説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】撮影されたときの状況が不明な顔画像であっても、適正な画像に補正して安定した画質で出力することができる画像処理装置および画像処理方法を提供する。
【解決手段】申請者が提示するICメモリカードからそれに記録されている当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した少なくとも顔画像を含む画像を読込み補正処理等を施す画像処理装置において、入力画像から人物の白目領域の明度および色相を測定し、それに基づき出力用顔画像の明度および色相を補正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば、自動車の運転免許証(以後、単に免許証と称す)や各種証明書(カードタイプや冊子タイプを含む)など、人物の顔画像と個人情報とを一緒にカード媒体に印刷することによりIDカードを発行するIDカード発行システムにおいて、カード発行申請者が提示する可搬性のある記録媒体から読込んだ当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した当該申請者の顔画像を適正な画像に補正する画像画像処理装置および画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、免許証等のIDカードを発行するIDカード発行システムにおいて、カード発行申請者の顔画像を撮影して出力する場合、特定の画質になるべく工夫が必要になる。
たとえば、出力時に画質がばらつかないように、厳正なカメラ、照明環境下で撮影を行なったり、そうでなければ撮影時の明るさ色合い等を監視する機能を設け、出力時に画像補正をかけることにより実現したり、肌色系の色に対し、記憶色再現手法で一定の顔色になるように補正を行なう場合もある(たとえば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2004−343809号公報
【特許文献2】特開2004−297617号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、IDカード発行システムに備えられた管理された撮影装置で撮影された顔画像ではなく、撮影されたときの状況が不明な顔画像、たとえば、カード発行申請者が提示するICメモリカードから読込んだ当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した顔画像の場合、撮影時の環境情報等を確実に入手することはできないし、記憶色再現手法により補正する場合は、明るい照明で撮影した色黒の人や、暗い照明で撮影した色白の人に対し、誤った補正をすることもある。
【0004】
また、この種のIDカード発行システムにおいて、顔画像をサツエイして出力する場合、顔の大きさにあわせてトリミングを行ない、出力用の大きさにリサイズすることは手間がかかるという問題もある。
【0005】
そこで、本発明は、撮影されたときの状況が不明な顔画像であっても、適正な画像に補正して安定した画質で出力することができる画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、出力する顔画像の位置および大きさが目標値となるように自動的にトリミングおよび大きさ補正を行なうことにより手間が省ける画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像処理装置は、人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力手段と、この画像入力手段により入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出手段と、この瞳領域抽出手段により抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記画像入力手段により入力された画像から顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定手段により決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう画像補正手段とを具備している。
【0008】
また、本発明の画像処理装置は、人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力手段と、この画像入力手段により入力された画像から人物の目および口の位置を抽出する目および口抽出手段と、この目および口抽出手段により抽出された目および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する補正係数決定手段と、前記画像入力手段により入力された画像から、前記補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう画像補正手段とを具備している。
【0009】
また、本発明の画像処理方法は、人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力ステップと、この画像入力ステップにより入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出ステップと、この瞳領域抽出ステップにより抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する補正係数決定ステップと、前記画像入力ステップにより入力された画像から顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定ステップにより決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう画像補正ステップとを具備している。
【0010】
さらに、本発明の画像処理方法は、人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力ステップと、この画像入力ステップにより入力された画像から人物の目および口の位置を抽出する目および口抽出ステップと、この目および口抽出ステップにより抽出された目および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する補正係数決定ステップと、前記画像入力ステップにより入力された画像から、前記補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう画像補正ステップとを具備している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人物の白目領域の明度および色相を測定し、それに基づき顔画像の明度および色相を補正することにより、撮影されたときの状況が不明な顔画像であっても、適正な画像に補正して安定した画質で出力することができる画像処理装置および画像処理方法を提供できる。
【0012】
また、本発明によれば、出力する顔画像の位置および大きさが目標値となるように自動的にトリミングおよび大きさ補正を行なうことにより手間が省ける画像処理装置および画像処理方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施の形態に係る
図1は、本発明に係る画像処理装置が適用される、たとえばIDカードを発行するIDカード発行システムの構成を概略的に示すものである。図1において、このIDカード発行システムは、全体的な制御を司る汎用コンピュータで構成されるホストコンピュータ101、このホストコンピュータ101に接続され、少なくともカード発行申請者(以後、単に申請者と称す)のIDカードに記載する各種情報を含む個人情報を、申請者が持つ固有の識別情報としての個人番号(ID番号)と対応させて記憶しているデータベース102、申請者が提示するICメモリカード(可搬性のある記録媒体)103からそれに記録されている当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した少なくとも顔画像を含む画像(以下、顔画像と称す)104を読込み補正処理等を施す画像処理装置105、画像処理装置105からの指令により、申請者の顔画像と個人番号、氏名、年齢、住所などの個人情報を、未発行状態のIDカードに印刷することによりIDカード106を作成する印刷装置107、それと同時に顔画像、個人番号、氏名、年齢、住所などの個人情報をファイリングするファイリング装置108、これらホストコンピュータ101、画像処理装置105、印刷装置107、および、ファイリング装置108を相互接続するネットワーク109から構成されている。
印刷装置107は、IDカード106のICチップ110に対し顔画像や個人情報などを書込む書込手段としてのIC書込装置111を備えている。
【0014】
IDカード106は、たとえば、ICカードを用いており、IC化されたメモリを含むICチップ110を内蔵している。IDカード106の表面には、申請者の顔画像112や個人番号、氏名、年齢、住所などの個人情報113などがそれぞれ印刷される。
【0015】
IDカード106として用いるICカードは、IC書込装置111との間でコンタクト部を介して通信を行なう接触式のICカード、あるいは、IC書込装置111との間で無線による通信を行なう非接触式のICカードのいずれであってもよい。
【0016】
図2は、画像処理装置105の全体的な構成を示すブロック図である。すなわち、操作者に対し処理状態やガイダンスなどを案内表示する表示器(モニタディスプレイ)201、操作者に対しガイダンスなどを音声で案内するスピーカ202、画像データおよびその他の描画処理を行ない、表示器201への表示制御を行なうビデオアクセラレート部203、スピーカ202へのガイダンス用の音声を制御するサウンドコントロール部204、各種演算処理や各種制御などを行なうCPU(セントラル・プロセッシング・ユニット)、画像データや演算結果などを一時保存するメインメモリ、および、各種周辺機器とのインタフェイスを備えたCPU部205、各種周辺機器を接続する外部バス(たとえば、SCSIなど)を制御する外部バス制御部206、各種OSやアプリケーション、制御用データ、画像データなどを保存するハードディスク装置などの大容量記憶装置207、ICメモリカード103に対してデータの読み書きを行なうカードリーダライタ部208、申請者固有の識別情報である個人番号をカード発行申請書から光学的に読取って入力する光学式読取装置(OCR)209、操作者が操作するキーボード210やマウス211、ネットワーク109上の他の各種機器(ホストコンピュータ101、印刷装置107、ファイリング装置108など)との間で相互通信を行なうためのネットワークアダプタ212などによって構成されている。
【0017】
このような構成において、画像処理装置105のメイン処理について図3に示すフローチャートを参照して説明する。
まず、ステップS101にて、IDカードを作成する申請者の持参した申請書を光学式読取装置209にセットすることにより、申請者固有の識別情報である個人番号を申請書から読取って入力する。申請書から読取った個人番号はCPU部205へ送られ、メインメモリに格納される。
【0018】
次に、ステップS102にて、CPU部205は、申請書から読取った個人番号をキーとして、データベース102から当該申請者の個人情報を検索して読出し、メインメモリに格納する。
次に、ステップS103にて、操作者は、申請者が提示したICメモリカード103を受取り、当該ICメモリカード103をカードリーダライタ部208にセットすることにより、当該ICメモリカード103からそれに記録されている当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した顔画像104を読込み、メインメモリに格納する。
【0019】
次に、ステップS104にて、ICメモリカード103から読込んだ申請者の顔画像に対する画像処理を行なう。この画像処理については後で詳細を説明する。次に、ステップS105にて、ステップS104の画像処理が正常に終了したか否かを判定し、エラーがあった場合はステップS107にて、表示器201やスピーカ202により、操作者と申請者に対しその旨のガイダンスを行ない、ステップS101に戻る。
【0020】
ステップS105における判定の結果、画像処理が正常に終了した場合、ステップS108にて、出力用画像を生成し、印刷装置107に対しIDカード106の作成指示を行なう。その後、ステップS101に戻り、次の画像処理に備える。
【0021】
図4は、ICメモリカード103からの入力画像(顔画像)18と、その入力画像18内から顔輪郭領域19を判定し、顔の大きさを検出する様子を示すものである。
【0022】
以下、図5に示すフローチャートおよび図4を参照して図3におけるステップS104の画像処理について説明する。なお、以下に説明する処理は、主にCPU部205内のCPUの制御によって実行される。
まず、ステップS1にて、ICメモリカード103から読込んだ顔画像を表示器201に表示する。次に、ステップS2にて、操作者は、マウス211を用いて申請者の瞳が含まれる領域20(図4参照)をドラッグする。このマウス211の操作に基づき、ステップS3にて、指定された領域20内から、瞳と同形状の丸い形状をした部位21,22(図4参照)を抽出する。
【0023】
次に、ステップS4では、抽出したそれぞれの部位周辺の形状とあらかじめ登録された左右瞳の標本データとを比較し、類似度合いが最も高い抽出部位を左右瞳分抽出する。次に、ステップS5にて、類似度合いがあらかじめ設定される閾値以上であるか否かを判定し、閾値以上であれば正常に開いている瞳位置と判断し、もし閾値以下であれば、瞳が見つからないと判断し、ステップS11〜S12にて操作者による指定を行なう。
すなわち、ステップS11にて、瞳が見つからない旨を表示器201に表示する。次に、ステップS12にて、操作者は、マウス211を用いて両目の位置をそれぞれクリックすることで、瞳部分を指示する。
【0024】
次に、ステップS6にて、決定した瞳部位21,22を後の処理用に一次保存する。次に、ステップS7にて、後で詳細を説明するズーム係数測定処理(第1の補正係数決定手段)を行なうことで、顔画像内の顔の大きさを測定し、ズーム係数(補正係数)を算出する。
次に、ステップS8にて、後で詳細を説明する顔色補正係数測定処理(第2の補正係数決定手段)を行なうことで、白目領域の情報から顔色補正係数を算出する。
【0025】
次に、ステップS9にて、後で詳細を説明する出力画像生成処理を行なうことにより、ステップS7,S8で算出した各補正係数に伴う補正処理を行なう。
【0026】
図6は、図5におけるステップS7のズーム係数測定処理の流れを示すもので、以下それについて説明する。
まず、ステップS31にて、抽出した左右の瞳部位21,22の中心23(図4参照)からの相対位置領域として、口が必ず存在するであろう領域24(図4参照)を算出し、この算出した領域24内から唇と同様の赤色の画素をもつ部位を抽出する。
次に、ステップS32にて、抽出したそれぞれの部位とあらかじめ登録された口の標本データとを比較し、類似度合いが最も高い抽出部位を口部位25(図4参照)として抽出する。
【0027】
次に、ステップS33にて、左右の瞳部位21,22と口部位25との間の面積26(図4参照)を求め、この求めた面積26から顔の大きさを求める。次に、ステップS34にて、別途出力処理にて媒体への印刷を行なう際に、適正な解像度とするために設けられた目標顔大きさ(目標値)に対する測定した顔大きさの比率をズーム係数とし、この決定したズーム係数をステップS35にて後の処理のために一次保存する。
【0028】
図7は、図5におけるステップS8の顔色補正係数測定処理の流れを示すもので、以下それについて図8も参照しながら説明する。
まず、ステップS71にて、瞳領域画像80を生成するための矩形領域(基準値×ズーム係数)を算出する。この矩形領域は、ステップS34での基準値を基に設定している、基準大きさの瞳が含まれるために丁度よい大きさの矩形領域として設定している基準の矩形領域の大きさに対し、ステップS34で決定したズーム係数分大きな領域を設定する。なぜなら、固定の矩形領域とした場合、入力画像内の顔部分に閉める画素数はまちまちであり、瞳部位が適正に確保できない場合があるからである。
【0029】
次に、ステップS72にて、ステップS6で保持した瞳部位の情報を基に、ステップS71で求めた矩形領域分の瞳領域80をトリミングする。
次に、ステップS73にて、瞳領域画像80のR(赤),G(緑),B(青)で表現された各画素を色相H、彩度S、明度Vに変換し、後の処理のためにメモリHSVData(図示しない)に一次保存する。
【0030】
次に、ステップS74にて、後で詳細を説明する肌/瞳領域ラベリング処理を行なうことにより、瞳領域画像80内の肌領域と瞳領域に対しラベリングを行ない、図8に示すようなデータ81を生成する。
次に、ステップS75にて、後で詳細を説明する白目領域ラベリング処理を行なうことにより、瞳領域画像80内の白目領域とその他の領域に対しラベリングを行ない、図8に示すようなデータ82を生成する。
【0031】
次に、ステップS76にて、ステップS75で求められたデータ82を基に、瞳領域画像80内の白目領域の明度と色相をそれぞれ測定し、ステップS77にて、明度補正係数と色相補正係数を決定する。各補正係数は、各基準値に対し実際の測定値の違いから補正分を決定する。この基準値は、印刷装置や画面上で見たときに最も好ましい照明環境で撮影した場合に白目領域から取り得る値である。
次に、ステップS78〜S79にて、ステップS77で決定した明度補正係数と色相補正係数を後の処理のために一次保存する。
【0032】
図9は、図7におけるステップS74の肌/瞳領域ラベリング処理の流れを示すもので、以下それについて図8も参照しながら説明する。
まず、ステップS81にて、メモリHSVDataの左上、右上、左下、右下の4隅から肌領域の色相値Hskinと彩度値Sskinを抽出する。瞳領域画像80中、瞳の形状により、これら4隅は必ず肌領域が存在すると仮定している。
【0033】
次に、ステップS82にて、ステップS81で抽出した色相値Hskinおよび彩度値Sskinと同様な色相値、彩度値を持った領域を「0」でラベリングし、それ以外の領域を「1」でラベリングすることで、肌領域E1とそれ以外である瞳領域E2を分離したデータ(SkinLbData)81を生成し、後の処理のために一次保存する。
ここで、肌領域の判定には色相H、彩度S、明度Vのうち明度Vは使用しない。なぜなら、肌領域は色相Hと彩度Sは安定した値をとるが、明度Vについては照明の影や染み等により様々な値をとりえるため、肌領域の抽出に明度Vを使うと安定した判定ができなくなるからである。また、色相Hと彩度Sは適度に重み付けを行なうことにより、より安定した判定ができる。
【0034】
図10は、図7におけるステップS76の白目領域ラベリング処理の流れを示すもので、以下それについて図8も参照しながら説明する。
ステップS91にて、ステップS82で生成したデータ81の「1」の要素を持ち、かつ、メモリHSVDataにて明度Vがある閾値以上の領域を「1」でラベリングし、それ以外の領域を「0」でラベリングすることで、白目領域E3とそれ以外の領域E4を分離したデータ(EyeLbData)82を生成し、後の処理のために一時保存する。
この処理では、ステップS82で分離した瞳領域E2内の白目領域E3とそれ以外の領域E4とを分離する。既に肌領域は分離が済んでいるため、残りの黒目の領域と白目の領域とを分離するために、明るい領域は白目、暗い領域は黒目という判定を行なうべく、明度Vのみにより分離判定する。白目領域と黒目領域とを区別する際、色相Hや彩度Sは様々な値をとりえるため、これら2種の情報を使うと安定した判定ができない。
【0035】
図11は、図5におけるステップS9の出力画像生成処理の流れを示すもので、以下それについて説明する。
まず、ステップS110にて、ステップS6で保存した瞳位置21から22までの中心23(図4参照)を基準に、その周辺矩形領域(顔輪郭領域)19のトリミングを行なう。この場合、矩形領域19の大きさは、ステップS35で保存したズーム係数により決定する。
【0036】
次に、ステップS111にて、ステップS110でトリミングした矩形領域19内の顔画像に対し、ステップS35で保存したズーム係数によるデジタルズーム処理を行なう。
次に、ステップS112にて、ステップS111でズーム処理した矩形領域19内の顔画像に対し、ステップS77で決定した明度補正係数に基づき明度補正を行なう。次に、ステップS113にて、ステップS112で明度補正を行なった顔画像に対し、ステップS77で決定した色相補正係数に基づき色相補正を行なう。
【0037】
次に、ステップS114にて、記憶色再現のための明度補正を行なう。一般に、肌色は記憶色と表現される。この記憶色とは、人間の想像の中で好ましい肌色としてつくり得た色である。実際にカメラで顔を撮影した色をそのまま出力した場合、大概の人はその顔が想像よりも暗いと感じる。そのため、記憶色再現は一般的に明度をあげる処理を行なう。
【0038】
なお、前記実施の形態では、入力画像が申請者が提示するICメモリカードから読込んだ当該申請者が独自の撮影環境にて撮影した顔画像の場合について説明したが、必ずしもこのような入力画像に限定されるものではなく、たとえば、本装置にビデオカメラを装備し、当該カメラにより申請者の顔画像を撮影して入力したものであっても同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施の形態に係るIDカード発行システムの構成を概略的に示すブロック図。
【図2】画像処理装置の全体的な構成を概略的に示すブロック図
【図3】画像処理装置のメイン処理を説明するためのフローチャート。
【図4】入力画像(顔画像)と、その入力画像内から顔輪郭領域を判定し、顔の大きさを検出する様子を説明する図。
【図5】画像処理について説明するためのフローチャート。
【図6】ズーム係数測定処理の流れを示すフローチャート。
【図7】顔色補正係数測定処理の流れを示すフローチャート。
【図8】顔色補正係数測定処理を説明するための図。
【図9】肌/瞳領域ラベリング処理の流れを示フローチャート。
【図10】白目領域ラベリング処理の流れを示すフローチャート。
【図11】出力画像生成処理を説明するためのフローチャート。
【符号の説明】
【0040】
101…ホストコンピュータ、102…データベース、103…ICメモリカード(記録媒体)、104…顔画像、105…画像処理装置、106…IDカード、107…印刷装置、108…ファイリング装置、110…メモリチップ(記憶媒体)、111…IC書込み装置、112…顔画像、201…表示器、205…CPU部、208…カードリーダライタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力手段と、
この画像入力手段により入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出手段と、
この瞳領域抽出手段により抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記画像入力手段により入力された画像から顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定手段により決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう画像補正手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力手段と、
この画像入力手段により入力された画像から人物の目および口の位置を抽出する目および口抽出手段と、
この目および口抽出手段により抽出された目および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する補正係数決定手段と、
前記画像入力手段により入力された画像から、前記補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう画像補正手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記画像補正手段により補正された顔画像に対し記憶色再現のための色相補正を行なう記憶色再現処理手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力手段と、
この画像入力手段により入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出手段と、
この瞳領域抽出手段により抽出された瞳を含む領域から瞳および口の位置を抽出する瞳および口抽出手段と、
この瞳および口抽出手段により抽出された瞳および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する第1の補正係数決定手段と、
前記瞳領域抽出手段により抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する第2の補正係数決定手段と、
前記画像入力手段により入力された画像から、前記第1の補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記第1の補正係数決定手段により決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう第1の画像補正手段と、
この第1の画像補正手段により補正された顔画像に対し、前記第2の補正係数決定手段により決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう第2の画像補正手段と、
を具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記第2の画像補正手段により補正された顔画像に対し記憶色再現のための色相補正を行なう記憶色再現処理手段をさらに具備したことを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記画像入力手段により入力される画像は、人物が独自の撮影環境にて撮影した当該人物の少なくとも顔画像を含む画像が記録された可搬性のある記録媒体から読込んだ前記画像であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項7】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力ステップと、
この画像入力ステップにより入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出ステップと、
この瞳領域抽出ステップにより抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する補正係数決定ステップと、
前記画像入力ステップにより入力された画像から顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定ステップにより決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう画像補正ステップと、
を具備したことを特徴とする画像処理方法。
【請求項8】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力ステップと、
この画像入力ステップにより入力された画像から人物の目および口の位置を抽出する目および口抽出ステップと、
この目および口抽出ステップにより抽出された目および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する補正係数決定ステップと、
前記画像入力ステップにより入力された画像から、前記補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう画像補正ステップと、
を具備したことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
人物の少なくとも顔画像を含む画像を入力する画像入力ステップと、
この画像入力ステップにより入力された画像から人物の瞳を含む領域を抽出する瞳領域抽出ステップと、
この瞳領域抽出ステップにより抽出された瞳を含む領域から瞳および口の位置を抽出する瞳および口抽出ステップと、
この瞳および口抽出ステップにより抽出された瞳および口の位置から当該人物の顔の大きさを算出し、この算出した顔の大きさから当該顔の位置および大きさが目標値となるように補正するための顔補正係数を決定する第1の補正係数決定ステップと、
前記瞳領域抽出ステップにより抽出された瞳を含む領域から白目領域を抽出し、この抽出した白目領域の明度および色相を測定することで明度補正係数および色相補正係数を決定する第2の補正係数決定ステップと、
前記画像入力ステップにより入力された画像から、前記第1の補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき顔画像を抽出し、この抽出した顔画像に対し前記第1の補正係数決定ステップにより決定された顔補正係数に基づき大きさの補正を行なう第1の画像補正ステップと、
この第1の画像補正ステップにより大きさが補正された顔画像に対し、前記第2の補正係数決定ステップにより決定された明度補正係数および色相補正係数に基づき明度および色相の補正を行なう第2の画像補正ステップと、
を具備したことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−60525(P2007−60525A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246139(P2005−246139)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】