材が重なった部位の検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響が除去されるため、検査対象物の透過濃度が相対的に明瞭に現れる。従って、例えば、部品にボイドが存在する場合は、そのボイドをより確実に検出することができる。
【0023】
以下、実施の形態をより具体的に説明する。
<第2の実施の形態>
図2は、第2の実施の形態のシステムを示す図である。
【0024】
第2の実施の形態のシステムは、X線検査装置10と、画像処理装置100とを有している。
X線検査装置10は、X線源11と、検査対象物20を配置するステージ12と、X線透過画像を撮像する撮像機13とを有している。
【0025】
X線源11は、図2中、下側に向かって放射状にX線を照射し得るようにステージ12上に設けられている。
ステージ12は、上面側に水平の保持面を有している。このステージ12は、水平方向(X軸、Y軸方向)および上下方向(Z軸方向)に(X−Y−Z(−θ)の各方向に)独立して移動可能かつ位置決め可能に設けられている。これにより、各位置決めの制御が可能である。
【0026】
本実施の形態では、検査対象物20として、WLCSP(銅ポスト電極タイプ)の半田付け端子部構造を用いている。この検査対象物20がステージ12上に載置されている。
このステージ12を移動軸に沿って移動させることにより、ステージ12上に配置された検査対象物20の半田付け端子部の撮像単位全体にX線源11からのX線が照射されるよう調整することができる。
【0027】
この撮像単位は特に限定されないが、例えば、検査対象物20が矩形状をなしている場合、検査対象物20を矩形状に9分割した1つを撮像単位とすることができる。
本実施の形態の検査対象物20には、1つ当たりの撮像単位に20(4×5)個の半田バンプが設けられている。
【0028】
図3は、検査対象物の半田付け端子部構造を模式的に示す図である。なお、図3では、検査対象物20の一部の図示を省略している。
検査対象物20は、第1の基板21と第2の基板(パッケージボディ)22とを有している。
【0029】
第1の基板21は、ベースとなる板状のプリント基板21aを有している。
そして、プリント基板上21aには、層状の電極を有する基板ランドパターン21bとソルダーレジスト21cとが設けられている。
【0030】
一方、第2の基板22は、シリコン基板22aと、シリコン基板22aの下部に設けられた銅ポスト電極22bと、シリコン基板22aの下部に設けられ、銅ポスト電極22bを樹脂でコートする樹脂コート部22cとを有している。
【0031】
そして、第1の基板21の基板ランドパターン21bと第2の基板22の銅ポスト電極22bとが半田バンプ23によって電気的に接続されている。
ここで、半田バンプ23には、ボイド23aが存在している例を示している。
【0032】
再び図2に戻って説明する。
撮像機13は、例えば、極微弱な明かり(発光や、物体からの反射光)を暗視(監視)するものである。そして検知した極微弱な明かりを増倍等してコントラストのついた画像を提供する。
【0033】
X線源11と撮像機13の駆動機構を有することにより、拡大、縮小の投影倍率を設定することができる。
撮像機13の撮像性能としては、特に限定されないが、例えば、X線源11の焦点寸法が1μm以下のマイクロフォーカスタイプである場合、検知器の濃度分解能が8ビット(256階調)以上であるのが好ましい。より好ましくは、12〜16ビット(4096〜65536階調)のグレースケールに対応するため、デジタルフラットパネルを有してもよい。これにより、検出に用いる濃度(輝度)レベルの相対値を有する画像が得られる。
【0034】
この撮像機13としては、例えば、イメージインテンシファイア(image intensi fier)等が挙げられる。
なお、X線検査装置10のX線撮像機能としては、X線源11、撮像機13の入出力校正がなされ、かつ、デジタル画像処理におけるコントラスト/ブライトネス等の輝度補正の状態が一定に保たれる、もしくは、校正/補正状態を管理して材質毎の濃度相関が維持されることが望ましい。
【0035】
前述した撮像単位毎に撮像機13で撮像された画像(X線透過画像)は、例えば1024×1024画素の解像度で、8〜12ビット階調のグレースケール情報として、画像処理装置100の後述するモニタに表示される。
【0036】
また、撮像した画像は、画像処理装置100の後述するX線透過画像データ記録部に記録することもできる。
図4は、X線透過画像データ記録部に記録されたX線透過画像の一部の一例を示す図である。
【0037】
説明を簡単にするため、8ビット(256階調)のグレースケール(黒を「0」〜白を「255」)で濃度値を表現する場合を例に説明する。
図4に示すX線透過画像30は、WLCSPの半田付け端子部構造の一部を図示している。
【0038】
X線透過画像30は、例えば、任意のX線撮像条件において最もX線透過率が低い半田バンプ23の撮像部位31が、およそ濃度値40前後となるようにレンジが調整されている。また、プリント基板21aの配線パターンが存在しない撮像部位32等、半田バンプ23に比べ、X線が透過する部分は、濃度値が230以上になるようにレンジが調整されている。
【0039】
また、半田バンプ23にボイド23aが存在する場合には、X線透過画像30には、ボイドに対応する撮像部位33が存在する。なお、図4では、撮像部位33を識別しやすくするために、濃度を誇張して示している。
【0040】
次に、本実施の形態のシステムの動作を簡単に説明する。
まず、ステージ12を作動させ、検査対象物20を所定の視野に位置決めする。その後、画像処理装置100が、X線透過画像を記録し任意の画像検査処理・判定を行う前に、X線透過画像のノイズ成分を減らす平均化処理等の画像補正演算を施し、X線透過画像の基本的な品質を高めた補正画像を取得する。そして取得した画像を用いてボイドの検査・判定を実施する。
【0041】
画像処理装置100は、この画像補正演算を施す際に、検査対象物20の構造情報(後述)に基づいて、検査、判定の妨げとなる部分的な濃度補正のための画像を、撮像画像とは別個に用意する。そして、画像補正演算の際に用意した画像を用いて、妨げとなる部位の影響を除去する。
【0042】
次に、画像処理装置100について説明する。
図5は、画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
画像処理装置100は、CPU(Central Processing Unit)101によって装置全体が制御されている。CPU101には、バス108を介してRAM(Random Access Memory)102、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103、グラフィック処理装置104、入力インタフェース105、外部補助記憶装置106および通信インタフェース107が接続されている。
【0043】
RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。HDD103には、OSやアプリケーションプログラムが格納される。また、HDD103内には、プログラムファイルが格納される。
【0044】
グラフィック処理装置104には、モニタ104aが接続されている。グラフィック処理装置104は、CPU101からの命令に従って、撮像機13によって撮像される画像等をモニタ104aの画面に表示させる。入力インタフェース105には、キーボード105aとマウス105bとが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード105aやマウス105bから送られてくる信号を、バス108を介してCPU101に送信する。
【0045】
外部補助記憶装置106は、記録媒体に書き込まれた情報を読み取ったり、記録媒体に情報を書き込んだりする。外部補助記憶装置106で読み書きが可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、HDD、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0046】
通信インタフェース107は、撮像機13に接続されている。通信インタフェース107は、撮像機13により撮像された検査対象物20のX線透過画像に位置合わせ用の属性情報が付加されたX線透過画像データを取得する。
【0047】
以上のようなハードウェア構成によって、本実施の形態の処理機能を実現することができる。このようなハードウェア構成の画像処理装置100には、以下のような機能が設けられる。
【0048】
次に、画像処理装置100が備える機能を説明する。
図6は、画像処理装置の機能を示すブロック図である。
画像処理装置100は、X線透過画像データ記録部111と、対象物構造情報格納部112と、X線透過率データ格納部113と、濃度補正画像情報作成部(画像作成手段)114と、画像補正演算部(除去手段)115と、画像検査処理判定部116とを有している。
【0049】
X線透過画像データ記録部111は、通信インタフェース107が取得したX線透過画像データを記録する。
前述したように、X線透過画像データには、位置合わせ用の属性情報が付加されている。この属性情報は、X線撮影条件および対象物の構造情報から取得することができる。
【0050】
属性情報としては、例えば、(1)画像のステージ上の座標情報X−Y−Z(−θ)、(2)画像の投影倍率、1画素当たりの寸法による解像度情報、(3)X線管電圧、管電流値、コントラスト、ブライトネス補正値情報等の撮像条件、(4)検査対象物20の画像中の座標情報X−Y−Z、(5)X線検査対象とする検査対象物20中の検査ポイント(バンプ位置等)の座標情報、(6)画像輝度補正に関する設定値等が挙げられる。
【0051】
画像のステージ12上の座標情報X−Y−Z(−θ)は、X線検査装置10のX−Y−Z(−θ)ステージ12の制御情報から取得することができる。
画像の投影倍率、1画素当たりの寸法による解像度情報は、X線検査装置10の撮影条件から取得することができる。
【0052】
例えば、ステージ12の高さ位置に対する位置関係、すなわち、Z軸方向のステージ12とX線源11との距離から投影倍率が決定される。撮像機13で撮像された画像と、投影倍率との関係から1画素当たりの寸法が求められる。
【0053】
検査対象物20の画像中の座標情報X−Y−Zは、プリント基板21aに搭載されている部品の位置や方向や、各部品の種類等、実装データを元にした座標情報等が挙げられる。この座標情報として、例えば、3次元CAD等の設計データを利用することもできる。
【0054】
なお、X線管電圧/電流値、コントラスト/ブライトネス等の撮像条件と画像輝度補正に関する設定値が、グレースケール階調とX線透過特性との相関情報を示す情報として属性情報に含まれている。
【0055】
対象物構造情報格納部112には、検査対象物20の構造情報が格納されている。この構造情報としては、例えば、検査対象物20の各部位別の材質や、各部位の位置寸法、厚さ等が挙げられる。
【0056】
X線透過率データ格納部113には、検査対象物20として用いられる材質別のX線透過率データが予め用意されて格納されている。
このX線透過率データは、以下(1)〜(3)に示すデータを含んでいるのが好ましい。
【0057】
(1)X線管電圧、電流値に依存する、X線透過率変化特性(X線波長と強度に依る透過率検量線データ)。
(2)金属等の単一元素の場合、吸収係数による濃度計算値(実測値による校正を考慮する)。
【0058】
(3)複合材料の場合は、試験片等による単位厚さ当たりのX線透過率変化特性の実測検量線データ。
濃度補正画像情報作成部114は、例えば、画像補正演算部115の情報作成要求に応じて、検査、判定の妨げとなる部位の濃度を補正するための濃度補正画像情報を作成する。
【0059】
濃度補正画像情報は、部材が複数重なり合った部位(部材重複部位)における、検査、判定の妨げとなる部材(除去対象部材)の濃度についての情報である。
例えば、第2の基板22においては、シリコン基板22a、銅ポスト電極22b、樹脂コート部22cが、除去対象部材となる。
【0060】
この濃度補正画像情報は、対象物構造情報格納部112に格納されている検査対象物20の構造情報と、X線透過率データ格納部113に格納されている材質別のX線透過率データとに基づいて作成する。
【0061】
具体的には、対象物構造情報格納部112に格納されている検査対象物20の構造情報に含まれる各部位の厚みを、構造情報に含まれる各部位の材質の情報のX線透過率データと照合し、各除去対象部位の材質と厚さにおけるX線透過率を求める。そして求めたX線透過率を、透過濃度を示す濃度値に換算する。
【0062】
例えば、銅ポスト電極22bを濃度値200相当に換算する。基板ランドパターン21bやシリコン基板22a、樹脂コート部22cの濃度値も同様に求めることができる。但し、半田バンプ23の濃度レベルに重なった場合の影響の度合いが少ないと判断できる部位(例えば、シリコン基板22aや、樹脂コート部22c等)については、濃度値の換算を省略することもできる。
【0063】
なお、影響の度合いが少ないと判断する濃度値の基準は、予め閾値等で設定しておくことができる。
また、濃度補正画像の特定部位以外のバックグラウンドは、例えば、濃度値無し(最大輝度の255)とすることができる。
【0064】
なお、濃度補正画像情報作成部114は、検査対象物20の構造情報を読み出し、X線撮像の管電圧/電流、コントラスト/ブライトネス補正状態に基づき換算される濃度値にて、補正対象となるX線透過画像と同等もしくはより高い解像度の濃度補正画像を生成するようにしてもよい。
【0065】
濃度補正画像情報作成部114は、濃度補正画像に各除去対象部材の寸法を示す寸法情報を付加し、濃度補正画像情報を作成する。
画像補正演算部115は、X線透過画像データ記録部111に記録されているX線透過画像に対して濃度補正画像情報作成部114によって作成された濃度補正画像を用いて画素単位で演算処理を行う。
【0066】
この演算処理に当たっては、濃度差分がX線透過画像データ記録部111に記録されたX線透過画像と整合するように、濃度補正画像の位置合わせを行う。
位置合わせは、例えば、ステージ12の位置決めに利用する検査対象物20の座標情報と、X線撮影条件の倍率や視野情報に対して、濃度補正画像情報の属性である寸法情報を照合することにより行う。
【0067】
この位置合わせの処理に当たっては、まず、検査対象物20のステージ12上の位置を把握する。
検査対象物20のステージ12上の位置は、例えば、X線検査装置10に検査対象物20を設置するときに、初期位置合わせ操作により把握する。
【0068】
さらに、X線検査装置10のステージ12の座標系上に、検査対象物20のローカル座標系を重ね合わせて検査座標を決定する。
このように、X線検査装置10のステージ12上に配置される検査対象物20の位置が決定されれば、ステージ12の座標情報と検査対象物20の座標情報とを参照して、濃度補正画像の所望の座標への位置合わせ制御が可能となる。
【0069】
さらに、検査対象物20中の検査ポイントとして、半田バンプ23の位置等、複数の特定座標を設定することで、濃度補正画像の所望の位置への位置合わせ制御が可能となる。画像補正演算部115は、これらの情報に従ってX線透過画像の検査対象となる部位(半田バンプ23等)が映し出された部位に濃度補正画像の除去対象部材が映し出された部位を重ね合わせる。
【0070】
ここで、X線撮像系のもつ投影座標系を視点として画像撮影する場合、三次元空間座標を属性情報として扱うことが好ましい。これは、通常、X線透過画像は倍率が高い程、透視図法(パースペクティブ)的な画像となる。従って、三次元空間座標情報をもって透視投影演算を行うことで、検査対象物20の撮影画像中の位置と座標データのフィッティング精度を高めることができる。
【0071】
次に、位置合わせが完了すると、X線透過画像の除去対象部材が映し出された部位の大きさと、濃度補正画像の除去対象部材が映し出された部位の大きさが一致するように濃度補正画像を拡大、縮小して微調整する。
【0072】
前述したように、X線透過画像の各画素の濃度レベルはグレースケールの階調値(濃度値)として記録されている。従って、例えば、黒から白へ濃度値の数値が増加する場合、画像補正演算部115は、除去対象部材が濃度値をもち、他の部分は濃度値が「0」となるように、濃度補正画像をネガポジ反転する。
【0073】
そして、演算処理により、X線透過画像から除去対象部材の影響を除去する。具体的には、濃度補正画像の除去対象部材が、X線透過画像の部材重複部位の濃度を増加させている場合は、X線透過画像の部材重複部位の濃度値から、濃度補正画像の濃度値を減算する。
【0074】
また、濃度補正画像の除去対象部材が、X線透過画像の部材重複部位の濃度値を減少させている場合は、X線透過画像の部材重複部位の濃度値から、濃度補正画像の濃度値を加算する。
【0075】
画像検査処理判定部116は、補正処理後の画像濃度変化の平滑化度合いを計ることにより、ボイドの検出、判定を行う。例えば、BGAボイドを判定する検査モードでWLCSPのボイド検出を行う画像を撮像した場合は、濃度が濃い(第1の所定値以下の濃度値を有する)BGAバンプ中で局部的に濃度が薄い部分(第2の所定値以上の濃度値を有する)を検出する。
【0076】
なお、平滑化度合いは、微分処理によるBGAバンプ中の濃度エッジ、段付きの解消有無の検知で判定することができる。
そして、検出した部分が、BGAバンプの外形の大きさ以内であり、かつ、所定の画素数の範囲にある低濃度部分をボイドとして検出する。
【0077】
そして、補正処理前のX線透過画像では認識できていなかったボイド輪郭の正常検出ができた段階で適正化終了と判断することができる。
次に、濃度補正画像情報作成部114が、濃度補正画像情報を生成する処理(濃度補正画像情報生成処理)について説明する。
【0078】
図7は、濃度補正画像情報生成処理を示すフローチャートである。
まず、濃度補正画像情報作成部114は、対象物構造情報格納部112から各部位それぞれの材質、位置寸法、厚さ等の構造情報を読み出す(ステップS1)。
【0079】
次に、濃度補正画像情報作成部114は、X線透過率データ格納部113から各部位それぞれのX線透過率を読み出す。そして読み出したX線透過率と、ステップS1にて読み出した位置寸法、厚さから、前述した方法を用いて濃度値を換算する(ステップS2)。
【0080】
次に、濃度補正画像情報作成部114は、換算した濃度値が、検査対象物20の濃度変化に影響する度合いを判定する(ステップS3)。
次に、濃度補正画像情報作成部114は、検査対象物の濃度変化に影響する度合いが大きいと予め定めた閾値以上の部位を抽出する(ステップS4)。
【0081】
次に、濃度補正画像情報作成部114は、抽出した部位の濃度補正画像をX線撮像条件に合わせて生成する(ステップS5)。そして、濃度補正画像に各除去対象部位の寸法を示す寸法情報を付加し、濃度補正画像情報を作成する。その後、処理を終了する。
【0082】
以上で、濃度補正情報生成処理の説明を終了する。
次に、濃度補正画像の位置合わせからボイド検出までの処理を説明する。
図8は、濃度補正画像の位置合わせからボイド検出までの処理を説明するフローチャートである。
【0083】
まず、前処理として、X線検査装置10のX線源11からX線を照射した状態で、検査対象物20の検査ポイントへの位置合わせを行う(ステップS11)。
位置合わせを行った後に、撮像機13にて撮像されたX線透過画像は、属性情報とともにX線透過画像データとして、X線透過画像データ記録部111に記録される。
【0084】
次に、画像補正演算部115が、X線透過画像データ記録部111に記録されたX線透過画像データのX線透過画像から検査対象物20の検査対象部位の位置を認識する(ステップS12)。
【0085】
次に、画像補正演算部115が、濃度補正画像情報作成部114に濃度補正画像を含む濃度補正画像情報の作成を要求する。そして、作成された濃度補正画像を、検査対象部位に重ね合わせる(ステップS13)。その後、位置の微調整を行う。
【0086】
次に、画像補正演算部115が、濃度補正の演算処理を行う(ステップS14)。具体的には、重ね合わせた部分の濃度値増加分を差し引いたり、重ねあわせた部分の濃度値減少分を加えたりする。
【0087】
次に、濃度補正処理後の画像の外縁輪郭部にエッジノイズが存在するか否かを判断する(ステップS15)。
画像エッジノイズが存在する場合(ステップS15のYes)、X線透過画像の部材重複部位に対する濃度補正画像の除去対象部材の重ね合わせ位置、倍率を補正する(ステップS16)。その後、ステップS13に遷移し、ステップS13以降の処理を繰り返し行う。
【0088】
一方、画像エッジノイズが存在しない場合(ステップS15のNo)、画像検査処理判定部116が、ボイド検出処理を行う(ステップS17)。その後、処理を終了する。
濃度補正画像の位置合わせと重ね合わせにおいては、特に高倍率の場合に微妙なズレが濃度補正処理上無視できない場合があるが、このように、重ね合わせ後の画像の外縁輪郭部にエッジノイズが生じているかどうか等をチェックし、適切な重ね合わせが施されるように位置および倍率の微調整を行うことで、検出精度を高めることができる。
【0089】
以上で処理の説明を終了する。
以下、検査対象物20を用いて処理の具体例を説明する。
<具体例>
図9は、具体例の濃度補正画像を作成する処理を示す図である。
【0090】
濃度補正画像情報作成部114は、画像補正演算部115からの要求に応じて、シリコン基板22a、銅ポスト電極22bおよび樹脂コート部22cの濃度値を求める。そして、求めた濃度値が半田バンプ23の濃度変化に影響する度合いを判定する。
【0091】
この結果、シリコン基板22aおよび樹脂コート部22cの濃度は、バックグラウンドとの濃度差が一定以下として抽出しない。図9(a)に示すように、銅ポスト電極22bの濃度補正画像22dのみを抽出する。
【0092】
なお、構造情報から濃度補正画像22dは、X線透過画像の部材重複部位の濃度を増加させている画像であると判断する。
なお、濃度補正画像22dは、第2の基板22単体のX線透過画像から抽出してもよいし、設計CADデータから生成してもよい。
【0093】
また、濃度補正画像情報作成部114は、プリント基板21a、基板ランドパターン21bおよびソルダーレジスト21cの濃度値を求める。そして、求めた濃度値が半田バンプ23の濃度変化に影響する度合いを判定する。
【0094】
この結果、プリント基板21aおよびソルダーレジスト21cの濃度は、バックグラウンドとの濃度差が一定以下として抽出しない。図9(b)に示すように、基板ランドパターン21bの濃度補正画像21dのみを抽出する。
【0095】
なお、構造情報から濃度補正画像21dは、X線透過画像の部材重複部位の濃度を減少させている画像であると判断してもよい。
なお、濃度補正画像21dは、第1の基板21単体のX線透過画像から抽出してもよいし、設計CADデータから生成してもよい。
【0096】
図10は、具体例の濃度補正を示す図である。
銅ポスト電極22bの影響により、X線透過画像111aのボイドには、銅ポスト電極22bと重なっている部分と重なっていない部分の大きく分けて2段階の濃度変化が生じている。
【0097】
ボイド部分に濃度変化が生じると、閾値処理によって、ボイドの輪郭を検出、判定する際にボイドを検出できない可能性が高まる。
そこで、具体例では、画像補正演算部115が、濃度補正画像情報作成部114が抽出した濃度補正画像22dをネガポジ反転する。そして、画像補正演算部115が、X線透過画像111aに対し、反転した画像22eを画素単位で濃度値を加算処理することで、結果的に濃度を減算処理する。この際、前述したように、両画像の位置情報を用いて、重ね合わせを行う。
【0098】
この減算処理の結果、濃度補正処理後の画像24aが得られる。この画像24aは、銅ポスト電極22bの外周部に位置する濃度変化の境界が平滑化されている。従って、画像検査処理判定部116が、得られた画像24aを用いてボイドの検出を行うことにより、ボイドの検出漏れを抑制することができる。
【0099】
なお、図10に示す例では、説明を省略したが、さらに、濃度補正画像21dをネガポジ反転し、減算処理前のX線透過画像111aまたは画像24aに対し、反転した画像を画素単位で加算処理するようにしてもよい。
【0100】
以下、X線透過画像111aのA−A線での濃度分布(ボイドを通る一次元的な任意断面での濃度分布)と、濃度補正処理後の画像24aのB−B線での濃度分布を比較する例を示す。
【0101】
図11は、濃度分布の比較を示す図である。
図11(a)は、X線透過画像111aのボイドを通る一次元的な任意断面での濃度分布を示すグラフである。
【0102】
図11(b)は、画像24aのボイドを通る一次元的な任意断面での濃度分布を示すグラフである。
なお、各グラフの横軸は、画像の画素の位置を示し、縦軸は、濃度値(0〜255)を示している。濃度値が小さくなる程、濃度が濃くなる。
【0103】
図11(a)、(b)それぞれに示すように、X線透過画像111aおよび画像24aそれぞれの背景部分は、濃度値が大きくなっており、半田バンプ23の部分において、濃度値が小さくなっている。
【0104】
図11(a)の斜線部の領域41は、銅ポスト電極22bの濃度増加分を示している。すなわち、銅ポスト電極22bの影響により、濃度値が40前後まで減少している。このため、X線透過画像111aの任意断面の濃度分布では、ボイド23aの部分において濃度が低下(グラフ上では縦軸数値が上昇)する閉領域が見いだせず、閾値処理等では、ボイドを検出できない可能性がある。
【0105】
対して、図11(b)に示すように、補正処理後の画像24aは、特定部位として銅ポスト電極22bによる濃度増加分である濃度値約20程度が減算されている。これにより、埋もれていたボイド部分の閉領域42が発生する。この閉領域42の濃度値は、閾値43よりも大きい。従って、閾値処理によって、ボイドの検出が可能となる。
【0106】
なお、この補正処理は、X線検査画像に二次元的に処理されるため、ボイド部分の閉領域の濃度差が得られれば、閾値処理以外にも微分処理等の濃度変化境界エッジ検出等の画像処理手法を用いてボイドを検出することができる。
【0107】
以上述べたように、画像処理装置100によれば、X線透過画像111aの半田バンプ23内の銅ポスト電極22b等、ボイドの検出に影響を与える部位が重畳する領域において、銅ポスト電極22bの濃度補正画像22dを構造情報に基づき生成した。そして、生成した濃度補正画像を用いて演算処理を行い、X線透過画像111aのボイドの検出に影響を与える濃度変化を相殺した。
【0108】
これにより、X線透過画像111aの濃度が低いボイド部分において、ボイド部分の濃度がさらに低くなった画像24aが得られる。これは、ボイドの輪郭が強調される補正が行われることを示している。
【0109】
これにより、半田バンプ23の、銅ポスト電極22bの輪郭部分にボイドが存在する場合等であっても、半田バンプ23に存在するボイドの誤検出を抑制することができ、画像検査処理判定部116のボイド検査の検出率が向上する。従って、例えば、目視検査等、別個の処理を省略することができる。
【0110】
また、位置合わせを行ってから演算処理を行うようにしたので、ボイドの検出に影響を与える濃度変化をより確実に除去することができる。
なお、本実施の形態では、演算処理の対象として銅ポスト電極22bを抽出し、その影響を除去する場合を説明したが、これに限らず、プリント基板21aのランドや、配線パターンによる陰影等を抽出し、それらの影響を除去する場合についても適用することができる。また、前述したように、部品が複数個重なっていた場合においても、これらの影響を除去することができる。
【0111】
なお、画像処理装置100が行った処理が、複数の装置によって分散処理されるようにしてもよい。例えば、1つの装置が、濃度補正画像情報を生成する処理までを行って濃度補正画像情報を生成しておき、他の装置が、その濃度補正画像情報とX線透過画像データとを用いて画像補正演算および画像検査処理判定を行うようにしてもよい。
【0112】
また、本実施の形態では、X線検査装置10と画像処理装置100を別個の装置として説明したが、これに限らず、X線検査装置10の機能と画像処理装置100の機能が1つの装置内に設けられていてもよい。
【0113】
また、画像処理装置100の演算処理は、検査対象物20の製造後のボイドを検出する検査方法として用いてもよいし、検査対象物20を製造する際の製造工程の一部に用いてもよい。
【0114】
また、本実施の形態では、濃度増分の画像か否かは、濃度補正画像情報作成部114が判断したが、画像補正演算部115が判断するようにしてもよい。
以上、本発明の画像処理プログラム、画像処理方法および画像処理装置を、図示の実施の形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物や工程が付加されていてもよい。
【0115】
また、本発明は、前述した各実施の形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、画像処理装置100が有する機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、例えば、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等が挙げられる。磁気記録装置としては、例えば、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等が挙げられる。光ディスクとしては、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM(Random Access Memory)、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)等が挙げられる。光磁気記録媒体としては、例えば、MO(Magneto-Optical disk)等が挙げられる。
【0116】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0117】
画像処理プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0118】
以上の第1〜第2の実施の形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) コンピュータを、
検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成する画像作成手段、
前記画像作成手段により作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する除去手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【0119】
(付記2) 前記画像作成手段は、前記構造情報に含まれる前記検査対象物以外の部材の厚さと材質に基づいて前記透過濃度を算出することを特徴とする付記1記載の画像処理プログラム。
【0120】
(付記3) 前記除去手段は、作成された前記画像が、前記複数の部材が重なった部位の濃度値を増加させている画像である場合、前記複数の部材が重なった部位から作成された前記画像の濃度値を減算する処理を行うことを特徴とする付記1記載の画像処理プログラム。
【0121】
(付記4) 前記除去手段は、作成された前記画像が、前記複数の部材が重なった部位の濃度値を減少させている画像である場合、前記複数の部材が重なった部位から作成された前記画像の濃度値を加算する処理を行うことを特徴とする付記1記載の画像処理プログラム。
【0122】
(付記5) 前記除去手段は、前記検査対象物の位置情報と、前記検査対象物以外の部材の寸法情報とに基づいて、前記X線透過画像の検査対象となる部位が映し出された部位に作成された前記画像の前記部材が映し出された部位を重ね合わせる処理を行うことを特徴とする付記1記載の画像処理プログラム。
【0123】
(付記6) 前記除去手段は、前記X線透過画像の前記部材が映し出された部位の大きさと、作成された前記画像の前記部材が映し出された部位の大きさが一致するように作成された前記画像の大きさを調整することを特徴とする付記5記載の画像処理プログラム。
【0124】
(付記7) 前記除去手段は、前記検査対象物以外の画像の前記透過濃度が、予め定められた濃度以上の前記検査対象物以外の画像の前記透過濃度の影響を除去することを特徴とする付記1記載の画像処理プログラム。
【0125】
(付記8) コンピュータが、
検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成し、
作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【0126】
(付記9) 検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部により作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する除去部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【符号の説明】
【0127】
1 コンピュータ(画像処理装置)
2 画像作成手段
3 除去手段
4、30、111a X線透過画像
10 X線検査装置
11 X線源
12 ステージ
13 撮像機
20 検査対象物
21 第1の基板
21a プリント基板
21b 基板ランドパターン
21c ソルダーレジスト
21d、22d 濃度補正画像
22 第2の基板
22a シリコン基板
22b 銅ポスト電極
22c 樹脂コート部
22e、24a 画像
23 半田バンプ
23a ボイド
31、32、33 撮像部位
41 領域
42 閉領域
43 閾値
100 画像処理装置
111 X線透過画像データ記録部
112 対象物構造情報格納部
113 X線透過率データ格納部
114 濃度補正画像情報作成部
115 画像補正演算部
116 画像検査処理判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンピュータを、
検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成する画像作成手段、
前記画像作成手段により作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する除去手段、
として機能させることを特徴とする画像処理プログラム。
【請求項2】
前記画像作成手段は、前記構造情報に含まれる前記検査対象物以外の部材の厚さと材質に基づいて前記透過濃度を算出することを特徴とする請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項3】
前記除去手段は、作成された前記画像が、前記複数の部材が重なった部位の濃度値を増加させている画像である場合、前記複数の部材が重なった部位から作成された前記画像の濃度値を減算する処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項4】
前記除去手段は、前記検査対象物の位置情報と、前記検査対象物以外の部材の寸法情報とに基づいて、前記X線透過画像の検査対象となる部位が映し出された部位に作成された前記画像の前記部材が映し出された部位を重ね合わせる処理を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理プログラム。
【請求項5】
コンピュータが、
検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成し、
作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する、
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
検査対象物を含む複数の部材が重なった状態で撮像されたX線透過画像の、前記検査対象物以外の部材の構造情報に基づいて、前記検査対象物以外の部材の形状それぞれにおける透過濃度を有する画像を作成する画像作成部と、
前記画像作成部により作成された前記画像を用いて、前記X線透過画像の前記複数の部材が重なった部位の前記検査対象物以外の部材の占める透過濃度の影響を除去する除去部と、
を有することを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−75470(P2011−75470A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−229182(P2009−229182)
【出願日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】