説明

画像処理装置、サーバ装置、それらの制御方法、及びプログラム

【課題】 操作画面でのユーザの操作に応じて外部装置で生成された実行指示に基づいて画像処理機能を実行する画像処理装置において、画像処理機能の実行に要する時間を短縮することを目的とする。
【解決手段】 処理手段が画像処理機能を実行するよりも前(例えば画像処理機能を実行するための操作画面を表示しているとき)に、準備処理指示情報を外部装置から受信し、当該準備処理指示情報に基づいて準備処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワークを介して外部装置と接続された画像処理装置、ネットワークを介して画像処理装置と接続されたサーバ装置、それらの制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近ではスキャナやプリンタを備えたMFP(Multi Function Peripheral)の中に、Webブラウザを備えているものがある。そして、MFPは、Webサーバにより提供される操作画面をMFPのWebブラウザに表示し、ユーザからの各種指示を受け付ける。
【0003】
また更には、特許文献1のような技術も考えられている。特許文献1の記載によれば、MFPが備える各機能を利用するための指示を入力する操作画面を、Webサーバが提供する。即ち、MFPのユーザは、Webブラウザ上に表示された操作画面を介して、MFPに対する指示を入力する。そして、入力された指示はMFPのWebブラウザによってWebサーバに通知される。
【0004】
この通知を受けたWebサーバは、ユーザから入力された指示の内容に従って、MFPに対して各種処理の実行を依頼する。そして、この依頼を受けたMFPは、依頼された処理を実行する。これにより、MFPを操作するための全てのメニューデータをMFP内で保持しておく必要がなくなり、またメニューデータの変更もWebサーバ上で容易に行うことができるようになる。
【0005】
一方、通常電力モードと通常電力モードよりも消費電力が小さい省電力モードとを切り替えて動作するMFPが知られている(例えば、特許文献2)。このようなMFPでは、長時間にわたり使用がない場合に、各処理部に対する電力供給を停止することにより、省電力の効果を得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−003833号公報
【特許文献2】特開2008−205714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した特許文献2のように、省電力モードで動作している状態のMFPでジョブを実行しようとする場合、MFPが処理の依頼を受けた後に通常電力モードへ復帰するための処理が行われる。従って、ユーザが処理の実行を指示した後に通常電力モードへ復帰するための時間が必要となり、ジョブの開始が遅くなってしまうという問題がある。
【0008】
また、特許文献1のように、Webブラウザに表示された操作画面を介してユーザが処理の実行を指示する場合、ユーザによる指示をWebサーバが検知し、その後にMFPに対して処理の実行を依頼することになる。このため、ユーザが処理の実行を指示してからジョブの実行が開始されるまでに、さらに長い時間がかかってしまう。
【0009】
本発明はかかる問題点に鑑み、操作画面でのユーザの操作に応じて外部装置で生成された実行指示に基づいて画像処理機能を実行する画像処理装置において、画像処理機能の実行に要する時間を短縮することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本願発明が提供する画像処理装置は、画像処理機能を備える画像処理装置であって、前記画像処理機能を実行する処理手段と、画面情報を外部装置から取得する取得手段と、前記画面情報に基づいて操作画面を表示するWebブラウザと、前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報を前記外部装置から受信する第1の受信手段と、前記準備処理指示情報に基づいて準備処理を行う準備処理手段と、前記画像処理機能の実行を指示する実行指示であって、前記操作画面でのユーザの操作に応じて前記外部装置で生成された実行指示を、前記準備処理手段が準備処理を開始した後に当該外部装置から受信する第2の受信手段と、前記実行指示に基づいて前記処理手段に前記画像処理機能を実行させる制御手段とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本願発明が提供するサーバ装置は、画像処理機能を実行する処理手段を備える画像処理装置と通信可能なサーバ装置であって、前記画像処理装置から処理の要求を受信する受信手段と、前記処理の要求が画面情報の要求である場合は、前記画面情報の要求に対応する画面情報と、前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報とを、前記画像処理装置に送信する第1の送信手段と、前記処理の要求が、前記画像処理装置でのユーザの操作によって前記画像処理機能の実行が指示されたことを示す要求であった場合は、当該画像処理機能の実行を指示する実行指示を、当該画像処理装置に送信する第2の送信手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明によれば、操作画面でのユーザの操作に応じて外部装置で生成された実行指示に基づいて画像処理機能を実行する画像処理装置において、画像処理機能の実行に要する時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態1における画像処理システムの全体図である。
【図2】本発明の実施形態1におけるMFPの構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態1におけるWebサーバの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施形態1における画像処理システム全体のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の実施形態1におけるMFPの処理手順を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態1における操作画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1におけるWebサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態1における準備処理指示リストを示す図である。
【図9】本発明の実施形態1におけるMFPの処理手順を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施形態1におけるWebサーバの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施形態2における画像処理システム全体のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1は本実施形態における画像処理システムの全体図である。
LAN(Local Area Network)110には、MFP101とWebサーバ102とが互いに通信可能に接続されている。なお、MFP101とWebサーバ102との接続形態はLANに限らず、インターネットや無線通信、その他のあらゆる接続方法によっても本システムは実現可能である。また、画像処理装置の一例としてMFPを例に説明するが、本発明における画像処理装置はこれに限らず、スキャナ、プリンタ等のSFP(Single Function Peripheral)、PC(Personal Computer)であっても良い。さらに、外部装置の一例としてWebサーバを例にして説明するが、本発明における外部装置はこれに限らず、Webサーバ機能を有する他のMFPやPCであっても構わない。
【0016】
図2は、MFP101のハード構成を示すブロック図である。CPU211を含む制御部210は、MFP101全体の動作を制御する。CPU211は、ROM212に記憶された後述する各フローチャートに係る処理を実行するための制御プログラムを読み出して、読取制御や送信制御などの各種制御処理を実行する。RAM213は、CPU211の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。
【0017】
HDDI/F214は、HDD220を制御部210に接続する。HDD220は、ROM212と同様に後述する各フローチャートに係る処理を実行するための制御プログラムや、操作部230に表示する画像データを記憶する。
【0018】
操作部I/F215は、操作部230と制御部210とを接続する。操作部230には、タッチパネル機能を有する液晶表示部やキーボードなどが備えられている。また、MFP101には後述するWebブラウザ機能が備えられており、MFP101のWebブラウザはWebサーバ102から受信したHTMLファイルを解析し、受信したHTMLファイルの記述に基づく操作画面を操作部230の液晶表示部に表示する。
【0019】
プリンタI/F216は、プリンタ240と制御部210とを接続する。プリンタ240で印刷すべき画像データはプリンタI/F216を介して制御部210から転送され、プリンタ240において紙などの記録媒体上に印刷される。
【0020】
スキャナI/F217は、スキャナ250と制御部210とを接続する。スキャナ250は、原稿読み取って画像データを生成し、スキャナI/F217を介して制御部210に入力する。
【0021】
電源部260は、制御部210、HDD220、操作部230、プリンタ240、及びスキャナ250が動作するために必要な電力を供給する。このうち、HDD220、プリンタ240、及びスキャナ250に対しては、それぞれスイッチ221、241、251が備えられ、CPU211がこれらのスイッチを制御することにより、各処理部に対する電源部260からの電力供給を制御する。
【0022】
つまり、MFP101は、通常電力モードと、通常電力モードよりも消費電力が小さい省電力モードのいずれかで動作することができる。省電力モードで動作している状態では、特定の処理部(例えば、HDD220、プリンタ240、及びスキャナ250)に対する電力供給が停止される。
【0023】
なお、ここでは制御部210及び操作部230には省電力モードで動作している間も電力は供給されるものとするが、例えば、省電力モードに移行したときにCPU211に対する電力供給をも停止するようにしてもよい。この場合、省電力モードでも電力が供給される操作部230やネットワークI/F218を制御するため、及び通常電力モードへの復帰処理を行うための、別のCPUを備えることになる。
【0024】
なお、消費電力を小さくするための方法として、上述したような電力供給とは異なる他の方法を採用してもよい。例えば、CPU211に供給されるクロックの周波数を低くすることにより消費する電力を抑える方法を用いてもよい。
【0025】
ネットワークI/F218は、制御部210(MFP101)をLAN110に接続する。ネットワークI/F218は、LAN110上の外部装置(例えば、Webサーバ102)に画像データや情報を送信したり、LAN110上の外部装置から各種情報を受信したりする。
【0026】
図3は、Webサーバ102のハード構成を示すブロック図である。CPU311を含む制御部310は、Webサーバ102全体の動作を制御する。CPU311は、ROM312に記憶された後述する各フローチャートに係る処理を実行するための制御プログラムを読み出して、各種制御処理を実行する。RAM313は、CPU311の主メモリ、ワークエリア等の一時記憶領域として用いられる。HDD314は、ROM312と同様に後述する各フローチャートに係る処理を実行するための制御プログラムや、図8に後述する準備処理指示リストを記憶する。
【0027】
ネットワークI/F315は、制御部310(Webサーバ102)をLAN110に接続する。ネットワークI/F315は、LAN110上の他の装置との間で各種情報を送受信する。
【0028】
図4は、本実施形態における画像処理システム全体のソフトウェア構成を示す図である。図4に示すソフトウェア機能は、MFP101およびWebサーバ102のそれぞれに備えられているCPUが制御プログラムを実行することにより実現される。
【0029】
まず、MFP101のソフトウェア構成を説明する。
【0030】
Webブラウザ420は、通信部421、解析部422、及び画面表示部423を含む。通信部421は、HTTPプロトコルに従ってWebアプリケーション410のプレゼンテーション部411とネットワークI/F218を介して通信する。より具体的には、通信部421は、Webブラウザ420で表示する操作画面をWebアプリケーション410に対して要求したり、操作画面を介して入力されたユーザからの指示内容をWebアプリケーション410に通知したりする。
【0031】
解析部422は、ネットワークI/F218を介してWebアプリケーション410から受信するHTMLファイルを解析する。このHTMLファイルには、Webブラウザに表示すべき操作画面の内容を示す記述が含まれている。画面表示部423は、解析部422による解析の結果に基づいて、操作部230上に操作画面を表示する。
【0032】
サービスプロバイダ430は、通信部431及びジョブ生成部432を含む。通信部431は、Webアプリケーション410のロジック部412からの画像処理機能の実行指示をネットワークI/F218を介して受信する。Webアプリケーション410から実行指示を受信した場合は、ジョブ生成部432が実行指示に基づく画像処理機能を実行するためのジョブを生成して実行する。また、サービスプロバイダ430はロジック部412から処理部の準備処理を行うように指示する準備処理指示情報を受信する。本実施形態では、この準備処理指示情報に基づいて処理部の準備処理が行われる。
【0033】
本実施形態における準備処理とは、処理部の状態を、画像処理機能を実行可能な状態にするための処理のことである。本実施形態では、準備処理として、特定の処理部を省電力モードから通常電力モードへと移行させることとする。省電力モードの場合は特定の処理部、例えばプリンタ240やスキャナ250に対する電力供給が停止しているので、スイッチ241やスイッチ251をON側に設定し、プリンタ240やスキャナ250への電力供給を再開する。サービスプロバイダ430がロジック部412から実行指示を受信するよりも前(例えば操作画面を表示しているとき)に省電力モードから通常電力モードに移行するようにすれば、実行指示に基づく画像処理機能の実行をより早く行うことができる。
【0034】
なお、上述した省電力モードから通常電力モードへの移行は準備処理の一例に過ぎず、実行指示に基づく画像処理機能の実行をより早く行うためであれば、他の方法も採り得る。他の方法としては、例えばスキャナ250を読み取り開始位置に合わせる、プリンタ240の定着ローラー(不図示)を所定の温度まで温める、などの方法が考えられる。
【0035】
また、本実施形態において、上述した複数の方法のうち準備処理としてどの方法を行うかは、MFP101とWebサーバ102との間で予め定められたコマンドに基づいて決定することとする。また、どの処理部の準備処理を行うのかについても、コマンドに含まれる特定の処理部を示す情報に基づいて決定されることとする。
【0036】
図4の説明に戻る。読取処理部470は、スキャナ250を用いた読取処理を実行する。また、印刷処理部480は、プリンタ240を用いた印刷処理を実行する。主制御部460は、MFP101の各機能部を制御するとともに、電力制御部450からの指示に従ってスイッチ221、241、及び251の制御を行い、電力モードを切り替える。電力制御部450は主制御部460にスイッチ221、241、及び251の切り替えを指示する。
【0037】
次に、Webサーバ102のソフトウェア構成を説明する。Webサーバ102には、プレゼンテーション部411及びロジック部412を含むWebアプリケーション410が備えられている。
【0038】
プレゼンテーション部411は、ネットワークI/F315を介して通信部421と通信し、MFP101からの要求に応えてMFP101のWebブラウザで表示すべき操作画面をMFP101に送信する。また、MFP101のWebブラウザに表示された操作画面を介して入力されたユーザからの指示をMFP101から受け取る。
【0039】
ユーザからの指示を受け取ったWebアプリケーション410は、指示の内容に従って各種処理を実行するとともに、必要に応じてMFP101に処理の実行を依頼する。具体的には、プリンタ240による印刷処理の実行や、スキャナ250による読取処理の実行、或いはネットワークI/F218を介した送信処理の実行を依頼するために、ロジック部412が画像処理機能の実行指示を生成し、MFP101に送信する。
【0040】
このようにMFP101に対して処理の実行を依頼する場合には、ロジック部412がMFP101に備えられたサービスプロバイダ430内の通信部431とネットワークI/F315を介して通信する。ロジック部412と通信部431の間は、SOAP(Simple Object Access Protocol)プロトコルに従って通信される。なお、上述した処理部の準備処理に関するコマンドも、SOAPプロトコルに従ってロジック部412がサービスプロバイダ430に送信する。
【0041】
ここまで本実施形態におけるシステム構成の概要を説明した。引き続き、本実施形態におけるシステムの処理の流れを説明する。
【0042】
図5は、本実施形態においてユーザの操作によって操作部230で画面遷移が発生し、Webブラウザ420がWebアプリケーション410に画面情報の要求を行う際にMFP101で実行される処理手順を示すフローチャートである。本フローチャートが示す処理手順は、Webブラウザ420が操作部230に表示する操作画面(例えば図6に後述する操作画面)で画面遷移が発生する毎に実行される。なお、ステップS501〜S505の各ステップは、MFP101が備えるCPU211がROM212等のメモリに格納されたプログラムをRAM213に展開して実行することによって処理される。
【0043】
まずステップS501で、Webブラウザ420が画面情報の要求をネットワークI/F218を介してWebアプリケーション410に送信する。次にステップS502で、Webブラウザ420が操作部230に表示すべき画面情報をネットワークI/F218を介してWebアプリケーション410から受信する。そしてステップS503で、受信した画面情報に基づいてWebブラウザ420が操作部230に操作画面を表示する。
【0044】
このとき、ステップS503で表示される操作画面の例を図6に示す。
【0045】
メニュー画面600は、どの機能を利用するかユーザが選択するために操作部230に表示される操作画面である。ボタン601を押下することで、ユーザはコピー機能を利用することができる。また、ボタン602を押下することで、スキャン処理で取得した画像データをFTP送信するScan to FTP機能をユーザが利用することができる。さらに、ボタン603を押下することで、スキャン処理で取得した画像データをFAX送信するScan to FAX機能をユーザが利用することができる。
【0046】
コピー画面610は、メニュー画面600においてユーザによってボタン601が押下された場合に操作部230に表示される操作画面である。コピー画面610では、片面・両面スキャンの設定、N in 1の設定、拡大・縮小の設定を、それぞれボタン611〜613を押下することでユーザは行うことができる。また、実行ボタン614をユーザが押下することで、コピー処理が実行される。
【0047】
コピー設定画面620は、コピー画面610においてユーザによってボタン611が押下された場合に操作部230に表示される操作画面である。コピー設定画面620では、N in 1の設定としてユーザは1 in 1、2 in 1、4 in 1のいずれかをユーザが選択することができる。
【0048】
コピー設定画面620でユーザが2 in 1を設定すると、コピー画面630が操作部230に表示される。コピー画面610との違いは、N in 1の設定がユーザの操作によって2 in 1となっている点である。
【0049】
フローチャートの説明に戻る。ステップS504では、サービスプロバイダ430がWebアプリケーション410のロジック部412から処理部の準備処理指示情報を受信したか否かを、CPU211が判定する。CPU211によってサービスプロバイダ430は処理部の準備処理指示情報を受信していないと判定された場合は、本フローチャートが示す処理は終了する。一方、CPU211によってサービスプロバイダ430は処理部の準備処理指示情報を受信したと判定された場合は、ステップS505に進む。
【0050】
ステップS505では、ステップS504で受信した処理部の準備処理指示情報に基づいて処理部の準備処理を行う。具体的に説明すると、まずサービスプロバイダ430が受信した処理部の準備処理指示情報に含まれるコマンドを解析する。そして処理部の準備処理指示情報がプリンタ240への電力供給を示していれば、CPU211がスイッチ241をONにし、プリンタ240への電力供給を行う。
【0051】
また、ステップS504で受信した処理部の準備処理指示情報がプリンタ240の定着ローラーを所定の温度まで温めることを示していれば、CPU211がプリンタ240の定着ローラーが所定の温度になるように加熱制御を行う。
【0052】
このように、画像処理機能の実行指示を受信するより前に準備処理としてプリンタ240の定着ローラーの加熱制御を行うことができる。従って、実行指示を受信してからプリンタ240の定着ローラーの加熱制御を行うよりも、実行指示に基づく画像処理機能の実行を早く行うことができる。また、本実施形態では複数の準備処理を組み合わせることも可能である。
【0053】
次に、図5のステップS501でMFP101が送信した画面情報の要求を受信したWebサーバ102で実行される処理について、図7のフローチャートに示す。なお、ステップS701〜S705の各ステップは、Webサーバ102が備えるCPU311がROM312等のメモリに格納されたプログラムをRAM313に展開して実行することによって処理される。
【0054】
ステップS701では、プレゼンテーション部411がネットワークI/F315を介して受信した画面情報の要求を解析する。
【0055】
ステップS702では、ステップS701での解析の結果に応じて、MFP101に送信すべき画面情報をプレゼンテーション部411が生成する。具体的に説明すると、Webブラウザがコピー画面610を要求している場合には、コピー画面610を表示するための画面情報(例えばHTMLファイル)をプレゼンテーション部411が生成する。
【0056】
ステップS703では、ステップS702で生成した画面情報をプレゼンテーション部411がネットワークI/F315を介してWebブラウザ420に送信する。なお、本実施形態では画面情報を生成する構成としているが、画面情報を生成せずに、予めWebサーバ102のHDD314やROM312に用意されている画面情報を送信する構成にしても良い。
【0057】
ステップS704では、ステップS703で送信した画面情報に基づく操作画面において、処理部の準備処理をMFP101に指示するか否かをCPU311が判定する。この判定は図8の準備処理指示リストに基づいて行われる。
【0058】
ここで図8に示す準備処理指示リストの説明を行う。図8に示す準備処理指示リストは、Webサーバ102が生成する画面情報に基づいて表示される操作画面に対して、MFP101に準備処理を指示する処理部が設定されたリストである。図8に示す準備処理指示リストは、Webサーバ102のROM312やHDD314に格納される。
【0059】
準備処理指示リスト800によると、MFP101に準備処理を指示する処理部として、各操作画面に対してすべての処理部が設定されている。これは、ユーザが画面情報を要求している場合は何らかの画像処理機能が実行されると見なし、画像処理機能の実行前に予めすべての処理部の準備処理を行うことで、ユーザからの指示に応じてすぐに画像処理機能を実行できるようにするための設定である。
【0060】
ところで、本実施形態では準備処理として処理部への電力供給が行われるが、出来るだけ各処理部への電力供給をせずに省電力モードを維持して、消費電力を少なくしたいというユーザの要望もある。この要望に応える設定を準備処理指示リスト810に示す。
【0061】
準備処理指示リスト810によると、メニュー画面600では、ユーザがどの画像処理機能を実行するかわからないので準備処理を指示する処理部はなしと設定されている。また、コピー画面610及びコピー設定画面620では、コピー処理によってスキャナとプリンタが使用されることになる。従って、準備処理を指示する処理部としてスキャナとプリンタが設定されている。
【0062】
図示しないScan to FTP画面では、スキャナ250による読取処理で生成した画像データをFTP送信する。従って、準備処理を指示する処理部としてスキャナが設定されている。このとき、プリンタ240による印刷処理は行わないので、準備処理を指示する処理部としてプリンタは設定されていない。
【0063】
準備処理指示リスト810のような設定を行うことで、操作画面に関連する処理部に準備処理として電力供給を行い、操作画面に関連しない処理部には準備処理として電力供給を行わないようにできる。従って、準備処理指示リスト800の設定よりも消費電力を少なくすることができる。
【0064】
以上のように、準備処理指示リスト800のような設定を行うか、あるいは消費電力少なくすることを重視して準備処理指示リスト810のような設定を行うのかは、ユーザ(例えばWebサーバ102の管理者)によって自由に設定できる。
【0065】
図7のフローチャートの説明に戻る。ステップS704では、ステップS703で送信した画面情報に基づく操作画面において、処理部の準備処理をMFP101に指示するか否かをCPU311が判定する。本実施形態では、準備処理指示リスト810に基づいてCPU311が判定を行うこととする。
【0066】
ステップS703でメニュー画面600を表示するための画面情報を送信している場合、準備処理指示リスト810によると準備処理を指示する処理部はないことがわかる。従って、ステップS704で処理部の準備処理をMFP101に指示しないとCPU311が判定し、本フローチャートが示す処理を終了する。
【0067】
一方、ステップS703でコピー画面610を表示するための画面情報を送信している場合、準備処理指示リスト810によるとスキャナ250、プリンタ240が準備処理を指示する処理部であることが分かる。従って、ステップS704で処理部の準備処理をMFP101に指示するとCPU311が判定し、ステップS705に進む。
【0068】
ステップS705では、ステップS704での判定結果に基づいて、Webサーバ102のロジック部412が準備処理指示情報をMFP101のサービスプロバイダ430に送信する。このとき送信される準備処理指示情報には、MFP101が行う準備処理を特定するためのコマンドが含まれることになる。具体的に説明すると、準備処理としてスキャナ250とプリンタ240に電力供給を行うことを示すコマンドが、ステップS705で送信する準備処理指示情報に含まれる。ステップS705でロジック部412が準備処理指示情報をネットワークI/F315を介してサービスプロバイダ430に送信すると、本フローチャートが示す処理は終了する。
【0069】
なお、本実施形態では、Webサーバ102がMFP101に送信する準備処理指示情報に基づいてMFP101が行う準備処理の方法が決定されるが、次のような制御を行っても良い。即ち、準備処理指示情報には準備処理を行う処理部を特定するコマンドは含まれるが、準備処理の方法を特定するためのコマンドは含まれないようにしても良い。このような制御行った場合、サービスプロバイダ430は予めMFP101に設定されている準備処理を、準備処理指示情報で指示された処理部に対して行うことになる。
【0070】
次に、本実施形態において、Webブラウザ420が操作部230に表示する操作画面でのユーザの操作によって、ある画像処理機能の実行が指示された場合の処理手順について、図9のフローチャートに示す。なお、ステップS901〜S903の各ステップは、MFP101が備えるCPU211がROM212等のメモリに格納されたプログラムをRAM213に展開して実行することによって処理される。
【0071】
本フローチャートでは、例として操作部230にコピー画面610が表示されていて、ユーザがコピーの設定を入力して実行ボタン614を押下したとする。ステップS901では、実行ボタン614が押下されたことと、ユーザによって入力されたコピーの設定を示す情報とをWebブラウザ420がネットワークI/F218を介してWebアプリケーション410に通知する。
【0072】
ステップS902では、ステップS901で行った通知に対応する画像処理機能の実行指示を、サービスプロバイダ430がネットワークI/F218を介してWebアプリケーション410から受信する。
【0073】
ステップS903では、ステップS902で受信した実行指示に基づいてサービスプロバイダ430が画像処理機能を実行する。本フローチャートでは、コピー処理を実現するためにスキャナ250による読取処理と、プリンタ240による印刷処理とが実行されることになる。
【0074】
このように、画像処理機能の実行指示を受信するより前に準備処理(例えばプリンタ240とスキャナ250への電力供給)を行うことができる。従って、実行指示を受信してから準備処理を行うよりも、実行指示に基づく画像処理機能の実行を早く行うことができる。
【0075】
次に、図9のステップS901でMFP101が行った通知を受信したWebサーバ102で実行される処理について、図10のフローチャートに示す。なお、ステップS1000〜S1003の各ステップは、Webサーバ102が備えるCPU311がROM312等のメモリに格納されたプログラムをRAM313に展開して実行することによって処理される。
【0076】
本フローチャートでは、図9のフローチャートと同様に、例としてMFP101の操作部230にコピー画面610が表示されていて、ユーザがコピーの設定を入力して実行ボタン614を押下したとする。
【0077】
ステップS1001では、ネットワークI/F315を介してWebブラウザ420から受信した通知を、Webアプリケーション410のプレゼンテーション部411が解析する。
【0078】
ステップS1002では、ステップS1001での解析の結果に応じて、サービスプロバイダ430に送信すべき画像処理機能の実行指示を、Webアプリケーション410のロジック部412が生成する。本フローチャートでは、コピー処理を実現するためのスキャナ250による読取処理と、プリンタ240による印刷処理とをMFP101に実行させるための実行指示が生成される。
【0079】
ステップS1003では、ステップS1002で生成した画像処理機能の実行指示をロジック部412がネットワークI/F315を介してサービスプロバイダ430に送信する。
【0080】
以上の説明の通り、本実施形態によれば、操作画面でのユーザの操作に応じてWebサーバ102で生成された実行指示に基づいて処理部が画像処理機能を実行するよりも前に、当該処理部の準備処理を開始することができる。従って、実行指示を受信してから準備処理を行う場合よりも、画像処理機能の実行に要する時間を短縮することができる。
【0081】
(実施形態2)
実施形態1では、Webアプリケーション410はWebブラウザ420とサービスプロバイダ430それぞれに対して通信を行っている。これに対して本実施形態では、Webブラウザ420へのレスポンスに、サービスプロバイダ430に送信する画像処理機能の実行指示と、準備処理指示情報とをスクリプトを埋め込んで送信することを特徴とする。
【0082】
図11は本実施形態における画像処理システム全体のソフトウェア構成を示す図である。図11に示すソフトウェア機能は、図2、図3で示したMFP101、Webサーバ102のそれぞれに備えられているCPUが制御プログラムを実行することにより実現される。なお、図4と同じ符号のものはそれぞれ図4と同様なので、説明は省略する。
【0083】
プレゼンテーション部1102は、Webブラウザ420を介して入力されたユーザの指示内容の通知をネットワークI/F315を介してWebブラウザ420から受信する。すると、ロジック部1103は、当該通知に対応する画像処理機能の実行指示もしくは準備処理指示情報を、プレゼンテーション部1102がWebブラウザ420に送信するHTTPレスポンスにスクリプトとして埋め込む。そしてプレゼンテーション部1102は、当該HTTPレスポンスをネットワークI/F315を介してWebブラウザ420に送信する。
【0084】
Webブラウザ420のスクリプト実行部1101は、HTTPレスポンスに埋め込まれたスクリプトを実行し、スクリプトの実行結果に応じて画像処理機能の実行指示もしくは処準備処理指示情報をサービスプロバイダ430に送信する。サービスプロバイダ430は受信した画像処理機能の実行指示、もしくは準備処理指示情報に基づいて、実施形態1と同様の処理を実行する。
【0085】
以上の通り、本実施形態によれば、Webアプリケーション410がサービスプロバイダ430に行う通信が、Webブラウザ420に対するHTTPレスポンスに含まれることになる。従って、Webサーバ102とMFP101との間にファイアーウォールが存在していたとしても、通信を行うことが可能となる。
【0086】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0087】
101 MFP
102 Webサーバ
211 CPU
230 操作部
240 プリンタ
250 スキャナ
260 電源部
410 Webアプリケーション
420 Webブラウザ
430 サービスプロバイダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像処理機能を備える画像処理装置であって、
前記画像処理機能を実行する処理手段と、
画面情報を外部装置から取得する取得手段と、
前記画面情報に基づいて操作画面を表示するWebブラウザと、
前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報を前記外部装置から受信する第1の受信手段と、
前記準備処理指示情報に基づいて準備処理を行う準備処理手段と、
前記画像処理機能の実行を指示する実行指示であって、前記操作画面でのユーザの操作に応じて前記外部装置で生成された実行指示を、前記準備処理手段が準備処理を開始した後に当該外部装置から受信する第2の受信手段と、
前記実行指示に基づいて前記処理手段に前記画像処理機能を実行させる制御手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記処理手段は、通常電力モード又は当該通常電力モードよりも消費電力が小さい省電力モードのいずれかで動作することが可能であって、
前記準備処理手段は、準備処理として当該処理手段が前記省電力モードで動作している状態から前記通常電力モードで動作する状態へと移行させることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記準備処理指示情報には、準備処理を行う処理手段を示す情報が含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記準備処理を行う処理手段は、前記操作画面を操作することで利用できる画像処理機能を実行する処理手段であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記準備処理指示情報には、準備処理として行う処理の内容を示す情報が含まれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記準備処理指示情報は、前記取得手段が前記画面情報と共に取得することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記画面情報はHTMLファイルであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記処理手段は、画像データに基づいて印刷を行う印刷手段、あるいは原稿を読み取り画像データを生成する読取手段のいずれかであることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
画像処理機能を実行する処理手段を備える画像処理装置と通信可能なサーバ装置であって、
前記画像処理装置から処理の要求を受信する受信手段と、
前記処理の要求が画面情報の要求である場合は、前記画面情報の要求に対応する画面情報と、前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報とを、前記画像処理装置に送信する第1の送信手段と、
前記処理の要求が、前記画像処理装置でのユーザの操作によって前記画像処理機能の実行が指示されたことを示す要求であった場合は、当該画像処理機能の実行を指示する実行指示を、当該画像処理装置に送信する第2の送信手段とを備えることを特徴とするサーバ装置。
【請求項10】
前記準備処理指示情報には、準備処理を行う前記処理手段を示す情報が含まれることを特徴とする請求項9に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記処理手段を示す情報は、前記画面情報に基づく操作画面を操作することで利用できる画像処理機能を実行する処理手段を示す情報であることを特徴とする請求項10に記載のサーバ装置。
【請求項12】
前記準備処理指示情報には、準備処理として行う処理の内容を示す情報が含まれることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項13】
前記処理手段は、通常電力モード又は当該通常電力モードよりも消費電力が小さい省電力モードのいずれかで動作することが可能であって、
前記準備処理指示情報には、準備処理として前記処理手段が前記省電力モードで動作している状態から前記通常電力モードで動作する状態へと移行させる情報が含まれることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項14】
前記第1の送信手段が送信する画面情報は、HTMLファイルであることを特徴とする請求項9乃至13のいずれか1項に記載のサーバ装置。
【請求項15】
画像処理機能を備える画像処理装置の制御方法であって、
前記画像処理機能を処理手段に実行させる処理ステップと、
画面情報を外部装置から取得する取得ステップと、
前記画面情報に基づいて操作画面をWebブラウザに表示する表示ステップと、
前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報を前記外部装置から受信する第1の受信ステップと、
前記準備処理指示情報に基づいて準備処理を行う準備処理ステップと、
前記画像処理機能の実行を指示する実行指示であって、前記操作画面でのユーザの操作に応じて前記外部装置で生成された実行指示を、前記準備処理ステップで準備処理を開始した後に当該外部装置から受信する第2の受信ステップと、
前記実行指示に基づいて前記処理手段に前記画像処理機能を実行させる制御ステップとを備えることを特徴とする画像処理装置の制御方法。
【請求項16】
請求項15に記載の画像処理装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項17】
画像処理機能を実行する処理手段を備える画像処理装置と通信可能なサーバ装置の制御方法であって、
前記画像処理装置から処理の要求を受信する受信ステップと、
前記処理の要求が画面情報の要求である場合は、前記画面情報の要求に対応する画面情報と、前記処理手段が前記画像処理機能を実行するための準備処理を行うように指示する準備処理指示情報とを、前記画像処理装置に送信する第1の送信ステップと、
前記処理の要求が、前記画像処理装置でのユーザの操作によって前記画像処理機能の実行が指示されたことを示す要求であった場合は、当該画像処理機能の実行を指示する実行指示を、当該画像処理装置に送信する第2の送信ステップとを備えることを特徴とするサーバ装置の制御方法。
【請求項18】
請求項17に記載のサーバ装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−129822(P2012−129822A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279886(P2010−279886)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】