説明

画像処理装置、同装置における画像ログの処理方法および同処理プログラム

【課題】画像ログの保存領域を圧迫するのを抑制でき、しかもセキュリティ担当者の負担も軽減可能な画像処理装置等を提供する。
【解決手段】文書データ保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザと、該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかが判断され、出力ユーザと文書データの作成ユーザのいずれもが画像ログの保存対象者であると判断された場合、自装置内の画像ログ保存手段あるいは外部の画像ログ保存装置に保存される。出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合にも、画像ログが保存される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存が可能な、または外部の保存装置へ画像ログを送信可能な画像処理装置、および同装置における画像ログの処理方法および同処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタあるいは複写機能、プリンタ機能などの複数の機能を有する多機能デジタル画像形成装置であるMFP(Multi Function Peripherals)などの画像処理装置として、セキュリティ確保のために、プリント等により出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログを作成して、自装置の画像ログ格納部に保存したり、ネットワークを介して外部の画像ログ保存装置であるサーバに送信できる構成のものが、従来より知られている。
【0003】
しかし、ユーザが出力を行った画像のすべてを画像ログとして保存したりサーバに保存させると、自装置やサ−バの記憶領域が圧迫される他に、セキュリティ担当者が画像ログを調査する手間が増大してしまう。
【0004】
そこで、例えば新入社員等、情報漏洩のおそれがあるようなユーザに限って画像ログを保存するといったように、ユーザ毎に画像ログの保存が必要か否かを判断する技術が提案されている。
【0005】
また、文書に管理レベルを付加し、その管理レベルに応じて画像ログの保存の必要性を判定する技術、具体的には、扱う文書毎に機密度合いに応じてセキュリティレベルを付加し、セキュリティレベルの高い文書ならば画像ログを保存するようにした技術も知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−118095号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上述したように、ユーザ毎に画像ログの必要性を判断している場合、機密漏洩のおそれがないと決めてしまい、画像ログ保存対象のユーザでない者であっても、機密が入った文書を出力してしまうことが考えられる。
【0008】
例えば、厳重にセキュリティが管理されておらず、機密情報か否かをユーザが独自に判断している環境においては、例えば画像ログ保存対象でないユーザのグループに新しく別のユーザが加入し、その別のユーザを画像ログ保存対象者として、当人の行うジョブの画像ログを保存するようにした場合、その別のユーザは、所属が変わったことで扱う情報が馴染みのないものとなり、機密情報を知らずに文書に記載することで、機密が含まれた文書を作成してしまうおそれがある。
【0009】
そして、画像ログ保存対象でないユーザが、グループメンバーの作成した文書をまとめてプリントし会議に持参する担当者であった場合、前記別のユーザが作成した機密情報入りの文書をプリントしたとしても、画像ログは作成保存されないので、セキュリティが確保されないおそれがある。
【0010】
また、前記特許文献1のように、文書毎のセキュリティレベルから画像ログの必要性を判断する技術においては、文書作成時に文書の内容をチェックして管理レベルをいずれのレベルにするかを設定しなければならず、煩雑な作業を強いられることとなる。また、文書作成者が機密対象を熟知していないことを考慮すると、このような作業を第三者に依存しなければならなくなる。
【0011】
さらに、例えば地紋等の手段によってセキュリティレベルを文書に埋め込む必要があれば、大量の文書を扱う環境ではなかなか対応しきれないという問題がある。
【0012】
この発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、画像ログの保存領域を圧迫するのを抑制でき、しかもセキュリティ担当者の負担も軽減可能な画像処理装置および同装置における画像ログの処理方法を提供し、さらには前記画像ログの処理方法を画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像ログの処理プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
(1)出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、前記文書データ保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定手段と、前記出力ユーザ特定手段により特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断手段と、前記判断手段により、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部の画像ログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御手段と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
(2)前記特定のキー入力は、前記出力される文書データの内容を出力ユーザが確認できるように、前記操作パネル部の表示部に前記文書データを表示するためのキー入力である前項1に記載の画像処理装置。
(3)前記特定のキー入力が行われたことを記憶する記憶手段を備えており、前記登録手段に登録された画像ログの保存対象者が作成した文書データを、画像ログの保存対象者でない出力ユーザが出力するために特定のキー入力が行われたことが前記記憶手段に記憶されている場合には、前記制御手段は、画像ログの保存対象者でない他の出力ユーザが同一の文書データを出力する際の前記特定のキー入力がなされなくても、画像ログの保存または画像ログ保存装置への送信は行わない前項1または2に記載の画像処理装置。
(4)前記制御手段は、画像ログの保存対象者でない出力ユーザによって前記特定のキー入力が行われた文書データであることを示す表示を、操作パネル部の表示部に表示する前項3に記載の画像処理装置。
(5)前記登録手段に登録された画像ログの保存対象者が作成した文書データを、いずれのユーザに対しても出力禁止に設定できる出力禁止設定手段を備えている前項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
(6)前記出力禁止設定手段により文書データの出力禁止が設定された際、画像ログの管理者に出力禁止が設定された文書データの存在を通知する通知手段を備えている前項5に記載の画像処理装置。
(7)出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、を備えた画像処理装置における画像ログの処理方法であって、前記保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定ステップと、前記出力ユーザ特定ステップにおいて特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部のログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御ステップと、を備えていることを特徴とする画像ログの処理方法。
(8)出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、を備えた画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像ログの処理プログラムであって、前記保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定ステップと、前記出力ユーザ特定ステップにおいて特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部のログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御ステップと、を前記コンピュータに実行させるための画像ログの処理プログラム。
【発明の効果】
【0014】
前項(1)に記載の発明によれば、文書データ保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザと、該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかが判断され、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合には、画像ログが作成され、自装置内の画像ログ保存手段あるいは外部の画像ログ保存装置に保存される。
【0015】
また、出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合にも、画像ログが作成され、自装置内の画像ログ保存手段あるいは外部の画像ログ保存装置に保存される。つまり、画像ログ保存対象者として登録手段に登録されていない出力ユーザが特定のキー入力を行った場合には、該出力ユーザによって文書データに機密情報が含まれていないことが確認されたものとみなして、画像ログを保存せず、確認されたかった場合、換言すれば出力ユーザが特定のキー入力を行わなかった場合に、画像ログを保存する。
【0016】
これにより、画像ログの保存対象者によって作成された文書データの出力時に、すべて画像ログを保存する必要がなくなり、文書データのセキュリティを確保しつつ、自装置内の保存手段あるいは外部保存装置の保存領域の圧迫を抑制できるとともに、文書データのセキュリティレベルの設定等の繁雑な作業は不要となり、セキュリティ担当者の負担も軽減可能となる。
【0017】
前項(2)に記載の発明によれば、出力ユーザが特定のキー入力を行えば、操作パネル部の表示部に文書データの内容が表示されるので、ユーザは、その文書に機密内容があるか否かを速やかに確認することがでできる。
【0018】
前項(3)に記載の発明によれば、画像ログの保存対象者が作成した文書データを、画像ログの保存対象者でない出力ユーザが出力するために特定のキー入力が行われると、これが記憶手段に記憶され、以降は特定のキー入力は不要となるから、処理の簡略化を図ることができる。
【0019】
前項(4)に記載の発明によれば、画像ログの保存対象者でない出力ユーザによって前記特定のキー入力が行われた文書データであることを示す表示が、操作パネル部の表示部に表示されるから、出力ユーザは過去に特定のキー入力が行われた文書データであることを容易に認識できる。
【0020】
前項(5)に記載の発明によれば、画像ログの保存対象者が作成した文書データを、いずれのユーザに対しても出力禁止に設定でき、さらなるセキュリティの確保が可能となる。
【0021】
前項(6)に記載の発明によれば、画像ログの管理者は、出力が禁止に設定された文書データの存在を速やかに知ることができ、これにより文書の削除等の処理が可能となる。
【0022】
前項(7)に記載の発明によれば、画像ログの保存対象者によって作成された文書データの出力時に、すべて画像ログを保存する必要がなくなり、文書データのセキュリティを確保しつつ、自装置内の保存手段あるいは外部保存装置の保存領域の圧迫を抑制できるとともに、文書データのセキュリティレベルの設定等の繁雑な作業は不要となり、セキュリティ担当者の負担も軽減可能となる。
【0023】
前項(8)に記載の発明によれば、画像ログの保存対象者によって作成された文書データの出力時に、すべて画像ログを保存する必要をなくし、文書データのセキュリティを確保しつつ、自装置内の保存手段あるいは外部保存装置の保存領域の圧迫を抑制できる処理を、画像処理装置のコンピュータに実行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態に係る画像処理装置としてのMFPが用いられた画像ログ管理システムを示す構成図である。
【図2】同じくMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図3】画像ログ保存対象者のリストである。
【図4】MFPで文書データを出力する際に、該文書データの画像ログをサーバに対して送信するか否かの判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】操作パネル部の表示部に表示された文書データ選択画面を示す図である。
【図6】図5の選択画面で選択された文書データについて、特定のキー入力を行い文書データの縮小画像であるサムネールを表示した画面である。
【図7】図5の選択画面で選択された文書データについて、特定のキー入力を行い文書データの拡大画像を表示した画面である。
【図8】この発明の他の実施形態を示すもので、 MFPで文書データを出力する際に、該文書データの画像ログをサーバに対して送信する判断処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】特定のキー入力が行われた文書データを他と区別して表示した画面である。
【図10】文書データの縮小画像であるサムネール表示画面に出力禁止ボタンを設けた例を示す図である。
【図11】文書データの拡大画像の表示画面に出力禁止ボタンを設けた例を示す図である。
【図12】出力禁止を指示した文書が明示された状態の保存文書一覧の表示画面である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0026】
図1は、この発明の一実施形態に係る画像形成装置としての多機能デジタル画像形成装置(MFP)が用いられた画像ログ管理システムを示す構成図である。
【0027】
図1において、この画像ログ管理システムは、MFP1と、MFP1を使用できる複数のユーザのそれぞれに対応した複数のユーザ端末2・・・と、管理サーバ3とを備えており、これらMFP1、ユーザ端末2・・・、および管理サーバ3は、LAN等のネットワーク4を介して接続されている。
【0028】
前記MFP1は、ユーザがログインして原稿を複写したり、ユーザ端末2から送信されたプリントデータをプリントしたりする機能やFAX機能等を有している。
【0029】
前記ユーザ端末2は、例えばパーソナルコンピュータ(PCという)で構成されている。
【0030】
前記管理サーバ3は、MFP1で文書データ(画像データを含む)が出力されたときに、文書データの作成ユーザや出力ユーザに応じてMFP1により作成され、MFP1から送信されてきた文書データの画像ログを、保存し管理するものである。
【0031】
図2は、前記MFP1の電気的構成を示すブロック図である。
【0032】
図2において、このMFP1は、CPU11と、ROM12と、RAM13と、操作パネル部14と、スキャナ部15と、記憶部16と、プリント部17と、外部インターフェース(I/F)部18と、認証装置19等を備えている。
【0033】
前記CPU11は、MFP1の全体の動作を統括的に制御するほか、この実施形態では特に、文書データを記憶部16に保存する際に、文書データを作成したユーザと関連付けて保存したり、この文書データを作成したユーザや文書データを出力するユーザ等を特定したり、該ユーザが予め登録された画像ログ保存対象ユーザであるかどうかを判断したり、文書データが出力された際に、画像ログをサーバ3に送信するかどうかを制御したりする機能を備えている。
【0034】
前記R0M12は、CPU11の動作プログラムが格納されたメモリである。
【0035】
前記RAM13は、CPU11に対して動作領域を提供するメモリである。
【0036】
前記操作パネル部14は、キ−部141と表示部142とを備えている。キー部141は、テンキー、スタートキー、電源スイッチ(ボタン)等を含んでおり、ユーザが各種入力を行うために使用される。前記表示部142は、例えばタッチパネル式の液晶表示装置からなり、各種メッセージや保存されている文書データのリスト、画像ログ保存対象ユーザのリスト等を表示可能である。
【0037】
前記スキャナ部15は、原稿の画像をスキャンして画像データを出力する読取り手段である。
【0038】
前記記憶部16は、例えばハードディスクドライブ(HDD)からなり、ユーザによって作成された1個または複数個の文書データが、文書データの作成者と関連付けられて保存されるとともに、その他各種データやアプリケーションが保存されている。また、この実施形態では、前記記憶部16には、画像ログの保存対象ユーザが予め登録されている。
【0039】
前記プリント部17は、スキャナ部15で読み込まれた原稿の画像データやPC2からのプリントデータをジョブ条件に従ってプリントするものである。
【0040】
前記外部IF部18は、前記PC2や管理サーバ3等との間でネットワーク4を介してデータの授受を司る送受信手段として機能するものである。
【0041】
前記認証装置19は、MFP1を使用するユーザを特定するものである。
【0042】
図3は、記憶部16に登録されている画像ログ保存対象者のリストを示すものである。このリストには、ユーザの氏名・所属・従業員番号といったユーザA,B,C・・・に関する情報と、ユーザが作成し、MFP1に保存されている文書の数が記載されている。例えば、ユーザAについては、従業員番号が「1111」、所属が「○○課1Gr」、保存文書数が「10」となっている。
【0043】
図4は、MFP1に保存された文書データをたとえばプリント等により出力する際に、該文書データの画像ログをサーバ3に対して送信するか否かの判断処理の流れを示すフローチャートである。
【0044】
なお、この処理はCPU11がROM12等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0045】
図4において、ステップS00では、ユーザがMFP1の操作を開始する。操作時にMFP1でユーザ認証が行われ、MFP1を使用するユーザ名が特定され認証が成功すると、ユーザのログインを許可し、ユーザがボックスに保存されている文書データの中から出力したい文書データを選択すると、これを受け付ける。
【0046】
ステップS01では、選択した文書データの作成者が、画像ログ保存対象者として記憶部16に登録されているか否かを判断する。
【0047】
ここでいう文書作成者とは、原稿画像等の文書をMFP1のスキャナ部15でスキャンしてMFP1に保存した者、PC2または可搬性記憶媒体を接続してMFP1に保存した者、FAXやE−mail等の送信手段によってMFP1に保存した者等を指し、これらの操作を行った時にログイン情報から特定する。
【0048】
予め登録された画像ログ保存対象者は、機密情報が含まれる文書を作成してしまうおそれのあるユーザであり、例えば新入社員や組織に最近加入した者等がこれにあたる。登録は管理者によって行われるものとする。
【0049】
文書データの作成者が画像ログ保存対象者リストに登録されていれば(ステップS01でYES)、ステップS02に進む。文書データの作成者がリストに登録されていなければ(ステップS01でNO)、ステップS04に進み、出力時に画像ログを管理サーバ3に送信しないものと判断する。
【0050】
ステップS02では、現在ログインして文書データの出力を行おうとしているユーザ(出力ユーザ)が画像ログ保存対象者リストに登録されているか否かを判断する。登録されていなければ(ステップS02でNO)、ステップS03に進む。
【0051】
登録されていれば(ステップS02でYES)、ステップS05では、文書出力時に画像ログを管理サーバ3に送信するものと判断する。
【0052】
ステップS03では、出力ユーザが文書データの出力前に特定のキー入力を行ったか否かを判断する。この実施形態では、特定のキー入力とは、文書データをその内容がわかる表示(図6のサムネール表示や図7の拡大表示)に切り換えるための、図5に示す表示切替キー21、拡大表示キー22を押下することである。
【0053】
文書データの出力前に出力ユーザが特定のキー入力を行っていれば(ステップS03でYES)、ステップS04に進み、出力時に画像ログを送信しないものと判断する。文書データの出力前に出力ユーザが特定のキー入力を行っていなければ(ステップS03でNO)、ステップS05で、出力時に画像ログを管理サーバ3に送信するものと判断する。
【0054】
図5は、出力ユーザが文書データを出力する際に、操作パネル部14の表示部142に表示された文書データの選択画面D1を示す図である。この画面では、記憶部16に保存されている文書データの名称一覧(doc1、doc2・・・・)と、表示切替キー21、拡大表示キー22、決定キー23等が表示されている。
【0055】
出力ユーザは、表示された文書データの名称一覧から、出力させたい文書データを選択し、「文書名称のボタン」(例えば図5では斜線を付された「No1、doc1」)を押下し、決定キー23を押下すれば、出力する文書データが決定される。
【0056】
また、図5の画面D1の表示切替キー21を押下することにより、図6に示すように文書データの縮小画像であるサムネールの表示画面D2に遷移させることができる。サムネールを表示することで、ユーザは文書の内容を把握することができる。
【0057】
図5の画面D1または図6の画面D2において、ユーザが出力したい文書を選択し、拡大表示キー22を押下することにより、図7に示す画面D3に遷移し、文書データが拡大表示される。これにより、ユーザは文書中の文字や図の詳細を知ることができる。
【0058】
図4のフローチャートのステップS03において、出力ユーザによって表示切替キー21あるいは拡大表示キー22が押下されて、出力対象の文書データがサムネール表示あるいは拡大表示に切り換え操作された際、該ユーザによって文書データの確認がなされ、安全であることが確定されたものとみなして、画像ログを送信しない。一方、表示切替キー21あるいは拡大表示キー22が押下されなかった場合、文書データの確認がなされなかったものとみなして、画像ログを管理サーバ3に送信する。
【0059】
このように、この実施形態では、出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、記憶部16に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部14から特定のキー入力が行われることで、該出力ユーザによって文書データに機密情報が含まれていないことが確認されたものとみなして、画像ログを管理サーバ3に送信せず、確認されたかった場合、換言すれば出力ユーザが特定のキー入力を行わなかった場合に、画像ログを送信するから、画像ログの保存対象者によって作成された文書データの出力時に、すべて画像ログを保存する必要がなくなり、文書データのセキュリティを確保しつつ、管理サーバ3の保存領域(記憶容量)の圧迫を抑制できるとともに、文書データのセキュリティレベルの設定等の繁雑な作業は不要となり、セキュリティ担当者の負担も軽減可能となる。
【0060】
図8は、この発明の他の実施形態を示すもので、図4のフローチャートに対応する処理を示すフローチャートである。
【0061】
なお、この処理はCPU11がROM12等に格納された動作プログラムに従って動作することにより実行される。
【0062】
この実施形態では、図3のステップS03における、画像ログ保存対象者として登録されていない出力ユーザにより特定のキー入力がなされたことを、MFP1の記憶部16に記憶しておき、以後は再度の特定のキー入力操作がなされなくても、その文書データはセキュリティが確保されたものとみなして、出力時の画像ログの保存を行わないように構成したものである。
【0063】
図8において、ステップS10では、ユーザがMFP1の操作を開始する。操作時にMFP1でユーザ認証が行われ、MFP1を使用するユーザ名が特定され認証が成功すると、ユーザのログインを許可し、ユーザがボックスに保存されている文書データの中から出力したい文書データを選択すると、これを受け付ける。
【0064】
ステップS11では、選択した文書データの作成者が、画像ログ保存対象者として記憶部16に登録されているか否かを判断する。
【0065】
文書データの作成者が画像ログ保存対象者リストに登録されていれば(ステップS11でYES)、ステップS02に進み、文書データの作成者がリストに登録されていなければ(ステップS11でNO)、ステップS15に進み、出力時に画像ログを管理サーバ3に送信することなく処理を終了する。
【0066】
ステップS12では、現在ログインして文書データの出力を行おうとしているユーザ(出力ユーザ)が画像ログ保存対象者リストに登録されているか否かを判断する。登録されていなければ(ステップS12でNO)、ステップS13に進む。
【0067】
登録されていれば(ステップS12でYES)、ステップS16では、文書出力時に画像ログを管理サーバ3に送信するものと判断する。
【0068】
ステップS13では、選択した文書データについて、過去にいずれかの出力ユーザが文書データの出力前に特定のキー入力(図6のサムネール表示や図7の拡大表示への切り替え)を行ったことが、記憶部16に記憶されているか否かを判断する。記憶されていれば(ステップS13でYES)、再度の特定キー入力を要することなくステップS15に進み、画像ログを管理サーバ3に送信しないものと判断する。
【0069】
選択した文書データについて、過去にいずれかの出力ユーザが文書データの出力前に特定のキー入力を行ったことが、記憶部16に記憶されていなければ(ステップS13でNO)、ステップS14で、現在の出力ユーザによって特定のキー入力が行われたかどうかを判断する。
【0070】
出力ユーザが特定のキー入力を行っていれば(ステップS14でYES)、ステップS15に進み、出力時に画像ログを送信しないものと判断する。文書データの出力前に出力ユーザが特定のキー入力を行っていなければ(ステップS14でNO)、ステップS16で、出力時に画像ログを管理サーバ3に送信するものと判断する。
【0071】
このように、この実施形態では、画像ログの保存対象者が作成した文書データを、画像ログの保存対象者でない出力ユーザが出力するために特定のキー入力が過去に行われていれば、以降は特定のキー入力は不要となるから、処理の簡略化を図ることができる。
【0072】
なお、出力ユーザによる文書データの選択に際して、操作パネル部14の表示部142には図9に示す選択画面が表示されるが、過去に特定のキー入力が行われている文書についてはその旨を示す表示がなされている。たとえば、図9では、文書名「doc1」の文書データが過去に特定のキー入力が行われた文書であるとすると、「doc1」の「No」の欄に、過去に特定のキー入力が行われている旨を示す「◎」が付されている。
【0073】
この表示により、すでに確認済みであることをユーザに示し、文書データを出力する際の確認の手間を省くことができる。
【0074】
また、この実施形態では、図4のステップS03または図8のステップS14において、出力ユーザによって特定のキー入力が行われた際、文書に機密情報が含まれていたことを該ユーザが確認した場合には、ユーザによって文書の出力を禁止する設定が可能となされている。
【0075】
つまり、図10のサムネール表示画面D4および図11の拡大表示画面D5に示すように、それぞれ出力禁止ボタン30を設け、それぞれ出力禁止ボタン30を押下することにより、対象の文書データの出力を禁止する。出力を禁止された文書データは、どのユーザであっても出力が禁止されるものとなされている。
【0076】
たとえば、文書名称「doc2」の文書データが出力禁止に設定されたとする。この時、図12の画面D11に示す文書データの選択画面D11において、出力禁止となったことが一目で分かるように「doc2」の文書データを、例えばグレーアウトにして表示を変えるようにしてもよい。
【0077】
また、文書の出力禁止が設定された場合、そのことがMFP1から画像ログの管理者に通知されるようにするのが好ましい。この通知を受けて管理者が文書データをチェックし、機密を確認した上で文書の削除あるいは出力禁止の解除等の操作を行うことができる。管理者への通知は、外部I/F部18を介した電子メールにより行われてもよいし、図示しないFAX送信部によるFAXにて行われてもよい。
【0078】
また、以上説明した実施形態では、画像ログを管理サーバ3に送信し管理サーバ3で保存するものとしたが、MFP1が自機内の記憶部16等に記憶保存する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
1 画像処理装置(MFP)
3 管理サーバ(外部保存装置)
11 CPU
14 操作パネル部
16 記憶部
18 外部I/F部
19 認証装置
21 表示切替キー
22 拡大表示キー
30 出力禁止ボタン
142 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、
1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、
前記文書データ保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定手段と、
前記出力ユーザ特定手段により特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部の画像ログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記特定のキー入力は、前記出力される文書データの内容を出力ユーザが確認できるように、前記操作パネル部の表示部に前記文書データを表示するためのキー入力である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記特定のキー入力が行われたことを記憶する記憶手段を備えており、
前記登録手段に登録された画像ログの保存対象者が作成した文書データを、画像ログの保存対象者でない出力ユーザが出力するために特定のキー入力が行われたことが前記記憶手段に記憶されている場合には、前記制御手段は、画像ログの保存対象者でない他の出力ユーザが同一の文書データを出力する際の前記特定のキー入力がなされなくても、画像ログの保存または画像ログ保存装置への送信は行わない請求項1または2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記制御手段は、画像ログの保存対象者でない出力ユーザによって前記特定のキー入力が行われた文書データであることを示す表示を、操作パネル部の表示部に表示する請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記登録手段に登録された画像ログの保存対象者が作成した文書データを、いずれのユーザに対しても出力禁止に設定できる出力禁止設定手段を備えている請求項1〜4のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記出力禁止設定手段により文書データの出力禁止が設定された際、画像ログの管理者に出力禁止が設定された文書データの存在を通知する通知手段を備えている請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、を備えた画像処理装置における画像ログの処理方法であって、
前記保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定ステップと、
前記出力ユーザ特定ステップにおいて特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部のログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御ステップと、
を備えていることを特徴とする画像ログの処理方法。
【請求項8】
出力された画像を含む出力ログ情報である画像ログの保存対象者が予め登録されている登録手段と、1個または複数個の文書データをその作成ユーザの情報と関連づけて保存する文書データ保存手段と、を備えた画像処理装置のコンピュータに実行させるための画像ログの処理プログラムであって、
前記保存手段に保存されたいずれかの文書データを出力する出力ユーザを特定する出力ユーザ特定ステップと、
前記出力ユーザ特定ステップにおいて特定された出力ユーザ及び該ユーザが出力する文書データの作成ユーザが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、出力ユーザと該出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのいずれもが前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者であると判断された場合、および出力ユーザが出力する文書データの作成ユーザのみが、前記登録手段に登録されている画像ログの保存対象者と判断され、かつ出力ユーザにより操作パネル部上から特定のキー入力が行われなかった場合に限って、前記画像ログを自装置内部のログ保存手段に保存し、または送信手段を介して外部の画像ログ保存装置へ送信する制御ステップと、
を前記コンピュータに実行させるための画像ログの処理プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−239041(P2011−239041A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106803(P2010−106803)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】