画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
【課題】複数の記録媒体が重なるような状態で見たときに、他のページからの画像の写り込みを防止することにある。
【解決手段】 プレビュー画像生成部306は、第1の記録媒体の着目ページの第1の画像データ、第1の記録媒体における着目ページとは異なるページの第2の画像データ、第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体の第3の画像データを取得する。プレビュー画像生成部306は、第1の記録媒体及び第2の記録媒体の物性データを取得し、取得したそれらのデータに基づいて着目ページのプレビュー画像データを生成する。
【解決手段】 プレビュー画像生成部306は、第1の記録媒体の着目ページの第1の画像データ、第1の記録媒体における着目ページとは異なるページの第2の画像データ、第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体の第3の画像データを取得する。プレビュー画像生成部306は、第1の記録媒体及び第2の記録媒体の物性データを取得し、取得したそれらのデータに基づいて着目ページのプレビュー画像データを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製本時における裏写り、他のページからの透けを防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写装置、ファクシミリ等の画像記録装置として用いられる画像形成装置は、記録用紙の両面に印刷を行った場合、裏面の記録データが濃く透けて見える(以下では、これを「裏写り」と称する)ことが問題であった。また、印刷後の用紙を束ねて製本にする場合、2ページ以上先(又は前)のページの記録データが濃く透けて見える(以下では、これを「透け」と称する)ことが問題であった。この具体例を図13に示す。図13(a)は着目ページの画像、図13(b)は着目ページの裏のページの画像、図13(c)は着目ページの下のページの画像、図13(d)は着目ページに写り込みが発生した画像である。
【0003】
従来、特許文献1、2に開示されるように、「裏写り」の軽減に関しては印字濃度を調節して、「裏写り」の度合いを軽減する手法が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−298055号公報
【特許文献2】特開2004−110585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示される手法では、複数ページを束ねて製本化するような場合に関しては考慮されておらず、裏写りだけでなく、用紙を重ねた時に生じる、着目ページの下の画像の透けの効果は考慮されていなかった。また、紙種、例えば坪量の違いによる写り込みの変化については考慮されていなかった。以下では、裏写りや透けを合わせて「映り込み」と称する。
【0006】
また、裏写りを防止したとしても、製本時に透けが発生したり、濃度を調節してしまうことで、印刷品位が損なわれると言う問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の記録媒体が重なるような状態で見たときに、他のページからの画像の写り込みを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得手段と、前記画像データ取得手段と前記物性データ取得手段とによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の記録媒体が重なるような状態で見たときに、他のページからの画像の写り込みを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】プレビュー画像生成部の構成を詳細に示すブロック図である。
【図5】プレビュー画像生成部の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図6】光が真上から入射したときに、各紙面のインクでどのような経路で光が反射するかを示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図13】「裏写り」及び「透け」の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。201は、ユーザインタフェースを表すUI部である。202は、ユーザが所望のページを選択できるページ選択部である。203は、ユーザが着目ページの記録媒体を選択できる記録媒体選択部(1)である。204は、ユーザが着目ページの下の記録媒体を選択できる記録媒体選択部(2)である。205は、ユーザが所望の印字濃度を選択する濃度選択部である。206は、製本されたページを一覧表示するページ一覧表示部である。207は、着目ページの画像に写り込みの効果を反映した画像をプレビューする画像プレビュー部である。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。301は画像処理部である。302は、UI部201においてユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力される入力部である。303は、UI部201においてユーザが指定した指定濃度に基づき濃度補正が行われる補正部である。304は、ページ毎の画像データ及び記録媒体の印刷データが保持されている印刷データバッファである。305は、入力部302から入力された着目ページ番号と使用記録媒体の情報とに基づき、印刷データバッファ304から該当する着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データ及び記録媒体情報を取得するページデータ選択部である。306は、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを受け取り、紙物性DB307より、着目ページ、着目ページの下のページの記録媒体の紙物性データを受け取って、着目ページへの写り込みプレビュー画像を作成するプレビュー画像作成部である。プレビュー画像生成部306の詳細な構成に関しては後述する。307は、第1の実施形態に係る画像処理装置が保有する記録媒体の紙物性データを保持している紙物性DBである。308は、プレビュー画像生成部306のプレビュー画像データを受け取り、UI部201(出力装置)に出力させる出力部である。なお、上記紙物性データには、記録媒体の坪量、組成及び光学特性等が含まれる。光学特性とは、記録媒体の不透明度、反射率、透過率及び屈折率等である。上記出力部は、出力制御手段の適用例となる構成である。
【0014】
次に、第1の実施形態に係る画像処理装置の動作を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0015】
先ず、UI部201よりユーザの指定濃度が入力され、印刷データバッファ304において画像データに対して濃度補正が行われる(ステップS401)。
【0016】
次に、入力部302より、ユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力され、ページデータ選択部305がその情報を取得する(ステップS402)。
【0017】
次に、ページデータ選択部305は、印刷データバッファ304より、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを取得する(ステップS403)。なお、ステップS403は画像データ取得手段の処理例である。
【0018】
次に、プレビュー画像生成部306は、ページデータ選択部305より、各ページの画像データを受け取り、紙物性DB307より、着目ページ、着目ページの下のページの使用記録媒体の紙物性データを取得する(ステップS404)。なお、ステップS404は物性データ取得手段の処理例である。
【0019】
次に、プレビュー画像生成部306は、ステップS404で受け取ったデータに基づき、プレビュー画像データを作成する(ステップS405)。プレビュー画像生成部の詳細な動作は後述する。なお、ステップS405は生成手段の処理例である。
【0020】
最後に、プレビュー画像データが画像プレビュー部207に表示され(ステップS406)、画像処理部301の動作が終了する。
【0021】
なお、本実施形態では、濃度補正を一括して全てのページの画像データに行うとしたが、各ページに応じて濃度補正を行うような構成も可能である。
【0022】
また、プレビュー結果をユーザが調整して印刷データバッファ304にフィードバックし、最終的に得られた印刷データバッファ304における調整後のデータを図示しない出力部において出力する。即ち、ユーザの操作によって、表示されているプレビュー画像データが修正された場合、その修正内容に応じて印刷データバッファ304内の画像データの印字濃度や記録媒体の種類が変更される。なお、本処理は修正手段の処理例である。
【0023】
図4は、プレビュー画像生成部306の構成を詳細に示すブロック図である。図4において、501は、着目ページの画像データが入力される入力部(1)である。502は、着目ページの裏のページの画像データが入力される入力部(2)である。503は、着目ページの下のページの画像データが入力される入力部(3)である。504は、着目ページの裏のページの画像データの左右を反転する画像データ反転部である。505は、印字濃度と、その印字濃度における反射率・透過率との関係のルックアップテーブルを保存している濃度−光学定数LUTである。
【0024】
506は、着目ページの画像データ、着目ページの記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して、着目ページの反射率、透過率を予測する着目ページ予測部である。
【0025】
507は、着目ページ予測部506から着目ページの透過率、着目ページの左右を反転させた画像データ、着目ページの記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して、裏写り画像の反射率、及び、着目ページの記録媒体の透過率を作成する裏写り画像予測部である。
【0026】
508は裏写り画像予測部507から着目ページの記録媒体の透過率、着目ページの下の画像データ、着目ページ、着目ページの下の記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して透け画像の反射率を予測する透け画像予測部である。
【0027】
509は、着目ページ予測部506が予測した反射率、裏写り画像予測部507が予測した反射率、透け画像予測部508が予測した反射率を受け取り、それらから写り込みを考慮したプレビュー画像データを生成する画像合成部である。510は、画像合成部509が作成したプレビュー画像データを出力する出力部である。
【0028】
次に、プレビュー画像生成部306の詳細な動作を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5は、ステップS405を詳細に示すフローチャートである。ここでは予測モデルとして簡単な光学モデルを採用しているが、このモデルに限定されず、別の予測モデルを用いて構わない。また、予測モデルを用いずに実際にパッチを印字して裏写りと濃度とのルックアップテーブルを作成する方法も考えられる。今回使用するモデルの概念図を図6に示す。図6は、光が真上から入射したときに、各紙面のインクでどのような経路で光が反射するかを示す図である。
【0029】
以下、画素の値を(x,y)とし、着目ページの画像データ(第1の画像データ)をI1(x,y)、着目ページの裏の画像データ(第2の画像データ)をI2(x,y)、着目ページの下の画像データ(第3の画像データ)をI3(x,y)とする。I2(x,y)の左右を反転させた画像データをI2´(x,y)とする。
【0030】
先ず、入力部(1)501、入力部(2)502、入力部(3)503からそれぞれI1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)が入力される(ステップS601)。
【0031】
次に、着目ページ予測部506は、I1(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、着目ページの反射率r1(x,y)及び着目ページの透過率t1(x,y)を予測する(ステップS602)。
【0032】
次に、画像データ反転部504はI2(x,y)を左右反転し、I2´(x,y)を作成する(ステップS603)。
【0033】
裏写り画像予測部507は、t1(x,y)、I2´(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、裏写り画像の反射率及び着目ページの記録媒体(第1の記録媒体)を透過する透過率を予測する(ステップS604)。本実施形態では予測の方法は以下に従うものとする。
【0034】
裏写り画像予測部507は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の反射率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの記録媒体の反射率を参照し、I2´(x,y)の反射率を算出する。これをr2(x,y)とする。裏写り画像の予測反射率r_ura(x,y)は、r_ura(x,y)=r2(x,y)*t1(x,y)で表される。
【0035】
また、裏写り画像予測部507は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の透過率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの記録媒体の透過率を参照し、I2´(x,y)の透過率を算出する。これをt2(x,y)とする。着目ページの記録媒体を透過する透過率t_ura(x,y)は、t_ura(x,y)=t2(x,y)*t1(x,y)で表される
【0036】
次に、透け画像予測部508はt_ura(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、透け画像の反射率を予測する(ステップS605)。
【0037】
本実施形態では予測の方法は以下に従うものとする。透け画像予測部508は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の反射率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの下に位置する記録媒体(第2の記録媒体)の反射率を参照する。そして、透け画像予測部508は、参照内容に基づいてI3(x,y)の反射率を算出する。これをr3(x,y)とする。透け画像の予測反射率r_suke(x,y)は、r_suke(x,y)=r3(x,y)*t_ura(x,y)で表される。
【0038】
最後に、画像合成部509は写り込みを考慮した反射率r_sum(x,y)を、r_sum(x,y)=r1(x,y)+r_ura(x,y)+r_suke(x,y)で算出し、プレビュー画像を作成し(ステップS606)、終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態ではユーザが所望の濃度と記録媒体の種類を選択し、それに応じて写り込みの効果を考慮したプレビューを行う。このことで、写り込みが少なく、且つ印刷品位もユーザの好みを反映した製本の印刷が可能になる。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、プレビュー画面を見てユーザが所望の条件を入力する例について示した。これに対し、第2の実施形態ではプレビュー画面表示時に様々な記録媒体上に印字した場合の移り込みを同時表示するようなユーザインタフェースを実装した画像処理装置について説明する。ブロック図、フローチャートについては第1の実施形態と共通する部分は適宜説明を省略する。また、本実施形態では簡単のため、全ページに渡って同一の記録媒体を使用する場合について説明する。
【0041】
図7は、第2の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。801はユーザインタフェースを表すUI部である。802はユーザが所望のページを選択できるページ選択部である。803は製本されたページを一覧表示するページ一覧表示部である。804はユーザが所望の印字濃度を選択する濃度選択部である。805は記録媒体(1)上の画像に裏写り(又は写り込み)の効果を反映した着目ページの画像をプレビューする画像プレビュー部(1)である。806は、記録媒体(2)上の画像に裏写り(又は写り込み)の効果を反映した着目ページの画像をプレビューする画像プレビュー部(2)である。807は、記録媒体を選択する記録媒体選択部(1)である。808は、記録媒体を選択する記録媒体選択部(2)である。
【0042】
なお、本実施形態では2種類の紙種について同時プレビューするUIを示したが、記録媒体の種類においては2種類に限定される必要はなく、同時に数種類のプレビュー画像を表示するUIも可能である。
【0043】
図8は、第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。901は第2の実施形態における画像処理部である。画像処理装置301、補正部303、印刷データバッファ304、紙物性DB307に関しては第1の実施形態で説明した構成と同様である。
【0044】
次に、第2の実施形態に係る画像処理装置の動作を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
先ず、UI部201よりユーザの指定濃度が入力され、印刷データバッファ304において画像データに対して濃度補正が行われる(ステップS401)。
【0046】
次に、入力部302より、ユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力され、ページデータ選択部305がその情報を取得する(ステップS402)。
【0047】
次に、ページデータ選択部305は、印刷データバッファ304より、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを取得する(ステップS403)。
【0048】
次に、画像処理装置301は、紙物性DB307から記録媒体(1)に関する紙物性データを取得し(ステップS1001)、プレビュー画像(1)を作成する(ステップS1002)。
【0049】
次に、別の画像処理装置301は、紙物性DB307から記録媒体(2)に関する紙物性データを取得し(ステップS1003)、プレビュー画像(2)を作成する(ステップS1004)。プレビュー画像(1)は画像プレビュー部(1)805に表示され、プレビュー画像(2)は画像プレビュー部(2)806に表示され(ステップS1005)、本画像処理部901の動作を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では2種類(あるいは数種類)の紙に印字した場合の裏写り(又は写り込み)の同時プレビューを行う。これにより、ユーザがどの記録媒体に印字するのが最も好ましいかを一目で判断することが可能になる。
【0051】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、ユーザがページを選択し、好ましい条件を選択するUI部を示した。これに対し、本実施形態では画像処理装置が全てのページにおける裏写り(又は写り込み)の影響を予測し、一定閾値以上の裏写り(又は写り込み)が発生した場合は該当ページを警告表示するという事例について説明する。ブロック図、フローチャートについては第1の実施形態と共通する部分は適宜説明を省略する。
【0052】
図10は、第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。1101は、第3の実施形態における画像処理部である。1102は全ページの画像データ及び使用する記録媒体が入力される入力部である。1103は入力部1102から入力されるデータを各ページごとに分割するページデータ分割部である。1104はページデータ分割部1103から送られてきた画像データ及び使用記録媒体のデータを元に反射率を計算する写り込み計算部である。写り込み計算部の構成は基本的にプレビュー画像生成部306に紙物性DB307が組み込まれたものである。但し、写り込み計算部1104はプレビュー画像生成部306において、計算したr_suke(x,y)+r_ura(x,y)からmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]を算出する。以下minは(x,y)に渡って作用するものとする。1105は写り込み計算部1104から送られてきた各ページのmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]の値を基に、この値が閾値を下回った場合に該当ページ番号を出力する写り込み警告部である。1106は写り込み警告部が出力したページ番号データを出力する出力部である。
【0053】
以下、図10に示す画像処理装置の動作を、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
先ず、入力部1102から全ページの画像データ及び全ページの使用記録媒体の情報が入力される(ステップS1201)。
【0055】
次に、ページデータ分割部1103は各ページごとのデータに分割し、各ページのデータをそれぞれに対応する写り込み計算部1104に送る(ステップS1202)。ここで、写り込みの影響まで考慮する場合は着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページのデータが送られる。一方、裏写りの影響のみ考慮する場合は着目ページ、着目ページの裏のページのデータが送られる。
【0056】
次に、各写り込み計算部1104は対応するページの写り込みを計算し、min[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]を算出し、値を写り込み警告部1105に送る(ステップS1203)。
【0057】
次に、写り込み警告部1105は、各ページのmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]の値を受け取り、この値が閾値を下回るかどうか調べ、下回る場合は該当ページ番号を出力部1106に送る(ステップS1204)。最後に、出力部1106から写り込みの警告対象ページ番号が出力される(ステップS1205)。
【0058】
なお、ここでは写り込み計算部1104が多数存在するとしたが、写り込み計算部1104は1つで、ページに関するループを回して計算させても良い。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では画像処理装置が自動的に写り込みの度合いが閾値レベルを超えた場合に該当ページ番号を自動的に警告する。このように写り込み度合いが一定基準を外れた場合に警告を発することにより、ユーザが写り込みの度合いを各ページ手動で判断することなく、高速に写り込みの低減を図ることができる。
【0060】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、着目ページのみプレビューするUI部について示した。本実施形態では、着目ページとその裏のページを同時プレビューするUI部について示す。なお、ブロック図及びフローチャートは第1の実施形態とほぼ同様であるので割愛する。
【0061】
図12は、第4の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。ページ選択部202、記録媒体選択部(1)203、記録媒体選択部(2)204、濃度選択部205、ページ一覧表示部206、画像プレビュー部207に関しては、第1の実施形態で説明したUI部と同様である。1301はユーザインタフェースを表すUI部である。1302は着目ページの裏のページの下にくるページの記録媒体の種類を選択する記録媒体選択部(3)である。1303は着目ページの裏のページの写り込みをプレビューする画像プレビュー部(2)である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では着目ページ及び、その裏のページの写り込みを同時に見ながら、ユーザが所望の印字条件を選択することができる。このことで両面印刷の最適な印字条件を容易に選択することが可能になる。
【0063】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば製本時における裏写り、他のページからの透けを防止するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写装置、ファクシミリ等の画像記録装置として用いられる画像形成装置は、記録用紙の両面に印刷を行った場合、裏面の記録データが濃く透けて見える(以下では、これを「裏写り」と称する)ことが問題であった。また、印刷後の用紙を束ねて製本にする場合、2ページ以上先(又は前)のページの記録データが濃く透けて見える(以下では、これを「透け」と称する)ことが問題であった。この具体例を図13に示す。図13(a)は着目ページの画像、図13(b)は着目ページの裏のページの画像、図13(c)は着目ページの下のページの画像、図13(d)は着目ページに写り込みが発生した画像である。
【0003】
従来、特許文献1、2に開示されるように、「裏写り」の軽減に関しては印字濃度を調節して、「裏写り」の度合いを軽減する手法が提案されてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−298055号公報
【特許文献2】特開2004−110585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2に開示される手法では、複数ページを束ねて製本化するような場合に関しては考慮されておらず、裏写りだけでなく、用紙を重ねた時に生じる、着目ページの下の画像の透けの効果は考慮されていなかった。また、紙種、例えば坪量の違いによる写り込みの変化については考慮されていなかった。以下では、裏写りや透けを合わせて「映り込み」と称する。
【0006】
また、裏写りを防止したとしても、製本時に透けが発生したり、濃度を調節してしまうことで、印刷品位が損なわれると言う問題点があった。
【0007】
そこで、本発明の目的は、複数の記録媒体が重なるような状態で見たときに、他のページからの画像の写り込みを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の画像処理装置は、第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得手段と、前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得手段と、前記画像データ取得手段と前記物性データ取得手段とによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、複数の記録媒体が重なるような状態で見たときに、他のページからの画像の写り込みを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】プレビュー画像生成部の構成を詳細に示すブロック図である。
【図5】プレビュー画像生成部の詳細な動作を示すフローチャートである。
【図6】光が真上から入射したときに、各紙面のインクでどのような経路で光が反射するかを示す図である。
【図7】第2の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図8】第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図9】第2の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【図11】第3の実施形態に係る画像処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。
【図13】「裏写り」及び「透け」の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
<第1の実施形態>
先ず、第1の実施形態について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。201は、ユーザインタフェースを表すUI部である。202は、ユーザが所望のページを選択できるページ選択部である。203は、ユーザが着目ページの記録媒体を選択できる記録媒体選択部(1)である。204は、ユーザが着目ページの下の記録媒体を選択できる記録媒体選択部(2)である。205は、ユーザが所望の印字濃度を選択する濃度選択部である。206は、製本されたページを一覧表示するページ一覧表示部である。207は、着目ページの画像に写り込みの効果を反映した画像をプレビューする画像プレビュー部である。
【0013】
図1は、第1の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。301は画像処理部である。302は、UI部201においてユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力される入力部である。303は、UI部201においてユーザが指定した指定濃度に基づき濃度補正が行われる補正部である。304は、ページ毎の画像データ及び記録媒体の印刷データが保持されている印刷データバッファである。305は、入力部302から入力された着目ページ番号と使用記録媒体の情報とに基づき、印刷データバッファ304から該当する着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データ及び記録媒体情報を取得するページデータ選択部である。306は、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを受け取り、紙物性DB307より、着目ページ、着目ページの下のページの記録媒体の紙物性データを受け取って、着目ページへの写り込みプレビュー画像を作成するプレビュー画像作成部である。プレビュー画像生成部306の詳細な構成に関しては後述する。307は、第1の実施形態に係る画像処理装置が保有する記録媒体の紙物性データを保持している紙物性DBである。308は、プレビュー画像生成部306のプレビュー画像データを受け取り、UI部201(出力装置)に出力させる出力部である。なお、上記紙物性データには、記録媒体の坪量、組成及び光学特性等が含まれる。光学特性とは、記録媒体の不透明度、反射率、透過率及び屈折率等である。上記出力部は、出力制御手段の適用例となる構成である。
【0014】
次に、第1の実施形態に係る画像処理装置の動作を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0015】
先ず、UI部201よりユーザの指定濃度が入力され、印刷データバッファ304において画像データに対して濃度補正が行われる(ステップS401)。
【0016】
次に、入力部302より、ユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力され、ページデータ選択部305がその情報を取得する(ステップS402)。
【0017】
次に、ページデータ選択部305は、印刷データバッファ304より、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを取得する(ステップS403)。なお、ステップS403は画像データ取得手段の処理例である。
【0018】
次に、プレビュー画像生成部306は、ページデータ選択部305より、各ページの画像データを受け取り、紙物性DB307より、着目ページ、着目ページの下のページの使用記録媒体の紙物性データを取得する(ステップS404)。なお、ステップS404は物性データ取得手段の処理例である。
【0019】
次に、プレビュー画像生成部306は、ステップS404で受け取ったデータに基づき、プレビュー画像データを作成する(ステップS405)。プレビュー画像生成部の詳細な動作は後述する。なお、ステップS405は生成手段の処理例である。
【0020】
最後に、プレビュー画像データが画像プレビュー部207に表示され(ステップS406)、画像処理部301の動作が終了する。
【0021】
なお、本実施形態では、濃度補正を一括して全てのページの画像データに行うとしたが、各ページに応じて濃度補正を行うような構成も可能である。
【0022】
また、プレビュー結果をユーザが調整して印刷データバッファ304にフィードバックし、最終的に得られた印刷データバッファ304における調整後のデータを図示しない出力部において出力する。即ち、ユーザの操作によって、表示されているプレビュー画像データが修正された場合、その修正内容に応じて印刷データバッファ304内の画像データの印字濃度や記録媒体の種類が変更される。なお、本処理は修正手段の処理例である。
【0023】
図4は、プレビュー画像生成部306の構成を詳細に示すブロック図である。図4において、501は、着目ページの画像データが入力される入力部(1)である。502は、着目ページの裏のページの画像データが入力される入力部(2)である。503は、着目ページの下のページの画像データが入力される入力部(3)である。504は、着目ページの裏のページの画像データの左右を反転する画像データ反転部である。505は、印字濃度と、その印字濃度における反射率・透過率との関係のルックアップテーブルを保存している濃度−光学定数LUTである。
【0024】
506は、着目ページの画像データ、着目ページの記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して、着目ページの反射率、透過率を予測する着目ページ予測部である。
【0025】
507は、着目ページ予測部506から着目ページの透過率、着目ページの左右を反転させた画像データ、着目ページの記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して、裏写り画像の反射率、及び、着目ページの記録媒体の透過率を作成する裏写り画像予測部である。
【0026】
508は裏写り画像予測部507から着目ページの記録媒体の透過率、着目ページの下の画像データ、着目ページ、着目ページの下の記録媒体の紙物性データを受け取り、濃度−光学定数LUT505を参照して透け画像の反射率を予測する透け画像予測部である。
【0027】
509は、着目ページ予測部506が予測した反射率、裏写り画像予測部507が予測した反射率、透け画像予測部508が予測した反射率を受け取り、それらから写り込みを考慮したプレビュー画像データを生成する画像合成部である。510は、画像合成部509が作成したプレビュー画像データを出力する出力部である。
【0028】
次に、プレビュー画像生成部306の詳細な動作を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。図5は、ステップS405を詳細に示すフローチャートである。ここでは予測モデルとして簡単な光学モデルを採用しているが、このモデルに限定されず、別の予測モデルを用いて構わない。また、予測モデルを用いずに実際にパッチを印字して裏写りと濃度とのルックアップテーブルを作成する方法も考えられる。今回使用するモデルの概念図を図6に示す。図6は、光が真上から入射したときに、各紙面のインクでどのような経路で光が反射するかを示す図である。
【0029】
以下、画素の値を(x,y)とし、着目ページの画像データ(第1の画像データ)をI1(x,y)、着目ページの裏の画像データ(第2の画像データ)をI2(x,y)、着目ページの下の画像データ(第3の画像データ)をI3(x,y)とする。I2(x,y)の左右を反転させた画像データをI2´(x,y)とする。
【0030】
先ず、入力部(1)501、入力部(2)502、入力部(3)503からそれぞれI1(x,y)、I2(x,y)、I3(x,y)が入力される(ステップS601)。
【0031】
次に、着目ページ予測部506は、I1(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、着目ページの反射率r1(x,y)及び着目ページの透過率t1(x,y)を予測する(ステップS602)。
【0032】
次に、画像データ反転部504はI2(x,y)を左右反転し、I2´(x,y)を作成する(ステップS603)。
【0033】
裏写り画像予測部507は、t1(x,y)、I2´(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、裏写り画像の反射率及び着目ページの記録媒体(第1の記録媒体)を透過する透過率を予測する(ステップS604)。本実施形態では予測の方法は以下に従うものとする。
【0034】
裏写り画像予測部507は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の反射率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの記録媒体の反射率を参照し、I2´(x,y)の反射率を算出する。これをr2(x,y)とする。裏写り画像の予測反射率r_ura(x,y)は、r_ura(x,y)=r2(x,y)*t1(x,y)で表される。
【0035】
また、裏写り画像予測部507は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の透過率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの記録媒体の透過率を参照し、I2´(x,y)の透過率を算出する。これをt2(x,y)とする。着目ページの記録媒体を透過する透過率t_ura(x,y)は、t_ura(x,y)=t2(x,y)*t1(x,y)で表される
【0036】
次に、透け画像予測部508はt_ura(x,y)を受け取り、濃度−光学定数LUT505及び紙物性DB307を参照して、透け画像の反射率を予測する(ステップS605)。
【0037】
本実施形態では予測の方法は以下に従うものとする。透け画像予測部508は、インクが記録された部分に関しては濃度−光学LUT505の反射率を参照し、インクが記録されていない部分に関しては紙物性DB307の着目ページの下に位置する記録媒体(第2の記録媒体)の反射率を参照する。そして、透け画像予測部508は、参照内容に基づいてI3(x,y)の反射率を算出する。これをr3(x,y)とする。透け画像の予測反射率r_suke(x,y)は、r_suke(x,y)=r3(x,y)*t_ura(x,y)で表される。
【0038】
最後に、画像合成部509は写り込みを考慮した反射率r_sum(x,y)を、r_sum(x,y)=r1(x,y)+r_ura(x,y)+r_suke(x,y)で算出し、プレビュー画像を作成し(ステップS606)、終了する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態ではユーザが所望の濃度と記録媒体の種類を選択し、それに応じて写り込みの効果を考慮したプレビューを行う。このことで、写り込みが少なく、且つ印刷品位もユーザの好みを反映した製本の印刷が可能になる。
【0040】
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、プレビュー画面を見てユーザが所望の条件を入力する例について示した。これに対し、第2の実施形態ではプレビュー画面表示時に様々な記録媒体上に印字した場合の移り込みを同時表示するようなユーザインタフェースを実装した画像処理装置について説明する。ブロック図、フローチャートについては第1の実施形態と共通する部分は適宜説明を省略する。また、本実施形態では簡単のため、全ページに渡って同一の記録媒体を使用する場合について説明する。
【0041】
図7は、第2の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。801はユーザインタフェースを表すUI部である。802はユーザが所望のページを選択できるページ選択部である。803は製本されたページを一覧表示するページ一覧表示部である。804はユーザが所望の印字濃度を選択する濃度選択部である。805は記録媒体(1)上の画像に裏写り(又は写り込み)の効果を反映した着目ページの画像をプレビューする画像プレビュー部(1)である。806は、記録媒体(2)上の画像に裏写り(又は写り込み)の効果を反映した着目ページの画像をプレビューする画像プレビュー部(2)である。807は、記録媒体を選択する記録媒体選択部(1)である。808は、記録媒体を選択する記録媒体選択部(2)である。
【0042】
なお、本実施形態では2種類の紙種について同時プレビューするUIを示したが、記録媒体の種類においては2種類に限定される必要はなく、同時に数種類のプレビュー画像を表示するUIも可能である。
【0043】
図8は、第2の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。901は第2の実施形態における画像処理部である。画像処理装置301、補正部303、印刷データバッファ304、紙物性DB307に関しては第1の実施形態で説明した構成と同様である。
【0044】
次に、第2の実施形態に係る画像処理装置の動作を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0045】
先ず、UI部201よりユーザの指定濃度が入力され、印刷データバッファ304において画像データに対して濃度補正が行われる(ステップS401)。
【0046】
次に、入力部302より、ユーザが指定した着目ページ番号と使用記録媒体の情報とが入力され、ページデータ選択部305がその情報を取得する(ステップS402)。
【0047】
次に、ページデータ選択部305は、印刷データバッファ304より、着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページの画像データを取得する(ステップS403)。
【0048】
次に、画像処理装置301は、紙物性DB307から記録媒体(1)に関する紙物性データを取得し(ステップS1001)、プレビュー画像(1)を作成する(ステップS1002)。
【0049】
次に、別の画像処理装置301は、紙物性DB307から記録媒体(2)に関する紙物性データを取得し(ステップS1003)、プレビュー画像(2)を作成する(ステップS1004)。プレビュー画像(1)は画像プレビュー部(1)805に表示され、プレビュー画像(2)は画像プレビュー部(2)806に表示され(ステップS1005)、本画像処理部901の動作を終了する。
【0050】
以上説明したように、本実施形態では2種類(あるいは数種類)の紙に印字した場合の裏写り(又は写り込み)の同時プレビューを行う。これにより、ユーザがどの記録媒体に印字するのが最も好ましいかを一目で判断することが可能になる。
【0051】
<第3の実施形態>
次に、第3の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、ユーザがページを選択し、好ましい条件を選択するUI部を示した。これに対し、本実施形態では画像処理装置が全てのページにおける裏写り(又は写り込み)の影響を予測し、一定閾値以上の裏写り(又は写り込み)が発生した場合は該当ページを警告表示するという事例について説明する。ブロック図、フローチャートについては第1の実施形態と共通する部分は適宜説明を省略する。
【0052】
図10は、第3の実施形態に係る画像処理装置の構成を示すブロック図である。1101は、第3の実施形態における画像処理部である。1102は全ページの画像データ及び使用する記録媒体が入力される入力部である。1103は入力部1102から入力されるデータを各ページごとに分割するページデータ分割部である。1104はページデータ分割部1103から送られてきた画像データ及び使用記録媒体のデータを元に反射率を計算する写り込み計算部である。写り込み計算部の構成は基本的にプレビュー画像生成部306に紙物性DB307が組み込まれたものである。但し、写り込み計算部1104はプレビュー画像生成部306において、計算したr_suke(x,y)+r_ura(x,y)からmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]を算出する。以下minは(x,y)に渡って作用するものとする。1105は写り込み計算部1104から送られてきた各ページのmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]の値を基に、この値が閾値を下回った場合に該当ページ番号を出力する写り込み警告部である。1106は写り込み警告部が出力したページ番号データを出力する出力部である。
【0053】
以下、図10に示す画像処理装置の動作を、図11に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0054】
先ず、入力部1102から全ページの画像データ及び全ページの使用記録媒体の情報が入力される(ステップS1201)。
【0055】
次に、ページデータ分割部1103は各ページごとのデータに分割し、各ページのデータをそれぞれに対応する写り込み計算部1104に送る(ステップS1202)。ここで、写り込みの影響まで考慮する場合は着目ページ、着目ページの裏のページ、着目ページの下のページのデータが送られる。一方、裏写りの影響のみ考慮する場合は着目ページ、着目ページの裏のページのデータが送られる。
【0056】
次に、各写り込み計算部1104は対応するページの写り込みを計算し、min[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]を算出し、値を写り込み警告部1105に送る(ステップS1203)。
【0057】
次に、写り込み警告部1105は、各ページのmin[r_suke(x,y)+r_ura(x,y)]の値を受け取り、この値が閾値を下回るかどうか調べ、下回る場合は該当ページ番号を出力部1106に送る(ステップS1204)。最後に、出力部1106から写り込みの警告対象ページ番号が出力される(ステップS1205)。
【0058】
なお、ここでは写り込み計算部1104が多数存在するとしたが、写り込み計算部1104は1つで、ページに関するループを回して計算させても良い。
【0059】
以上説明したように、本実施形態では画像処理装置が自動的に写り込みの度合いが閾値レベルを超えた場合に該当ページ番号を自動的に警告する。このように写り込み度合いが一定基準を外れた場合に警告を発することにより、ユーザが写り込みの度合いを各ページ手動で判断することなく、高速に写り込みの低減を図ることができる。
【0060】
<第4の実施形態>
次に、第4の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、着目ページのみプレビューするUI部について示した。本実施形態では、着目ページとその裏のページを同時プレビューするUI部について示す。なお、ブロック図及びフローチャートは第1の実施形態とほぼ同様であるので割愛する。
【0061】
図12は、第4の実施形態に係る画像処理装置のユーザインタフェースを示す図である。ページ選択部202、記録媒体選択部(1)203、記録媒体選択部(2)204、濃度選択部205、ページ一覧表示部206、画像プレビュー部207に関しては、第1の実施形態で説明したUI部と同様である。1301はユーザインタフェースを表すUI部である。1302は着目ページの裏のページの下にくるページの記録媒体の種類を選択する記録媒体選択部(3)である。1303は着目ページの裏のページの写り込みをプレビューする画像プレビュー部(2)である。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では着目ページ及び、その裏のページの写り込みを同時に見ながら、ユーザが所望の印字条件を選択することができる。このことで両面印刷の最適な印字条件を容易に選択することが可能になる。
【0063】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得手段と、
前記画像データ取得手段と前記物性データ取得手段とによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ及び前記第3の画像データの印字濃度、並びに、前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データに基づいて、前記プレビュー画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プレビュー画像データが修正された場合、その修正内容を、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ、前記第3の画像データ、前記第1の記録媒体、前記第2の記録媒体のうちの少なくとも何れか一つに対して反映させる修正手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記修正手段は、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の種類を、前記プレビュー画像データの修正内容に応じて変更することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記修正手段は、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ又は前記第3の画像データの印字濃度を、前記プレビュー画像データの修正内容に応じて変更することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記物性データは、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の坪量、組成及び光学特性のうちの少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光学特性は、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の不透明度、反射率、透過率及び屈折率のうちの少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
2種類以上の複数の前記第1の記録媒体に前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを記録した場合、又は、2種類以上の複数の前記第2の記録媒体に前記第3の画像データを記録した場合における各記録媒体の種類に対応する前記プレビュー画像データを同時に出力装置に出力させる出力制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プレビュー画像データが一定基準から外れた場合に警告を行う警告手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップと前記物性データ取得ステップとによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップと前記物性データ取得ステップとによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得手段と、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得手段と、
前記画像データ取得手段と前記物性データ取得手段とによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記生成手段は、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ及び前記第3の画像データの印字濃度、並びに、前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データに基づいて、前記プレビュー画像データを生成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記プレビュー画像データが修正された場合、その修正内容を、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ、前記第3の画像データ、前記第1の記録媒体、前記第2の記録媒体のうちの少なくとも何れか一つに対して反映させる修正手段を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記修正手段は、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の種類を、前記プレビュー画像データの修正内容に応じて変更することを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記修正手段は、前記第1の画像データ、前記第2の画像データ又は前記第3の画像データの印字濃度を、前記プレビュー画像データの修正内容に応じて変更することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記物性データは、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の坪量、組成及び光学特性のうちの少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記光学特性は、前記第1の記録媒体又は前記第2の記録媒体の不透明度、反射率、透過率及び屈折率のうちの少なくとも何れか一つを含むことを特徴とする請求項6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
2種類以上の複数の前記第1の記録媒体に前記第1の画像データ及び前記第2の画像データを記録した場合、又は、2種類以上の複数の前記第2の記録媒体に前記第3の画像データを記録した場合における各記録媒体の種類に対応する前記プレビュー画像データを同時に出力装置に出力させる出力制御手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記プレビュー画像データが一定基準から外れた場合に警告を行う警告手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップと前記物性データ取得ステップとによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成ステップとを含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項11】
第1の記録媒体の着目ページに記録される第1の画像データ、前記第1の記録媒体における着目ページとは異なるページに記録される第2の画像データ、及び、前記着目ページからみて前記第1の記録媒体の下に位置する第2の記録媒体に記録される第3の画像データを取得する画像データ取得ステップと、
前記第1の記録媒体及び前記第2の記録媒体の物性データを取得する物性データ取得ステップと、
前記画像データ取得ステップと前記物性データ取得ステップとによって取得されたデータに基づいて、前記着目ページのプレビュー画像データを生成する生成ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−15281(P2011−15281A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−158891(P2009−158891)
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月3日(2009.7.3)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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