説明

画像処理装置、画像処理システム

【課題】不要な色調変換を抑制して画像出力機器の色調を補正することができる画像処理装置を提供すること。
【解決手段】読み取り装置601が第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと、読み取り装置が第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データの、画像位置をあわせる幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段42と、原稿画像データに色調変換パラメータを用いて色調変換を施し中間画像データを生成する色調変換手段47と、第一の出力画像データと第二の出力画像データの色差情報を取得する色差情報取得手段52又は距離情報を取得する距離情報取得手段と、中間画像データの画素又は画素ブロック毎に、前記色差情報又は距離情報による重み値を決定する重み決定手段54と、原稿画像データと重み値により重み付けされた中間画像データを合成する画像データ合成手段55と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第二の画像出力手段が色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換することで、第二の画像出力手段が出力した第二の出力結果において、第一の画像出力手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を再現する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機やディスプレイなどの画像出力機器では、原稿の画素値に従って印刷されていることが要求される。このため、原稿の画素値と、例えば測色機が印刷物から計測した画素値を比較して、画像出力機器のカラープロファイルを更新する作業が行われることがある。カラープロファイルの更新時には、画像出力機器が、画素値が既知のカラーチャートを出力し、そのカラーチャートをスキャナなどの測色機で測色して、両者を比較し比較結果に基づき画像出力機器のカラープロファイルを更新する方法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のカラープロファイルの更新方法は、基準のカラーチャートの印刷物が得られない状況下では遂行できない。これは、上述したようにある画像出力機器の出力の色調を別の画像出力機器の色調に合わせる場合、双方が同じカラーチャートを出力する必要があるためである。しかし、現実には、基準となる画像出力機器がカラーチャートを出力できないケースや基準となる画像出力機器がカラーチャートを印刷した印刷物を、カラープロファイルを更新する側の画像出力機器が入手できないケースがある。
【0004】
例えば、印刷業者が顧客から印刷業務を受注した際に、顧客のプリンタの出力結果に色調を合わせるように要求されるケースである。顧客側でカラーマネージメントが適切に行われていれば、印刷業者はこの様な条件下でも顧客の要求に応えることは可能である。しかしながら、顧客がカラーマネージメントに精通していないケースも少なくない。
【0005】
ところで、印刷業者が適切な手順でカラープロファイルを更新したとしても、適切なカラープロファイルが得られない場合がある。
【0006】
このような場合の一例としては、カラープロファイルを更新する際に、元々色が合っていた色についても色調変換を加えてしまうことや、本来無彩色であるべき色に色調変換を行うことで色がついてしまったりする場合が挙げられる。これは、画像全体に一括して色調変換処理を行うと、元々色がずれていた部分の色が合うようになるが、逆に元々色があっていた部分の色がずれてしまうことがあるためである。また、特定の色成分に対し他の色成分と同様の色調変換がされてしまうと、本来無彩色であるべき部分に色がついてしまうことがあるためである。
【0007】
具体例を挙げれば、全体的に青い部分の色が濃く出力されるプリンタ(例えば印刷業者側の)に対して、この傾向を打ち消すために青味を抑える色調変換を施すようにカラープロファイルをプリンタが更新したとする。すると、元の原稿画像データは青成分が弱くなるため元々白い部分が黄色っぽく変化してしまう。原稿画像データで白い部分は、プリンタで出力された際にインクやトナーが乗らないことから、本来であれば用紙の色がそのまま見えるはずである。しかし、プリンタが、白い部分が黄色っぽくなった原稿画像データを出力すると、出力結果でも用紙の上に黄色が形成されてしまうのである。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑み、不要な色調変換を抑制して画像出力機器の色調を補正することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、第一の画像出力手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力手段が色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換し出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置であって、読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データの、画像位置をあわせる幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、前記原稿画像データに前記色調変換パラメータを用いて色調変換を施し中間画像データを生成する色調変換手段と、画素又は画素ブロック毎に、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの色差情報を取得する色差情報取得手段、又は、画素若しくは画素ブロック毎又は色ごとに前記原稿画像データ、第一の出力画像データ若しくは第二の出力画像データの無彩色からの距離情報を取得する距離情報取得手段と、前記中間画像データの画素又は画素ブロック毎に、前記色差情報又は前記距離情報の少なくとも一方による重み値を決定する重み決定手段と、前記原稿画像データと、前記重み値により重み付けされた前記中間画像データの対応する画素の画素値を算術処理することで前記原稿画像データと前記中間画像データとを合成する画像データ合成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
不要な色調変換を抑制して画像出力機器の色調を補正することができる画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態の色調変換の概略を説明する図の一例である。
【図2】本実施形態の色調変換の概略を説明する図の一例である。
【図3】色aとbの関係を模式的に説明する図の一例である。
【図4】色調変換特性を模式的に説明する図の一例である。
【図5】色調変換パラメータ生成システムの構成図の一例である。
【図6】色調変換の手順の概念図の一例である。
【図7】色調変換パラメータ生成システムのハードウェア構成図の一例である。
【図8】コンピュータ100のハードウェア構成図の一例である。
【図9】色調変換パラメータ生成システムを一台のMFPで実現した場合の、MFPのハードウェア構成図の一例である。
【図10】色調変換パラメータ生成システム又はMFPの機能ブロック図の一例である。
【図11】画像読み取り部が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。
【図12】トンボマーカの一例を示す図である。
【図13】分割数や分割幅を予め決定するケースを説明する図の一例である。
【図14】各階調に属する画素数の頻度のヒストグラムを作成し、極小となる階調e、f、gで分割する方法である。
【図15】色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。
【図16】色調変換の変換前後で画像データが変化しない色調変換パラメータの一例を示す図である。
【図17】色調変換パラメータ生成システムの構成図の一例である。
【図18】色調変換パラメータ生成システム又はMFPの機能ブロック図の一例である。
【図19】画像読み取り部が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、画素対応付け部が幾何学変換パラメータを用いて原稿画像データとユーザ画像データに幾何学変換を施す手順を示すフローチャート図の一例である。
【図20】色調変換システム又はMFPが色調変換する手順の一例を示すフローチャート図である。
【図21】距離の最大値を閾値とした場合の距離重みデータの一例である。
【図22】色差分布の一例、色差重みデータの一例をそれぞれ示す図である。
【図23】色調変換パラメータ生成システム又はMFPの機能ブロック図の一例である。
【図24】色調変換パラメータ推定部の詳細な機能ブロック図の一例である。
【図25】色調変換パラメータ生成システム又はMFPが色調変換パラメータを作成し、その後、原稿画像データと中間画像データとを合成する手順の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の色調変換の概略を説明する図の一例である。
左図は、色調合わせの目標となる基準プリンタが原稿画像データを出力した基準画像データである(スキャナなどで読み取られた画像データ)。
右図は、基準プリンタと色調を同等にしたいユーザプリンタが原稿画像データを出力したユーザ画像データである(スキャナなどで読み取られた画像データ)。
(1)色差による重み付け
基準画像データとユーザ画像データの色調がほぼ一致している部分に対しては、色調変換するべきでないので、本実施形態の色調変換システムは画素毎又は画素群毎に色差を求める。
【0013】
そして、色調変換システムは色差が大きいほど大きくなる色差重みデータを生成する。色差重みデータは、色調変換パラメータにより原稿画像データを色調変換する程度を制御する値となる。したがって、基準画像データとユーザ画像データの色差が小さい画素ほど、色調変換の程度が小さくなるので、元々色が合っていた色に対し色調変換を加えることを抑制できる。
【0014】
図2は、本実施形態の色調変換の概略を説明する図の一例である。図2では原稿画像データから距離重みデータを生成する。図2の上図は原稿画像データである。
(2)距離データによる重み付け
原稿画像データの無彩色の部分に色調変換すると、色がついてしまう可能性がある。このため、本実施形態の色調変換システムは原稿画像データの画素毎又は色ごとに無彩色からの距離データを求める。
【0015】
そして、色調変換システムは距離が大きいほど大きくなる距離重みデータを生成する。距離重みデータは、色調変換パラメータにより原稿画像データを色調変換する程度を制御する値となる。したがって、無彩色からの距離が小さい原稿画像データの画素ほど、色調変換の程度が小さくなるので、無彩色の画素に色調変換を加えることを抑制できる。
【0016】
色差重みデータと距離重みデータは両方とも用いることが好適であるが、どちらか一方を用いてもよい。
【0017】
〔色調変換パラメータの生成について〕
まず、ユーザプリンタにおいてカラーチャートの印刷物が得られない状況において、カラープロファイルを生成する色調変換パラメータ生成システムについて説明する。このカラープロファイルを生成方法は一例であって、上記の色調変換システムはどのような色調変換パラメータを用いても、色差又は距離データの少なくとも一方による色調変換の程度の制御が可能である。
【0018】
まず、色調変換パラメータの生成の概略を説明する。
第一の画像出力機器の色調再現特性をP1(x)、
第二の画像出力機器の色調再現特性をP2(x)、
画像読取装置の色調再現特性をS(x)、
と定義する。ここで"x"は色又は画素値である。種々の色空間の存在を考慮すると画素値=色とはならないが、同じ色空間内では画素値=色となるので、厳密には区別していない。
第一の色調再現特性はS(P1(x))、
第二の色調再現特性はS(P2(x))、
と表すことができる。
【0019】
P1(x)は、第一の画像出力機器が画素値xを印刷した場合の色であり、S(P1(x))は画像読取装置が色P1(x)を読み取った場合の階調である。P2(x)は、第二の画像出力機器が画素値xを印刷した場合の色であり、S(P2(x))は画像読取装置が色P2(x)を読み取った場合の階調である。
【0020】
第一の画像出力機器が印刷する画素値xと、第二の画像出力機器が印刷する画素値xとが同じ場合、色調再現特性P(x)が互いに異なるので、S(P1(x))=S(P2(x))とはならない。一方、第一の画像出力機器が印刷する画素値と、第二の画像出力機器が印刷する画素値が同じでない場合でも、印刷対象の画像データ(後述する原稿画像データ)には、S(P1(a))=S(P2(b))となる色(a,b)の組み合わせが存在することが期待できる(S(P1(a))とS(P2(b))は完全に一致しなくてもよい)。
【0021】
本実施形態の画像処理装置は、S(P1(a))=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を1つ以上求める。すなわち、第二の画像出力機器が、画素値bを印刷してS(P2(b)が得られるのであるから、aをbとみなす変換を行うことで第二の画像出力機器が画素値aを印刷する際に、実際には画素値bを印刷するので、第二の画像出力機器は第一の画像出力機器と同じ色調で印刷することができる。
【0022】
図3は、色aと色bの関係を模式的に説明する図の一例である。第一の画像出力機器と第二の画像出力機器は、共に同じ画像データを印刷する。この画像データを原稿画像データという。
【0023】
第一の画像出力機器は画素値aを印刷するとスキャナで読み取った際にSの階調となる第一の出力物を印刷する。第二の画像出力機器は画素値bを印刷するとスキャナで読み取った際にSの階調となる第二の出力物を印刷する。第二の画像出力機器の色調再現特定を第一の画像出力機器にあわせる場合、第二の画像出力機器は画素値aがSになるように(読み取った際にSとなるように)印刷するべきであることが分かる。したがって、第二の画像出力機器は原稿画像データの画素値aをbにて置き換える。この色変換を行うことで、第二の画像出力機器は第一の画像出力機器と同等の色調にて印刷することが可能になる。
【0024】
概念説明図を用いて色調再現特性についてさらに説明する。なお、ここでは画像出力機器としてプリンタを、画像読取装置としてスキャナを例として用いることとする。
図4(a)(b)は、色調変換特性を模式的に説明する図の一例である。第一の画像出力機器の色調再現特性は、第一の画像出力機器が入力された原稿画像データのある色をどの階調に割り当てるか、と換言することができる。したがって、図4(a)のように、横軸に画像データの色を、縦軸に印刷物の階調を採れば、色調再現性は図4(a)の実線のように表すことできる。
【0025】
なお、破線は原稿画像データの色と印刷物の階調が等しくなる仮想的な色調再現性を表している。破線と実線を比較すると、図4(a)では原稿画像データの暗い部分が明るい部分よりも多く印刷物の階調に割り当てられることになる。
【0026】
第二の画像出力機器の色調再現特性についても、第一の画像出力機器とほぼ同様であり、図4(b)の実線のように表すことができる。図4(b)では原稿画像データの明るい部分が暗い部分よりも多く印刷物の階調に割り当てられることになる。
【0027】
これに対し、画像読取装置の色調再現特性は、入力された印刷物の画像データのある階調が、どの色に割り当てられるか、と換言することができる。したがって、横軸に印刷物の階調を、縦軸に読み取られる画像データの色を採れば、図4(c)の実線のように表すことができる。図4(c)では、画像データにおいて、印刷物の暗い部分と明るい部分により多くの画素値が割り当てられ、中間部分の画素値が圧縮されることが分かる。
【0028】
プリンタ・プロファイルやスキャナ・プロファイルが提供されれば、上記色調再現特性を知ることができる。提供されなくても、プリンタでカラーチャートを印刷し、印刷結果を測色計により測色することによりプリンタ・プロファイルを求めることができる。スキャナ・プロファイルについても、カラーチャートを読み取り、測色値と照らし合わせることにより求めることができる。
【0029】
本実施形態では、画像出力機器のうち少なくとも一方は、プリンタ・プロファイルが提供されず、カラーチャートを印刷することもできない状況で、色調再現特性の推定を行うことを可能にする。
【0030】
図5は、色調変換パラメータ生成システム600の構成図の一例を示す。色調変換パラメータの生成の概略を詳細に説明する。第一と第二の画像出力機器間の色調を合わせるために原稿画像データに色調変換をかける流れを説明する。機器や画像データを以下のように定義する。
・第一の画像出力機器: プリンタ (「基準プリンタ」と呼ぶ)
・第二の画像出力機器: プリンタ (「ユーザプリンタ」と呼ぶ)
・画像読取装置 :スキャナ
また、以降で使用する用語を以下のように定義する。
・基準プリンタ:第一の画像出力機器に対応し、色調が合わせられる目標となるプリンタ
・ユーザプリンタ:第二の画像出力機器に対応し、基準プリンタ400に色調を合わせたいプリンタ
・スキャナ:画像読取装置に対応
・原稿画像データ:プリンタが印刷物を出力する際に用いる画像データ
・基準印刷物: 原稿画像データを基準プリンタ400で出力した、色調合わせの目標とされる印刷物
・基準画像データ:基準印刷物を画像読取装置で読み取って得られる画像データ
・ユーザ印刷物:原稿画像データをユーザプリンタ200で出力した、基準印刷物に色調を合わせたい印刷物
・ユーザ画像データ:ユーザ印刷物を画像読取装置で読み取って得られる画像データ
本実施形態では、基準印刷物とユーザ印刷物とを用い、ユーザプリンタ200に与える原稿画像データに色調変換を行うことによって、基準印刷物の色調と同等の色調のユーザ印刷物が得られるようにする。
【0031】
色調変換を行う装置は、第二の画像出力機器でもスキャナ300でもよいし、これらとは別体のコンピュータ100でもよい。本実施形態では、コンピュータ100が色調変換パラメータを生成するものとして説明する。色調変換パラメータの生成手順は以下のようになる。
【0032】
(1)第一の色調再現特性の推定
まず、基準プリンタ400とスキャナ300を併せた(基準プリンタだけの色調変換特性を取り出すことは困難なため)基準色調再現特性S(P1(x))を以下の手順で推定する。
(1-1) 基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
(1-2) 原稿画像データと基準画像データとの位置、傾き、大きさを合わせる
(1-3) 原稿画像データと基準画像データの対応する位置にある画素の色を対応付けて記憶する
(1-4) 画素値の対応付けから原稿画像データのある画素値が基準画像データのどの色に対応付くかを求める
(2)第二の色調再現特性の推定
次に、ユーザプリンタ200とスキャナ300を併せたユーザ色調再現特性S(P2(x))を以下の手順で推定する。
(2-1) 原稿画像データをユーザプリンタ200で出力し、ユーザ印刷物を得る
(2-2) ユーザ印刷物をスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
(2-3) 原稿画像データとユーザ画像データとの位置、傾き、大きさを合わせる
(2-4) 原稿画像データとユーザ画像データとの対応する位置にある画素の色を対応付けて記憶する
(2-5) 画素値の対応付けから原稿画像データのある画素値がユーザ画像データのどの色に対応付くかを求める
(3)色調変換パラメータの推定
基準色調再現特性とユーザ色調再現特性から色調変換パラメータを求める。
(3-1) 基準色調再現特性から、原稿画像データの色aが対応付く基準画像データの色s= S(Pa(a))を得る
(3-2) ユーザ色調再現特性から、ユーザ画像データの色s=S(P2(b))が対応付く原稿画像データの色bを得る
(3-3) 基準画像データの色sに対応付く原稿画像データの色aと、ユーザ画像データの同じ色sに対応付く原稿画像データの色bとを対応付ける (i.e. S(P1(a))=s=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を求める)
(3-4) 対応付く原稿画像データの二つの色(a, b)から色調変換パラメータを導出する
(4)原稿画像データの色調変換
最後に、色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。
【0033】
(1)〜(4)を行うと、ユーザプリンタ200が原稿画像データに色調変換を施して印刷するユーザデータは、基準画像データとほぼ同じ色調になる。1回だけではユーザ画像データが基準画像データとほぼ同じ色調にならない場合、(1)〜(4)までの手順を、基準画像データとユーザ画像データの色調の差が所定の範囲に収まるようになるまで繰り返し行ってもよい。その場合には、ユーザプリンタ200の色調再現特性を推定する際に用いる原稿画像データとして色調変換後の原稿画像データを用いる。
【0034】
図6は、(1)〜(3)までの手順の概念図の一例である。図6は、
・第一象限に図4(a)を、
・第二象限に図4(c)の左右を反転させたものを、
・第三象限に図4(c)を180度回転させたものを、
・第四象限に図4(b)の上下を反転させたものを、
それぞれ配置して構成されている。
上記の手順(1)から(3)までの手順を、図6と対応付けると、
・手順(1)で基準色調再現特性を推定する過程が、第一象限と第二象限を求めることに、
・手順(2)でユーザ色調再現特性を推定する過程が、第三象限と第四象限を求めることに、
・手順(3)で色調変換パラメータを推定する過程が、S(P1(a))=S(P2(b))なる組合せ(a, b)を図中の矢印に従って求めていくことに、それぞれ相当する。
【0035】
なお、上記手順(1)と(2)ではプリンタとスキャナ300の特性を併せて推定しているが、図6では便宜上各々の特性を分けて図示している。
【0036】
〔構成例〕
図5に示した色調変換パラメータ生成システム600は、ネットワーク500を介して接続された、コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300を有する。ユーザプリンタ200の代わりにオフセット印刷機やグラビア印刷機などを用いてもよく、また、スキャナ300の変わりに分光測色器やカメラを用いてもよい。基準プリンタ400は、色調変換パラメータ生成システム600のユーザ側に存在しないことを想定しているためネットワークに接続されていないが、接続されていてもよい。色調変換パラメータ生成システム600のユーザは、基準プリンタ400が基準画像データを出力した基準印刷物をすでに取得しているか、取得することができる。
【0037】
ネットワークは、社内LAN、広域LAN(WAN)、IP−VNP(Virtual Private Network)、インターネットVPN、又は、インターネットなどである。これらが組み合わされたネットワーク等、コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300が通信可能であればよい。一部に電話回線を含んでいてもよく、また、有線接続か無線接続は問わない。
【0038】
なお、同じ一台のプリンタで過去と現在の色調を合わせる場合など、基準プリンタ400とユーザプリンタ200はそれぞれ異なる装置である必要はない。また、基準プリンタ400及びユーザプリンタ200は、プリンタ機能を有していれば、スキャナ機能、FAX機能及びコピー機能の1つ以上を有していてもよい。同様に、スキャナ300は、スキャナ機能を有していれば、プリンタ機能、FAX機能及びコピー機能の1つ以上を有していてもよい。複数の機能を有する装置はMFP(Multifunction Peripheral)と称されることがある。
【0039】
また、コンピュータ100は、基準プリンタ400が基準印刷物の出力に使用した原稿画像データ、基準印刷物をスキャナ300が読み取った基準画像データ、及び、ユーザプリンタ200が原稿画像データを出力したユーザ印刷物をスキャナ300が読み取ったユーザ画像データ、の3つの画像データから色調変換パラメータを推定する。原稿画像データは、ユーザプリンタ200が予め記憶しておいてもよいし、基準プリンタ400から取得してもよい。コンピュータ100、ユーザプリンタ200、及び、スキャナ300は一台のMFPに搭載することもできる。
【0040】
図7は、色調変換パラメータ生成システム600のハードウェア構成図の一例を示す。色調変換パラメータ生成システム600は、画像入力部601、画像出力部602、画像記憶部603、画像解析部604、パラメータ記憶部605、及び、画像処理部606を有する。
【0041】
画像入力部601は、画像出力機器により出力された画像を入力するものであり、図5ではスキャナ300が相当する。画像記憶部603は、画像入力部601が入力を受け付けた画像データを記憶するものであり、図5ではコンピュータ100が相当する。画像解析部604は、基準画像データ、ユーザ画像データ、及び、原稿画像データを解析して色調変換パラメータを生成するもので、図5ではコンピュータ100が相当する。パラメータ記憶部605は、画像を解析して得られた色調変換パラメータを記憶するもので、図5ではコンピュータ100が相当する。画像処理部606は、得られた色調変換パラメータに基づいて画像データを色調変換するもので、図5ではユーザプリンタ200が相当する。画像出力部602は、色調変換された画像を出力するもので、図5ではユーザプリンタ200が相当する。
【0042】
図8は、コンピュータ100のハードウェア構成図の一例を示す。コンピュータ100はそれぞれバスで相互に接続されているCPU101、RAM102、ROM103、記憶媒体装着部104、通信装置105、入力装置106、描画制御部107、及び、HDD108を有する。CPU101は、OS(Operating System)やプログラムをHDD108から読み出して実行することで種々の機能を提供すると共に、色調変換パラメータの生成処理を行う。
【0043】
RAM102はCPU101がプログラムを実行する際に必要なデータを一時保管する作業メモリ(主記憶メモリ)になり、ROM103はBIOS(Basic Input Output System)やOSを起動するためのプログラム、静的なデータが記憶されている。
【0044】
記憶媒体装着部104には記憶媒体110が着脱可能であり、記憶媒体110に記録されたプログラムを読み込み、HDD108に記憶させる。また、記憶媒体装着部104は、HDD108に記憶されたデータを記憶媒体110に書き込むこともできる。記憶媒体110は例えば、USDメモリ、SDカード等である。
【0045】
入力装置106は、キーボードやマウス、トラックボールなどであり、コンピュータ100へのユーザの様々な操作指示を受け付ける。
【0046】
HDD108は、SSD等の不揮発メモリでもよく、OS、プログラム、画像データなどの各種のデータが記憶されている。
【0047】
通信装置105は、インターネットなどのネットワーク301に接続するためのNIC(Network Interface Card)であり、例えば、イーサネット(登録商標)カードである。
【0048】
描画制御部107は、CPU101がプログラム111を実行してグラフィックメモリに書き込んだ描画コマンドを解釈して、画面を生成しディスプレイ109に描画する。
【0049】
図9は、色調変換パラメータ生成システム600を一台のMFPで実現した場合の、MFP700のハードウェア構成図の一例を示す。MFP700は、コントローラ30、操作部31、ファックス制御ユニット32、プロッタ33、スキャナ34、及び、その他ハードウェアリソース35を有する。コントローラ30は、CPU11,MEM−P12,NB(ノースブリッジ)13、ASIC16,MEM−C14,HDD15(Hard Disk Drive)、及び、PCIバスを介してNB13と接続された周辺機器17を有する。
【0050】
コントローラ30において、ASIC16にはMEM−C14、HDD15、及び、NB13が接続されると共に、NB13にはCPU11とMEM−P12が接続されている。NB13はCPUチップセットの1つであり、CPU11,MEM−P12,ASIC16,及び、周辺機器を接続するためのブリッジである。
【0051】
ASIC16は、画像処理用途向けのICであり各種の画像処理を行う。ASIC16は、AGP、HDD15、及び、MEM−C14をそれぞれ接続するブリッジの役割も果たす。CPU11は、MFP700の全体制御を行うと共にMFP700に実装されている各種アプリケーションを起動して実行させる。
【0052】
MEM−P12は、MFP700のシステムが使用するシステムメモリであり、MEM−C14は、画像処理中の画像データのバッファとして用いられるローカルメモリである。
【0053】
HDD15は、大容量のストレージであり、SSD(Solid State Drive)などを用いてもよい。HDD15には、OS、各種のアプリケーション、フォントデータ等が記憶される。また、HDD15には色調変換パラメータの生成処理を行うプログラム23が記憶されている。
【0054】
周辺機器17は、シリアルバス、NIC、USBホスト、IEEE802.11a/b/g/n、IEEE1394、及び、メモリカードI/Fである。シリアルバスには、例えばセントロニクスケーブルが接続される。NICはネットワークを介した通信を制御する。USBホストにはUSBケーブルを介して機器が接続される。IEEE802.11a/b/g/nはこれらの規格に従った無線LAN用のインタフェースであり、無線LANによる通信を制御する。IEEE1394は、高速なシリアル通信を制御するインタフェースである。メモリカードI/Fには各種のメモリカードが装着され、データの読み書きを行う。メモリカードは、例えば、SDカード、マルチメディアカード、xDカード等である。
【0055】
操作部31は、ハード的なキーボードと液晶などの表示手段とを有する。操作部31は、ユーザからの入力操作の受け付け、ユーザに向けた各種の画面の表示をおこなう。操作部31はタッチパネルを搭載しており、表示したソフトキーからユーザ操作を受け付けることもできる。
【0056】
ファックス制御ユニット32は、NCU(Network Control Unit)を介して公衆通信網に接続し、例えばG3、G4規格のファクシミリに対応した通信手順(通信プロトコル)等に従いファクシミリの送受信を行う。ファックス制御ユニット32は、画像データにデータ圧縮や変調等の信号処理を施して送信すると共に、相手先から受信した画像データにデータの伸長やエラー訂正等を施し画像データを復元する。
【0057】
プロッタ33は、例えば、電子写真方式による白黒プロッタ又はカラープロッタであり、印刷対象データやスキャナ34が読み取った画像データに基づき、1ページ毎の画像を形成し、用紙に転写する。例えば、レーザービームを用いた電子写真プロセスを使って、感光ドラム等に形成したトナー画像を用紙に転写し、定着装置により熱と圧力により定着して出力する。また、インク液滴を塗布する形態で印刷してもよい。
【0058】
スキャナ34は、コンタクトガラスに載置された原稿を光学的に走査して、その反射光をA/D変換して公知の画像処理を施し所定の解像度のデジタルデータに変換し画像データを生成する。
図9のMFPでは、図5の画像入力部601はスキャナ34が相当し、画像出力部602はプロッタ33が相当し、画像記憶部603はHDD15が相当し、画像解析部604はCPU11が相当し、パラメータ記憶部605はHDD15が相当し、画像処理部606はASIC16が相当する。
【0059】
図10は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700の機能ブロック図の一例である。色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700は、画像読み取り部41、幾何学変換パラメータ推定部42、画素値対応付け部43、色成分値対応付け部44、色調再現特性推定部45、色調変換パラメータ決定部46、及び、色調変換部47、を有する。
【0060】
画像読み取り部41は原稿画像データの出力結果である基準印刷物及びユーザ印刷物を読み取り、基準画像データ及びユーザ画像データを生成する。
【0061】
幾何学変換パラメータ推定部42は原稿画像データと基準画像データ、原稿画像データとユーザ画像データのそれぞれの幾何学変換パラメータを推定する。
【0062】
画素値対応付け部43は、幾何学変換パラメータを用いて、原稿画像データの画素に対応する位置の基準画像データの画素を検出し、それらの画素値を対応付けて画素値対応付けデータを作成する。同様に、幾何学変換パラメータを用いて、原稿画像データの画素に対応する位置のユーザ画像データの画素を検出し、それらの画素値を対応付けて画素値対応付けデータを作成する。
【0063】
色成分値対応付け部44は画素値対応付けデータから、原稿画像データの各色成分の値と基準画像データの各色成分の対応する値を求め、また、原稿画像データの各色成分の値とユーザ画像データの各色成分の対応する値を求め、それらの色成分の値を対応付けて色成分値対応付けデータを作成する。
【0064】
色調再現特性推定部45は、色成分値対応付けデータを用いて、色調再現特性データを推定する。
【0065】
色調変換パラメータ決定部46は、色調再現特性データを用いて、色調変換パラメータを決定する。
【0066】
色調変換部47は、色調変換パラメータを用いて、原稿画像データに色調変換を施す。
【0067】
〔処理手順〕
図11は、画像読み取り部41が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、色調再現特性推定部45等が色調再現特性データを生成する手順を示すフローチャート図の一例である。なお、以下では、基準印刷物とユーザ印刷物を並列に説明するが、実際には順番に処理されることが多い。
【0068】
画像読み取り部41は、基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、基準画像データとユーザ画像データを生成する(S101)。
【0069】
幾何学変換パラメータ推定部42は、原稿画像データと基準画像データ、及び、原稿画像データとユーザ画像データの位置を合わせる (S102)。
【0070】
2つの画像データの位置合わせを行うに先立って、幾何学変換パラメータ推定部42は、原稿画像データを基準とした時の基準画像データ(又はユーザ画像データ)の幾何学変換パラメータを求める。幾何学変換パラメータの例としては、変位量、回転角又は変倍率がある。幾何学パラメータの推定には公知の技術を用いればよい。その例としては、マーカーを用いる方法や、マーカーを用いないパターンマッチング法や位相限定相関法などが挙げられる。
a) マーカーを用いる方法
「トンボ」と呼ばれるマーカーを原稿画像データの四隅や各辺の中央に配置したうえで出力し、基準画像データとユーザ印刷物を読み取った際に、このトンボマーカの位置のずれを用いて、変位量や回転角、変倍率を求める。
【0071】
図12(a)はトンボマーカの一例を示す図である。1枚の記録紙に画像データと4つ〜6つのトンボが形成されている。原稿画像データとユーザ画像データとで、トンボと画像データの相対的位置が同じであるとすると、同じ位置の2つのトンボの位置ずれを比較することで、幾何学変換パラメータを求めることができる。なお、例えば紙端からのトンボのおよその位置は既知なので、紙端から所定範囲にトンボの検出処理を施せばトンボの位置を検出できる。
【0072】
図12(b)はトンボマーカの位置のずれについて説明する図の一例である。Pn(nは1以上の整数)は原稿画像データのトンボマーカの特徴点の位置を、qnは基準画像データのトンボマーカの特徴点の位置を、それぞれ示す。位置ずれがなければP1とq1、P2とq2、P3とq3…の点どうしの位置が一致するはずなので、公知の手法により点どうしの対応関係を求めることで、幾何学変換パラメータが得られる。ここで、2つの画像のうち一方の画像に例えばアフィン変換を行うことで2つの点パターンをマッチングさせることが知られている。したがって、幾何学変換パラメータを求めるには、2つの点パターンの各位置が最も近似する最適なアフィンパラメータを探し出せばよい。例えば、P1〜P6にアフィン変換するためのアフィンパラメータの評価関数を定め、評価関数が最小になるときのアフィンパラメータを幾何学変換パラメータとする。
b) パターンマッチング法を用いる方法
変位量のみを推定する方法の一例としては、テンプレートマッチング法が挙げられる。テンプレートマッチング法は一方の画像をテンプレートとし、位置を少しずつずらしながら他方の画像と一致度を求め、最も一致度の高くなる位置を検出するものである。幾何学変換が変位だけに限定できない場合には、回転角を推定する方法(ハフ変換など)や変倍量を推定する方法(マルチスケール解析など)と組み合わせて利用する必要がある。
【0073】
テンプレートマッチングを応用したブロックマッチング法では、一方の画像をブロックに分割し、ブロックごとに他方の画像と最も一致度の高くなる位置を検出することにより変位量を求めることができる。ブロックマッチング法では、ブロックごとの変位量から回転角や変倍率を推定することも可能である。
c) 位相限定相関法を用いる方法
高い精度で変位量や回転角、変倍率を求める方法の例として、位相限定相関法(POC、Phase Only Correlation)や回転不変位相限定相関法(RIPOC、Rotation Invariant Phase Only Correlation)がある。位相限定相関法は、画像に対して離散フーリエ変換をかけて得られる位相画像を用い、比較対象の二枚の画像から得られる二つの位相画像の相関が最も高くなる位置を検出することにより、変位量を求める手法である。また、回転不変位相限定相関法は、上記位相画像を対数極座標変換することにより、回転角と変倍率を変換された位相画像上での変位量として検出できるようにしたものである。
【0074】
以上により幾何学変換パラメータが求まったら、幾何学変換パラメータ推定部42は基準画像データ(又はユーザ画像データ)に幾何学変換を実行する。変換に際してサブピクセル精度の移動や何らかの回転、実数値での変倍などにより変換前後の画素が一対一で対応付かないようなケースでは、適宜画素補間手法を用いて画素値を導出すればよい。画素補間手法の例としては、バイリニア法、バイキュービック法などが挙げられる。
【0075】
なお、幾何学変換は必須ではなく、次ステップにおいて原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)において同じ位置の画素を取得する際に、幾何学変換パラメータを用いて座標変換を行い、同じ位置か否かを判断することによって代替してもよい。後者を換言すれば、各画像の原点を基準とする座標系では異なる座標値を保持していても、幾何学変換の結果、同じ座標値となる画素を「同じ位置の画素」と見なすことになる。
【0076】
原稿画像データを出力して得られた印刷物には画像の周囲に余白が存在するケースが存在する。この様なケースでは、幾何学変換の変位量に余白部分の高さや幅が含まれるため余白部分を参照することはないが、出力画像データにおいて余白部分を排除するように必要な領域を切り出し、各画像における原点の位置を一致させてもよい。
【0077】
次に、画素値対応付け部43は、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)との同じ位置の画素値を対応付ける (S103)。すなわち、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)の位置合わせが完了したら、二つの画像データにおいて対応する画素の画素値を取得し、これらを対応付けて画素値対応付けデータを作成する。 なお、画像データを幾何学変換して位置合わせを行う場合には、「対応する画素」とは「同じ位置にある画素」である。一方、画像データを幾何学変換しない場合には、座標変換によって同じ座標値となる位置を「同じ位置」とし、その位置に存在する画素を「対応する画素」と見なす。
【0078】
画素値を対応付けて記録する方法の例としては、リスト形式で記録する方法や、マトリックス形式で記録する方法がある。原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)が両方ともRGB画像で各色成分が256階調であるケースを想定して説明する。
a) リスト形式で記録する方法
色成分値のリストへの記録は次の手順で行う。
【0079】
a-1)リストを3枚用意する
a-2)原稿画像データのある座標を選択する
a-3)a-2で選択された原稿画像データの画素のR成分値と、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素のR成分値とを対応づけてR成分用のリストに追加する
a-4)同様に、G成分値はG成分用のリストに、B成分値はB成分用のリストに、それぞれ追加する
a-5)これを原稿画像データの全ての座標について繰り返す
これらのリストは必要に応じて昇順や降順に並び替えてもよい。
b) マトリクス形式で記録する方法
色成分値の対応関係のマトリクスへの投票は次の手順で行う。ここでは原稿画像データの値を縦軸に、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の値を横軸に採るものとする。
【0080】
b-1)256行256列のマトリクスを3枚用意する
b-2)原稿画像データのある座標を選択する
b-3)R成分用のマトリクスにおいて、原稿画像データのa-2)で選択された画素のR成分値の行、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素のR成分値の列とが交差する場所に一票投票する
b-4)同様に、G成分値の対応関係をG成分用のマトリクスに、B成分値の対応関係をB成分用のマトリクスに、それぞれ投票する
b-5)これを原稿画像の全ての座標について繰り返す
具体的には、原稿画像データのある座標の画素の画素値がRGBの順に(128, 130, 132)で、基準画像データ(又はユーザ画像データ)の対応する画素の画素値が(132, 130, 126)であれば、上記3枚のマトリクスのうちR成分に対応するマトリクスを選び、その128行132列に一票を投じるという具合である。同様に、G成分に対応するマトリクスの130行130列に一票を、B成分に対応するマトリクスの132行126列に一票を、それぞれ投じる。なお、原稿画像データの値と基準画像データ(又はユーザ画像データ)の値のどちらを縦軸に割り当て、どちらを横軸に割り当てるかは必要に応じて決定すればよい。
【0081】
リスト形式で記録する方法でも、マトリクス形式で記録する方法でも、処理を簡略化するために、原稿画像データの全ての座標について繰り返すのではなく、特定の範囲に限定したり、所定の刻み幅で座標を移動したりしてもよい。
【0082】
次に、色成分値対応付け部44は、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)で対応する色成分の値を対応付ける (S104)。すなわち、画素値対応付けデータを用いて、原稿画像データのある色成分値と基準画像データ(又はユーザ画像データ)のどの色成分値とが対応付くかを求め、色成分値対応付けデータを作成する。
【0083】
ステップS102と同様に原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)が両方ともRGB画像で各色成分が256階調であるケースを例に説明する。
a) 画素値対応付けデータがリスト形式である場合
画素値対応付けデータがリストとして記録されている場合には、次の手順で行う。
【0084】
a-1)原稿画像データのある色成分のある値を選択する
a-2)a-1で選択された色成分に対応するリストを取得する
a-3) a-2で得られたリストから、a-1)で選択された値に対応するレコードを全て取得する
a-4) a-3で取得された全レコードの基準画像データ(又はユーザ画像データ)の色成分値を合成する
a-5) a-1で選択された原稿画像データの色成分値と、a-4)で合成された値とを対応付けて色成分値対応付けデータとして記録する。
【0085】
a-6)これを各色成分の各値について繰り返す
ステップa-3)において取得されたレコードが一つのみであれば、色成分値対応付け部44はa-4)において、取得されたレコードの値をそのまま利用する。a-3)において取得されたレコードが複数あれば、基準画像データ(又はユーザ画像データ)側の値を合成して一つの値にした上で利用する。複数の値を合成する方法の例としては、平均値を採用する方法、最頻値を採用する方法、中央値を採用する方法が挙げられる。
b) 画素値対応付けデータがマトリクス形式である場合
画素値対応付けデータがマトリクスとして記録されている場合には、次の手順で行う。
【0086】
b-1)原稿画像データのある色成分のある値を選択する
b-2) b-1で選択された色成分に対応するマトリクスを取得する
b-3) b-2で得られたマトリクスから、b-1で選択された値に対応する行を抽出する
b-4) b-3で抽出された行において投票されている列の値を合成する
b-5) 選択された原稿画像データの色成分値と、b-4で合成された値とを対応付けて色成分値対応付けデータとして記録する
b-6)これを各色成分の各値について繰り返す
b-4において抽出された行で投票が一つの列のみに存在する場合には、その列番号を合成された値として採用する。b-4)において投票が複数の列に存在する場合には、合成して一つの値にした上で利用する。複数の値を合成する方法の例は、a)と同様である。但し、投票数は列番号の出現回数として使用する。
【0087】
仮に原稿画像データにおいて使用されていない色成分値が存在した場合には、その旨が判別できるように記録しておくことが望ましい。(ここで記録した情報は次ステップで利用することができる)
次に、色調再現特性推定部45は色調変換特性を推定する (S105)。色成分値対応付けデータのデータ系列を用いて色調変換特性を推定する。色調変換特性は色成分値対応付けデータをそのまま利用してもよいし、色成分値対応付けデータを加工して利用してもよい。データを加工する目的は、極端な値の変動の抑制や、特性曲線の安定性向上である。
【0088】
色成分値対応付けデータを加工して利用する方法の例としては、次のようなものが挙げられる。
a) 移動平均をかける
データ系列において注目するデータとその前後のデータとを加重平均する方法である。前後のデータの参照範囲はデータ系列の値に対する滑らかさの要求に応じて決定すればよい。より滑らかにするためには参照範囲を広く取る必要がある。また、加重平均に用いる重みは全てのデータに対して一定であってもよいし、注目するデータからの距離に反比例させてもよい。
【0089】
移動平均をかける前に、データ系列を昇順か降順に並び替える必要がある。また、原稿画像データにおいて使用されていない色成分値が存在すると、並べ替えた際にデータ系列の要素が欠落するが、この欠落した要素が他のデータに影響を与えないように加重平均から除外する必要がある。要素が欠落しているか否かは、データが連続しているかどうかを確認したり、前ステップで記録した使用されていない色成分値の情報を利用したりすることにより把握できる。
b) 直線や曲線で近似する
データ系列を一次関数、二次関数、スプライン関数、指数関数などを用いて近似する方法である。
c) 階調数を削減した上で直線や曲線で補間や近似する
色成分値対応付けデータのデータ系列の階調数を削減する方法としては、次のような例が考えられる。
【0090】
ア) 階調の値域を等間隔で分割し、これにより統合される各階調のデータを合成する
分割数や分割幅は予め決定しておいてもよいし、動的に決定してもよい。
【0091】
ア−1)分割数や分割幅を予め決定するケース
図13(a)は、分割数や分割幅を予め決定するケースを説明する図の一例である。図13(a)では、0〜255までの256階調を、予め与えられた分割数4で等間隔に分割した例である。0〜63、64〜127、128〜191、192〜255という4つの領域に分割することにより、それぞれ64階調が1つの階調に削減される(1つの変換特性に統合される)ことになる。なお、分割数でなく分割幅を与えても同じ効果が得られる。
【0092】
ア−2)分割数や分割幅を動的に決定するケース
等間隔に分割するケースで、分割数や分割幅を動的に決定する方法の例としては、画素数に比例させる方法がある。例えば、画素数を経験的に決められた所定の数で割った値を分割数とする、などの決定方法が考えられる。
【0093】
イ−1) 階調の値域を不等間隔で分割し、これにより統合される各階調のデータを合成する
各階調に対応する画素値対応付けデータにおける投票数を用いて、合成される階調の得票数が、所定の数となるように分割幅を適応的に決定する。
【0094】
図13(b)は、0〜255までの256階調を不等間隔で4分割した例である。0から(a-1)、aから(b-1)、bから(c-1)、cから255という四つの領域に分割されるが、それぞれ1つの階調に削減される。なお、階調a、b、cをその階調を挟むどちらの階調に統合するかは任意である。
【0095】
不等間隔で分割する際に、統合する階調数を決定する方法の例としては、各階調に属する画素数の累積頻度を等間隔で分割する方法や、各階調に属する画素数の頻度のヒストグラムを用いる方法が挙げられる。
【0096】
i)各階調に属する画素数の累積頻度を用いる方法
各階調に属する画素数の累積頻度を等間隔で区切り、区切り位置に対応する階調で分割する方法である。
【0097】
図13(c)は0〜255までの256階調を不等間隔で4分割する例である。縦軸の累積頻度の最大値を1.0としたときに、区切り位置として0.25、0.50、0.75となる階調を求めることにより、分割位置を決定する。この例では、累積頻度が0.25となる階調a、0.50となる階調b、0.75となる階調cが求まり、上述した四つの領域が決定できる。このような区切り方によれば、各区分でデータ数が同じなので各変換特性が与えられる画素数を等しくできる。
【0098】
ii)各階調に属する画素数の頻度分布を用いる方法
図14(a)は、各階調に属する画素数の頻度のヒストグラムを作成し、極小となる階調e、f、gで分割する方法である。このような区切り方によれば、変換特性が切り替わる画素数を小さくできる。
【0099】
以上のようにして、階調数を削減したら、元の階調数まで戻るように、統合された階調の間を補間したり、統合されたデータを元に直線や曲線で近似したりする。
【0100】
図14(b)は、削減された階調数を直線近似や曲線近似により元の階調数まで戻す例を示す。丸が統合されたデータ、実線の直線が直線近似の例、実線の曲線が曲線近似の例である。近似に利用する関数は、統合されたデータの傾向に合わせて選択することが望ましい。このように補間したり、直線や曲線で近似したりすることで、推定される変換特性から少ない画素数に起因する特異的な変換を除外できる。
【0101】
続いて、色調変換パラメータの決定について説明する。
図15は、色調変換パラメータ生成システム600又はMFP700が色調変換パラメータを作成する手順の一例を示すフローチャート図である。
【0102】
まず、ステップS110の「基準プリンタの色再現特性の推定」、S150の「ユーザプリンタの色調再現特性の推定」は、図11の手順で説明した。なお、S110,S150は1回だけ実行すればよい。仮に複数回実行する場合、S110,S150で使用する原稿画像データはオリジナルのものを用い、色調変換後のものを用いないことに留意する必要がある。
【0103】
次に、例えばユーザはユーザプリンタ200で原稿画像データを印刷する(S120)。ユーザプリンタ200を用いて原稿画像データを印刷することにより、ユーザ印刷物を得る。ユーザはユーザ印刷物をスキャナ34,300(以下、単にスキャナ300という)を用いて読み取る。
【0104】
色調変換パラメータ決定部46は、ユーザ印刷物を評価する(S130)。そして、ユーザ印刷物と基準印刷物とを比較してユーザ印刷物の品質を評価する(S140)。
【0105】
ユーザ印刷物の品質が十分であれば(S140のYes)、処理を終了し、そうでなければ(S140のNo)、次ステップS150に進む。
【0106】
ユーザ印刷物の品質を評価する方法の例としては、基準印刷物との色差を用いる方法がある。他の例としては、色相差を用いる方法や、各色成分の差の絶対値を用いる方法もある。なお、品質の評価は目視で行ってもよい。
a) 色差を用いる評価方法
色差とは、L*a*b*色空間やL*u*v*色空間における二つの色の距離である。本実施形態は画像出力機器としてプリンタを用いていることからL*a*b*色空間を用いて説明する。
L*a*b*色空間の色差ΔE*abは以下の式で定義される。
【0107】
【数1】

ここで、(ΔL*, Δa* ,Δb*)はL*a*b*色空間における2色の色度差である。
基準印刷物とユーザ印刷物の色差を求める手順の一例を以下に示す。
(1) 基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
(2)ユーザ印刷物を(1)と同じスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
(3)基準画像データとユーザ画像データとをスキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間(XYZ色空間など)に変換する
(4)デバイス非依存の色空間に変換された基準画像データとユーザ画像データとをL*a*b*色空間に変換する
(5)上式により画素ごとの色差を求める
基準印刷物とユーザ印刷物とを同じスキャナ300で読み取るとしているが、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換できる条件の元で、二つの印刷物を別々のスキャナ300で読み取ってもよい。
【0108】
スキャナ300を一台のみ使用する場合には、カラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではない。色差の値を定量的に評価するケースでは、絶対的な値が重要であるためデバイス非依存の色空間への変換が必要であるが、色差の値を定性的に評価するケースでは相対的な傾向がつかめればよいためデバイス非依存の色空間への変換を省略してもよい。
【0109】
画素ごとの色差が求まったら、この情報を統計的に分析し、ユーザ印刷物の品質を定量的に評価することができる。分析方法の例としては、色差の平均値、最大値、値の分布、分散などが挙げられる。
【0110】
品質が十分であるか否かの判断は、
・平均色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・最大色差が所定の値以内に収まっているか否か、
・分散が所定の値以内に収まっているか否か、
などの基準で判断することができる。なお、ユーザ印刷物の品質を評価する際には、画像データのコンテンツの輪郭部分を除くことが望ましい。これは、
・後の処理で必要な位置合わせにおいて、輪郭部分を完全に合わせることが困難であること、
・プリンタによって輪郭部分の再現性が異なること (色味やシャープなど)
などの理由から、輪郭部分で大きな色差が出現する可能性があるためである。
【0111】
輪郭部分の面積は全印刷物の面積のごく一部であるため、目視による全体的な色調の評価に与える影響は限定的である。一方、定量的な評価においては、上述の輪郭部分の大きな色差が外れ値として評価結果の信頼性を低下させる懸念があることから、輪郭部分のデータを無視する方が高い精度の評価結果が期待できる。
【0112】
輪郭部分を検出する方法の例としては、二値化を用いる方法や、エッジ検出を用いる方法が挙げられる。二値化を用いる方法の一例としては、画像データを所定の閾値で白黒に二値化し、白い領域と黒い領域とが隣接する箇所を輪郭部分として判断する方法がある。エッジ検出を用いる方法の一例としては、画像データからSobel法などを用いてエッジ画像を作成し、これを所定の閾値で二値化して閾値以上の画素を輪郭部分として判断する方法がある。
【0113】
輪郭部分を除去せずに、上記課題を緩和する方法もある。例えば、画像データを平滑化して輪郭部分を滑らかにし、輪郭部分で出現する色差を低減するというものである。平滑化には、平均化フィルタやローパスフィルタなど従来技術を用いればよい。
【0114】
b)色相差を用いる評価方法
L*a*b*色空間の色相差ΔH*abは次式で定義される。
【0115】
【数2】

ここで、ΔE*abは色差、(ΔL*, Δa* ,Δb*)は2色の色度差、ΔC*abはクロマの差ある。クロマC*abは次式で定義される。
【0116】
【数3】

基準印刷物とユーザ印刷物の色相差を求める手順は色差を求める手順と同じであるが、色差ではなく色相差を算出する。また統計的な分析方法や品質の判定方法も同様である。
【0117】
c)各色成分の差の絶対値を用いる評価方法
所定の色空間において、基準印刷物とユーザ印刷物との各色成分の差の絶対値を取り、評価を行う方法である。RGB色空間を例に取れば、R成分値の絶対値の差、G成分値の絶対値の差、B成分値の絶対値の差を用いる。
基準印刷物とユーザ印刷物の各色成分の差の絶対値を求める手順の一例を以下に示す。
(1)基準印刷物をスキャナ300により読み取り基準画像データを得る
(2)ユーザ印刷物を1)と同じスキャナ300により読み取りユーザ画像データを得る
(3)基準画像データとユーザ画像データとをスキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間(XYZ色空間など)に変換する
(4)変換後の色空間において、画素ごとに各色成分値の差の絶対値を求める。
なお、色差のケースと同様に、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することは必須ではなく、スキャナ300のデバイス依存の色空間で直接差の絶対値を求めてもよい。また、統計的な分析方法や品質の判定方法は色差のケースと同様である。
【0118】
次のステップS150のユーザプリンタ200の色調再現特性の推定は図11にてすでに説明した。
【0119】
次に、色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを求める(S160)。すなわち、基準プリンタ400の色調再現特性データとユーザプリンタ200の色調再現特性データとを組み合わせて色調変換パラメータを求める。色調変換パラメータを求める手順の一例を以下に示す。
【0120】
(1)原稿画像データのある色成分のある値aを選択する
(2)基準プリンタ400の色調再現特性データから、選択された色成分の値aに対応する基準画像データの値sを取得する
(3)ユーザプリンタ200の色調再現特性データから、上記で取得された基準画像データの値sに対応する原稿画像データの値bを取得する
(4)二つの値(a, b)を対応付けて記録する
(5)これを原稿画像データの各色成分の各値について繰り返す
上記手順で対応付けられた値を直接利用するか、加工して利用することにより色調変換パラメータを求めることができる。
【0121】
a)直接利用するケース
対応付けられた値のペアをルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、このテーブルを色調変換パラメータとして利用する。
【0122】
b)加工して利用するケース
変換特性を推定する際に利用した、移動平均、直線や曲線近似、階調削減などにより加工した上で利用する。加工した結果の値をルック・アップ・テーブル(LUT)として扱い、a)と同様にこのテーブルを色調変換パラメータとして利用する。また、直線や曲線近似をしたケースでは、その関数式の係数を色調変換パラメータとして利用してもよい。また、曲線近似と類するが、色調変換としてガンマ補正を採用する際には、対応付けられた値を用いてガンマ値を求め、このガンマ値を色調変換パラメータとしてもよい。
【0123】
色調変換パラメータ決定部46は、色調変換パラメータを評価し、妥当か否かを判定する(S170,S180)。
【0124】
色調変換パラメータを評価し、色調変換パラメータが妥当でなければ(S180のNo)、処理を終了する。
【0125】
色調変換パラメータを評価し、色調変換パラメータが妥当であれば(S180のYes)、次の処理が実行される。
【0126】
ステップS140の色調変換パラメータの妥当性を判断する基準の例としては、色調変換において入出力が一致するパラメータからどれだけ離れているかが挙げられる。
この離れ具合を測る尺度の例としては、色調変換をグラフで表したと仮定すれば、
a)入出力の差の絶対値を累積した値
b)入出力の差の二乗を累積した値
c)入出力の差の絶対値の最大値
d)グラフの傾きの絶対値の最大値
などが挙げられる。
【0127】
これらの尺度で計測して得られる評価値が予め決められた所定の範囲内に存在することを以って、色調変換パラメータが妥当であると判断することができる。
【0128】
色調変換パラメータが妥当か否かを判断するのは、このパラメータで色調変換を実行することに意味があるか否かを判断するためであり、色調変換の収束判定と換言することもできる。このため、ステップS180は必要に応じて省略してもよい。色調変換を実行する意味がない例としては、次のようなものが挙げられる。
【0129】
a)色調変換の変換前後で画像データが変化しないケース
図16(a)は、色調変換の変換前後で画像データが変化しない色調変換パラメータの一例を示す図である。図16(a)では、色調変換パラメータをグラフで表したときに、入出力が等しいy=x の線とほぼ一致している。色調変換がガンマ補正であれば、ガンマ値が1.0にほぼ一致するケースである。このような場合、色調変換を実行する意味がない。
【0130】
b)色調変換の変換前後で画像データが極端に変化するケース
図16(b)(c)は色調変換の変換前後で画像データが極端に変化する色調変換パラメータの一例を示す図である。図16(b)では、色調変換をグラフで表したときに、入出力が等しくなるy=x の線から大幅に離れてしまっている。このような色調変換はユーザ印刷物の色調を大きく変化させるので変換しないことが好ましい。また、図16(c)では、y=x の線に対し、変換線が激しく波打ったり、不連続となったりしている。このような色調変換はユーザ印刷物の色調を不連続に変化させるので変換しないことが好ましい。色調変換がガンマ補正であれば、ガンマ値が0に近い、又は、1よりも非常に大きいケースが前者に相当する。
【0131】
なお、基本的に図16(c)のように、複数の入力値に対して一つの出力値が対応付くケースや、不連続となる点が存在するケースは望ましくはないものの、程度に応じて許容してもよい。
【0132】
また、図16(d)のように、色調変換パラメータがy=xに対し所定の範囲内に入っていることから色調変換の変換前後で画像データが極端に変化しないと判定することもできる。すなわち、色調変換パラメータの入力値毎に、出力値が入力値の±d%又は画素値Dに入っているか否かを判定する。
【0133】
色調変換パラメータが妥当な場合、色調変換部47は、原稿画像データを色調変換する(S190)。色調変換パラメータを用いて、原稿画像データに色調変換を施し、原稿画像データを更新する。
【0134】
以上で、一連の処理が終了する。色調変換の例としては、先述したガンマ補正やルック・アップ・テーブル(LUT)による変換が挙げられる。
【0135】
色調変換は、予め定められた所定の回数だけ繰り返し行われる。よって、色調変換の回数が所定の回数に達したら(S200のYes)、処理は終了する。色調変換は1回だけ実行されても、十分な色調変換が実現できると考えらえるが複数回実行することで色合わせの精度を向上できる。
【0136】
継続する場合(S200のNo)、色合わせ済みの原稿画像データを入力としてユーザプリンタ200から印刷(S110)、同様の処理を行う。なお、次のループで用いる原稿画像データは全て色調変換済みのものである。
【0137】
図15の手順では、終了条件の判定が3つ設定されているが、これら全てを設定する必要はない。必要に応じて適宜省略してもよいが、何れか1つは少なくとも設定されることが望ましい。
【0138】
本実施形態では、スキャナ300で読み取った際に使用された色空間をそのまま使用しているが、この色空間はデバイス依存の色空間であるため、スキャナ300のカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することが望ましい。デバイス非依存の色空間の例としては、デバイス非依存のRGB色空間、XYZ色空間などが挙げられる。更に、L*a*b*色空間など均等色空間に変換すればなおよい。
【0139】
出力画像データをL*a*b*色空間に色変換した上で処理を行う際には、原稿画像データもL*a*b*色空間に色変換する必要がある。また、色再現特性の推定、色調変換パラメータの決定、並びに色調変換もL*a*b*色空間で行うことになる。ただし、色調変換後には元の色空間に戻す必要がある。
【0140】
なお、色調変換パラメータの生成について、図5に示すように基準プリンタ、ユーザプリンタ、及び、スキャナを用いて説明したが、出力装置があれば同様に色調変換パラメータを生成できる。
図17は、色調変換パラメータ生成システム600の構成図の一例を示す。この色調変換パラメータ生成システム600は、ネットワークを介して接続された、コンピュータ100、プロジェクタ800、及び、デジタルカメラ900を有する。
図17と図5を比較すると、
a)ディスプレイ109が基準プリンタ400に対応し
b)ディスプレイ109の基準表示画面が基準印刷物に対応し
c)プロジェクタ800がユーザプリンタ200に対応し
d)プロジェクタ800が投影したユーザ表示画面がユーザ印刷物に対応し、
e)デジタルカメラ900がスキャナ300に対応する。
このようなシステムにおいても同様に色調変換パラメータを生成できる。
【実施例1】
【0141】
基準画像データとユーザ画像データの色差、及び、原稿画像データの無彩色の部分からの距離に基づき、色調変換の程度を制御する色調変換システム610について説明する。システム構成図は、図5、図9又は図17と同じであるとする。したがって、ユーザプリンタ200又はMFP700は、生成された色調変換パラメータにて印刷する際、色調変換の程度を制御する。
【0142】
まず、新たに中間画像データを定義する。
・中間画像データ:基準画像データに対して所定の色調変換パラメータを用いて色調変換が行われた画像データ
図18は、色調変換システム610又はMFP700の機能ブロック図の一例である。色調変換システム610又はMFP700は、画像読み取り部41、幾何学変換パラメータ推定部42、画素対応付け部51、色差取得部52、色空間距離取得部53、合成重み決定部54、色調変換部47、及び、画像合成データ部、を有する。
【0143】
このうち、画像読み取り部41、及び、幾何学変換パラメータ推定部42については図10と同様である。
【0144】
画像読み取り部41は原稿画像データの出力結果である基準印刷物及びユーザ印刷物を読み取り、基準画像データ及びユーザ画像データを生成する。
【0145】
幾何学変換パラメータ推定部42は原稿画像データと基準画像データ、原稿画像データとユーザ画像データのそれぞれの幾何学変換パラメータを推定する。
【0146】
画素対応付け部51は(画素対応付け部43とは異なる点に留意されたい)、幾何学変換パラメータを用いて、基準画像データの画素とユーザ画像データの画素の対応関係を検出し、両者の画素の座標が対応づけられた画素対応付けデータを生成する。
【0147】
色差取得部52は、画素対応付けデータを用いて、基準画像データとユーザ画像データの色差を求め、色差データを作成する。
【0148】
色空間距離取得部53は、無彩色からの原稿画像データの各色の距離を求め距離データを作成する。基準画像データ又はユーザ画像データの無彩色からの距離を求めてもよい。基準画像データ又はユーザ画像データでも距離データには同様の傾向があると考えられるためである。
【0149】
色調変換部47は、原稿画像データに所定の色調変換パラメータを用いて色調変換を施し中間画像データを作成する。
【0150】
合成重み決定部54は、色差データ及び距離データから、合成重みを作成する。また、中間画像データと原稿画像データを合成する際の、中間画像データに付与される重みを決定する。
【0151】
画像データ合成部55は、決定された重みに基づき中間画像データを重み付けして、原稿画像データと合成する。
【0152】
〔動作手順〕
図19は、画像読み取り部41が基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、画素対応付け部51が幾何学変換パラメータを用いて原稿画像データとユーザ画像データの画素の対応付けを取得する手順を示すフローチャート図の一例である。
【0153】
画像読み取り部41は、基準印刷物とユーザ印刷物を読み取り、基準画像データとユーザ画像データを生成する(S201)。
【0154】
幾何学変換パラメータ推定部42は、原稿画像データと基準画像データ、及び、原稿画像データとユーザ画像データの幾何学変換パラメータを推定する (S202)。幾何学変換パラメータの例としては、変位量、回転角又は変倍率がある。幾何学パラメータの推定には公知の技術を用いればよい。その例としては、マーカーを用いる方法や、マーカーを用いないパターンマッチング法や位相限定相関法などが挙げられる。いずれの方法も、色調変換パラメータを生成する際に説明したので詳細は省略する。
【0155】
幾何学変換パラメータが推定されると、画素対応付け部51は、基準画像データとユーザ画像データに幾何学変換を施す(S203)。変換に際してサブピクセル精度の移動や何らかの回転、実数値での変倍などにより変換前後の画素が一対一で対応付かないようなケースでは、適宜画素補間手法を用いて画素値を導出すればよい。画素補間手法の例としては、バイリニア法、バイキュービック法などが挙げられる。
【0156】
幾何学変換により、基準画像データとユーザ画像データは原稿画像データと画像の位置がほぼ一致している。したがって、基準画像データとユーザ画像データの同じ座標の画素は互いに対応していると考えられる。画素対応付け部51はこのように2つの幾何学変換パラメータを求めて基準画像データとユーザ画像データの画素を対応づける。
【0157】
また、ステップS202では、原稿画像データと基準画像データ、及び、原稿画像データとユーザ画像データの幾何学変換パラメータを推定したが、基準画像データとユーザ画像データの間の幾何学変換パラメータを求めてもよい。すなわち、基準画像データとユーザ画像データの画像の位置を一致させるための幾何学変換パラメータを求め、いずれかに幾何学変換パラメータによる変換を施すことで、基準画像データとユーザ画像データの画像の位置をほぼ一致させることができる。
【0158】
なお、S203の幾何学変換は必須ではなく、原稿画像データと基準画像データ(又はユーザ画像データ)において同じ位置の画素を特定するため、幾何学変換パラメータを用いて座標変換を行い、同じ位置か否かを判断することによって代替してもよい。後者を換言すれば、各画像の原点を基準とする座標系では異なる座標値を保持していても、幾何学変換の結果、同じ座標値となる画素を「同じ位置の画素」と見なすことになる。
【0159】
原稿画像データを出力して得られた印刷物には画像の周囲に余白が存在するケースが存在する。この様なケースでは、幾何学変換の変位量に余白部分の高さや幅が含まれるため余白部分を参照することはないが、出力画像データにおいて余白部分を排除するように必要な領域を切り出し、各画像における原点の位置を一致させてもよい。
【0160】
続いて、色調変換について説明する。
図20は、色調変換システム610又はMFP700が色調変換する手順の一例を示すフローチャート図である。
【0161】
まず、ステップS210の「基準プリンタの基準画像データを取得する」、S220の「ユーザプリンタのユーザ画像データを取得する」は、図19の手順で説明した。なお、S210,S220は1回だけ実行すればよい。仮に複数回実行する場合、S210,S250で使用する原稿画像データはオリジナルのものを用い、色調変換後のものを用いないことに留意する必要がある。
【0162】
次に、色差取得部52は、ユーザ印刷物を評価する(S230)。そして、ユーザ印刷物と基準印刷物とを比較してユーザ印刷物の品質を評価する(S240)。
【0163】
ユーザ印刷物の品質が十分であれば(S240のYes)、処理を終了し、そうでなければ(S240のNo)、次ステップS250に進む。
【0164】
ユーザ印刷物の品質を評価する方法は、色調変換パラメータを生成する際の方法と同様である。
【0165】
ユーザ印刷物が妥当でない場合(S240のNo)、色差取得部52は色差データを取得する (S250)。すなわち、基準画像データとユーザ画像データとの色差を画素毎又は画素群毎に求め色差データとする。したがって、色差データは画像データと同じ大きさのマップとして管理され、基準画像データとユーザ画像データの座標と、色差データのマップの座標とは対応付く(同じ座標なら同じ画素。色差の導出方法は図15のS140にて記した通りである。なお、ユーザ印刷物の評価S140において色差を用いた場合には、そこで求められた画素ごとの色差を利用して、本ステップを省略してもよい。
色差データは以下のように加工してもよい。
a) マップを移動平均により平滑化する
b) マップを低解像度化する(複数の画素の色差を合成した値で代替する)
c) マップから基準画像データやユーザ画像データにおける輪郭部分に対応する領域を除去する
画素ごとに色差を求めると色差データにノイズが乗るケースが存在するため、マップの平滑化や低解像度化をすることが望ましい。また、マップの輪郭部分を除去する場合には、マップが不連続とならないように除去した部分を適宜補間することが望ましい。補間方法には従来技術を用いればよく、例えば線形補間やキュービック補間などの補間手法のほか、平滑化処理を用いてもよい。
【0166】
次に、色空間距離取得部53は、距離データを取得する(S260)。すなわち、原稿画像データにおいて利用されている各色の無彩色からの距離を求め距離データとする。距離データは色差データと同様に画像データと同じ大きさのマップとして管理してもよいし、色と距離を対応付けたリストとして管理してもよい。距離データを求める手順の一例を以下に示す。
(1)原稿画像データの色空間をL*a*b*色空間に変換する
(2)原稿画像データから色を1つ選び無彩色からの距離d*abを求める
(3)これを原稿画像データの全ての色について繰り返す
L*a*b*色空間に変換するのは、肉眼による色の違いが、L*a*b*色空間における色同士の距離と近いと言われているためである。
【0167】
L*a*b*色空間における距離d*abの定義の例としては、次式が挙げられる。
【0168】
【数4】

L*a*b*色空間では、a*値及びb*値がゼロである点が無彩色なので、距離d*abは、無彩色の点から着目する色までの長さで表される。
【0169】
次に、合成重み決定部54は、色差データと距離データとを用いて重みデータを決定する(S270)。重みデータを求める手順の一例を以下に示す。ここでは色差データと距離データとはマップとして管理されることを前提として説明する。
(1)色差データを色差の閾値で割った後、最大値を1で飽和させ(1以上を全て1とみなす)、色差重みデータを作成する
(2)距離データを距離の閾値で割った後、最大値を1で飽和させ(1以上を全て1とみなす)、距離重みデータを作成する
(3)色差データのある座標における値と、距離データの対応する座標における値とを乗算し、重みを算出する
(4)(3)を全ての座標について繰り返す
上記色差の閾値thΔEや距離の閾値thdは、予めユーザにより設定された値を用いてもよいし、色差データや距離データの平均値や中央値など何らかの統計処理を施した値を用いてもよい。特に距離の閾値thdは、L*a*b*色空間におけるa*成分値とb*成分値の取りうる最大値a*maxおよびb* maxを用いて次式で求めてもよい。
【0170】
【数5】

色差データや距離データを閾値で割る理由は、ゼロから閾値までの重みデータを連続的に変化させるためである。重みデータを連続的に変化させることによって、原稿画像データと中間画像データとの合成後に階調が不連続とならない効果が期待できる。また、最大値を1で飽和させるのは、重みデータの値域を0から1の間に収めるためである。
【0171】
図21(a)は距離の最大値を閾値とした場合の距離重みデータの一例を示す。例えば、距離の閾値thdを上式により求めるケースでは、距離重みデータwdが距離d*abが0から最大値d*maxまで連続的に変化する。最大値d*maxは1である。
【0172】
図21(b)は、距離の閾値thdとしてd*maxよりも小さい値を採用した場合の距離重みデータの一例を示す。図示するように、距離重みデータwdが距離d*abが0からthdまで連続的に変化し、それ以降は1で飽和する。
【0173】
また、色差重みデータや距離重みデータは、図21(a)(b)に例示したような線形的な変化だけでなく、所定の関数を用いて非線形に変化させてもよい。
図21(c)(d)は非線形の関数により求められた距離重みデータ又は色差重みデータの一例を示す。関数の例としては、二次関数や指数関数、逆関数などが挙げられる。また、関数だけでなくルック・アップ・テーブルのように予め決定された情報を用いて色差や距離を重みデータに変換してもよい。
【0174】
図22(a)は色差分布の一例を、図22(b)は色差重みデータの一例をそれぞれ示す。ここでan(nは0以上の整数)はマップのx方向又はy方向の位置を示す。ここでは色差重みデータは、合成時に中間画像データに付与される重みとして説明する。まず、図22(a)がある色差データの一部であったとする。位置に応じて色差の値が変化しており、x=a4からx=a5までは色差がゼロである。
【0175】
これに対し図22(b)の色差重みデータは、色差データにおいて値が色差の閾値thΔEより大きい範囲(x=0からx=ath)では1で飽和しており、色差がゼロであるx=a4からx=a5までは重みはゼロとなっている。それらを除く範囲では、色差データの増減に合わせて重みも変動している。
【0176】
なお、図22(b)では色差データや色差重みデータの変動を線形に表現しているが、変動は非線形であってもよいし、不連続な箇所が存在してもよい。また、図の都合上一次元で図示しているが、二次元の分布も同様に色差データに応じて色差重みデータは変動する。更に、ここでは色差データを前提として説明したが、色空間の距離についてもほぼ同様であり、色差を距離と読み替えればよい。
【0177】
合成重み決定部54は、例えば以下のようにして合成重みWTを求める。ある画素又は画素群の色差重み付けをWc(0≦Wc≦1)、距離重みをWd(0≦Wd≦1)、とする。
=Wc・Wd
なお、色差重みのみ又は距離重みのみを使用する場合は、それぞれ以下のようになる。
=Wc
=Wd
距離重みが、画素又は画素群毎に求められていない場合、着目している原稿画像データの画素又は画素群の色に対応づけられた距離重みを用いる。
【0178】
次に、色調変換部47は、原稿画像データを色調変換する (S280)。上記のようにして生成された又は予め設定されている色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換を施し、中間画像データを作成する。色調変換の例としては以下のようなものが挙げられる。
a)ガンマ補正
b)明度、彩度、色相補正
c)コントラスト補正
したがって、中間画像データは原稿画像データと同じ大きさの画像データとなる。なお、処理を簡略化するために中間画像データは原稿画像データよりも低い解像度で作成してもよい。
【0179】
次に、画像データ合成部55は、原稿画像データと中間画像データとを合成する(S290)。原稿画像データと中間画像データとを合成して原稿画像データを更新する手順を以下に示す。
(1)原稿画像データからある座標の画素値を取得する
(2)中間画像データから対応する座標の画素値を取得する
(3)重みデータから対応する座標の重みを取得する
(4)得られた二つの画素値を、上記重みを用いて加重平均し、合成後の画素値を決定する
(5)合成後の画素値を用いて原稿画像データの該当画素を更新する
(6)(1)から(5)を全ての座標について繰り返す
合成後の画素値Gは、例えば以下のようにして求める。ここである画素又は画素群の色差重み付けをWc(0≦Wc≦1)、距離重みをWd(0≦Wd≦1)、原稿画像データの色をO、中間画像データの色をM、とする。
GT=W・M+(1−W)・O
なお、色差重みのみ又は距離重みのみを使用する場合は、それぞれ以下のようになる。
=Wc・M+(1−Wc)・O
=Wd・M+(1−Wd)・O
上記手順では原稿画像データを更新しているが、合成結果を新しい画像データとして作成してもよい。
【0180】
原稿画像データと中間画像データとを合成する際に上述の重みを用いることにより、以下のような効果が期待できる。
【0181】
a)基準画像データとユーザ画像データとで元々色が一致している箇所を維持することができる
原稿画像データに一括で色調変換をかけてしまうと、基準画像データとユーザ画像データとで本来色が一致していたはずの箇所の色も変化してしまい、全体として色の一致度が改善しても、前記箇所で色の一致度が低下してしまう。これに対し、原稿画像データと中間画像データの合成重みにおいて、基準画像データとユーザ画像データとの色の一致度に基づいて色差重みを決定し合成重みに反映することにより、一致度の低下を回避することができる。これは以下のような理由による。
・上記の色差重みデータは、一致度が高い箇所は原稿画像データの比重が高くなるように制御し、逆に一致度が低い箇所は中間画像データの比重が高くなるように制御する。このため、合成によって得られる色調変換後の原稿画像データにおいて一致度が高い箇所は元の原稿画像データのまま変化せず、一致度が低い箇所のみ変更が反映されることになる
b)原稿画像データで無彩色である箇所に不正に色が付いてしまう問題を緩和することができる
原稿画像データに一括で色調変換をかけてしまうと、原稿画像データで無彩色である箇所に色が付いてしまい、該当箇所での一致度が低下してしまう。これに対し、原稿画像データと中間画像データの合成重みにおいて、原稿画像データを構成する各色の無彩色からの距離に基づいて距離重みを決定し合成重みに反映することにより、一致度の低下を回避することができる。これは以下のような理由による。
・距離重みは記無彩色からの距離が短いほど原稿画像データの比重が高くなるように制御し、無彩色からの距離が長いほど中間画像データの比重が高くなるように制御する。このため、合成によって得られる色調変換後の原稿画像データにおいて無彩色に近い箇所は元の原稿画像データからの変化量が相対的に小さく、無彩色から遠い箇所は変化量が相対的に大きくなる。
【0182】
色調変換システム610は、色調変換の回数が所定の回数に達したら(S300のYes)、処理を終了する。継続する場合(S300No)には色合わせ済みの原稿画像データを入力としてユーザプリンタ200から印刷、処理を継続する。なお、次のループで用いる原稿画像データは全て色調変換済みのものである。
【0183】
なお、図20では終了条件の判定が2つ設定されているが、これら全てを設定しなければならない訳ではない。必要に応じて適宜省略してもよいが、何れか一方は少なくとも設定されることが望ましい。
【0184】
また、色差による重み付けと距離による重み付けとはいずれか一方だけを行ってもよい。それぞれ一方の重み付けにより以下のような利点と欠点がある。
a) 色差情報のみで重み付けした場合
[利点] 元々色が合っていた色に対し色調変換を加えることを抑制できる
[欠点] 一方、原稿画像データで無彩色の画素に色がついてしまうケースがある
原稿画像データで白い領域は用紙色が出るが、基準印刷物とユーザ印刷物とで用紙色が異なると用紙色の違いで色差が生じ、色調変換が反映されてしまう
b) 距離情報のみで重み付けすると
[利点] 無彩色の画素に色調変換を加えることを抑制できる
[欠点] 一方、元々色が合っていた画素に対して色調変換が加わってしまうケースがある
したがって、色差による重み付けと距離による重み付けの両方で重み付けすることで、a)の欠点をb)の利点が補い、b)の欠点をa)の利点が補うことができる。すなわち、色差による重み付けと距離による重み付けの両方で重み付けすることで欠点が相互補完されるという相乗効果が得られる。
【0185】
なお、相乗効果を考慮すると、常に両方使えば良いということになるが、一方のみを使用した方が、都合が良いケースもある。例えば、基準印刷物の用紙色をユーザ印刷物で再現したいケースには、色差情報のみを利用することが適している。また、原稿画像データに存在する同じ色の領域はユーザ印刷物全体でも同じ色として再現したいケースでは、距離情報のみを利用すればよい。補足すると、後者で色差情報を用いると、原稿画像データでは同じ色の領域であっても、基準印刷物とユーザ印刷物の色差の分布しだいでは合成重みが異なるため、別の色として再現されてしまうことになる。
【0186】
また、本実施例では、スキャナで読み取った際に使用された色空間をそのまま使用しているが、この色空間はデバイス依存の色空間であるため、スキャナのカラープロファイルを用いてデバイス非依存の色空間に変換することが望ましい。デバイス非依存の色空間の例としては、デバイス非依存のRGB色空間、XYZ色空間などが挙げられる。更に、L*a*b*色空間など均等色空間に変換すればなおよい。
【0187】
出力画像データをL*a*b*色空間に色変換した上で処理を行う際には、原稿画像データもL*a*b*色空間に色変換する必要がある。また、色再現特性の推定、色調変換パラメータの決定、並びに色調変換もL*a*b*色空間で行うことになる。但し、色調変換後には元の色空間に戻す必要がある。
【0188】
<重みデータにて色調変換パラメータを補正する場合>
本実施例では、原稿画像データと原稿画像データに色調変換を施した中間画像データとを、合成重み(又は色差重みと距離重みのどちらか一方)を用いて合成するとしている。しかし、この合成重みを色調変換パラメータに反映することにより、原稿画像データと中間画像データとを合成することと同じ効果を得ることも可能である。
【0189】
その場合には、二つの画像データを合成するステップS290を省略し、中間画像データを最終的な結果として採用することができる。なお、この場合、原稿画像データに色調変換をかけるS280において、S290に相当する処理もまとめて行われると換言することもできる。
【0190】
説明を補足すれば、本実施例で解消しようとしている課題は、色調変換を原稿画像データの全体に対して一括でかけることによって生じるものである。このために、色調変換により画像データが変化する度合いを制御することが必要である。この制御を行う手段には、原稿画像データと中間画像データとを合成するという形式を取る方法と、色調変換の強度を原稿画像データの位置に応じて変化させる方法とがある。前者が本実施例において説明してきた方法である。後者を実現する方法としては、以下のような方法が例として考えられる。
a)色調変換にガンマ補正を用いる場合
ガンマ値を原稿画像データの位置に応じて変化させる。例えば、ガンマ値の1からの変化量を合成重みにより制御する方法が考えられる。このとき、原稿画像データの座標(x,y)に対応するガンマ値γw(x,y)は、その座標における合成重みwT(x,y)と色調変換のガンマ値γを用いて次式で求めることができる。
【0191】
【数6】

b)色調変換にルック・アップ・テーブルを用いる場合
ルック・アップ・テーブルを原稿画像データの位置に応じて変化させる。a)と同様に、ルック・アップ・テーブルの変化量を合成重みにより制御する方法が考えられる。このとき、原稿画像データの座標(x,y)に対応するルック・アップ・テーブルTw(x,y)は、その座標における合成重みwT(x,y)と色調変換のルック・アップ・テーブルTを用いて次式で求めることができる。
【0192】
【数7】

なお、ここでLは入出力が等しくなるルック・アップ・テーブルのことである。
図22(c)は、ルック・アップ・テーブルTw(x,y)について補足する図の一例である。ルック・アップ・テーブルがLをTに変換するものである場合、(T−L)の差分に対してのみ重みデータで重み付けする。こうすることで、ルック・アップ・テーブルによる変換分に対してのみ重み付けすることができる。
【0193】
また、本実施例では、第一の画像出力機器と第二の画像出力機器としてプリンタを、画像読取部としてスキャナを用いたが、プリンタの代わりにオフセット印刷機やグラビア印刷機などを用い、スキャナの代わりに分光測色器やカメラを用いてもよい。
【0194】
また、画像出力機器と画像読取部との他の組合せ例としては、図17に示したように、第一の画像出力機器に液晶ディスプレイ、第二の画像出力機器に液晶プロジェクタ、画像読取部にデジタルカメラという組合せを用いてもよい。この場合には、実施例1の説明を以下の通り読み替えればよい。
a)基準プリンタ → 基準ディスプレイ
b)基準印刷物 → 基準表示画面
c)ユーザプリンタ→ ユーザプロジェクタ
d)ユーザ印刷物 → ユーザ表示画面
また、本実施例では画像出力装置としてプリンタを採用したため、均等色空間としてL*a*b*色空間を用いたが、画像出力装置としてディスプレイやプロジェクタを採用する場合は、均等色空間としてL*u*v*色空間を用いる。
【実施例2】
【0195】
本実施例は、色調変換パラメータが未知である場合、色調変換パラメータを推定するステップまで含めて説明する。本実施例のシステム構成図は実施例1と同じである。
【0196】
図23は、色調変換システム610又はMFP700の機能ブロック図の一例である。図23において図10と同一部の説明は省略する。本実施例の色調変換システム610又はMFP700は新たに色調変換パラメータ推定部56を有している。色調変換パラメータ推定部56は、色調変換パラメータを推定する。
【0197】
図24は、色調変換パラメータ推定部56の詳細な機能ブロック図の一例である。色調変換パラメータ推定部56は、画素値対応付け部43、色成分値対応付け部44、色調再現特性推定部45、及び、色調変換パラメータ決定部46を有する。
【0198】
画素値対応付け部43は、幾何学変換パラメータを用いて、原稿画像データの画素と対応する位置の基準画像データ又はユーザ画像データの画素を検出し、それらの画素値を対応付けて画素値対応付けデータを作成する。
【0199】
色成分値対応付け部44は画素値対応付けデータから、原稿画像データの各色成分の値と基準画像データの各色成分の対応する値を求め、また、原稿画像データの各色成分の値とユーザ画像データの各色成分の対応する値を求め、それらの色成分の値を対応付けて色成分値対応付けデータを作成する。
【0200】
色調再現特性推定部45は、色成分値対応付けデータを用いて、色調再現特性データを推定する。
【0201】
色調変換パラメータ決定部46は、色調再現特性データを用いて、色調変換パラメータを決定する。いずれも、前述した色調変換パラメータの生成にて説明しているので詳細は省略する。
【0202】
図25は、色調変換システム610又はMFP700が色調変換パラメータを作成し、その後、原稿画像データと中間画像データとを合成する手順の一例を示すフローチャート図である。図25では、図20のステップS210〜S270、図15のステップS160〜S180、及び、図20のS280〜S300を組み合わせたものになっている。よって、内容はすでに説明したので省略する。
【0203】
カラーチャートがない場合に、色調変換パラメータを推定して色調変換することで、
・元々色が合っている部分に色ずれが生じやすくなる
・無彩色の部分に色がつく現象が生じやすくなる
おそれがある。
【0204】
このため、本実施例のように重みデータを利用して色調変換の程度を制御することが特に有効になる。したがって、本実施例の色調変換システム610又はMFP700では、カラーチャートが得られない場合に、元々色が合っている部分の色ずれ、無彩色の部分に色がつく現象を抑制できる。
【符号の説明】
【0205】
41 画像読み取り部
42 幾何学変換パラメータ推定部
43 画素値対応付け部
44 色成分値対応付け部
45 色調再現特性推定部
46 色調変換パラメータ決定部
47 色調変換部
51 画素対応付け部
52 色差取得部
53 色空間距離取得部
54 合成重み決定部
55 画像データ合成部
56 色差変換パラメータ推定部
100 コンピュータ
200 ユーザプリンタ
300 スキャナ
400 基準プリンタ
500 ネットワーク
600 色調変換パラメータ生成システム
601 画像入力部
602 画像出力部
603 画像記憶部
604 画像解析部
605 パラメータ記憶部
606 画像処理部
610 色調変換システム
700 MFP
800 プロジェクタ
900 デジタルカメラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0206】
【特許文献1】特開2009−177790号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の画像出力手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力手段が色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換し出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置であって、
読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データの、画像位置をあわせる幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、
前記原稿画像データに前記色調変換パラメータを用いて色調変換を施し中間画像データを生成する色調変換手段と、
画素又は画素ブロック毎に、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの色差情報を取得する色差情報取得手段、又は、画素若しくは画素ブロック毎又は色ごとに前記原稿画像データ、第一の出力画像データ若しくは第二の出力画像データの無彩色からの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記中間画像データの画素又は画素ブロック毎に、前記色差情報又は前記距離情報の少なくとも一方による重み値を決定する重み決定手段と、
前記原稿画像データと、前記重み値により重み付けされた前記中間画像データの対応する画素の画素値を算術処理することで前記原稿画像データと前記中間画像データとを合成する画像データ合成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
第一の画像出力手段が原稿画像データを出力した第一の出力結果の色調を、第二の画像出力手段が色調変換パラメータを用いて原稿画像データに色調変換し出力した第二の出力結果において再現する画像処理装置であって、
読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データの、画像位置をあわせる幾何学変換パラメータを推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、
画素又は画素ブロック毎に、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの色差情報を取得する色差情報取得手段、又は、画素若しくは画素ブロック毎又は色ごとに前記原稿画像データ、第一の出力画像データ若しくは第二の出力画像データの無彩色からの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記原稿画像データの画素又は画素ブロック毎に、前記色差情報又は前記距離情報の少なくとも一方による重み値を決定する重み決定手段と、
前記重み値により補正された前記色調変換パラメータを用いて、前記原稿画像データを色調変換する色調変換手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記重み決定手段は、前記距離情報及び前記色差情報の両方から前記重み値を決定する場合は、前記距離情報から求めた重みと前記色差情報から求めた重みを算術処理して前記重み値を決定する、
請求項1又は2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記幾何学変換パラメータにより前記第一の出力画像データと記第二の出力画像データとの画素の対応関係を求める画素対応付け手段を有し、
前記色差情報取得手段は、対応関係により対応付けられる、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素又は画素ブロック毎に色差情報を取得する、
請求項1〜3いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記幾何学変換パラメータ推定手段は、前記原稿画像データと前記第一の出力画像データの画像位置を合わせる第一の幾何学変換パラメータ、前記原稿画像データと前記第二の出力画像データの画像位置を合わせる第二の幾何学変換パラメータ、をそれぞれ求め、
前記第一の幾何学変換パラメータによる前記第一の出力画像データの幾何学変換と、前記第二の幾何学変換パラメータによる記第二の出力画像データの幾何学変換から、画素の対応関係を求める画素対応付け手段を有し、
前記色差情報取得手段は、前記対応関係により対応付けられる、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素又は画素ブロック毎に色差情報を取得する、
請求項1〜3いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記対応関係を用いて、前記第一の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の出力画像データと前記原稿画像データの対応する画素の色成分値が対応づけられた第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する色成分値対応付け手段と、
前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの画素値が同程度になる前記原稿画像データの画素値の組から、色調を変換するための前記色調変換パラメータを生成する色調変換パラメータ決定手段と、
を有することを特徴とする請求項4又は5記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記色調変換パラメータ決定手段は、前記第一の色成分値対応付けデータにおいて、前記原稿画像データから読み出した任意の画素の画素値に対応付けられた第一画素値を読み出し、
前記第二の色成分値対応付けデータにおいて前記第一画素値に対応づけられた前記原稿画像データの第二画素値を読み出し、
前記任意の画素の画素値と前記第二画素値の前記組を対応づけて記録する、
ことを特徴とする請求項6記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記色成分値対応付け手段は、原稿画像データ、前記第一の出力画像データ及び前記第二の出力画像データをデバイス非依存の色空間に変換した後、
前記第一の色成分値対応付けデータ、及び、前記第二の色成分値対応付けデータをそれぞれ生成する、ことを特徴とする請求項6又は7記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記色調変換パラメータ決定手段は、
前記色調変換パラメータが所定の範囲内に入っていること、
前記色調変換パラメータにより変換される前の画素値と後の画素値の差が所定の基準を満たすこと、の少なくとも一方に基づき、生成した前記色調変換パラメータが妥当か否かを判定する、
ことを特徴とする請求項6〜8いずれか1項記載の画像処理装置。
【請求項10】
第一の画像出力手段が第一の出力結果として出力した原稿画像データを、第二の出力結果として出力する第二の画像出力手段と、第一の出力結果及び前記第二の出力結果を読み取る読み取り装置と、前記原稿画像データに色調変換パラメータによる色調変換を施す情報処理装置と、を有する画像処理システムであって、
前記読み取り装置が前記第一の出力結果を読み取った第一の出力画像データと、読み取り装置が前記第二の出力結果を読み取った第二の出力画像データの、画像位置をあわせるための幾何学変換パラメータをそれぞれ推定する幾何学変換パラメータ推定手段と、
前記原稿画像データに前記色調変換パラメータを用いて色調変換を施し中間画像データを生成する色調変換手段と、
画素又は画素ブロック毎に、前記第一の出力画像データと前記第二の出力画像データの色差情報を取得する色差情報取得手段、又は、画素若しくは画素ブロック毎又は色ごとに前記原稿画像データ、第一の出力画像データ若しくは第二の出力画像データの無彩色からの距離情報を取得する距離情報取得手段と、
前記中間画像データの画素又は画素ブロック毎に、前記色差情報又は前記距離情報の少なくとも一方による重み値を決定する重み決定手段と、
前記原稿画像データと、前記重み値により重み付けされた前記中間画像データの対応する画素の画素値を算術処理することで前記原稿画像データと前記中間画像データとを合成する画像データ合成手段と、を有する画像処理システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2013−26921(P2013−26921A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161261(P2011−161261)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】