説明

画像処理装置、画像天地方向判定装置

【課題】予め表裏の天地方向、及び表裏の天地方向の相関関係を含む用紙方向要素が定められた記録用紙が格納された状態で、この記録用紙に画像記録処理が実行される前に、記録用紙を無駄にすることなく、記録用紙の表裏の向きと、記録される画像情報の向きとの適性を判定する。
【解決手段】天地方向比較部156では、記録用紙50に印刷された文字の天地方向と、画像形成によって印刷する画像の天地方向とが一致しているか否かの比較を行う。印刷可否自動判定部158では、天地方向の一致/不一致に基づき、記録用紙50の向きの適否を判定する。OK信号を受信した場合には、搬送系制御部110に印刷続行を指示する。NG信号を受信した場合には、印刷中止を指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像天地方向判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、事前に記録用紙に印刷が施された記録用紙が存在する。記録用紙自体に事前に印刷が施されると、その表裏面のそれぞれの天地方向、表裏面間の天地方向の相対関係等が特定され、画像処理装置の格納部への格納(トレイへの装填)状態を確認する必要がある。
【0003】
このため、特許文献1では、給紙カセット内にカメラを設置し、印刷用紙が予め定められた通りに装填されていない場合に報知することが提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、予めプレプリント用紙の端部に印刷されている第1特定記号と、印刷された第2特定記号とで構成された特定組み合わせ記号を検知して、正しく印刷されているか否かを判定する方向が提案されている(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、関連技術として、用紙の向き(天地)、表裏などが誤ってセットされた場合に、セットされた向き(天地)、表裏を検知して、これに合わせて、印刷イメージ(画像データ)を回転処理する等して印刷する方法が提案されている(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−273992公報
【特許文献2】特開2007−171287公報
【特許文献3】特開2006−110831公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、記録用紙に画像記録処理が実行される前に、予め画像情報が記録された記録用紙の表面及び裏面それぞれにおける天地方向と、記録用紙に記録される画像情報の表面及び裏面それぞれにおける天地方向との適性を判定することができる画像処理装置、画像天地方向判定装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、予め定められた方向へ前記記録用紙を送り出す送出手段と、前記送出手段で送り出された記録用紙に対して、画像情報に基づく画像を記録する画像記録手段と、前記記録用紙の表面及び裏面のそれぞれへ記録する表裏一対の画像情報を単位として管理する管理手段と、前記送出手段で送出される記録用紙の表面及び裏面の画像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像された記録用紙の表面及び裏面に予め印刷されている文字情報を認識する文字情報認識手段と、前記画像記録手段による画像記録開始前に、前記管理手段で管理されている表裏一対の画像情報における表面及び裏面それぞれの天地方向を示す画像情報側天地方向情報と、前記文字認識手段で認識された前記文字情報における表面及び裏面それぞれの天地方向を示す記録用紙側天地方向情報とを比較する比較手段と、を有している。
【0009】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記比較手段による比較の結果、前記画像情報側天地方向情報に基づく天地方向と、前記用紙側天地方向情報に基づく天地方向とが一致しないとき、前記送出手段による記録用紙の送出を中止する送出中止手段をさらに有している。
【0010】
請求項3に記載の発明は、予め表裏面の少なくとも一方側に、天地方向を決定付ける画像が記録された記録用紙の表裏面を撮像する撮像手段と、前記撮像手段で撮像された記録用紙の画像の内、文字情報を認識する文字情報認識手段と、前記記録用紙に記録する画像情報における用紙方向要素に基づく画像情報側天地方向情報と、前記文字認識手段で認識された前記文字情報における用紙送出方向に基づく記録用紙側天地方向情報とを比較する比較手段と、前記比較手段による比較の結果、前記画像情報側天地方向情報に基づく天地方向と、前記用紙側天地方向情報に基づく天地方向と、が一致するか否かを判定する判定手段と、を有している。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の発明によれば、記録用紙に画像記録処理が実行される前に、予め画像情報が記録された記録用紙の表面及び裏面それぞれにおける天地方向と、記録用紙に記録される画像情報の表面及び裏面それぞれにおける天地方向との適性を判定することができる画像処理装置、画像天地方向判定装置を得ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、本構成を有しない場合に比べて、記録用紙を無駄にせず、不適正な画像処理を回避することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、予め表裏の天地方向、及び表裏の天地方向の相関関係を含む用紙方向要素が定められた記録用紙が格納された状態で、この記録用紙に画像記録処理が実行される前に、記録用紙を無駄にすることなく、記録用紙の表裏の向きと、記録される画像情報の向きとの適性を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態に係る画像処理装置の概略構成図である。
【図2】本実施の形態に係る印刷ジョブ属性に基づく記録用紙への画像形成処理の状態(適正)を示す流れ図である。
【図3】本実施の形態に係る印刷ジョブ属性に基づく記録用紙への画像形成処理の状態(不適正)を示す流れ図である。
【図4】本実施の形態に係る画像処理装置のトレイ及びその周辺の構造を示す概略図である。
【図5】主制御部における、記録用紙印刷イメージと印刷画像データとの相関をユーザーにより判別させるための情報を報知する制御を備えた画像処理制御のための機能ブロック図である。
【図6】本実施の形態に係る判定画像合成処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】本実施の形態に係る判定処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1には、本実施の形態に係る画像処理装置10が示されている。画像処理装置10は、大きく分類して、図1の左側から画像形成部12、用紙収容部14、後処理部16となっている。
【0016】
画像形成部12は、その筐体18の上面に当該画像処理装置10の全体を制御する主制御部20が設けられている。主制御部20は、制御部本体22と、キーボード24と、ディスプレイ26を備えている(以下、必要に応じて、キーボード24等で代表される入力系と、ディスプレイ26等で代表される出力系を総称して、「UI100」(図5参照)という。)。
【0017】
また、主制御部20の図1の右側(画像形成部12の上面)には、矩形の開口部が設けられている。この開口部には、開閉蓋32が取り付けられている。
【0018】
画像形成部12は筐体18によって覆われており、前記主制御部20からの画像データに応じて発光する光ビームを走査する光走査部と、光走査部によって走査された光ビームを受けて所謂静電潜像が形成される感光体ドラムと、感光体ドラム上の静電潜像へトナー等の現像剤を供給することで現像する現像部と、この現像によって顕像化された画像を記録用紙へ転写する転写部と、転写した記録用紙上の画像を定着させる定着部とを備えている。以下、上記一連の工程を、「画像形成処理全般」という。また、以下において、「画像形成処理」を、必要に応じて、「印刷」という。
【0019】
上記画像形成部12が収容された筐体18の図1の前面は、ほぼ全域に亘って開口されており、所謂観音開き型の一対の開閉扉34が取り付けられている。
【0020】
このため、画像形成部12のメンテナンス時には、この一対の開閉扉34を開放することで、筐体18の全面とほぼ同一の面積のメンテナンス作業空間が設けられることになる。
【0021】
この画像形成部12の転写部へ送られる記録用紙50(図2、図3参照)は、前記開閉蓋32の下部に設けられたトレイ36、或いは用紙収容部14に設けられた複数のトレイ38から選択的に持ち出されるようになっている。すなわち、複数のトレイ36、38には、それぞれサイズの異なる記録用紙50を収容可能(同一サイズの場合もある)となっており、主制御部20からの指示に基づく、画像形成部12からの指示で何れかのトレイ36、38が選択され、例えば、最上層の記録用紙50から順番に持ち出すようになっている。
【0022】
本実施の形態で適用される記録用紙50は、所謂帳票用紙であり、予め所定の画像(記録用紙印刷イメージ)が施されている。この記録用紙50については、後に詳述する(図2、図3参照)。
【0023】
図1に示される如く、用紙収容部14の上部は、画像形成部12によって印刷された記録用紙50の搬送部40となっている。すなわち、画像形成部12で印刷された記録用紙50は、後処理が必要な場合に、この搬送部40を経て、後処理部16へ搬送されるようになっている。なお、後処理が不要な記録用紙50は、前記開閉蓋32の下部に配置された排出トレイユニット42へ排出されるようになっている。
【0024】
後処理部16は、例えば、フィニッシャー部とも称され、製本、綴じ、穴あけ、折り等の加工、並びにジョブ単位、部数単位での仕分け処理を実行する。
【0025】
画像データは、指定された印刷ジョブ属性に基づいて、その天地方向が反転されたり、倍率が変更されたり、繰り返し使用される場合がある。
【0026】
一方、記録用紙50は、指定された印刷ジョブ属性に基づいて、当該印刷ジョブ属性に合致した記録用紙印刷データが予め印刷された記録用紙50が装填されるようになっている。
【0027】
しかし、印刷ジョブ属性に基づく画像データの変換処理と合致しない記録用紙50が装填される場合がある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、記録用紙50がトレイ36(又は38)から取り出される以前に、印刷ジョブ属性に基づく画像データの天地方向の向きと、記録用紙50の表裏に予め印刷されている項目の天地方向の向きとの照合を行なうようにした。
【0029】
尚、本実施形態の天地方向は、記録用紙50の搬送方向先頭側を「天側基準」として、定められている。天地方向は、画像データに対して一義的に定まる方向であればよく、天地方向を、画像データの下側に相当する側、地として、所定の画像の上側に相当する部分を、天として、その地から天へ向かう方向としてもよい。
【0030】
すなわち、本実施の形態では、記録用紙50に予め印刷された記録用紙印刷イメージをトレイ36(又は38)に装填された状態から画像形成部12へ送られて画像形成されるときの向きでの画像を撮像し、かつ当該記録用紙50に印刷される画像データを印刷ジョブ属性に基づいて変換された向きで画像とを、UI100の表示部102(ディスプレイ26等)に重ねて(或いは並べて、若しくは交互に)表示することで、ユーザの目視による適否の判断を促している。
【0031】
表1は、本実施の形態に係る記録用紙と画像データの配置に関する印刷ジョブ属性の一覧である。
【0032】
また、表2は、本実施の形態に係る印刷ジョブ属性に基づいた想定印刷結果の生成例である。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
上記表1、表2において、「BINDING」を例にとり詳細を説明する。
【0036】
図2には、本実施の形態に係る記録用紙50(予め記録用紙印刷イメージが印刷された帳票用紙)と、当該記録用紙50へ画像形成部12を用いて画像形成(印刷)する画像データとの関係が示されている。
【0037】
図2(A)の上段は、各ページ毎に印刷される画像データ50Gであり、ここでは「ABC商会」宛の請求書に関する情報となっている。この画像データの記録位置は、図2(A)の下段に示す記録用紙50に予め印刷された記録用紙印刷イメージ(例えば、「ご請求書」、「ページ」、「ご請求額」、「ご明細」等々)に準じて予め決められている。
【0038】
ところで、図2(A)の下段で示されるように、記録用紙50の表裏に予め印刷された記録用紙印刷イメージは、表面及び裏面それぞれにおいて天地方向が逆の方向となっており、反転しているものといえる。これは、印刷ジョブ属性によって決まる所謂「長編綴じ」指定の記録用紙50である。このため、図2(A)の上段における偶数ページの画像データは、天地を反転した状態で画像処理を実行するように指示されることになる。
【0039】
上記「長編綴じ」指定の出力結果が、図2(B)である。図2(B)に示される如く、記録用紙50の表裏面に各項目に対応した情報が記録されるようになっている。すなわち、記録用紙50に予め印刷された記録用紙印刷イメージの天地方向と、画像形成部12によって印刷処理される画像データ50Gの天地方向とが表面及び裏面それぞれにおいて一致した状態で印刷される。
【0040】
一方、図3は、図2が正常処理であるのに対し、異常処理の一例である。
【0041】
すなわち、図2と同様に「長編綴じ」指定であるのに対して、図3(A)の下段に示される如く、指定されたトレイ36(又は38)に誤って「短編綴じ」指定の記録用紙50が格納された場合である。
【0042】
このような場合、図3(B)に示される如く、記録用紙印刷イメージの天地方向に対して、画像形成部12によって印刷される画像データ(偶数ページ)の天地方向が、逆に(反転されて)印刷が実行される。このような誤った印刷は、当然、画像処理結果によって判別、認識可能であるが、その時点では、無駄に記録用紙50を消費させ、そのための廃棄作業、並びに、廃棄される不要な記録用紙50の情報漏洩に対するセキュリティ対策作業、といった余計な作業を強いられる可能性がある。
【0043】
そこで、前記UI100の上記表示部102(ディスプレイ26等)による表示を行なうことで、このような余計な作業を排除する。
【0044】
図4は、記録用紙50の表裏面の画像を撮像するためのトレイ36(又は38)の近傍の構造が示されている。なお、全てのトレイに同一構成であるため、その内の1つのトレイ近傍の構造について説明し、その他のトレイ近傍の構造については省略する。
【0045】
図4に示される如く、トレイ36(又は38)は記録用紙50を収容する筐体52が設けられている。筐体52は、上部が開口しており、底面と平行状態を維持するようにばね等の弾性部材53を介して用紙支持台54が設けられている。記録用紙50は、筐体内52に収容するとき、この用紙支持台54上に積層されることになる。
【0046】
用紙支持台54は、前記弾性部材による弾性力で押し上げられており、積層された記録用紙50の最上層がほぼ同一の高さ位置に保持されるようになっている。
【0047】
筐体52の上部には、用紙取出装置56が配置されている。用紙取出装置56は、一端部を軸58として回転する枠状プレート60に吸盤62が取り付けられている。
【0048】
吸盤62の吸着面には、図示しない吸引手段により空気が吸引される孔が設けられ、プレート60の回転動作によって、最上層の記録用紙50と吸盤62とを密着させた状態で空気を吸引して吸着し、第2層目以下の記録用紙50から分離する構成となっている。
【0049】
分離された記録用紙50は、その搬送方向先端部がローラ対64に挟持されるようになっている。このローラ対64は、印刷指示に基づいて駆動し、記録用紙50を画像形成部12へと案内する案内路(図示省略)へ送り出すようになっている(図4の矢印A方向)。
【0050】
ここで、用紙取出部56の枠状プレート60には、ブラケット65を介して表面撮像用の撮像部(表)66が取り付けられており、最上層の記録用紙50の表面側(上面側)の画像を撮像する。
【0051】
また、用紙取出部56よりも下部、かつ筐体52の側面に対向する位置には、図示しないブラケットを介して裏面撮像用の撮像部(裏)68が配置されている。この撮像部(裏)68は、吸盤62によって持ち上げられた最上層の記録用紙50の裏面を、第2層の記録用紙50との隙間から撮像するように位置決めされている。
【0052】
すなわち、撮像部(表)66及び撮像部(裏)68は、記録用紙50が用紙取出装置56によって案内路へ送り出される前に、記録用紙50の表裏面の画像(記録用紙印刷イメージ)を撮像することができるようになっている。
【0053】
図5は、主制御部20における、前記撮像部(表)66及び撮像部(裏)68により撮像した記録用紙50の表裏面の画像(記録用紙印刷イメージ)と、画像形成部12で記録用紙50に画像形成(印刷)される画像データと、の相関(特に、表面及び裏面における天地方向の向き)をユーザーにより判別させるための情報を報知する制御を備えた画像処理制御のための機能ブロック図である。なお、この機能ブロック図は、ハード構成を限定するものではない。
【0054】
UI100の入力系の一部である印刷指示部104(キーボード24等)では、印刷実行指示を指示するようになっている。印刷実行指示信号は、画像データ受付部106、画像データ一時格納部108及び搬送系制御部110に対して出力される。
【0055】
画像データ一時格納部108は、印刷実行指示信号を受けて画像データの受入待機状態となる。また、搬送系制御部110では、指定されたトレイ36(又は38)から記録用紙50を取出し、画像形成部12の所定の位置まで搬送する搬送系全般の制御を行い、特に、画像形成準備完了信号を前記画像データ一時格納部108へ送出する。
【0056】
画像データ受付部106では、前記印刷実行指示信号の入力に基づき、例えば、外部サーバー等から印刷用画像データを受け付ける。
【0057】
この画像データ受付部106で受け付けた画像データは画像データ変換処理部112へ送出されるようになっている。
【0058】
ここで、前記印刷指示部104では、印刷ジョブ属性情報が生成され、これを印刷ジョブ属性取得部114で取得するようになっている。
【0059】
印刷ジョブ属性取得部114は、用紙方向要素判別部116に接続されている。この用紙方向要素判別部116では、印刷ジョブ属性から記録用紙の方向を判別し、画像データ変処理部112へ送出する。
【0060】
これにより、画像データ変換処理部112では、入力された画像データの向きを変換する。なお、画像データ変換処理部112では画像データの向きのみならず、他の印刷属性ジョブ属性に基づいて、フォント、倍率等を設定するようにしてもよい(表1参照)。
【0061】
画像データ変換処理部112は、前記画像データ一時格納部108に接続されている。画像データ一時格納部108は、前記印刷実行指示によって受入待機状態となっており、画像データ変換処理部112から送られる画像データを一時的に格納する。
【0062】
画像データ一時格納部108では、搬送系制御部110からの画像形成準備完了信号に基づいて、画像データを印刷実行制御部118へ送出する。
【0063】
印刷実行制御部118では、画像形成部12を制御して印刷を実行する。
【0064】
前記画像データ変換処理部112、並びに印刷ジョブ属性取得部114は、天地方向判定用画像データ抽出部120に接続されている。
【0065】
天地方向判定用画像データ抽出部120では、印刷ジョブ属性に基づいて、必要な画像データを画像データ変換処理部112から受け取る。
【0066】
一時格納される画像変換処理画像の例を以下に示す。
【0067】
(変換例1) 片面印刷ジョブ→先頭から1ページ分
(変換例2) 両面印刷ジョブ→先頭から2ページ分
(変換例3) 両面印刷&N−UP→先頭から2×Nページ分
(変換例4) 指定ページ数分
天地方向判定用画像データ抽出部120では、画像データ変換処理部112において、上記何れかの印刷ジョブ属性に基づいて変化された画像データを抽出し、画像データ側天地方向判別部150へ送出する。画像データ側天地方向判別部150では、印刷ジョブ属性に基づく天地方向が判別される。
【0068】
例えば、記録用紙50の搬送方向先頭側を「天側基準」として、画像データ(文字)の天地側、左右側を判別する。
【0069】
一方、搬送系制御部110は、画像データ一時格納部108へ画像形成準備完了信号を出力する以前に、用紙送出準備完了信号を天地方向判定用画像データ抽出部120へ送出する。
【0070】
天地方向判定用画像データ抽出部120では必要な画像データを取得すると共に、用紙送出準備完了信号を受けて、撮像指示部122に対して撮像指示信号を出力する。
【0071】
撮像指示部122では、撮像指示信号を受けて、撮像部(表)66と撮像部(裏)68を用いて、記録用紙50(用紙取出装置56によって持ち上げられている)の表裏面をそれぞれ撮像し、記録用紙印刷イメージ取込部124へ送出する。
【0072】
記録用紙印刷イメージ取込部124は、OCR処理部152に接続されている。OCR処理部152では、撮像した記録用紙50の表裏面の画像のそれぞれから文字データを抽出し、当該文字の認識を行なう。認識結果は、記録用紙側天地方向判別部154へ送出される。記録用紙側天地方向判別部154では、前記文字データの天地方向を判別する。
【0073】
例えば、記録用紙50の搬送方向先頭側を「天側基準」として、記録用紙50上の文字データの天地側、左右側を判別する。
【0074】
前記画像データ側天地方向判別部150と、前記記録用紙側天地方向判別部154は、相互に同期をとり、それぞれに格納されている判別情報を天地方向比較部156へ送出する。
【0075】
天地方向比較部156では、記録用紙50に印刷された文字の天地方向と、画像形成によって印刷する画像の天地方向とが一致しているか否かの比較を行い、その比較結果を、印刷可否自動判定部158へ送出する。
【0076】
印刷可否自動判定部158では、表面及び裏面それぞれの天地方向の一致/不一致に基づき、記録用紙50の向きの適否を判定し、その判定結果を、印刷可否決定部136へ送出する。印刷可否決定部136は、前記搬送系制御部110及び印刷実行制御部118に接続されている。
【0077】
印刷可否決定部136において、OK信号を受信した場合には、搬送系制御部110に印刷続行を指示する。これにより、搬送系制御部110では、記録用紙50を画像形成部12へ搬送し、画像形成位置までの搬送が完了すると、画像形成準備完了信号を印刷用画像データ一時格納部108へ送出する。
【0078】
印刷可否決定部136において、NG信号を受信した場合には、搬送系制御部110及び印刷実行制御部118に印刷中止を指示する。
【0079】
以下に本実施の形態の作用を、図6及び図7のフローチャートに従い説明する。
【0080】
図6は、判定画像合成処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0081】
ステップ200は、フラグFをリセット(0)し、次いでステップ202へ移行して印刷指示があったか否かが判断される。ステップ202で否定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0082】
また、ステップ202で肯定判定されると、ステップ204へ移行して印刷ジョブ属性を取得し、次いで、ステップ206へ移行して印刷用画像データを受け付ける。
【0083】
次のステップ208では、受け付けた印刷用画像データを印刷ジョブ属性に基づいて画像処理を実行して、ステップ210へ移行し、指定用紙のトレイからの用紙送出準備開始を指示して、ステップ212へ移行する。
【0084】
ステップ212では、印刷ジョブ属性に基づいて、印刷結果を確認する必要がある印刷指示か否かを判断し、印刷結果の確認が不要(否定判定)、すなわち、記録用紙50の天地方向と、印刷用画像データの天地方向との判別が不要と判定された場合には、ステップ214へ移行し、フラグFをセット(1)して、このルーチンは終了する。
【0085】
また、ステップ212で印刷結果の確認が必要(肯定判定)、すなわち、記録用紙50の天地方向と、印刷用画像データの天地方向との判別が必要と判定された場合には、ステップ216へ移行する。
【0086】
ステップ216では、印刷ジョブ属性から用紙方向要素(表1参照)を判別し、次いでステップ218へ移行して、天地方向判定用の画像データ(例えば、1頁目と2頁目)を抽出し、次いでステップ219へ移行して画像データ側天地方向を判別し、ステップ220へ移行する。
【0087】
次のステップ220では、撮像指示部122が撮像指示信号を受信したか否かが判断される。言い換えれば、天地方向判定用の画像データに基づく画像データ側天地方向の判別、かつ用紙送出準備が完了したか否かを判別する。
【0088】
ステップ220で肯定判定されると、ステップ222へ移行して記録用紙50の表裏面を撮像部(表)66、撮像部(裏)68で撮像し、次いでステップ223へ移行してOCR処理を実行する。このOCR処理により、記録用紙50に予め印刷されている文字データが認識される。
【0089】
次のステップ224では、前記認識された文字データに基づいて、記録用紙側天地方向を判別し、ステップ225へ移行する。
【0090】
次のステップ225では、比較するデータ(印刷用画像、記録用紙印刷イメージ)が揃ったか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ228へ移行する。
【0091】
ステップ228では、画像データ側天地方向情報と、記録用紙側天地方向情報との比較処理が実行される。
【0092】
次のステップ230では、前記ステップ228での比較処理に基づき、印刷可否の自動判定処理(詳細は、図7に基づき後述)が実行され、このルーチンは終了する。
【0093】
図7は、図6のステップ230における、印刷可否自動判定処理制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0094】
ステップ250では、フラグFがセット(1)されているか否かが判断され、否定判定された場合は、判定の必要がないので、ステップ252へ移行する。
【0095】
また、ステップ250で肯定判定されると、ステップ256へ移行して判定結果を判別し、OK判定の場合には、ステップ252へ移行する。
【0096】
ステップ252では、印刷可能であるため、通常の印刷実行処理がなされ、このルーチンは終了する。
【0097】
また、ステップ256でNG判定の場合はステップ258へ移行して、印刷中止処理を実行し、次いで、ステップ260へ移行して印刷中止に関する情報を報知し、このルーチンは終了する。
【0098】
なお、本実施の形態では、撮像手段として、撮像部(表)66、撮像部(裏)68を設置したが、撮像部(表)66のみ設置し、ユーザーの画像処理装置10の使用履歴等から記録用紙50の表の印刷イメージから裏の印刷イメージを予測するようにしてもよい。
【0099】
例えば、使用履歴から、はがきの裏の印刷イメージは、はがきの表の郵便番号枠に最も近い端部が左端となる横向きの印刷イメージであることが90%以上である場合、裏の印刷イメージをみなくても裏側の天地方向を予測することができる。すなわち、誤ってトレイ36(38)に装填される確率が極めて少ないため、裏の画像を読み取る手間を省いた方が効率がよい。
【0100】
なお、撮像手段を一方のみとする場合、構造上、撮像部(表)66のみを残す方が有利であるが、撮像部(裏)68のみを残す構造であってもよい。
【0101】
また、撮像手段が、記録用紙の表面又は裏面を撮像する単一の撮像手段と、記録用紙の裏面又は表面を光学的に前記撮像手段へ案内する光学案内手段と、を備えるようにしてもよい。
【0102】
すなわち、撮像部を単一とし、ミラー等の光学部材で、記録用紙50の表裏面の画像を撮像部まで案内する。それぞれの光学路上にシャッター等を設けて、時間的にずらして撮像すれば、単一の撮像部で記録用紙の表裏面の画像を別々に撮像することが可能である。
【0103】
さらに、本実施の形態では、記録用紙50をトレイ36、38から出す前に、記録用紙50上に予め印刷された画像を撮像し、その中の文字をOCR処理するようにしたが、記録用紙の搬送を開始した後、ラインセンサ等で記録用紙50の表裏面を走査して、予め印刷された画像を読み取る構成であってもよい。
【符号の説明】
【0104】
10 画像処理装置
12 画像形成部(画像記録手段)
20 主制御部
22 制御部本体
26 ディスプレイ
36 トレイ
38 トレイ
40 搬送部
42 排出トレイユニット
50 記録用紙
50G 画像データ
52 筐体
53 弾性部材
54 用紙支持台
56 用紙取出装置(送出手段)
58 軸
60 枠状プレート
62 吸盤
64 ローラ対
65 ブラケット
66 撮像部(表)(撮像手段)
68 撮像部(裏)(撮像手段)
100 UI
104 印刷指示部
106 画像データ受付部
108 画像データ一時格納部(管理手段)
110 搬送系制御部
112 画像データ変換処理部
114 印刷ジョブ属性取得部(指定手段)
116 用紙方向要素判別部
118 印刷実行制御部
120 天地方向判定用画像データ抽出部
124 記録用紙印刷イメージ取込部
136 印刷可否決定部
150 画像データ側天地方向判別部(比較手段)
152 OCR処理部(文字情報認識手段)
154 記録用紙側天地方向判別部(比較手段)
156 天地方向比較部(比較手段)
158 印刷可否自動判定部(送出中止手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定められた方向へ前記記録用紙を送り出す送出手段と、
前記送出手段で送り出された記録用紙に対して、画像情報に基づく画像を記録する画像記録手段と、
前記記録用紙の表面及び裏面のそれぞれへ記録する表裏一対の画像情報を単位として管理する管理手段と、
前記送出手段で送出される記録用紙の表面及び裏面の画像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された記録用紙の表面及び裏面に予め印刷されている文字情報を認識する文字情報認識手段と、
前記画像記録手段による画像記録開始前に、前記管理手段で管理されている表裏一対の画像情報における表面及び裏面それぞれの天地方向を示す画像情報側天地方向情報と、前記文字認識手段で認識された前記文字情報における表面及び裏面それぞれの天地方向を示す記録用紙側天地方向情報とを比較する比較手段と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記比較手段による比較の結果、前記画像情報側天地方向情報に基づく天地方向と、前記用紙側天地方向情報に基づく天地方向とが一致しないとき、前記送出手段による記録用紙の送出を中止する送出中止手段をさらに有する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
予め表裏面の少なくとも一方側に、天地方向を決定付ける画像が記録された記録用紙の表裏面を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された記録用紙の画像の内、文字情報を認識する文字情報認識手段と、
前記記録用紙に記録する画像情報における用紙方向要素に基づく画像情報側天地方向情報と、前記文字認識手段で認識された前記文字情報における用紙送出方向に基づく記録用紙側天地方向情報とを比較する比較手段と、
前記比較手段による比較の結果、前記画像情報側天地方向情報に基づく天地方向と、前記用紙側天地方向情報に基づく天地方向と、が一致するか否かを判定する判定手段と、
を有する画像天地方向判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−221581(P2010−221581A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72456(P2009−72456)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】