説明

画像処理方法、画像表示方法、画像処理プログラム、記憶媒体、画像処理装置、X線撮影装置

【課題】本発明は、簡単な操作でパノラマ断層画像を得ることができ、操作者が必要とする時にパノラマ断層画像が得られる画像処理方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法である。本発明に係る画像処理方法は、X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップS3と、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップS4とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理方法等に係る発明であって、特に、X線CT撮影の画像処理方法等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、歯科診療の分野では、歯列弓に沿って断層撮影するパノラマX線撮影装置が知られている。このようなパノラマX線撮影装置では、X線源とこれに対向して配設されるX線撮像手段を、被撮影者頭部を挟んだ状態で所要の軌跡に沿って移動させ、これによって、歯列弓に沿ったパノラマ断層画像を得ることができる。
【0003】
また、歯科診療の分野でも、人体の任意の部位を断層撮影するX線CT(コンピュータ断層撮影法)撮影装置が用いられている。このX線CT撮影装置では、X線源とこれと対向するX線撮像手段とを被撮影者頭部を挟んだ状態で所定方向に回転させ、得られた画像信号をコンピュータ処理することによって、X線投影データを再構成して、頭部等の任意の部位を任意の角度で切断した断面画像や3次元のボリュームデータを得ることができる。
【0004】
このX線CT撮影装置から得られた歯顎顔面領域のX線投影データからパノラマ断層画像を得る方法としては、特許文献1乃至特許文献3に開示されている。具体的に、特許文献1では、X線CT撮影装置等によって得られた咬合面のスライス画像から、複数点座標を入力することで歯列弓のパノラマ曲線を指定して歯列弓のパノラマ画像を、オブリークラインを指定することで関心領域のオブリーク画像(任意断面又は傾斜断面)を、それぞれ表示させることが開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、CT再構成されたX線投影データである3次元ボリュームデータから基準曲面と湾曲厚板領域を指定し、歯列弓のパノラマ断層画像を作成することが開示されている。さらに、特許文献3では、X線CT撮影で得た投影データを基に、パノラマ断層面に所定角度で交わる方向の投影線上にある3次元分布情報を演算し、演算結果を2次元平面上に展開することでパノラマ断層画像を生成することが開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平08−215192号公報
【特許文献2】特開2001−061834号公報
【特許文献3】特表2000−057789号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1、2、3においては、X線CT撮影装置によって撮影されたX線投影データを基にしてパノラマ断層画像を得ることができるという共通のメリットはある。つまり、1回X線CT撮影装置によって撮影されたX線投影データがあれば、パノラマ断層画像を得る為の撮影は不要とするメリットがある。このメリットは、不要なX線被爆を生じないと言う別の利益につながる。しかし、特許文献1では、画像データからパノラマ断層画像やオブリーク断層像を作成するにあたり、複数点座標やパラメータなどを入力するという複雑な操作を必要とし、手間も時間もかかる問題点があった。同様に、特許文献2及び特許文献3でも、パノラマ断層画像を得るためには基準曲線を設定する等の複雑な操作を必要とし、操作者が簡単にパノラマ断層画像を得ることができない問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、X線CT撮影装置によって撮影されたX線投影データを基にして簡単な操作でパノラマ断層画像を得ることができ、操作者が複数点の座標を設定したり、基準曲線を設定したりするといった手間をかけず、装置の使用に習熟する必要もなく、操作者が必要とする時に歯列弓のパノラマ断層画像が得られる画像処理方法等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本請求項1に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法を採用することである。
【0010】
本請求項2に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定ステップと、位置特定ステップで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法を採用することである。
【0011】
本請求項3に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定ステップと、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状を特定する形状特定ステップと、位置特定ステップ及び形状特定ステップで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報及び形状情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、取り出された歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法を採用することである。
【0012】
本請求項4に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項2又は請求項3に記載の画像処理方法であって、歯列弓投影データ抽出ステップは、歯列に対するX線の入射角及び断層厚みのうち少なくとも1つの情報を参照してX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すことを特徴とする。
【0013】
本請求項5に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項2に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップは、X線CT撮影時に被撮影者又は被撮影者に取り付けた撮影用補助具とX線CT撮影装置との距離情報から被撮影者の歯列弓の位置を特定することを特徴とする。
【0014】
本請求項6に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項2に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップは、X線CT撮影時に被撮影者に対して位置付けビームを照射し、当該ビームの位置情報より被撮影者の歯列弓の位置を特定することを特徴とする。
【0015】
本請求項7に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項2に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップは、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像において基準点を1点指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置を特定することを特徴とする。
【0016】
本請求項8に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像において基準点を複数点指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0017】
本請求項9に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線CT撮影を行う際に被撮影者の頭部を固定する頭部固定装置の情報によるものであって、頭部固定装置とX線CT撮影装置との相対位置より、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0018】
本請求項10に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線投影データを歯列データと歯列以外のデータとに二値化するようにX線投影データの画像処理を行い、当該二値化した画像データから被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0019】
本請求項11に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線CT撮影の際に被撮影者に歯列弓識別ブロックを取り付け、X線投影データ中の歯列弓識別ブロックの情報に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0020】
本請求項12に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線CT撮影時に得られた被撮影者のX線画像のうち、少なくとも異なる2方向から撮影したX線透過画像又は3次元ボリュームデータによるX線画像に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0021】
本請求項13に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像に沿って位置及び形状を連続して指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0022】
本請求項14に係る解決手段としての画像処理方法は、請求項3に記載の画像処理方法であって、位置特定ステップ及び形状特定ステップは、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像に歯列弓モデル画像を重ね合わせる入力を受けることで、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする。
【0023】
本請求項15に係る解決手段は、請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法により得られたパノラマ断層画像を、X線CT撮影によって得たパノラマ断層画像以外の画像よりも先に、あるいはパノラマ断層画像以外の少なくとも1つの画像と同時に表示することを特徴とする、画像表示方法を採用することである。
【0024】
本請求項16に係る解決手段は、請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法の処理ステップをコンピュータで実行させるための画像処理プログラムを採用することである。
【0025】
本請求項17に係る解決手段は、請求項16に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体を採用することである。
【0026】
本請求項18に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備える画像処理装置を採用することである。
【0027】
本請求項19に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定手段と、位置特定手段により得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備え、位置特定手段は、請求項2,4乃至7のいずれか1つに記載の画像処理方法における位置特定ステップによって歯列弓の位置を特定する画像処理装置を採用することである。
【0028】
本請求項20に係る解決手段は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定手段と、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状を特定する形状特定手段と、位置特定手段及び形状特定手段により得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報及び形状情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備え、位置特定手段及び形状特定手段は、請求項3,4,8乃至14のいずれか1つに記載の画像処理方法における位置特定ステップ及び形状特定ステップによって歯列弓の位置及び形状を特定する画像処理装置を採用することである。
【0029】
本請求項21に係る解決手段は、X線を発生させるX線源と、被撮影者を通過したX線を検出するX線イメージセンサと、X線源とX線イメージセンサとを、被撮影者の頭部を挟んで対向するよう支持する支持手段と、支持手段を、X線CT撮影時に旋回させる旋回駆動手段と、請求項18乃至請求項21のいずれか1つに記載の画像処理装置とを備えるX線撮影装置を採用することである。
【発明の効果】
【0030】
本請求項1に記載の画像処理方法は、X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、X線CT撮影後に何らの操作もすることなしに、あるいは「パノラマ表示」等の選択スイッチを一度操作するだけで、パノラマ断層画像を得ることができ、且つ一度のX線CT撮影で得たX線投影データを基にして、CT画像とパノラマ断層画像とを表示することができるため、X線被曝線量を頭部CT撮影1回分に抑えられる。また、本請求項1に記載の画像処理方法において、X線CT撮影で得たX線投影データを3次元ボリュームデータに再構成し、当該3次元ボリュームデータからパノラマ断層画像に必要なデータを抽出してパノラマ断層画像を生成する場合、1つのデータを用いて異なる複数形式の表示を行うことが可能となり、データの有効活用に資する。一方、X線CT撮影で得たX線投影データを3次元ボリュームデータに再構成せず、X線投影データからパノラマ断層画像に必要な部分を直接取り出す場合、処理時間を短縮できると共に、金属アーチファクトが発生しないためX線パノラマ撮影によって得られたパノラマ断層画像とほぼ同一の画像を得ることができる。上記のような、3次元ボリュームデータからパノラマ断層画像データを抽出するか、3次元ボリュームデータに再構成する前のX線投影データからパノラマ断層画像データを抽出するか、いずれを採るかといった選択は、以下の他の請求項についても同様に行うことができ、その場合は上記と同様の効果を奏する。
【0031】
本請求項2に記載の画像処理方法は、位置特定ステップで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、簡単な操作で歯列弓のパノラマ断層画像を得ることができ、且つ一度のX線CT撮影で得たX線投影データを基にして、CT画像とパノラマ断層画像とを表示することができるため、X線被曝線量を頭部CT撮影1回分に抑えられる。
【0032】
本請求項3に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報及び形状情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、より実際の歯列弓に適合する精度の高いパノラマ断層画像を生成することができる。
【0033】
本請求項4に記載の画像処理方法は、歯列弓投影データ抽出ステップが、歯列に対するX線の入射角及び断層厚みのうち少なくとも1つの情報を参照してX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、前突の歯列弓等のような、特異な形状の歯列弓に対しても、より所望の高いパノラマ断層画像を生成することができる。
【0034】
本請求項5に記載の画像処理方法は、位置特定ステップが、X線CT撮影時に被撮影者又は被撮影者に取り付けた撮影用補助具とX線CT撮影との距離情報から被撮影者の歯列弓の位置を特定するので、既存の位置検出センサが利用でき、安価で容易に歯列弓の位置特定を自動で行うことができる。
【0035】
本請求項6に記載の画像処理方法は、位置特定ステップが、X線CT撮影時に被撮影者に対して位置付けビームを照射し、当該ビームの位置情報より被撮影者の歯列弓の位置を特定するので、装置の使用に習熟する必要もなく、簡単に歯列弓の位置特定を行うことができる。
【0036】
本請求項7に記載の画像処理方法は、位置特定ステップが、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像において基準点を1点指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置を特定するので、追加の機器が不要であり、且つCT画像で歯列弓を確認して位置特定が行える。
【0037】
本請求項8に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像において基準点を複数点指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、追加の機器が不要であり、且つCT画像で歯列弓を確認して位置及び形状の特定が行える。
【0038】
本請求項9に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線CT撮影を行う際に被撮影者の頭部を固定する頭部固定装置の情報によるものであって、頭部固定装置とX線CT撮影装置との相対位置より、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、操作が非常に簡便であり操作者が装置の使用に習熟する必要もなく簡単にパノラマ断層画像を得ることができる。
【0039】
本請求項10に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線投影データを歯列データと歯列以外のデータとに二値化するようにX線投影データの画像処理を行い、当該二値化した画像データから被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。
【0040】
本請求項11に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線CT撮影の際に被撮影者に歯列弓識別ブロックを取り付け、X線投影データ中の歯列弓識別ブロックの情報に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。
【0041】
本請求項12に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線CT撮影時に得られた被撮影者のX線画像のうち、少なくとも異なる2方向から撮影したX線透過画像又は3次元ボリュームデータによるX線画像に基づき、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、操作者がX線撮影画像を確認しながら、あるいは統計データを用いたX線撮影画像の濃淡パターンからの推測により、歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。
【0042】
本請求項13に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像に沿って位置及び形状を連続して指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、操作者がCT画像を確認しながら歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。
【0043】
本請求項14に記載の画像処理方法は、位置特定ステップ及び形状特定ステップが、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、歯列画像に歯列弓モデル画像を重ね合わせる入力を受けることで、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するので、操作者がCT画像を確認しながら歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。以上に記載の画像処理方法は、請求項7,8,13,14に記載のものを除けば、術者による特段の操作を必要とせず、歯列弓の位置あるいは形状を特定し、パノラマ断層画像を自動的に表示することを可能とするものである。
【0044】
本請求項15に記載の画像表示方法は、請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法により得られたパノラマ断層画像を、X線CT撮影によって得たパノラマ断層画像以外の画像よりも先に、あるいはパノラマ断層画像以外の少なくとも1つの画像と同時に表示するので、歯科医は従来から見慣れたパノラマ断層画像をまず確認でき、効率良く診断することが可能となる。
【0045】
本請求項16に記載の画像処理プログラムは、請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法の処理ステップをコンピュータで実行させるので、簡単な操作でパノラマ断層画像を得ることができる。また、既存のX線CT撮影装置や画像処理装置を当該画像処理プログラムでバージョンアップすることにより、パノラマ画像作成機能を簡単に追加することができるため、別途パノラマ撮影装置を備える必要がない。
【0046】
本請求項17に記載の記録媒体は、請求項16に記載の画像処理プログラムを記録しているので、既存のX線CT撮影装置や画像処理装置を当該画像処理プログラムでバージョンアップすることが可能となり、パノラマ画像作成機能を簡単に追加することができる。
【0047】
本請求項18に記載の画像処理装置は、X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、X線CT撮影後に何らの操作もすることなしに、あるいは「パノラマ表示」等の選択スイッチを一度操作するだけで、パノラマ断層画像を得ることができる。
【0048】
本請求項19に記載の画像処理装置は、位置特定手段により得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、簡単な操作でパノラマ断層画像を得ることができる。
【0049】
本請求項20に記載の画像処理装置は、位置特定手段及び形状特定手段により得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報及び形状情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出すので、より精度の高いパノラマ断層画像を生成することができる。
【0050】
本請求項21に記載のX線撮影装置は、請求項18乃至請求項20のいずれか1つに記載の画像処理装置を備えるので、簡単な操作でパノラマ断層画像を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
実施の形態1
(概要)
本実施の形態に係る発明は、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を簡単に得ることができる画像処理方法及びその方法を行う画像処理装置、X線撮影装置等に関するものである。また、本実施の形態に係る発明では、当該画像処理方法の処理ステップをコンピュータで実行させるための画像処理プログラム、及び当該画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体も含んでいる。
【0052】
(X線撮影装置の構成)
まず、本実施の形態に係るX線撮影装置の構成を図1及び図2に示す。図1に示すX線撮影装置は、被撮影者が着座してX線CT撮影を行う装置であり、図2に示すX線撮影装置は、被撮影者が直立してX線CT撮影を行う装置である。まず、図1に示すX線撮影装置は、X線を照射するX線源1、CCDカメラ等のX線イメージセンサ2、これらのX線源1及びX線イメージセンサ2を両端に下垂対向固定し、固定された回転中心3aを中心として旋回する支持手段3を備えている。このイメージセンサ2は、被撮影者の頭部CT撮影を行うためのサイズを備えていればよい。たとえば、被撮影者の歯列弓のパノラマ断層画像を得るために、縦の長さ(被撮影者の体軸方向に対応する方向の長さ)を14cm程度とすることができるが、被撮影者の頭部全体のCT撮影を行うことができるよう、縦20cmから30cm、横25cmから40cmの大きさとしてもよい。また、支持手段3は、門型の非常に剛性の高い構造体である主フレーム4の上部フレーム4aに取り付けられており、上部フレーム4aに取り付けられた旋回駆動手段5が支持手段3を回転中心3aを中心として旋回させる。回転中心3aは、支持手段を旋回させCT撮影を行う間、固定されたままとなる。ただし、逆に、支持手段を旋回させてCT撮影を行う間に、回転中心3aをも、CT撮影の対象となる関心領域の中央を中心として円を描くように旋回移動させることもできる。その場合、X線撮影装置は、各照射時点において関心領域の一部のみにX線を照射する、いわゆる「オフセットスキャン」の技術を用いることで、撮影領域を拡大させることができる。ここで、回転駆動手段5が上部フレーム4aではなく支持手段3内に設けられていてもよいことは、いうまでもない。
【0053】
さらに、図1に示すX線撮影装置は、患者である被撮影者を着座させる椅子からなる被撮影者固定手段6を備えている。この被撮影者固定手段6は、左右、前後、上下などに移動可能であり、支持手段3の旋回中心3aとその旋回平面高さで規定されるX線撮像目標領域に対して被撮影者を移動させる。図1から理解されるとおり、X線撮影すべき被撮影者は、X線源1とX線イメージセンサ2との間に位置付けられ、X線源1からのX線が被撮影者に向けて照射される。被撮影者を通過したX線はX線イメージセンサ2によって検出される。なお、ここでは被撮影者固定手段6が移動する構成を基に説明したが、支持手段3が旋回中心3aとともに左右、前後、上下に移動可能とすることで、被撮影者がX線源1とX線イメージセンサ2との間に位置付けられるよう構成することも、可能である。さらに、X線源1とイメージセンサ2とを支持手段3によって下垂対向固定する構成もあくまで一例であり、他に例えば、X線撮影装置の基台から上方に延設された支持手段によって対向固定したり、ベッド型の被撮影者固定手段をガントリ型の支持手段によって内包し、ガントリ型の支持手段の一部にX線源1を、X線源1と対向する支持手段の他の部分にX線イメージセンサ2を配置する、といった構成を採ったりすることも、可能である。
【0054】
一方、図2に示すX線撮影装置は、従来の歯科用パノラマX線撮影装置と同様に、床面に載置される基台21と、この基台21に設けられた支柱22と、昇降フレーム23とを備えており、昇降フレーム23が支柱22に対し上下方向に昇降する。また、昇降フレーム23の上端部には、水平アーム24が設けられている。この水平アーム24は、装置の前方、図2において右下方に延びており、その先端部に支持手段25が装着されている。水平アーム24と支持手段25との間には、水平アーム24に対して前後方向(図1において右下から左上の方向)及び前後方向に対して垂直な横方向(図1において左下から右上の方向)に移動可能で、且つ支持手段25を回転軸に対して回転させる旋回駆動手段26を備えている。支持手段25の回転中心は、支持手段を旋回させCT撮影を行う間、固定されたまま、あるいは旋回移動されることとなる。なお、上記装置構成はあくまで一例であって、例えば旋回駆動手段26を、水平アーム24、あるいは支持手段25に内蔵させた構成としてもよい。
【0055】
支持アーム24の一端部には下方に延びる第1の取付部27が一体的に設けられ、この第1の取付部27にX線源28が設けられている。また、支持アーム24の他端部には下方に延びる第2の取付部29が一体的に設けられ、この第2の取付部29にX線イメージセンサ30が装着されている。図2から理解されるとおり、X線撮影すべき被撮影者は、X線源28とX線イメージセンサ30との間の被撮影者保持手段63に位置付けられ、X線源28からのX線が被撮影者に向けて照射される。被撮影者を通過したX線はX線イメージセンサ30によって検出される。
【0056】
図3に、本実施の形態に係るX線撮影装置のブロック図を示す。図3に示すブロック図では、X線源1,28から被写体固定手段6あるいは被撮影者保持手段63により位置付けられた被撮影者の頭部へ向けてX線が照射され、被撮影者を通過したX線はX線イメージセンサ2,30によって検出され、X線イメージセンサ2,30はX線投影データを生成し出力する。X線イメージセンサ2,30から出力されたX線投影データは、画像処理装置31に入力される。画像処理装置31では、入力されたX線投影データをHDD等の記憶手段32に保管する。さらに、画像処理装置31には、フィルタを使い逆投影を行うことで、X線投影データのCT再構成を行い3次元ボリュームデータを生成するCT再構成手段33と、X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定手段34と、位置特定手段34により得られた歯列弓の位置情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段35と、歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段36とを備えている。
【0057】
画像処理装置31で生成されたパノラマ断層画像は、記憶手段32に保存されると共に、表示部37に表示される。図4に、表示部37で表示される画面例を示す。図4に示す画面例では、画面左側にはCT再構成を行った後に互いに直交する3方向から見た断面画像となるようスライスしたCT画像aを、画面右上側にはパノラマ断層画像bを、画面右下側には歯顎顔面の側面のX線透過画像cを、それぞれ表示している。なお、本実施の形態では、CT画像a、パノラマ断層画像b及びX線透過画像cの3画面を同時に表示しているが、本発明はパノラマ断層画像bだけの表示でも良い。また、本発明では、CT画像a等が表示される前又は同時にパノラマ断層画像bを表示する。つまり、X線CT撮影によって得たパノラマ断層画像b以外の画像よりも先に、あるいはパノラマ断層画像b以外の少なくとも1つの画像と同時にパノラマ断層画像bを表示することにより、歯科医は従来から見慣れたパノラマ断層画像bをまず確認でき、このパノラマ断層画像bから必要な部分のCT画像aへと進むことができるので、効率良く診断することが可能となる。
【0058】
なお、本実施の形態では、X線撮影装置に画像処理装置31及び表示部37が一体に設けられた構成について説明したが、X線撮影装置から独立して画像処理装置31及び表示部37が設けられる等の構成でも良い。
【0059】
(パノラマ断層画像の生成方法)
次に、パノラマ生成手段36においてパノラマ断層画像を生成する所定の処理について説明する。本実施の形態では、X線CT撮影によって得られたX線投影データの中から、パノラマ画像生成に必要な歯列弓投影データを歯列弓投影データ抽出手段35で取り出し、当該歯列弓投影データを用いて以下のいずれかの処理を行うことでパノラマ画像を生成する。
【0060】
まず1つ目の処理である直接処理では、歯列弓投影データ抽出手段35で取り出した歯列弓投影データからパノラマ断層画像を構成する部分を短冊状に抽出して、短冊状の画像のそれぞれをつなぎ合わせることでパノラマ断層画像を生成する。図5に直接処理の模式図を示す。図5では、まずX線CT撮影によって、歯顎顔面領域を覆う程度の面積をもった複数枚のX線投影データ51が得られ、当該X線投影データ51に対して位置特定手段34で得られた歯列弓の位置情報に基づき歯列弓投影データを抽出し、当該歯列弓投影データからパノラマ断層画像を構成する部分を短冊状に抽出(短冊状の画像52)する。そして、抽出した短冊状の画像52を、位置特定手段34で得られた歯列弓の位置情報に基づいてつなぎ合わせ、1つのパノラマ断層画像53を生成する。なお、X線投影データ51を得るためのX線イメージセンサとしては、CCDセンサやMOSセンサ等の種々のセンサを使用することができる。CCDセンサを使用する場合、例えば、のちにCT再構成を行うためのX線投影データと、パノラマ断層画像を生成するための短冊状の画像データとを、それぞれ別個のフレームメモリに保存していく方法を採用することが考えられる。また、MOSセンサを使用する場合、複数のX線投影データをひとまとまりの動画として1つのフレームメモリに保存しておく方法が考えられる。
【0061】
また、短冊状の画像52をつなぎ合わせる際、複数の短冊状の画像52に共通する歯列弓部位の画像データが存在する場合、その共通する部位の画像データを重ね合わせるように各短冊状の画像52をつなぎ合わせることで、パノラマ断層画像53を生成することもできる。なお、X線投影データを重ね合わせてつなぎ合わせるパノラマ断層画像の生成方法については、例えば特開平8−257026号公報の明細書中の段落0037や段落0038,図面の図11や図12に開示されているような、物体の像の重ね合わせによって断層面以外の物体像をバックグラウンドに埋もれさせる方法が採用できる。また、画像データの抽出とつなぎ合わせによってパノラマ断層画像を生成する方法の他例として、特表2000−57789号公報において開示される、オルソX線コーンビームを用いたパノラマ断層画像の生成方法を採用することもできる。
【0062】
直接処理では、X線投影データ51をCT再構成することなしに、直接パノラマ断層画像53を生成することができるので、CT再構成に必要な処理時間や処理能力を軽減できる効果がある。また、歯列に取り付けられた金属部分がCT再構成により隣接部分に影響を与える金属アーチファクトについては、直接処理がCT再構成自体を行うことなしにパノラマ断層画像53の生成を行うため、金属アーチファクトがパノラマ断層画像53に入り込むことを防ぐことができる。
【0063】
一方、2つ目の処理である再構成処理は、X線投影データをCT再構成することで得た3次元ボリュームデータから、歯列弓投影データ抽出手段35で歯列弓投影データを抽出する。そして、取り出した歯列弓投影データを用いてパノラマ断層画像を生成する。図6に再構成処理の模式図を示す。図6では、まずX線CT撮影によって複数枚のX線投影データ51が得られ、当該X線投影データ51をCT再構成することにより3次元ボリュームデータ61を得る。この3次元ボリュームデータ61に対して歯列弓投影データ抽出手段35が歯列弓投影データ62を取り出し、当該歯列弓投影データ62を用いてパノラマ断層画像に必要な部分を抽出し、パノラマ断層画像53を生成する。
【0064】
CT再構成処理を用いる方法では、X線投影データ51をCT再構成して3次元ボリュームデータ61を得て、当該3次元ボリュームデータ61からパノラマ断層画像を生成するので、直接処理で得たパノラマ断層画像に比べて、歯列弓以外の頚椎等の画像データがパノラマ断層画像に入り込むことを防ぐことができる。また、CT撮影によって得た画像データをCT画像として表示する際に、CT再構成という処理は必然的に行われるものであるため、一回のCT再構成処理によって生成された3次元ボリュームデータをパノラマ断層画像を生成する際にも使用することになり、画像データの有効利用に資する。以上、本発明におけるパノラマ断層画像の生成方法を説明したが、本発明の実施形態は、図5,6に示すような全顎パノラマ断層画像の生成に限られない。例えば、X線イメージセンサの一部を用いた部分CT撮影によって、歯列弓の一部のX線投影データを取得する、あるいは、頭部全体のCT撮影によって取得したX線投影データのうち一部を使用することで、上顎、下顎、顎関節等のように範囲を限定したパノラマ断層画像を生成し表示することもできる。
【0065】
(画像処理方法)
次に、本実施の形態に係る画像処理方法について、図7及び図8に基づいて説明する。図7は直接処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法を、図8は再構成処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法を、それぞれ示している。本実施の形態においては、CT撮影によってX線投影データ51を取得した後、何らの操作もせず、あるいはボタン1つを押すだけといったごく簡単な操作によって、パノラマ断層画像を生成することができる。歯列弓の位置及び形状について、近年の解剖学的解析より、図9に例示する歯列弓Tに対し、頭部における標準的な位置と形状を持つ標準歯列弓T'のようなものが、おおよそ見当付けられるようになっている。従って、X線CT撮影装置の被撮影者保持手段で被撮影者の頭部を保持すれば、X線CT撮影装置による撮影領域Aにおける標準歯列弓T'の位置と形状、あるいは上記撮影領域Aの中心Cに対する標準歯列弓T'の位置と形状が、自ずと決定される。これを用いて、例えば、X線CT撮影装置を工場にて製造する際、最終出荷する前に、標準歯列弓T'の位置及び形状を予め記憶手段32に記憶させ、この標準位置及び標準形状を、パノラマ断層画像の生成におけるデフォルトデータとして読み出し、使用することが可能である。まず、図7について説明すると、ステップS1では、図1及び図2に示したX線撮影装置で被撮影者の歯顎顔面領域をX線CT撮影してX線投影データを得る。次に、歯列弓投影データ抽出ステップS3では、歯列弓投影データ抽出手段35が、予め記憶手段32に記憶された標準歯列弓T'の位置及び形状の情報を読み出し、当該情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。なお、歯列弓の位置や形状については、予め記憶された標準歯列弓T'の位置及び形状以外に複数の位置あるいは形状のパターンを用意しておき、事後的にそれらパターンから選択できるようにしても良い。
【0066】
また、歯列弓投影データ抽出ステップS3では、歯列に対するX線の入射角及び断層厚みのうち少なくとも1つの情報を参照して歯列弓投影データを取り出しても良い。X線の入射角や断層厚みを自由に選択することができることで、所望のパノラマ断層画像を得ることができる。なお、X線の入射角や断層厚みの設定は、X線CT撮影前でも後でもどちらでも良い。
【0067】
次に、パノラマ生成ステップS4では、パノラマ生成手段36が歯列弓投影データを用いて、上述した直接処理を行うことでパノラマ断層画像を生成する。パノラマ断層画像表示ステップS5では、生成したパノラマ断層画像を表示部37に表示させる。
【0068】
一方、図8に示す画像処理方法では、ステップS11で、図1及び図2に示したX線撮影装置で被撮影者の歯顎顔面領域をX線CT撮影してX線投影データを得る。次に、CT再構成ステップS12では、CT再構成手段33がX線像データをCT再構成することにより3次元ボリュームデータを得る。
【0069】
次に、歯列弓投影データ抽出ステップS14では、歯列弓投影データ抽出手段35が、予め記憶手段32に記憶された標準歯列弓T'の位置及び形状の情報を読み出し、当該情報に基づき、CT再構成されたX線投影データ(3次元ボリュームデータ)から歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。なお、歯列弓の位置や形状については、予め記憶された標準歯列弓T'の位置及び形状以外に複数の位置あるいは形状のパターンを用意しておき、事後的にそれらパターンから選択できるようにしても良い。また、歯列弓投影データ抽出ステップS14では、歯列に対するX線の入射角及び断層厚みのうち少なくとも1つの情報を参照して歯列弓投影データを取り出しても良い。
【0070】
次に、パノラマ生成ステップS15では、画像処理装置31のパノラマ生成手段36が歯列弓投影データを用いて、上述した再構成処理を行うことでパノラマ断層画像を生成する。パノラマ断層画像表示ステップS16では、生成したパノラマ断層画像を表示部37に表示させる。本実施の形態の他例として、さらに精度よくパノラマ断層画像を得るために、位置特定手段34をも用いることで、歯列弓の位置を特定する工程を含む画像処理方法を、図10及び図11に基づいて説明する。図10は直接処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法を、図11は再構成処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法をそれぞれ示している。まず、図10に示すフローチャートは、位置特定ステップS2を追加した以外は基本的に図7に示すフローチャートと同じであるため、同一のステップについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。図10に示すフローチャートでは、位置特定ステップS2で、位置特定手段34がX線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置がどこにあるのかを特定する。そして、歯列弓投影データ抽出ステップS3で、歯列弓投影データ抽出手段35が位置特定ステップS2で得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。本実施の形態に係る歯列弓投影データ抽出ステップS3では、歯列弓投影データを取り出す際、歯列弓の形状については予め定められた形状を用いる。なお、歯列弓の形状については、複数の形状パターンから選択できるようにしても良い。
【0071】
一方、図11に示すフローチャートは、位置特定ステップS13を追加した以外は基本的に図8に示すフローチャートと同じであるため、同一のステップについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。図11に示すフローチャートでも、位置特定ステップS13で、位置特定手段34がX線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置がどこにあるのかを特定する。なお、位置特定ステップS13では、CT再構成されたX線投影データ(3次元ボリュームデータ)において被撮影者の歯列弓の位置がどこにあるのかを特定しても良い。そして、歯列弓投影データ抽出ステップS14では、歯列弓投影データ抽出手段35が位置特定ステップS13で得られたX線投影データ中の歯列弓の位置情報に基づき、CT再構成されたX線投影データ(3次元ボリュームデータ)から歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。本実施の形態に係る歯列弓投影データ抽出ステップS14では、歯列弓投影データを取り出す際、歯列弓の形状については予め定められた形状を用いる。なお、歯列弓の形状については、複数の形状パターンから選択できるようにしても良い。
【0072】
(位置特定ステップの具体例)
次に、X線投影データにおいて被撮影者の歯列弓の位置がどこにあるのかを特定する位置特定ステップの具体例を以下に説明する。
【0073】
まず、X線CT撮影時に被撮影者又は被撮影者に取り付けた撮影用の補助具とX線撮影装置との距離情報から被撮影者の歯列弓の位置を特定する例について説明する。本例では、X線撮影装置に取り付けられた位置検出センサ65が、図12に示すように被撮影者の歯列弓Tの前歯との間の距離dを検出する。そして、検出した距離dに基づき、位置特定ステップでX線撮影装置に対する歯列弓の位置を特定し、歯列弓投影データ抽出ステップでX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。なお、撮影用の補助具を被撮影者(例えば前歯)に取り付け、当該補助具に反応するセンサをX線撮影装置に取り付けることで、被撮影者の歯列弓までの距離を検出しても良い。また、X線撮影装置に対する歯列弓の位置を前記位置検出センサ65で特定したのち、その歯列弓位置に応じて旋回駆動手段5の旋回中心3aを移動させても良いし、旋回中心3aは移動させずに被撮影者の頭部全体を対象にX線CT撮影を行い、取得された頭部全体のX線投影データの中で特定された歯列弓位置について歯列弓投影データを抽出しても良い。後者の場合、距離dに基づいてX線CT撮影装置に対する歯列弓位置を特定することで、X線投影データを取得する範囲は変えずに、X線投影データ全体における歯列弓位置のみを変化させることで、パノラマ断層画像を得ることとなる。本例では、既存の位置検出センサや撮影用の補助具が利用でき、安価で容易に歯列弓の位置特定を自動で行うことができる効果がある。
【0074】
次に、X線CT撮影時に被撮影者に対して位置付けビームを照射し、当該ビームの位置情報より被撮影者の歯列弓の位置を特定する例について説明する。本例では、図13に示すように被撮影者67の顔面に位置付けビームLX,LY,LZが照射されている。この位置付けビームLX,LY,LZは、被撮影者67の表面に照射され、被撮影者67がどこに位置しているのかを操作者が確認するためのものである。また、X線撮影装置には、そのX線撮影装置に対する歯列弓位置が予め設定されており、その設定された歯列弓位置と被撮影者の歯列弓とが一致するよう、位置付けビームLX,LY,LZを用いて被撮影者の位置付けを行う。そして、X線撮影装置は、その歯列弓位置として設定された位置を対象に、X線CT撮影を行う。そのため、この位置付けビームLX,LY,LZを利用して被撮影者67の位置付けを行えば、X線撮影装置がX線投影データを取得するよう設定されている適切な歯列弓位置に、被撮影者67の歯列弓を位置付けることができるため、X線撮影装置に対する被撮影者67の歯列弓の位置を推定し、特定することができる。また、上記とは逆に、被撮影者が被撮影者保持手段に保持された後に、被撮影者に合うように位置付けビームLX,LY,LZの照射位置を動かし、そのときの各位置付けビームの照射位置の移動量に基づいて、X線撮影装置が撮影対象とする歯列弓位置を設定しなおすよう構成することもできる。さらに、そのように歯列弓位置の設定をしなおした際、旋回駆動手段5の回転中心3aを移動させても良いし、回転中心3aは移動させずに被撮影者の頭部全体を対象としてX線CT撮影を行い、取得されたX線投影データから歯列弓の投影データを抽出する時点で、位置付けビームの照射位置に関する情報を用いて歯列弓位置を設定しなおしデータを抽出する構成としても良い。以上のように、本例では、従来の歯科用パノラマX線撮影装置等と同様の使用方法を行えば事足りるため、特に別個の装置の使用に習熟する必要もなく、簡単に歯列弓の位置特定を行うことができる効果がある。
【0075】
次に、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、当該歯列画像において基準点を1点指定する入力に基づき、被撮影者の歯列弓の位置を特定する例について説明する。本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像(CT画像)(図14)から、例えば前歯の位置を基準点として指定し入力する。なお、図14は、咬合面のCT画像であり、選択した前歯をマーク68で図示している。指定の仕方は、CT画像上の前歯の位置をクリックする方法や、直接前歯の座標をキーボード等(不図示)で入力する方法が考えられる。また、基準点とする対象は前歯に限られず、左右いずれかの犬歯や、左右いずれかの歯列弓の端の点であってもよい。以上のように指定された基準点は、図14に示すようにX,Yの座標情報として歯列弓投影データ抽出ステップで利用される。本例では、追加の機器が不要であり、且つCT画像で歯列弓を確認して位置特定が行えるという効果がある。
【0076】
以上のように、本実施の形態に係る画像処理方法等では、被撮影者の標準的な歯列弓の位置及び形状を予め記憶させておくことで、あるいは、標準的な歯列弓の形状を予め記憶して置いた上で簡単な仕組みや操作で歯列弓の位置を特定するのみで、X線CT撮影で得たX線投影データから歯列のパノラマ断層画像を簡単に得ることができる。なお、本実施の形態では、図7、図8、図10及び図11に示すフローチャートを用いて画像処理方法等について説明したが、本発明はこれに限られず、図7、図8、図10及び図11に示すフローチャートの画像処理方法を実行手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであっても良い。また、本発明は、当該プログラムを記憶する記録媒体(例えば、ハードディスクに格納されているプログラム)であっても良い。さらに、当該プログラムを記録したコンピュータで読取可能な記憶媒体は、ハードディスクの他にCD−ROMやMO等の記憶媒体であっても良い。
【0077】
実施の形態2
(概要)
本実施の形態に係る発明も、X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を簡単に得ることができる画像処理方法及びその方法を行う画像処理装置、X線撮影装置等に関するものである。但し、本実施の形態に係る発明は、解剖学的に標準的なものとして予め設定された歯列弓の形状を基にしてパノラマ断層画像を得る実施の形態1に係る発明と異なり、さらに歯列弓の形状をも特定するものである。
【0078】
(X線撮影装置の構成及び画像処理方法)
図15に、本実施の形態に係るX線撮影装置のブロック図を示す。図15に示すブロック図は、画像処理装置31に形状特定手段38を追加した以外は基本的に図3に示したブロック図と同じであるため、同一の構成要素については同一符号を付して詳細な説明を省略する。本実施の形態に係るX線撮影装置では、形状特定手段38がX線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状を特定し、歯列弓投影データ抽出手段35が位置特定手段34及び形状特定手段38により得られた歯列弓の位置及び形状情報に基づきX線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。
【0079】
次に、本実施の形態に係る画像処理方法について、図16及び図17に基づいて説明する。図16は直接処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法を、図17は再構成処理でパノラマ断層画像を生成する画像処理方法を、それぞれ示している。まず、図16に示すフローチャートは、形状特定ステップS2aを追加した以外は基本的に図10に示すフローチャートと同じであるため、同一のステップについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。図16に示すフローチャートでは、形状特定ステップS2aで形状特定手段38がX線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状がどのような形なのかを特定する。そして、歯列弓投影データ抽出ステップS3で、位置特定ステップS2及び形状特定ステップS2aで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置及び形状情報に基づき、X線投影データから歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。
【0080】
一方、図17に示すフローチャートは、形状特定ステップS13aを追加した以外は基本的に図11に示すフローチャートと同じであるため、同一のステップについては同一符号を付して詳細な説明を省略する。図17に示すフローチャートでも、形状特定ステップS13aで形状特定手段38がX線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状がどのような形なのかを特定する。なお、形状特定ステップS13aで扱うX線投影データは、CT再構成されたX線投影データ(3次元ボリュームデータ)であって良い。そして、歯列弓投影データ抽出ステップS14で、位置特定ステップS13及び形状特定ステップS13aで得られたX線投影データ中の歯列弓の位置及び形状情報に基づき、CT再構成されX線投影データ(3次元ボリュームデータ)から歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す。
【0081】
(位置特定ステップ及び形状特定ステップの具体例)
次に、X線投影データにおいて被撮影者の歯列弓の位置がどこにあるのかを特定する位置特定ステップ及び被撮影者の歯列弓の形状がどのようなものであるのかを特定する形状特定ステップの具体例を以下に説明する。まず、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、当該歯列画像において基準点を複数点指定する入力に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像(CT画像)(図18)から、例えば前歯と両側の奥歯の位置を基準点として3点指定する。なお、図18は、咬合面のCT画像であり、選択した前歯と両側の奥歯とを矢印69で図示している。指定の仕方は、CT画像上の前歯の位置をクリックする方法や、直接前歯の座標と両側の奥歯の座標とをキーボード等で入力する方法が考えられる。なお、基準点として指定する点は、前歯と両側の奥歯との3点に限られるものではなく、また3点に限定するものでもなく、歯列弓の位置と形状とを特定しうる情報が得られるような複数の基準点が指定されれば良い。
【0082】
本例では、指定された複数の基準点に基づきスプライン処理等を行うことで歯列弓の形状を特定する。そのため、指定する基準点を増やすことでより精度良く歯列弓の形状を特定できる。つまり、歯列弓の形状の特定精度と指定する基準点の数とは、トレードオフの関係になる。本例では、追加の機器が不要であり、且つCT画像で歯列弓を確認して位置特定が行える効果がある。
【0083】
次に、X線CT撮影を行う際に被撮影者の頭部を固定する頭部固定装置の情報によるものであって、頭部固定装置とX線CT撮影装置との相対位置より、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例は、図19に示すような頭部固定装置を用いて被撮影者の頭部を固定してX線CT撮影を行う場合を基に説明する。図19に示す頭部固定装置では、図2で示す被撮影者保持手段63を構成する要素の例として、側頭部押さえ71及びチンレスト72を備え、被撮影者の両側の側頭部と顎を固定する。なお、本発明では、図19に示す頭部固定装置に限定されず、鼻下点押さえや額押さえ等を備えた頭部固定装置でも良い。また、X線撮影装置には、そのX線撮影装置に対する歯列弓位置が予め設定されており、その設定されている歯列弓位置に合わせて被撮影者を保持するように被撮影者保持手段63等が設けられている。そして、X線撮影装置は、その歯列弓位置として設定された位置を対象に、X線CT撮影を行うよう構成されている。なお、前述X線撮影装置に設定された歯列弓位置に合わせて被撮影者保持手段を設けるのではなく、被撮影者保持手段の位置情報に応じてX線撮影装置に設定された歯列弓位置を設定しなおす構成としてもよい。この場合、旋回駆動手段5の回転中心3aの移動/固定や、その後の画像データの処理方法について、前述の位置付けビームによる位置特定方法の項で説明した方法が採用できる。
【0084】
本例では、被撮影者がX線撮影装置に対して位置づけられ、被撮影者保持手段63等によって保持されれば、図2に示すX線CT撮影装置における被撮影者保持手段63の位置、あるいは図19に示す頭部固定装置の頭部固定具である両側の側頭部押さえ71とチンレスト72との相対位置から、歯列弓の位置及び形状を統計データに基づき推測し、特定することができる。例えば、チンレスト72の位置から歯列弓の位置を推測し、両側の側頭部押さえ71より頭部の大きさを求めて歯列弓の形状を推測する。図19では、推測される歯列弓73の位置及び形状が模式的に図示されている。本例では、被撮影者がX線CT撮影装置の頭部固定装置に頭部を固定するだけで、歯列弓の位置及び形状を特定することができるため、操作が非常に簡便である。また、従来の歯科用パノラマX線撮影装置等と同様の使用方法を行えば事足りるため、操作者が特に別個の装置の使用に習熟する必要もなく簡単にパノラマ断層画像を得ることができる。
【0085】
次に、歯列データと歯列以外のデータとに二値化するようにX線投影データの画像処理を行い、当該二値化した画像から被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。なお、「X線投影データを二値化する」とは、「X線投影データをCT再構成して得られた3次元ボリュームデータを二値化する」ことを含む。本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像(CT画像)に対して、歯列が白く、それ以外が黒くなるように二値化の画像処理を行う(図20)。図20は、二値化された咬合面のCT画像である。そして、図20に示す歯列と歯列以外とのコントラスト差から、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する。ここで、二値表示の画像処理方法としては、例えば歯列が白くなる所定の濃度基準を基にして、歯列と歯列以外とが区別できるよう、CT画像を二値化する。
【0086】
本例では、二値化した画像を用いるので、歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。なお、本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像に対して二値化の画像処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られず、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータ全体に対して二値化の画像処理を行っても、CT再構成する前のX線投影データに対して二値化の画像処理を行っても良い。また、CT再構成する前のX線投影データに対して二値化の画像処理を行った後、それらX線投影データのうち少なくとも異なる2方向のX線投影データ(例えば側面画像と正面画像)より歯列弓の位置及び形状を特定してもよいし、二値化の画像処理後にさらにCT再構成を行って3次元ボリュームデータを取得し、その3次元ボリュームが既に二値化されていることを利用して歯列弓の位置及び形状を特定しても良い。
【0087】
次に、X線CT撮影の際に被撮影者に歯列弓識別ブロックを取り付け、X線投影データ中の歯列弓識別ブロックの情報に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例では、図21に示すマウスピース型の歯列弓識別ブロック75を被撮影者が噛んでX線CT撮影を行う。図21に示す歯列弓識別ブロック75には、複数のセラミックボール76が埋め込まれており、X線CT撮影で得たX線投影データには当該セラミックボール76が歯列とは別に撮影される。そのため、X線投影データに写し出されたセラミックボール76の位置及び配列から歯列弓の位置及び形状を特定することができる。なお、X線撮影装置に対する歯列弓の位置と形状とを前記歯列弓識別ブロック75で特定したのち、その歯列弓位置に応じて旋回駆動手段5の旋回中心3aを移動させても良いし、旋回中心3aは移動させずに被撮影者の頭部全体を対象にX線CT撮影を行い、取得された頭部全体のX線投影データの中で特定された歯列弓位置について歯列弓投影データを抽出しても良い。後者の場合、歯列弓識別ブロック75に基づいてX線CT撮影装置に対する歯列弓位置と形状とを特定することで、X線投影データを取得する範囲は変えずに、X線投影データ全体における歯列弓位置のみを変化させることで、パノラマ断層画像を得ることとなる。
【0088】
本例でも、操作者による特段の操作を必要とすることなく、歯列弓識別ブロック75により歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。なお、本例ではセラミックボール76を用いる歯列弓識別ブロック75を説明したが、本発明ではこれに限られず、セラミックボール76以外の材料であってX線投影データで歯列と区別できる材料でも良い。
【0089】
次に、X線CT撮影時に得られた被撮影者のX線画像のうち、少なくとも異なる2方向から撮影したX線透過画像又は3次元ボリュームデータによるX線画像に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例では、CT再構成する前のX線投影データ又はX線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータから、被撮影者の正面からの単純X線撮影画像と、側面からの単純X線撮影画像を取り出す。図22に取り出した単純X線撮影画像を示す。図22の上側が側面からの単純X線撮影画像で、図22の下側が正面からの単純X線撮影画像をそれぞれ示している。
【0090】
本例では、図22に示す単純X線撮影画像から歯列弓の位置及び形状を特定する。具体的な特定方法には、操作者が図22に示す歯列特定領域81を単純X線撮影画像を見ながら設定する方法や、歯列が存在する領域の濃淡パターンを統計データから推測する方法等がある。本例でも、単純X線撮影画像を用いるので歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。なお、ここで使用するX線撮影画像は、正面と側面とのX線透過画像に限られず、歯列弓の位置及び形状を特定できる画像であればよい。そのような画像としては、例えば、正面と側面以外の異なる2方向から撮影したX線透過画像や、3次元ボリュームデータから被撮影者の咬合面に合わせて取り出したCT画像といった画像が考えられる。
【0091】
次に、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像の歯列に沿って位置及び形状を連続して指定し、当該指定に基づき被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像(CT画像)(図23)の歯列に沿って位置及び形状を連続して指定する。なお、図23は、咬合面のCT画像であり、歯列弓の位置及び形状の連続指定する様子を、歯列に沿っての指定線80で図示している。指定の仕方は、CT画像上の歯列をマウスやペン入力装置でなぞることで指定する方法がある。本例でも、歯列に沿って位置及び形状を連続して指定するので歯列弓の位置及び形状を精度良く特定することができる。
【0092】
次に、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像の歯列に、歯列弓モデル画像を重ね合わせることで被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定する例について説明する。本例では、X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づく歯列画像(CT画像)(図24)の歯列に対して、所定の歯列弓モデル画像85のいずれかを重ね合わせて歯列弓の位置及び形状を特定する。図24では、形状の異なった3種類(A,B,C)の歯列弓モデル画像85が用意されており、Aの歯列弓モデル画像85をCT画像の歯列弓に重ね合わせる処理が図示されている。
【0093】
なお、図24の例では、3種類の歯列弓モデル画像85が用意されているが、歯列弓の形状をより精度良く特定したい場合はさらに多数の歯列弓モデル画像85を用意することで達成することができる。また、歯列弓モデル画像85の当て嵌め方法としては、例えばタッチパネルを用いる方法、表示された3次元画像に歯列弓モデル画像85をポインタでドラッグ&ドロップする方法、歯列弓モデル画像85の記号入力による選択、及び座標入力で行う方法が考えられる。
【0094】
また、上述した位置特定ステップ及び形状特定ステップの具体例では、歯列弓の位置と形状を同一の処理で特定しているが、本発明はこれに限られず、位置特定ステップと形状特定ステップとを異なる処理で特定しても良く、複数の処理を併用してより精度よく位置と形状とを特定しても良い。例えば、位置特定ステップとして実施の形態1の他例で説明した位置付けビームを用いて、形状特定ステップとして本実施の形態で説明したCT画像の二値化処理を用いても良い。上記実施例に加え、位置特定ステップ及び形状特定ステップにおいて、例えばレベルメータの操作、厚み値の入力、マウスやペン型器具による歯列弓画像上での指定等によって、CT画像においてパノラマ断層の厚みを特定する、断層厚み設定ステップを加えることもできる。
【0095】
以上のように、本実施の形態に係る画像処理方法等では、操作者による特別な操作を必要とせず、あるいはごく簡単な操作によって、被撮影者の歯列弓の位置及び形状を特定するのみでX線CT撮影で得たX線投影データから歯列のパノラマ断層画像を簡単に得ることができる。なお、本実施の形態では、図16及び図17に示すフローチャートを用いて画像処理方法等について説明したが、本発明はこれに限られず、図16及び図17に示すフローチャートの画像処理方法を実行手段としてコンピュータを機能させるためのプログラムであっても良い。また、本発明は、当該プログラムを記憶する記録媒体(例えば、ハードディスクに格納されているプログラム)であっても良い。さらに、当該プログラムを記録したコンピュータで読取可能な記憶媒体は、ハードディスクの他にCD−ROMやMO等の記憶媒体であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施の形態1に係るX線撮影装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係るX線撮影装置の概略図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係るX線撮影装置のブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係るX線撮影装置の表示画像例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態1に係る画像処理方法を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る画像処理方法を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態1に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図9】本発明の実施の形態1に係る画像処理方法において想定される標準的な歯列弓の位置と形状の例を示す概略図である。
【図10】本発明の実施の形態1の他例に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態1の他例に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図12】本発明の実施の形態1の他例に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図13】本発明の実施の形態1の他例に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図14】本発明の実施の形態1の他例に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図15】本発明の実施の形態2に係るX線撮影装置のブロック図である。
【図16】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法のフローチャートである。
【図18】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図19】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図20】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図21】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図22】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図23】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【図24】本発明の実施の形態2に係る画像処理方法の位置特定ステップの具体例を説明する図である。
【符号の説明】
【0097】
1,28 X線源、2,30 X線イメージセンサ、3,25 支持手段、4 主フレーム、5,26 旋回駆動手段、6 被撮影者固定手段、21 基台、22 支柱、23 昇降フレーム、24 水平アーム、27 第1の取付部、29 第2の取付部、31 画像処理装置、32 記憶手段、33 CT再構成手段、34 位置特定手段、35 歯列弓投影データ抽出手段、36 パノラマ生成手段、37 表示部、38 形状特定手段、51 X線投影データ、52 短冊状の画像、53 パノラマ断層画像、61 3次元ボリュームデータ、62 歯列弓投影データ、63 被撮影者保持手段、65 位置検出センサ、67 被撮影者、68 マーク、69 矢印、71 側頭部押さえ、72 チンレスト、73 歯列弓、75 歯列弓識別ブロック 、76 セラミックボール、80 指定線、81 歯列特定領域、85 歯列弓モデル画像。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、
前記X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、
前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行い前記パノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法。
【請求項2】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定ステップと、
前記位置特定ステップで得られた前記X線投影データ中の前記歯列弓の位置情報に基づき、前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、
前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行い前記パノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法。
【請求項3】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを用いて歯列のパノラマ断層画像を得る画像処理方法であって、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定ステップと、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状を特定する形状特定ステップと、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップで得られた前記X線投影データ中の前記歯列弓の位置情報及び形状情報に基づき、前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出ステップと、
取り出された前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行い前記パノラマ断層画像を生成するパノラマ生成ステップとを備える画像処理方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記歯列弓投影データ抽出ステップは、歯列に対するX線の入射角及び断層厚みのうち少なくとも1つの情報を参照して前記X線投影データから前記歯列弓に対応する前記歯列弓投影データを取り出すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
請求項2に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップは、前記X線CT撮影時に前記被撮影者又は前記被撮影者に取り付けた撮影用補助具とX線CT撮影装置との距離情報から前記被撮影者の前記歯列弓の位置を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
請求項2に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップは、前記X線CT撮影時に前記被撮影者に対して位置付けビームを照射し、当該ビームの位置情報より前記被撮影者の前記歯列弓の位置を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
請求項2に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップは、前記X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、前記歯列画像において基準点を1点指定する入力に基づき前記被撮影者の前記歯列弓の位置を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、前記歯列画像において基準点を複数点指定する入力に基づき前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線CT撮影を行う際に前記被撮影者の頭部を固定する頭部固定装置の情報によるものであって、前記頭部固定装置とX線CT撮影装置との相対位置より、前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線投影データを歯列データと歯列以外のデータとに二値化するように前記X線投影データの画像処理を行い、当該二値化した画像データから前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線CT撮影の際に前記被撮影者に歯列弓識別ブロックを取り付け、前記X線投影データ中の前記歯列弓識別ブロックの情報に基づき前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線CT撮影時に得られた前記被撮影者のX線画像のうち、少なくとも異なる2方向から撮影したX線透過画像又は3次元ボリュームデータによるX線画像に基づき、前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、前記歯列画像に沿って位置及び形状を連続して指定する入力に基づき前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項3に記載の画像処理方法であって、
前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップは、前記X線投影データのCT再構成によって得られた3次元ボリュームデータに基づいて歯列画像を表示し、前記歯列画像に歯列弓モデル画像を重ね合わせる入力を受けることで、前記被撮影者の前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法により得られたパノラマ断層画像を、前記X線CT撮影によって得た前記パノラマ断層画像以外の画像よりも先に、あるいは前記パノラマ断層画像以外の少なくとも1つの画像と同時に表示することを特徴とする画像表示方法。
【請求項16】
請求項1乃至請求項14のいずれか1つに記載の画像処理方法の処理ステップをコンピュータで実行させるための画像処理プログラム。
【請求項17】
請求項16に記載の画像処理プログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項18】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、
前記X線投影データ中の歯列弓の位置及び形状を特定するために予め設定された位置及び形状の情報に基づき、前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、
前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行い前記パノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備える画像処理装置。
【請求項19】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定手段と、
前記位置特定手段により得られた前記X線投影データ中の前記歯列弓の位置情報に基づき前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、
前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備え、
前記位置特定手段は、請求項2,4乃至7のいずれか1つに記載の画像処理方法における前記位置特定ステップによって前記歯列弓の位置を特定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項20】
X線CT撮影で得た歯顎顔面領域のX線投影データを記憶する記憶手段と、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の位置を特定する位置特定手段と、
前記X線投影データにおける被撮影者の歯列弓の形状を特定する形状特定手段と、
前記位置特定手段及び前記形状特定手段により得られた前記X線投影データ中の前記歯列弓の位置情報及び形状情報に基づき前記X線投影データから前記歯列弓に対応する歯列弓投影データを取り出す歯列弓投影データ抽出手段と、
前記歯列弓投影データを用いて所定の処理を行いパノラマ断層画像を生成するパノラマ生成手段とを備え、
前記位置特定手段及び前記形状特定手段は、請求項3,4,8乃至14のいずれか1つに記載の画像処理方法における前記位置特定ステップ及び前記形状特定ステップによって前記歯列弓の位置及び形状を特定することを特徴とする画像処理装置。
【請求項21】
X線を発生させるX線源と、
被撮影者を通過したX線を検出するX線イメージセンサと、
前記X線源と前記X線イメージセンサとを、前記被撮影者の頭部を挟んで対向するよう支持する支持手段と、
前記支持手段を、X線CT撮影時に旋回させる旋回駆動手段と、
請求項18乃至請求項20のいずれか1つに記載の画像処理装置とを備えるX線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図19】
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【図21】
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【図4】
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【図14】
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【図18】
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【図20】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−229322(P2008−229322A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−14799(P2008−14799)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【出願人】(000138185)株式会社モリタ製作所 (173)
【Fターム(参考)】