説明

画像処理装置、認証管理装置、機能利用制御システム、機能利用制御方法、機能利用制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】機能の利用制限を段階的に行うことが可能な画像処理装置、認証管理装置、機能利用制御システム、機能利用制御方法、機能利用制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供する。
【解決手段】画像処理装置は、当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段32と、実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、制御情報保持手段32で保持される制御情報の中から、機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段123と、決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手段13と、を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設定された利用上限値に従って、画像処理装置が有する機能の利用を制限する機能利用制御システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像処理装置が有する印刷機能において、印刷枚数を制限する上限管理機能が、すでに知られている。
【0003】
このような上限管理機能では、予め設定しておいた上限値に印刷枚数が達すると、その旨を利用者に通知し、印刷を停止する利用制御が行われる。これにより、印刷にかかるコストの削減や資源消費を軽減することができる。一方で、印刷機能の利用は、様々な場面が想定される。そのため、上限管理機能による制御は、利用場面によって、利用者に使いづらさを感じさせることもある。
【0004】
そこで、特許文献1には、ユーザフレンドリーな印刷を可能とする目的で、印刷制限に達しても適切な処理を行う技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の方法では、利用者が印刷制限を段階的に知ることができない。つまり、従来の方法では、印刷継続方法に従った処理結果を得るまで(例えば「印刷モードが変更された印刷結果を得るまで」)、利用者が印刷制限に達したことを知ることができなかった。
【0006】
本来、上限管理機能は、管理者が、利用者による必要以上の機能利用を制限するためのものである。一方で、利用制限により、利用者の使い勝手に影響を及ぼしてはならない。このような点を鑑みると、上限管理機能では、機能の利用制限を段階的に行うように制御することが望ましい。
【0007】
本発明は上記従来技術の問題点を鑑み提案されたものであり、機能の利用制限を段階的に行える画像処理装置、認証管理装置、機能利用制御システム、機能利用制御方法、機能利用制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る画像処理装置は、当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段と、実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段と、決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手段と、を有している。
【0009】
このような構成によって、本発明に係る画像処理装置は、利用上限情報及び累積利用情報を用いて段階的に利用制限を行う複数の制御設定に基づき、機能の利用制限を制御する。
【0010】
これによって、本発明に係る画像処理装置では、機能の利用制限を段階的に行うことができる。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明に係る機能利用制御方法は、当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段を有する画像処理装置における機能利用制御方法であって、実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手順と、前記適用制御決定手順により決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手順と、を有している。
【0012】
このような手順によって、本発明に係る機能利用制御方法は、利用上限情報及び累積利用情報を用いて段階的に利用制限を行う複数の制御設定に基づき、機能の利用制限を制御すると言う動作を実現する。
【0013】
これによって、本発明に係る機能利用制御方法では、機能の利用制限を段階的に行うことが可能な環境を提供できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、段階的に利用制限を行う複数の制御設定に基づき、機能の利用制限を制御することで、機能の利用制限を段階的に行うことが可能な画像処理装置、認証管理装置、機能利用制御システム、機能利用制御方法、機能利用制御プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る機能利用制御の機能構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る利用上限の設定画面例を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る利用制限の実行条件(制御ルール)の設定画面例(その1)を示す図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る制御情報のデータ例(その1)を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る累積利用情報のデータ例を示す図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る機能利用の制御処理手順例(その1)を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施形態に係る制御レベルの設定画面例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る利用上限到達時の制御内容の設定画面例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態に係る利用制限の実行条件(制御ルール)の設定画面例(その2)を示す図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る制御情報のデータ例(その2)を示す図である。
【図12】本発明の第1の実施形態に係る機能利用の制御処理手順例(その2)を示すフローチャートである。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る機能利用制御システムの構成例を示す図である。
【図14】本発明の第2の実施形態に係る認証管理装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図15】本発明の第2の実施形態に係る機能利用制御システムの機能構成例を示す図である。
【図16】本発明の第2の実施形態に係る利用者情報のデータ例を示す図である。
【図17】本発明の第2の実施形態に係る利用上限情報のデータ例を示す図である。
【図18】本発明の第2の実施形態に係る制御情報のデータ例を示す図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る累積利用情報のデータ例を示す図である。
【図20】本発明の第2の実施形態に係る機能利用の制御処理手順例を示すフローチャートである。
【図21】本発明の変形例に係る機能利用制御システムの機能構成例(その1)を示す図である。
【図22】本発明の変形例に係る機能利用制御システムの機能構成例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施の形態(以下「実施形態」と言う)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
[第1の実施形態]
<ハードウェア構成>
図1は、本実施形態に係る画像処理装置100のハードウェア構成例を示す図である。
図1に示すように、画像処理装置100は、コントローラ110、操作パネル120、プロッタ130、及びスキャナ140などを備え、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0018】
操作パネル120は、表示部及び入力部を備えており、機器情報などの各種情報をユーザに提供したり、動作設定や動作指示などの各種ユーザ操作を受け付けたりする。プロッタ130は、画像形成部を備えており、用紙に出力画像を形成する。出力画像を形成する方式には、例えば、電子写真プロセスやインクジェット方式などがある。スキャナ140は、原稿を光学的に読み取り、読み取り画像を生成する。
【0019】
コントローラ110は、CPU(Central Processing Unit)111、記憶装置112、ネットワークI/F113、及び外部記憶I/F114などを備えており、それぞれが相互にバスBで接続されている。
【0020】
CPU111は、プログラムを実行することで装置全体を制御する。また、記憶装置112は、上記プログラムや各種データ(例えば「画像データ」)を格納し保持する。記憶装置112には、例えば、揮発性のメモリであるRAM(Random Access Memory)、不揮発性のメモリであるROM(Read Only Memory)、及び大容量の記憶領域を備えたHDD(Hard Disk Drive)などがある。RAMは、CPU111のワークエリア(プログラムやデータが一時的に読み出される記憶エリア)として機能する。ROMやHDDは、プログラムや各種データの格納先として用いられる。これにより、画像処理装置100では、CPU111がROMに格納されたプログラムをRAM上に読み出し、プログラムを実行する。
【0021】
ネットワークI/F113は、画像処理装置100をネットワークなどの所定のデータ伝送路N(例えば「LAN:Local Area Network」)に接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置100では、通信手段を備えた外部機器とデータ通信を行うことができる。
【0022】
外部記憶I/F114は、外部記憶装置にあたる記録媒体114aを接続するためのインタフェースである。これにより、画像処理装置100では、外部記憶I/F114を介して、記録媒体114aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体114aには、例えば、SDメモリカード(SD Memory Card)やUSBメモリ(Universal Serial Bus Memory)などがある。
【0023】
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100では、上記ハードウェア構成により、各種画像処理サービス(画像処理機能)を提供することができる。
【0024】
<利用制御機能>
本実施形態に係る利用制御機能について説明する。
本実施形態に係る画像処理装置100では、機能の利用制限を段階的に行う利用制御機能を有している。まず、画像処理装置100には、機能利用の上限値を示す利用上限情報と、機能の利用履歴から算出された利用量の累積値を示す累積利用情報と、利用上限情報及び累積利用情報を用いて段階的に利用制限を行う複数の制御設定を含む制御情報とが、所定の記憶領域に保持されている。画像処理装置100は、機能の実行要求を受け付けると、受け付けた処理内容に対応する制御設定の有無を判定する。続いて、画像処理装置100は、存在すると判定された複数の制御設定のうち、利用上限値及び累積利用量を用いた利用制限の実行条件判定に基づき、機能実行時に適用する制御設定を決定する。画像処理装置100は、決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容(以下「利用制限内容」と言う)に従って、機能の利用制限を制御する。
【0025】
これにより、本実施形態に係る画像処理装置100では、利用者が、累積利用量に応じた利用制限を確認でき、機能をその制限範囲内で最大限に利用できる。つまり、本実施形態に係る利用制限機能は、機能を利用したい利用者と利用制限を行いたい管理者との要望に柔軟に対応可能な機能実行環境を提供できる。
【0026】
以下に、本実施形態に係る利用制御機能の構成とその動作について説明する。なお、以降には、画像処理装置100の搭載機能のうち、利用制限対象の機能として印刷機能を例に説明するが、本実施形態に係る利用制御機能は、印刷機能以外の搭載機能(例えば「原稿読み取り機能」)にも対応可能である。また、本実施形態に係る印刷機能では、画像処理装置100が複合機の場合、コピー、プリンタ、FAXなどによる各処理を含む。よって、以降の説明に示される「総印刷枚数」とは、コピー枚数、プリント枚数、FAX枚数などの印刷機能による処理内容ごとの印刷枚数の合計値である。
【0027】
図2は、本実施形態に係る機能利用制御の機能構成例を示す図である。
図2に示すように、本実施形態に係る利用制御機能は、処理要求受付部11、利用制限制御部12、機能処理制御部13、ログ生成部14、及び各種情報管理部21,22,23などを有している。
【0028】
処理要求受付部11は、機能の実行要求を受け付ける機能部である。処理要求受付部11は、実行要求時に受け付けたイベント通知から、要求された処理内容を示す情報を取得する。処理要求受付部11は、取得情報を利用制限制御部12へと渡す。
【0029】
利用制限制御部12は、実行要求された機能に対する利用制限の適用を制御する機能部である。利用制限制御部12は、利用上限値及び累積利用量に基づき、利用上限値及び累積利用量を用いて段階的に利用制限を行う複数の制御設定を含む制御情報の中から、機能実行時に適用する制御設定を決定する。利用制限制御部12は、決定した制御設定の利用制限内容に基づき、機能処理制御部13に対して、利用制限を適用した機能の実行を指示する。
【0030】
そのため、本実施形態に係る画像処理装置100では、利用制限制御部12が用いる利用上限値、制御設定、及び累積利用量の各種情報を管理する機能部を有している。
【0031】
以下に、これらの機能部について説明する。
利用上限情報管理部21は、利用上限値(利用上限情報)を管理する機能部である。利用上限情報管理部21は、利用上限情報保持部31にアクセスし、指示されたデータ操作を行い、保持される利用上限情報を管理する。なお、利用上限情報保持部31は、例えば、当該装置が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたり、データ操作には、例えば、データ格納(登録設定・更新)、消去(削除)、取得、参照(検索)などがある。
【0032】
利用上限情報管理部21は、例えば、図3に示す設定画面W1を、利用上限情報31Dの設定環境として表示(提供)する。
図3は、本実施形態に係る利用上限の設定画面例を示す図である。
図3には、設定時における印刷機能の累積利用量を確認し、その上で上限印刷枚数である利用上限情報31Dを設定可能な画面例が示されている。例えば、設定画面W1では、テキストボックスに入力された上限印刷枚数を利用上限情報31Dとして設定できる。利用上限情報管理部21は、設定画面上の[OK]ボタンが押下されると、設定指示に従って、入力値を利用上限情報31Dとして利用上限情報保持部31に格納(登録設定)する。
【0033】
これにより、利用制限制御部12では、利用上限情報管理部21に対して、データ参照を指示することで、設定された利用上限値が得られる。
【0034】
制御情報管理部22は、利用制限の実行条件(制御ルール)を示す情報(制御設定)を管理する機能部である。制御情報管理部22は、制御情報保持部32にアクセスし、指示されたデータ操作を行い、保持される制御情報を管理する。なお、制御情報保持部32は、利用上限情報保持部31と同様に、所定の記憶領域にあたり、行われるデータ操作も同じである。
【0035】
制御情報管理部22は、例えば、図4に示す設定画面W2を、制御情報32Dの設定環境として表示(提供)する。
図4は、本実施形態に係る利用制限の実行条件(制御ルール)の設定画面例(その1)を示す図である。
図4には、利用上限に達した際に適用候補となる利用制限の実行条件が設定可能な画面例が示されている。例えば、設定画面W2では、チェックボックスにより選択された利用制限の有効/無効と、プルダウンメニュー項目を組み合わせて選択されたコピー、プリンタ、FAXなどの処理内容、処理内容に対応する利用制限の実行条件、及び利用制限内容とを、制御情報32Dとして設定できる。また、設定画面W2では、設定された上限印刷枚数に対して、「累積印刷枚数がどのぐらいの割合(何%)まで達したか」を、利用制限の判定基準(閾値)として設定可能である例が示されている。
【0036】
本実施形態では、このような設定環境(利用制限の実行条件及び利用制限内容を処理内容ごとに組み合わせる設定方法)を提供することで、画像処理装置100が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を、設定情報32Dとして設定可能としている。
【0037】
制御情報管理部22は、設定画面上の[OK]ボタンが押下されると、設定指示に従って、選択入力値を制御情報32Dとして制御情報保持部32に格納(登録設定)する。その結果、制御情報保持部32では、例えば、図5に示すようなデータ構造により、各選択入力値が、制御情報32Dとして保持される。
【0038】
図5は、本実施形態に係る制御情報32Dのデータ例(その1)を示す図である。
図5に示すように、制御情報32Dは、管理番号、処理内容、利用制限定義、有効/無効などの各種情報項目を有し、項目値が登録制御ごとに対応付けられている。
【0039】
[管理番号]項目は、登録制御設定ごとに採番されたユニークな情報(登録管理情報)の項目である。[処理内容]項目は、処理内容を識別する情報(処理内容識別情報)の項目である。[利用制限定義]項目は、利用制限が定義された情報(利用制限定義情報)の項目であり、項目値は、例えば、利用上限値を用いて算出された閾値と累積利用量とを比較・判定する条件式(利用制限の実行条件)と、条件を満たす場合の利用制限内容などである。なお、本実施形態に係る閾値は、利用上限値に対する累積利用量の到達度を段階的に示す割合を、利用上限値に乗算した算出値としている。[有効/無効]項目は、登録制御設定の有効/無効を示す情報(有効/無効設定情報)の項目である。各項目値は、制御情報管理部22により、格納される。制御情報管理部22は、該当情報項目の項目値に、設定画面W2を介して受け取った各選択入力値を格納する。
【0040】
これにより、利用制限制御部12では、制御情報管理部22に対して、処理内容に基づきデータ参照を指示することで、処理内容に対応する有効な制御設定が得られる。
【0041】
例えば、図5に示す制御情報32Dには、図4に示す設定画面W2により、段階的に設定された、処理内容が「カラープリント」の場合の複数の制御設定が、管理番号2から4に示されている。具体的には、次の通りである。管理番号4の制御設定には、累積印刷枚数が上限印刷枚数の2割に達した場合にフルカラーから2色プリントに利用制限する制御が設定されている。また、管理番号3の制御設定には、累積印刷枚数が上限印刷枚数の3割に達した場合にフルカラーから単色プリントに利用制限する制御が設定されている。管理番号2の制御設定には、累積印刷枚数が上限印刷枚数の4割に達した場合にフルカラーからモノクロプリントに利用制限する制御が設定されている。また、これら3つのうち、管理番号2,4の制御設定が、有効な設定である。
【0042】
このように、制御情報32Dには、処理内容が「カラープリント」の場合、上限印刷枚数に対する累積印刷枚数の割合を設定することで、段階的な利用制限の実行条件を設定できる。また、利用制限の各実行条件に対応させて、フルカラー、2色、単色、モノクロといった異なる利用制限内容を設定できる。つまり、本実施形態に係る制御情報32Dでは、利用上限値に対する累積利用量の割合が少なければ(到達度が低ければ)、制限範囲内で、機能を最大限に利用できる制御設定ができる。
【0043】
累積利用情報管理部23は、累積利用量(累積利用情報)を管理する機能部である。累積利用情報管理部23は、累積利用情報保持部33にアクセスし、指示されたデータ操作を行い、保持される累積利用情報を管理する。なお、累積利用情報保持部33は、利用上限情報保持部31と同様に、所定の記憶領域にあたり、行われるデータ操作も同じである。
【0044】
累積利用情報管理部23は、格納指示に従って、機能の利用履歴(ログ)から算出された利用量の累積値を累積利用情報33Dとして累積利用情報保持部33に格納する。その結果、累積利用情報保持部33では、例えば、図6に示すようなデータ構造により、処理内容ごとの累積利用量が、累積利用情報33Dとして保持される。
【0045】
図6は、本実施形態に係る累積利用情報33Dのデータ例を示す図である。
図6に示すように、累積利用情報33Dは、総印刷枚数を示す情報項目と、カラー、2色、片面、両面、FAXなどの処理内容ごとの情報項目とを有している。総印刷枚数は、総累積利用量にあたり、カラー、2色、片面、両面、FAXなどの各印刷枚数は、処理内容ごとの累積利用量にあたる。よって、総累積利用量は、同一機能の全ての処理内容の累積利用量を合算した値である。
【0046】
[カラー]項目は、コピーやプリンタを利用してフルカラー印刷を行った場合の印刷枚数を示す情報(カラー印刷枚数情報)の項目である。[2色]項目は、コピーやプリンタを利用して2色印刷を行った場合の印刷枚数を示す情報(2色印刷枚数情報)の項目である。[片面]項目は、片面印刷を行った場合の印刷枚数を示す情報(片面印刷枚数情報)の項目である。[両面]項目は、両面印刷を行った場合の印刷枚数を示す情報(両面印刷枚数情報)の項目である。[FAX]項目は、FAXを利用した印刷が行われた場合の印刷枚数を示す情報(FAX印刷枚数情報)の項目である。各項目値は、累積利用情報管理部23により格納される。累積利用情報管理部23は、該当情報項目の項目値に、利用履歴(ログ)から算出された処理内容ごとの印刷枚数を加算し、更新された項目値を累積印刷枚数として格納する。また、利用履歴(ログ)は、印刷機能の実行単位(印刷ジョブ単位)で生成されるため、累積利用情報33Dの項目値は、印刷機能の実行に合わせて更新される。
【0047】
これにより、利用制限制御部12では、累積利用情報管理部23に対して、処理内容に基づきデータ参照を指示することで、処理内容に対応する累積利用量が得られる。
【0048】
図2の説明に戻る。利用制限制御部12は、上限設定判定部121、制御設定判定部122、及び適用制御決定部123を有し、次のようにして、実行要求された機能に対する利用制限の適用を制御する。
【0049】
上限設定判定部121は、利用上限情報管理部21を介して、利用上限情報保持部31にアクセスし、利用上限情報31Dを参照する。利用上限判定部121は、利用上限情報31Dとして利用上限値が存在するか否か(利用上限値の有無)を判定する。
【0050】
利用制限制御部12は、利用上限値があると判定された場合、実行要求された機能に対して、利用制限を行う必要があると判断し、適用する制御設定の決定処理へと移行する。一方、利用制限制御部12は、利用上限値がないと判定された場合、実行要求された機能に対して、利用制限を行う必要がないと判断し、機能の通常実行処理(利用制限のない処理)へと移行する。
【0051】
制御設定判定部122は、実行要求された処理内容を示す情報に基づき、制御情報管理部22を介して、制御情報保持部32にアクセスし、制御情報32Dを参照する。制御設定判定部122は、処理内容に対応する制御情報32Dとして有効な制御設定が存在するか否か(制御設定の有無)を判定する。
【0052】
利用制限制御部12は、該当する制御設定があると判定された場合、制御設定判定部122により、該当した制御設定が複数存在するか否かを判定する。一方、利用制限制御部12は、該当する制御設定がないと判定された場合、利用上限値と総累積利用量との大小比較に基づく利用制限の実行処理へと移行する。
【0053】
利用制限制御部12は、該当した制御設定が複数存在しないと判定された場合(該当設定が1つの場合)、適用制御決定部123により、該当した制御設定を機能実行時に適用する制御設定として決定する。一方、利用制限制御部12は、複数存在すると判定された場合、適用制御決定部123により、該当した制御設定の中から、機能実行時に適用する制御設定を特定する。このとき、適用制御決定部123は、利用上限情報管理部21及び累積利用情報管理部23を介して、利用上限情報保持部31及び累積利用情報保持部33にアクセスし、利用上限情報31D及び累積利用情報33Dを参照する。
【0054】
これにより、適用制御決定部123は、該当した制御設定のうち、利用上限情報31D及び累積利用情報33Dを用いた利用制限の実行条件判定に基づき、制御設定を特定し、特定した制御設定を機能実行時に適用する制御設定として決定する。
【0055】
適用制御決定部123による具体的な決定方法は、次のとおりである。なお、以下の特定例は、実行要求された処理内容が「カラープリント」で、制御情報保持部32が図5に示す制御情報32Dを保持し、利用上限情報保持部31が利用上限値[10000]を保持している場合である。
【0056】
適用制御決定部123は、管理項目2,4の有効な制御設定により、該当する制御情報32Dが2つ存在(複数存在)すると判定する。つまり、この時点では、「累積印刷枚数が上限印刷枚数の2割に達した場合に2色プリントに利用制限する制御設定」と、「累積印刷枚数が上限印刷枚数の4割に達した場合にモノクロプリントに利用制限する制御設定」とが、適用候補となる。
【0057】
続いて、適用制御決定部123は、利用上限値及び累積印刷枚数を用いた利用制限の実行条件判定に基づき、制御設定を特定する。
【0058】
例えば、累積利用情報保持部33がカラープリントの累積印刷枚数[2500]を保持している場合、適用制御決定部123は、利用上限値[10000]及び累積印刷枚数[2500]を、それぞれの制御設定の条件式に代入する。その結果、適用制御決定部123は、2つの制御設定のうち、条件を満たす「累積印刷枚数が上限印刷枚数の2割に達した場合に2色プリントに利用制限する制御設定」を特定し、特定した制御設定を機能実行時に適用する制御設定として決定する。
【0059】
また、例えば、累積利用情報保持部33がカラープリントの累積印刷枚数[4500]を保持している場合、適用制御決定部123は、利用上限値[10000]及び累積印刷枚数[4500]を、それぞれの制御設定の条件式に代入する。その結果、2つの制御設定が、条件を満たすことになる。この場合、適用制御決定部123は、利用上限値に対する累積印刷枚数の割合が多い(達成度の高い)利用制限の実行条件が設定された制御設定を特定する。つまり、適用制御決定部123は、2つの制御設定のうち、「累積印刷枚数が上限印刷枚数の4割に達した場合にモノクロプリントに利用制限する制御設定」を機能実行時に適用する制御設定として決定する。このように、適用制御決定部123では、複数の制御設定において条件が満たされた場合、利用制限を行うか否かを判定するための閾値が大きい制御設定を、機能実行時に適用する制御設定として決定する。
【0060】
機能処理制御部13は、実行要求された機能の実行処理を制御する機能部である。機能処理制御部13は、利用制限制御部12により決定された制御設定に基づき、制御設定の利用制限内容に従って(利用制限内容を適用し)、機能の実行を制御し、利用制限を行う。
【0061】
ログ生成部14は、機能の利用履歴(ログ)を生成する機能部である。また、ログ生成部14は、利用量算出部141を有し、生成した利用履歴(ログ)に基づき、機能の利用量(実行機能が印刷機能の場合は印刷枚数)を算出する。ログ生成部14は、算出した利用量を、処理内容を示す情報とともに、累積利用情報管理部23へと渡し、データ格納を指示する。
【0062】
以上のように、本実施形態に係る利用制御機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る利用制御機能は、画像処理装置100に搭載(インストール)されるプログラム(利用制御機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0063】
本実施形態に係る機能部群の連携動作について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0064】
図7は、本実施形態に係る機能利用の制御処理手順例(その1)を示すフローチャートである。
【0065】
図7(A)に示すように、画像処理装置100は、処理要求受付部11により、機能の実行要求を受け付ける(ステップS101)。このとき、処理要求受付部11は、実行要求された処理内容を示す情報を取得する。
【0066】
画像処理装置100は、利用上限制御部12の上限設定判定部121により、利用上限値の有無を判定する(ステップS102)。このとき、上限設定判定部121は、利用上限情報管理部21を介して、利用上限情報保持部31で保持する利用上限情報31Dを参照する。これにより、上限設定判定部121は、利用上限値の有無を判定する。
【0067】
画像処理装置100は、利用上限値が存在すると判定した場合(ステップS102:YES)、利用制限制御部12の制御設定判定部122により、処理内容に対応する制御設定の有無を判定する(ステップS103)。このとき、制御設定判定部122は、制御情報管理部22を介して、制御限情報保持部32で保持する制御情報32Dを参照する。これにより、制御設定判定部122は、処理内容を示す情報に基づき、処理内容に対応する制御設定の有無を判定する。
【0068】
画像処理装置100は、処理内容に対応する制御設定が存在すると判定した場合(ステップS103:YES)、制御設定判定部122により、該当する制御設定が複数存在するか否かを判定する(ステップS104)。
【0069】
画像処理装置100は、該当する制御設定が複数存在すると判定した場合(ステップS104:YES)、利用制限制御部12の適用制御決定部123により、複数の制御設定の中から、実行要求された機能の利用制限に適用する制御設定を決定する(ステップS105)。なお、画像処理装置100は、該当する制御設定が複数存在しないと判定した場合(ステップS104:NO)、該当する制御設定を、適用する制御設定として決定する。
【0070】
適用制御決定部123は、ステップS105において、次のような適用制御設定の決定処理を行う。まず、適用制御決定部123は、累積利用情報管理部23を介して、累積利用情報保持部33で保持する累積利用情報33Dを参照し、処理内容を示す情報に基づき、処理内容に対応する累積利用量を取得する。適用制御決定部123は、利用上限値及び累積利用量を、適用候補である制御設定の条件式に代入し、条件を満たす制御設定を特定する。このとき、適用制御決定部123は、制御設定の条件式に定義された閾値と累積利用量との大小比較に基づき、条件を満たす制御設定を特定する。
【0071】
その結果、適用制御決定部123は、条件を満たす制御設定を一意に特定できれば、特定した制御設定を、適用する制御設定として決定する。一方、適用制御決定部123は、条件を満たす制御設定が一意に特定できなければ(複数存在した場合)、制御設定の条件式に定義された閾値の大小比較に基づき、適用する制御設定を決定する。つまり、適用制御決定部123は、利用制限を行うか否かを判定するための閾値が大きい制御設定を、適用する制御設定として決定する。
【0072】
これにより、画像処理装置100では、利用上限値に対する累積利用量の到達度に応じた機能の利用制限が実施される。つまり、画像処理装置100では、実行要求された機能に対して、累積利用量に応じた段階的な利用制限が行われる。
【0073】
画像処理装置100は、利用制限制御部12により、決定された制御設定の利用制限内容に従って、機能処理制御部13に対し、実行を指示する(ステップS106)。このとき、利用制限制御部12は、利用制限内容の設定値を、機能処理制御部13へと渡し、実行を指示する。
【0074】
画像処理装置100は、機能処理制御部13により、制限範囲内で、処理の継続が可能な否かを判定する(利用制限内容が印刷不可か否かを判定:ステップS107)。このとき、機能処理制御部13は、利用制限内容の設定値に基づき、処理の継続が可能な否かを判定する。
【0075】
画像処理装置100は、処理の継続が可能と判定した場合(ステップS107:YES)、機能処理制御部13により、利用制限内容に従って、実行要求された機能の処理を実行する(ステップS108)。このとき、機能処理制御部13は、例えば、実行機能に適用された利用制限内容や利用制限段階を示す情報を操作パネル120に表示し、情報通知する。
【0076】
これにより、画像処理装置100では、利用者が、累積利用量に応じた利用制限を確認でき、機能をその制限範囲内で最大限に利用できる。
【0077】
一方、画像処理装置100は、処理の継続が不可能と判定した場合(ステップS107:NO)、機能処理制御部13により、所定のエラー処理を行った後に、処理が終了する。エラー処理には、例えば、操作パネル120への情報通知などがある。
【0078】
また、画像処理装置100は、利用上限値が存在しないと判定した場合(ステップS102:NO)、利用制限制御部12が、実行要求された機能に対して利用制限を行う必要がないと判断する。その結果、画像処理装置100は、機能処理制御部13により、通常の実行処理が行われる。
【0079】
また、画像処理装置100は、利用上限値は存在するが、処理内容に対応する制御設定が存在しないと判定した場合(ステップS103:NO)、利用制限制御部12が、実行要求された機能に対して利用上限値及び総累積利用量を用いた利用制限を行う必要があると判断する。このとき、利用制限制御部12は、累積利用情報管理部23を介して、累積利用情報保持部33で保持する累積利用情報33Dを参照し、総累積利用量を取得し、利用上限値及び総累積利用量を、機能処理制御部13へと渡す。その結果、画像処理装置100は、機能処理制御部13により、利用上限値と総累積利用量との大小比較に基づく継続判定処理が行われる。このとき、機能処理制御部13では、総累積利用量が利用上限値に達していれば、処理の継続が不可能と判定される。
【0080】
次に、図7(B)を用いて、累積利用情報33Dの記録処理について説明する。なお、累積利用情報33Dの記録処理は、図7(A)に示すステップS108において、機能処理制御部13と連携して実行される。
【0081】
図7(B)に示すように、画像処理装置100は、機能処理制御部13により、要求機能が実行されると、ログ生成部14が、実行機能の利用履歴(ログ)を生成する(ステップS201)。
【0082】
画像処理装置100は、利用量算出部141により、生成した利用履歴(ログ)に基づき、機能実行による利用量(ジョブ実行時の利用量)を算出する(ステップS202)。
【0083】
画像処理装置100は、ログ生成部14により、累積利用情報管理部23に対して、累積利用情報33Dの更新を要求する。このとき、ログ生成部14は、算出した利用量を、実行機能の処理内容を示す情報とともに、累積利用情報管理部23へと渡し、データ格納を指示する。
【0084】
《制御レベルに基づく利用制限制御の動作例》
ここからは、総累積利用量が利用上限値に達した場合、設定しておいた利用制限の制御レベルを上げて、利用制限を制御する機能について説明する。
【0085】
図8は、本実施形態に係る制御レベルの設定画面例を示す図である。
図8には、利用制限対象の処理内容と処理内容に対応する利用制限内容の制御レベルが設定可能な画面例が示されている。例えば、設定画面W3では、プルダウンメニュー項目により選択された利用制限対象の処理内容と、プルダウンメニュー項目を組み合わせて選択された処理内容に対応する利用制限内容及び制御レベル(レベル1〜4)とを、制御情報32Dとして設定できる。
【0086】
本実施形態では、このような設定環境(利用制限の制御レベル及び利用制限内容を処理内容ごとに組み合わせる設定方法)を提供することで、機能実行時に適用する利用制限内容を指定する制御レベルを設定可能としている。
【0087】
図9は、本実施形態に係る利用上限到達時の制御内容の設定画面例を示す図である。
図9には、利用上限値である上限印刷枚数に達した際の制御内容が設定可能な画面例が示されている。例えば、設定画面W4では、プルダウンメニュー項目により選択された上限到達時の制御内容を、制御情報32Dとして設定できる。また、設定画面W4では、制御内容として「制御レベルを1上げる」が選択されている。
【0088】
本実施形態では、このような設定環境を提供することで、利用上限値に達した際に行う制御内容を設定可能としている。本実施形態では、このように設定された制御内容に基づき、実行要求された機能に対して適用する利用制限を制御する。
【0089】
図10は、本実施形態に係る利用制限の実行条件(制御ルール)の設定画面例(その2)を示す図である。
図10には、図4と同様に、利用上限に達した際に適用候補となる利用制限の実行条件が設定可能な画面例が示されている。例えば、設定画面W5では、プルダウンメニュー項目を組み合わせて選択されたコピー、プリンタ、FAXなどの処理内容、処理内容に対応する利用制限の実行条件、及び各制御レベルが割り当てられた利用制限内容を、制御情報32Dとして設定できる。
【0090】
本実施形態では、このような設定環境を提供することで、画像処理装置100が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる制御レベルが割り当てられた利用制限内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を、設定情報32Dとして設定可能としている。
【0091】
図11は、本実施形態に係る制御情報32Dのデータ例(その2)を示す図である。
図11には、図10に示す設定画面W5を介して設定された制御情報32Dの例が示されている。よって、制御情報32Dは、情報項目に[制御レベル]項目を有し、制御情報管理部22により、利用制限内容に割り当てられた制御値が、項目値として格納される。
【0092】
図12は、本実施形態に係る機能利用の制御処理手順例(その2)を示すフローチャートである。図12には、利用制限の制御レベルに基づく利用制限の制御処理例が示されている。なお、以下の説明では、図7と略同一の処理手順について、その説明を簡略する。
【0093】
図12に示すように、画像処理装置100は、処理要求受付部11により、機能の実行要求を受け付ける(ステップS301)。
【0094】
画像処理装置100は、利用上限制御部12の上限設定判定部121により、利用上限値の有無を判定する(ステップS302)。
【0095】
画像処理装置100は、利用上限値が存在すると判定した場合(ステップS302:YES)、利用制限制御部12の制御設定判定部122により、処理内容に対応する制御設定の有無を判定する(ステップS303)。
【0096】
画像処理装置100は、処理内容に対応する制御設定が存在すると判定した場合(ステップS303:YES)、制御設定判定部122により、該当する制御設定が複数存在するか否かを判定する(ステップS304)。
【0097】
画像処理装置100は、該当する制御設定が複数存在すると判定した場合(ステップS304:YES)、利用制限制御部12の適用制御決定部123により、複数の制御設定の中から、実行要求された機能の利用制限に適用する制御設定を決定する(ステップS305)。なお、画像処理装置100は、該当する制御設定が複数存在しないと判定した場合(ステップS304:NO)、該当する制御設定を、適用する制御設定として決定する。
【0098】
画像処理装置100は、利用制限制御部12により、総累積利用量が利用上限値に達したか否かを判定する(ステップS306)。このとき、利用制限制御部12は、累積利用情報管理部23を介して、累積利用情報保持部33で保持する累積利用情報33Dを参照し、総累積利用量を取得する。これにより、利用制限制御部12は、取得した総累積利用量と利用上限値との大小比較に基づき、総累積利用量が利用上限値に達したか否かを判定する。
【0099】
画像処理装置100は、総累積利用量が利用上限値に達したと判定した場合(ステップS306:YES)、利用制限制御部12により、利用上限値に達した際の制御内容が「制御レベルアップ」又は「処理継続不可」を判定する(ステップS307)。このとき、利用制限制御部12は、利用上限値に達した際の制御内容の設定値に基づき、「制御レベルアップ」又は「処理継続不可」を判定する。
【0100】
画像処理装置100は、利用上限値に達した際の制御内容が「処理継続不可」と判定した場合(ステップS307:[処理継続不可])、機能処理制御部13により、所定のエラー処理を行った後に、処理が終了する。一方、画像処理装置100は、利用上限値に達した際の制御内容が「制御レベルアップ」と判定した場合(ステップS307:[制御レベルアップ])、利用制限制御部12が、決定された制御設定の利用制限内容を、レベルアップ後(例えば「レベルを1又は2上げた後」)の制御レベルが割り当てられた利用制限内容に変更する必要があると判断する。
【0101】
画像処理装置100は、利用制限制御部12により、決定された制御設定の利用制限内容に従って、機能処理制御部13に対し、実行を指示する(ステップS308)。このとき、利用制限制御部12は、利用上限値に達した際の制御内容が「制御レベルアップ」の場合、決定された制御設定の利用制限内容を、レベルアップ後の制御レベルが割り当てられた利用制限内容に変更する。その結果、利用制限制御部12は、変更した利用制限内容に従って、機能処理制御部13に対し、実行を指示する。例えば、利用制限制御部12は、利用上限値に達した際の制御内容が「制御レベルを1上げる」の場合、次のような内容変更を行う。利用制限制御部12は、決定された制御設定の利用制限内容が、制御レベル[2]が割り当てられた「単色プリント」の場合、制御レベルを1上げて、制御レベル[3]が割り当てられた「モノクロプリント」へと変更する。なお、利用制限制御部12は、決定した制御設定の利用制限内容が、最上位の制御レベル[4]が割り当てられた「プリント不可」の場合、内容変更を行わない。
【0102】
これにより、画像処理装置100では、総累積利用量が利用上限値に達した場合、実行要求された機能に対して、制限範囲をさらに限定した利用制限が適用される。つまり、画像処理装置100では、利用上限到達後、利用制限の範囲を段階的に狭めることができる。
【0103】
画像処理装置100は、機能処理制御部13により、制限範囲内で、処理の継続が可能な否かを判定する(利用制限内容が印刷不可か否かを判定:ステップS309)。
【0104】
画像処理装置100は、処理の継続が可能と判定した場合(ステップS309:YES)、機能処理制御部13により、利用制限内容に従って、実行要求された機能の処理を実行する(ステップS310)。一方、画像処理装置100は、処理の継続が不可能と判定した場合(ステップS309:NO)、機能処理制御部13により、所定のエラー処理を行った後に、処理が終了する。
【0105】
なお、画像処理装置100は、利用上限値に達した際の制御内容が「何もしない」の場合、利用制限制御部12により、決定された制御設定の利用制限内容が変更されることなく、機能処理制御部13に対し、実行が指示される。
【0106】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る画像処理装置100によれば、機能の利用制限を段階的に行う利用制御機能を有している。
【0107】
まず、画像処理装置100には、利用上限情報31Dと、累積利用情報33Dと、利用上限情報31D及び累積利用情報33Dを用いて段階的に利用制限を行う複数の制御設定を含む制御情報32Dとが、利用上限情報保持部31、累積利用情報保持部33、及び制御情報保持部32に保持されている。
【0108】
画像処理装置100は、機能の実行要求を受け付けると、利用制限制御部12により、受け付けた処理内容に対応する制御設定の有無を判定する。続いて、画像処理装置100は、利用制限制御部12により、存在すると判定された複数の制御設定のうち、利用上限値及び累積利用量を用いた利用制限の実行条件判定に基づき、機能実行時に適用する制御設定を決定する。画像処理装置100は、機能処理制御部13により、決定した制御設定の利用制限内容に従って、機能の利用制限を制御する。
【0109】
これによって、本実施形態に係る画像処理装置100では、機能の利用制限を段階的に行える。その中で、利用者は、累積利用量に応じた利用制限を確認でき、機能をその制限範囲内で最大限に利用できる。つまり、本実施形態に係る利用制限機能は、機能を利用したい利用者と利用制限を行いたい管理者との要望に柔軟に対応可能な機能実行環境を提供できる。
【0110】
[第2の実施形態]
本実施形態では、機能実行を要求する利用者の認証処理を行い、利用者又は利用者が属する所属(グループ)ごと利用上限情報、制御情報、及び累積利用情報が管理されているシステム構成について説明する。なお、以降では、第1の実施形態と略同一の事項について、その説明を簡略する(同一事項については、同じ参照符号を付し、その説明を省略する)。
【0111】
<システム構成>
図13は、本実施形態に係る機能利用制御システム1の構成例を示す図である。
図13には、1又は複数の画像処理装置100〜100(以降総称する場合「画像処理装置100」と言う)と、認証管理装置(認証管理サーバ)200とが、ネットワークなどのデータ伝送路Nで接続されるシステム構成例が示されている。
【0112】
認証管理装置200は、画像処理装置100で受け付けた認証情報に基づき、機器及び/又は機能を利用する利用者の認証・権限を管理する機器(認証・権限確認機能を有する機器)であり、例えば、PC(Personal Computer)などの情報処理装置である。
【0113】
以上のように、本実施形態に係る機能利用制御システム1では、上記システム構成により、利用者の認証・権限の確認結果に基づく機能利用制御サービスを提供することができる。
【0114】
<ハードウェア構成>
図14は、本実施形態に係る認証管理装置200のハードウェア構成例を示す図である。
図14に示すように、認証管理装置200は、入力装置201、表示装置202、ドライブ装置203、RAM204、ROM205、CPU206、インタフェース装置207、及びHDD208などを備え、それぞれがバスBで相互に接続されている。
【0115】
入力装置201は、キーボードやマウスなどを含み、認証管理装置200に各操作信号を入力するのに用いられる。表示装置202は、ディスプレイなどを含み、認証管理装置200による処理結果を表示する。
【0116】
インタフェース装置207は、認証管理装置200をデータ伝送路Nに接続するインタフェースである。これにより、認証管理装置200では、インタフェース装置207を介して、画像処理装置100とデータ通信を行うことができる。
【0117】
HDD208は、プログラムやデータを格納している不揮発性の記憶装置である。格納されるプログラムやデータには、装置全体を制御する情報処理システム(例えば「Windows(商標又は登録商標)」や「UNIX(商標又は登録商標)」などの基本ソフトウェアであるOS(Operating System))、及びシステム上において各種機能(例えば「機器管理機能」)を提供するアプリケーションなどがある。また、HDD208は、格納しているプログラムやデータを、所定のファイルシステム及び/又はDB(Data Base)により管理している。
【0118】
ドライブ装置203は、着脱可能な記録媒体203aとのインタフェースである。これにより、認証管理装置200では、ドライブ装置203を介して、記録媒体203aの読み取り及び/又は書き込みを行うことができる。記録媒体203aには、例えば、フロッピー(商標又は登録商標)ディスク、CD(Compact Disk)、及びDVD(Digital Versatile Disk)、ならびに、SDメモリカードやUSBメモリなどがある。
【0119】
ROM205は、電源を切っても内部データを保持することができる不揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。ROM205には、認証管理装置200の起動時に実行されるBIOS(Basic Input/Output System)、情報処理システム設定、及びネットワーク設定などのプログラムやデータが格納されている。RAM204は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の半導体メモリ(記憶装置)である。CPU206は、上記記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)から、プログラムやデータをRAM上に読み出し、処理を実行することで、装置全体の制御や搭載機能を実現する処理装置である。
【0120】
以上のように、本実施形態に係る認証管理装置200では、上記ハードウェア構成により、各種情報処理サービス(情報処理機能)を提供することができる。
【0121】
<利用制御機能>
図15は、本実施形態に係る機能利用制御システム1の機能構成例を示す図である。
本実施形態と第1の実施形態との違いは、各情報保持部31,32,33とともに、認証管理装置200が、利用上限情報管理部21、制御情報管理部22、及び累積利用情報管理部23を有する点である。さらに、認証管理装置200は、利用者情報管理部24及び認証部25を有している。
【0122】
このように、本実施形態に係る利用制御機能では、利用者又は利用者が属する所属(グループ)単位で管理される各種情報を、認証管理装置200が保持し、画像処理装置100が、認証管理装置200から、利用制限を行うために必要な情報(利用上限値、制御設定、及び累積利用量など)を取得し、利用制限処理を行う構成となっている。
【0123】
ここで、認証管理装置200が保持する各種情報について説明する。
利用者情報管理部24は、利用者又は利用者が属する所属(グループ)に関する情報(利用者情報)を管理する機能部である。利用者情報管理部24は、利用者情報保持部34にアクセスし、指示されたデータ操作を行い、保持される利用者情報を管理する。なお、利用者情報保持部34は、例えば、認証管理装置200が備える記憶装置(例えば「HDD」)の所定の記憶領域にあたり、データ操作には、例えば、データ格納(登録設定・更新)、消去(削除)、取得、参照(検索)などがある。
【0124】
図16は、本実施形態に係る利用者情報34D,34D(以降総称する場合「利用者情報34D」と言う)のデータ例を示す図である。
図16(A)に示すように、利用者情報34Dは、ユーザ名、パスワード、及び利用権限などの各種情報項目を有し、項目値が登録利用者ごとに対応付けられている。
【0125】
[ユーザ名]項目は、利用者を識別する情報(利用者識別情報)の項目である。[パスワード]項目は、利用者に対して画像処理装置100の利用を許可するか否かを認証(機器利用認証)する情報(認証情報)の項目である。[利用権限]項目は、利用者に対して利用許可権限が割り当てられた処理内容を識別する情報(利用許可処理識別情報)の項目である。各項目値は、利用者情報管理部24により、格納される。利用者情報管理部24は、該当情報項目の項目値に、所定の登録設定画面(非図示)を介して受け取った各入力値を格納する。
【0126】
これにより、認証部25では、利用者情報管理部24に対して、利用者識別に基づきデータ参照を指示することで、利用者に対応する認証設定や利用許可処理設定(利用権限設定)が得られる。
【0127】
また、図16(B)に示すように、利用者情報34Dは、グループ名及びユーザ名などの各種情報項目を有し、項目値が登録所属(登録グループ)ごとに対応付けられている。
【0128】
[グループ名]項目は、利用者が属する所属(グループ)を識別する情報(所属識別情報)の項目である。[ユーザ名]項目は、利用者を識別する情報(利用者識別情報)の項目である。
【0129】
これにより、認証部25は、利用者情報管理部24に対して、利用者識別に基づきデータ参照を指示することで、利用者が属する所属(グループ)設定が得られる。
【0130】
図15の説明に戻る。認証部25は、利用者の機器利用認証及び機能利用許可権限について確認する機能部である。認証部25は、画像処理装置100から、機能実行を要求した利用者の入力認証情報(例えば「利用者識別情報」及び「認証情報」)を受け取ると、利用者情報管理部24を介して、利用者情報保持部34で保持する利用者情報34Dを参照する。認証部25は、受け取った利用者識別に基づき、利用者に対応して登録された認証情報(パスワード)を取得し、取得した認証設定と入力認証情報に含まれる認証情報(入力パスワード)とを比較判定する。
【0131】
その結果、認証部25は、情報が一致すれば、利用者が、機器利用を許可された利用者であると判定する。この場合、画像処理装置100に対して、認証成功の旨を通知(認証確認結果を通知)する。これにより、画像処理装置100では、認証利用者からの機能実行要求を受け付ける画面が表示される。一方、認証部25は、情報が不一致であれば、利用者が、機器利用を許可されていない利用者であると判定する。この場合、認証部25は、画像処理装置100に対して、認証エラーの旨を通知する。
【0132】
また、認証部25は、利用者が、機器利用を許可された利用者であると判定した場合、受け取った利用者識別に基づき、認証利用者に対応して登録された利用許可機能識別情報を取得し、認証利用者が利用権限を有する処理内容(機能)を特定する。認証部25は、利用上限情報管理部21、制御情報管理部22、及び累積利用情報管理部23を介して、各種情報保持部31,32,33で保持される情報を参照し、受け付けた処理内容を示す情報に基づき、利用制限を行うために必要な情報を取得する。
【0133】
ここで、本実施形態に係る各種情報保持部31,32,33で保持される利用上限情報31D、制御情報32D、及び累積利用情報33Dについて説明する。
【0134】
図17は、本実施形態に係る利用上限情報31D,31D(以降総称する場合「利用上限情報31D」と言う)のデータ例を示す図である。
図17(A)に示すように、利用上限情報31Dは、情報項目に[ユーザ名]項目を有し、登録利用者ごとに利用上限値が設定されているデータ例が示されている。また、図17(B)に示すように、利用上限情報31Dは、情報項目に[グループ名]項目を有し、登録所属(登録グループ)ごとに利用上限値が設定されているデータ例が示されている。
【0135】
これにより、認証部25では、利用上限情報管理部21に対して、利用者識別又は所属識別(グループ識別)と処理内容とに基づきデータ参照を指示することで、利用者又は利用者が属する所属(グループ)に対応する利用上限設定が得られる。
【0136】
図18は、本実施形態に係る制御情報32D,32D(以降総称する場合「制御情報32D」と言う)のデータ例を示す図である。
図18(A)に示すように、制御情報32Dは、情報項目に[ユーザ名]項目を有し、登録利用者ごとに利用制限の実行条件が設定されているデータ例が示されている。また、図18(B)に示すように、制御情報32Dは、情報項目に[グループ名]項目を有し、登録所属(登録グループ)ごとに利用制限の実行条件が設定されているデータ例が示されている。
【0137】
これにより、認証部25では、制御情報管理部22に対して、利用者識別又は所属識別(グループ識別)と処理内容とに基づきデータ参照を指示することで、利用者又は利用者が属する所属(グループ)の要求処理内容に対応する有効な制御設定が得られる。
【0138】
図19は、本実施形態に係る累積利用情報33D,33D(以降総称する場合「累積利用情報33D」と言う)のデータ例を示す図である。
図19(A)に示すように、累積利用情報33Dは、情報項目に[ユーザ名]項目を有し、登録利用者ごとに累積利用量が記録されているデータ例が示されている。また、図19(B)に示すように、累積利用情報33Dは、情報項目に[グループ名]項目を有し、登録所属(登録グループ)ごとに累積利用量が記録されているデータ例が示されている。
【0139】
これにより、認証部25では、累積利用情報管理部23に対して、利用者識別又は所属識別(グループ識別)と処理内容とに基づきデータ参照を指示することで、利用者又は利用者が属する所属(グループ)の要求処理内容に対応する累積利用量が得られる。
【0140】
図15の説明に戻る。認証部25は、このようにして、各種情報管理部21,22,23を介して取得した利用制限を行うために必要な情報を、認証結果とともに画像処理装置100へと送信する。
【0141】
なお、認証部25は、利用制限を行うために必要な情報取得を、認証利用者、認証利用者が属する所属(グループ)の順に行う。なぜなら、認証利用者が属する所属(グループ)に対応して設定された利用上限情報31D、制御情報32D、及び累積利用情報33Dは、認証利用者に対して各種情報が設定されていない場合のみ必要となるからである。認証部25は、このような方法で、各種情報保持部31,32,33から、認証利用者又は認証利用者が属する所属(グループ)に対応して設定された利用制限を行うために必要な情報を取得する。
【0142】
これにより、画像処理装置100では、利用制限制御部12により、認証部25から受信した利用権限を行うために必要な情報に基づき、認証利用者又は認証利用者が属する所属(グループ)単位で、利用制限が行われる。
【0143】
以上のように、本実施形態に係る利用制御機能は、上記各機能部が連携動作することにより実現される。なお、本実施形態に係る利用制御機能は、機能利用制御システム1を構成する各機器に搭載(インストール)されるプログラム(利用制御機能を実現するソフトウェア)が、処理装置(例えば「CPU」)により、記憶装置(例えば「HDD」や「ROM」など)からメモリ(RAM)上に読み出され、各機器において、以下の処理が実行されることで実現される。
【0144】
本実施形態に係る利用制御機能の詳細な動作(機能部群の連携動作)について、処理手順を示すフローチャートを用いて説明する。
【0145】
図20は、本実施形態に係る機能利用の制御処理手順例を示すフローチャートである。図20(A)には、画像処理装置側で実行される処理手順例が示され、図20(B)には、認証管理装置200で実行される処理手順例が示されている。
【0146】
図20(A)に示すように、画像処理装置100は、処理要求受付部11により、機能の実行を要求する利用者の認証を、認証管理装置200に対して要求する(ステップS401)。このとき、処理要求受付部11は、利用者からの入力認証情報を、認証管理装置200へと送信する。なお、認証情報の入力は、操作パネル120を介して受け付ける方法や、外部記憶I/F114を介して受け付ける方法などがある。外部記憶I/F114には、例えば、カードリーダなどが挙げられ、ICカードなどのような記録媒体114aからデータを読み取ることで、認証情報を受け付けてもよい。
【0147】
画像処理装置100は、認証管理装置200から、利用者が認証された旨(認証OK)の結果を受け付けると(ステップS402:YES)、処理要求受付部11により、認証利用者から機能の実行要求を受け付ける(ステップS403)。このとき、処理要求受付部11は、認証結果とともに、認証管理装置200から受信した認証利用者及び/又は認証利用者が属する所属(グループ)に対応して設定された利用上限情報31D、制御情報32D、及び累積利用情報33D(利用制限を行うために必要な情報)を受け取る。
【0148】
なお、画像処理装置100は、認証管理装置200から、利用者が認証されなかった旨(認証NG)の結果を受け付けると(ステップS402:NO)、所定のエラー処理を行った後に、処理が終了する。エラー処理には、例えば、操作パネル120への認証エラー通知などがある。
【0149】
以降のステップS404からS412の処理は、第1の実施形態において、図12を用いて説明を行った処理手順と同じであるため、その説明を省略する。
【0150】
なお、画像処理装置100では、ステップS404からS412の処理において、実行要求された機能の利用制御処理を行う。このとき、画像処理装置100では、認証管理装置200から、認証利用者に対応する利用制限を行うために必要な情報を受信した場合、認証利用者単位で、利用制限処理が行われる。一方、画像処理装置100では、認証管理装置200から、認証利用者が属する所属(グループ)に対応する利用制限を行うために必要な情報を受信した場合、所属(グループ)単位で、利用制限処理が行われる。
【0151】
また、画像処理装置100では、このようにして、認証利用者又は認証利用者が属する所属(グループ)単位で利用制限が適用された機能実行が完了すると、ログ生成部14により算出された機能実行による利用量が、認証管理装置200へと送信される。これにより、認証管理装置200では、累積利用情報管理部23により、該当する処理内容の累積利用情報33Dが更新される。
【0152】
次に、図20(B)を用いて、認証部25による認証処理について説明する。なお、認証処理は、図7(A)に示すステップS401,S402において、処理要求受付部11と連携して実行される。
【0153】
図20(B)に示すように、認証管理装置200は、認証部25により、画像処理装置100からの入力認証情報を受信する(ステップS501)。
【0154】
認証管理装置200は、認証部25により、利用者の認証及び利用権限の確認を行う(ステップS502)。認証部25は、利用者認証の確認を次のように行う。認証部25は、利用者情報管理部24を介して、利用者情報保持部34で保持する利用者情報34Dを参照し、受信した入力認証情報に含まれる利用者識別情報に基づき、該当する認証情報を取得する。認証部25は、取得した認証情報と受信した入力認証情報との比較結果に基づき、利用者の認証を行う。認証部25は、情報が一致した場合、利用者を認証する。また、認証部25は、認証利用者に対して、利用権限の確認を次のように行う。認証部25は、利用者識別に基づき、利用者情報34Dを参照し、該当する利用許可処理識別情報を取得する。認証部25は、取得した利用許可処理識別に基づき、認証利用者に利用権限が許可された処理内容(機能)を特定する。
【0155】
認証管理装置200は、利用者が認証された場合(ステップS502:YES)、認証部25により、認証利用者又は認証利用者が属する所属(グループ)に対応して設定された利用制限を行うために必要な情報を取得する(ステップS504)。このとき、認証部25は、各種情報管理部21,22,23を介して、各種情報保持部31,32,33で保持する利用上限情報31D、制御情報32D、及び累積利用情報33Dを参照し、利用者識別又は所属識別に基づき、該当する情報を取得する。
【0156】
認証管理装置200は、認証部25により、要求元の画像処理装置100に対して、認証結果を応答する(ステップS505)。このとき、認証部25は、認証OKの場合、認証結果とともに、ステップS504で取得した各種情報(利用上限値、制御設定、及び累積利用量など)を送信する。
【0157】
なお、認証管理装置200は、利用者が認証されなかった場合(ステップS502:NO)、認証部25により、要求元の画像処理装置100に対して、認証NGの結果を通知する。
【0158】
<まとめ>
以上のように、本実施形態に係る機能利用制御システム1によれば、画像処理装置100と認証管理装置200との連係動作により、画像処理装置100が有する機能の利用制限を段階的に行う利用制御機能が実現される。
【0159】
まず、認証管理装置200には、利用者及び/又は利用者が属する所属(グループ)単位で設定された利用上限情報31Dと、累積利用情報33Dと、制御情報32Dとが、利用上限情報保持部31、累積利用情報保持部33、及び制御情報保持部32に保持されている。また、認証管理装置200には、認証情報を含む、利用者及び/又は利用者が属する所属(グループ)に関する情報(利用者情報)34Dが、利用者情報保持部34に保持されている。
【0160】
画像処理装置100は、認証管理装置200に対して、機能の実行要求を行った利用者の認証要求を行う。
【0161】
認証管理装置200は、認証部25により、利用者の認証及び利用権限を確認し、その結果を要求元の画像処理装置100へと応答する。このとき、認証管理装置200は、利用者が認証された場合、画像処理装置100に対して、認証利用者又は認証利用者が属する所属(グループ)に対応して設定された利用制限を行うために必要な情報(利用上限情報31D、制御情報32D、及び累積利用情報33Dなど)を送信する。
【0162】
その結果、画像処理装置100は、利用制限制御部12により、受信した制御情報32Dに基づき、実行要求された処理内容に対応する制御設定の有無を判定する。続いて、画像処理装置100は、利用制限制御部12により、存在すると判定された複数の制御設定のうち、受信した利用上限情報31D及び累積利用情報33Dを用いた利用制限の実行条件判定に基づき、機能実行時に適用する制御設定を決定する。画像処理装置100は、機能処理制御部13により、決定した制御設定の利用制限内容に従って、機能の利用制限を制御する。
【0163】
これによって、本実施形態に係る機能利用制御システム1では、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。つまり、本実施形態に係る利用制限機能でも、機能を利用したい利用者と利用制限を行いたい管理者との要望に柔軟に対応可能な機能実行環境を提供できる。
【0164】
<変形例>
上記実施形態では、画像処理装置100と認証管理装置200とが連携動作することで、実行要求された機能に対して、利用者又は利用者が属する所属(グループ)単位で利用制限を行う構成について説明を行ったが、この限りでない。例えば、図21及び図22に示すような構成であってもよい。
【0165】
図21は、本変形例に係る機能利用制御システム1の機能構成例(その1)を示す図である。
図21には、認証管理装置200が、さらに利用制限制御12を有する構成例が示されている。本変形例では、認証管理装置200が、利用制限制御部12により、機能実行時に適用する制御設定を決定し、決定した制御設定の利用制限内容に従って、画像処理装置100が有する機能処理制御部13に対し、機能の実行を指示する。
【0166】
このように、本変形例では、認証管理装置200により、画像処理装置200が有する機能の利用制御処理を一括制御できる。
【0167】
図22は、本変形例に係る機能利用制御システム1の機能構成例(その2)を示す図である。
図22には、認証管理装置200が、利用者情報管理部24及び利用者情報保持部34のみを有する(認証機能のみを有する)構成例が示されている。このような構成の場合、認証管理装置200から画像処理装置100に対して、利用制限を行うために必要な情報は送信されない。本変形例では、画像処理装置100が、利用制限制御部12により、認証管理装置200により認証された利用者又は利用者が属する所属(グループ)に対応する制御設定の中から、機能実行時に適用する制御設定を決定し、決定した制御設定の利用制限内容に従って、機能処理制御部13により、機能の実行を制御する。
【0168】
このように、本変形例では、両装置間でのデータ通信量が少なくて済み、既存の認証管理装置200との連携動作により、利用制御機能を実現できる。
【0169】
ここまで、上記実施形態の説明を行ってきたが、上記実施形態に係る「利用制御機能」は、図を用いて説明を行った各処理手順を、動作環境(プラットフォーム)にあったプログラミング言語でコード化したプログラムが、機能利用制御システム1を構成する各機器(画像処理装置、認証管理装置など)の処理装置(例えば「CPU」)により実行されることで実現される。
【0170】
例えば、画像処理装置100の場合、上記プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体114aに格納することができる。これにより、例えば、上記プログラムは、ドライブ装置114を介して、画像処理装置100にインストールすることができる。また、画像処理装置100は、ネットワークI/F113を備えていることから、電気通信回線を用いて上記プログラムをダウンロードし、インストールすることもできる。
【0171】
最後に、上記実施形態に挙げた形状や構成に、その他の要素との組み合わせなど、ここで示した要件に、本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0172】
1 機能利用制御システム
11 処理要求受付部
12 利用制限制御部
121 上限設定判定部
122 制御設定判定部
123 適用制御決定部
13 機能処理制御部
14 ログ生成部
141 利用量算出部
21 利用上限情報管理部
22 制御情報管理部
23 累積利用情報管理部
24 利用者情報管理部
25 認証部
31 利用上限情報保持部(D:利用上限情報)
32 制御情報保持部(D:制御情報)
33 累積利用情報保持部(D:累積利用情報)
34 利用者情報保持部(D:利用者情報)
100 画像処理装置
110 コントローラ(制御基板)
111 CPU(処理装置)
112 記憶装置(ROM,RAM,HDD)
113 ネットワークI/F(NIC:Network I/F Card)
114 外部記憶I/F(a:記録媒体)
120 操作パネル(入力・表示装置)
130 プロッタ(印刷装置)
140 スキャナ(原稿読み取り装置)
200 機器管理装置(機器管理サーバ)
201 入力装置
202 表示装置
203 ドライブ装置(a:記録媒体)
204 RAM(揮発性の半導体メモリ)
205 ROM(不揮発性の半導体メモリ)
206 CPU(処理装置)
207 インタフェース装置
208 HDD(不揮発性の記憶装置)
B バス
N データ伝送路(ネットワーク)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0173】
【特許文献1】特開平11−85419号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段と、
実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段と、
決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手段と、を有することを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
機能利用の上限値を示す利用上限値を、所定の記憶領域に保持する利用上限情報保持手段と、
前記機能の利用履歴から算出された利用量の累積値を示す累積利用量を、前記処理内容ごとに所定の記憶領域に保持する累積利用情報保持手段と、
実行要求された機能の処理内容を示す情報に基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報に、前記処理内容に対応する制御設定が含まれているか否かを判定する制御設定判定手段と、を有し、
前記適用制御決定手段は、
前記制御設定判定手段により、前記処理内容に対応する制御設定が複数存在すると判定された場合、前記処理内容に対応する利用上限値及び累積利用量に基づき、該当する制御設定に含まれる利用制限の実行条件を判定し、
条件を満たす制御設定を、前記機能を実行する際に適用する制御設定として決定することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御設定は、前記利用上限値を用いて算出された閾値と前記累積利用量とを比較・判定する条件式で設定された利用制限の実行条件を含み、
前記適用制御決定手段は、
前記利用上限値及び前記累積利用量に基づく利用制限の実行条件判定において、複数の制御設定が条件を満たすと判定された場合、
該当する制御設定に含まれる条件式に定義された閾値の大小比較を行い、
閾値が大きい制御設定を、前記機能を実行する際に適用する制御設定として決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記閾値は、前記利用上限値に対する前記累積利用量の到達度を段階的に示す割合を、前記利用上限値に乗算した算出値であることを特徴とする請求項3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記制御情報は、前記機能を実行する際に適用する利用制限の実行内容を指定する制御レベルが設定された前記制御設定を含み、
前記機能処理制御手段は、
同一機能の全ての処理内容の累積利用量を合算した総累積利用量が、前記利用上限値に達した場合、
前記適用制御決定手段により決定された制御設定の制御レベルより、高い制御レベルが設定された制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行うことを特徴とする請求項2ないし4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記利用上限情報は、利用者及び/又は利用者が属する所属ごとに設定された利用上限値を含み、
前記制御情報は、前記利用者及び/又は前記利用者が属する所属ごとに設定された制御設定を含み、
前記累積利用情報は、前記利用者及び/又は前記利用者が属する所属ごとに算出された累積利用量を含み、
前記適用制御決定手段は、
実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される、前記機能の実行を要求した利用者に対応する制御情報又は前記機能の実行を要求した利用者が属する所属に対応する制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
所定のデータ伝送路を介して画像処理装置と接続され、前記画像処理装置が有する機能の実行を要求した利用者に対して、利用者認証を行う認証管理装置であって、
前記機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を、前記利用者及び/又は前記利用者が属する所属ごとに含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段と、
前記利用者の認証を行う認証手段と、
認証利用者を識別する利用者識別情報又は認証利用者が属する所属を識別する所属識別情報に基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記認証利用者に対応する制御設定又は前記認証利用者が属する所属に対応する制御設定を特定し、実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、特定した制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段と、を有し、
決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記画像処理装置に前記機能の実行を指示し、利用制限を行うことを特徴とする認証管理装置。
【請求項8】
画像処理装置と、前記画像処理装置が有する機能の実行を要求した利用者に対して、利用者認証を行う認証管理装置とが、所定のデータ伝送路を介して接続される機能利用制御システムであって、
前記認証管理装置が、
前記機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を、前記利用者及び/又は前記利用者が属する所属ごとに含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段と、
前記利用者の認証を行い、認証利用者を識別する利用者識別情報又は認証利用者が属する所属を識別する所属識別情報に基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から特定した前記認証利用者に対応する制御設定又は前記認証利用者が属する所属に対応する制御設定を、認証結果とともに応答する認証手段と、を有し、
前記画像処理装置が、
実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記認証管理装置から応答された制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段と、
決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手段と、を有することを特徴とする機能利用制御システム。
【請求項9】
当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段を有する画像処理装置における機能利用制御方法であって、
実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手順と、
前記適用制御決定手順により決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手順と、を有することを特徴とする機能利用制御方法。
【請求項10】
当該装置が有する機能の利用制限を行うか否かを判定するために段階的に設けられた実行条件に対して、異なる利用制限の実行内容が対応付けられた、処理内容ごとの複数の制御設定を含む制御情報を、所定の記憶領域に保持する制御情報保持手段を有する画像処理装置における機能利用制御プログラムであって、
コンピュータを、
実行要求された機能の処理内容と利用制限の実行条件判定結果とに基づき、前記制御情報保持手段で保持される制御情報の中から、前記機能を実行する際に適用する制御設定を決定する適用制御決定手段と、
決定した制御設定に含まれる利用制限の実行内容に従って、前記機能の実行を制御し、利用制限を行う機能処理制御手段として機能させる機能利用制御プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを記憶した、コンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−259283(P2011−259283A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132936(P2010−132936)
【出願日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】