説明

画像処理装置、画像処理方法及びプログラム

【課題】 蓄積画像を再出力(プロッタ出力や外部へのデータ出力)に利用できる機能を搭載した画像処理装置において、再出力時に新しい編集加工を施す際に、編集加工に慣れたユーザーでなくても、利用可能な広範なバリエーションから意図に沿う最適な処理方法を見出すようにする。
【解決手段】 指定された蓄積画像に対し新たに「文書編集」等の処理を施こすための処理条件を設定し直す際に、当該画像に先の出力時に設定された処理内容やユーザーの指示によって加えた処理内容を提示する(画面中央の領域1031のプレビュー)だけではなく、全出力画像に対応付けて処理内容を管理する利用履歴管理情報を基に、当該画像に他の出力で用いた処理内容、処理内容の一部が共通する他の出力で用いた処理内容及びあらゆる画像に高い頻度で用いられる処理内容を、当該処理内容に従って処理された対象画像のプレビューを付けて領域1035に順位を付けて提示し、出力を指示できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多様な画像の入出力手段と、入力画像の再利用を可能にする画像蓄積手段を有した複合機(MFP)のような画像処理装置に関し、より詳しくは、出力画像に施した処理内容を画像に対応付けて管理する利用履歴情報をもとに、出力処理を指示するユーザーに利用可能な処理内容を提示する機能を有する画像処理装置、画像処理方法及び該画像処理方法をコンピュータに行わせるためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複合機と称される、複写、ファクシミリ、スキャナ、プリンタ等を複合機能として有した既存の画像処理装置は、原稿を読取るスキャナ入力に加え、通信手段を介してネットワーク上の外部機からデータ入力を受け、入力された各種のデータを用いて装置内で印刷出力を行い、或いは外部機へデータ出力を行う。このような複合機にネットワーク等の通信手段を介して接続される外部機は、PC(Personal Computer)、ファクシミリ装置、ネットワークプリンタ、複合機等であり、それぞれ機器の性能や処理可能なデータ形式に違いがあるので、入出力するデータも多様である。
このような複合機能を有した画像処理装置は、外部機とで構成する画像処理システムの要素としても機能することから、当該システム上で有効に働くために、多様な画像データに対応するため、さらにユーザーが望む特性の画像で出力するための処理手段を持つ。
【0003】
近年、上記のような複合機能を有した画像処理装置は、利用性を高めるために、入力画像データをファイル蓄積できるHDD(ハードディスク)のような大容量の画像蓄積装置を持ち、ここに蓄積した画像データを再出力(印刷出力や外部機へのデータ出力)に利用できる機能(「ドキュメントボックス」機能ともいう)を搭載したものがある。
このような蓄積画像を利用するドキュメントボックス機能では、特に原稿読取り(スキャナ)で入力される画像データは、読取り時のスキャナの機器特性に依存した信号になっているので、機器に依存する信号成分を抑制或いは除き、画像データを正規化する処理を行い、各種の出力に利用可能な汎用データに変換した後、HDDに蓄積する。このようなデータ蓄積を行うことで、再度画像を読取ることなく、利用目的や用途に応じた柔軟な対応が可能となる。
【0004】
こうした蓄積画像を再利用する機能を持つ画像処理装置として提案された従来技術として、下記特許文献1〜3を示すことができる。
下記特許文献1には、画像読取りで得られた画像を標準的な画像データに変換した後のデータを蓄積することにより複数種類の出力先で共通に利用可能とし、蓄積画像を再利用するとき、蓄積画像に編集加工を施した画像をプレビューすることにより、印刷や他の出力先での利用状態の画像をチェックすることができるようにした画像処理装置が示されている。
また、下記特許文献2には、実行された編集加工で使用した処理をログに保存しておき、ユーザーの要求によって編集画像に変更を加える際に、保存された編集加工で使用した処理をメニュー形式で提示する画像編集方法が示されている。ここでは、編集加工において元に戻す処理及びやり直し処理を時系列的に行うのではなく、任意の処理のみ行うことが出来るようにしすることで、編集加工の操作性を向上させている。
【0005】
また、下記特許文献3には、基準画像に対し複数のパラメータを変化させて作成した画像(調整された画像)を基準画像の周辺に変化量と所定の関係を持って選択可能に表示し、その中から所望の画像を選択することにより、ユーザーにとって容易かつ効率的に画像のパラメータ調整を行うことが出来る画像処理装置が示されている。
【特許文献1】特開2008−28550号公報
【特許文献2】特許2000−331177号公報
【特許文献3】特許3895492号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1〜3は、いずれも蓄積、或いは保存された画像を再利用する際に、編集加工、或いは画像の調整をユーザーによって行えることを可能にしている。
ただ、蓄積画像に施す編集加工等の処理内容を指示する際に、ユーザーへ提供される情報は限定的で、このような操作に不慣れなユーザーが指示する処理内容のバリエーションは狭い範囲となってしまう。
つまり、上記特許文献1では、蓄積画像に施す編集加工等の処理内容を指示するユーザーの操作について、改善の意図が認められず、従来から通常行われている方法と変わらない。また、上記特許文献2では、あくまでもユーザーが蓄積画像に対して行った編集加工の内容を修正する場合にとどまっている。また、上記特許文献3では、調整対象のパラメータを変化させたものが提示されるので、見た目の仕上がりをイメージできるものの、結局はユーザーがその中から適度に調整された画像を選択するしかない。
【0007】
このように、例示した従来例では、蓄積画像に用いた処理を提示するにしても、編集加工の内容を修正することや所定の調整対象についてパラメータを変化させること、或いは単に出力先を変更する程度の処理を意図し、蓄積画像に用いた処理内容の範囲で情報を提示することにとどまっている。
よって、再利用可能な画像に対して新しい編集加工を施す際に、編集加工に慣れたユーザーでないと、普段使用している以上の新たな活用方法を見出し、ユーザーの意図する最適な処理を行うことは難しい。
本発明は、画像蓄積手段に蓄積した画像を再出力(印刷出力や外部機へのデータ出力)に利用できる機能を搭載した画像処理装置において、再出力に利用可能な画像に対して新しい編集加工を施す際に、編集加工に慣れたユーザーでなくても、利用可能な広範なバリエーションからユーザーの意図に沿う最適な処理方法を見出だせるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、画像を入力する画像入力手段と、前記画像入力手段による入力を経て生成される画像を出力用画像データとして処理する画像処理手段と、前記画像入力手段による入力画像及び前記画像処理手段によって処理されたそれぞれの画像を蓄積する画像蓄積手段と、前記画像処理手段によって処理された画像の利用履歴情報を管理する利用履歴管理手段と、GUI機能を持ち、処理要求を指示する入力操作を受付ける操作表示手段と、前記画像入力手段、画像処理手段、画像蓄積手段、利用履歴管理手段及び操作表示手段を含む画像処理装置の各部を制御下におき、処理要求に従って画像処理装置全体を統御する制御手段を有する画像処理装置であって、前記利用履歴管理手段は、前記画像の利用履歴情報として、処理された画像に用いた処理内容を該画像に対応付けて管理し、前記制御手段は、画像の出力処理要求の指示を受けて、要求された出力処理に応じて、前記利用履歴管理手段で管理されている利用履歴情報から該出力処理の処理内容を取得し、取得した処理内容情報を該処理内容に従って処理した画像に関連付けて、前記操作表示手段を通じて提示することを特徴とする。
本発明は、画像入力手段、前記画像入力手段による入力を経て生成される画像を出力用画像データとして処理する画像処理手段、前記画像入力手段による入力画像及び前記画像処理手段によって処理されたそれぞれの画像を蓄積する画像蓄積手段、前記画像処理手段によって処理された画像の利用履歴情報として、画像に用いた処理内容を該画像に対応付けて管理する利用履歴管理手段及びGUI機能を持ち、処理要求を指示する入力操作を受付ける操作表示手段を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、前記操作表示手段を通じて画像の出力処理要求の指示を受付ける指示受付工程と、前記指示受付工程で受付けた出力処理要求に指示された出力処理に応じて、前記利用履歴管理手段で管理されている利用履歴情報から該出力処理の処理内容を取得する処理内容取得工程と、前記処理内容取得工程で取得した処理内容情報を該処理内容に従って処理した画像に関連付けて、前記操作表示手段を通じて提示する提示処理工程を有したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、画像蓄積手段に蓄積した画像を印刷出力や外部機へのデータ出力等の再出力に利用できる機能を搭載した画像処理装置において、出力処理の指示操作を行うユーザーが指示操作に不慣れでも、多様な処理内容のバリエーションからユーザーの意図に沿う最適な出力画像を生成するための処理が指示できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る画像処理装置及び画像処理方法の実施形態として、複合機を例に、添付した図面を参照して説明する。
「複合機(MFP)の概要」
以下に示す本実施形態に係る複合機は、複写、ファクシミリ、プリンタ及びスキャナ機能等のほか、蓄積画像を再出力に利用するドキュメントボックス機能を複合して有する。なお、この実施形態では、カラー印刷の出力ができる装置を例にするが、モノクロ印刷の出力のみが可能な装置として実施してもよい。
【0011】
図1は、本実施形態の複合機の概略構成を示す図である。なお、同図は、複合機の画像データ処理システムの構成を中心に示すものである。
図1に示す画像データ処理システムは、画像入力を原稿画像の読取り手段或いは通信手段を介して外部機から所定形式の画像もしくは所定形式の画像に変換可能なデータを受信する手段によって行い、入力された画像を印刷出力に用いるデータとして処理する。なお、外部機から入力されるデータとしては、ホストPC(Personal computer)等からのスキャンデータやプリンタドライバにより作成された印刷データ、並びにファクシミリ受信データが含まれる。
また、この画像データ処理システムでは、入力画像を記憶手段に記憶(蓄積)し、時間を移して印刷出力を行うことや蓄積データを印刷出力や外部機へのデータ出力(送信)に再利用できるようにしている。データ送信先の外部機は、PC、ファクシミリ装置、ネットワークプリンタ、複合機等であるから、送信データとして、それぞれの機器で処理し得る所定形式の画像もしくは所定形式の画像に変換可能なデータが用いられる。
【0012】
図1において、スキャナ等の読取り装置1は、CCD(Charge Coupled Device)光電変換素子からなるラインセンサとA/Dコンバータとこれらの駆動回路を具備し、セットされた原稿をスキャンすることで得る原稿画像のRGB(R:RED,G:GREEN,B:BLUE)成分の濃淡情報から、RGB各8ビットのデジタル画像データを生成し出力する。なお、CCDだけでなく、CIS(Contact Image Sensor)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)のイメージセンサでも同様の構成をとることが可能であり、さらに読み取りのビット数も近年は拡大する傾向にあることから、10ビットや12ビットで構成してもよい。
【0013】
画像データ処理装置(1)2は、読取り装置1からのデジタル画像データに対し予め定めた特性に統一する処理を施して出力する(後述する図2の説明、参照)。スキャナで原稿を読取り、入力される画像データは、スキャナの機器特性に依存しているので、この処理によって機器に依存する信号成分を抑制或いは除き、画像データを正規化する処理を行い、各種の出力に利用可能な汎用データに変換した後、後述するHDD5に蓄積する。つまり、蓄積画像を再利用する出力先の要求に適した特性のデータとして処理される。
バス制御装置3は、この画像データ処理システム内で必要な画像データや制御コマンド等各種データのやり取りを行うデータバスの制御装置で、複数種のバス規格間のブリッジ機能も有している。本実施例では、画像データ処理装置(1)2、画像データ処理部(2)4、CPU6とはPCI(Peripheral Component Interconnect)−Expressバス、HDD5とはATA(AT Attachment)バスで接続し、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)化している。
【0014】
画像データ処理部(2)4は、画像データ処理装置(1)2で処理されたデジタル画像データ、後述する回線I/F装置11や外部I/F装置12を通じて入力される画像データ及び後述するHDD5に記憶された画像データに対し、画像の調整・編集加工や、ユーザーから指定される出力先に適した画像処理を施す。例えば、紙に出力する場合には、画像データ処理装置(1)2で統一化された画像データを後述するプロッタ装置9に依存する各色成分CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデータへ変換する。なお、画像データ処理部(2)4については、図5を参照して後記で詳述する。
HDD(Hard Disk Drive)5は、デジタル画像データ及びデジタル画像データに付帯する書誌情報等の画像の管理情報を蓄積するための大容量の記憶装置である。この実施形態では、IDE(Integrated Drive Electronics)を拡張して規格化されているATAバス接続のハードディスクを使用する。この記憶装置は、別のデバイスも任意に選択可能であり、近年容量が大きくなってきたフラッシュメモリを用いたシリコンディスクなども適用可能である。その場合、消費電力の面やアクセス速度の向上が期待できる。
【0015】
CPU(Central Processing Unit)6は、この画像データ処理システムの制御全体を司るマイクロプロセッサである。この実施形態では、近年普及してきたCPUコア単体に付加機能を追加したIntegrated CPUで、汎用規格I/F(インターフェース)との接続機能や、クロスバースイッチを使ったバス接続機能がインテグレートされたCPUを使用する。
メモリ7は、複数種のバス規格間をブリッジする際の速度差や接続された部品自体の処理速度差を吸収するために、一時的にやりとりするデータの記憶や、CPU6がこの画像データ処理システムの制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶する揮発性メモリである。CPU6には、高速処理を求められるため、通常起動時に後述するROM14に記憶されたブートプログラムにてシステムを起動し、その後は高速にアクセス可能なメモリ7に展開されたプログラムによって処理を行う。本実施形態では、規格化されパーソナルコンピュータに使用されているDIMM(Dual Inline Memory Module)を使用する。
【0016】
プロッタI/F装置8は、CPU6にインテグレートされた汎用規格I/Fから送られてくる各色成分CMYK(C:シアン,M:マゼンタ,Y:イエロー,K:ブラック)のデジタル画像データを受け取り、プロッタ装置9の専用I/Fに出力するバスブリッジ処理を行う。ここで使用している汎用規格I/FはPCI−Expressバスである。
プロッタ装置9は、CMYKのデジタル画像データを受け取ると、レーザービームを用いた電子写真プロセスなどにより、記録媒体としての転写紙に画像データによる印刷出力をする。モノクロ出力を行う際にはKだけ受け取れば出力するように構成することも可能であるが、ここでは説明を容易にするために常にCMYKの4チャンネルを受け取るものとする。
もちろん、出力に使用するプロセスは任意に選択可能であり、近年パーソナルユースで使われることの多いインクジェットエンジンでも構わない。その場合には6色や7色といった多色インクの対応も必要に応じて構成することが出来る。
【0017】
S.B.(South Bridge)13は、PCに使用されるチップセットのひとつで、South Bridgeと呼ばれる汎用の電子デバイスである。主にPCI−ExpressとISA(Industrial Standard Architecture)ブリッジを含むCPUシステムを構築する際によく使用されるバスのブリッジ機能を汎用回路化したもので、本実施例では後述するROM14との間をブリッジしている。
ROM(Read Only Memory)14は、CPU6がこの画像データ処理システムを制御する際に用いるプログラムを格納するメモリで、電源をOFFしても内容が消えないように不揮発性のメモリで構成している。なお、ROM14或いはHDD等の他の不揮発性の記録(記憶)媒体に格納するプログラムの中に、後述する文書編集の設定プロセスを実行する処理(図7の制御フロー)及び出力処理(図13の制御フロー)を実行するプログラムを記録(記憶)しておくことで、CPU6が、この記録媒体に記録した制御・処理プログラムや制御データ等をメモリ7に読込み、処理の実行時にこのプログラムを駆動することによって、CPU6(コンピュータ)をこの処理の実行手段として機能させることができる。
【0018】
操作表示装置10は、この画像データ処理システムとユーザーとの間のインターフェースであり、タッチパネルも兼ねたLCD(液晶表示装置)とキースイッチから構成され、装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザーからのキースイッチ入力を検知する。キースイッチを省略し、タッチパネルで全ての入力に対応する構成にすることもできる。本実施形態では、PCI−Expressバスを介してCPU6と接続する。
回線I/F装置11は、PCI−Expressバスと電話回線を接続する装置で、この装置によりこの画像データ処理システムは電話回線を介して各種データのやり取りを行うことが可能になる。外部のファクシミリ(FAX)装置15やファクシミリ機能を持つ装置とは、このインターフェースで電話回線を介してFAX送受信を行う。
【0019】
外部I/F装置12は、PCI−Expressバスと外部装置を接続する装置で、この装置によりこの画像データ処理システムは、例えばPC6等の外部機や外部デバイスと各種制御や画像データの入出力を行う。本実施形態では、接続I/Fにイーサネット(登録商標)及びUSB(Universal Serial Bus)を使用する。即ち、この画像データ処理システムは外部I/F装置12を介してネットワークや外部デバイスとしての外部メディアに接続している。ネットワークには有線LAN(Local Area Network)と無線LANがあるが、どちらでも構成することが可能である。図1に示すPC6は、PC内にインストールされたアプリケーションソフトやドライバを介して、ユーザーはこの画像データ処理システムに対して各種制御や画像データの入出力を行う。また、外部メディア17は、所謂コンパクトフラッシュ(登録商標)カードやSD(Secure Digital:登録商標)カード等のメモリデバイスで、画像データを含む各種電子データを記録しており、ユーザーはこの画像データ処理システムに対して画像データの入出力を行う。
【0020】
次に、上記画像データ処理システム(図1)の動作をユースケースに分けて、処理手段の詳細を補足しながら説明する。
本実施形態の複合機では、上記のように、原稿を読取る読取り装置1からのスキャナ入力に加え、外部I/F装置12を介してPC16等の外部機や外部メディア17、といった外部デバイスからのデータ入力(以下、「外部I/F入力」という)を受け、入力された各種のデータを用いて機内で印刷出力を行うか、或いは外部I/F装置12を介してデータ出力を行う。この画像データの入力及び出力の処理過程は、複写、ファクシミリ(FAX)、スキャナ、プリンタ及びドキュメントボックスの各機能のどれを利用するか、また、機能によっては利用する機能は同じでも用いるデータの違いや出力先によって異なる。
【0021】
以下に、主なユースケースとして、入出力処理の動作フローとして動作1〜6を示し、説明する。動作1〜3は、スキャナ入力画像に係り、
動作1:スキャナ入力→プロッタ出力
動作2:スキャナ入力→FAX送信
動作3:スキャナ入力→スキャナ配信
であり、
動作4〜6は、外部I/F入力画像に係り、
動作4:外部I/F入力→プロッタ出力
動作5:外部I/F入力→FAX送信
動作6:外部I/F入力→スキャナ配信
で、「動作1〜3」と「動作4〜6」のグループは、入力は異なるが、3種類の出力の組み合わせは同じである。
なお、上掲の動作1〜6は、スキャナ入力又は外部I/F入力といった画像データの入力デバイスからスタートしているが、下記で説明するように、入力した画像をHDD5やメモリ7を経由して、出力に用いている。HDD5に蓄積するか、或いはメモリ7に保存した画像データから処理をスタートするこの出力動作は、ドキュメントボックス機能の再出力動作と変わらないので、以下の記述は、この蓄積(保存)画像の再出力動作の説明を兼ねる。
【0022】
“スキャナ入力→プロッタ出力(動作1)”
ユーザーは、原稿を読取り装置1にセットし、操作表示装置10を通じて求める画像処理モード等の設定とコピー開始を指示する入力を行う。操作表示装置10は、ユーザーが入力した情報を機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。発行された制御コマンドデータは、CPU6に通知される。
CPU6は、コピー開始の制御コマンドデータに従って、コピー動作プロセスのプログラムを実行し、コピー動作に必要な設定や動作を以下の動作プロセスに従い行っていく。
先ず、読取り装置1で原稿をスキャンして得られたRGB各8ビットの画像データは、画像データ処理装置(1)2で予め定めた特性に統一され、バス制御装置3に送られる。また、必要に応じて原稿から必要に応じてこの後の制御等に用いる情報を抽出する。
【0023】
画像データ処理装置(1)2の処理について、内部構成をより詳細に示す図2のブロック図を参照して説明する。
画像データ処理装置(1)2のスキャナγ変換処理部(1)21は、入力されたRGB各8ビットの読取り画像データに対してγ変換で反射率を基にした特性から予め定められた特性、例えばγ=2.2にγ特性を変換される。ここでは、図4に示すような、色成分CMYK及びRGBについての濃度パターンを記録した基準チャートをスキャンしたときに、所定のγ特性になるように画像信号を変換する。
次のフィルタ処理部 (1) 22は、読取り装置1の持つMTF(Modulation Transfer Function)特性などの特性を予め定められた特性に補正する。ここでは、図3に示すような、線数を順に変えた格子状パターンを記録した基準チャートをスキャンしたときに、線数毎に対応して予め定めたMTF特性値になるように変換する。
【0024】
次の色変換処理部(1)23は、読取り装置1の色空間から予め定められた色空間のRGBデータに変換して出力する。変換後の色空間は、入力されるデータに対して、クリップや圧縮がかからないようになるべく大きい方がいいが、余り大きすぎると階調段差が問題になる。ここでは、図4に示すような、色成分CMYK及びRGBについての濃度パターンを記録した基準チャートをスキャンしたときに、規格化された色空間の一つであるAdobeRGB空間になるように変換する。
次の解像度変換処理部(1)24は、読取り装置1からの入力画像データが画像データ処理装置(1)2の処理を経て画像データ(1)として出力されるときに、この実施形態では、常に解像度を600dpi(dot per inch)とすることが予め定められているので、この解像度へと変換する。もちろん、他の解像度でも可能である。
画像データ処理装置(1)2の処理により、特性を統一され、即ち、読取り装置1の機器特性に依存する読取り画像データを正規化し、汎用のデータにして、バス制御装置3に送られる。
【0025】
バス制御装置3は、画像データ処理装置(1)2からのRGB画像データを受け取ると、CPU6を介してメモリ7に展開、保存する。また、メモリ7に展開されたRGB画像データは、今回の使用だけでなく、この後の再利用に向けたユーザーによる蓄積指示やFAX送信における複数の出力先への同報送信、或いは編集加工等の処理前の画像データとして、必要に応じてHDD5へも蓄積、保存される。
また、RGB画像データを蓄積、保存するだけでなく、利用に当たって行われる画像検索などに利用するための解像度を下げたサムネイルも処理前の汎用RGB画像データと紐付けされて保存される。サムネイルは、ファイルサイズも少ないため、画像データの蓄積保存の要否に関わらず常に保存するようにしておいても良い。サムネイル作成には蓄積画像データからCPU6で解像度変換及びsRGB色空間への変換を行うが、後述する画像データ処理装置(2)4の色変換処理と解像度変換処理を利用しても良い。解像度は72dpi及び144dpiの二種類を生成する。
【0026】
次にメモリ7に蓄積されたRGB画像データ(画像データ処理装置(1)2で処理された汎用画像データ(1))は、CPU6及びバス制御装置3を介して画像データ処理装置(2)4に送られる。
なお、画像データ処理装置(1)2で処理されたRGB画像データに対し、バス制御装置3を介して転送する際、或いはHDD5へ蓄積する際に、必要に応じてデータ圧縮・伸張処理を行うことによって効率的にデータを扱うことも可能である。このデータ圧縮・伸張処理は、CPU6のプログラムの動作で行うことができる。
画像データ処理装置(2)4は、このユースケースではプロッタ出力を行うので、受け取ったRGB画像データをプロッタ装置9で出力に用いるCMYK画像データに変換し、出力する。
【0027】
画像データ処理装置(2)4の処理について、内部構成をより詳細に示す図5のブロック図を参照して説明する。
画像データ処理装置(2)4のフィルタ処理部(2)41は、RGB画像データの鮮鋭性やS/Nを、プロッタ装置9に出力する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、ユーザーが求める画像処理モード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す。例えば、文字モードでは文字をハッキリ・クッキリとするための鮮鋭化処理を施し、写真モードでは滑らかに階調性を表現するため平滑化処理を施す。
次の色変換処理部(2)42は、RGB各8ビットのデータを受け取るとプロッタ装置9で用いる色空間であるCMYK各8ビットのデータに変換する。カラーモードがカラー出力モードの時にはCMYKで、又モノクロ出力モードの時にはK単色で画像を再現するように色変換処理を行う。
【0028】
次の解像度変換処理部(2)43は、CMYK画像データの解像度を、プロッタ装置9の性能に従って解像度変換を行う。この実施形態では、プロッタ装置9の性能が600dpi出力であるため、プロッタ出力用としては特に変換は行われない。
次のγ変換処理部(2)44は、プロッタ出力を標準化するためにCMYK画像データに対し、プロッタ装置9固有のプロセス特性に従って設定されたγ特性に従ってγ変換を行う。
次の中間調処理部45は、CMYK各8ビットを受け取るとプロッタ装置9の階調処理能力に従った中間調処理を行う。ここでは、CMYK各2ビットとし疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いる。
画像データ処理装置(2)4の処理を経て、CMYK各2ビットの画像データ(2)として出力される画像データは、バス制御装置3へと送られる。
【0029】
バス制御装置3は、画像データ処理装置(2)4からのCMYK画像データを受け取ると、CPU6を介してこのデータをメモリ7に展開する。メモリ7に展開されたCMYK画像データは、CPU6及びプロッタI/F装置8を介してプロッタ装置9に送られる。
加えて、このプロッタ出力用のCMYK画像データは、ユーザーの蓄積指示に従って、この後、再出力に利用できるように、必要に応じてHDD5へも蓄積保存される。なお、このプロッタ出力用データに編集加工が施されている場合には、再出力用編集加工済み画像データとして蓄積保存される。なお、蓄積される出力用データには、編集加工等の出力画像データを生成する処理に設定された処理条件(処理内容)を表す情報を画像データに関連付けて利用履歴情報として管理する。
また、この編集加工済み画像データについて、編集加工前のRGB画像データと同じようにサムネイルが生成される。サムネイルは、CPU6によってCMYKからsRGBへ色変換を行い、解像度72dpiと144dpiの二種類が生成される。ただ、この方法でサムネイルを作成すると、プロッタ装置9に依存したCMYKからsRGBへと変換すると際に画質上劣化が生じるため、画質に拘る場合には編集加工前のRGB画像データから上述してきた画像データ処理装置(2)4を用いた処理によって直接サムネイルを生成するようにしても良い。
画像データ処理装置(2)4からのCMYK画像データを受け取ったプロッタ装置9は、このデータを用いて転写紙にプリント出力し、原稿のコピーを作成する。
【0030】
“スキャナ入力→FAX送信(動作2)”
このユースケースは、上記動作1と同様にスキャナ入力を行うが、ユーザーの操作により求める出力は、動作1がプロッタ出力であるのに対し、ここではFAX送信であるから、出力に対応する動作が両者間で異なる。ただ、この実施形態では、スキャナ入力画像に対し入力処理として行う、画像データ処理装置(1)2の処理及びこの処理で得られる画像データのHDD5への蓄積処理は、どの出力にも共通に用いることができる汎用RGB画像データを生成する処理である。つまり、汎用性を有するデータにしてスキャナ入力画像を蓄積することで、複写、FAX、スキャナ等の機能に共通に用い、広い利用性を持たせることを意図している。
よって、スキャナ入力に対するこれらの入力処理については、上記動作1の説明を参照することとする。なお、スキャナ入力画像をHDD5へ蓄積する際に、画像検索などに利用するためのサムネイルを作成し、保存する処理も同様に行う。
【0031】
FAX送信における出力処理について説明する。
まず、FAX送信データの生成処理について、先に図5に示した画像データ処理装置(2)4のブロック図を参照して説明する。
フィルタ処理部(2)41は、RGB画像データの鮮鋭性を、FAX送信する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、ユーザーが求める画像処理モード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す(処理方法は、上記動作1と同様である)。
色変換処理部(2)42は、RGB各8ビットのデータを受け取ると、FAX装置で一般的な単色(モノクロ)8ビットに変換する。ただし、送信先がカラーFAXに対応している場合には、先のプロッタへの変換と同様にすることも可能である。具体的には、カラーモードがカラー出力モードの時にはRGBでの再現を、モノクロ出力モードの時にはグレースケールでの再現を行うように色変換処理を行う。
【0032】
解像度変換処理部(2)43は、モノクロ画像データの解像度を、FAX装置で送受される解像度に変換する。ここでは、例えば、主走査:200dpi×副走査:100dpiに変換する。
γ変換処理部(2)44は、モノクロ画像データのγ特性を、FAX送信する場合の再現性が良くなるように補正する。例えば、文字モードでは文字をハッキリ・クッキリさせるためにコントラストを高めにし、また、写真モードでは滑らかに階調が表現できるようにやや寝かせ気味のγ変換を行う。
中間調処理部45は、モノクロ8ビットを受け取り、FAX装置で送受される中間調処理能力に従った中間調処理を行う。ここでは、疑似中間調処理の一つである誤差拡散法を用いて2値のデータとする。カラーFAX出力では8ビットのまま中間調処理は施さずに出力する。
【0033】
画像データ処理装置(2)4からのモノクロ2値画像データを受け取るバス制御装置3は、CPU6を介して受け取ったデータをメモリ7に展開する。メモリ7に展開されたモノクロ2値画像データは、CPU6を介して、回線I/F装置11に送られる。
この出力動作に加えて、ユーザーからの蓄積指示で、再出力に利用できるように、出力画像及びそのサムネイルを必要に応じてHDD5へも蓄積保存する(処理方法は、上記動作1の出力画像に対すると同様である)。
画像データ処理装置(2)4からのモノクロ2値画像データを受け取った回線I/F装置11は、このデータを送信プロトコルに則って、回線を介して接続したFAX15に送信する。
【0034】
“スキャナ入力→スキャナ配信(動作3)”
このユースケースは、上記動作1と同様にスキャナ入力を行うが、ユーザーの操作により求める出力は、動作1がプロッタ出力であるのに対し、ここではスキャナ配信(ネットワークを介してスキャン入力画像を送信)であるから、出力に対応する動作が両者間で異なる。ただ、この実施形態では、スキャナ入力画像に対する画像データ処理装置(1)2の処理及びこの処理で得られる汎用RGB画像データのHDD5への蓄積を行う入力処理については、上記動作1,2と同様に、出力の如何に係らず共通で、汎用性を有するデータにしてスキャナ入力画像を蓄積する。
よって、スキャナ入力に対するこれらの入力処理については、上記動作1の説明を参照することとする。なお、スキャナ入力画像をHDD5へ蓄積する際に、画像検索などに利用するためのサムネイルを作成し、保存する処理も同様に行う。
【0035】
スキャナ配信における出力処理について説明する。
まず、スキャナ配信データの生成処理について、先に図5に示した画像データ処理装置(2)4のブロック図を参照して説明する。
フィルタ処理部(2)41は、RGB画像データの鮮鋭性を、スキャナ配信する場合の再現性が良くなるように補正する。具体的には、ユーザーが求める画像処理モード情報に従って鮮鋭化/平滑化処理を施す(処理方法は、上記動作1と同様である)。
色変換処理部(2)42は、RGB各8ビットのデータを受け取ると、指定された色空間に変換する。例えば、スキャナ配信で一般的なsRGBの規格に則った色空間に各色8ビットで変換する。ただし、上記動作2のFAX送信と同様に、sRGB以外にもグレースケールによる配信や、モノクロ2値による配信も可能なため、様々な色への変換を行ってもよい。具体的には、カラーモードがカラー出力モードの時にはsRGBでの再現を、又モノクロ出力モードの時にはグレースケールでの再現を行うように色変換処理を行う。
【0036】
解像度変換処理部(2)43は、sRGB画像データの解像度を、指定されたスキャナ配信で送受される解像度に変換する。ここでは、例えば、主走査:200dpi×副走査:200dpiに変換する。
γ変換処理部(2)44は、RGB画像データのγ特性を、スキャナ配信する場合の再現性が良くなるように補正する。この実施形態では、sRGBの規格に則った色空間に既にカラーマッチングされているため、γ変換は行わない。
中間調処理部45は、指定されたスキャナ配信で送受される中間調処理能力に従った中間調処理を行う。この実施形態では、RGB各8bitの16万色が指定されたものとして、階調処理は特に実施しない。
【0037】
画像データ処理装置(2)4からの画像データを受け取るバス制御装置3は、CPU6を介して受け取ったデータをメモリ7に展開する。メモリ7に展開、蓄積された画像データは、CPU6を介して、外部I/F装置12に送られる。
この出力動作に加えて、ユーザーからの蓄積指示で、再出力に利用できるように、出力画像及びそのサムネイルを必要に応じてHDD5へも蓄積保存する(処理方法は、上記動作1の出力画像に対すると同様である)。
画像データ処理装置(2)4からの画像データを受け取った外部I/F装置12は、ネットワークを介して接続したPC16等の外部機、或いはUSBコネクタ等を介して接続した外部メディア17にこのデータを送信する。
【0038】
“外部I/F入力→プロッタ出力(動作4)”
外部I/F入力は、外部I/F装置12によって受け入れる外部デバイスからのデータ入力で、外部デバイスの1つは、メモリカード等の外部メディア17である。ユーザーは、外部I/F装置12を介して画像データの記録された外部メディア17を接続し、操作表示装置10を通じて要求する画像処理モード等の設定とプリント(印刷)開始を指示する入力を行う。この入力を受ける操作表示装置10は、ユーザーの操作により入力した情報・データを機器内部の制御コマンドデータに変換し発行する。
他の外部デバイスは、ネットワーク上のPC16等の機器である。複合機にネットワーク接続されたPC16は、外部I/F装置12を介して印刷要求コマンド (出力対象の画像データと要求する画像処理モード等の設定データ) 及びプリント開始を指示するデータを入力することによって、プリント出力要求を行う。CPU6は、ネットワーク上のPC16からこれらのデータの入力を受け、プリント出力要求の制御コマンドを認識する。
CPU6は、プリント開始の制御コマンドに応じて、プリント動作プロセスのプログラムを実行し、プロッタ出力に必要な設定や動作を以下の動作プロセスに従って行う。
【0039】
外部メディア17又は外部PC16から入力された画像データは、上記スキャナ入力における動作1(プロッタ出力)と共通の出力デバイス(プロッタ装置9)に用いるので、外部I/F入力も、基本的には、共通するプロッタ装置9の出力動作に使用できるように、汎用データとして予め定めた特性に統一し、HDD5へ蓄積する処理プロセスとなる。
通常では、外部メディア17から外部I/F装置12経由で入力されたRGB各8ビットの規格化された色空間に基づいたデジタル画像データ、又はPC16から印刷要求コマンドとして入力されたレンダリング済みRGB各8ビットの規格化された色空間に基づいたデジタル画像データは、その規格化された色空間のままCPU6を介してメモリ7に蓄積される。規格化された色空間にはいろいろな定義があるが、一般的にはsRGBやAdobeRGBを使うことが多い。
ここで、プリント出力を要求して入力されたRGB画像データが、規格化された色空間として想定されたもの以外であれば、メモリ7に蓄積されたRGB画像データは、CPU6及びバス制御装置3を介して、画像データ処理装置(2)4に送られ、ユーザーの設定した規格化された色空間に変換して再度メモリ7に蓄積する。
なお、外部I/F入力画像をHDD5へ蓄積する際に、画像検索などに利用するためのサムネイルを作成し、保存する処理をここでも行う。この処理については、上記動作1〜3において入力画像を蓄積する際に行っている処理と同様に行うことができる。
【0040】
次に、メモリ7に蓄積された規格化された色空間のRGB画像データは、CPU6及びバス制御装置3を介して、画像データ処理装置(2)4に送られる。
画像データ処理装置(2)4は、受け取った規格化された色空間のRGB画像データをプロッタ出力用のCMYK画像データに変換し出力する。なお、この画像データ処理装置(2)4における処理は、上記動作1(スキャナ入力→プロッタ出力動作)の出力画像に対すると同様であるから、詳細については、先の記述を参照する。
この後、画像データ処理装置(2)4からのCMYK画像データを受け取ったプロッタ装置9は、このデータを用いて転写紙にプリント出力する。また、この出力動作に加えて、ユーザーからの蓄積指示で、再出力に利用できるように、出力画像及びそのサムネイルを必要に応じてHDD5へも蓄積保存する。なお、画像データ処理装置(2)4からのCMYK画像データを用いて行うプリント出力処理及び出力データの蓄積処理についても、上記動作1(スキャナ入力→プロッタ出力動作)の出力動作におけると同様であるから、詳細については、先の記述を参照する。
【0041】
“外部I/F入力→FAX送信(動作5)”
このユースケースは、上記動作4と同様に外部I/F入力を行うが、ユーザーの操作により求める出力は、動作4がプロッタ出力であるのに対し、ここではFAX送信であるから、出力に対応する動作が両者間で異なる。ただ、この実施形態では、外部I/F入力画像に対し入力処理として行う、画像データ処理装置(1)2の処理及びこの処理で得られる画像データのHDD5への蓄積処理は、どの出力にも共通に用いることができる規格化された汎用RGB画像データを生成する処理である。つまり、汎用性を有するデータにして外部I/F入力画像を蓄積することで、プリンタ、FAX、スキャナ等の機能に共通に用い、広い利用性を持たせることを意図している。
よって、外部I/F入力に対するこれらの入力処理は上記動作4と変わりがなく、この処理については、先に記した動作4の説明を参照する。なお、外部I/F入力画像をHDD5へ蓄積する際に、画像検索などに利用するためのサムネイルを作成し、保存する処理も同様に行う。
【0042】
外部I/F入力画像をもとにしたFAX送信における出力処理について説明する。
この実施形態では、上記のように、入力処理で汎用RGB画像データとしているので、この画像データをもとにFAX送信出力を行う。汎用RGB画像データのFAX送信の出力処理及び送信動作については、上記動作2において説明した通りである。従って、詳細については、先の記述を参照する。
また、このFAX送信の出力動作に加えて、ユーザーからの蓄積指示で、再出力に利用できるように、出力画像及びそのサムネイルを必要に応じてHDD5へも蓄積保存する(処理方法は、上記動作1の出力画像に対すると同様である)。
【0043】
“外部I/F入力→スキャナ配信(動作6)”
このユースケースは、上記動作4と同様に外部I/F入力を行うが、ユーザーの操作により求める出力は、動作4がプロッタ出力であるのに対し、ここではスキャナ配信であるから、出力に対応する動作が両者間で異なる。ただ、この実施形態では、外部I/F入力画像に対し入力処理として行う、画像データ処理装置(1)2の処理及びこの処理で得られる画像データのHDD5への蓄積処理は、どの出力にも共通に用いることができる規格化された汎用RGB画像データを生成する処理である。つまり、汎用性を有するデータにして外部I/F入力画像を蓄積することで、プリンタ、FAX、スキャナ等の機能に共通に用い、広い利用性を持たせることを意図している。
よって、外部I/F入力に対するこれらの入力処理は上記動作4と変わりがなく、この処理については、先に記した動作4の説明を参照する。なお、外部I/F入力画像をHDD5へ蓄積する際に、画像検索などに利用するためのサムネイルを作成し、保存する処理も同様に行う。
【0044】
外部I/F入力画像をもとにしたスキャナ配信における出力処理について説明する。
この実施形態では、上記のように、入力処理で汎用RGB画像データとしているので、この画像データをもとにスキャナ配信を行う。汎用RGB画像データのスキャナ配信の出力処理及び送信動作については、上記動作3において説明した通りである。従って、詳細については、先の記述を参照する。
また、このスキャナ配信の出力動作に加えて、ユーザーからの蓄積指示で、再出力に利用できるように、出力画像及びそのサムネイルを必要に応じてHDD5へも蓄積保存する(処理方法は、上記動作1の出力画像に対すると同様である)。
【0045】
“蓄積画像の出力動作”
上記したユースケースでは、スキャナ入力又は外部I/F入力といった画像データの入力デバイス(スキャナ、外部メディアなど)からスタートする入出力処理の動作フローを説明したが、再出力用にHDD5やメモリ7に蓄積、保存した画像データから出力処理をスタートしても良い。
蓄積画像に対する出力処理として、先の出力時に蓄積した画像を対象に新たな処理内容で出力する場合がある。こうした出力処理として、例えば、集約処理を動作例とすると、複数の原稿の集約出力には2枚の原稿を1枚にまとめるものから8枚のものを1枚にまとめるものなど非常に多くの種類が存在する。ここでは、1例として2枚のA4原稿を1枚のA4記録紙にまとめる2in1出力の場合を用いて説明する。
【0046】
まず、蓄積された2枚のA4原稿画像データをHDD5から読み出し、画像データ処理装置(2)4を用いて出力画像を生成する。このときの処理内容は、2枚のA4原稿を1枚のA4記録紙にまとめるため、解像度変換処理部(2)43にて600dpiの出力を300dpiへ変換、すなわち50%の縮小変倍を行う。
この後、バス制御装置3は、画像データ処理装置(2)4から解像度を集約に合わせて調整された画像データを受け取ると、CPU6を介してこの画像データをメモリ7に蓄積する。
メモリ7に蓄積したこの2枚の画像データを並べて、1枚の画像として出力することにより、2in1の出力を得ることが出来る。並べて出力する、という動作は、実際にメモリ上のA4記録紙1枚分の記憶領域に2枚の画像データのアドレスを並べて展開しても良いし、メモリからの画像データ出力時にメモリの読み出しをA4記録紙に合わせて連続させても良い。
【0047】
集約処理の別の例として、2枚のA4原稿を1枚のA3記録紙にまとめる2in1出力が指示された場合がある。この場合には、2枚のA4原稿画像をそのまま2枚並べることでA3記録紙にまとめるが出来るので、解像度変換は必要がなく、600dpiのまま(等倍)出力する。
ところで、集約処理が解像度変換を伴う場合、解像度変換によって画質の低下が生じ得る。画質の低下を抑えるためには、集約による解像度変換の処理に応じて、画像データ処理装置(2)4におけるフィルタ処理や色変換などの画像処理におけるパラメータを調整することにより実施することができる。なお、画質の低下を考慮しなければ、解像度変換以外の処理は、集約条件の違いによって変えなくてもよい。
【0048】
上記で説明したユースケースでは、プロッタ出力、FAX送信及びスキャナ配信の3種類の用途に対するそれぞれの出力先に応じて、入力画像又は蓄積画像を出力するまでの処理を行うフローを説明してきたが、画像データを入力するだけで、用途が定まっていないケースもある。
この場合には、画像データの蓄積のみを行うことも可能である。この実施形態の複合機では、ドキュメントボックス機能でこの動作をサポートしている。画像データの蓄積のみを行った場合には、ユーザーがタイミングを選んでプロッタ出力、FAX送信及びスキャナ配信等の用途を設定し、出力を指示することで、必要に応じて画像データを再利用することが出来る。
【0049】
「蓄積画像に対する出力処理の設定」
上記の入出力動作の説明に記したように、スキャナ入力又は外部I/F入力された画像は、HDD5やメモリ7に蓄積、保存し、ユーザーが選んだタイミングで蓄積画像を出力に利用することができる。蓄積画像を用いた出力を行わせる際に、ユーザーは、プロッタ出力、FAX送信及びスキャナ配信の1つを選択し、出力を指示する。
また、ユーザーは、出力を指示するときに、出力処理の内容を新たに設定し直すことができる。なお、保存した画像の再出力の際に処理内容を設定し直すことを可能にする機能については、従来から存在し、従来の機能では、蓄積画像に用いた処理内容の範囲で情報を提示し、編集加工の内容を修正することや所定の調整対象についてパラメータを変化させること、或いは単に出力先を変更する程度の処理を可能にするにとどまっている。このため、編集加工に不慣れなユーザーにとっては、ユーザーの意図に沿う最適な処理を設定することが容易にできない。
【0050】
そこで、この実施形態では、指定された蓄積画像に対する出力処理の内容を新たに設定し直す際に、先の出力時に当該画像に設定された範囲の処理内容を提示するだけではなく、提示する処理内容の範囲を拡張する。拡張する範囲は、例えば、対象画像との関連でつながるもの(対象画像に他の出力で用いた処理内容)、出力要求において指示された処理との関連でつながるもの(処理内容の一部が共通する他の出力で用いた処理内容)、あらゆる画像に高い頻度で用いられるものを含む。これらの情報は、出力処理に用いた処理内容を出力画像に対応付けて管理する利用履歴管理情報から取得する。利用履歴管理情報には、これまで行われた全処理について処理の履歴が記録されているので、この中から上記した条件を満たす処理内容を抽出することができる。
さらに、抽出した処理内容に関連付けて、当該処理内容に従って処理された対象画像のプレビューを提示できるようにする。
このようにすることで、処理内容の設定に慣れたユーザーでなくても、利用可能な広範なバリエーションからユーザーが求める最適な処理方法を見出すことを可能にする。
実施形態としては、蓄積画像に対する出力処理を設定する際に、ユーザーとの間のインターフェースとして機能する操作表示装置10を通じて、上記の設定プロセスを実行する。なお、以下に示す実施形態では、出力処理の1つである編集加工を例に、その処理内容を設定するプロセスを説明する。
【0051】
蓄積文書を選択して編集加工を行う際の手順を操作表示装置(操作パネル)10の動作状態を示す図6を参照して説明する。
図6に示す操作パネル10は、LCDよりなるタッチパネル101と、テンキーやスタートキー等のキー群103及びアプリキー群102からなるキースイッチを組み合わせて構成されている。
アプリキー群102には、コピー機能、ドキュメントボックス機能、スキャナ機能、FAX機能、プリンタ機能のキーが用意され、それぞれのキーにLEDが内蔵され、LEDの点灯により選択されたキーを示す。ここでは、蓄積した文書(画像データ)を選び、選んだ文書の出力を行うので、ドキュメントボックス機能のボタンの右側に設けたLEDが点灯している。なお、搭載されているアプリのうち使用しない機能は取り外すことが可能となっており、機能を取り外す場合には、対応するアプリキーは、取り外す替わりに目隠しとなるダミーの蓋を設置する。
【0052】
図6のLCD101には、ドキュメントボックス機能における「文書選択」を操作したときの画面が表示されている。中央部分には、上述の各種フローで蓄積された文書がリスト表示されており、「文書番号」「文書名」「ユーザー名」「日付」が並んで示されている。リストアップする内容は、文書に関連付けられて管理された書誌情報から必要に応じて表示内容を選択し、選択したものが表示できるように、表示内容を変更できるようにする。
また、リストによる表示では探しにくい場合に対処するためには、画面左端のサムネイルボタン1011−2を操作することにより、サムネイル表示に切り替えることを可能とする。なお、サムネイル表示用のデータは、上記の入出力動作の説明に記したように、出力処理の一環として作成され、原画像に関連付けて蓄積しておいたデータを用いる。
サムネイル表示からリスト表示に戻す場合には、ボタン1011−1を操作することにより、表示を切り替えることができる。
【0053】
LCDタッチパネル101に蓄積文書のリスト等を表示するときに、一度に表示できる文書の数は限られるので、検索機能を使って目的の文書を抽出することもできる。LCD画面左端の「文書検索」ボタン1012の下の入力窓の選択操作を行い、その窓に文書名を入力して「文書検索」を実行すると、入力した文書名と関連するものだけが表示される。検索には完全一致だけではなく、インターネットのWeb検索などで用いられているあいまい検索によるものを用いても良い。
操作パネル10の右端のキースイッチ群103は、各種数字を入力するテンキーと、設定値をクリア、動作をストップするクリア/ストップキー、各種動作を開始するスタートキー、設定値をクリアするだけでなく、初期状態に戻すリセットキーが用意されている。もちろん、各種機能で共通に使えるキーはキースイッチによる実装を行うことにより、LCDタッチパネル101の画面を有効に使うことが出来る。
【0054】
さらに、まず文書を蓄積し、その後必要に応じた出力を指示するという手順をとりたいという要求に応えるべく、図6の画面から新しい原稿を読み取らせることができるようにする。このため、LCD画面左下の「原稿読み取り」ボタン1013があり、このボタンを操作することにより新しい原稿を蓄積文書として読み取り、そのまま蓄積文書として選択した状態となる。ユーザーは原稿を読み取った後に改めて文書を選択する必要はない。
画面上部にはユーザー認証を行う「ログイン」ボタン15とその横にユーザー名を入力する窓が用意されている。入力窓への操作をすると、ソフトウェアによるキーボードが表示されてユーザー名を入力できるようになっており、その後で「ログイン」ボタンを操作することにより、ユーザー認証が行われる。ユーザー認証については公知技術であるためここでは説明は省略するが、この方法以外にも認証カードやUSBデバイスを用いた方法を利用することが出来る。ユーザー認証後には、出力処理等の利用履歴にユーザーが登録され、蓄積文書のリスト等を表示するときにユーザー名が表示される。
【0055】
図6の「文書選択」画面で蓄積文書を選択してそのまま出力する場合には、文書を選択した状態でスタートキーを押下すると、設定されている出力先にそのまま出力される。
ここで、選択した文書に対し、文書の編集を施して出力したい場合には、LCD画面左下の「文書編集」ボタン1014を操作する。この操作によって、文書編集の画面(後述する図8)に切り替わる。文書編集の際に、ユーザーが求める処理(編集加工)内容に応えて出力処理を行うために、切り替わったLCD画面を通じて、編集加工内容の設定操作を行っていく。この設定プロセスには、上記したように、利用履歴管理情報に基づいて選択の対象となる編集加工の処理内容を提示する処理を含む。
【0056】
図7は、本実施形態における文書編集の設定プロセスを実行する処理フローを示す図である。
図7の処理フローによると、まず、図6の「文書選択」画面で蓄積文書の中から処理の対象になる文書が選択され、その後、「文書編集」ボタン1014が操作されると、文書編集の画面に切り替わる(ステップS101)。
図8は、このときに表示される文書編集の画面を示す図である。図8の文書編集の画面には、選択された文書を表示すると共に編集加工に必要なメニューが提示される。
また、選択された文書に加え、異なる編集加工内容が設定された文書を候補として提示する。この候補として提示する文書は、ユーザーが設定操作を行う際に参照するもので、選択された文書に利用頻度の高い編集加工内容を設定して編集された文書を提示する。利用頻度の高い編集加工内容は、上記の利用履歴管理情報から取得する。
【0057】
候補として文書を提示するにあたっては、基本的には、これまでに当該文書に利用された編集加工内容について、利用頻度のより高い編集加工内容を優先させる。
ただ、選択された文書に対して初めて編集加工が行われる場合、又は利用履歴があっても利用頻度が所定の値よりも低い場合には、選択された文書以外の文書に範囲を広げて、あらゆる文書について広く利用された編集加工内容に着目し、利用頻度に応じて広く利用された編集加工内容を提示する。
さらに、ユーザーが認証を行ってログインしている状況では、ユーザー自身の行った編集加工内容があれば、処理対象の文書が違っても、これを優先して表示させると良い。
【0058】
候補として文書を提示するとき、先に実際に出力処理が行われ、編集加工済みの画像がある場合には、その時に生成し、保存された出力画像のサムネイルを提示する。
他方、編集加工済みの画像が無く、単に編集加工の設定情報のみが残っている場合には、編集加工済み画像が無い旨を操作画面に表示するか、画像データ処理装置(2)4を用いて選択された文書に対して、この編集加工の設定による画像処理を施し、生成した出力画像による表示を行う。
編集加工済みの画像が無い場合に行う上記表示動作のどちらを行わせるかは、機器の設定で選択可能とし、ユーザーが出力画像の生成で機器の負荷や時間をかけたくない場合には前者で対応すると良い。さらに、前者の場合でも単に編集加工済み画像が無いと表示するだけではなく、編集加工の設定をテキストで表示するとなお良い。
【0059】
上記のように、設定操作を行う際に参照する候補を表示可能とした文書編集画面の実施形態として図8に示すLCDタッチパネル101の画面では、画面左上に選択された文書のサムネイル1022とその下に当該文書の簡単な書誌情報が示され、画面中央の画像表示領域1031には選択された文書のプレビューが表示される。
プレビュー表示画面の下には、プレビュー表示の拡大縮小などの操作を行うためのメニューを選択するボタン群1032と、編集加工に用いるメニューを選択する「画質調整」「色加工」「画像編集」「画像集約」及び「変倍」よりなるボタン群1028が示されている。
なお、編集加工メニューは階層化されており、ここではトップメニューのみが表示されている。
【0060】
図8に示す文書編集画面の左側には、良く使われるメニューである出力のカラーを選択するカラーモード選択ボタン1024が配置されている。カラーモードとしては、カラーモノクロを自動で判別する「自動カラー」を含め、「フルカラー」「モノクロ」「二色カラー」「シングルカラー」の各モードが用意され、それぞれに対応する操作ボタンを設けているが、出力先が変更になった場合には、出力可能なカラーモードだけが表示される。例えば、FAX送信(カラーFAXは除く)の場合には、モノクロしか選択できない。図8の表示例では、フルカラーモードが選択された場合を示している。
「濃度ノッチ」ボタンと「自動濃度」ボタンがカラーモード選択ボタンの下に配置されており、よく使われる濃度調整機能を使いやすくしている。
図8に示す文書編集画面の左下には、ユーザーの設定した編集加工内容を適用する範囲を設定する「適用範囲」のプルダウンメニューボタン1026と出力先を選択できる「出力先設定」のプルダウンメニューボタン1027が用意されている。
「適用範囲」のプルダウンメニューボタン1026を操作すると、「このページのみ」「ページ指定」「すべてのページ」のメニューがプルダウンされて、メニュー表示される。この中の1つの選択操作を可能とする。ここでは表示されているページのみを選択している。
また、「出力先設定」のプルダウンメニューボタン1027を操作すると、出力可能な項目がプルダウンされて、メニュー表示される。この実施形態では「紙へ印刷」「PCへ配信」「FAXへ送信」「ドキュメントボックスへ蓄積」の中の1つの選択操作を可能とする。ここでは「紙へ印刷」を選択している。
【0061】
図8に示す文書編集画面の画面右側には、選択された文書(画面中央の画像表示領域1031にプレビュー表示された画像)への設定例として、利用頻度の高い編集加工内容の編集加工を施したものを利用頻度の高い順に三つ提示している。
ここでは、上から順に、編集加工設定例(1)1036−1として、色を一部変えて2in1に集約し、プロッタ出力用の設定をしたもの、編集加工設定例(2)1036−2として、2値化を行ったFAX送信用の設定をしたもの、編集加工設定例(3)1036−3として、文書の下部を切り取り、スキャナ配信用の設定をしたもの、が提示されている。
画面に表示できる編集加工内容は数に制限があるが、これ以外の編集加工内容を参照したい場合には画面右下にある「もっと見る」ボタン1040を選択すると、他の頻度の高い編集加工内容が提示される。
【0062】
編集加工設定例(画面右側に配列、表示された画像)の表示画像において、編集加工内容として、特定の編集加工内容、例えば、画像集約やトナーセーブ処理などの環境に配慮した編集加工処理が含まれている場合に、このマークが表示される。その貢献度合いによって、マークの数を増やす等その度合いが分かるようになっているとなお良い。もちろん、マーク以外にもユーザーにアピールできる方法であれば構わない。
ここでは、図8に示す文書編集画面の画面右側の編集加工設定例(1)1036−1の画像集約による編集加工イメージの右上に「木」を模したマークを付けることで、環境に配慮した編集加工が施された画像であることを表示する。
また、これ以外にも特定の編集加工内容として、例えば、カラーユニバーサルデザインに準拠した色の組み合わせを使っている編集加工内容であれば、それをイメージしたマークを付ける等、特定の効果がある編集加工内容をユーザーにアピールできるようになっている。この設定は機器の管理者によってマークを付ける条件を変更・追加できるようにすることで、様々な編集加工の効果をユーザーにアピールできる。
【0063】
提示された編集加工内容を見てユーザーが自身で編集加工するまでも無く、提示された内容で十分と感じた場合には、編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3の該当する編集内容に付属する「今すぐ出力する」ボタンへの操作を行い、スタートキー(図6)を押下することにより出力することができる。
また、今すぐ出力しない場合には、編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3にそれぞれ設けた「出力ボックスに入れる」ボタンへの操作を行い、スタートキーを押下することで、出力ボックスに入れること、即ち、文書を個人の出力文書リストとして登録することができる。出力ボックスに入れることによって、この後ユーザーが選んだタイミングで出力できるようになる。
また、すぐに出力する場合でも、よく使われる出力先の変更は、編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3にそれぞれ設けた「出力先を変更する」チェックボックスへの操作を行うことにより、出力先を変更することが可能である。
【0064】
コピーやプリンタといったプロッタ出力用の編集加工内容である文書には、編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3にそれぞれ「再生成する」チェックボックスを設ける。図示のように、編集加工設定例(2)1036−2のFAX送信や編集加工設定例(3)1036−3のスキャナ配信の出力例では、半輝度となっていて選択できない。これを選択すると、出力用の編集加工済み画像があったとしても、画面中央の画像表示領域1031に表示されている編集加工前の画像から編集加工の設定に従って画像が生成しなおされる。これはプロッタ出力用の画像がプロッタ装置9の状態によって出力が変動するため、過去に出した出力用画像をそのまま出力しても同じ出力とならないためである。つまり、プロッタ装置9の状態を検知し、検知結果に従って画像データ処理装置(2)4のγ処理や色変換処理に設定するパラメータを補正することにより、適正な出力画像を得ることができる。この補正処理については、既存の技術なのでここでは説明は省略する。なお、プロッタ装置9の状態に応じた補正をする処理が備わっていない場合には、再生成しても同じ画像にしかならないため、「再生成する」チェックボックスを選択する操作をできないようにする。
【0065】
提示された編集加工内容で出力する際の出力の指示は、ページの指定が可能である。表示されたページのみ出力する場合には編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3にそれぞれ設けた「このページのみ」チェックボックスへの操作を行い、表示されたページ以外も含めた文書全体を出力する場合には、同様に設けた「すべてのページ」チェックボックスへの操作を行う。この二つのチェックボックスは排他制御となっており、どちらか片方しか選択できない。編集加工内容が提示された初期状態では「このページのみ」がチェックされている。これも設定によって切り替えられるようになっていると良い。
編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3にそれぞれ集加工内容を示す表示領域を設け、これに付属して「詳細を表示」ボタンを設けている。より詳細な出力や編集加工内容を参照するには、この「詳細を表示」ボタンへの操作を行うと、表示されているイメージがどのような編集加工内容の組み合わせで出来ているのか表示され、出力に関しても、例えばページを指定する等、より細やかな設定が可能となる。
【0066】
ユーザーが、処理対象画像に対する編集加工のバリエーションとして、図8に示した画面を通して提示された編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3への選択操作を行わないまま、所定の時間が経過した場合には、画面に提示された編集加工内容は、利用頻度が次に高い別のものに更新される。
このように、編集加工設定例の更新を繰り返し、最後の編集加工内容に到達した場合には先頭へと戻って提示を行う。この自動更新動作における経過時間を定める前記所定の時間として、この実施形態では、20秒間として、この時間に操作が行われない場合には、画面を更新していく。
【0067】
図7のフローチャートに戻り、上記の処理を実行する制御フローを説明する。
ステップS101でユーザーにより文書が選択され、この文書が蓄積された際に、文書編集が施されて出力されていれば、当該文書のプレビューを画面の中央に表示した後、この複合機が搭載した文書編集機能によって提供される編集加工に詳細な内容があるか否かを確認する(ステップS102)。
ここで、詳細編集加工内容があれば(ステップS102-YES)、提供できる詳細な下位の編集加工内容のメニュー(図8の「画質調整」「色加工」「画像編集」「画像集約」及び「変倍」よりなるボタン群1028)を提示する(ステップS103)。
次いで、選択された文書に利用頻度の高い編集加工内容の編集加工を施した文書のパターン(図8の編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3)を利用頻度の高い順に提示する(ステップS104)。
このとき、提示する文書パターンが、上記した特定の編集加工内容(例えば、画像集約やトナーセーブ処理など)に一致するか否かを判定し(ステップS105)、特定の編集加工内容に一致しなければ(ステップS105-NO)、スルーするが、特定の編集加工内容に一致すれば(ステップS105-YES)、編集加工イメージにその旨のマークを付けて(上記の画像集約やトナーセーブ処理であれば、環境に配慮した編集加工であることを示す「木」を模したマークを付ける)表示する(ステップS106)。
【0068】
次に、ステップS104で提示した利用頻度の高い編集加工内容の編集加工を施した文書パターンの1つを出力する文書に設定する編集加工内容としてユーザーが選択するか否かを確認する(ステップS107)。図8の操作画面においては、編集加工設定例(1)〜(3)1036−1〜3の「今すぐ出力する」/「出力ボックスに入れる」ボタンのいずれか1つのボタンの押下により判断する。
ここで、提示された文書パターンのいずれかが選択された場合には(ステップS107-YES)、後述する出力処理のフロー(図13)に移行する。
他方、提示された文書パターンに対しユーザーが選択操作を行わない場合には(ステップS107-NO)、次のステップとして予め定めた所定時間以内にステップ103で提示した詳細編集加工内容のメニューから特定の内容を選択する操作が行われたか否かを確認する(ステップS108)。
【0069】
ここで、所定時間を超えても詳細編集加工内容のメニューから編集加工内容が選択されない場合には(ステップS108-NO)、ステップS104で提示された文書パターンを選択するか否かを吟味しているために時間を要していると考えられるので、文書パターンの提示を継続する。ただ、上記したように、表示領域を超える数の文書パターンがある場合には、全部の文書パターンを利用頻度の高い順に提示するために、一定の時間経過ごとに文書パターンを更新する。
他方、所定時間以内に特定の編集加工内容が選択された場合には(ステップS108-YES)、ステップS102に戻り、文書編集機能によって提供される編集加工にさらに下位の詳細な内容があるか否かを確認する(ステップS102)。このステップにおける所定時間は、ユーザーが迷い無くメニューから編集加工の選択操作を行っている状態にある、という前提をもとに、メニューを画面に表示してから、例えば10秒間と定める。つまり、この時間を超えた場合には、提示された文書パターンを選択するか否かを吟味している状態にあると推定する。
【0070】
ステップS102で下位の詳細編集加工内容があれば(ステップS102-YES)、この複合機が提供できるさらに下位の詳細編集加工内容のメニューを提示する(ステップS103)。
図9は、図8の画面における編集加工メニューの「画像編集」ボタンを選択した場合の画面を示す図である。図9のボタン群1028cに示すように、下位の詳細編集加工内容のメニューとして、ネガポジの反転処理用の「反転」、ミラー処理用の「ミラー」及びリピート処理用の「リピート」の各ボタンが提示されている。
また、図9に示す文書編集画面の右側には、画像編集のメニューより選んだ編集加工内容を処理対象の文書(画面中央の画像表示領域1031にプレビュー表示された画像)へ施したものを利用頻度の高い順に三つ提示している。ここでは、上から順に、画像編集例(1)1037−1として、ミラー処理をしたもの、画像編集例(2)1037−2として、リピート処理をしたもの、画像編集例(3)1037−3として、ネガポジ反転処理をしたもの、が提示されている。この中から、ユーザーは求める編集加工内容のものを見出せれば、自身で編集加工の指示を出さなくとも出力を行うことが出来る。
画面に表示できる編集加工内容は数に制限があるが、これ以外の画像編集例を参照したい場合には画面右下にある「もっと見る」ボタン1040を選択すると、他の頻度の高い画像編集例が提示される。
【0071】
図10は、図8の画面における編集加工メニューの「色加工」ボタンを選択した場合の画面を示す図である。図10のボタン群1028bに示すように、下位の詳細編集加工内容のメニューとして、色の変換処理用の「色変換」、色消し処理用の「色消去」及びトナーセーブ処理用の「トナーセーブ」の各ボタンが提示されている。
また、図10に示す文書編集画面の右側には、色加工のメニューより選んだ編集加工内容を処理対象の文書(画面中央の画像表示領域1031にプレビュー表示された画像)へ施したものを利用頻度の高い順に三つ提示している。ここでは、上から順に、色加工例(1)1038−1として、色消し処理をしたもの、色加工例(2)1038−2として、トナーセーブ処理をしたもの、色加工例(3)1038−3として、色変換処理をしたもの、が提示されている。この中から、ユーザーは求める編集加工内容のものを見出せれば、自身で編集加工の指示を出さなくとも出力を行うことが出来る。なお、トナーセーブ処理のかかった真ん中の色加工例(2)1038−2の画像イメージの右肩には環境にやさしいことを示すマークが付属している。
画面に表示できる編集加工内容は数に制限があるが、これ以外の画像編集例を参照したい場合には画面右下にある「もっと見る」ボタン1040を選択すると、他の頻度の高い色加工例が提示される。
【0072】
図11は、図10の画面における編集加工メニューの「色変換」ボタンをさらに選択した場合の画面を示す図である。図11のボタン群1028b´に示すように、色変換処理の下位の詳細編集加工内容のメニューとして、「ブラック」を「ブルー」に、「グリーン」を「レッド」に変換する処理用のボタンが提示されている。この画面でボタン群1028b´の「OK」ボタンを選択すると、この設定の色変換処理を指示できる。
また、図11に示す文書編集画面の右側には、色変換のメニューより選んだ編集加工内容を処理対象の文書(画面中央の画像表示領域1031にプレビュー表示された画像)へ施したものを提示している。
ここでは、「ブラック」を「ブルー」に、「グリーン」を「レッド」への変換を指示しており、また、これ以上、詳細な編集加工メニューは存在しないため、指示内容と同一条件の編集加工済み画像が蓄積画像データとしてあれば、この設定で作成されたものを、「作成済みデータがあります」と表示をした領域1035´に提示する。このようにすることで、わざわざ編集加工前の蓄積画像データから編集加工処理を含めた画像処理を行わなくても、すぐに出力できることを知らせる。そのまま出力できれば、処理時間が短縮されるだけでなく、電力消費も抑えられるため環境にもやさしい。表示領域1035´の色変換の設定欄1039−1に示すように、編集加工(色変換)内容を改めて変更することは出来ないが、出力のページ数を指定することは可能である。このときに、自分の指定したものと同一の編集加工済み画像が既にあることが分かればよいので、他の提示内容よりも小さいサムネイルを提示している。場合によってはサムネイルを省略し、他の提示内容でそのスペースを活用しても良い。
【0073】
また、ユーザーの指示に従う編集加工済み画像の提示とは別に、色変換処理の設定例を「こんな配色パターンがあります」と表示をした領域1035に、一部条件が異なる編集加工内容が提示される。ここには、ユーザーの選択した色変換による配色パターンとあえて異なる編集加工内容を優先的に提示する。このようにすると、ユーザーは自分の選択した配色パターンとは異なる効果を見ることができて、提示された編集加工内容がユーザーに採用されなかったとしても、色変換処理に関して新しい発想が生まれやすくなる。異なる配色パターンの編集加工内容が多数ある場合には利用頻度でさらに順位付けすればよく、図11の画面には、色変換例(1)1039−2及び色変換例(2)1039−3の2例を提示している。画面に表示できる編集加工内容は数に制限があるが、これ以外の画像編集例を参照したい場合には、画面右下にある「もっと見る」ボタン1040を選択すると、他の頻度の高い色変換例が提示される。
ユーザーは編集加工を自らの手で指定し完了するか、システムにより提示された編集加工内容(色変換例(1),(2)1039−2,3等)に付属する「今すぐ出力する」ボタンへの操作を行い、スタートキー(図6)を押下することにより出力することができる。このときに、すぐに出力が欲しい場合にはスタートキーを押下するが、もし今は出力せずに後で他の文書と合わせて出力したいようなときには図8〜10の画面では選択できなかった画面中央下の「出力ボックスに入れる」ボタンが編集加工の詳細な下位メニューがなくなった時点で選択可能になり、出力ボックスへの登録だけ行い、後で必要な出力先にまとめて出力を行うこともできる。
【0074】
図7のフローチャートに戻り、下位の詳細編集加工内容のメニューを提示し、下位メニューがなくなるまで、複数階層を経て、選択可能な編集加工内容の設定例を提示する上記の処理(図9〜11の説明、参照)を実行する制御フローを説明する。
下位の詳細編集加工内容を提示、選択するステップS102〜108のループを経て、さらに下位の詳細編集加工内容があれば(ステップS102-YES)、この複合機が提供できるさらに下位の詳細編集加工内容のメニューをユーザーの指示に従い提示する(ステップS103)。この手順は、上記した図8(文書編集)→図10(色加工)→図11(色変換)と切り替わる画面によって、処理対象となる文書への編集加工内容(文書パターン)が提示され、提示された編集加工内容の選択によって、編集加工内容の設定処理を実行する手順である。
このようにして、詳細編集加工内容の提示が完了し、提示した文書パターンが選択されることなく(ステップS107-NO)、最下位の詳細編集加工内容のメニューボタン群の「OK」ボタンが操作された場合(ステップS108-YES)、これ以上、メニューに従って提示する詳細編集加工内容がないという状態となる(ステップS102-NO)。なお、この詳細編集加工内容がないという状態は、複合機に編集加工が搭載されていない場合、この制御フローのスタート直後にも判断される。
【0075】
このように、これ以上メニューに従って提示する詳細編集加工内容がないという状態になった場合には、指示内容と同一条件の編集加工済み画像が蓄積画像データとしてあるか否かを調べ(ステップS111)、存在すれば(ステップS111-YES)、その旨を知らせ、編集加工済み画像を提示する(ステップS112)。表示画面上では、図11に示すように、文書編集画面の右側に「作成済みデータがあります」と表示をした領域1035´に提示する。この表示を行うことで、わざわざ編集加工前の蓄積画像データから編集加工処理を含めた画像処理を行わなくても、すぐに出力できることを知らせる。
ステップS111で編集加工済み画像が蓄積画像データとして存在しなければ、(ステップS111-NO)、ステップS112をスルーする。
ここまでの手順で、ユーザーによる編集加工内容の提示を終えて、次に、一部条件が異なる編集加工内容を提示する(ステップS113)。色加工の色変換処理を例にとると、ユーザーの操作によって選択した色変換による配色パターンがある(領域1035´に提示)が、これとあえて異なる編集加工内容を提示する。なお、この異なる編集加工内容の設定例は、図11の文書編集画面の右側の「作成済みデータがあります」と表示をした領域1035´に並べて「こんな配色パターンがあります」と表示をした領域1035に示し、参照できるようにする。
【0076】
この後の手順として、ステップS113でシステムが提示した文書パターンの1つを出力文書に設定する編集加工内容としてユーザーが選択するか否かを確認する(ステップS114)。図11の操作画面においては、システムの提示した色変換例(1),(2)1039−2,3それぞれに設けた「今すぐ出力する」/「出力ボックスに入れる」ボタンのいずれか1つのボタンの押下により判断する。
ここで、提示した文書パターンのいずれかが選択された場合には(ステップS114-YES)、後述する出力処理のフロー(図13)に移行する。
他方、提示された文書パターンに対しユーザーが選択操作を行わない場合に(ステップS114-NO)、次のステップとしてユーザーによる編集加工の指示が終了したか否かを確認する(ステップS115)。
【0077】
色変換処理を例に引くと、ステップS115では、ユーザーが指示した色変換処理の配色パターン(作成済みデータにより提示)により提示した編集加工内容に付属して設けた「今すぐ出力する」/「出力ボックスに入れる」ボタンのいずれか1つのボタンを押下する操作が行われた場合に、この編集加工の指示が終了したと認識する。この場合には(ステップS115-YES)、後述する出力処理のフロー(図13)に移行する。
他方、色変換処理の最下位の詳細編集加工内容のメニュー画面におけるボタン群1028b´の「元に戻す」/「やり直し」ボタンのいずれか1つのボタンを押下する操作が行われた場合に、この編集加工の指示が終了したと認識できない。この場合には、編集加工の設定処理の制御フローの最初のステップS102に戻す。
【0078】
「設定に従う出力処理」
次に、上記で説明した編集加工の設定プロセスの制御フロー(図7)を受けて行う出力処理について説明する。
まず、上記編集加工の設定プロセスで利用した出力ボックスの動作を説明する。
図12は、ドキュメントボックス機能における「出力ボックス」を操作したときに表示される画面を示す図である。同図は、ドキュメントボックス機能の利用時にログインしたAさんが、メニュー画面からAさんの出力ボックスを選択したときに表示される画面で、画面右上には、「Aさんの出力ボックス」が選択されていることが表示されている。
この表示箇所の隣には、「ログアウト」を行うボタンが表示され、出力ボックスを稼動状態に保ったまま、認証を切ることが可能である。なお、個人の出力ボックスは認証が行われていないと利用できないが、ゲスト用に認証を必要としない出力ボックスの利用を管理者が許可することができるので、「ログアウト」ボタン1058への操作によって、認証を必要としない出力ボックスに切り替えることができる。
【0079】
「出力ボックス」の画面中央の表示領域1051には、登録された文書(上記のように、「出力ボックスに入れる」ボタンの操作により登録)が表示され、登録番号(1,2,3,・・・)で順に番号管理されている。また、登録された文書に関連する情報として、出力ボックスに登録された日付(「2008.05.28登録」,「2008.06.09登録」,・・・)、文書名(文書A,文書N,・・・)、作成者(Aさん,Nさん,・・・)、出力先(スキャナ,FAX,・・・)、出力ページ(「1」〜「5」,「1」〜「2」,・・・)、ページ数(「5」,「2」,・・・)、出力順(「1」,「3」,「2」,・・・)などがサムネイル画像と共に表示される。
出力順や出力ページは出力ボックス内で変更が可能となっており、変更を加えた際には画面右下の「更新」ボタン1056を操作すると、変更分が反映される。
また、画面下部の表示領域には、出力ボックスに登録された文書をまとめて後編集の処理をする場合の編集加工メニューが並んでいる。ここでは登録された文書を出力順にまとめてステープルやパンチを実行するものや、全体を通してページ番号をつけたりするものや、それぞれのページに登録済みのスタンプを印字する、「ステープル」「パンチ」「ページNo.印字」及び「スタンプ印字」よりなるボタン群1053が例示されている。
これらまとめたものを何部出力するかも画面右下の部数ボックス1057に数字を操作パネル10のテンキーを操作することにより指定可能である。
【0080】
出力ボックスに登録された文書は必ず出力される訳ではなく、ユーザーが登録後に不要と判断した場合には、表示領域1051の各登録文書に設けた「削除」ボタンを選択後、画面右下の「更新」ボタン1056を操作することによって、出力ボックスから削除することもできる。さらに、たまたま今回の出力では不要な文書である、という場合には、表示領域1051の各登録文書に設けた「出力しない」ボタンを操作すると、出力ボックスに文書を残したまま、今回の出力対象からは外すことができる。
また、出力ボックスの画像の出力は、出力ボックスへの登録と合わせて行われる訳ではないので、出力ボックスの画面から出力指示を行ったタイミングで編集加工処理を含めた画像処理を行えばよいが、登録するタイミングと出力するタイミングには時間差が生じる。よって、登録してから出力ボックスでの出力指示を行うまでの間でシステムの負荷を考慮して、予め処理を終えていても構わない。この処理方法によると、出力ボックスで再度、後編集の処理が指示された場合には、その時点で生成し直すこととなる。
【0081】
次に、出力処理の制御フローを示す図13の処理手順を参照して、編集加工の設定プロセス(図7)を受けて行う出力処理について説明する。
処理対象の画像(文書)に対し、この編集加工の設定プロセスを経て出力する際、文書の全ページ或いはページ単位で指示ができる。即ち、図8〜11に示した文書編集における編集加工内容の設定用の各画面に示した、画面の左下の「適応範囲」ボタン1026への操作によって、ユーザーの指示によって設定された編集加工内容による出力に対して、プルダウンメニュー(「このページのみ」「ページ指定」「すべてのページ」のメニュー)で指示ができ、また、画面の右側の画面領域1035に編集加工内容の設定例としてシステムが提示した文書パターンによる出力に対して、「このページのみ」チェックボックス及び「すべてのページ」チェックボックスで指示ができる。
従って、ここでは、この適応範囲の指示に対応した手順を用意する。
【0082】
図13の制御フローによると、「このページのみ」が選択されたか否かを確認し(ステップS201)、これが選択されていれば(ステップS201-YES)、画面に提示された現ページを出力処理の対象に選ぶ(ステップS202)。
ステップS201で「このページのみ」が選択されていなければ(ステップS201-NO)、次に「ページ指定」が選択されたか否かを確認し(ステップS203)、ここで、これが選択されていれば(ステップS203-YES)、指定ページを出力処理の対象に選ぶ(ステップS204)。
また、ステップS203で、「ページ指定」が選択されていなければ(ステップS203-NO)、「すべてのページ」が選択されたと確認する(ステップS205)、という手順で、指示に対応して、選択された範囲が「このページのみ」「ページ指定」及び「すべてのページ」のいずれであるかを認識し、出力処理の動作条件として設定する。
【0083】
次いで、すぐ出力するか否かを確認する(ステップS206)。ここでは、文書編集における編集加工内容の設定用の各画面(図8〜11)の右側の画面領域1035,1035´に示した「今すぐ出力する」ボタンへの操作があれば、すぐ出力することが確認でき(ステップS206-YES)、また、画面領域1035及び図11の中央下側に設けた「出力ボックスに入れる」ボタンへの操作があれば、すぐ出力しないことが確認できる(ステップS206-NO)。
「出力ボックスに入れる」ボタンへの操作があれば(ステップS206-NO)、出力ボックス(図12の上記説明、参照)への文書登録を行い(ステップS211)、その後、編集加工の設定プロセスの制御フロー(図7)のスタートに戻る。
【0084】
他方、「今すぐ出力する」ボタンへの操作があれば(ステップS206-YES)、次に、出力用画像があるか否かを確認する(ステップS207)。
この場合、出力用画像が在るといっても、その在りようは、蓄積文書をそのまま使用できる場合(図11の右側の画面領域1035´に示した文書)と、再生成が必要な場合(図8〜11の右側の画面領域1035に示した再生チェックボックスへの操作が行われた文書等)とがある。
そこで、出力用画像がある場合に(ステップS207-YES)、出力用画像を得るために再生成が必要であるか否かを確認し(ステップS208)、蓄積文書をそのまま使用できる場合のように、再生成が不要であれば(ステップS208-NO)、この蓄積画像を出力用画像として、直ちに出力する(ステップS210)。
【0085】
これに対し、出力用画像があっても(ステップS207-YES)、プロッタ出力のような場合には再生成が必要であり、再生成が必要であれば(ステップS208-YES)、蓄積画像を出力用画像として、現在のプロッタ装置9のデバイス特性に合わせて編集加工を行い、再生成した画像を出力に用いる(ステップS209)。
また、ステップS207で出力用画像がない場合にも(ステップS207-NO)、蓄積画像を出力用画像として編集加工して、出力する(ステップS209)。
それぞれの手順を経て出力処理を行った後、この制御フローを終了する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機の概略構成を示す図である。
【図2】複合機(図1)の画像データ処理システムにおける画像データ処理部(1)の内部構成をより詳細に示すブロック図である。
【図3】MTF特性を補正するための格子状パターンを記録した基準チャートを示す図である。
【図4】γ特性を変換するための濃度パターンを記録した基準チャートを示す図である。
【図5】複合機(図1)の画像データ処理システムにおける画像データ処理部(2)の内部構成をより詳細に示すブロック図である。
【図6】ドキュメントボックス機能における「文書選択」を操作したときの画面を表示した操作表示装置(操作パネル)を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る文書編集の設定プロセスを実行する処理の制御フローを示す図である。
【図8】図6の画面における「文書編集」ボタンを選択したときに表示される文書編集の画面を示す図である。
【図9】図8の画面における編集加工メニューの「画像編集」ボタンを選択したときに表示される画面を示す図である。
【図10】図8の画面における編集加工メニューの「色加工」ボタンを選択したときに表示される画面を示す図である。
【図11】図10の画面における編集加工メニューの「色変換」ボタンをさらに選択したときに表示される画面を示す図である。
【図12】ドキュメントボックス機能における「出力ボックス」を操作したときに表示される画面を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る出力処理の制御フローを示す図である。
【符号の説明】
【0087】
1・・読取り装置、2・・画像データ処理装置(1)、4・・画像データ処理装置(2)、5・・HDD、6・・CPU、9・・プロッタ装置、10・・操作表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を入力する画像入力手段と、
前記画像入力手段による入力を経て生成される画像を出力用画像データとして処理する画像処理手段と、
前記画像入力手段による入力画像及び前記画像処理手段によって処理されたそれぞれの画像を蓄積する画像蓄積手段と、
前記画像処理手段によって処理された画像の利用履歴情報を管理する利用履歴管理手段と、
GUI機能を持ち、処理要求を指示する入力操作を受付ける操作表示手段と、
前記画像入力手段、画像処理手段、画像蓄積手段、利用履歴管理手段及び操作表示手段を含む画像処理装置の各部を制御下におき、処理要求に従って画像処理装置全体を統御する制御手段を有する画像処理装置であって、
前記利用履歴管理手段は、前記画像の利用履歴情報として、処理された画像に用いた処理内容を該画像に対応付けて管理し、
前記制御手段は、画像の出力処理要求の指示を受けて、要求された出力処理に応じて、前記利用履歴管理手段で管理されている利用履歴情報から該出力処理の処理内容を取得し、取得した処理内容情報を該処理内容に従って処理した画像に関連付けて、前記操作表示手段を通じて提示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、前記処理内容に従って処理した画像として、前記画像蓄積手段に以前の出力処理時に蓄積された画像がある場合には、この蓄積画像を用いることを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、出力処理要求の指示に応じ前記利用履歴情報から取得する処理内容を該出力処理要求の指示と部分的に異なる処理内容とすることを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、前記利用履歴情報から部分的に異なる処理内容を取得する際に、利用頻度の高いものを優先させることを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、予め特定の処理内容を登録する手段を備え、前記利用履歴情報から取得した処理内容が登録された特定の処理内容に当たるときに、この処理内容を強調して提示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、前記利用履歴情報から出力処理要求の指示と同一の処理内容のみを取得することを特徴とする画像処理装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかに記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、出力処理要求の指示と前記利用履歴情報から取得した処理内容が同一であり、該処理内容に従って処理された画像が前記画像蓄積手段に蓄積されているときに、前記画像処理手段により元の画像に改めて該処理内容に従って処理をやり直し、得られる画像を提示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項8】
請求項2乃至7のいずれかに記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、出力処理要求の指示と前記利用履歴情報から取得した処理内容が同一であるものと部分的に異なるものとを異なる表現で提示することを特徴とする画像処理装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載された画像処理装置において、
前記制御手段は、前記操作表示手段の表示画面に用意された容量を超える提示数の処理内容を取得したときに、提示された処理内容に対する操作が予め定めた時間が経過しても行われないときに、提示する処理内容を更新することを特徴とする画像処理装置。
【請求項10】
画像入力手段、前記画像入力手段による入力を経て生成される画像を出力用画像データとして処理する画像処理手段、前記画像入力手段による入力画像及び前記画像処理手段によって処理されたそれぞれの画像を蓄積する画像蓄積手段、前記画像処理手段によって処理された画像の利用履歴情報として、画像に用いた処理内容を該画像に対応付けて管理する利用履歴管理手段及びGUI機能を持ち、処理要求を指示する入力操作を受付ける操作表示手段を備えた画像処理装置における画像処理方法であって、
前記操作表示手段を通じて画像の出力処理要求の指示を受付ける指示受付工程と、
前記指示受付工程で受付けた出力処理要求に指示された出力処理に応じて、前記利用履歴管理手段で管理されている利用履歴情報から該出力処理の処理内容を取得する処理内容取得工程と、
前記処理内容取得工程で取得した処理内容情報を該処理内容に従って処理した画像に関連付けて、前記操作表示手段を通じて提示する提示処理工程を有したことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
請求項10に記載された画像処理方法において、
前記提示処理工程は、前記処理内容に従って処理した画像として、前記画像蓄積手段に以前の出力処理時に蓄積された画像がある場合には、この蓄積画像を用いることを特徴とする画像処理方法。
【請求項12】
請求項10又は11に記載された画像処理方法において、
前記処理内容取得工程は、出力処理要求の指示に応じ前記利用履歴情報から取得する処理内容を該出力処理要求の指示と部分的に異なる処理内容とすることを特徴とする画像処理方法。
【請求項13】
請求項12に記載された画像処理方法において、
前記処理内容取得工程は、前記利用履歴情報から部分的に異なる処理内容を取得する際に、利用頻度の高いものを優先させることを特徴とする画像処理方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載された画像処理方法において、
予め特定の処理内容を登録する特定処理内容登録工程をさらに有し、
前記提示処理工程は、前記利用履歴情報から取得した処理内容が前記特定処理内容登録工程で登録された処理内容に当たるときに、この処理内容を強調して提示することを特徴とする画像処理方法。
【請求項15】
請求項10又は11に記載された画像処理方法において、
前記処理内容取得工程は、前記利用履歴情報から出力処理要求の指示と同一の処理内容のみを取得することを特徴とする画像処理方法。
【請求項16】
請求項11乃至15のいずれかに記載された画像処理方法において、
前記提示処理工程は、出力処理要求の指示と前記利用履歴情報から取得した処理内容が同一であり、該処理内容に従って処理された画像が前記画像蓄積手段に蓄積されているときに、前記画像処理手段により元の画像に改めて該処理内容に従って処理をやり直し、得られる画像を提示することを特徴とする画像処理方法。
【請求項17】
請求項11乃至16のいずれかに記載された画像処理方法において、
前記提示処理工程は、出力処理要求の指示と前記利用履歴情報から取得した処理内容が同一であるものと部分的に異なるものとを異なる表現で提示することを特徴とする画像処理方法。
【請求項18】
請求項10乃至17のいずれかに記載された画像処理方法において、
前記提示処理工程は、前記操作表示手段の表示画面に用意された容量を超える提示数の処理内容を取得したときに、提示された処理内容に対する操作が予め定めた時間が経過しても行われないときに、提示する処理内容を更新することを特徴とする画像処理方法。
【請求項19】
請求項10乃至18のいずれかに記載された画像処理方法の各工程をコンピュータに行わせるためのプログラム。
【請求項20】
請求項19に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−62755(P2010−62755A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−225131(P2008−225131)
【出願日】平成20年9月2日(2008.9.2)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】