説明

画像処理装置、画像処理方法、および電子機器

【課題】画質の劣化をより抑制する。
【解決手段】クロストーク補正部52は、光を受光する複数の画素を有する撮像素子44における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶しており、その補正マトリックスを、撮像素子44から出力される画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う。さらに、クロストーク補正部52は、撮像素子44の受光面に光を集光させるレンズの開放値に応じて補正マトリックスを生成する。本発明は、例えば、撮像装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法、および電子機器に関し、特に、画質の劣化をより抑制することができるようにした画像処理装置、画像処理方法、および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサーに代表される固体撮像素子に対し、画素サイズを縮小して、同一のイメージエリア内で画素数を多くする多画素化が常に要求されている。
【0003】
図1を参照して、一般的な固体撮像素子の構成について説明する。
【0004】
図1Aには、固体撮像素子のカラーフィルタの例が示されており、図1Bには、表面照射型CMOSイメージセンサーの断面図が示されており、図1Cには、裏面照射型CMOSイメージセンサーの断面図が示されている。
【0005】
図1Aに示されているカラーフィルタ11は、いわゆるベイヤー(Bayer)配列により、赤、青、および緑の色フィルタが配置されている。ベイヤー配列では、水平方向および垂直方向に多数個配列される画素に対し、1つ置きの水平方向の画素の行では、青Bと緑Gbの色フィルタが、交互に画素セルに対向するように配される。そして、ベイヤー配列では、残りの1つ置きの水平方向の画素の行では、赤Rと緑Grの色フィルタが、交互に画素セルに対向するように配され、かつ、赤Rと青Bの色フィルタが配される画素が、垂直方向の画素の1列に含まれないように配される。
【0006】
なお、以下適宜、赤Rの色フィルタが配置された画素を画素Rと称し、緑Gbの色フィルタが配置された画素を画素Gbと称し、青Bの色フィルタが配置された画素を画素Bと称し、緑Grの色フィルタが配置された画素を画素Grと称する。
【0007】
図1Bに示されている表面照射型CMOSイメージセンサー21は、フォトダイオードを含むシリコン基板22とFD(Floating diffusion:フローティングディフュージョン)23とに反射防止膜24が成膜される。その反射防止膜24に配線25を有する配線層26が積層された後、平坦化膜27を介してカラーフィルタ28が塗布された上にオンチップレンズ29が配置されて構成される。
【0008】
図1Cに示されている裏面照射型CMOSイメージセンサー31は、フォトダイオードを含むシリコン基板32に反射防止膜33が成膜される。その反射防止膜33に、クロストークを抑制するための遮光膜34が成膜された後、平坦化膜35を介してカラーフィルタ36が塗布された上にオンチップレンズ37が配置されて構成される。なお、裏面照射型CMOSイメージセンサー31は、光が入射するオンチップレンズ37側が裏面側とされ、表面側に配線層(図示せず)が配置されている。
【0009】
裏面照射型CMOSイメージセンサー31では、光の入射側に配線層が配置されていないので、配線層により光が欠損することなく、表面照射型CMOSイメージセンサー21よりもシリコン基板32に到達する受光量を増加させることができる。これにより、裏面照射型CMOSイメージセンサー31では、高感度かつ低ノイズで高画質な画像を得ることができる。このような裏面照射型CMOSイメージセンサー31は量産されており、カムコーダーやデジタルスチルカメラなどに搭載されている。
【0010】
とろろで、固体撮像素子の多画素化を進めることにより、単一画素に入射される光のエネルギーの絶対量が減少するとともに、デバイス中を光が伝播する間に、隣接画素への光の漏れ(クロストーク)が発生してしまう。また、画素境界付近で光電変換する電子が増加することによっても、隣接画素への電子の漏れ(クロストーク)が発生してしまうため、総合的にクロストークが増大することになる。このようなクロストークの発生が、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の分光特性が低下する要因となっていた。
【0011】
図2を参照して、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の分光特性について説明する。
【0012】
図2Aには、画素サイズが1.12μmである矩形の裏面照射型CMOSイメージセンサー31の出力信号から求められる分光特性が示されている。図2Aにおいて、横軸は波長(Wavelength(nm))を表し、縦軸は出力信号の信号値(Output Signal(a.u))を表している。
【0013】
図2Aに示すように、画素サイズが波長と大きく変わらないオーダーとなり、色分離が悪いことが判る。
【0014】
図2Bには、オンチップカラーフィルタが備えている分光特性が示されている。図2Bにおいて、縦軸は透過率(transmission(a.u))を表し、横軸は波長(lambda(μm))を表している。
【0015】
オンチップカラーフィルタが備えている分光特性(図2B)を、裏面照射型CMOSイメージセンサー31からの出力信号から求められる分光特性(図2A)と比較することにより次のことが判る。即ち、色分離の悪化は、オンチップカラーフィルタの特性に依存するものではなく、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の内部で光または電子(信号電荷)が漏れることに依存している。
【0016】
図2Cには、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の受光面に対する光の入射角度を10°にした場合に、画素サイズが1.12μmである矩形の裏面照射型CMOSイメージセンサー31からの出力から求められる分光特性が示されている。図2Aには、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の受光面に対する光の入射角度が垂直(0°)である場合の分光特性が示されており、これらを比較することより、光の入射角度を増加させることによってクロストークが強調されることが判る。
【0017】
また、例えば、本願出願人は、補正パラメータに応じて画素混色補正処理を行うことにより、画質への影響を軽減する撮像装置を提案している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2009−124282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
上述したようなクロストークが発生することにより、色分離性能が低下し、色再現が悪化するとともに、SN比(signal-to-noise ratio:信号対雑音比)が悪化してしまう。これにより、固体撮像素子により得られる画像の画質が劣化することになる。
【0020】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、画質の劣化をより抑制することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の一側面の画像処理装置は、光を受光する複数の画素を有する撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部と、前記記憶手段に記憶されている前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う演算部とを備える。
【0022】
本発明の一側面の画像処理方法は、光を受光する複数の画素を有する撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部に記憶されている前記補正マトリックスを読み出し、前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行うステップを含む。
【0023】
本発明の一側面の電子機器は、光を受光する複数の画素を有する撮像素子と、前記撮撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部と、前記記憶手段に記憶されている前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う演算部とを備える。
【0024】
本発明の一側面においては、光を受光する複数の画素を有する撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスが、撮像素子から出力される画素ごとの画像信号に対して適用される。
【発明の効果】
【0025】
本発明の一側面によれば、画質の劣化をより抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】一般的な固体撮像素子の構成を示す図である。
【図2】裏面照射型CMOSイメージセンサーの分光特性について説明する図である。
【図3】本発明を適用した撮像装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【図4】周囲画素によりに発生するクロストークの割合を示す図である。
【図5】周囲画素によりに発生するクロストークの割合を示す図である。
【図6】周囲画素によりに発生するクロストークの割合を示す図である。
【図7】周囲画素によりに発生するクロストークの割合を示す図である。
【図8】周囲画素を説明する図である。
【図9】補正マトリックスの一例を示す図である。
【図10】クロストークを補正する処理を説明する図である。
【図11】クロストークを補正した後の分光特性を示す図である。
【図12】補正マトリックスの適用前後でのSNR10を示す図である。
【図13】クロストーク補正部の構成例を示す図である。
【図14】θ=5°とθ=10°との基本マトリックスの要素を説明する図である。
【図15】クロストークを補正する処理を説明するフローチャートである。
【図16】補正マトリックスの一例を示す図である。
【図17】補正マトリックスの適用前後でのSNR10を示す図である。
【図18】集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスを示す図である。
【図19】クロストーク補正部の構成例を示す図である。
【図20】受光面に対して垂直に光が入射したときの裏面照射型CMOSイメージセンサーの内部での電子の動きを模式的に示す図である。
【図21】受光面に対して斜めに光が入射したときの裏面照射型CMOSイメージセンサーの内部での電子の動きを模式的に示す図である。
【図22】入射角度が10°および20°で必要となる補正マトリックスを示す図である。
【図23】補正マトリックスの適用前後でのSNR10を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0028】
図3は、本発明を適用した撮像装置の一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【0029】
図3において、撮像装置41は、レンズユニット42、シャッタ装置43、撮像素子44、駆動回路45、画像処理装置46、およびモニタ47を備えて構成される。
【0030】
レンズユニット42は、1枚または複数枚のレンズを有しており、被写体からの像光(入射光)を撮像素子44に導き、撮像素子44の受光面(センサ部)に結像させる。また、レンズユニット42は、レンズの焦点距離を有効口径で割った値である開放値を記憶している。
【0031】
シャッタ装置43は、レンズユニット42および撮像素子44の間に配置され、駆動回路45の制御に従って、撮像素子44への光照射期間および遮光期間を制御する。
【0032】
撮像素子44には、例えば、図1に示した構造の裏面照射型CMOSイメージセンサー31が採用され、レンズユニット42およびシャッタ装置43を介して受光面に結像される像に応じて、一定期間、信号電荷が蓄積される。そして、撮像素子44に蓄積された信号電荷は、駆動回路45から供給される駆動信号(タイミング信号)に従って転送される。
【0033】
駆動回路45は、撮像素子44の転送動作、および、シャッタ装置43のシャッタ動作を制御する駆動信号を出力して、撮像素子44およびシャッタ装置43を駆動する。
【0034】
画像処理装置46は、撮像素子44から出力される画像信号(Raw Data)に対して各種の画像処理を施し、その画像処理の結果得られる画像データを出力する。画像処理装置46から出力される画像データは、モニタ47に供給される他、図示しない記録媒体に供給されて記録される。
【0035】
モニタ47は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを備えており、画像処理装置46から供給される画像データに従って画像を表示する。
【0036】
また、画像処理装置46は、CDS(correlated double sampling:相関2重サンプリング)回路51、クロストーク補正部52、AGC(Automatic Gain Control:自動利得制御)回路53、A/D(Analog/Digital)変換回路54、ホワイトバランス調整回路55、補間処理回路56、エッジ強調処理回路57、リニアマトリックス演算回路58、およびγ補正回路59を備えて構成される。
【0037】
CDS回路51には、撮像素子44から出力される画像信号に対して相関2重サンプリングによりノイズを除去する処理を施し、ノイズが除去された信号をクロストーク補正部52に供給する。
【0038】
クロストーク補正部52は、CDS回路51から出力された信号に対して、クロストークを補正する補正処理を行う。また、クロストーク補正部52、補正処理を行うとき、必要に応じて、レンズユニット42と通信を行って現在の開放値を取得する。
【0039】
AGC回路53は、クロストーク補正部52から出力される信号を自動的に増幅して出力し、A/D変換回路54は、AGC回路53から出力されるアナログの信号をデジタルの信号に変換する。
【0040】
ホワイトバランス調整回路55は、A/D変換回路54から出力された信号により構築される画像に対してホワイトバランスを調整する処理を施す。補間処理回路56は、補間処理により、ホワイトバランス調整回路55から出力された信号により構築される画像のサイズを調整する。
【0041】
エッジ強調処理回路57は、補間処理回路56から出力される信号により構築される画像のエッジを強調する処理を施す。なお、画像処理装置46では、エッジを強調する処理の他、適宜、必要に応じた画像処理が施される。
【0042】
リニアマトリックス演算回路58は、エッジ強調処理回路57から出力される信号により構築される画像に対してマトリックス演算による補正を行う。γ補正回路59は、リニアマトリックス演算回路58から出力される信号により構築される画像に対して、モニタ47に表示される画像の彩度や明るさなどを修正するγ補正を行い、補正後の信号(Y信号およびC信号)を出力する。
【0043】
ここで、撮像素子44として図1に示した構造の裏面照射型CMOSイメージセンサー31を採用した場合、裏面照射型CMOSイメージセンサー31のシミュレーションから求められる分光特性は、図2に示したもとの同等である。つまり、画素Grおよび画素Gbからのクロストークにより、画素Rおよび画素Bそれぞれに信号が漏れ込んでいることより、画素Rおよび画素Bにおいて、500〜550nm付近の出力が高くなる。このように、クロストークには、波長依存性があることが判る。
【0044】
次に、図4乃至図8を参照して、クロストークの波長依存性について説明する。図4乃至図7には、所定の画素の周囲に配置されている8つの画素からのクロストークの量、即ち、所定の画素に対して上下左右方向および斜め方向ごとのクロストークの量が波長ごとに示されている。
【0045】
図4乃至図7には、図8において中央に配置されている画素Gb_ccの周囲に配置されている8つの画素により、画素Gb_ccに発生するクロストークの割合が示されている。図8に示すように、画素Gb_ccの周囲には、左上隣に画素Gr_ul、左隣に画素B_cl、左下隣に画素Gr_bl、上隣に画素R_uc、下隣に画素R_bc、右上隣に画素Gr_ur、右隣に画素B_cr、および右下隣に画素Gr_brが配置されている。
【0046】
図4乃至図7において、横軸は波長を表しており、図4には、380nm〜450nmが示されており、図5には、460nm〜530nmが示されており、図6には、540nm〜610nmが示されており、図7には、620nm〜680nmが示されている。また、図4乃至図7において、縦軸はクロストークの割合が示されている。
【0047】
図4乃至図7に基づいて、例えば、斜め方向に配置されている画素、つまり、左上隣の画素Gr_ul、左下隣の画素Gr_bl、右上隣の画素Gr_ur、および右下隣の画素Gr_brからのクロストークが少ないことが判る。一方、上下左右方向に配置されている画素、つまり、
上隣の画素R_uc、下隣の画素R_bc、左隣の画素B_cl、および右隣の画素B_crからのクロストークが多いことが判る。また、短波長側(例えば、400〜470nm)では、画素Bからのクロストークが多いことが判る。
【0048】
このように、画素Gb_ccの周囲に配置されている8つの画素から、画素Gb_ccに漏れ込む信号量が求められる。逆に言えば、画素Gb_ccの周囲に配置されている8つの画素からは、求められた信号量がそれぞれ漏れ出していることになる。従って、それぞれの画素から出力される信号に対して、演算により漏れ出した信号量を戻すことにより、発生したクロストークを仮想的に改善することができる。
【0049】
また、図4乃至図7に示した画素Gbと同様に、画素Gr、画素B、および画素Rについても、それぞれの周囲に配置されている8つの画素からのクロストークの量を求めることができる。そして、画素Gb、画素Gr、画素B、および画素Rごとに求められたクロストークの量から、クロストーク補正部52がクロストークを補正する処理で使用する補正マトリックスを算出することができる。
【0050】
まず、図4に示したようなデータから、周囲に配置されている8つの画素に漏れた信号量を、画素Gb、画素Gr、画素B、および画素Rごとについて抽出する。次に、周囲に配置されている8つの画素に漏れた信号量を合計する。そして、漏れた信号量と、合計した信号量とを、画素から出力される出力信号の信号値で割ってノーマライズする。ここで、このノーマライズした数値を、以下適宜、混色量比と称する。
【0051】
そして、中央の画素から、左上隣の画素への混色量比をaとし、上隣の画素への混色量比をbとし、右上隣の画素への混色量比をcとし、左隣の画素への混色量比をdとし、右隣の画素への混色量比をeとし、左下隣の画素への混色量比をfとし、下隣の画素への混色量比をgとし、右上隣の画素への混色量比をhとすると、補正マトリックスは、次の式(1)で表される。
【0052】
【数1】

・・・(1)
【0053】
但し、式(1)において、iは、i=a+b+c+d+e+f+g+hにより求められる数値である。
【0054】
なお、混色が発生していない場合の補正マトリックスは、次の式(2)となる。
【0055】
【数2】

・・・(2)
【0056】
従って、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれを中央の画素として、画素B、画素Gb、画素Grおよび画素Rごとに、補正マトリックスを算出することができる。
【0057】
例えば、図9には、図4乃至図7に示されたクロストークの関係から求められた画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれの補正マトリックスの一例が示されている。
【0058】
また、図9に示すように、画素Bの補正マトリックスの補正量は、他の補正マトリックスの補正量よりも大きくなっている。これは、画素Bから隣接する画素へのクロストークの量が多いことを示唆している。
【0059】
そして、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれの補正マトリックスが、クロストーク補正部52に記憶されており、クロストーク補正部52は、それらの補正マトリックスを用いてクロストークを補正する処理を行う。
【0060】
例えば、図10に示すように、クロストーク補正部52は、隣接画素へのクロストークの量を割り戻すことにより、クロストークを補正する。つまり、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれを中央とした参照エリアに対して、図9に示した補正マトリックスを適用させる処理を、例えば、ラスタスキャン順に行う。そして、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれについて、周囲の画素に漏れ出した信号量を割り戻す演算(1.48B-10154A-0.05C…)を行うことでクロストークを補正する。
【0061】
具体的には、クロストーク補正部52は、次の式(3)を演算することにより、クロストークを補正する。
【0062】
【数3】

・・・(3)
【0063】
但し、式(3)において、Corrected_Signal(y,x)は、座標(x,y)の補正後の画素信号であり、Signal(y,x)は、座標(x,y)の画素信号である。Mulは、左上隣の画素の補正マトリックスであり、Mclは、左隣の画素の補正マトリックスであり、Mblは、左下隣の画素の補正マトリックスである。Mucは、上隣の画素の補正マトリックスであり、Mccは、中央の画素の補正マトリックスであり、Mbcは、下隣の画素の補正マトリックスである。Murは、右上隣の画素の補正マトリックスであり、Mcrは、右隣の画素の補正マトリックスであり、Mbrは、右下隣の画素の補正マトリックスである。また、これら補正マトリックスにつく括弧内の値(i,j)により、それぞれ対応する補正マトリックスのi行およびj列の要素が表される。
【0064】
また、クロストーク補正部52は、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとに補正マトリックスを保持しており、それぞれの画素位置に相当する補正マトリックスを使用して、クロストークを補正する演算を行う。
【0065】
このようにしてクロストーク補正部52によりクロストークが補正されることにより、分光特性が向上する。
【0066】
図11には、クロストーク補正部52がクロストークを補正した後の分光特性が示されている。図11において、横軸は、横軸は波長(Wavelength(nm))を表し、縦軸は出力信号(Output Signal(a.u))を表している。
【0067】
図11に示すように、大幅に分光が改善されている。つまり、図2Aに示されている補正前の分光と比較して、図11に示されている補正後の分光は、曲線の傾斜が急勾配になっている。
【0068】
また、補正前の分光と、補正後の分光とを用いて、ホワイトバランスの係数およびリニアマトリックスを算出して適用した後、信号とノイズの比が10になる照度(以下、SNR10と称する)をそれぞれについて求めた。なお、ノイズは、1画素あたりの暗電流、アナログフロントエンドのノイズともに2.0電子がランダムに発生すると仮定した。
【0069】
図12は、補正マトリックスを適用する前の分光と、補正マトリックスを適用した後の分光とから求められたSNR10を示す図である。
【0070】
図12に示すように、補正マトリックスを適用する前のSNR10が284.2luxであったのに対し、補正マトリックスを適用することで、SNR10が154.6luxになるまで分光を改善することができた。
【0071】
次に、図1の裏面照射型CMOSイメージセンサー31を採用した撮像素子44を用いて、開放値が2.8のレンズで撮像した場合の例について説明する。
【0072】
開放値が増加すると斜入射成分が増えるため、クロストークも増えることになる。従って、レンズの開放値に応じて、クロストーク補正部52が使用する補正マトリックスの値を変更する必要がある。このため、クロストーク補正部52は、レンズの開放値に応じたマトリックスを使用してクロストークを補正することができるように構成されている。
【0073】
図13は、クロストーク補正部52の構成例を示す図である。
【0074】
図13に示すように、クロストーク補正部52は、マトリックス保持用メモリ61、レンズデータ取得部62、マトリックス生成部63、および補正演算部64を備えて構成される。
【0075】
マトリックス保持用メモリ61には、入射角度ごとのマトリックスである基本マトリックスが、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとに記憶されている。
【0076】
レンズデータ取得部62は、レンズユニット42と通信を行って、レンズユニット42が有するレンズの現在の開放値を取得する。そして、レンズデータ取得部62は、レンズの開放値に応じて決定される入射角度を示す立体角情報をマトリックス生成部63に供給する。
【0077】
マトリックス生成部63は、レンズデータ取得部62から供給された立体角情報に基づき、その立体角情報により示される入射角度に最も近い2つの基本マトリックスを、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとにマトリックス保持用メモリ61から読み出す。そして、マトリックス生成部63は、マトリックス保持用メモリ61から読み出した2つの基本マトリックスを合成して、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとに補正マトリックスを生成する。
【0078】
例えば、レンズの開放値が2.8であるとき、図14に示すような球座標系のθ方向について±10.2°傾いて光が入射される。そのため、例えば、マトリックス保持用メモリ61に、球座標系のθ方向について5度ごとで、球座標系のφ方向について45度ごとの基本マトリックスが記憶されている場合には、θ=5°とθ=10°との基本マトリックスの要素である17個のデータから補正マトリックスが生成される。例えば、マトリックス生成部63は、これらの基本マトリックスに対して、立体角情報により示される入射角度に従って線形補間(内挿)することで、補正マトリックスを生成する。
【0079】
補正演算部64には、図3のCDS回路51から画像信号(Raw Data)が順次供給される。補正演算部64は、その画像信号に対して、マトリックス生成部63により生成された補正マトリックスを適用する演算を行う。つまり、補正演算部64は、上述した式(3)を演算することにより、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとにクロストークを補正する。そして、補正演算部64は、補正後の画像信号をAGC回路53に順次供給する。
【0080】
図15は、図13に示すクロストーク補正部52がクロストークを補正する処理を説明するフローチャートである。
【0081】
例えば、撮像装置41(図3)では、電源が投入されて起動すると処理が開始され、ステップS11において、レンズデータ取得部62は、レンズユニット42と通信を行って、レンズユニット42が有するレンズの現在の開放値を取得する。また、レンズデータ取得部62は、シャッタ装置43においてレンズの開放値が変更されると、その変更後の開放値を取得する。そして、レンズデータ取得部62は、レンズの開放値に応じて決定される入射角度を示す立体角情報をマトリックス生成部63に供給する。
【0082】
ステップS11の処理後、処理はステップS12に進み、マトリックス生成部63は、レンズデータ取得部62から供給された立体角情報に基づき、マトリックス保持用メモリ61から基本マトリックスを読み出し、処理はステップS12に進む。
【0083】
ステップS13において、マトリックス生成部63は、ステップS12で読み出した基本マトリックスを合成して補正マトリックスを生成し、その補正マトリックスを補正演算部64に供給し、処理はステップS14に進む。
【0084】
ステップS14において、補正演算部64は、ステップS13でマトリックス生成部63から供給された補正マトリックスを使用し、図3のCDS回路51から順次供給される画像信号(Raw Data)に対してクロストークを補正する処理を施す。そして、補正演算部64は、その補正後の画像信号をAGC回路53に順次供給する。
【0085】
以上のように、クロストーク補正部52は、画像信号に対してクロストークを補正する処理を行い、クロストークが補正された画像信号を出力する。従って、この画像信号に基づいて画像を構築することで、クロストークが含まれていたことによる画質の劣化を抑制し、より高画質な画像を得ることができる。
【0086】
そして、クロストーク補正部52では、現在のレンズの開放値に従って、マトリックス生成部63が、画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rごとに補正マトリックスを生成する。例えば、図16には、マトリックス生成部63が生成した画素B、画素Gb、画素Gr、および画素Rそれぞれの補正マトリックスが示されている。なお、開放することでクロストークが増加するため、補正マトリックスを構成する要素の絶対値は大きくなる。
【0087】
このように、クロストーク補正部52では、レンズの開放値に従って補正マトリックスが生成されるので、撮像素子44の受光面に光が入射する入射角度に応じて適切な補正を行うことができる。
【0088】
例えば、図17には、補正マトリックスを適用する前の分光と、レンズの開放値に応じて生成された補正マトリックスを適用した後の分光とから求められたSNR10が示されている。レンズの開放値に従った立体角を考慮することで、図12に示した場合よりも、SNR10が改善されており、この補正マトリックスを適用した後のSNR10は175.0luxとなっている。
【0089】
さらに、クロストーク補正部52が演算によりクロストークの発生を補正することで、撮像素子44を製造する際の理収率を向上させることができ、撮像素子44の製造コストを低減させることができる。
【0090】
また、マトリックス保持用メモリ61に記憶されている基本マトリックスが、入射角度が5度ごとに求められたものとし、基本マトリックスから補正マトリックスを生成することで、マトリックス保持用メモリ61に必要な記憶容量の増加を抑制し、かつ、レンズの開放値に応じた入射角度による補正を行うことができる。
【0091】
ここで、撮像素子44を構成する画素の微細化に伴って、フォトダイオードの製造バラツキに起因してクロストークにバラツキが発生している。即ち、撮像素子44に発生するクロストークが個体ごとに異なるものとなる。従って、撮像素子44の個体ごとに適合する補正マトリックスを使用してクロストークの補正を行うことで、補正精度が向上することになる。
【0092】
さらに、撮像素子44において発生するクロストークとしては、光が内部の進行中に隣接画素に漏れるために発生するクロストークと、フォトダイオード中の電子が離接画素に漏れるために発生するクロストークとがある。以下、適宜、光が内部の進行中に隣接画素に漏れるために発生するクロストークを補正するための補正マトリックスを集光構造用マトリックスと称し、フォトダイオード中の電子が離接画素に漏れるために発生するクロストークを補正するための補正マトリックスをフォトダイオード用マトリックスと称する。
【0093】
図18には、裏面照射型CMOSイメージセンサー31(図1)を採用した撮像素子44を用いて、開放値が2.8のレンズで撮像した場合において、集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスとの2種類に分離して表現された補正マトリックスが示されている。
【0094】
このような2種類の補正マトリックスを用いてクロストークの補正を行うと、図15のフローチャートを参照して説明した場合と同様の効果を得ることができる。このように、補正マトリックスを集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスとに分けることで、デバイス出荷検査時の値を参考に、集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスの値をそれぞれ独立して変更することができる。
【0095】
つまり、図19に示されているクロストーク補正部52のように、マトリックス保持用メモリ61には、集光構造工程PQC(Process Quality Control:工程品質管理)データに基づいて求められた集光構造用マトリックスと、フォトダイオード形成工程PQCデータに基づいて求められたフォトダイオード用マトリックスとが記憶される。
【0096】
例えば、フォトダイオード中の電子が離接画素に漏れるために発生するクロストークが大きくなるような製造誤差を検出した場合には、フォトダイオード用マトリックスの絶対値をその検出値に応じて大きくする。また、オンチップレンズ29(図1)が高い位置に配置されるようなエラーを検出した場合には、光が内部の進行中に隣接画素への漏れが大きくなると想定され、集光構造用マトリックスの絶対値をその検出値に応じて大きくする。
【0097】
このように、デバイス出荷検査時の値を参考に、集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスの値をそれぞれ独立して変更することで、クロストークを補正する補正精度を向上させることができる。また、この集光構造用マトリックスとフォトダイオード用マトリックスは、撮像素子44の個体ごとに適合するように求められて、それぞれの撮像装置41のマトリックス保持用メモリ61に保持される。
【0098】
ところで、一般的に、撮像装置41において、画素ごとに入射方向(受光面に対して入射光が向かってくる方向)が異なるカメラレンズが使用されている。特に、携帯電話機用の撮像装置や、コンパクトデジタルスチルカメラでは、装置自体が小型化されることにより、レンズ設計時に射出瞳距離が小さくなる設計が行われている。
【0099】
このように、画素ごとに入射方向が異なると、画素ごとにクロストークが発生する量が異なることになる。
【0100】
例えば、図20には、受光面に対して垂直に光が入射したときの裏面照射型CMOSイメージセンサー31の内部での電子の動きが模式的に示されている。また、図21には、受光面に対して斜めに光が入射したときの裏面照射型CMOSイメージセンサー31の内部での電子の動きが模式的に示されている。なお、図20および21において、矢印の太さは、電子の動きやすさを表している。
【0101】
図20に示すように、光が垂直に入射した場合には、裏面照射型CMOSイメージセンサー31の表面でクロストーク(信号電荷の漏れ)が多いフォトダイオード設計になっているとき、短波長側でクロストークが大きくなる。つまり、クロストークには波長依存性がある。
【0102】
一方、図21に示すように、光が斜めに入射した場合には、長波長側でもクロストークが増加する。つまり、入射角やフォトダイオード設計によって、クロストークが発生する量が異なってくるため、より効果的にクロストークを補正するには補正マトリックスを適切に変更する必要がある。そして、その変更を加えた補正マトリックスがマトリックス保持用メモリ61に保持される。
【0103】
図22には、例えば、主光線角度が像光4割であるときに10°、主光線角度が像光8割であるときに20°となるレンズを仮定して求められた、入射方向と受光面の垂線との成す角度が10°および20°で必要となる補正マトリックスが示されている。
【0104】
図22に示す補正マトリックスは、入射面がx軸(水平方向)と平行になっている場合の値である。画角中央の補正マトリックス(図9)と比較すると、入射方向を示す角度が10°および20°で必要となる補正マトリックスは、大きく異なる値となる。特に、右画素へのクロストークが増加する方向に傾いているため、補正マトリックスの右側の要素の絶対値が大きくなることが判る。このように、光の入射方向に応じて画素ごとに値の異なる(例えば、受光面の中央部分の画素と受光面の周辺部分の画素とで異なる)補正マトリックスを使用することで、撮像素子44の全面に亘ってクロストークを適切に補正することができる。
【0105】
図23には、光の入射方向に応じて異なる補正マトリックスを使用してクロストークの補正を行った場合に、入射方向を示す角度が0°、10°、および20°におけるSNR10が示されている。図23において、横軸は入射角度(Angle(degree))を示し、縦軸はSNR10(lux)を示している。
【0106】
図23に示すように、全方向(0°、10°、および20°それぞれ)についてSNR10が175.0 lux以下に抑えられていることが判る。即ち、全ての画角においてもSN比を改善することができる。また、入射方向を示す角度が大きいほどSNR10の改善量が大きいことが判る。
【0107】
なお、本実施の形態においては、最も一般的なベイヤー配列のカラーフィルタを備えた固体撮像素子について説明を行ったが、例えば、カラーフィルタを備えていない(つまり、単色の)固体撮像素子の場合は、画素の色ごとの補正マトリックスを使用する必要はなく、より簡単にクロストークを補正することができる。また、補正マトリックスを使用した補正は、補色カラーフィルタを用いる場合、または、ベイヤー配列以外の配列のカラーフィルタ(例えば、クリアビット配列)を用いる場合にも適用することができる。つまり、補正マトリックスを使用した補正は広範囲に適用することができる。
【0108】
また、上述したような画像処理装置46は、例えば、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラなどの撮像システム、撮像機能を備えた携帯電話機、または、撮像機能を備えた他の機器といった各種の電子機器に適用することができる。
【0109】
さらに、上述した実施の形態では、撮像素子44として、裏面照射型CMOSイメージセンサー31が採用された構成例を示しているが、撮像素子44の構造は、表面照射型CMOSイメージセンサー21(図1)や、CCD型固体撮像素子などに適用することができる。
【0110】
なお、上述した一連の処理は、ハードウエアにより実行することもできるし、ソフトウエアにより実行することもできる。一連の処理をソフトウエアにより実行する場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0111】
コンピュータでは、ROM(Read Only Memory)に記憶されているプログラムや、ハードディスクや不揮発性のメモリなどよりなる記憶部に記憶されているプログラムなどが、RAM(Random Access Memory)にロードされ、CPU(Central Processing Unit)により実行される。それにより、上述した一連の処理が行われる。
【0112】
また、それらのプログラムは、あらかじめ記憶部に記憶させておく他、ネットワークインタフェースなどよりなる通信部を介して、あるいは、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc)等)、光磁気ディスク、または半導体メモリなどのリムーバブルメディアを駆動するドライブを介して、コンピュータにインストールすることができる。
【0113】
さらに、コンピュータが実行するプログラムは、本明細書で説明する順序に沿って時系列に処理が行われるプログラムであっても良いし、並列に、あるいは呼び出しが行われたとき等の必要なタイミングで処理が行われるプログラムであっても良い。また、プログラムは、1つのCPUにより処理されるものであっても良いし、複数のCPUによって分散処理されるものであっても良い。
【0114】
なお、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0115】
41 撮像装置, 42 レンズユニット, 43 シャッタ装置, 44 撮像素子, 45 駆動回路, 46 画像処理装置, 47 モニタ, 51 CDS回路, 52 クロストーク補正部, 53 AGC回路, 54 A/D変換回路, 55 ホワイトバランス調整回路, 56 補間処理回路, 57 エッジ強調処理回路, 58 リニアマトリックス演算回路, 59 γ補正回路, 61 マトリックス保持用メモリ, 62 レンズデータ取得部, 63 マトリックス生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光する複数の画素を有する撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部と、
前記記憶手段に記憶されている前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う演算部と
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記記憶部には、前記撮像素子の受光面に光が入射する入射角度ごとに求められたマトリックスである基本マトリックスが記憶されており、
前記撮像素子の受光面に光を集光させるレンズの開放値を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記開放値に応じた前記入射角度に対応する前記基本マトリックスを前記記憶部から読み出し、読み出した前記基本マトリックスから前記開放値に従って前記補正マトリックスを生成する生成部と
をさらに備え、
前記演算部は、前記生成部により生成された前記補正マトリックスを使用して前記演算を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶されている基本マトリックスは、前記入射角度が5度ごとに求められたものである
請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記記憶部には、前記撮像素子の受光面に光が入射する入射方向ごとに求められた前記補正マトリックスが記憶されており、
前記演算部は、前記撮像素子の画素の位置に応じた前記入射方向に対応する前記補正マトリックスを使用して前記演算を行う
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記補正マトリックスは、前記撮像素子の内部を光が進行する中で隣接する画素に漏れることにより発生するクロストークに対応する第1のマトリックスと、前記撮像素子が有するフォトダイオード中の電子が漏れることにより発生するクロストークに対応する第2のマトリックスとにより構成されている
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1のマトリックスおよび前記第2のマトリックスは、前記撮像素子の個体ごとに設定されたものである
請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記補正マトリックスは、前記撮像素子が有するカラーフィルタの色ごとに求められたものである
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記補正マトリックスは、3行かつ3列の行列で表される
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項9】
光を受光する複数の画素を有する撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部に記憶されている前記補正マトリックスを読み出し、
前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う
ステップを含む画像処理方法。
【請求項10】
光を受光する複数の画素を有する撮像素子と、
前記撮撮像素子における隣接する画素からの光または電子の漏れにより発生するクロストークを補正する補正マトリックスを記憶する記憶部と、
前記記憶手段に記憶されている前記補正マトリックスを、前記撮像素子から出力される前記画素ごとの画像信号に対して適用する演算を行う演算部と
を備える電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2012−169830(P2012−169830A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28631(P2011−28631)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】