説明

画像処理装置、証明書発行システム及びプログラム

【課題】 情報が埋め込まれた原稿から確実に情報が検出できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】 複合機1は、文書画像を入力する画像展開手段2と、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段10と、前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段11と、前記画像合成手段11により合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定するコード検出可否判定手段12と、前記コード可否判定手段12による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する制御手段9とを有する。これにより、文書画像と背景地紋画像を合成した合成画像を作成し、合成画像に対して情報検出を行い、情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機密文書の情報漏洩を防止することができる画像処理装置、証明書発行システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータやプリンタ、複写機の普及によって、プリントアウトされた機密文書の不正コピーによる情報漏洩の問題が出てきている。機密文書の不正コピーの防止・抑制のための従来技術として、機密文書のプリント時に、画像中にコピー禁止情報を埋め込んでからプリント出力し、コピー時には原稿を読み取った画像中から画像中に埋め込まれているコピー禁止情報を検知し、コピー禁止情報が含まれている場合には正常なコピー動作を中止する、といった不正コピー禁止機能を持った複合機が検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、その不正コピー禁止機能を発展させ、機密文書のプリント時には画像中にコピー 禁止情報、および特定の条件のもとではコピーを許可するためのコピー許可条件情報(例えば、暗証番号)の2種類の情報を埋め込んでプリント出力し、コピー時には読み取った 画像中から画像中に埋め込まれているコピー禁止情報およびコピー許可条件情報の2種類の情報を検知し、コピー許可条件に合致しているか判断し、コピー許可条件に合致していない場合にはコピー動作を中止するが、合致している場合にはコピー動作を行う、という高度な不正コピー禁止機能を持った複合機も検討されている。ここで、コピー禁止情報・コピー許可条件情報の埋込み方法としては、例えば次のような方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
すなわち、文書画像の背景全面に微小なパターンで比較低濃度の背景地紋画像を合成する。背景地紋画像は潜像文字領域と背景領域の2つの領域で構成されており、それぞれの領域は異なる微小パターンで構成されている。潜像文字領域は、比較的小さいドットパターンで構成され、背景領域は、2種類の微小な斜線パターンの配列で構成されている。この2種類の斜線パターンがそれぞれビット0、ビット1を表現し、その2種類の斜線パターンを所定サイズの2次元配列とした2次元コード画像が背景部に互いに隣接して繰り返し配置されるようになっている。コピー許可条件情報としては、この2次元コードに埋め込む。
【0005】
コピー禁止情報としては、2次元配列の内部が全てビット0に対応する斜線パターンで構成する特殊コード、もしくは2次元配列の内部が全てビット1に対応する斜線パターンで構成する特殊コードによって埋め込む。機密文書の不正コピー抑制のための他の従来例として、機機密文書のプリント時に、プ リントを行ったユーザに関する情報や日時情報等を埋め込んでからプリント出力し、プリント出力された原稿をスキャナ等で読み込み、読み取られた画像中に埋め込まれたユーザ・クライアントPC・プリンタ・日時を解析して、情報漏洩元を特定する画像処理装置が検討されている。この機能は、前記従来例の複合機の追加機能として構成することも可能である。
【特許文献1】特開2003−280469号公報
【特許文献2】特開2003−283790号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来技術では、文書背景に合成されたコード画像は、文字や図形、写真などに重なった部分の微小斜線パターンは検出できないため、文書画像の内容によっては埋め込まれた情報を検出できない場合がある。その場合、プリント時に情報埋込みが指示されているにも関わらず、プリント出力された原稿からは情報の検出ができない場合がある、という課題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、情報が埋め込まれた原稿から確実に情報が検出できる画像処理装置、証明書発行システム及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、文書画像を入力する画像入力手段と、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記画像合成手段により合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段とを有する。
本発明によれば、文書画像と背景地紋画像を合成した合成画像を作成し、合成画像に対して情報検出を行い、情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【0009】
本発明の画像処理装置は、文書画像を入力する画像入力手段と、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記画像入力手段により入力された文書画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段とを有する。
本発明によれば、入力された文書画像に基づいて埋め込んだ情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【0010】
本発明の画像処理装置は、文書画像を入力する画像入力手段と、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記合成画像を用紙上に記録する画像記録手段と、前記用紙上の画像を読み取る読み取り手段と、前記読取手段により読み取られた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像が記録された用紙の排出動作を制御する排出制御手段とを有する。
本発明によれば、読み取られた画像に基づいて埋め込んだ情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【0011】
前記判定手段は、前記文書画像の非白画素の面積を調べ、該文書画像の非白画素の面積率に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能かを判定するようにしている。前記判定手段は、前記文書画像をブロック化し、白領域が所定割合以上あるブロックの個数に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能かを判定するようにしている。
【0012】
本発明の証明書発行システムは、証明書の原本データを登録したサーバ装置と、取得申請のあった証明書のデータを前記サーバ装置から取得し、前記証明書のデータに所定の情報を埋め込んだ背景地紋画像を合成する合成装置と、合成した画像を用紙上に印刷する印刷装置と、前記用紙上の画像を読み取る読取装置と、前記読取装置により読み取られた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定装置と、前記判定手段による判定結果を表示する表示装置とを有する構成としている。
本発明によれば、読み取られた画像に基づいて埋め込んだ情報が正しく検出できるか否かを判定しているので、印刷された文書原稿からは、埋め込まれた情報を確実に検出できるようになる。
【0013】
本発明のプログラムは、コンピュータを、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記画像合成ステップで合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段として機能させることを特徴としている。
【0014】
本発明によれば、文書画像と背景地紋画像を合成した合成画像を作成し、合成画像に対して情報検出を行い、情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータを、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記入力した文書画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段として機能させることを特徴としている。
本発明によれば、入力された文書画像に基づいて埋め込んだ情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【0016】
本発明のプログラムは、コンピュータを、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、前記合成画像を用紙上に記録させる画像記録手段と、前記用紙上の画像を読み取らせる読取手段と、前記読取手段で読み取らせた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、前記判定手段の判定結果に応じて前記合成画像が記録された用紙の排出動作を制御する排出制御手段として機能させることを特徴としている。
本発明によれば、読み取られた画像に基づいて埋め込んだ情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、情報が埋め込まれた原稿から確実に情報を検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【実施例1】
【0019】
図1は、本発明の実施例に係る複合機のブロック図である。画像処理手段としての複合機1は、プリント機能、コピー機能、およびスキャン機能等の複数機能を持つ。この複合機1は、LAN(Local Area Network)などのネットワークに接続されたクラインアントPC(パーソナルコンピュータ)に接続されている。図1に示すように、複合機1は、画像展開手段2、画像蓄積手段3、読み取り手段4、スキャン画像処理手段5、禁止コード検知手段6、デジタルコードデコード手段7、ユーザインタフェース手段8、制御手段9、背景地紋画像生成手段10、画像合成手段11、判定手段としてのコード検出可否判定手段12及び印字手段13を有する。
【0020】
画像展開手段2は、LANを介して入力されるプリント記述言語(PDL)で記述されたプリントデータ(以下、「PDLデータ」と言う)の描画処理を行って文書画像データを生成し、描画した文書画像データを画像蓄積手段3に蓄積する。画像蓄積手段3は、文書画像および背景地紋画像をページ番号に対応付けて蓄積する。読み取り手段4は、プラテンに置かれた原稿を読み取り、読み取った画像データをスキャン画像処理手段5へ出力する。画像展開手段2又は読み取り手段4から文書画像が入力される。スキャン画像処理手段5は、読み取られた画像に対して画像補正、色変換、拡大縮小等の画像処理を行い、画像蓄積手段3へ蓄積する。禁止コード検知手段6は、読み取り手段4で読み取った画像から禁止コードを検知する。デジタルコードデコード手段7は、読み取り手段4で読み取った画像からデジタルコードをデコードする。ユーザインタフェース手段8は、タッチパネルディスプレイ等の入出力デバイスを有しており、ユーザから各種操作や埋め込み情報の入力を受け付ける部分である。
【0021】
背景地紋画像生成手段10は、情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する。画像合成手段11は、文書画像と背景地紋画像を合成する。コード検出可否判定手段12は、画像合成手段11により合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する。制御手段9は、コード検出可否判定手段12による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する。印字手段13は、画像合成手段11が合成した合成画像データを用紙上に印字記録して出力する。
【0022】
次に、背景地紋画像生成処理について説明する。図2は、コードを説明する模式図である。図3は、パターン番号配列を説明する模式図である。背景地紋画像生成手段10の動作について説明する。背景地紋画像生成手段10には、制御手段9から付加情報(複写禁止情報、条件情報、潜像情報)が入力される。背景地紋画像生成手段10は、入力された潜像情報を元に潜像画像を生成する。潜像情報とは 、パターン画像の中にどのような潜像文字を埋め込むかを示す情報であり、具体的には、潜像の文字列、フォント種類、フォントサイズ、潜像文字列の方向(角度)等の情報からなっている。背景地紋画像生成手段10は、潜像情報を、指定されたフォント種類、フォントサイズで、指定された方向に潜像文字列の描画を行い、2値の潜像画像として生成する。
【0023】
ここで、潜像画像の解像度はプリンタの解像度を後述するパターンのサイズで割った解像度となる。例えば、プリンタ解像度が600dpi、パターンのサイズが12画素×12画素の場合、潜像画像の解像度は50dpiとなる。背景地紋画像生成手段10は、入力された複写禁止情報および条件情報の符号化を行う。
【0024】
先ず、複写禁止情報がプリント出力を行った文書を複写機で複写させないようにすることを示す場合、図2(A)、(B)に示す2種類の複写禁止コードを生成する。ここで、図2(A)の複写禁止コードは、コード内部が全てビット0となっており、図2(B)の複写禁止コードは、コード内部が全てビット1となっていることが特徴である。複写禁止 情報が入力されない場合、もしくはプリント出力を行った文書を複写機で複写させないようにすることを示すものではない場合、図2(A)および(B)に示す2種類のコードの生成は行われない。
【0025】
次に、条件情報が入力されている場合、その条件情報に対して誤り訂正符号を行い、図2(C)に示すようなデジタルコードを生成する。図2(C)のコードは、ビット0およびビット1の配列によって、符号化された条件情報のビット列を表している。コードの外周は、コードの位置決めを容易にするために特殊なビットパターンとなっている。次に、生成したコードを図3(A)に示すように複数個繰り返し配置し、潜像画像の大きさと同じ大きさのパターン番号配列を生成する。ここで、図の斜線ハッチングされた矩形が図2(A)の複写禁止コード、縦線ハッチングされた矩形が図2(B)の複写禁止コード、ドットハチングされた矩形が図2(C)のデジタルコードとなっている。
【0026】
もし、複写禁止コードが生成されなかった場合には、図中の複写禁止コードの部分にはデジタルコードを配置する。また、もしデジタルコードが生成されなかった場合には、図中のデジタルコードの部分には複写禁止コードを配置する。この時点で、パターン番号配列の各要素の値は0または1になっている。次に、潜像画像を参照し、潜像画像中の黒画素の座標に対応するパターン番号配列の要素のパターン番号を2に変更する。これを潜像画像中の全ての黒画素について行うと、パターン番号配列は、複写禁止コード、デジタルコードが並べて配置された背景にパターン番号2で潜像文字が描かれた状態となる。この状態を図3(B)に示す。図中の黒色の「COPY」の部分が、パターン配列番号を2に変更された部分を示す。このパターン番号配列を背景地紋画像生成手段10へ出力する。
【0027】
背景地紋画像生成手段10は、入力されたパターン番号配列の各要素を参照し、そのパターン番号に対応したパターンをパターン格納部から読み出してパターン画像に変換することで、背景地紋画像を生成する。生成された背景地紋画像は、画像蓄積手段3へ格納される。
【0028】
図4は、パターン格納部に格納されるパターンの例を示す模式図で、(A)はパターン番号0に対応するパターン、(B)はパターン番号1に対応するパターン、(C)はパターン番号2に対応するパターンである。ここで、パターン番号配列はプリンタ解像度をパ ターンサイズで割った画像の解像度に相当し、それをもとに生成されるパターン画像は、パターン番号配列の一要素を1つのパターンに置き換えて生成するので、生成されたパターン画像はプリンタの解像度に一致する。また、パターン画像は、複写禁止コード、デジタルコードのビット値に応じた斜線パターンに変換され、潜像文字が孤立ドットパターンに変換された画像になっている。
【0029】
このようにして生成されたパターン画像が背景地紋画像として、画像蓄積手段3へ格納され、文書画像データに合成されて、用紙上にプリント出力される。図5は、プリント出力およびコピー出力の例を示す模式図である。プリント出力された画像の例を図5(A)に示す(説明の都合上、文書画像は画像要素が何も無い真っ白な画像の場合の例を示している)。図5(A)中の矩形で囲まれた領域 を拡大したものが図5(C)である。図5(B)は、図5(A)をコピー機でコピーした 場合のコピー出力画像を示す。
【0030】
次に、本発明の第1実施例に係る複合機1の動作について説明する。図6は、本発明の第1実施例に係る複合機1の動作フローチャートである。ステップS101で、LAN経由でプリント出力する文書画像データ(PDLデータ)を受信する。ステップS102で、受信したPDLデータを画像展開手段2が展開(デコンポーズ)し、画像蓄積手段3へ出力し、格納する。ステップS103で、背景地紋画像生成手段10は、制御手段9から入力された情報に基づいて背景地紋画像を生成し、画像蓄積手段3へ格納する。ステップS104で、画像合成手段11は、画像蓄積手段3から文書画像と背景地紋画像を読み込んで合成し、画像蓄積手段3へ格納する。
【0031】
ステップS105で、コード検出可否判定手段12は、画像蓄積手段3から合成画像を読み出し、判定処理を実行し、判定結果を制御手段9へ通知する。具体的には、コード検出可否判定手段12は、合成後の画像を読み込んで、デジタルコードデコード手段7によるデジタルコードデコード処理と禁止コード検知手段6による禁止コード検知処理内容と同じ処理を行い、デコード/検知の判定結果を制御手段9へ出力する。制御手段9は、デジタルコードデコード処理と禁止コードの検知処理の結果が共に成功した場合には(ステップS106で「OK」)、印字手段13を起動して、画像蓄積手段3から出力される合成画像のプリント出力を行う(ステップS107)。制御手段9は、デジタルコードデコード処理と禁止コードの検知処理のうちどちらか一方でも失敗した場合には(ステップS106で「NG」)、プリント出力動作を中止する(ステップS108)。
【0032】
本発明の第1の実施例によれば、文書画像と背景地紋画像を合成した合成画像を作成し、合成画像に対して情報検出を行い、情報が正しく検出できる場合にのみ、合成画像のプリント出力を許可するため、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【実施例2】
【0033】
次に、本発明の第2実施例について説明する。図7は、本発明の第2実施例に係る複合機100の構成図である。図7に示すように、複合機100は、第1実施例に係る複合機1と異なり、画像処理手段14が画像蓄積手段3の後段に設けられている。判定手段9は、画像展開手段2により入力された文書画像に基づいて埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する。
【0034】
次に、本発明の第2実施例に係る複合機100の動作について説明する。図8は、本発明の第2実施例に係る複合機100の動作フローチャートである。ステップS201で、LAN経由でプリント出力する文書画像データを受信する。ステップS202で、受信したPDLデータを画像展開手段2が展開し、画像蓄積手段3へ出力し、格納する。ステップS203で、コード検出可否判定手段12は、画像蓄積手段3から文書画像を読み出し、判定処理を実行し、判定結果を制御手段9へ通知する。具体的には、コード検出可否判定手段12は、例えば、文書画像の非白画素の面積を調べ、面積率が閾値以上の場合には埋め込んだ情報が正しく検出できないと判断し(NG)、閾値未満の場合には埋め込んだ情報の検出が正しくできる(OK)と判断する。また、例えば、コード検出可否判定手段12は、文書画像をブロック化し、白領域が所定割合以上あるブロックの個数を調べ、ブロック個数が閾値以上の場合には埋め込んだ情報の検出が正しくできると判断する(OK)、反対に閾値未満の場合には埋め込んだ情報の検出が正しくできないと判断する(NG)。
【0035】
ステップS204で、判定結果がOKの場合、ステップS205で、背景地紋画像生成手段10は、制御手段9から入力された情報に基づいて背景地紋画像を生成し、画像蓄積手段3へ格納する。ステップS206で、制御手段9は、印字手段13を起動して、画像蓄積手段3から出力される合成画像のプリント出力を行う。
ステップS204で、判定結果がNGの場合、ステップS207で、制御手段9は、印字動作を中止する。本実施例によれば、画像展開された文書画像を調べ、コード埋込みに適するか否かを判定し、判定結果がOKなら画像出力を許可し、NGなら画像出力を中止することで、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【実施例3】
【0036】
次に、本発明の第3実施例について説明する。図9は、本発明の第3実施例に係る複合機200の構成図である。図9に示すように、複合機200は、第2実施例に係る複合機100と異なり、画像読み取り手段15、コード検出可否判定手段16、用紙排出制御手段17、通常排紙トレイ18及びNG用排紙トレイ19を有する。
【0037】
画像読み取り手段15は、例えばCCD(Charge-Coupled Devices)カメラにより構成され、画像記録手段としての印字手段13により印字された用紙上の画像を読み取る。コード検出可否判定手段16は、画像読み取り手段15により読み取られた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する。用紙排出制御手段17は、コード検出可否判定手段16による判定結果に応じて前記合成画像が記録された用紙の排出動作を制御する。
【0038】
次に、本発明の第3実施例に係る複合機200の動作について説明する。図10は、本発明の第3実施例に係る複合機200の動作フローチャートである。ステップS301で、LAN経由でプリント出力する文書画像データを受信する。ステップS302で、受信したPDLデータを画像展開手段2が展開し、画像蓄積手段3へ出力し、格納する。ステップS303で、背景地紋画像生成手段10は、制御手段9から入力された情報に基づいて背景地紋画像を生成し、内部のバッファに格納する。
【0039】
ステップS304で、制御手段9は、画像合成手段14と印字手段13を起動する。ステップS305で、画像合成手段14は、印字手段13に同期して、画像蓄積手段3から文書画像と背景地紋画像を読み込んで合成し、印字手段13へ出力する。ステップS306で、印字手段13が、合成画像を用紙上に印字する。ステップS307で、ペーパーパス上を搬送される用紙上の画像を画像読み取り手段15で読み取る。ステップS308で、読み取った画像をコード検出可否判定手段16が入力し読み出し、判定処理を実行し、判定結果を制御手段9へ通知する。具体的には、コード検出可否判定手段16は、画像読み取り手段15で読み取った画像に基づいてデジタルコードデコード手段7によるデジタルコードデコード処理と禁止コード検知手段6による禁止コード検知処理と同様の処理を行い、判定結果を制御手段9へ通知する。
【0040】
コード検出可否判定手段16は、デジタルコードデコード処理によるデコードと禁止コード検知処理による検知が両方とも正しくできた場合には判定結果をOKとする。ステップS309で、制御手段9は、判定結果がOKの場合、用紙排出制御手段17へ用紙を通常排紙トレイ18へ排出するように制御する(ステップS310)。一方、コード検出可否判定手段16は、デジタルコードデコード処理によるデコードと禁止コード検知処理による検知の少なくとも一方が失敗した場合には判定結果がNGと判定する。ステップS309で、制御手段9は、判定結果がNGの場合、用紙排出制御手段17へ用紙をNG用排紙トレイ19へ排出するように制御する(ステップS311)。
【0041】
本実施例によれば、実際に合成後の画像を用紙上に印字し、印字後の用紙をトレイに排出するまでのペーパーパスにCCDカメラを設けて画像を読み取る。読取った画像からデジタルコードデコード処理と禁止コード検知処理を行い、デコード/検知が両方とも正しくできた場合は、通常の用紙トレイに用紙を排出し、NGだった場合は、NG用に特別に設けられた用紙トレイに排出する。これにより、プリント出力された文書原稿からは、埋め込まれた情報が確実に検出できるようになる。
【実施例4】
【0042】
次に、本発明の第4実施例について説明する。
本実施例は、公的機関が証明書として発行する公的文書の発行システムに、上述した実施例3の複合機200を適用した実施例である。図11には、公的文書の印刷までのシステム構成を示し、図12に、印刷した公的文書に埋め込んだデジタルコードを検知するシステム構成を示す。本実施例の処理手順を図13に示すフローチャートを参照しながら説明する。
まず、公的文書の取得申請者は、自宅や企業に配置された端末21から公的機関に配置された申請受付端末22にアクセスして、公的文書の取得申請を行う。申請受付端末22は、端末21からのアクセスを受け付けると(ステップS401)、取得申請者に公的文書の取得に必要な情報の入力を要求する。情報が端末21から入力されると、申請受付端末22は端末21に受理番号を通知する。申請受付端末22は、交付端末23に受信した必要情報を通知する。
【0043】
交付端末23は、申請受付端末22から必要情報の通知を受け取る。また、取得申請者に通知した受理番号が交付端末23に入力されると、申請受付端末22から取得した情報を用いて原本サーバ24にアクセスし、取得要求のあった公的文書のデータを取得する(ステップS402)。原本サーバ24には、公的文書が電子化されて格納されている。
公的文書の電子データを取得した交付端末23は、公的文書に埋め込む背景地紋画像を生成して、公的文書の電子データに埋め込む(ステップS403)。背景地紋画像には、この公的文書を印刷する複合機200の識別情報や、複写禁止コードなどが含まれる。背景地紋画像が埋め込まれた公的文書は、複合機200によって印刷される(ステップS404)。
【0044】
次に、複合機200によって印刷した公的文書を複合機200の読み取り手段4で読み取る(ステップS405)。以下では、読み取った画像を解析装置25に転送して(ステップS406)、読み取った画像の解析を行う例を説明するが、上述した実施例3のように、複合機200で画像の解析を行い、解析結果をパネルに表示するようにしてもよい。
解析装置25には、上述した実施例3の複合機200のように、コード検出可否判定手段16、すなわち禁止コード検知手段6とデジタルコードデコード手段7とが設けられている。コード検出可否判定手段16は、これらの手段によってデジタルコードデコード処理によるデコードと、禁止コード検知処理による検知とが両方とも正しくできた場合に、OKの判定を行う(ステップS407)。
さらに、解析装置25は、複合機200の読み取り手段4で読み込んだデータと、原本サーバ24から取得した公的文書のデータとを比較して、両者が一致しているか否かを判定する。両者が一致している場合には、OKの判定を行う(ステップS407)。
【0045】
解析装置25の判定結果は、表示端末26に表示される。公的機関の職員は、背景地紋画像の検知判定がOKであり、公的文書のデータの一致判定がOKの表示が表示端末26に表示された場合に、複合機200で印刷した公的文書を取得申請者に送る。
【0046】
本発明のプログラムは、上述した実施例1〜4の複合機によって実現される。複合機1、100、200には、図14に示すようにCPU(Central Processing Unit)41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、NVRAM(Non Volatile RAM)44、入出力部45などを含む制御部40が搭載されている。制御部40内のCPU41に、ROM42に格納されたプログラムを読み込み、CPU41がこのプログラムに従った処理を行うことで、上述した複合機1、100、200の機能が実現される。具体的には、実施例1の複合機1では、禁止コード検知手段6、デジタルコードデコード手段7、ユーザインタフェース手段8、制御手段9、背景地紋画像生成手段10、画像合成手段11、コード検出可否判定手段12等がプログラム制御によって実現される。また、実施例2の複写機100では、上述した各手段に加えて、画像合成手段14がプログラム制御によって実現される。また、実施例3の複写機200では、上述した各手段に加えて、コード検出可否判定手段16、用紙排出制御手段17がプログラム制御によって実現される。
また、ROM42に格納しているプログラムは、磁気ディスクや光ディスク、半導体メモリ、その他の記録媒体に格納して配布したり、ネットワークを介して配信したりすることにより、提供することができる。
さらに、本発明の第2実施例で説明したコード検出可否判定手段の判定方法は、本発明の第1実施例や第3実施例でも適用することができる。
【0047】
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に係る複合機のブロック図である。
【図2】コードを説明する模式図である。
【図3】パターン番号配列を説明する模式図である。
【図4】パターンの例を示す模式図である。
【図5】プリント出力およびコピー出力の例を示す模式図である。
【図6】本発明の第1実施例に係る複合機の動作フローチャートである。
【図7】本発明の第2実施例に係る複合機の構成図である。
【図8】本発明の第2実施例に係る複合機の動作フローチャートである。
【図9】本発明の第3実施例に係る複合機の構成図である。
【図10】本発明の第3実施例に係る複合機の動作フローチャートである。
【図11】本発明の第4実施例のシステム構成を示す図である。
【図12】本発明の第4実施例のシステム構成を示す図である。
【図13】システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図14】複合機のハードウェア構成を示す図である。
【符号の説明】
【0049】
1 複合機 10 背景地紋画像生成手段
2 画像展開手段 11、14 画像合成手段
3 画像蓄積手段 12 コード検出許可判定手段
4 読み取り手段 13 印字手段
5 スキャン画像処理手段 15 画像読取手段
6 禁止コード検知手段 16 コード検出許可判定手段
7 デジタルコードデコード手段 17 用紙排出制御手段
8 ユーザインタフェース手段 18 通常排紙トレイ
9 制御手段 19 NG用排紙トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書画像を入力する画像入力手段と、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段により合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
文書画像を入力する画像入力手段と、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記画像入力手段により入力された文書画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
文書画像を入力する画像入力手段と、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
前記文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記合成画像を用紙上に記録する画像記録手段と、
前記用紙上の画像を読み取る読み取り手段と、
前記読取手段により読み取られた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像が記録された用紙の排出動作を制御する排出制御手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記文書画像の非白画素の面積を調べ、該文書画像の非白画素の面積率に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能かを判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記判定手段は、前記文書画像をブロック化し、白領域が所定割合以上あるブロックの個数に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能かを判定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の画像処理装置。
【請求項6】
証明書の原本データを登録したサーバ装置と、
取得申請のあった証明書のデータを前記サーバ装置から取得し、前記証明書のデータに所定の情報を埋め込んだ背景地紋画像を合成する合成装置と、
合成した画像を用紙上に印刷する印刷装置と、
前記用紙上の画像を読み取る読取装置と、
前記読取装置により読み取られた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定装置と、
前記判定手段による判定結果を表示する表示装置と、
を有することを特徴とする証明書発行システム。
【請求項7】
コンピュータを、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成ステップで合成した合成画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
コンピュータを、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記入力した文書画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果に応じて前記合成画像の出力を制御する出力制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
コンピュータを、
情報を埋め込んだ背景地紋画像を生成する背景地紋画像生成手段と、
入力した文書画像と前記背景地紋画像を合成する画像合成手段と、
前記合成画像を用紙上に記録させる画像記録手段と、
前記用紙上の画像を読み取らせる読取手段と、
前記読取手段で読み取らせた画像に基づいて前記埋め込んだ情報の検出が可能か否かを判定する判定手段と、
前記判定手段の判定結果に応じて前記合成画像が記録された用紙の排出動作を制御する排出制御手段として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−189667(P2007−189667A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−322380(P2006−322380)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】