説明

画像処理装置および画像処理方法

【課題】空間方向のノイズ低減に関わる処理量を効率的に行うことが可能な画像処理装置および画像処理方法を提供する。
【解決手段】有効な領域に対してのみフリッカ低減処理を実施する。フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理装置において、ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出手段と、特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うフリッカ低減手段とを具備して構成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、動画像におけるノイズ除去を行う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話での動画再生時に映像補正処理を行い、ユーザに高品位な映像を提供することが一般的になってきている。そして、符号化時にフレーム内に混入するブロックノイズやリンギングノイズを上記映像補正処理によって除去する。具体的には、各フレームの特徴を解析して適切なフィルタを適用するKernel Regression(KR)によるノイズ除去が行われている。
【0003】
しかし、動画像には、上述した空間方向のノイズだけではなく、フリッカと呼ばれる時間方向のノイズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−242696号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
動画像には、上述した空間方向のノイズだけではなく、フリッカと呼ばれる時間方向のノイズが存在するという問題があった。
課題は、上記の問題を解決すべくなされたもので、空間方向のノイズ低減に関わる処理量を効率的に行うことが可能な画像処理装置および画像処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理装置において、ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出手段と、特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うフリッカ低減手段とを具備して構成するようにした。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示す回路ブロック図。
【図2】図1に示した画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図3】図1に示した画像処理装置の境界判定の動作を説明するための図。
【図4】第2の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示す回路ブロック図。
【図5】図4に示した画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【図6】第3の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示す回路ブロック図。
【図7】図6に示した画像処理装置の動作を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示すものである。この画像処理装置は、メモリ110と、フィルタ情報記憶部120と、フィルタ選択部130と、平坦領域判定部140と、画像情報記憶部150と、空間ノイズ除去部160と、平坦/非平坦境界判定部170と、フリッカ低減部180とを備えている。
【0009】
メモリ110は、例えば半導体メモリなどを記憶媒体として用いたものであって、複数フレームの画像データを記憶できる。なお、画像データは、図示しない復号器が符号化ストリームを復号することによって得たフレーム単位の動画像のデータであって、フレームの画像データと符号化情報を含んでいる。また、符号化情報には、量子化パラメータや動きベクトル、ピクチャ情報が含まれる。
【0010】
フィルタ情報記憶部120は、種々のエッジ特徴量のテンプレートとフィルタを対応づけて、フィルタ情報として予め記憶する。すなわち、各エッジ特徴量に適用すべきフィルタを、エッジ特徴量のテンプレートに対応づけて、フィルタ情報として予め記憶する。なお、上記フィルタは、フィルタリング対象の画素あるいはその周辺画素を含んだブロックにそれぞれ適用するフィルタ係数のセットであって、このフィルタを適用することにより、画像のエッジ特徴を考慮した出力画像が得られる。
【0011】
フィルタ選択部130は、メモリ110から処理対象となるフレーム(以下、処理対象フレームと称する)を構成するブロックのうち、処理対象となるブロック(以下、処理対象ブロックと称する)の画像データを読み出す。そして、フィルタ選択部130は、処理対象ブロックの画像データに基づいて、映像のエッジ特徴量を算出する。
【0012】
そして、フィルタ選択部130は、フィルタ情報記憶部120が記憶するフィルタ情報を参照し、上記エッジ特徴量に対応するフィルタを検出し、この検出したフィルタのインデックス(以下、フィルタインデックスと称する)を、上記エッジ特徴量を得たブロックを識別するインデックス(以下、ブロックインデックスと称する)に対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部160に出力する。なお、フィルタ選択部130は、メモリ110が記憶する符号化情報に基づいて、各ブロックのエッジ特徴量を求めるようにしてもよい。
【0013】
平坦領域判定部140は、メモリ110から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに基づいて、処理対象ブロックが、平坦領域であるか非平坦領域であるかを判定し、この判定結果とブロックインデックスを対応付けて、画像情報記憶部150に記録する。なお、ブロック内に、エッジやテクスチャが一部でも含まれている場合には、非平坦領域と判定し、全くエッジやテクスチャを含まない場合に、平坦領域と判定する。
【0014】
具体的な判定方法の例としては、判定対象となるブロックの画像の複雑さを示すテクスチャ特徴量を算出し、このテクスチャ特徴量が閾値を超える場合に、非平坦領域と判定し、一方、閾値以下の場合には、平坦領域と判定することができる。また、ブロック内の輝度値の最大値と最小値を検出し、その差分を特徴量として、閾値判定するようにしてもよい。
【0015】
空間ノイズ除去部160は、フィルタ選択部130から与えられるフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部120から取得し、また上記フィルタデータに含まれるブロックインデックスに対応する画像データをメモリ110から取得するとともに、同ブロックに対応する判定結果を画像情報記憶部150から取得し、これらの情報に基づいて、ブロックごとにフィルタの再構成を行い、再構成されたフィルタを用いて、対応するブロックの画像データをフィルタリングする。
【0016】
具体的には、平坦領域判定部140の判定結果が平坦領域を示す場合には、フィルタの再構成は行わずに、フィルタ情報記憶部120から取得したフィルタを、上記ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0017】
すなわち、下式(1)で示すような演算を行う。なお、下式において、(x,y)はフィルタリング対象の画素の座標を示し、(m,n)はフィルタリング対象の画素を中心とする相対的な座標を示す。そして、h(m,n)はフィルタ、S(x,y)は、フィルタリング対象の画素の輝度値、D(x,y)はフィルタリングされた対象画素の輝度値をそれぞれ示している。
【数1】

【0018】
このようにして、フィルタリングされた輝度値は、ブロックごとにまとめられた画像データに統合され、ブロックインデックスとともにフリッカ低減部180に出力される。
【0019】
一方、平坦領域判定部140の判定結果が非平坦領域を示す場合には、上記フィルタデータ(フィルタインデックス)が示すフィルタをεフィルタを用いて再構成し、この再構成したフィルタを上記ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0020】
すなわち、下式(2)、(3)で示すような演算を行う。この式の例では、フィルタリング対象の画素の輝度値S(x,y)がその周辺の画素の輝度値S(x-m,y-n)と比べて差が大きい場合(閾値Thより大きい場合)には、輝度値S(x,y)のみをフィルタリングに用いることで、再構成したフィルタを用いた場合と同じフィルタリングを行う。一方、それ以外の場合には、判定結果が平坦領域を示す場合と同じフィルタリングを行っている。
【数2】

【0021】
このようにして、フィルタリングされた輝度値は、ブロックごとにまとめられた画像データに統合され、ブロックインデックスとともにフリッカ低減部180に出力される。
【0022】
平坦/非平坦境界判定部170は、画像情報記憶部150から、平坦領域判定部140の判定結果とこれに対応付けられたブロックインデックスを読み出し、この読み出した情報に基づいて、平坦領域に隣接する非平坦領域を境界領域として検出する。そして、平坦/非平坦境界判定部170は、平坦領域のブロックインデックスと境界領域のブロックインデックスをフリッカ低減部180に通知する。
【0023】
フリッカ低減部180は、平坦/非平坦境界判定部170から通知される情報に基づいて、空間ノイズ除去部160から出力される画像データのうち、平坦領域と境界領域に対して、フリッカ低減を行い、一方、非平坦領域については、フリッカ低減を行わない。
【0024】
次に、上記構成の画像処理装置の動作について説明する。図2は、上記画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。この図に示す処理は、メモリ110が記憶するフレームの画像データ毎に繰り返し実行される。
【0025】
ステップ2a〜2gは、フィルタ選択部130、平坦領域判定部140および空間ノイズ除去部160によってなされるものであって、メモリ110に記憶される処理対象フレームを構成するブロック毎に実行するループ処理である。
【0026】
ステップ2bでは、フィルタ選択部130が、メモリ110から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに対して、例えばSobelフィルタやPrewittフィルタ、Robinsonフィルタ、近傍差分フィルタなどのいずれかのフィルタを適用して、エッジの方向や強度を示すエッジ特徴量を算出する。
【0027】
そして、フィルタ選択部130は、フィルタ情報記憶部120が記憶するフィルタ情報を参照し、テンプレートマッチングにより、上記エッジ特徴量に一致する、もしくは最も類似したテンプレートを検出し、これに対応づけられたフィルタインデックスを読み出す。そして、フィルタ選択部130は、この読み出したフィルタインデックスを、処理対象ブロックのブロックインデックスに対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部160に出力し、ステップ2cに移行する。
【0028】
ステップ2cでは、平坦領域判定部140が、メモリ110から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに基づいて、処理対象ブロックの画像を構成する画素の輝度値を参照し、最大の輝度値と、最小の輝度値を検出し、その差を、画像の複雑さを示すテクスチャ特徴量として検出し、ステップ2dに移行する。
【0029】
ステップ2dでは、平坦領域判定部140が、ステップ2cで求めたテクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックが平坦領域であるか非平坦領域であるかを判定し、この判定結果とブロックインデックスを対応付けて、画像情報記憶部150に記録する。すなわち、テクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックに適用する予定のフィルタを再構成する必要性があるか否かを判定する。
【0030】
具体的には、テクスチャ特徴量が閾値を超えない場合、すなわち処理対象ブロックの映像が単調な場合には、平坦領域と判定してステップ2eに移行し、一方、テクスチャ特徴量が閾値を超える場合、すなわち処理対象ブロックの映像が複雑な場合には、非平坦領域と判定してステップ2fに移行する。
【0031】
ステップ2eでは、空間ノイズ除去部160が、フィルタ選択部130から与えられたフィルタデータに含まれるブロックインデックスを処理対象ブロックとして認識し、この処理対象ブロックに対する判定結果を画像情報記憶部150から取得し、これにより、処理対象ブロックが平坦領域であることを認識する。
【0032】
そして空間ノイズ除去部160は、上記フィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部120から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ110から取得する。そして、空間ノイズ除去部160は、上記フィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、ステップ2gに移行する。
【0033】
一方、ステップ2fでは、空間ノイズ除去部160が、フィルタ選択部130から与えられたフィルタデータに含まれるブロックインデックスを処理対象ブロックとして認識し、この処理対象ブロックに対する判定結果を画像情報記憶部150から取得し、これにより、処理対象ブロックが非平坦領域であることを認識する。
【0034】
そして空間ノイズ除去部160は、上記フィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部120から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ110から取得する。そして、空間ノイズ除去部160は、上記フィルタを再構成し、この再構成したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、ステップ2gに移行する。
【0035】
なお、再構成したフィルタは、ステップ2eで適用するフィルタに比べて、処理の負荷が大きくなっており、空間ノイズの除去能力が高い。すなわち、平坦領域と非平坦領域を比べた場合に、非平坦領域の方が空間ノイズを知覚されやすいので、平坦領域に比べて、負荷の大きい強力なフィルタリングを行う。
【0036】
ステップ2gでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ2b〜2fの処理を行うと、ステップ2hに移行する。
【0037】
ステップ2h〜2kは、平坦/非平坦境界判定部170およびフリッカ低減部180によってなされるものであって、処理対象フレームを構成するブロック(処理対象ブロック)毎に実行するループ処理であって、平坦領域と境界領域に対してのみ、フリッカ低減を行う。
【0038】
ステップ2iでは、平坦/非平坦境界判定部170が、画像情報記憶部150から、平坦領域判定部140の判定結果とこれに対応付けられたブロックインデックスを読み出し、この読み出した情報に基づいて、領域の種別が変化する境界領域を検出し、平坦領域のブロックインデックスと境界領域のブロックインデックスをフリッカ低減部180に通知する。これにより、平坦領域と境界領域のブロックについてのみ、ステップ2jの処理がフリッカ低減部180によってなされる。
【0039】
具体例として、例えば図3に示すように、非平坦領域のブロックB0,B1と、平坦領域のブロックB2が並んでいる場合について説明する。この場合、平坦/非平坦境界判定部170は、非平坦領域のブロックB1(処理対象ブロック)が、非平坦領域のブロックB0と平坦領域のブロックB2の間に存在することより、境界領域として検出する。
【0040】
なお、このように、両端が異なる種別の領域であるか否かで判定するだけではなく、上下左右の4方向のいずれか2つに異なる種別の領域が存在する非平坦領域のブロックや、周囲8方向のいずれかに2つに異なる種別の領域が存在する非平坦領域のブロックを境界領域として検出するようにしてもよい。
【0041】
ステップ2jでは、フリッカ低減部180が、平坦/非平坦境界判定部170から通知された平坦領域と境界領域のブロックインデックスに基づいて、空間ノイズ除去部160から出力される画像データのうち、平坦領域と境界領域のブロックについてフリッカ低減を行い、後段に出力する。なお、非平坦領域のブロックについては、フリッカ低減を行わずに、後段に出力する。
【0042】
ステップ2kでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ2iおよび2jの処理を行うと、当該処理を終了する。
【0043】
以上のように、上記構成の画像処理装置では、平坦領域判定部140による平坦領域の判定結果に基づいて、平坦領域と、境界領域(平坦領域に接する非平坦領域)を検出し、空間ノイズの除去については、平坦領域に比べて空間ノイズが知覚されやすい非平坦領域については、空間ノイズを除去するフィルタを再構成して平坦領域よりも強力なフィルタリングを実施し、またフリッカ低減については、非平坦領域に比べてフリッカが知覚されやすい平坦領域と境界領域に対してのみ、フリッカ低減処理を適用するようにしている。
【0044】
したがって、上記構成の画像処理装置によれば、平坦領域/非平坦領域に応じて効率的な空間ノイズ除去が行え、またすべての領域に対してフリッカ低減処理を実施するわけではなく、有効な領域に対してのみフリッカ低減処理を実施する。このため、処理量を抑制しながらも、空間方向と時間方向のノイズ低減を効率的に実施することができる。すなわち、ブロック毎の特徴に応じて、空間方向と時間方向のノイズを効率的に低減することができる。
【0045】
(第2の実施形態)
図4は、第2の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示すものである。この画像処理装置は、メモリ210と、フィルタ情報記憶部220と、フィルタ選択部230と、特徴量算出部240と、画像情報記憶部250と、ノイズ低減制御部260と、空間ノイズ除去部270と、フリッカ低減部280とを備えている。
【0046】
メモリ210は、例えば半導体メモリなどを記憶媒体として用いたものであって、複数フレームの画像データを記憶できる。なお、画像データは、図示しない復号器が符号化ストリームを復号することによって得たフレーム単位の動画像のデータであって、フレームの画像データと符号化情報を含んでいる。また、符号化情報には、量子化パラメータや動きベクトル、ピクチャ情報が含まれる。
【0047】
フィルタ情報記憶部220は、種々のエッジ特徴量のテンプレートとフィルタを対応づけて、フィルタ情報として予め記憶する。すなわち、各エッジ特徴量に適用すべきフィルタを、エッジ特徴量のテンプレートに対応づけて、フィルタ情報として予め記憶する。なお、上記フィルタは、フィルタリング対象の画素あるいはその周辺画素を含んだブロックにそれぞれ適用するフィルタ係数のセットであって、このフィルタを適用することにより、画像のエッジ特徴を考慮した出力画像が得られる。
【0048】
フィルタ選択部230は、メモリ210から処理対象となるフレーム(以下、処理対象フレームと称する)を構成するブロックのうち、処理対象となるブロック(以下、処理対象ブロックと称する)の画像データを読み出す。そして、フィルタ選択部230は、処理対象ブロックの画像データに基づいて、映像のエッジ特徴量を算出する。
【0049】
そして、フィルタ選択部230は、フィルタ情報記憶部220が記憶するフィルタ情報を参照し、上記エッジ特徴量に対応するフィルタを検出し、この検出したフィルタのインデックス(以下、フィルタインデックスと称する)を、上記エッジ特徴量を得たブロックを識別するインデックス(以下、ブロックインデックスと称する)に対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部270に出力する。なお、フィルタ選択部230は、メモリ210が記憶する符号化情報に基づいて、各ブロックのエッジ特徴量を求めるようにしてもよい。
【0050】
特徴量算出部240は、メモリ210から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに基づいて、処理対象ブロックの画像の複雑さを示すテクスチャ特徴量を算出する。そして、特徴量算出部240は、このテクスチャ特徴量を、処理対象ブロックのブロックインデックスに対応付けて、画像情報記憶部250に記録する。なお、ブロック内の輝度値の最大値と最小値を検出し、その差分を特徴量としてもよい。
【0051】
ノイズ低減制御部260は、画像情報記憶部250から、処理対象ブロックについて、特徴量算出部240が求めたテクスチャ特徴量とこれに対応付けられたブロックインデックスを読み出し、テクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックが平坦領域、非平坦領域あるいは境界領域のいずれであるかを判定し、この判定結果に応じて、後述する空間ノイズ除去部270で適用するフィルタリング処理、およびフリッカ低減部280で実施するフリッカ低減処理を制御する。
【0052】
具体的には、まず、ノイズ低減制御部260は、テクスチャ特徴量が閾値を超える場合には、処理対象ブロックを非平坦領域と判定し、一方、閾値以下の場合には、処理対象ブロックを平坦領域と判定する。
【0053】
そして、平坦領域に隣接する非平坦領域を境界領域として検出する。具体例として、例えば図3に示すように、非平坦領域のブロックB0,B1と、平坦領域のブロックB2が並んでいる場合について説明する。この場合、ノイズ低減制御部260は、非平坦領域のブロックB1(処理対象ブロック)が、非平坦領域のブロックB0と平坦領域のブロックB2の間に存在することより、境界領域として検出する。
【0054】
なお、このように、両端が異なる種別の領域であるか否かで判定するだけではなく、上下左右の4方向のいずれか2つに異なる種別の領域が存在する非平坦領域のブロックや、周囲8方向のいずれかに2つに異なる種別の領域が存在する非平坦領域のブロックを境界領域として検出するようにしてもよい。
【0055】
空間ノイズ除去部270は、フィルタ選択部230から与えられるフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部220から取得するとともに、上記フィルタデータに含まれるブロックインデックスに対応する画像データをメモリ210から取得し、そして、ノイズ低減制御部260からの指示に基づいて、処理対象ブロックが非平坦領域や境界領域の場合に、上記フィルタを再構成し、再構成されたフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。一方、平坦領域の場合には、上記フィルタを再構成せずに、このフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。
【0056】
具体的には、ノイズ低減制御部260からフィルタの再構成が指示されない場合(平坦領域の場合)には、フィルタの再構成は行わずに、フィルタ情報記憶部220から取得したフィルタを、上記ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0057】
すなわち、式(1)で示したような演算を行う。このようにして、フィルタリングされた輝度値は、ブロックごとにまとめられた画像データに統合され、ブロックインデックスとともにフリッカ低減部280に出力される。
【0058】
一方、ノイズ低減制御部260からフィルタの再構成が指示された場合(非平坦領域や境界領域の場合)には、上記フィルタデータ(フィルタインデックス)が示すフィルタをεフィルタを用いて再構成し、この再構成したフィルタを上記ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0059】
すなわち、式(2)、(3)で示したような演算を行う。このようにして、フィルタリングされた輝度値は、ブロックごとにまとめられた画像データに統合され、ブロックインデックスとともにフリッカ低減部280に出力される。
【0060】
フリッカ低減部280は、ノイズ低減制御部260からの指示に基づいて、空間ノイズ除去部270から出力される画像データのうち、平坦領域と境界領域に対して、フリッカ低減処理Aを施し、一方、非平坦領域については、フリッカ低減処理Bを施す。フリッカ低減処理Aは、平坦領域や境界領域に適した処理であって、フリッカ低減処理Bは、非平坦領域に適した処理である。一般に、非平坦領域に比べて平坦領域や境界領域は、フリッカが知覚されやすいので、フリッカ低減処理Bよりも処理負荷が大きく、また低減能力が優るフリッカ低減処理Aを適用する。
【0061】
上記構成の画像処理装置の動作について説明する。図5は、上記画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。この図に示す処理は、メモリ210が記憶する各フレームの画像データ毎に繰り返し実行される。
【0062】
ステップ5a〜5dは、フィルタ選択部230および特徴量算出部240によってなされるものであって、メモリ210に記憶される処理対象フレームを構成するブロック毎に実行するループ処理である。
【0063】
ステップ5bでは、フィルタ選択部230が、メモリ210から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに対して、例えばSobelフィルタやPrewittフィルタ、Robinsonフィルタ、近傍差分フィルタなどのいずれかのフィルタを適用して、エッジの方向や強度を示すエッジ特徴量を算出する。
【0064】
そして、フィルタ選択部230は、フィルタ情報記憶部220が記憶するフィルタ情報を参照し、テンプレートマッチングにより、上記エッジ特徴量に一致する、もしくは最も類似したテンプレートを検出し、これに対応づけられたフィルタインデックスを読み出す。そして、フィルタ選択部230は、この読み出したフィルタインデックスを、処理対象ブロックのブロックインデックスに対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部270に出力し、ステップ5cに移行する。
【0065】
ステップ5cでは、特徴量算出部240が、メモリ210から処理対象ブロックの画像データを読み出し、この画像データに基づいて、処理対象ブロックの画像を構成する画素の輝度値を参照し、最大の輝度値と、最小の輝度値を検出し、その差を、画像の複雑さを示すテクスチャ特徴量として検出し、ステップ5dに移行する。
【0066】
ステップ5dでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ5bおよびステップ5cの処理を行うと、ステップ5eに移行する。
【0067】
ステップ5e〜5mは、ノイズ低減制御部260、空間ノイズ除去部270およびフリッカ低減部280によってなされるものであって、メモリ210に記憶される処理対象フレームを構成するブロック毎に実行するループ処理である。
【0068】
ステップ5fでは、空間ノイズ除去部270が、フィルタ選択部230から与えられたフィルタデータに含まれるブロックインデックスを処理対象ブロックとして認識し、この処理対象ブロックのブロックインデックスをノイズ低減制御部260に通知して、その種別について判定を求める。
【0069】
これに対して、ノイズ低減制御部260は、空間ノイズ除去部270から通知されたブロックインデックス(処理対象ブロック)に対応付けられたテクスチャ特徴量を、画像情報記憶部250から読み出し、このテクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックが平坦領域、非平坦領域あるいは境界領域のいずれであるかを判定し、判定結果を空間ノイズ除去部270およびフリッカ低減部280に通知する。
【0070】
これにより、処理対象ブロックが平坦領域の場合には、ステップ5gおよびステップ5hが行われ、また処理対象ブロックが非平坦領域の場合には、ステップ5iおよびステップ5jが行われ、あるいは処理対象ブロックが境界領域の場合には、ステップ5kおよびステップ5lが行われる。
【0071】
ステップ5gでは、空間ノイズ除去部270は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が平坦領域を示すことより、ステップ5fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部220から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ210から取得する。そして、空間ノイズ除去部160は、上記フィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、フィルタリングした画像データをフリッカ低減部280に出力して、ステップ5hに移行する。
【0072】
ステップ5hでは、フリッカ低減部280は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が平坦領域を示すことより、空間ノイズ除去部270にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理Aを施し、後段に出力して、ステップ5mに移行する。
【0073】
ステップ5iでは、空間ノイズ除去部270は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が境界領域を示すことより、ステップ5fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部220から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ210から取得する。そして、空間ノイズ除去部160は、上記フィルタを再構成した後、この再構成したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、フィルタリングした画像データをフリッカ低減部280に出力して、ステップ5jに移行する。
【0074】
なお、再構成したフィルタは、ステップ5gで適用するフィルタに比べて、処理の負荷が大きくなっており、空間ノイズの除去能力が高い。すなわち、平坦領域と境界領域を比べた場合に、境界領域の方が空間ノイズを知覚されやすいので、平坦領域に比べて、負荷の大きい強力なフィルタリングを行う。
【0075】
ステップ5jでは、フリッカ低減部280は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が境界領域を示すことより、空間ノイズ除去部270にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理Aを施し、後段に出力して、ステップ5mに移行する。
【0076】
ステップ5kでは、空間ノイズ除去部270は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が非平坦領域を示すことより、ステップ5fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部220から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ210から取得する。そして、空間ノイズ除去部160は、上記フィルタを再構成した後、この再構成したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、フィルタリングした画像データをフリッカ低減部280に出力して、ステップ5lに移行する。
【0077】
なお、再構成したフィルタは、ステップ5gで適用するフィルタに比べて、処理の負荷が大きくなっており、空間ノイズの除去能力が高い。すなわち、平坦領域と非平坦領域を比べた場合に、非平坦領域の方が空間ノイズを知覚されやすいので、平坦領域に比べて、負荷の大きい強力なフィルタリングを行う。
【0078】
ステップ5lでは、フリッカ低減部280は、ノイズ低減制御部260から取得した判定結果が境界領域を示すことより、空間ノイズ除去部270にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理Bを施し、後段に出力して、ステップ5mに移行する。
【0079】
ステップ5mでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ5f〜5lの処理を行うと、当該処理を終了する。
【0080】
以上のように、上記構成の画像処理装置では、特徴量算出部240で求めたテクスチャ特徴量に基づいて、フレームを構成する各ブロックが、平坦領域、境界領域あるいは非平坦領域のいずれであるかを判定し、空間ノイズの除去については、平坦領域に比べて空間ノイズが知覚されやすい非平坦領域については、空間ノイズを除去するフィルタを再構成して平坦領域よりも強力なフィルタリングを実施し、またフリッカ低減については、非平坦領域に比べてフリッカが知覚されやすい平坦領域と境界領域についてのみ、処理負荷の大きく低減能力に優れるフリッカ低減処理Aを適用するようにしている。
【0081】
したがって、上記構成の画像処理装置によれば、平坦領域/非平坦領域に応じて効率的な空間ノイズ除去が行え、またすべての領域に対してフリッカ低減処理Aを実施するわけではなく、非平坦領域については、処理負荷の小さいフリッカ低減処理Bを実施する。このため、処理量を抑制しながらも、空間方向と時間方向のノイズ低減を効率的に実施することができる。すなわち、ブロック毎の特徴に応じて、空間方向と時間方向のノイズを効率的に低減することができる。
【0082】
なお、上記第2の実施形態では、ステップ5iとステップ5kにおけるフィルタの再構成処理については、同様のものとして説明したが、異ならせるようにしてもよい。例えば、空間ノイズ除去部270は、式(2)、(3)で示したような演算によりフィルタの再構成を行うが、その際に、境界領域の場合(ステップ5i)と、非平坦領域の場合(ステップ5k)とで、閾値Thを可変するようにしてもよい。例えば、境界領域の場合(ステップ5i)には、非平坦領域の場合(ステップ5k)に比べて、閾値Thを小さく設定する。
【0083】
また、上記第2の実施形態では、ステップ5hとステップ5jにおけるフリッカ低減処理については、同様のものとして説明したが、領域の種別に応じて、異ならせるようにしてもよい。すなわち、平坦領域の場合(ステップ5h)には、非平坦領域の場合(ステップ5l)の場合に比べて、強いフリッカ低減処理を実施し、境界領域の場合(ステップ5j)には、平坦領域の場合(ステップ5h)と非平坦領域の場合(ステップ5l)の間の程度のフリッカ低減処理を行うようにする。非平坦領域の場合(ステップ5l)の場合には、フリッカ低減処理を行わないようにしてもよい。
【0084】
そしてまた、上記第2の実施形態では、境界領域の場合(ステップ5j)には、処理対象ブロックについて、平坦の度合いを検出し(あるいは、特徴量算出部240の算出結果を用いて)、平坦の度合いに応じて、閾値Thやフリッカ低減処理の強度を可変するようにしてもよい。
【0085】
(第3の実施形態)
図6は、第3の実施形態に係わる画像処理装置の構成を示すものである。この画像処理装置は、メモリ310と、フィルタ情報記憶部320と、フィルタ選択部330と、特徴量算出部340と、画像情報記憶部350と、ノイズ低減制御部360と、空間ノイズ除去部370と、フリッカ低減部380とを備えている。
【0086】
なお、メモリ310、フィルタ情報記憶部320、フィルタ選択部330、特徴量算出部340および画像情報記憶部350については、それぞれ第2の実施形態のメモリ210、フィルタ情報記憶部220、フィルタ選択部230、特徴量算出部240および画像情報記憶部250に対応し、同様の機能を有することより、以下、説明を簡略に行う。
【0087】
メモリ310は、例えば半導体メモリなどを記憶媒体として用いたものであって、複数フレームの画像データを記憶できる。
フィルタ情報記憶部320は、種々のエッジ特徴量のテンプレートとフィルタを対応づけて、フィルタ情報として予め記憶する。
【0088】
フィルタ選択部330は、メモリ310から処理対象ブロックの画像データを読み出し、エッジ特徴量を算出して、エッジ特徴量に対応するフィルタをフィルタ情報記憶部320から読み出し、ブロックインデックスに対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部370に出力する。
特徴量算出部340は、処理対象ブロックの画像データに基づいて、テクスチャ特徴量を算出し、ブロックインデックスに対応付けて、画像情報記憶部350に記録する。
【0089】
ノイズ低減制御部360は、画像情報記憶部350から、処理対象ブロックについて、特徴量算出部340が求めたテクスチャ特徴量とこれに対応付けられたブロックインデックスを読み出し、テクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックが平坦領域、非平坦領域あるいは境界領域のいずれであるかを判定し、この判定結果に応じて、後述する空間ノイズ除去部370で適用するフィルタリング処理のパラメータ、およびフリッカ低減部380で実施するフリッカ低減処理のパラメータを生成し、各処理を制御する。
なお、ノイズ低減制御部360による処理対象ブロックの種別判定のアルゴリズムは、第2の実施形態のノイズ低減制御部260と同様であることより、説明を省略する。
【0090】
空間ノイズ除去部370は、フィルタ選択部330から与えられるフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部320から取得するとともに、上記フィルタデータに含まれるブロックインデックスに対応する画像データをメモリ310から取得し、そして、ノイズ低減制御部360から与えられるパラメータに基づいて、処理対象ブロックが非平坦領域や境界領域の場合に、上記フィルタを再構成し、再構成されたフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。一方、平坦領域の場合には、上記フィルタを再構成せずに、このフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。
【0091】
なお、空間ノイズ除去部370におけるフィルタの再構成処理は、空間ノイズ除去部270と同様である。すなわち、処理対象ブロックが平坦領域の場合には、式(1)で示したような演算を行い、フィルタの再構成は行わずに、フィルタ情報記憶部320から取得したフィルタを、処理対象ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0092】
一方、処理対象ブロックが非平坦領域や境界領域の場合には、式(2)、(3)で示したような演算を行い、フィルタの再構成を行い、この再構成したフィルタ、処理対象ブロックを構成する各画素に適用してフィルタリングを行う。
【0093】
フリッカ低減部380は、ノイズ低減制御部360から与えられるパラメータに基づいて、空間ノイズ除去部370から出力される画像データのうち、平坦領域と境界領域に対して、フリッカ低減処理Aを施し、一方、非平坦領域については、フリッカ低減処理Bを施す。フリッカ低減処理Aおよびフリッカ低減処理Bは、第2の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0094】
上記構成の画像処理装置の動作について説明する。図7は、上記画像処理装置の動作を説明するためのフローチャートである。この図に示す処理は、メモリ310が記憶する各フレームの画像データ毎に繰り返し実行される。
【0095】
ステップ7a〜7dは、フィルタ選択部330および特徴量算出部340によってなされるものであって、メモリ310に記憶される処理対象フレームを構成するブロック毎に実行するループ処理である。なお、ステップ7a〜7dは、第2の実施形態のステップ5a〜5dと同様であることより、簡略して説明する。
【0096】
ステップ7bでは、フィルタ選択部330が、メモリ310から処理対象ブロックの画像データを読み出し、所定のフィルタを適用して、エッジの方向や強度を示すエッジ特徴量を算出し、テンプレートマッチングにより、フィルタを選択し、このフィルタのフィルタインデックスに、処理対象ブロックのブロックインデックスに対応づけて、フィルタデータとして空間ノイズ除去部370に出力し、ステップ7cに移行する。
【0097】
ステップ7cでは、特徴量算出部340が、処理対象ブロックの画像データに基づいて、画像の複雑さを示すテクスチャ特徴量として検出し、ステップ7dに移行する。
ステップ7dでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ7bおよびステップ7cの処理を行うと、ステップ7eに移行する。
【0098】
ステップ7e〜7mは、ノイズ低減制御部360、空間ノイズ除去部370およびフリッカ低減部380によってなされるものであって、メモリ310に記憶される処理対象フレームを構成するブロック毎に実行するループ処理である。
【0099】
ステップ7fでは、空間ノイズ除去部370が、フィルタ選択部330から与えられたフィルタデータに含まれるブロックインデックスを処理対象ブロックとして認識し、この処理対象ブロックのブロックインデックスをノイズ低減制御部360に通知して、その種別について判定を求める。
【0100】
これに対して、ノイズ低減制御部360は、空間ノイズ除去部370から通知されたブロックインデックス(処理対象ブロック)に対応付けられたテクスチャ特徴量を、画像情報記憶部350から読み出し、このテクスチャ特徴量に基づいて、処理対象ブロックが平坦領域、非平坦領域あるいは境界領域のいずれであるかを判定する。そして、処理対象ブロックが平坦領域の場合には、ステップ7gに移行し、また処理対象ブロックが非平坦領域の場合には、ステップ7iに移行し、あるいは処理対象ブロックが境界領域の場合には、ステップ7hに移行する。
【0101】
ステップ7gでは、ノイズ低減制御部360は、空間ノイズ除去部370およびフリッカ低減部380に設定するパラメータを生成するパラメータ生成処理P1を実行し、ステップ7jに移行する。具体的には、パラメータ生成処理P1では、ステップ7fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタを用いることを指示するパラメータP1−Aを生成して、空間ノイズ除去部370に設定するとともに、フリッカ低減処理Aを実行することを指示するパラメータP1−Bを生成して、フリッカ低減部380に設定する。
【0102】
また、ステップ7hでは、ノイズ低減制御部360は、空間ノイズ除去部370およびフリッカ低減部380に設定するパラメータを生成するパラメータ生成処理P2を実行し、ステップ7jに移行する。具体的には、パラメータ生成処理P2では、ステップ7fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタを再構成して用いることを指示するパラメータP2−Aを生成して、空間ノイズ除去部370に設定するとともに、フリッカ低減処理Aを実行することを指示するパラメータP2−Bを生成して、フリッカ低減部380に設定する。
【0103】
そしてまた、ステップ7iでは、ノイズ低減制御部360は、空間ノイズ除去部370およびフリッカ低減部380に設定するパラメータを生成するパラメータ生成処理P3を実行し、ステップ7jに移行する。具体的には、パラメータ生成処理P3では、ステップ7fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタを再構成して用いることを指示するパラメータP3−Aを生成して、空間ノイズ除去部370に設定するとともに、フリッカ低減処理Bを実行することを指示するパラメータP3−Bを生成して、フリッカ低減部380に設定する。
【0104】
ステップ7jでは、空間ノイズ除去部370が、ステップ7fで用いたフィルタデータに含まれるフィルタインデックスに対応するフィルタをフィルタ情報記憶部320から取得するとともに、処理対象ブロックの画像データをメモリ210から取得する。そして、空間ノイズ除去部370は、ノイズ低減制御部360によって設定されたパラメータ(P1−A、P2−AあるいはP3−A)にしたがい、必要に応じてフィルタを再構成する。そして、空間ノイズ除去部370は、上記フィルタ、あるいは再構成したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングし、フィルタリングした画像データをフリッカ低減部380に出力して、ステップ7kに移行する。
【0105】
具体的には、ステップ7gによってパラメータ生成処理P1を実行した場合には、空間ノイズ除去部370には、パラメータP1−Aが設定されるので、フィルタ情報記憶部320から取得したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。一方、ステップ7hによってパラメータ生成処理P2を実行した場合、あるいはステップ7iによってパラメータ生成処理P2あるいはP3を実行した場合には、空間ノイズ除去部370には、パラメータP2−AあるいはP3−Aが設定されるので、フィルタ情報記憶部320から取得したフィルタを再構成した後、この再構成したフィルタを用いて、上記画像データをフィルタリングする。
【0106】
なお、再構成したフィルタは、再構成しないフィルタに比べて、処理の負荷が大きくなっており、空間ノイズの除去能力が高い。すなわち、平坦領域と、境界領域や非平坦領域を比べた場合に、境界領域や非平坦領域の方が空間ノイズを知覚されやすいので、平坦領域に比べて、負荷の大きい強力なフィルタリングを行う。
【0107】
ステップ7kでは、フリッカ低減部380が、空間ノイズ除去部370にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理を施し、後段に出力して、ステップ7lに移行する。
【0108】
なお、ステップ7gによってパラメータ生成処理P1を実行した場合、あるいはステップ7hによってパラメータ生成処理P2を実行した場合には、フリッカ低減部380には、パラメータP1−BあるいはP2−Bが設定されるので、空間ノイズ除去部370にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理Aを施す。一方、ステップ6dによってパラメータ生成処理P3を実行した場合には、フリッカ低減部380には、パラメータP3−Bが設定されるので、空間ノイズ除去部370にてフィルタリングされた画像データに対して、フリッカ低減処理Bを施す。
【0109】
なお、第2の実施形態で説明したように、フリッカ低減処理Aは、平坦領域や境界領域に適した処理であって、フリッカ低減処理Bは、非平坦領域に適した処理である。一般に、非平坦領域に比べて平坦領域や境界領域は、フリッカが知覚されやすいので、フリッカ低減処理Bよりも処理負荷が大きく、また低減能力が優るフリッカ低減処理Aを適用する。
【0110】
ステップ7lでは、処理対象フレームを構成する全てのブロックについて、ステップ7f〜7lの処理を行うと、当該処理を終了する。
【0111】
以上のように、上記構成の画像処理装置では、特徴量算出部340で求めたテクスチャ特徴量に基づいて、フレームを構成する各ブロックが、平坦領域、境界領域あるいは非平坦領域のいずれであるかを判定し、空間ノイズの除去については、平坦領域に比べて空間ノイズが知覚されやすい非平坦領域については、空間ノイズを除去するフィルタを再構成して平坦領域よりも強力なフィルタリングを実施し、またフリッカ低減については、非平坦領域に比べてフリッカが知覚されやすい平坦領域と境界領域についてのみ、処理負荷の大きく処理能力が優れるフリッカ低減処理Aを適用するように、フリッカ低減部380に対して、パラメータ設定を行うようにしている。
【0112】
したがって、上記構成の画像処理装置によれば、平坦領域/非平坦領域に応じて効率的な空間ノイズ除去が行え、またすべての領域に対してフリッカ低減処理Aを実施するわけではなく、非平坦領域については、処理負荷の小さいフリッカ低減処理Bを実施する。このためので、処理量を抑制しながらも、空間方向と時間方向のノイズ低減を効率的に実施することができる。すなわち、ブロック毎の特徴に応じて、空間方向と時間方向のノイズを効率的に低減することができる。
【0113】
なお、上記第3の実施形態では、ステップ7hとステップ7iで設定されるフィルタの再構成処理については、同様のものとして説明したが、パラメータ設定により、異ならせるようにしてもよい。例えば、空間ノイズ除去部370は、式(2)、(3)で示したような演算によりフィルタの再構成を行うが、パラメータP2−AおよびP3−Aによる設定により、境界領域の場合(ステップ7h)と、非平坦領域の場合(ステップ7i)とで、閾値Thを可変するようにしてもよい。例えば、境界領域の場合(ステップ7h)には、非平坦領域の場合(ステップ7i)に比べて、閾値Thを小さく設定する。
【0114】
また、上記第3の実施形態では、ステップ7gとステップ7hにおけるフリッカ低減処理については、同様のものとして説明したが、領域の種別に応じて、パラメータ設定により、異ならせるようにしてもよい。すなわち、平坦領域の場合(ステップ7g)には、非平坦領域の場合(ステップ7i)の場合に比べて、強いフリッカ低減処理を実施するようにパラメータP1−Bを設定し、境界領域の場合(ステップ7h)には、平坦領域の場合(ステップ7g)と非平坦領域の場合(ステップ7i)の間の程度のフリッカ低減処理を行うように、パラメータP2−Bを設定する。非平坦領域の場合(ステップ5l)の場合には、フリッカ低減処理を行わないように、パラメータP3−Bを設定してもよい。
【0115】
そしてまた、上記第2の実施形態では、境界領域の場合(ステップ5j)には、処理対象ブロックについて、平坦の度合いを検出し(あるいは、特徴量算出部240の算出結果を用いて)、平坦の度合いに応じて、閾値Thやフリッカ低減処理の強度を可変するように、ノイズ低減制御部360がパラメータを設定してもよい。
【0116】
なお、この発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また上記実施形態に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって種々の発明を形成できる。また例えば、実施形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除した構成も考えられる。さらに、異なる実施形態に記載した構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0117】
例えば、上記実施の形態では、処理対象ブロックの領域の種別を判定するのに、1種類の特徴量(テクスチャ特徴量。例えば処理対象ブロック内の輝度の最大値と最小値の差)に基づいて判定を行いようにしたが、複数種の特徴量(処理対象ブロック内の輝度の分散やブロック内の隣接画素の輝度を用いて算出した相関係数、隣接ブロック間の輝度を用いて算出した相関係数、KR(Kernel Regression)で算出しているエッジ特徴量など)を平坦領域判定部140や特徴量算出部240,340が算出し、複数種の特徴量に基づいて、処理対象ブロックの領域の種別を判定するようにしてもよい。この場合、種別毎に重み付けを行って、その合計値を評価値とし、評価値を予め設定した閾値と比較することで、平坦領域か非平坦領域かを判定する。
その他、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を施しても同様に実施可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0118】
110…メモリ、120…フィルタ情報記憶部、130…フィルタ選択部、140…平坦領域判定部、150…画像情報記憶部、160…空間ノイズ除去部、170…非平坦境界判定部、180…フリッカ低減部、210…メモリ、220…フィルタ情報記憶部、230…フィルタ選択部、240…特徴量算出部、250…画像情報記憶部、260…ノイズ低減制御部、270…空間ノイズ除去部、280…フリッカ低減部、310…メモリ、320…フィルタ情報記憶部、330…フィルタ選択部、340…特徴量算出部、350…画像情報記憶部、360…ノイズ低減制御部、370…空間ノイズ除去部、380…フリッカ低減部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理装置において、
前記ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出手段と、
前記特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うフリッカ低減手段とを具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記フリッカ低減手段は、前記特徴量が閾値を超えるブロックを検出し、このブロックに対しては、他のブロックよりも弱いフリッカ低減処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記フリッカ低減手段は、前記特徴量が閾値を超えないブロックと、このブロックに隣接するブロックを検出し、これら検出したブロックに対して、フリッカを低減する処理を行うものであって、前記隣接するブロックに対して、前記特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項4】
フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理装置において、
前記ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出手段と、
前記特徴量が閾値を超えないブロックと、このブロックに隣接するブロックを検出し、これら検出したブロックに対して、フリッカを低減する処理を行うフリッカ低減手段とを具備したことを特徴とする画像処理装置。
【請求項5】
前記フリッカ低減手段は、前記隣接するブロックに対して、前記特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記特徴量検出手段は、前記ブロックごとに、複数種の複雑さを示す特徴量を求めることを特徴とする請求項1または請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項7】
さらに、前記特徴量が閾値を超えないブロックの画像データに対して、第1のフィルタを用いてフィルタリングを行い、一方、前記特徴量が閾値を超えるブロックの画像データに対しては、第2のフィルタを用いてフィルタリングを行うフィルタリング手段を備え、
前記フリッカ低減手段は、前記フィルタリング手段でフィルタリングした画像データに対して、フリッカを低減する処理を行うことを特徴とする請求項1または請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項8】
フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理方法において、
前記ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出工程と、
前記特徴量に応じた度合いで、ブロックごとにフリッカを低減する処理を行うフリッカ低減工程とを具備したことを特徴とする画像処理方法。
【請求項9】
フレームを構成するブロックごとにノイズ除去を行う画像処理方法において、
前記ブロックごとに、画像の複雑さを示す特徴量を求める特徴量検出工程と、
前記特徴量が閾値を超えないブロックと、このブロックに隣接するブロックを検出し、これら検出したブロックに対して、フリッカを低減する処理を行うフリッカ低減工程とを具備したことを特徴とする画像処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39482(P2012−39482A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179019(P2010−179019)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】