説明

画像処理装置および画像処理方法、並びにコンピュータープログラム

【課題】肌色領域においてバンディングを目立たなくすることを、スループットを低下させることなく実現する。
【解決手段】肌色領域をLaの画像データとして抽出する肌色領域抽出部90aと、前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する色補正部90bと、所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうるバンディング領域特定情報を取得するモジュール96とを備え、色補正部90bは、肌色領域の内でバンディング領域と重複しない部分に対し、明度Lについての第1の明度値とaについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う第1補正部90b1と、重複する部分に対し、第1の明度値よりも高い第2の明度値と所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う第2補正部90bとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正する画像処理装置および画像処理方法、並びにコンピュータープログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェットプリンターが広く普及している。インクジェットプリンターは、ヘッドに備えられた複数のノズルから吐出されるインクにより印刷媒体上にドットを形成して画像を記録するプリンターである。インクジェットプリンターでは、ハードウェアの製造バラツキ等に起因してインクの吐出特性がノズルごとに相違し、ドットの形成位置にずれが生じることがある。かかるずれはバンディングと呼ばれる筋状の濃淡ムラを生じ、画質を低下させることが知られている。特に、ポートレートなどは、肌色領域にバンディングが目立ち、画質が一層低いものとなっていた。
【0003】
従来、色を補完することによりバンディングを目立たなくする記録装置としてのインクジェットプリンターが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−136702号公報
【0005】
しかしながら、前記従来技術によれば、補完のための複雑な計算処理が必要なため、スループットが低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の課題の少なくとも一部を取り扱うためになされたものであり、肌色領域においてバンディングを目立たなくすることを、スループットを低下させることなく実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1] 所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正する画像処理装置であって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する肌色領域抽出部と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する色補正部と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報記憶部と
を備え、
前記色補正部は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う第1補正部と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う第2補正部と、
を備える、画像処理装置。
【0009】
適用例1の画像処理装置によれば、肌色領域でバンディングが発生した部分について、通常の肌色補正、すなわち第1補正部による色補正よりも明度が高くなるように色補正を行う。発明者は、肌色領域において、明度が高くなるとバンディングが目立ち難くなるという知見を実験的に得ている。このため、前記肌色領域でバンディングが発生した部分について、バンディングを目立たなくすることができる。しかも、適用例1の画像処理装置では、色補正の目標色を変えるだけで済むことから、スループットの向上を図ることができるという効果を奏する。
【0010】
[適用例2] 適用例1に記載の画像処理装置であって、前記第1補正部は、前記第1の目標色を含む所定範囲内への色補正を許容する構成であり、前記第2の明度値は、前記所定範囲を超えない値である、画像処理装置。
【0011】
適用例2の画像処理装置によれば、バンディングを目立たなくすることと、肌色領域を十分に綺麗とすることとの両立を図ることができる。
【0012】
[適用例3] 適用例1または2に記載の画像処理装置であって、前記印刷装置はインクジェットプリンターである、画像処理装置。
【0013】
適用例3の画像処理装置によれば、インクジェットプリンターにおいて、バンディングが生じる原因となる不良ノズル(抜けているノズル、飛行曲がりを発生するノズル等)がある場合に、そのバンディングを目立たなくすることができる。
【0014】
[適用例4] 所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正する画像処理方法であって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する工程と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する工程と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報部から、前記バンディング領域特定情報を取得する工程と
を備え、
前記色を補正する工程は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う工程と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う工程と
を備える、画像処理方法。
【0015】
[適用例5] 所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正するためのコンピュータープログラムであって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する機能と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する機能と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報部から、前記バンディング領域特定情報を取得する機能と
をコンピューターに実現させるとともに、
前記色を補正する機能は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う機能と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う機能と
を備えるコンピュータープログラム。
【0016】
適用例4の画像処理方法および適用例5のコンピュータープログラムは、適用例1の画像処理装置と同様に、肌色領域においてバンディングを目立たなくすることを、スループットを低下させることなく実現することができる。
【0017】
さらに、本発明は、上記適用例1ないし5以外の種々の形態で実現可能であり、例えば、適用例1の画像処理装置を備えるネットワークシステムなどの形態で実現したり、適用例5のコンピュータープログラムを記録する記録媒体の態様で実現したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例としての画像処理装置を適用した印刷システムの構成を示すブロック図である。
【図2】コンピューターPCのソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図3】プリンター22の概略構成を示す説明図である。
【図4】インク吐出用ヘッド61〜64におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。
【図5】印字ヘッド28の内部の概略構成を示す説明図である。
【図6】制御回路40の内部構成を示す説明図である。
【図7】画像処理ルーチンのフローチャートである。
【図8】バンディング領域を示す説明図である。
【図9】各画素GP1、GP2、GP3をターゲット色TGに補正する様子を示す説明図である。
【図10】肌色領域内でバンディング領域と重複しない部分A1とバンディング領域と重複する部分A2とを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら、実施例に基づき説明する。
【0020】
A.システム構成:
図1は、本発明の一実施例としての画像処理装置を適用した印刷システムの構成を示すブロック図である。図示するように、印刷システムは、コンピューターPCにデジタルスチルカメラ(以下、「デジカメ」と呼ぶ)12とプリンター22とが接続されている。このコンピューターPCは、所定のプログラムがロードされ実行されることにより、デジカメ12からカラー画像を受け取る画像取得装置として、また、プリンター22を制御する印刷制御装置として機能する。これら機能により、デジカメ12で撮影したカラー画像をプリンター22により印刷することができる。
【0021】
コンピューターPCは、プログラムに従って印刷に関わる動作を制御するCPU81、ROM82、RAM83を中心に、バス80により相互に接続された次の各部を備える。入力インターフェース84は、デジカメ12やキーボード14からの信号の入力を司り、出力インターフェース85は、プリンター22へのデータの出力を司る。CRTC86は画像を表示可能なCRT21への信号出力を制御し、ディスクコントローラ(DDC)87は、ハードディスク16やCD−ROMドライブ15あるいは図示しないフレキシブルドライブとのデータの授受を制御する。ハードディスク16には、RAM83にロードされて実行される各種プログラムやデバイスドライバーの形式で提供される各種プログラムなどが記憶されている。
【0022】
このほか、バス80には、シリアル入出力インターフェース(SIO)88が接続されている。このSIO88は、モデム18に接続されており、モデム18を介して、公衆電話回線PNTに接続されている。コンピューターPCは、このSIO88およびモデム18を介して、外部のネットワークに接続されており、特定のサーバーSVに接続することにより、画像の印刷に必要なプログラム(後述するプリンタードライバーを含む)をハードディスク16にダウンロードすることも可能である。また、必要なプログラムをフレキシブルディスクFDやCD−ROMによりロードし、コンピューターPCに実行させることも可能である。当然、これらのプログラムは、印刷に必要なプログラム全体をまとめてロードする態様を採ることもできるし、その一部のみをモジュールとしてロードする態様を採ることもできる。
【0023】
図2は、コンピューターPCのソフトウェア構成を示すブロック図である。コンピューターPCでは、所定のオペレーティングシステムの下で、アプリケーションプログラムAPが動作している。オペレーティングシステムにはプリンタードライバーPDが組み込まれている。アプリケーションプログラムAPは、デジカメ12からレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の階調値で表される、前記カラー画像を表すカラー画像データG1を受け取る処理を行う。なお、アプリケーションプログラムAPは、必要に応じて、カラー画像データG1に対してレタッチなどの処理を施す構成としてもよい。
【0024】
このアプリケーションプログラムAPが、印刷命令を発すると、コンピューターPCのプリンタードライバーPDが、カラー画像データG1をアプリケーションプログラムAPから受け取り、これをプリンター22が処理可能な信号に変換している。図2に示した例では、プリンタードライバーPDの内部には、画像処理モジュール90と、解像度変換モジュール91と、色変換モジュール92および3次元ルックアップテーブル93と、ハーフトーンモジュール94と、ラスターライザー95とが備えられている。
【0025】
画像処理モジュール90は、アプリケーションプログラムAPから受け取ったカラー画像データG1の色を補正する。画像処理モジュール90は、肌色領域抽出部90aと、色補正部90bとを備える。色補正部90bは、第1補正部90b1および第2補正部90b2を備える。各部90a、90b、90b1、90b2については後述する。
【0026】
解像度変換モジュール91は、画像処理モジュール90で色の補正がなされた画像データG2の解像度、即ち単位長さ当たりの画素数を、印刷条件に応じた解像度に変換する役割を果たす。
【0027】
色変換モジュール92は、3次元ルックアップテーブル93を参照して、画素ごとに画像データの色成分を、プリンター22が使用する各インクに対応した階調値に変換する。後述する通り、プリンター22には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)、ブラック(K)の4色が備えられている。3次元ルックアップテーブル93は、画像データを表す表色系の階調値で与えられた色を表現するために各色インクで形成されるドットの記録率を与えるテーブルである。本実施例では、インクごとに8ビット、即ち256階調のデータを与えるものとした。
【0028】
プリンター22は、画素ごとに見れば、ドットのオン・オフの2階調しか表現し得ない。ハーフトーンモジュール94は、ドットの分布によってプリンター22で多階調を表現するためのハーフトーン処理を実行する。つまり、ハーフトーンモジュール94は、画像データの階調値に基づいて、画素ごとに各インクによるドットのオン・オフを判定する。こうして処理された画像データは、ラスターライザー95によりプリンター22に転送すべきデータ順に並べ替えられて、最終的な印刷データFNLとして出力される。プリンター22は、ヘッドを主走査および副走査しつつ、プリンタードライバーPDから転送された印刷データFNLに基づいて、印刷用紙上にドットを形成して、画像を印刷する。
【0029】
プリンター22は、後述するバンディング領域特定情報BDMを記憶するROM22aを有する。プリンタードライバーPDは、ROM22aからバンディング領域特定情報BDMを取得するバンディング領域特定情報取得モジュール96を備える。画像処理モジュール90は、バンディング領域特定情報取得モジュール96により取得したバンディング領域特定情報BDMを利用して、後述する画像処理を行う。
【0030】
B.プリンター構成:
次に、図3によりプリンター22の概略構成を説明する。図示するように、このプリンター22は、紙送りモーター23によってロール紙Pを搬送する機構と、キャリッジモーター24によってキャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構と、キャリッジ31に搭載された印字ヘッド28を駆動してインクの吐出およびドット形成を行う機構と、これらの紙送りモーター23,キャリッジモーター24,印字ヘッド28および操作パネル32との信号のやり取りを司る制御回路40とから構成されている。
【0031】
キャリッジ31をプラテン26の軸方向に往復動させる機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ31を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモーター24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ31の原点位置を検出する位置検出センサー39等から構成されている。
【0032】
なお、このキャリッジ31には、黒インク(Bk)用のカートリッジ71とシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の3色のインクを収納したカラーインク用カートリッジ72が搭載可能である。キャリッジ31の下部の印字ヘッド28には計4個のインク吐出用ヘッド61ないし64が形成されている。キャリッジ31に黒(Bk)インク用のカートリッジ71およびカラーインク用カートリッジ72を上方から装着すると、各カートリッジから吐出用ヘッド61ないし64へのインクの供給が可能となる。
【0033】
図4は、インク吐出用ヘッド61〜64におけるインクジェットノズルNzの配列を示す説明図である。これらのノズルの配置は、色ごとにインクを吐出する4組のノズルアレイから成っており、48個のノズルNzが一定のノズルピッチkで千鳥状に配列されている。各ノズルアレイの副走査方向の位置は互いに一致している。本実施例のノズルピッチkは6ドット分に相当する。
【0034】
インクの吐出およびドット形成を行う機構について説明する。図5は印字ヘッド28の内部の概略構成を示す説明図である。図示の都合上、イエロのヘッドについては図示を省略した。各色のヘッド61ないし64に設けられた48個のノズルNzには、ノズルNzまでインクを導くインク通路68に接する位置に各ノズル毎にピエゾ素子PEが配置されている。ピエゾ素子PEとノズルNzとの構造を詳細に示したのが図6である。ピエゾ素子PEは、周知のように、電圧の印加により結晶構造が歪み、極めて高速に電気−機械エネルギの変換を行う素子である。ピエゾ素子PEの両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、図示するように、ピエゾ素子PEが電圧の印加時間だけ伸張し、インク通路68の一側壁を変形させる。この結果、インク通路68の体積はピエゾ素子PEの伸張に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、粒子Ipとなって、ノズルNzの先端から高速に吐出される。このインク粒子Ipがプラテン26に装着されたロール紙Pに染み込むことにより印刷が行われる。
【0035】
次にプリンター22の制御回路40の内部構成を説明する。図6は制御回路40の内部構成を示す説明図である。図示する通り、この制御回路40の内部には、CPU41,PROM42,RAM43の他、コンピューターPCとのデータのやりとりを行うPCインターフェース44と、紙送りモーター23、キャリッジモーター24および操作パネル32などとの信号をやりとりする周辺入出力部(PIO)45と、計時を行うタイマー46と、ヘッド61〜64にドットのオン・オフの信号を出力する駆動用バッファ47などが設けられており、これらの素子および回路はバス48で相互に接続されている。また、制御回路40には、所定周波数で各ノズルのピエゾ素子PEを駆動するための駆動波形を出力する発信器51、および発信器51からの出力をヘッド61〜64に分配する分配出力器55も設けられている。
【0036】
制御回路40は、コンピューターPCで処理された印刷データを受け取り、これを一時的にRAM43に蓄え、所定のタイミングで駆動用バッファ47に出力する。駆動用バッファ47からは、ノズルごとにドットのオン・オフを示すデータが分配出力器55に出力される。この結果、ドットを形成すべきノズルに対してはピエゾ素子PEを駆動するための駆動波形が出力され、ドットが形成される。
【0037】
なお、本実施例では、上述の通りピエゾ素子PEを用いてインクを吐出するヘッドを備えたプリンター22を用いているが、他の方法によりインクを吐出するプリンターを用いるものとしてもよい。例えば、インク通路に配置したヒータに通電し、インク通路内に発生する泡(バブル)によりインクを吐出するタイプのプリンターに適用するものとしてもよい。インクを吐出してドットを形成する他、いわゆる熱転写型のプリンター、昇華型のプリンター、ドットインパクト型のプリンターなど種々のタイプのプリンターに適用することも可能である。
【0038】
C.画像処理ルーチン:
図7は画像処理ルーチンのフローチャートである。このルーチンはプリンタードライバーPDによる処理であり、本実施例ではコンピューターPCのCPU81により実行されるルーチンである。すなわち、前述した画像処理モジュール90(図2)に相当する。
【0039】
処理が開始されると、CPU81は、アプリケーションプログラムAPから画像データG1を受信し(ステップS110)、その画像データG1をRGBの表色系からLaの表色系に変換する(ステップS120)。この変換は、周知の数式を用いて行う一般的なものである。変換後の画像データを、画像データG2とする。
【0040】
次いで、CPU81は、画像データG2から肌色領域を抽出する(ステップS130)。この抽出は、画像データG2を構成する各画素の色が、予め定められた肌色範囲内にあるか否かによって判断される。肌色範囲は、例えば、色相値Hの範囲と明度Lの範囲とに基づいて設定することができる。明度Lは、La表色系の一パラメーターである。色相値Hは、La表色系のa*軸からの角度である。こうして肌色範囲と判断された画素の集合が肌色領域として抽出される。前記ステップS110ないしS130の処理が、肌色領域抽出部90aに対応する。
【0041】
なお、ステップS130では、上記のように各画素の色が肌色であるかを直接判断するものであるが、これに換えて、画像データで表される画像から人の顔領域を検出して、この検出された顔の部分(厳密には、目の部分を除く顔の部分)を肌色領域であると判断してもよい。顔領域の検出手法は、周知のものでここでは詳しくは説明しないが、例えば画像の領域の輪郭線から判断する。
【0042】
その後、CPU81は、ステップS120での肌色領域の抽出が成功したか否か、すなわち、肌色領域はあるか否かを判定する(ステップS140)。ここで、肌色領域はあると判定されると、ステップS150に処理を進める。
【0043】
ステップS150では、CPU81は、プリンター22のROM22aからバンディング領域特定情報BDMを読み出して、バンディング領域特定情報BDMに基づいてバンディング領域を算出する。
【0044】
図8は、バンディング領域を示す説明図である。図中、PSは所定サイズ(例えば、A4サイズ)の印刷面である。この印刷面PSに、筋状の濃淡ムラであるバンディングの領域BDが現れている。バンディングは、ハードウェアの製造バラツキ等に起因していることから、印刷面PSにおいて常に同じ位置に発生する。このバンディング領域BDの位置を特定し得る情報が、プリンター22のROM22aにバンディング領域特定情報BDMとして記憶されている。バンディング領域特定情報BDMは、どのような情報で、どのように作成されるかを次に説明する。
【0045】
バンディング領域特定情報を作成する作業は、プリンター22の製造工場において、プリンター22の1台毎に行われる。まず、作業員が、肌色で一様なパターン画像をプリンター22に印刷させる。このパターン画像は、試験用のパーソナルコンピューターを接続して、試験用のパーソナルコンピューターから送るようにしてもよいし、予めプリンター22のROMに記憶させておき、所定の操作を行うと、自動的に印刷する構成としてもよい。
【0046】
作業者は、上記の印刷結果を見て、バンディングが生じる箇所の情報、換言すれば、バンディングが生じる原因となった不良ノズル(抜けているノズル、飛行曲がりを発生するノズル等)を特定する情報を得る。この情報をバンディング領域特定情報BDMとして、特別な装置を用いて、そのバンディング領域特定情報BDMを、上記パターン画像を印刷させたプリンター22のROM22aに記憶させる。
【0047】
ROM22aに記憶したバンディング領域特定情報BDMは、プリンタードライバーをコンピューターPCにインストールした際に、ハードディスク16にプリンタードライバーとともに記憶される。この記憶させるモジュールが、バンディング領域特定情報取得モジュール96(図2)に相当する。
【0048】
前述したように、ステップS150では、CPU81は、前記バンディング領域特定情報BDMをハードディスク16から読み出す。さらに、ステップS150では、その読み出したバンディング領域特定情報BDMからバンディング領域を求める。詳しくは、CPU81は、現在印刷しようとしている画像データG1の印刷サイズに応じた印刷面(図8の印刷面PSに相当する)を想定し、その印刷面におけるバンディング領域の位置を前記バンディング領域特定情報BDMから求める。バンディング領域BDの位置は、図8に示すように、バンディング領域BDの副走査方向における両端点P1,P2の座標によって表される。
【0049】
図7に戻り、ステップS150の実行後、ステップS160に進む。ステップS160では、CPU81は、ステップS130で抽出した肌色領域内でバンディング領域と重複しない部分を選択し、その重複しない部分に含まれる各画素の色を目標色(以下、「ターゲット色」と呼ぶ)に補正する肌色補正処理を実行する。
【0050】
肌色補正処理は、理想的な肌色をターゲット色として、画素の色をターゲット色に近づける補正を行うものである。理想的な肌色は、下記の(i)〜(iii)の作業により求めることができる。
【0051】
(i)作業者は、明度、色相の異なる複数の画像を用意し、プリンターで各画像を印刷する。プリンターは、本印刷システムが備えるプリンター22と同一機種のものを用いる。
(ii)(i)で印刷された印刷画像を不特定多数の人に見せて、肌色として好ましいと思う印刷画像を選択させる。
(iii)作業者は、(ii)で選択された複数の印刷画像についての画像の明度と色相とで表される点を、明度と色相を縦横の軸とする平面上に表すことで相関図を作成する。その後、作業者は、その相関図を見て、最も点の集まった色を理想的な肌色とする。
【0052】
前記理想的な肌色をLaの表色系で示して、それをターゲット色とする。例えば、ターゲット色(tL,ta,tb)=(65,20,20,)となる。
【0053】
図9は、各画素GP1、GP2、GP3をターゲット色TGに補正する様子を示す説明図である。図示するように、各画素GP1(L1,a1,b1)、GP2(L2,a2,b2)、GP3(L3,a3,b3)は、ターゲット色TG(tL,ta,tb)に近づける補正が行われる。ここで「近づける補正」と言っているのは、ターゲット色TGを含む所定範囲を許容範囲ATGとして、この許容範囲ATG内に補正ができれば良しとしているためである。詳しくは、まず、各画素GP1、GP2、GP3をターゲット色TGに完全に一致させる補正を行い、完全に一致させたときに、階調性が失われ写真画像として問題がある場合に、許容範囲ATG内の適当な値への色補正を行う。
【0054】
なお、許容範囲ATGは、ターゲット色を求める際に作成した相関図を利用して、完全な理想ではないが十分に綺麗な範囲を作業者が選択することで決定する。許容範囲ATGは、例えば、Lは45〜80、aは10〜30、bは10〜30となる。
【0055】
図10は、肌色領域内でバンディング領域と重複しない部分(以下、「非重複部分」と呼ぶ)とバンディング領域と重複する部分(以下、「重複部分」と呼ぶ)とを示す説明図である。図示の例においては、ハッチ部分が非重複部分A1であり、ベタ部分が重複部分A2である。ステップS160では、非重複部分A1に対して肌色補正処理を実行する。なお、このステップS160の肌色補正処理を、以下、「第1の肌色補正処理」と呼ぶ。
【0056】
図7に戻り、ステップS160の実行後、CPU81は、ステップS130で抽出した肌色領域内でバンディング領域と重複する部分を選択し、その重複部分に第2の肌色補正処理を実行する(ステップS170)。この第2の肌色補正処理は、前記重複部分に含まれる各画素の色をターゲット色に一致させる補正を行うもので、第1の肌色補正処理と比べて、ターゲット色が相違する。以下、第1の肌色補正処理におけるターゲット色を「第1のターゲット色」と呼び、第2の肌色補正処理におけるターゲット色を「第2のターゲット色」と呼ぶ。
【0057】
第1のターゲット色は前述したように(tL,ta,tb)と表されるが、これに対して、第2のターゲット色は(tL+α,ta,tb)と表される。すなわち、第2のターゲット色は、第1のターゲット色と比較して、明度Lは所定値αだけ大きく、a値、b値は同一である。所定値αは実験的に求めたもので(この求め方は後ほど詳述する)、例えば値5である。先に例示によれば、第1のターゲット色=(65,20,20)であることから、第2のターゲット色=(70,20,20)となる。図9においては、TG2が第2のターゲット色である。
【0058】
所定値αは、下記の(イ)から(ハ)の作業により求めることができる。
(イ)作業者は、バンディングと似通った筋が入った画像を、複数種類、用意する。これら画像は、a値、b値が第1のターゲット色と同一で、明度が第1のターゲット色の明度tLよりも微小値ΔL(ΔLは正の値)だけ高い色の画像であって、前記微小値ΔLが画像毎に異なったものとなっている。例えば、第1のターゲット色=(65,20,20)である場合、a値、b値が共に値20であり、明度Lが値66から値80まで値1ずつ順に高い15種類の画像を用意する。ここで、明度Lの最大の値は、前述した許容範囲ATGを超えない範囲とする。次いで、前記用意した複数の画像をプリンターで印刷する。プリンターは、本印刷システムが備えるプリンター22と同一機種のものを用いる。
【0059】
(ロ)(イ)で印刷された印刷画像を不特定多数の人に見せて、筋が目立ちにくいと思う印刷画像を選択させる。
(ハ)作業者は、(ロ)で選択された複数の印刷画像についての画像の明度と色相とで表される点を、明度と色相を縦横の軸とする平面上に表すことで相関図を作成する。その後、作業者は、その相関図を見て、最も点の集まった色を選択し、その色の明度LからtLを引くことで、所定値αを求める。
【0060】
すなわち、図9に示すように、第2のターゲット色TG2の明度Lは、第1のターゲット色TG1の明度tLを上回り、かつ許容範囲ATG以下の範囲(図中の1点鎖線で示す棒状の範囲)ATG2に含まれ、かつ不特定多数の人がバンディングが目立ちにくいと判断する値に定められることになる。
【0061】
図7に戻り、ステップS170における第2の肌色補正処理では、重複部分に含まれる各画素の色を、前述した第2のターゲット色TG2に一致させる。なお、この第2の肌色補正処理では、第1の肌色補正処理のように、許容範囲を設定してより広い範囲に補正することは、行っていない。
【0062】
その後、ステップS160およびS170の肌色補正処理が施された肌色領域を、ステップS120で生成した画像データG2に戻す。この結果、画像データG2の画像に含まれる肌色領域は、ステップS160およびS170の肌色補正処理が施されたものとなる。なお、ステップS160の処理が第1補正部90b1に、ステップS170の処理が第2補正部90b2に対応する。ステップS150ないしS180の処理が色補正部90bに対応する。
【0063】
ステップS180の実行後、CPU81は、画像データG2を解像度変換し(ステップS190)、色変換し(ステップS192)、ハーフトーン化し(ステップS194)、ラスターライズする(ステップS196)。ステップS190の処理は解像度変換モジュール91に、ステップS192の処理は色変換モジュール92に、ステップS194の処理はハーフトーンモジュール94に、ステップS196の処理はラスターライザー95にそれぞれ相当する。ステップS196の実行後、CPU81は、「リターン」に抜けて処理を一旦終了する。
【0064】
一方、ステップS140で肌色領域はないと判定されると、ステップS150ないしS180の処理を飛ばして、ステップS190に処理を進める。すなわち、肌色領域がない画像データG2は、前述した第1および第2の肌色補正処理を施すことなく、そのまま、解像度変換以後の処理を行う。
【0065】
D.実施例効果:
以上のように構成された本実施例のコンピューターPCによれば、肌色領域でバンディングが発生した部分について、通常の肌色補正処理(すなわち第1の肌色補正処理)よりも明度Lが高くなるように第2の肌色補正処理を行う。このため、肌色領域でバンディングが発生した部分について、バンディングを目立たなくすることができる。しかも、第2の肌色補正処理のターゲット色を変えるだけで済むことから、スループットの向上を図ることができるという効果を奏する。さらに、コンピューターPCによれば、第2の肌色補正処理のターゲット色の明度Lは、第1の肌色補正処理における許容範囲ATGを超えない範囲であることから、バンディングを目立たなくすることと、肌色領域を十分に綺麗とすることとの両立を図ることができる。
【0066】
E.変形例:
・変形例1:
上記実施例および変形例においては、バンディング領域特定情報を、バンディングが生じる原因となった不良ノズル(抜けているノズル、飛行曲がりを発生するノズル等)を特定する情報としたが、これに換えて、印刷面におけるバンディング領域を示す位置情報(主走査方向および副走査方向におけるドット位置)そのものとすることができる。印刷面におけるバンディング領域の位置は、サイズや印刷の仕方等の要因によって変わることから、ここでは前記要因毎に前記位置情報を持つようにする。すなわち、バンディング領域特定情報は、印刷システムに備えられるプリンター22を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報であれば、いずれの情報とすることもできる。
【0067】
・変形例2:
上記実施例および変形例では、バンディング領域特定情報を、プリンター22のROM22aからハードディスク16に一旦格納し、画像処理ルーチンを実行する毎に、前記ハードディスク16から読み出す構成としたが、これに換えて、ハードディスク16に一旦格納することなく、画像処理ルーチンを実行する毎に、プリンター22のROM22aから直接読み出す構成としてもよい。
【0068】
・変形例3:
上記実施例および変形例においては、第2の肌色補正処理のターゲット色の明度Lを、第1の肌色補正処理における許容範囲ATGを超えない範囲としたが、これに換えて、許容範囲ATGを超える範囲とすることもできる。
【0069】
・変形例4:
上記各実施例および変形例では、肌色領域抽出部を、Laの表色系の画像データから肌色領域を抽出する構成としたが、これに換えて、RGBの表示系の画像データから肌色領域を抽出し、この抽出された肌色領域をRGBからLaの表色系に変換する構成としてもよい。また、肌色領域抽出部により抽出される肌色領域の各画素は、Laの表色系に換えて、YCrCbの表示系、Labの表示系等、明度を少なくとも有する他の表示系により表されるものとすることができる。
【0070】
・変形例5:
上記各実施例および変形例では、印刷装置としてプリンターとしたが、これに換えて、ファクシミリ等の他の印刷可能な装置に換えることもできる。
【0071】
なお、上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。また、前述した実施例および各変形例における構成要素の中の、独立請求項で記載された要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、本発明はこれらの実施例および各変形例になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の態様での実施が可能である。
【符号の説明】
【0072】
12…デジカメ
14…キーボード
16…ハードディスク
18…モデム
22…プリンター
23…モーター
24…キャリッジモーター
26…プラテン
28…印字ヘッド
31…キャリッジ
32…操作パネル
34…摺動軸
36…駆動ベルト
38…プーリ
39…位置検出センサー
40…制御回路
41…CPU
46…タイマー
47…駆動用バッファ
48…バス
51…発信器
55…分配出力器
61…インク吐出用ヘッド
68…インク通路
71…カートリッジ
72…カラーインク用カートリッジ
80…バス
81…CPU
84…入力インターフェース
85…出力インターフェース
90…画像処理モジュール
90a…肌色領域抽出部
90b…色補正部
90b1…第1補正部
90b2…第2補正部
91…解像度変換モジュール
92…色変換モジュール
94…ハーフトーンモジュール
95…ラスターライザー
96…バンディング領域特定情報取得モジュール
PC…コンピューター
FD…フレキシブルディスク
PD…プリンタードライバー
BD…バンディング領域
BDM…バンディング領域特定情報
FNL…印刷データ
ATG…許容範囲
PNT…公衆電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正する画像処理装置であって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する肌色領域抽出部と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する色補正部と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報記憶部と
を備え、
前記色補正部は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う第1補正部と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う第2補正部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記第1補正部は、
前記第1の目標色を含む所定範囲内への色補正を許容する構成であり、
前記第2の明度値は、前記所定範囲を超えない値である、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記印刷装置はインクジェットプリンターである、画像処理装置。
【請求項4】
所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正する画像処理方法であって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する工程と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する工程と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報部から、前記バンディング領域特定情報を取得する工程と
を備え、
前記色を補正する工程は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う工程と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う工程と
を備える、画像処理方法。
【請求項5】
所定の印刷装置で印刷対象となる画像の色を補正するためのコンピュータープログラムであって、
前記画像中の肌色領域を、明度と他のパラメーターとを有する表色系で表された画像データとして抽出する機能と、
前記抽出された肌色領域の色を目標色に補正する機能と、
前記所定の印刷装置を用いて印刷を行ったときに印刷面に生じるバンディングの領域を特定しうる情報を、バンディング領域特定情報として予め記憶したバンディング領域特定情報部から、前記バンディング領域特定情報を取得する機能と
をコンピューターに実現させるとともに、
前記色を補正する機能は、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複しない部分に対し、前記明度についての第1の明度値と前記他のパラメーターについての所定値とによって定まる第1の目標色に近づける色補正を行う機能と、
前記肌色領域の内で前記バンディング領域と重複する部分に対し、前記第1の明度値よりも高い第2の明度値と前記所定値とによって定まる第2の目標色への色補正を行う機能と
を備えるコンピュータープログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−95065(P2012−95065A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240247(P2010−240247)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】