説明

画像処理方法及び画像処理システム

【課題】画質調整の自由度を損なうことなく、安定した画像を得る。
【解決手段】RAW画像ファイル取得部23により、RAW画像ファイルが取得され、RAW画像ファイルから再現補助データが取得される。画像判定部26により、縮小画像と再現補助データとに基づいて画像判定処理が行われ、現像処理条件が決定される。画像表示部27に現像処理後の画像が表示され、追加調整の指示がある場合には、指示入力部28から追加調整情報が設定される。画像判定部26により決定された現像処理条件と、追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定され、シーン参照生データに対して、現像処理が行われ、観賞画像参照データが生成される。拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データがRAW画像ファイルに添付され、拡張RAW画像ファイルが生成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタルカメラ等の撮像装置から出力されるデジタル画像データに対して、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施す画像処理方法及び画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラ等の撮像装置で撮影されたデジタル画像データは、CRT(Cathode Ray Tube)、液晶、プラズマ等のディスプレイモニタや携帯電話の小型液晶モニタの表示デバイスに表示されたり、デジタルプリンタ、インクジェットプリンタ、サーマルプリンタ等の出力デバイスからハードコピー画像としてプリントされたりする等、その表示・プリント方法は多種多様化してきている。
【0003】
デジタル画像データを鑑賞用途で表示・プリントする際には、鑑賞に使用するディスプレイモニタ上、或いはハードコピー上において所望の画質が得られるように、階調調整、輝度調整、グレーバランス調整、鮮鋭性強調に代表される種々の画像処理を施すことが一般に行われている。
【0004】
従来、これら一連の画像処理は撮像装置の内部で行われ、処理後の画像データが直接出力される場合が多かった。その場合、表示・プリントする際の追加補正が必要なことが多いが、撮像装置内部での画像処理において、撮像装置が取得した広い色域・輝度域の情報を、鑑賞画像を想定して最適化した状態の鑑賞画像参照データに圧縮して記録することにより、画像データの情報損失があるため、追加補正により鑑賞画像の画質が劣化するおそれがあった。
【0005】
これに対して、画像データを、撮像装置が取得した広い色域・輝度域の情報を圧縮しないシーン参照生データ(RAWデータ)の状態で記録すれば、不用意な情報の損失を防止することができる。
【0006】
シーン参照生データから鑑賞画像を形成する例として、シーン参照生データに対して好ましい平滑化処理や鮮鋭化処理を施す画像処理装置(特許文献1参照)、シーン参照生データに対して好ましい色補正処理を施す画像処理装置(特許文献2参照)が提案されている。シーン参照生データに基づいて画像調整を行うことができるので、追加補正の自由度があり、高品質の画像を得ることができる。
【0007】
また、画像に対する追加補正を効率的に行う方法として、色補正前の画像と色を修正された修正画像とをモニタに表示し、色補正の仕様を決定する色補正方法が提案されている(特許文献3参照)。
【0008】
また、同一の画像処理条件に基づいて同様な仕上がりのプリントを作成するために、画像処理に関する情報をプリント上に記録するプリント作成方法が提案されている(特許文献4参照)。
【特許文献1】特開2004−96506号公報
【特許文献2】特開2004−96508号公報
【特許文献3】特開平11−98374号公報
【特許文献4】特開平11−231441号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記従来技術においても、さらに次のような問題があった。特許文献1、特許文献2に記載されている画像処理装置では、自動化処理が可能となるが、複数の画像に対して補正方法に統一性がない場合、特に、顧客からのプリント注文に含まれる一連の複数の画像や、一つの行事についてまとめられた複数の画像(本発明では、これら複数の画像のまとまりをオーダーと呼び、一連のまとまりであることを示す情報をオーダー情報と呼ぶ。)について統一性のない画像品質である場合、1枚1枚のプリントは好ましい仕上がりであっても、全体としての品質安定性が損なわれるため、不快なプリント群となってしまうという問題点があった。
【0010】
また、特許文献3に記載されている色補正方法では、補正方法が多岐にわたり、調整結果に主観が入るため、再プリント注文時に前回と同一の画像処理を施すことが困難であった。
【0011】
また、特許文献4に記載されているプリント作成方法では、プリント上に記録可能な情報量に制限があるため、十分な情報量を得ることが困難であった。
【0012】
本発明は上記の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、画質調整の自由度を損なうことなく、安定した画像を得ることができる画像処理方法及び画像処理システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、画像処理方法において、撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得工程と、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施し、鑑賞画像参照データを生成する観賞画像参照データ生成工程と、前記現像処理を施す際に設定した現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルとして記録メディアに記録する拡張RAW画像ファイル記録工程と、を含むことを特徴とする。
【0014】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法において、前記再現補助データは、前記シーン参照生データが一連の撮影画像であることを示すオーダー情報を含み、前記現像処理は、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データの画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を含むことを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法において、前記再現補助データは、撮影時のグレーバランス調整状況を示す撮影時グレーバランス情報を含み、前記現像処理は、前記撮影時グレーバランス情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいたグレーバランス調整処理を含むことを特徴とする。
【0016】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の画像処理方法において、前記再現補助データは、画像の鮮鋭性調整量を示す撮影時鮮鋭性調整情報を含み、前記現像処理は、前記撮影時鮮鋭性調整情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいた鮮鋭性調整処理を含むことを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、画像処理方法において、撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得工程、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な仮の現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための仮の現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを生成する仮の観賞画像参照データ生成工程、前記仮の現像処理を施す際に設定した仮の現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルを生成する拡張RAW画像ファイル生成工程、を含む第1の現像処理工程と、前記拡張RAW画像ファイルを取得する拡張RAW画像ファイル取得工程、前記拡張RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び仮の現像条件調整データに基づいて、前記拡張RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを再現する仮の観賞画像参照データ再現工程、前記再現された仮の鑑賞画像参照データに基づいて正式な現像条件調整データを生成し、正式な鑑賞画像参照データを生成する正式な観賞画像参照データ生成工程、を含む第2の現像処理工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、画像処理システムにおいて、撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得手段と、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施し、鑑賞画像参照データを生成する観賞画像参照データ生成手段と、前記現像処理を施す際に設定した現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルとして記録メディアに記録する拡張RAW画像ファイル記録手段と、を備えたことを特徴とする。
【0019】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、前記再現補助データは、前記シーン参照生データが一連の撮影画像であることを示すオーダー情報を含み、前記現像処理は、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データの画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を含むことを特徴とする。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、前記再現補助データは、撮影時のグレーバランス調整状況を示す撮影時グレーバランス情報を含み、前記現像処理は、前記撮影時グレーバランス情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいたグレーバランス調整処理を含むことを特徴とする。
【0021】
請求項9に記載の発明は、請求項6に記載の画像処理システムにおいて、前記再現補助データは、画像の鮮鋭性調整量を示す撮影時鮮鋭性調整情報を含み、前記現像処理は、前記撮影時鮮鋭性調整情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいた鮮鋭性調整処理を含むことを特徴とする。
【0022】
請求項10に記載の発明は、画像処理システムにおいて、撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得手段、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な仮の現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための仮の現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを生成する仮の観賞画像参照データ生成手段、前記仮の現像処理を施す際に設定した仮の現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルを生成する拡張RAW画像ファイル生成手段、を備えた第1の現像処理装置と、前記拡張RAW画像ファイルを取得する拡張RAW画像ファイル取得手段、前記拡張RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び仮の現像条件調整データに基づいて、前記拡張RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを再現する仮の観賞画像参照データ再現手段、前記再現された仮の鑑賞画像参照データに基づいて正式な現像条件調整データを生成し、正式な鑑賞画像参照データを生成する正式な観賞画像参照データ生成手段、を備えた第2の現像処理装置と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1、6に記載の発明によれば、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データをRAW画像ファイルに添付して記録メディアに記録するので、再プリント時に前回の現像処理条件を簡単に再現することができる。また、さらに追加調整が必要な場合にも、シーン参照生データに基づいて、自由度の大きい画質調整を行うことができる。したがって、画質調整の自由度を損なうことなく、安定した画像を得ることができる。
【0024】
請求項2、7に記載の発明によれば、オーダー情報に基づいて、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データの画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を行うので、一連の撮影画像の統一性を保ちつつ、画質調整を行うことができる。
【0025】
請求項3、8に記載の発明によれば、撮影時グレーバランス情報と、シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいてグレーバランス調整処理を行うので、撮影時の状況や撮影された画像に応じた処理を行うことができる。
【0026】
請求項4、9に記載の発明によれば、撮影時鮮鋭性調整情報と、シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいて鮮鋭性調整処理を行うので、撮影時の状況や撮影された画像に応じた処理を行うことができる。
【0027】
請求項5、10に記載の発明によれば、再現補助データ及び仮の現像条件調整データに基づいて現像処理を施して仮の観賞画像参照データを再現するので、正式なプリント時に、仮の現像処理条件を簡単に再現することができる。また、再現された仮の観賞画像参照データに基づいて正式な鑑賞画像参照データを生成するので、より効果的な画質調整を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
[第1の実施の形態]
<画像処理システム100の構成>
まず、本発明の第1の実施の形態における画像処理システム100について説明する。
図1は、画像処理システム100のシステム構成図である。図1に示すように、画像処理システム100は、撮像装置部10、現像処理装置部20を備え、撮像装置部10と現像処理装置部20とはネットワークNを介して接続可能となっている。
【0029】
撮像装置部10は、デジタルカメラ11及びRAW画像ファイル記録メディア12を備える。デジタルカメラ11は、図示しないレンズ、絞り、CCD(Charge Coupled Device)、A/D変換器等を備えて構成されている。
【0030】
デジタルカメラ11は、レンズによりフォーカスの調節を行い、絞りによりレンズを透過した光束の光量を調節することにより、被写体の光画像をCCDの受光面上に結像する。そして、結像された被写体光を、CCD内のセンサ毎に光の入射量に応じた量の電気的な信号(撮像信号)へ光電変換し、A/D変換器により撮像信号をデジタル画像データに変換し、撮像装置の撮像装置特性に依存したシーン参照生データd1を生成する。
【0031】
ここで、「撮像装置」とは、光電変換機能を有する撮像素子(イメージセンサ)を備えた装置であって、所謂デジタルカメラやスキャナがこれに含まれる。撮像素子の一例としては、CCDと、電荷転送機構と、RGBやYMCの、撮像素子に感色性を与えるカラーフィルタが市松模様のモザイク状に配置されたモザイクフィルタとを組合せ、感色性を付与したCCD型撮像素子や、CMOS型撮像素子が挙げられる。これらの撮像素子の出力電流はA/D変換器によりデジタル化される。この段階での各色チャンネルの内容は、撮像素子固有の分光感度に基づいた信号強度となっている。
【0032】
また、「シーン参照生データ」とは、被写体に忠実な情報を記録した撮像装置直接の生出力信号(RAWデータ)であり、A/D変換器によりデジタル化されたデータそのものや、該データに固定パターンノイズ・暗電流ノイズ等のノイズ補正を行ったデータが含まれる。またさらに、RIMM RGB(Reference Input Medium Metric RGB)やERIMM RGB(Extended Reference Input Medium Metric RGB)等、撮像装置が取得した広い色域・輝度域の情報を圧縮しないでシーン参照画像データを記録するのに適した標準色空間への画像変換が含まれてもよい(RIMM RGB、ERIMM RGBについては、Journal of Imaging Science and Technology 45巻 418〜426頁(2001年)参照)。そして、このシーン参照生データは、例えばモニタ表示やプリント出力による画像鑑賞時に好ましい観察結果を得るために実施される、階調変換、鮮鋭性強調、彩度強調等の各種処理、また、sRGB等、出力デバイスに準拠した標準色空間へのカラーマッピング処理を含まないことを特徴とする。シーン参照生データの情報量(例えば階調数)はA/D変換器の性能に準じ、後述する鑑賞画像参照データで必要とされる情報量(例えば階調数)と同等以上であることが好ましい。例えば鑑賞画像参照データの階調数が1チャンネルあたり8bitである場合、シーン参照生データの階調数は12bit以上が好ましく、14bit以上がより好ましく、また16bit以上がさらに好ましい。
【0033】
また、デジタルカメラ11は、シーン参照生データd1に再現補助データd2を添付してRAW画像ファイルf1を生成し、生成したRAW画像ファイルf1をRAW画像ファイル記録メディア12に記録する。図2に、RAW画像ファイルf1のデータ構造を示す。再現補助データd2は、RAW画像ファイルf1内に所定の形式で保存される。保存形式は特に限定されるものではなく、例えばExif(Exchangeable Image File Format)や、Adobe社が提案し、一般に公開されているDNG(Digital Negative)が保持するタグ情報として記録されている。
【0034】
ここで、「再現補助データ」とは、シーン参照生データに対して出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施して鑑賞画像参照データを生成する際に用いるデータをいう。再現補助データは、少なくとも、撮像素子自体の分光感度に基づく各色チャンネルの信号強度を前述のRIMM RGBやERIMM RGB等の標準色空間にマッピングすることが可能になる情報、すなわち撮像素子固有の分光感度特性かRIMM RGBのような特定の標準色空間に変換する時に使用すべきマトリックス係数が記載されている必要がある。例えば、撮像装置の機種名だけが記載されている場合は、本処理を実施する画像処理装置や画像処理システムが前記機種名と前記マトリックス係数の対応表を保持している必要がある。あるいは、本処理を実施する際に充分な情報が直接記載されていなくても、該情報のインターネット上での所在個所を示すURLが記載されている場合は、本処理を行うのに十分なデータとみなすことができる。これらの再現補助データは、画像ファイル内のヘッダ部に書き込まれるタグ情報として記録されるのが好ましい。
【0035】
また、「再現補助データ」を「シーン参照生データ」とは独立して記録メディアに保存する態様である場合には、「再現補助データ」、「シーン参照生データ」の何れか、又は両方に対し、両者を関連付けるための情報の付与、又は別途関連情報の記載されたステータス情報ファイルを添付する必要がある。
【0036】
また、「再現補助データ」には、撮影日時、天候等の情報、撮影目的(人物、風景等)、撮像条件、シーン参照生データが一連の撮影画像であることを示すオーダー情報、撮影時のグレーバランス調整状況を示す撮影時グレーバランス情報、画像の鮮鋭性調整量を示す撮影時鮮鋭性調整情報等が含まれる。
【0037】
また、「記録メディア」とは、撮像装置が出力する「シーン参照生データ」、「再現補助データ」等の保存に用いる記憶媒体であって、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック、スマートメディア、マルチメディアカード、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気記憶媒体(MO)、或いはCD−R(Compact Disc Recordable)等、何れであってもよい。また、記憶媒体にデータを書き込むユニットは、撮像装置と一体であってもよいし、コードを介して有線状態で接続された書き込みユニット、通信やインターネットを介して無線状態で接続された独立、或いは遠隔地に設置されたユニット等の何れの態様であってもよい。「記録メディアに記録する」時のファイル形式は、撮像装置固有の形式ではなく、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、Exif、DNG等の規格化された汎用のファイル形式で記録されるのが好ましい。
【0038】
図1に示すように、現像処理装置部20は、記録メディアドライブ部21、画像情報通信制御部22、RAW画像ファイル取得部23、現像処理部24、縮小画像生成部25、画像判定部26、画像表示部27、指示入力部28、画像情報出力部29、プリンタ部30、拡張RAW画像ファイル生成部31、記録メディア書き込み部32、拡張RAW画像ファイル記録メディア33を備える。
【0039】
記録メディアドライブ部21は、RAW画像ファイル記録メディア12からRAW画像ファイルf1を読み込む。
【0040】
画像情報通信制御部22は、ネットワークNを介して接続された撮像装置部10との間で、RAW画像ファイルf1等の各種情報の通信を制御する。
【0041】
RAW画像ファイル取得部23は、記録メディアドライブ部21又は画像情報通信制御部22を介してRAW画像ファイルf1を取得し、RAW画像ファイルf1からシーン参照生データd1と再現補助データd2を取得する。なお、再プリント処理時には、RAW画像ファイル取得部23は、拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録された拡張RAW画像ファイルを取得する。
【0042】
現像処理部24は、RAW画像ファイル取得部23により取得されたシーン参照生データd1に対して、RAW画像ファイル取得部23により取得された再現補助データd2、画像判定部26により決定された現像処理条件、指示入力部28から設定された追加調整情報等に基づいて出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施して観賞画像参照データを生成する。
【0043】
ここで、「出力媒体」とは、例えば、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスや、銀塩印画紙、インクジェットペーパー、サーマルプリンタ用紙等のハードコピー画像生成用の用紙である。
【0044】
また、「鑑賞画像参照データ」とは、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイスや、銀塩印画紙、インクジェットペーパー、サーマルプリンタ用紙等の出力デバイス等の出力媒体上での鑑賞画像形成に用いるデジタル画像データを意味する。
【0045】
また、「出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理」とは、CRT、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等の表示デバイス、及び銀塩印画紙、インクジェットペーパー、サーマルプリンタ用紙等の出力媒体上において、最適な画像を得るための処理である。例えば、sRGB規格に準拠したCRTディスプレイモニタに表示することを前提とした場合、sRGB規格の色域内で最適な色再現が得られるように処理される。銀塩印画紙への出力を前提とした場合、銀塩印画紙の色域内で最適な色再現が得られるように処理される。また色域の圧縮以外にも、16bitから8bitへの階調圧縮、出力画素数の低減、及び、階調変換ルックアップテーブル(LUT)を用いた出力デバイスの出力特性への対応処理等も含まれる。さらにノイズ抑制、鮮鋭化、グレーバランス調整処理、彩度調整、或いは覆い焼き処理等の画像処理が行われることは言うまでもない。
【0046】
現像処理部24は、デモザイク処理部34、グレーバランス調整処理部35、鑑賞画像化処理部36を含む。デモザイク処理部34は、シーン参照生データd1のデモザイク処理を行う。シーン参照生データd1は、前述の通り、撮像素子で撮影された画像そのまま、すなわち、前述のモザイクフィルタを通して各々の画素に記録されたモザイク画像がそのまま保存されているため、これを、画素各々について、通常用いられる、例えばRGB3色のカラー情報を有する画像情報に再構築する必要があり、本発明ではこれをデモザイク処理とする。デモザイク処理には種々の方法があるが、これにより、処理対象画素に欠けている色成分を、周辺の当該色成分を有する画素情報や、デモザイク処理の手法に対応した、その他の情報により推測し、復元する処理が行われる。グレーバランス調整処理部35は、デモザイク処理後の画像データに対して、適切なグレーを表現するためにグレーバランス調整処理を行う。鑑賞画像化処理部36は、グレーバランス調整処理後の画像データに対して、鑑賞画像としてより好ましい画像にするための鑑賞画像化処理を行う。
【0047】
縮小画像生成部25は、デモザイク処理後の画像データに基づいて、縮小画像を生成する。画像判定部26は、縮小画像生成部25により生成された縮小画像と再現補助データd2とに基づいて、画像判定処理を行い、現像処理条件を決定する。
【0048】
画像表示部27は、CRTや液晶ディスプレイ等から構成され、鑑賞画像化処理部36により鑑賞画像化処理を施された画像データに基づいて、画像を表示する。
【0049】
指示入力部28は、数字キーや各種機能キー等を備え、現像処理部24における各処理に対する各種指示を受け付ける。
【0050】
画像情報出力部29は、現像処理部24により現像処理が施された画像データ、すなわち、観賞画像参照データをプリンタ部30に出力する。また、画像情報出力部29は、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3を拡張RAW画像ファイル生成部31に出力する。現像条件調整データd3は、画像判定部26により決定された現像処理条件と、ユーザの調整により指示入力部28から入力設定された追加調整情報と、を含む。画像判定部26により決定された現像処理条件と、指示入力部28から入力設定された追加調整情報とは、個々の情報として保持されていてもよいし、同一種の調整情報について、調整効果を加算、統合した状態で保持されていてもよい。
【0051】
「現像条件調整データ」には、現像処理条件の決定に補助的に用いられる情報と、現像処理条件の決定に直接的に関わる情報と、がある。現像処理条件の決定に補助的に用いられる情報としては、画面平均信号値、画面内信号値の分散又は標準偏差、その他、後述する各種画像解析結果を表す特性値等が挙げられる。現像処理条件の決定に直接的に関わる情報としては、トーンカーブ、3次元ルックアップテーブル、階調補正パラメータ、鮮鋭性調整情報、ノイズフィルタ特性パラメータ等が挙げられる。トーンカーブは、RGB各々について階調変換前後の値を定義した特性曲線であり、通常、1次元のルックアップテーブルとして保持される。3次元ルックアップテーブルは、RGB信号値の組合せ各々について階調変換前後の値を定義したルックアップテーブルであり、3要素により色調が定義されている場合、3次元のルックアップテーブルとして保持される。階調補正パラメータは、濃度補正値、色補正値、コントラスト補正値等の階調変化を、トーンカーブやルックアップテーブルではなく、これらを生成する際に用いるパラメータとして保存する形態である。鮮鋭性調整情報は、鮮鋭性強調に用いるフィルタ係数そのもの、或いは、フィルタの強度を調整するパラメータをいう。ノイズフィルタ特性パラメータは、ノイズフィルタに用いる各種特性値(フィルタ係数、閾値等)や、複数の特性値の組合せを選択するパラメータをいう。
【0052】
プリンタ部30は、画像情報出力部29から出力された観賞画像参照データに基づいて、プリントを作成する。
【0053】
拡張RAW画像ファイル生成部31は、画像情報出力部29から出力された現像条件調整データd3をRAW画像ファイルf1に添付し、拡張RAW画像ファイルf2を生成する。図3に、拡張RAW画像ファイルf2のデータ構造を示す。
【0054】
記録メディア書き込み部32は、拡張RAW画像ファイル生成部31により生成された拡張RAW画像ファイルf2を拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録する。
【0055】
<撮像装置部10の動作>
図4は、撮像装置部10により実行される撮影処理を示すフローチャートである。
まず、図4に示すように、絞りやシャッター速度等の撮像条件が設定される(ステップA1)。次に、撮像が行われると、撮像信号がA/D変換され、デジタル画像データが生成され(ステップA2)、前述のモザイク状の画像形態を有するモザイク画像信号(シーン参照生データ)が取得される(ステップA3)。
【0056】
次に、シーン参照生データd1に再現補助データd2が添付され、RAW画像ファイルf1が生成される(ステップA4)。そして、生成されたRAW画像ファイルf1がRAW画像ファイル記録メディア12に記録される(ステップA5)。
以上で、撮像装置部10における撮影処理が終了する。
【0057】
<現像処理装置部20の動作>
次に、現像処理装置部20の動作について説明する。
図5は、現像処理装置部20により実行される現像処理を示すフローチャートである。
図5に示すように、まず、RAW画像ファイル取得部23により、記録メディアドライブ部21又は画像情報通信制御部22を介してRAW画像ファイルf1が取得され(ステップB1)、RAW画像ファイルf1から再現補助データd2が取得される(ステップB2)。
【0058】
次に、仮の現像処理条件として一般的な条件が設定される(ステップB3)。そして、仮の現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理が行われる(ステップB4)。
【0059】
次に、縮小画像生成部25により、デモザイク処理後の画像データに基づいて、縮小画像が生成される(ステップB5)。そして、画像判定部26により、縮小画像生成部25により生成された縮小画像と再現補助データd2とに基づいて、画像判定処理が行われ、グレーバランス調整処理条件、鑑賞画像化処理条件等の現像処理条件が決定される(ステップB6)。
【0060】
次に、グレーバランス調整処理部35により、ステップB6において決定されたグレーバランス調整処理条件と、ステップB3において設定された仮の現像処理条件と、に基づいて、デモザイク処理後の画像データに対してグレーバランス調整処理が行われる(ステップB7)。続いて、鑑賞画像化処理部36により、ステップB6において決定された鑑賞画像化処理条件と、ステップB3において設定された仮の現像処理条件と、に基づいて、グレーバランス調整処理後の画像データに対して鑑賞画像化処理が行われる(ステップB8)。
【0061】
次に、画像表示部27に、現像処理後の画像が表示される(ステップB9)。ここで、指示入力部28を介して、追加調整の指示がある場合には(ステップB10;YES)、追加調整情報が設定される(ステップB11)。そして、追加調整情報がグレーバランス調整処理(ステップB7)、鑑賞画像化処理(ステップB8)に反映され、画像表示部27に、追加調整情報が反映された後の画像が表示される(ステップB9)。
【0062】
追加調整が終了した場合には(ステップB10;NO)、ステップB6において画像判定部26により決定された現像処理条件と、ステップB11において設定された追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定される(ステップB12)。そして、この現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップB13)、グレーバランス調整処理(ステップB14)、鑑賞画像化処理(ステップB15)が行われ、観賞画像参照データが生成される。
【0063】
次に、画像情報出力部29により、観賞画像参照データがプリンタ部30に出力され、プリンタ部30により、観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される(ステップB16)。
【0064】
また、画像情報出力部29により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31に出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、拡張RAW画像ファイルf2が生成される(ステップB17)。現像条件調整データd3には、ステップB6において画像判定部26により決定された現像処理条件と、ステップB11において設定された追加調整情報と、が含まれる。そして、記録メディア書き込み部32により、拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録される(ステップB18)。
以上で、現像処理装置部20における現像処理が終了する。
【0065】
次に、拡張RAW画像ファイルf2に基づいて、再プリントを行う場合について説明する。
図6は、現像処理装置部20により実行される再プリント時の現像処理を示すフローチャートである。
図6に示すように、まず、RAW画像ファイル取得部23により、拡張RAW画像ファイル記録メディア33から拡張RAW画像ファイルf2が取得され(ステップC1)、拡張RAW画像ファイルf2から再現補助データd2及び現像条件調整データd3が取得される(ステップC2)。
【0066】
次に、再現補助データd2及び現像条件調整データd3に基づいて、前回の現像処理条件が設定される(ステップC3)。そして、前回の現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップC4)、グレーバランス調整処理(ステップC5)、鑑賞画像化処理(ステップC6)が行われる。
【0067】
次に、画像表示部27に、現像処理後の画像が表示される(ステップC7)。ここで、指示入力部28を介して、追加調整の指示がある場合には(ステップC8;YES)、追加調整情報が再設定される(ステップC9)。そして、追加調整情報がグレーバランス調整処理(ステップC5)、鑑賞画像化処理(ステップC6)に反映され、画像表示部27に、追加調整情報が反映された後の画像が表示される(ステップC7)。
【0068】
追加調整が終了した場合には(ステップC8;NO)、ステップC3において設定された前回の現像処理条件と、ステップC9において再設定された追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定される(ステップC10)。そして、この現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップC11)、グレーバランス調整処理(ステップC12)、鑑賞画像化処理(ステップC13)が行われ、観賞画像参照データが生成される。
【0069】
次に、画像情報出力部29により、観賞画像参照データがプリンタ部30に出力され、プリンタ部30により、観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される(ステップC14)。
【0070】
また、画像情報出力部29により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31に出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、拡張RAW画像ファイルf2が生成される(ステップC15)。すなわち、ステップC1において取得された拡張RAW画像ファイルf2の現像条件調整データd3が上書きされ、新たな拡張RAW画像ファイルf2が生成される。そして、記録メディア書き込み部32により、新たな拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録される(ステップC16)。
以上で、現像処理装置部20における再プリント時の現像処理が終了する。
【0071】
次に、オーダー情報に基づく現像処理について説明する。
図7及び図8は、現像処理装置部20により実行されるオーダー情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
図7に示すように、まず、RAW画像ファイル取得部23により、記録メディアドライブ部21又は画像情報通信制御部22を介してRAW画像ファイルf1が取得され(ステップS1)、RAW画像ファイルf1から再現補助データd2が取得される(ステップS2)。
【0072】
次に、仮の現像処理条件として一般的な条件が設定される(ステップS3)。そして、仮の現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理が行われる(ステップS4)。
【0073】
次に、縮小画像生成部25により、デモザイク処理後の画像データに基づいて、縮小画像が生成される(ステップS5)。そして、画像判定部26により、縮小画像生成部25により生成された縮小画像と再現補助データd2とに基づいて、画像判定処理が行われ(ステップS6)、画像判定結果が保存される(ステップS7)。
【0074】
デモザイク処理が行われた後(ステップS4)、同一オーダー内の画像の画像判定処理が終了したか否かが判断され(ステップS8)、終了していない場合には(ステップS8;NO)、オーダー内の次の画像が取得され(ステップS9)、ステップS1に戻る。
【0075】
同一オーダー内の画像の画像判定処理が終了した場合には(ステップS8;YES)、1オーダー分の判定結果が取得され(ステップS10)、1オーダー内の各駒の判定結果に基づいて、判定結果が修正される(ステップS11)。そして、同一のオーダー情報が添付された各駒の画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を含む現像処理の現像処理条件が決定される(ステップS12)。
【0076】
次に、図8に示すように、グレーバランス調整処理部35により、ステップS12において決定された現像処理条件に基づいて、デモザイク処理後の画像データに対してグレーバランス調整処理が行われる(ステップS13)。続いて、鑑賞画像化処理部36により、ステップS12において決定された現像処理条件に基づいて、グレーバランス調整処理後の画像データに対して鑑賞画像化処理が行われる(ステップS14)。
【0077】
次に、画像表示部27に、現像処理後の画像が表示される(ステップS15)。ここで、指示入力部28を介して、追加調整の指示がある場合には(ステップS16;YES)、追加調整情報が設定される(ステップS17)。そして、追加調整情報がグレーバランス調整処理(ステップS13)、鑑賞画像化処理(ステップS14)に反映され、画像表示部27に、追加調整情報が反映された後の画像が表示される(ステップS15)。
【0078】
追加調整が終了した場合には(ステップS16;NO)、ステップS12において決定された現像処理条件と、ステップS17において設定された追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定される(ステップS18)。そして、この現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップS19)、グレーバランス調整処理(ステップS20)、鑑賞画像化処理(ステップS21)が行われ、観賞画像参照データが生成される。
【0079】
次に、画像情報出力部29により、観賞画像参照データがプリンタ部30に出力され、プリンタ部30により、観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される(ステップS22)。
【0080】
また、画像情報出力部29により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31に出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、拡張RAW画像ファイルf2が生成される(ステップS23)。そして、記録メディア書き込み部32により、拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録される(ステップS24)。
【0081】
次に、同一オーダー内の画像の追加調整及び記録が終了したか否かが判断され(ステップS25)、終了していない場合には(ステップS25;NO)、ステップS13に戻り、次の画像に対する追加調整及び記録が行われる。同一オーダー内の画像の追加調整及び記録が終了した場合には(ステップS25;YES)、オーダー情報に基づく現像処理が終了する。
【0082】
以上のように、オーダー情報に基づいて、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データd1の画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を行うので、一連の撮影画像の統一性を保った、シーン参照生データd1に基づいた高い品質の自動画像補正結果を得ることができ、さらに追加調整の頻度が少ない効率の良い画像処理システムを構築することができる。
【0083】
次に、グレーバランス情報に基づく現像処理について説明する。
図9及び図10は、グレーバランス情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
図9に示すように、まず、RAW画像ファイル取得部23により、記録メディアドライブ部21又は画像情報通信制御部22を介してRAW画像ファイルf1が取得される(ステップT1)。そして、RAW画像ファイルf1から再現補助データd2が取得され(ステップT2)、再現補助データd2のうち撮影時グレーバランス情報が取得される(ステップT3)。
【0084】
撮影時グレーバランス情報には、撮影時の状況や、撮影者の好みを示す情報が含まれる。撮影時の状況を示す情報として、撮影時刻、天候(或いは撮影時色温度)、撮影光源、撮影環境の明るさ等、撮影者の好みを示す情報として、撮影目的の設定情報(ポートレート、スナップ、ネイチャー等)、特殊効果フィルタ(カラーフィルタ、ソフトフィルタ、紅葉や新緑、青空の色調を強調する色彩強調フィルタ等)の着用状況等が挙げられる。撮影時の状況や、撮影者の好みを示す情報は、撮影時に情報として記憶されるものであり、ExifやDNGといった画像ファイルフォーマットに定義されている情報群の一部又は全部を用いてもよく、さらに付加された有効な情報であってもよい。
【0085】
次に、仮の現像処理条件として一般的な条件が設定される(ステップT4)。そして、仮の現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理が行われる(ステップT5)。
【0086】
次に、縮小画像生成部25により、デモザイク処理後の画像データに基づいて、縮小画像が生成される(ステップT6)。そして、画像判定部26により、縮小画像生成部25により生成された縮小画像に基づいて画像解析が行われ(ステップT7)、画像解析時グレーバランス情報が算出される(ステップT8)。
【0087】
画像解析結果を表す特性値として、肌色領域や無彩色領域を抽出して得られた領域特性値、画面構成、配色等の全体特性値等が挙げられる。例えば、色調が近似している領域を一つの部分領域として抽出し、複数の部分領域に分割し、各々の領域について領域内平均値を算出することにより、肌色領域が画面内に占める比率や、画面内に有彩色が占める比率等を算出することができる。また、部分領域相互の色調差の大きさを評価(例えば領域内平均値のばらつきを評価)して、画面構成(落ち着きがある画面、華やかな画面等)に関する特徴量を得ることができる。また画面から、ハイライト、シャドー部に相当する画像情報を抽出し、これに基づいて無彩色画像信号がもつRGB信号値各々の関係を導き出し、これをもとに画面内の無彩色画像領域を抽出して、色再現の基準となる特性値を得ることができる。
【0088】
次に、ステップT3において取得された撮影時グレーバランス情報と、ステップT8において算出された画像解析時グレーバランス情報とに基づいて、両情報が参照され、グレーバランス調整処理条件が決定される(ステップT9)。
【0089】
両情報の参照の1例を、画像解析時グレーバランス情報に含まれる色再現の基準となる特性値と、撮影時グレーバランス情報に含まれる撮影時情報との比較の場合で説明する。画像解析時グレーバランス情報のみに基づいてグレーバランス調整を行った場合、例えば夕方や早朝、日陰等、どのような環境で撮影された画像も近似した色調再現を得る調整結果となる。これは、例えばポートレート画像では好ましい結果となる場合が多いが、例えばネイチャーフォトの場合、夕方の赤みがかった光や、晴れた午前の青みがかった光をそのまま表現する方がより好ましい場合が多い。またポートレートでも、電球光下で撮影された画像の場合、電球光の赤みを帯びた色調を残した方が好ましい結果を得る場合が多い。そこで、撮影目的に関する情報をもとに、画像解析時グレーバランス情報に基づいたグレーバランス調整をどの程度作用させるかを決定すると、より好ましい自動画像処理結果を得ることができる。
【0090】
また、画像解析時グレーバランス情報を求める際に、前記撮影光源や撮影環境情報を用いることで、最初に抽出すべきハイライト、シャドーポイントの抽出条件を好ましく設定することができ、ポートレート画像の良好な画像調整に有効である。さらに、このようにしてハイライト、シャドーポイントを抽出して標準的なグレーバランスとなるグレーバランス調整処理条件を一旦求め、ここからの追加補正量を前記撮影環境に基づいて決定してもよく、このようにすると、例えばネイチャーフォトの夕景に対し、最も好ましいカラーバランス(この場合、赤さ)を安定して付加することができ、好ましい。
【0091】
さらに、画像解析時グレーバランス情報に含まれる画面内色調差に関する情報や画面構成に関する情報によって、画面に多数の高彩度物体が写っている状況が判明した場合に、撮影時グレーバランス情報をより重視したグレーバランス調整を行うことができ、画像解析時グレーバランス情報に対する撮影画像内の高彩度物の影響を軽減したグレーバランス調整処理が可能となる。
【0092】
次に、グレーバランス調整処理部35により、ステップT9において決定されたグレーバランス調整処理条件に基づいて、デモザイク処理後の画像データに対してグレーバランス調整処理が行われる(ステップT10)。続いて、鑑賞画像化処理部36により、グレーバランス調整処理後の画像データに対して鑑賞画像化処理が行われる(ステップT11)。
【0093】
次に、画像表示部27に、現像処理後の画像が表示される(ステップT12)。ここで、指示入力部28を介して、追加調整の指示がある場合には(ステップT13;YES)、追加調整情報が設定される(ステップT14)。そして、追加調整情報がグレーバランス調整処理(ステップT10)、鑑賞画像化処理(ステップT11)に反映され、画像表示部27に、追加調整情報が反映された後の画像が表示される(ステップT12)。
【0094】
追加調整が終了した場合には(ステップT13;NO)、図10に示すように、ステップT9において決定されたグレーバランス調整処理条件と、ステップT14において設定された追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定される(ステップT15)。そして、この現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップT16)、グレーバランス調整処理(ステップT17)、鑑賞画像化処理(ステップT18)が行われ、観賞画像参照データが生成される。
【0095】
次に、画像情報出力部29により、観賞画像参照データがプリンタ部30に出力され、プリンタ部30により、観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される(ステップT19)。
【0096】
また、画像情報出力部29により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31に出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、拡張RAW画像ファイルf2が生成される(ステップT20)。そして、記録メディア書き込み部32により、拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録される(ステップT21)。
以上で、グレーバランス情報に基づく現像処理が終了する。
【0097】
以上のように、撮影時グレーバランス情報と、シーン参照生データd1を画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいてグレーバランス調整処理を行うので、撮影時の状況や撮影された画像に応じた処理を行うことができる。
【0098】
次に、鮮鋭性調整情報に基づく現像処理について説明する。
図11及び図12は、鮮鋭性調整情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
図11に示すように、まず、RAW画像ファイル取得部23により、記録メディアドライブ部21又は画像情報通信制御部22を介してRAW画像ファイルf1が取得される(ステップU1)。そして、RAW画像ファイルf1から再現補助データd2が取得され(ステップU2)、再現補助データd2のうち撮影時鮮鋭性調整情報が取得される(ステップU3)。
【0099】
次に、仮の現像処理条件として一般的な条件が設定される(ステップU4)。そして、仮の現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理が行われる(ステップU5)。
【0100】
次に、縮小画像生成部25により、デモザイク処理後の画像データに基づいて、縮小画像が生成される(ステップU6)。そして、画像判定部26により、縮小画像生成部25により生成された縮小画像に基づいて画像解析が行われ(ステップU7)、画像解析時鮮鋭性調整情報が算出される(ステップU8)。
【0101】
次に、ステップU3において取得された撮影時鮮鋭性調整情報と、ステップU8において算出された画像解析時鮮鋭性調整情報とに基づいて、両情報が比較され、鮮鋭性調整処理条件が決定される(ステップU9)。例えばネイチャーフォトの場合は非常に高い鮮鋭感を要求されるが、非常に鮮鋭性の高い撮影光学系を用いて撮影した場合と、撮像素子の前にモアレや偽色軽減のために光学的ローパスフィルタを配置した撮影光学系を用いて撮影した場合とでは、得られる元画像の鮮鋭性に大きな差がある。ネイチャーフォトとして必要な鮮鋭感を得るための鮮鋭性調整処理(ここでは強調処理)は、前者では弱いもので充分であり、後者では強いものが必要となる。またさらに、撮影時にピンぼけや手ぶれ等、鮮鋭性を劣化させる要因が発生した場合、撮影被写体が輪郭、メリハリに乏しく、鮮鋭感を感じにくい場合は、より強い鮮鋭性調整効果が必要となる。
【0102】
弱い鮮鋭性に決定した場合には(ステップU10)、平滑性の強いデモザイク処理が採用され(ステップU11)、軽度の鮮鋭性強調が行われるよう現像処理条件が設定される(ステップU12)。中程度の鮮鋭性に決定した場合には(ステップU13)、平滑性の強いデモザイク処理が採用され(ステップU14)、中程度の鮮鋭性強調が行われるよう現像処理条件が設定される(ステップU15)。強い鮮鋭性に決定し(ステップU16)、偽色が許容されない場合には(ステップU17)、平滑性の強いデモザイク処理が採用され(ステップU18)、強度の鮮鋭性強調が行われるよう現像処理条件が設定される(ステップU19)。強い鮮鋭性に決定し(ステップU16)、偽色が許容される場合には(ステップU20)、デモザイク処理として、前述の平滑性の強い処理と比較し、偽色発生の懸念がより大きいが、より鮮鋭性の強い特性をもつデモザイク処理が採用され(ステップU21)、中程度の鮮鋭性強調が行われるよう現像処理条件が設定される(ステップU22)。
【0103】
ステップU16からステップU22の効果を具体的に説明する。例えば商品撮影のような場合はステップU17の条件にあたり、高い鮮鋭感が必要であり、さらに偽色のような本来の被写体に無い色調が画面に現れることを嫌う。この場合は、デモザイク処理時にできるだけ偽色発生の少ない、すなわち平滑性の強い処理を行い、鮮鋭感が低下した分、後段の鮮鋭性強調の程度を強くする。この場合、鮮鋭性強調に伴い、特に空間周波数が高い領域に発生する画像強調ノイズを許容範囲に抑えるため、画像解像力を犠牲にし比較的低い空間周波数領域の強調度合いを高くする画像処理を行う。しかし、例えばネイチャーフォトの場合、鮮鋭性とともに、高い解像力が要求され、上記商品撮影と同一の画像処理では不満足な結果になる場合が多い。ネイチャーフォトは自然物が対象のため、偽色発生の懸念がある細かい繰り返しパターンが被写体となる可能性は低い。したがって、本発明のフローを用いれば、ステップU20の条件に該当し、デモザイク処理時にできるだけ解像力や鮮鋭性を劣化させない処理を行い、後段の鮮鋭性強調処理の程度を抑えることで解像力が高く繊細、かつ鮮鋭感の高い画像処理を行うことができる。
【0104】
一方、グレーバランス調整処理部35により、仮の現像処理条件に基づいて、デモザイク処理後の画像データに対してグレーバランス調整処理が行われる(ステップU23)。続いて、鑑賞画像化処理部36により、グレーバランス調整処理後の画像データに対して鑑賞画像化処理が行われる(ステップU24)。
【0105】
次に、画像表示部27に、現像処理後の画像が表示される(ステップU25)。ここで、指示入力部28を介して、追加調整の指示がある場合には(ステップU26;YES)、追加調整情報が設定される(ステップU27)。そして、追加調整情報がグレーバランス調整処理(ステップU23)、鑑賞画像化処理(ステップU24)に反映され、画像表示部27に、追加調整情報が反映された後の画像が表示される(ステップU25)。
【0106】
追加調整が終了した場合には(ステップU26;NO)、ステップU12,ステップU15,ステップU19,ステップU22において設定された鮮鋭性調整処理条件と、ステップU11,ステップU14,ステップU18,ステップU21において設定されたデモザイク処理条件と、追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定される(ステップU28)。そして、図12に示すように、この現像処理条件に基づいて、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理(ステップU29)、グレーバランス調整処理(ステップU30)、鑑賞画像化処理(ステップU31)が行われ、観賞画像参照データが生成される。
【0107】
次に、画像情報出力部29により、観賞画像参照データがプリンタ部30に出力され、プリンタ部30により、観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される(ステップU32)。
【0108】
また、画像情報出力部29により、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31に出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31により、現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、拡張RAW画像ファイルf2が生成される(ステップU33)。そして、記録メディア書き込み部32により、拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33に記録される(ステップU34)。
以上で、鮮鋭性調整情報に基づく現像処理が終了する。
【0109】
以上のように、撮影時鮮鋭性調整情報と、シーン参照生データd1を画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいて鮮鋭性調整処理を行うので、撮影時の状況や撮影された画像に応じた処理を行うことができる。
【0110】
第1の実施の形態における画像処理システム100によれば、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3をRAW画像ファイルf1に添付して記録メディアに記録するので、再プリント時に前回の現像処理条件を簡単に再現することができる。また、さらに追加調整が必要な場合にも、シーン参照生データd1に基づいて、自由度の大きい画質調整を行うことができる。したがって、画質調整の自由度を損なうことなく、安定した画像を得ることができる。
【0111】
[第2の実施の形態]
<画像処理システム200の構成>
次に、本発明の第2の実施の形態における画像処理システム200について説明する。
図13は、画像処理システム200のシステム構成図である。図13に示すように、画像処理システム200は、撮像装置部10、現像処理装置部20a、現像処理装置部20bから構成され、現像処理装置部20aと現像処理装置部20bとはネットワークNを介して接続可能である。
【0112】
現像処理装置部20aは、フォトスタジオ等に設置され、仮の画質調整を行う。一方、現像処理装置部20bは、フォトスタジオから依頼された画像のプリントを行う現像所等に設置され、正式な画質調整を行った後、プリントを作成するとともに、現像処理装置部20bにおける現像条件調整データd3を記録する。
【0113】
画像処理システム200における撮像装置部10は、第1の実施の形態に示した撮像装置部10と同様の構成であるため、同一の符号を付し、説明を省略する。また、現像処理装置部20a、現像処理装置部20bにおいて、第1の実施の形態に示した現像処理装置部20と同一の構成部分については同一の符号にそれぞれa、bを追加した符号を付し、その構成については説明を省略する。以下、第2の実施の形態に特徴的な処理について説明する。
【0114】
撮像装置部10、現像処理装置部20aにおける処理は、第1の実施の形態し示した処理と同様であるため、説明を省略する。
【0115】
現像処理装置部20bでは、拡張RAW画像ファイル取得部23bにより、現像処理装置部20aの拡張RAW画像ファイル生成部31aにより生成された拡張RAW画像ファイルf2が、ネットワークN及び画像情報通信制御部22bを介して取得される。そして、拡張RAW画像ファイルf2から再現補助データd2及び現像条件調整データd3が取得される。
【0116】
次に、再現補助データd2及び現像条件調整データd3に基づいて、現像処理装置部20aで設定された仮の現像処理条件が設定される。そして、この現像処理条件に基づいて、現像処理部24bにより、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理、グレーバランス調整処理、鑑賞画像化処理が行われ、仮の観賞画像参照データが再現される。
【0117】
次に、再現された仮の観賞画像参照データに基づいて、画像表示部27bに、現像処理後の画像が表示され、追加調整の指示がある場合には、指示入力部28bを介して追加調整情報が再設定される。
【0118】
現像処理装置部20aで設定された仮の現像処理条件と、再設定された追加調整情報と、が反映された現像処理条件が設定され、正式な現像条件調整データd3が生成される。この正式な現像条件調整データd3に基づいて、現像処理部24bにより、シーン参照生データd1に対してデモザイク処理、グレーバランス調整処理、鑑賞画像化処理が行われ、正式な観賞画像参照データが生成される。
【0119】
次に、画像情報出力部29bにより、正式な観賞画像参照データがプリンタ部30bに出力され、プリンタ部30bにより、正式な観賞画像参照データに基づいてプリントが作成される。
【0120】
また、画像情報出力部29bにより、現像処理を施す際に設定した現像条件調整データd3が拡張RAW画像ファイル生成部31bに出力され、拡張RAW画像ファイル生成部31bにより、正式な現像条件調整データd3がRAW画像ファイルf1に添付され、新たな拡張RAW画像ファイルf2が生成される。そして、記録メディア書き込み部32bにより、新たな拡張RAW画像ファイルf2が拡張RAW画像ファイル記録メディア33bに記録される。
【0121】
第2の実施の形態における画像処理システム200によれば、現像処理装置部20bにおいて、再現補助データ及び現像処理装置部20aにより設定された仮の現像条件調整データd3に基づいて現像処理を施して仮の観賞画像参照データを再現するので、正式なプリント時に、現像処理装置部20aで設定された仮の現像処理条件を簡単に再現することができる。例えば、フォトスタジオ等で施された画質調整の意図を、現像所のオペレータが画像調整結果を再現することで簡単に知ることができる。また、再現された仮の観賞画像参照データに基づいて正式な鑑賞画像参照データを生成するので、例えば現像所のオペレータは、フォトスタジオ等で施された画質調整の意図を読み取り、その意図をより高画質に表現することができる画像処理をシーン参照生データに施して鑑賞画像参照データを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の第1の実施の形態における画像処理システム100のシステム構成図である。
【図2】RAW画像ファイルのデータ構造を示す図である。
【図3】拡張RAW画像ファイルのデータ構造を示す図である。
【図4】撮像装置部10により実行される撮影処理を示すフローチャートである。
【図5】現像処理装置部20により実行される現像処理を示すフローチャートである。
【図6】現像処理装置部20により実行される再プリント時の現像処理を示すフローチャートである。
【図7】オーダー情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図8】オーダー情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図9】グレーバランス情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図10】グレーバランス情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図11】鮮鋭性調整情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図12】鮮鋭性調整情報に基づく現像処理を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施の形態における画像処理システム200のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0123】
100 画像処理システム
10 撮像装置部
11 デジタルカメラ
12 RAW画像ファイル記録メディア
20 現像処理装置部
21 記録メディアドライブ部
22 画像情報通信制御部
23 RAW画像ファイル取得部
24 現像処理部
25 縮小画像生成部
26 画像判定部
27 画像表示部
28 指示入力部
29 画像情報出力部
30 プリンタ部
31 拡張RAW画像ファイル生成部
32 記録メディア書き込み部
33 拡張RAW画像ファイル記録メディア
34 デモザイク処理部
35 グレーバランス調整処理部
36 鑑賞画像化処理部
200 画像処理システム
N ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得工程と、
前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施し、鑑賞画像参照データを生成する観賞画像参照データ生成工程と、
前記現像処理を施す際に設定した現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルとして記録メディアに記録する拡張RAW画像ファイル記録工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理方法において、
前記再現補助データは、前記シーン参照生データが一連の撮影画像であることを示すオーダー情報を含み、
前記現像処理は、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データの画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項3】
請求項1に記載の画像処理方法において、
前記再現補助データは、撮影時のグレーバランス調整状況を示す撮影時グレーバランス情報を含み、
前記現像処理は、前記撮影時グレーバランス情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいたグレーバランス調整処理を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項4】
請求項1に記載の画像処理方法において、
前記再現補助データは、画像の鮮鋭性調整量を示す撮影時鮮鋭性調整情報を含み、
前記現像処理は、前記撮影時鮮鋭性調整情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいた鮮鋭性調整処理を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項5】
撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得工程、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な仮の現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための仮の現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを生成する仮の観賞画像参照データ生成工程、前記仮の現像処理を施す際に設定した仮の現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルを生成する拡張RAW画像ファイル生成工程、を含む第1の現像処理工程と、
前記拡張RAW画像ファイルを取得する拡張RAW画像ファイル取得工程、前記拡張RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び仮の現像条件調整データに基づいて、前記拡張RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを再現する仮の観賞画像参照データ再現工程、前記再現された仮の鑑賞画像参照データに基づいて正式な現像条件調整データを生成し、正式な鑑賞画像参照データを生成する正式な観賞画像参照データ生成工程、を含む第2の現像処理工程と、
を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項6】
撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得手段と、
前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための現像処理を施し、鑑賞画像参照データを生成する観賞画像参照データ生成手段と、
前記現像処理を施す際に設定した現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルとして記録メディアに記録する拡張RAW画像ファイル記録手段と、
を備えたことを特徴とする画像処理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記再現補助データは、前記シーン参照生データが一連の撮影画像であることを示すオーダー情報を含み、
前記現像処理は、同一のオーダー情報が添付されたシーン参照生データの画像の仕上がりを均質にするための画質均質化処理を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項8】
請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記再現補助データは、撮影時のグレーバランス調整状況を示す撮影時グレーバランス情報を含み、
前記現像処理は、前記撮影時グレーバランス情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時グレーバランス情報と、に基づいたグレーバランス調整処理を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項9】
請求項6に記載の画像処理システムにおいて、
前記再現補助データは、画像の鮮鋭性調整量を示す撮影時鮮鋭性調整情報を含み、
前記現像処理は、前記撮影時鮮鋭性調整情報と、前記シーン参照生データを画像解析して得られた画像解析時鮮鋭性調整情報と、に基づいた鮮鋭性調整処理を含むことを特徴とする画像処理システム。
【請求項10】
撮像装置から得られたシーン参照生データに、前記シーン参照生データから鑑賞画像を形成する際に用いる再現補助データが添付されてなるRAW画像ファイルを取得するRAW画像ファイル取得手段、前記RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び任意に設定可能な仮の現像条件調整データに基づいて、前記RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに、出力媒体上での最適な鑑賞画像を形成するための仮の現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを生成する仮の観賞画像参照データ生成手段、前記仮の現像処理を施す際に設定した仮の現像条件調整データを前記RAW画像ファイルに添付し、拡張RAW画像ファイルを生成する拡張RAW画像ファイル生成手段、を備えた第1の現像処理装置と、
前記拡張RAW画像ファイルを取得する拡張RAW画像ファイル取得手段、前記拡張RAW画像ファイルに含まれる再現補助データ及び仮の現像条件調整データに基づいて、前記拡張RAW画像ファイルに含まれるシーン参照生データに現像処理を施し、仮の鑑賞画像参照データを再現する仮の観賞画像参照データ再現手段、前記再現された仮の鑑賞画像参照データに基づいて正式な現像条件調整データを生成し、正式な鑑賞画像参照データを生成する正式な観賞画像参照データ生成手段、を備えた第2の現像処理装置と、
を備えたことを特徴とする画像処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−203572(P2006−203572A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−13259(P2005−13259)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【出願人】(303050159)コニカミノルタフォトイメージング株式会社 (1,066)
【Fターム(参考)】