説明

画像処理装置及び画像処理プログラム

【課題】異なる主走査で印刷される2つの単位印刷領域のつなぎ目に発生し得る筋目を低減するための他の手法を提供する。
【解決手段】ハーフトーン処理後の印刷データにおけるバンドの端部に対応するライン画像データを複数に区分したブロックデータごとに、そのブロックデータに含まれる複数のドットデータに基づいて使用予定のインク量を求め(S31,S32)、使用予定のインク量に応じたインク量規制値を取得し(S33)、そのインク量規制値までインク量が削減されるように、そのブロックデータに含まれる複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更する(S35〜S41)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データを生成するための画像処理の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インク滴を吐出するためのノズル列が形成された印刷ヘッドを、そのノズル列と直交する主走査方向に走査しつつ、そのノズル列から用紙へインク滴を吐出することにより、用紙に画像を印刷するインクジェット方式の印刷装置が知られている。
【0003】
この種の印刷装置は、印刷ヘッドの1回の主走査で、ノズル幅(ノズル列の長さ)と同じ幅の帯状の単位印刷領域(バンド)の画像を印刷することが可能である。そして、1つのバンドよりも広い領域(例えば1枚の用紙)への画像の印刷は、用紙の位置を副走査方向へずらしながらバンド単位の画像の印刷を繰り返すことにより行われる。
【0004】
また、印刷ヘッドから吐出されるインク滴により表現可能な階調数は、印刷対象の画像を表す原画像データの階調数(例えば256階調)よりも低い。このため、印刷ヘッドによるインク滴の吐出は、ハーフトーン処理によって生成された低階調数の印刷データに基づき行われる。
【0005】
このような印刷装置によって印刷される画像には、異なる主走査で印刷される2つのバンドの互いに隣接するつなぎ目に、濃度の高い筋目が発生し得るという問題がある。この問題に対し、二値化処理後の印刷データにおけるつなぎ目近傍の数ラスタ分の領域を区分した単位領域ごとにドット数をカウントし、ドットカウント値に応じて画素を間引く技術が提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−200745号公報
【特許文献2】特開2003−62984号公報
【特許文献3】特開2003−300312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、異なる主走査で印刷される2つの単位印刷領域(バンド)のつなぎ目に発生し得る筋目を、他の手法を利用して低減したいという要望があった。
【0008】
本発明は、異なる主走査で印刷される2つの単位印刷領域(バンド)のつなぎ目に発生し得る筋目を低減するための他の手法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]印刷のための画像処理装置であって、原画像データに対してハーフトーン処理を含む画像処理を実行し、ドットの形成態様であって、複数種類のサイズのドットのうちのいずれかの形成又はドットの非形成を示す、前記ドットの形成態様を示す印刷データを生成する処理部と、前記印刷データに対して修正処理を施し、修正済印刷データを生成する修正部と、前記修正済印刷データを、印刷ヘッドを含む印刷実行部に供給する供給部と、を備え、前記修正部は、前記印刷ヘッドの1回の主走査で印刷される単位印刷領域に対応する前記印刷データ内の部分画像データのうち、前記単位印刷領域の端部に対応する端部画像データを、複数のブロックデータに区分する区分部であって、前記各ブロックデータは、印刷媒体上で主走査方向に沿って並ぶ複数個のドットに対応する複数のドットデータを含み、前記各ドットデータは、ドットのサイズに関するサイズ情報を示す、区分部と、前記ブロックデータごとに、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータを用いて、使用予定のインク量に関する指標値を求める指標値決定部と、前記ブロックデータごとに、前記指標値に基づいて、使用予定のインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更するための変更部と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【0011】
この構成によれば、ハーフトーン処理後の印刷データに対し、単位印刷領域の端部に対応する端部画像データを複数に区分したブロックデータごとに、使用予定のインク量が小さくなるようにドットデータのサイズ情報を変更するようにしているため、単位印刷領域の端部の印刷に使用されるインクの使用量を低減することができる。したがって、異なる2回の主走査で印刷される2つの単位印刷領域のつなぎ目に発生し得る筋目を低減することができる。
【0012】
[適用例2]適用例1に記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記指標値が使用予定のインク量が比較的低いことを示す第1の場合に、前記ブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのサイズ情報を変更せず、前記指標値が使用予定のインク量が比較的高いことを示す第2の場合に、前記ブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更する、画像処理装置。
この構成によれば、使用予定のインク量が比較的低い場合にはインクの使用量を低減せず、使用予定のインク量が比較的高い場合にインクの使用量を低減することができる。
【0013】
[適用例3]適用例1又は適用例2に記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記ブロックデータごとに、前記指標値が目標値となるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更し、前記目標値は、前記指標値の変化に応じて単調に変化する値である、画像処理装置。
この構成によれば、使用予定のインク量に関係なく固定の目標値を設定する場合と比較して、使用予定のインク量に応じた適切な目標値を設定することができるため、ブロックデータに含まれるドットデータのサイズ情報を適切に変更することができる。なお、「単調に変化する」とは、減少方向の変化を含まずに増加方向に変化すること、又は、増加方向の変化を含まずに減少方向に変化することを意味し、例えば、線形の変化でもよく、ステップ状の変化でもよい。
【0014】
[適用例4]適用例1から適用例3までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記ブロックデータに含まれる第1のサイズ情報を有する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を、第1のサイズ情報から、前記第1のサイズ情報よりも小さな第2のサイズ情報に変更する第1変更部と、前記ブロックデータに含まれる前記第2のサイズ情報を有する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を、前記第2のサイズ情報から、前記第2のサイズ情報よりも小さな第3のサイズ情報に変更する第2変更部と、を備え、前記第1変更部によるサイズ情報の変更を、前記第2変更部によるサイズ情報の変更よりも優先する、画像処理装置。
この構成によれば、第1のサイズ情報のドットデータを、第2のサイズ情報のドットデータに比べて、優先的に減らすことができる。
【0015】
[適用例5]適用例1から適用例3までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記ブロックデータに含まれる最小のサイズを示す2以上のドットデータについては、該ドットデータのサイズ情報は変更せず、最小のサイズよりも大きなサイズを示す2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータについては、該ドットデータのサイズ情報を、より小さなサイズ情報であって、最小のドットサイズ以上のサイズ情報に変更する、画像処理装置。
この構成によれば、単位印刷領域の端部の印刷に使用されるインクの使用量を、ドットの数を減らすことなく低減することができる。
【0016】
[適用例6]適用例1から適用例5までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記端部画像データは、前記単位印刷領域の端部の1ライン分に対応するライン画像データである、画像処理装置。
この構成によれば、複数ライン分を調整する場合と比較して、迅速に調整を実行することができる。
【0017】
[適用例7]適用例1から適用例6までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記処理部は、印刷に使用される複数のインク色のそれぞれについてのドットの形成態様を示す印刷データを生成し、前記変更部は、前記複数のインク色のそれぞれについての使用予定のインク量が同等の比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更する、画像処理装置。
この構成によれば、ドットデータのサイズ情報を変更することによる色の見栄えの変化(色味の変化)を生じにくくすることができる。
【0018】
[適用例8]適用例1から適用例7までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記処理部は、印刷に使用される複数のインク色のそれぞれについてのドットの形成態様を示す印刷データを生成し、前記変更部は、前記複数のインク色のそれぞれについての使用予定のインク量のうち、顔料インクのインク量は維持され、染料インクのインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる染料インクで形成される2以上のドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
顔料インクは、染料インクに比べて用紙内部に浸透しにくく、単位印刷領域のつなぎ目に筋目が発生するという問題が生じにくい。したがって、顔料インクが使用されるドットデータのサイズ情報は変更しないようにすることで、印刷品質を高めることができる。
【0019】
[適用例9]適用例8に記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記ブロックデータごとに、使用予定のインク量に関する指標値を、目標値とするための比率を求め、染料インクについての使用予定のインク量が前記比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる染料インクで形成される2以上のドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
顔料インクについては使用予定のインク量を小さくしないことから、インク量全体としては目標値まで低減しないが、顔料インクは単位印刷領域のつなぎ目に筋目が発生するという問題が生じにくいため、筋目を低減することができる。
【0020】
[適用例10]適用例8に記載の画像処理装置であって、前記変更部は、前記ブロックデータごとに、使用予定の染料インク量に関する染料指標値を、使用予定の顔料インク量に関する顔料指標値が差し引かれた目標値とするための比率を求め、染料インクについての使用予定のインク量が前記比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる2以上の染料インクで形成されるドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
この構成によれば、顔料インクについて使用予定のインク量を小さくしない分、染料インクについての使用予定のインク量を小さくすることで、インク量全体として目標値まで低減するようにしているため、顔料インクが使用されるドットデータのサイズ情報を維持しつつ、筋目を低減することができる。
【0021】
[適用例11]適用例1から適用例10までのいずれか1つに記載の画像処理装置であって、前記部分画像データは、前記印刷ヘッドの1回の主走査につき、前記印刷ヘッドに対する印刷媒体の相対位置を副走査方向に前記単位印刷領域の幅分移動させ、前記印刷媒体における前記単位印刷領域分の画像の印刷を1回の主走査で完了するためのデータである、画像処理装置。
この構成によれば、筋目が特に発生しやすい1パス印刷において、筋目を低減することができる。
【0022】
なお、本発明は、前述した画像処理装置、画像処理方法、画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラム、その画像処理プログラムを記録した記録媒体、等の種々の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】印刷システムの概略構成を表すブロック図である。
【図2】(a)は1パス印刷で発生し得る筋目の説明図であり、(b)は筋目が発生する原因の説明図である。
【図3】パーソナルコンピュータがプリンタドライバの機能として実行する処理のフローチャートである。
【図4】インク量調整処理を実行するライン画像データを判別する処理のフローチャートである。
【図5】ブロックデータの説明図である。
【図6】(a)は第1実施形態のインク量調整処理の説明図、(b)は第2実施形態のインク量調整処理の説明図、(c)は第3実施形態のインク量調整処理の説明図である。
【図7】(a)はインク量指標値とその増加に応じて増加するインク量規制値との対応関係を示すグラフであり、(b)はインク量指標値とその増加に応じて減少するインク量規制値との対応関係を示すグラフである。
【図8】インク量調整処理のフローチャートである。
【図9】(a)は副走査方向の用紙搬送量を均等にした2パス印刷で発生し得る筋目の説明図であり、(b)は副走査方向の用紙搬送量を不均等にした2パス印刷で発生し得る筋目の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。
[1.第1実施形態]
[1−1.全体構成]
図1は、第1実施形態の印刷システムの概略構成を表すブロック図である。この印刷システムは、パーソナルコンピュータ1とプリンタ2とがデータ通信可能に構成されたものである。
【0025】
パーソナルコンピュータ1は、汎用の情報処理装置であり、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14及び表示部15を備えている。
【0026】
制御部11は、パーソナルコンピュータ1の各部を統括制御するものであり、CPU111、ROM112及びRAM113を備えている。記憶部12は、記憶データの書換えが可能な不揮発性の記憶装置であり、本実施形態ではハードディスク装置が用いられている。そして、記憶部12には、オペレーティングシステム(OS)121、グラフィックツール等のアプリケーションプログラム122、パーソナルコンピュータ1からプリンタ2を利用可能とするためのソフトウェア(プログラム)であるプリンタドライバ123などがインストールされている。通信部13は、プリンタ2との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。操作部14は、ユーザからの外部操作による指令を入力するための入力装置であり、本実施形態ではキーボードやポインティングデバイス(マウスやタッチパッド等)が用いられている。表示部15は、各種情報をユーザが視認可能な画像として表示するための出力装置であり、本実施形態では液晶ディスプレイが用いられている。
【0027】
一方、プリンタ2は、インクジェット方式の印刷装置であり、制御部21、記憶部22、通信部23、操作部24、表示部25及び印刷実行部26を備えている。
【0028】
制御部21は、プリンタ2の各部を統括制御するものであり、CPU211、ROM212及びRAM213を備えている。記憶部22は、記憶データの書換えが可能な不揮発性の記憶装置であり、本実施形態ではフラッシュメモリが用いられている。通信部23は、パーソナルコンピュータ1との間でデータ通信を行うためのインタフェースである。操作部24は、ユーザからの外部操作による指令を入力するための入力装置であり、各種操作ボタンを備えている。表示部25は、各種情報をユーザが視認可能な画像として表示するための出力装置であり、小型の液晶ディスプレイが用いられている。
【0029】
印刷実行部26は、印刷媒体としての用紙の搬送方向(副走査方向)と直交する方向(主走査方向)へ往復移動可能な印刷ヘッド27を備え、印刷ヘッド27の往復動作中に印刷データに基づきインク滴を吐出することで用紙に画像を印刷する。印刷ヘッド27の下面(用紙との対向面)には、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するためのノズルが、副走査方向に沿って列状に配置されており、全体として4列のノズル列が形成されている(図2(a)参照。なお、図2(a)は、印刷ヘッド27をノズル列が形成された面とは反対側から見た状態を示しており、この状態ではノズル列が視認できないが、説明の便宜上、ノズル列の透過位置を示している。)。
【0030】
本実施形態のプリンタ2では、CMYインクとして染料インクが使用され、Kインクとして顔料インクが使用されている。染料インクは、用紙の内部繊維へ浸透しやすい性質のものである。一方、顔料インクは、用紙内部へ浸透しにくく、用紙表面に定着する性質のものであることから、光沢紙に対する定着性が良くない反面、普通紙に文字等をくっきり印刷することができる。
【0031】
また、印刷実行部26は、色の濃淡をより自然に表現するために、画像を構成する各画素を4階調で表現した印刷データに基づきインク滴の液滴制御を行う。本実施形態では、インク滴の吐出量を複数段階に調整することで、大ドット、中ドット、小ドット及びドット無しの4階調を表現可能となっている。
【0032】
[1−2.処理の概要]
次に、第1実施形態の印刷システムで実行される処理の概要について説明する。パーソナルコンピュータ1では、実行中のアプリケーションプログラム122において印刷開始操作が行われることによりプリンタドライバ123が起動する。プリンタドライバ123が起動すると、パーソナルコンピュータ1の制御部11は、印刷対象の画像をプリンタ2に印刷させるための画像処理として、次の(A)〜(C)の処理を実行する。
【0033】
(A)印刷対象の画像を表す256階調(0〜255のいわゆる8ビットレンジ)のRGB値で表現された画像データ(原画像データ)に対して、色変換処理及びハーフトーン処理を含む画像処理を実行し、CMYK各色についてのドットの形成態様(大ドット、中ドット、小ドット又はドット無し)を示す印刷データを生成する(後述する図3のS11〜S13の処理)。
【0034】
(B)生成した印刷データに対してインク量調整処理を施し、調整済印刷データを生成する(後述する図3のS14の処理)。
【0035】
(C)生成した調整済印刷データをプリンタ2に供給する(後述する図3のS15の処理)。
【0036】
上記(A)〜(C)の処理がパーソナルコンピュータ1で実行されると、プリンタ2は、パーソナルコンピュータ1から供給された調整済印刷データの表す画像を印刷実行部26で印刷する。具体的には、プリンタ2は、印刷実行部26の印刷ヘッド27を主走査方向へ移動させつつ、調整済印刷データに基づきノズルからインク滴を吐出し、1回の主走査でノズル幅(ノズル列の長さ)と同じ幅の帯状の単位印刷領域(バンド)の画像を印刷する。そして、印刷ヘッド27の往復動作と、用紙の副走査方向への搬送動作とを交互に行い、バンド単位の画像を副走査方向にずらしながら印刷することで、用紙全体に画像を印刷する。
【0037】
ところで、印刷ヘッド27の1回の主走査(1パス)につき用紙をノズル幅分搬送し、所定領域の画像の印刷を1回の主走査(1パス)で完了する1パス印刷では、互いに隣接する2つのバンドのつなぎ目に、濃度の高い筋目が発生する場合がある。すなわち、1パス印刷では、図2(a)に示すように、つなぎ目となる位置の上側のバンドを印刷し(ステップ1)、その後につなぎ目となる位置の下側のバンドを印刷する(ステップ2)。その際、図2(b)に示すように、上側のバンドを印刷してから下側のバンドを印刷するまでの間に、上側のバンドの下端部(下側のバンドとのつなぎ目となる位置)のインク滴が用紙ににじんで広がり、インク滴の重なる領域が増えることが、筋目の発生する原因であると考えられている。
【0038】
そこで、本実施形態では、パーソナルコンピュータ1が、ハーフトーン処理の後に、バンドのつなぎ目となる領域の印刷に使用されるインクの総量を減らすためのインク量調整処理を行うことで、筋目を発生しにくくする。
【0039】
[1−3.具体的処理手順]
次に、パーソナルコンピュータ1の制御部11(具体的にはCPU111)が、プリンタドライバ123の機能として実行する処理の具体的処理手順について、図3のフローチャートを用いて説明する。
【0040】
制御部11は、まずS11で、印刷対象の画像を表す256階調のRGB値で表現された原画像データから、プリンタ2で印刷に使用されるインク色(CMYK)に対応する256階調のCMYK値で表現された画像データを生成する色変換処理を行う。なお、この色変換処理は、予め記憶されているルックアップテーブル(RGB→CMYK)に従い行われる。
【0041】
続いて、制御部11は、S12で、色変換処理後の画像データを構成するすべての画素について、CMYK値の合計値が規制値以下に規制されるように調整するインク総量規制処理を行う。なお、このインク総量規制処理は、予め記憶されているルックアップテーブル(CMYK→CMYK)に従い行われる。
【0042】
続いて、制御部11は、S13で、インク総量規制処理後の画像データ(256階調のCMYK値で表現された画像データ)から、プリンタ2で表現可能な4階調のCMYK値で表現された画像データ(印刷データ)を生成するハーフトーン処理(本実施形態では誤差拡散処理)を行う。
【0043】
続いて、制御部11は、S14で、ハーフトーン処理後の印刷データから、バンドの後端ラスタ(当該バンドよりも後で印刷されるバンドに隣接する側の端部のラスタ)の印刷に使用されるインクの総量を減らすように調整した印刷データ(調整済印刷データ)を生成するインク量調整処理を行う。なお、このインク量調整処理の詳細については後述する。
【0044】
続いて、制御部11は、S15で、調整済印刷データをプリンタ2に供給する印刷データ供給処理を行う。これにより、プリンタ2の印刷実行部26において、調整済印刷データに基づく画像が用紙に印刷される。
【0045】
次に、前述したS14で実行されるインク量調整処理について説明する。図4のフローチャートに示すように、インク量調整処理は、処理対象の画像データ内のバンドに対応する部分画像データのうち、バンドの後端ラスタに対応するライン画像データについて実行される。
【0046】
すなわち、処理対象の画像データはラスタ(1ライン)に対応するライン画像データごとに処理され(S21)、処理対象のライン画像データが後端ラスタに対応する端部データである場合には(S22:YES)、そのライン画像データを複数に区分したブロックデータごとにインク量調整処理が実行され(S23,S24)、後端ラスタに対応しない非端部データである場合には(S22:NO)、インク量調整処理が実行されない。なお、S21の処理は、前述した色変換処理(S11)、インク総量規制処理(S12)及びハーフトーン処理(S13)に対応し、S22〜S24の処理が、前述したインク量調整処理(S14)に対応する(換言すれば、図3ではS22,S23の記載を省略している)。また、処理対象のライン画像データが後端ラスタに対応するものであるか否かは、例えば、ライン画像データに割り当てられた印刷ヘッド27のノズル番号(利用ノズル番号)を取得することにより判定することができる。
【0047】
[1−4.インク量調整処理の概要]
ここで、S24で実行されるインク量調整処理の概要について説明する。図5に示すように、後端ラスタに対応するライン画像データは、複数画素(本実施形態では20画素)を1つのブロックとした複数のブロックデータに区分される。なお、ブロックデータは、印刷時に、筋目が視認されやすい0.5〜2mm程度の長さになることが好ましい。ちなみに、本実施形態のように1つのブロックが20画素で構成される場合には、1つのブロックデータを600dpiの印刷解像度で印刷すると、約0.84mmとなる。
【0048】
各ブロックデータは、印刷媒体上で主走査方向に沿って並ぶ20画素分のドットに対応する20個のドットデータを含み、各ドットデータは、CMYK各色のドットのサイズに関するサイズ情報を示す。図5では、2×2マスの4つの数値で1画素分のドットデータを表現しており、左上、左下、右上及び右下の各数値がCMYKの各サイズ情報であり、0,1,2,3の数値が、それぞれドット無し、小ドット、中ドット及び大ドットを示す。
【0049】
ここで、インク量調整処理の手順について、具体的な数値を用いて説明する。図6(a)における左側の表は、ブロックデータに含まれる20画素分のドットデータを、インク色(CMYK)別及びサイズ情報(大中小)別に集計した値の一例である。また、図6(a)における中央の表は、その集計値に基づく目標インク量(目標削減量)の算出過程を示したものである。また、図6(a)における右側の表は、インク量削減後のインク色別及びサイズ情報別のドットデータの集計値及び使用予定のインク量を示したものである。
【0050】
ドットデータのサイズ情報と、そのサイズ情報のドットを形成するために使用されるインクの液滴量とは、予め定められた対応関係にある。このため、ブロックデータに含まれる20画素分のドットデータのサイズ情報に基づき、そのブロックデータで使用予定の全インク量(以下「CMYK合計インク量」という。)を算出することができる。本実施形態では、大ドット、中ドット及び小ドットの液滴量は、それぞれ16pl、5pl、3plである。これらのサイズに対応する液滴量を、CMYK各色について、各サイズのドットデータの個数分積算することで、CMYK各色の使用予定のインク量が算出される。図6(a)の例では、C(シアン)についてのドットデータの個数は、大ドットが15、中ドットが2、小ドットが3であるから、使用予定のインク量は、259pl(=16pl×15+5pl×2+3pl×3=240pl+10pl+9pl)と算出される。M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)も同様に、使用予定のインク量がそれぞれ163pl、84pl、40plと算出される。そして、これらを合計することで、CMYK合計インク量が算出される(図6(a)の例では546pl)。
【0051】
こうして算出したCMYK合計インク量を、ブロックデータに含まれる画素数である20で割ることで、使用予定の1画素あたりの平均インク量(以下「インク量指標値」という。)が算出される(546pl/20=27.3pl)。そして、このインク量指標値に基づき、1画素あたりのインク量の規制値(目標値)であるインク量規制値が設定される。図7(a)は、インク量指標値とインク量規制値との対応関係を示すグラフであり、この対応関係は、計算式又はルックアップテーブルとして記憶部12に予め記憶されている。図7(a)に示す例では、規制対象となる最小のインク量指標値が16plに設定されており、インク量指標値が40plでインク量規制値が最大値である32plとなるように設定されている。また、インク量指標値が16〜40plの範囲内におけるインク量規制値は、インク量指標値の増加に応じて16〜32plの範囲内で線形に増加する。これは、インク量指標値が最大の場合には、インク量規制値を大きく減少させる必要があるものの、インク量指標値が低くなるに従い、インク量規制値の減少幅を小さくすることができるからである。
【0052】
このような対応関係を参照することで、算出したインク量指標値(27.3pl)に対応するインク量規制値(この例では約23.5pl)が設定される。そして、このインク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率(23.5pl/27.3pl=0.862)を、CMY各色の使用予定のインク量に乗じた値が、CMY各色の目標インク量となる(図6(a)の例では、223.3pl、140.5pl、72.4pl)。つまり、CMY各色の使用予定のインク量からCMY各色の目標インク量を差し引いた値が、CMY各色の目標削減量となる(図6(a)の例では、35.7pl、22.5pl、11.6pl)。一方、本実施形態では、K(ブラック)については、使用予定のインク量を維持する。このため、Kの使用予定のインク量には掛け率を乗じず、目標削減量は0となる。
【0053】
そして、CMY各色の使用予定のインク量が、算出した目標削減量の分だけ削減されるように、ドットデータのサイズ情報が変更される。具体的には、ドットデータのサイズ情報を大ドットから中ドットに変更した場合、1つのドットデータにつき11pl(=16pl−5pl)のインク量を削減することができる。同様に、ドットデータのサイズ情報を中ドットから小ドットに変更した場合、1つのドットデータにつき2pl(=5pl−3pl)のインク量を削減することができる。また、ドットデータのサイズ情報を小ドットからドット無しに変更した場合、1つのドットデータにつき3pl(=3pl−0pl)のインク量を削減することができる。
【0054】
本実施形態では、大ドットを中ドットに変更し、中ドットを小ドットに変更し、小ドットをドット無しに変更する。つまり、サイズ情報を1段階小さくする。具体的には、これら3つのパターンの変更のうち、大ドットから中ドットへの変更の優先度を最も高くし、小ドットからドット無しへの変更の優先度を最も低くして、目標インク量を下回らない(目標削減量を超えない)限度でインク量を削減する。
【0055】
図6(a)の例では、C(シアン)の目標インク量223.3pl(目標削減量35.7pl)を達成するために、まず、3つのドットデータのサイズ情報を大ドットから中ドットに変更する。これにより、サイズ情報が大ドットのドットデータの数が3つ分減少し、サイズ情報が中ドットのドットデータの数が3つ分増加して、33pl(=16pl×3−5pl×3=11pl×3)のインク量が削減される。次に、1つのドットデータのサイズ情報を中ドットから小ドットに変更する。これにより、サイズ情報が中ドットのドットデータの数が1つ分減少し、サイズ情報が小ドットのドットデータの数が1つ分増加して、2pl(=5pl×1−3pl×1=2pl×1)のインク量が削減される。すなわち、合計35pl(=33pl+2pl)のインク量が削減されるため、使用予定のインク量が259plから224plに低減される。
【0056】
なお、サイズ情報を変更するドットデータは、選択対象のサイズ情報を有するドットデータの中からランダムに選択され、ドットの位置を維持したまま(ドットの位置を変更することなく)サイズ情報が変更される。ただし、既にサイズ情報を変更したドットデータは選択候補から除外する。これは、大ドットから中ドットに変更されたドットデータが、更に中ドットから小ドットに変更されるといったように、サイズ情報が2段階以上小さくなることを防止するためである。
【0057】
そして、M(マゼンタ)も同様にサイズ情報を変更することで、使用予定のインク量が163plから141plに削減される。また、Y(イエロー)も同様にサイズ情報を変更することで、使用予定のインク量が84plから73plに削減される。一方、K(ブラック)については、目標削減量が0であるため、使用予定のインク量は削減されない。したがって、削減後のCMYK合計インク量は478pl(=224pl+141pl+73pl+40pl)となる。なお、削減後の1画素あたりの平均インク量は23.9pl(=478pl/20)となる。
【0058】
[1−5.インク量調整処理の具体的処理手順]
次に、インク量調整処理の具体的処理手順について説明する。図8は、図4のS24で実行されるインク量調整処理のフローチャートである。
【0059】
制御部11は、図8のインク量調整処理を開始すると、まずS31で、処理対象のブロックデータに属する20画素分のドットデータのすべてについて、後述するS32の処理を行ったか否かを判定する。このS31で、未処理のドットデータが存在すると判定した場合には、未処理のドットデータのうちの1つを処理対象のドットデータ(対象ドットデータ)として選択した後、S32へ移行する。そして、その対象ドットデータについてのCMYK各色のサイズ情報をインクの液滴量に換算し、CMYK各色の使用予定のインク量として積算する(図6(a)の例では、処理対象のブロックデータに属するすべてのドットデータについて積算された値が259pl、163pl、84pl、40plとなる)。その後、S31へ戻る。
【0060】
一方、制御部11は、S31で、処理対象のブロックデータに属するすべてのドットデータについてS32の処理を行った(未処理のドットデータが存在しない)と判定した場合には、S33へ移行する。そして、CMYK各色の使用予定のインク量の合計値(以下「CMYK合計インク量」といい、図6(a)の例では546pl)を1つのブロック内の画素数20で割ることでインク量指標値(図6(a)の例では27.3pl)を算出し、図7(a)に示す対応関係を参照して、算出したインク量指標値(27.3pl)に対応するインク量規制値(約23.5pl)を取得する。
【0061】
続いて、制御部11は、S34で、対象ドットデータのサイズ情報を変更する必要があるか否かを判定する。具体的には、インク量規制値(約23.5pl)がインク量指標値(27.3pl)を下回る場合に、サイズ情報を変更する必要があると判定する。つまり、インク量指標値が、規制対象となるしきい値(図7(a)の例では16pl)以下の場合にはドットデータのサイズ情報が変更されず、そのしきい値を上回る場合にドットデータのサイズ情報が変更される。このS34で、サイズ情報を変更する必要があると判定した場合には、S35へ移行し、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率(図6(a)の例では0.862)を用いて、次式からCMY各色のインク量の目標削減量(図6(a)の例では、35.7pl、22.5pl、11.6pl)を算出する。
目標削減量=(CMY各色の使用予定のインク量)×(1−掛け率)
【0062】
続いて、制御部11は、S36で、CMYの各色についてインク量削減の処理(後述するS37〜S41)が完了したか否かを判定する。このS36で、CMYの各色のうち未処理の色が存在すると判定した場合には、未処理の色のうちの1つを処理対象の色(対象色)として選択した後、S37へ移行する。そして、インク量の削減量が目標削減量を超えない限度で、対象色のドットデータのサイズ情報を、できるだけ多く、大ドットから中ドットに変更する(大ドットを削減する)。
【0063】
続いて、制御部11は、S38で、目標削減量が達成されたか否かを判定する。具体的には、大ドットの削減によるインク量の削減量が、目標削減量から数値Nを引いた値以上の場合に、目標削減量が達成されたと判定する。ここで、目標削減量から数値Nを引いた値を判定基準値としているのは、インク量の削減量が目標削減量を超えてしまうことを防ぐためである。したがって、目標削減量を超えない限度でインク量をできるだけ減らすには、ドットの削減によるインク量の削減量の最小値(本実施形態では中ドットから小ドットに変更した場合の2pl)に設定するとよい。つまり、インク量の削減量が、目標削減量から2を引いた値以上の場合とは、目標削減量を超えない範囲での最大限の削減が完了した場合を意味する。このS38で、目標削減量が達成されたと判定した場合には、S36へ戻る。一方、目標削減量が達成されていないと判定した場合には、S39へ移行し、インク量の削減量(大ドットの削減による削減量と中ドットの削減による削減量とを合わせた削減量)が目標削減量を超えない限度で、対象色のドットデータのサイズ情報を、できるだけ多く、中ドットから小ドットに変更する(中ドットを削減する)。
【0064】
続いて、制御部11は、S40で、目標削減量が達成されたか否かを判定する。具体的には、大ドット及び中ドットの削減によるインク量の削減量が、目標削減量から数値N(例えば2)を引いた値以上の場合に、目標削減量が達成されたと判定する。このS40で、目標削減量が達成されたと判定した場合には、S36へ戻る。一方、目標削減量が達成されていないと判定した場合には、S41へ移行し、インク量の削減量(大ドット及び中ドットの削減による削減量を合わせた削減量)が目標削減量を超えない限度で、できるだけ多く、対象色のドットデータのサイズ情報を、小ドットからドット無しに変更する(小ドットを削減する)。その後、S36へ戻る。なお、本実施形態では、中ドットから小ドットへの変更によるインク量の削減量(2pl)が、小ドットからドット無しへの変更によるインク量の削減量(3pl)よりも小さいため、中ドットの選択候補が不足しなければ、小ドットからドット無しへの変更は行われない。したがって、中ドットの選択候補が不足しないことが明らかであれば、S40,S41の処理を省略することも可能である。
【0065】
一方、制御部11は、S36でCMYの各色についてインク量削減の処理が完了したと判定した場合や、S34でサイズ情報を変更する必要がないと判定した場合には、インク量調整処理を終了する。
【0066】
[1−6.効果]
以上説明したように、第1実施形態によれば、ハーフトーン処理後の印刷データにおけるバンドの後端ラスタに対応するライン画像データを複数に区分したブロックデータごとに、使用予定のインク量が比較的高い場合に、使用予定のインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報が変更される。具体的には、ブロックデータごとに、インク量指標値(平均インク量)がインク量規制値となるように、ドットデータのサイズ情報が変更される。
【0067】
したがって、バンドの後端ラスタの印刷に使用されるインクの使用量を、使用予定のインク量に応じて適切に低減することができ、異なる2回の主走査で印刷される2つのバンドのつなぎ目に発生し得る筋目を低減することができる。一方、使用予定のインク量が比較的低い場合には、ブロックデータに含まれる各ドットデータのサイズ情報を変更しないため、インクの使用量を不要に低減しないようにすることができる。特に、インク量指標値の増加に応じてインク量規制値を増加するようにしているため、インク量規制値を、インク量指標値に応じた適切な値にすることができる。
【0068】
また、ドットデータのサイズ情報を大ドットから中ドットに変更する処理を優先するため、インク量を効率よく減らすことができる。すなわち、ドットの液滴量が大きいほどドットサイズが大きくなり、高い濃度を表現することができるが、ドットの液滴量と濃度とは比例関係とはならない。例えば本実施形態では、大ドット、中ドット及び小ドットの各液滴量はそれぞれ16pl、5pl、3plであるが、濃度比は10:5:3.6である。つまり、同じ画像を表現する場合にも、大ドットの割合を多くするほど、その画像を表現するために必要なインクの使用量が大きくなる。したがって、大ドットを優先的に減らすことで、インク量を効率よく減らすことができる。
【0069】
また、本実施形態では、ブロックデータごとに、インク量指標値をインク量規制値とするための掛け率が算出され、CMYインク(染料インク)についての使用予定のインク量がその掛け率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれるCMYインクで形成されるドットに対応するドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報が変更される。一方、Kインク(顔料インク)については使用予定のインク量が維持されるため、インク量全体としてはインク量規制値まで低減しないが、顔料インクはバンドのつなぎ目に筋目が発生するという問題が生じにくいため、筋目を低減することができる。
【0070】
すなわち、前述のように、染料インクは用紙の内部繊維へ浸透しやすいため筋目が発生しやすいが、顔料インクは、用紙内部へ浸透しにくく、用紙表面に定着する性質のものであることから、筋目が発生しにくい。顔料インクに関しては、周りからの浸透がない分、顔料インクのインク量を減らすとかえって白い筋として視認されやすくなってしまう。このため、顔料インクのインク量は小さくせず、染料インクのインク量が小さくなるように、染料インクで形成されるドットに対応するドットデータのサイズ情報を変更することで、印刷品質を高めることができる。しかも、CMY各色のインク量が同等の比率で小さくなるようにしているため、色の見栄えの変化(色味の変化)を生じにくくすることができる。
【0071】
なお、第1実施形態のパーソナルコンピュータ1が画像処理装置に相当し、プリンタドライバ123が画像処理プログラムに相当する。また、S11〜S13が処理部の処理に相当し、S14が修正部の処理に相当し、S15が供給部の処理に相当する。また、S23が区分部の処理に相当し、S31〜S33が指標値決定部の処理に相当する。そして、S34〜S41が変更部の処理に相当し、特に、S37が第1変更部の処理に相当し、S39が第2変更部の処理に相当する。また、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率が、使用予定のインク量に関する指標値を目標値とするための比率に相当する。
【0072】
[2.第2実施形態]
[2−1.第1実施形態の印刷システムとの相違点]
第2実施形態の印刷システムは、第1実施形態の印刷システムと同様であるが、インク量調整処理における目標インク量の求め方が相違する。すなわち、第1実施形態では、CMYK合計インク量を画素数20で割ったインク量指標値に基づきインク量規制値を設定し、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率を、CMY各色の使用予定のインク量に乗じた値を、CMY各色の目標インク量とする。つまり、K(ブラック)も含まれた値に基づき算出した掛け率で、CMYのインク量を削減する。これに対し、第2実施形態では、K(ブラック)を除外した値に基づきCMY掛け率を算出し、このCMY掛け率をCMY各色の使用予定のインク量に乗じた値を、CMY各色の目標インク量とする点で、相違する。なお、以下では、第1実施形態との共通点については説明を省略する。
【0073】
[2−2.インク量調整処理]
第2実施形態のインク量調整処理の手順について、図6(b)を参照しつつ、具体的な数値を用いて説明する。なお、図6(b)は、図6(a)と同様に、3つの表を示している。
【0074】
まず、第1実施形態と同様、ブロックデータごとに、CMYK各色の使用予定のインク量が算出され(259pl、163pl、84pl、40pl)、これらを合計することで、CMYK合計インク量が算出される(546pl)。このCMYK合計インク量を画素数20で割ることで、インク量指標値が算出され(546pl/20=27.3pl)、図7(a)に示す対応関係を参照することで、算出したインク量指標値(27.3pl)に対応するインク量規制値(約23.5pl)が設定される。
【0075】
そして、第2実施形態では、このインク量規制値に画素数20を乗ずることで、ブロックデータあたりのインク量規制値であるCMYK合計規制値を算出する(図6(b)の例では470.7pl)。そして、このCMYK合計規制値から、K(ブラック)の使用予定のインク量(図6(b)の例では40pl)を差し引くことで、CMY合計規制値を算出する(470.7pl−40pl=430.7pl)。このCMY合計規制値を、CMYの使用予定のインク量の合計値であるCMY合計インク量(図6(b)の例では506pl)で割ることにより、CMY掛け率が算出される(430.7pl/506pl=0.851)。こうして算出した掛け率を、CMY各色の使用予定のインク量に乗じた値が、CMY各色の目標インク量となる(図6(b)の例では、220.4pl、138.7pl、71.5pl)。また、CMY各色の使用予定のインク量からCMY各色の目標インク量を差し引いた値が、CMY各色の目標削減量となる(図6(b)の例では、38.6pl、24.3pl、12.5pl)。
【0076】
そして、第1実施形態と同様、CMY各色の使用予定のインク量が、算出した目標削減量の分だけ削減されるように、ドットデータのサイズ情報が変更される。図6(b)の例では、C(シアン)の目標インク量220.4pl(目標削減量38.6pl)を達成するために、3つのドットデータのサイズ情報を大ドットから中ドットに変更することで33pl(=11pl×3)のインク量が削減され、2つのドットデータのサイズ情報を中ドットから小ドットに変更することで4pl(=2pl×2)のインク量が削減される。その結果、使用予定のインク量が259plから222plに削減される。
【0077】
そして、M(マゼンタ)も同様にサイズ情報を変更することで、使用予定のインク量が163plから139plに削減される。また、Y(イエロー)も同様にサイズ情報を変更することで、使用予定のインク量が84plから73plに削減される。したがって、削減後のCMYK合計インク量は474pl(=222pl+139pl+73pl+40pl)となる。なお、削減後の1画素あたりの平均インク量は23.7pl(=474pl/20)となる。
【0078】
[2−3.インク量調整処理の具体的処理手順]
インク量調整処理の具体的処理手順は、第1実施形態(図8)と同様であるが、S35の内容が異なる。すなわち、制御部11は、S35で、インク量規制値に画素数20を乗ずることでCMYK合計規制値を算出し、このCMYK合計規制値からK(ブラック)の使用予定のインク量を差し引くことで、CMY合計規制値を算出する。そして、このCMY合計規制値を、CMYの使用予定のインク量の合計値であるCMY合計インク量で割ることにより算出されるCMY掛け率を用いて、次式からCMY各色のインク量の目標削減量を算出する。
目標削減量=(CMY各色の使用予定のインク量)×(1−CMY掛け率)
【0079】
[2−4.効果]
以上説明したように、第2実施形態によれば、ブロックデータごとに、CMYインク(染料インク)についての使用予定のインク量であるCMY合計インク量を、CMYK合計規制値からKインク(顔料インク)についての使用予定のインク量が差し引かれたCMY合計規制値とするためのCMY掛け率が算出される。そして、CMYインクについての使用予定のインク量がそのCMY掛け率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれるCMYインクで形成されるドットに対応するドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報が変更される。換言すると、ブロックデータごとに、使用予定のインク量のうち染料インク分の使用予定量に関する染料指標値を、規制目標とするインク量から顔料インク分の使用予定量を差し引いたインク量に関する指標値である染料目標指標値とするための比率を求め、染料インクについての使用予定のインク量がその比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる染料インクで形成されるドットに対応するドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する。このように、Kインク(顔料インク)について使用予定のインク量を維持する分を見込んでCMYインク(染料インク)についての使用予定のインク量を削減することで、インク量指標値がインク量規制値に近い値まで低減されるため、Kインクのインク量を維持しつつ筋目を低減することができる。
【0080】
[3.第3実施形態]
[3−1.第1実施形態の印刷システムとの相違点]
第3実施形態の印刷システムも、第1実施形態の印刷システムと同様であるが、インク量調整処理において、K(ブラック)のインク量を削減する点で相違する。すなわち、第1実施形態では、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率を、CMY各色の使用予定のインク量に乗じた値を、CMY各色の目標インク量とし、Kのインク量は削減しない。これに対し、第3実施形態では、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率を、CMYK各色の使用予定のインク量に乗じた値を、CMYK各色の目標インク量とする(Kのインク量も削減する)点で、相違する。なお、以下では、第1実施形態との共通点については説明を省略する。
【0081】
[3−2.インク量調整処理]
第3実施形態のインク量調整処理の手順について、図6(c)を参照しつつ、具体的な数値を用いて説明する。なお、図6(c)は、図6(a)と同様に、3つの表を示している。
【0082】
まず、第1実施形態と同様、ブロックデータごとに、CMYK各色の使用予定のインク量が算出され(259pl、163pl、84pl、40pl)、これらを合計することで、CMYK合計インク量が算出される(546pl)。このCMYK合計インク量を画素数20で割ることで、インク量指標値が算出され(546pl/20=27.3pl)、図7(a)に示す対応関係を参照することで、算出したインク量指標値(27.3pl)に対応するインク量規制値(約23.5pl)が設定される。
【0083】
そして、第3実施形態では、このインク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率(23.5pl/27.3pl=0.862)を、CMYK各色の使用予定のインク量に乗じた値が、CMYK各色の目標インク量となる(図6(c)の例では、223.3pl、140.5pl、72.4pl、34.5pl)。また、CMYK各色の使用予定のインク量からCMYK各色の目標インク量を差し引いた値が、CMYK各色の目標削減量となる(図6(c)の例では、35.7pl、22.5pl、11.6pl、5.5pl)。
【0084】
そして、CMYK各色の使用予定のインク量が、算出した目標削減量の分だけ削減されるように、ドットデータのサイズ情報が変更される。CMYのドットデータについては第1実施形態と同様である。K(ブラック)のドットデータについては、目標インク量34.5pl(目標削減量5.5pl)を達成するために、2つのドットデータのサイズ情報を中ドットから小ドットに変更することで4pl(=2pl×2)のインク量が削減される。その結果、使用予定のインク量が40plから36plに削減される。したがって、削減後のCMYK合計インク量は474pl(=224pl+141pl+73pl+36pl)となる。なお、削減後の1画素あたりの平均インク量は23.7pl(=474pl/20)となる。
【0085】
[3−3.インク量調整処理の具体的処理手順]
インク量調整処理の具体的処理手順は、第1実施形態(図8)と同様であるが、S35,S36の内容が異なる。すなわち、制御部11は、S35で、インク量規制値をインク量指標値で割ることにより算出される掛け率を用いて、次式からCMYK各色のインク量の目標削減量を算出する。
目標削減量=(CMYK各色の使用予定のインク量)×(1−掛け率)
【0086】
そして、制御部11は、S36で、CMYKの各色についてインク量削減の処理(S37〜S41)が完了したか否かを判定する。
【0087】
[3−4.効果]
以上説明したように、第3実施形態によれば、ブロックデータごとに、インク量指標値をインク量規制値とするための掛け率が算出され、CMYKインクについての使用予定のインク量がその掛け率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれるCMYKインクで形成されるドットに対応するドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報が変更される。つまり、Kインクについても使用予定のインク量を小さくするため、色の見栄えの変化を生じにくくしつつ、筋目を低減することができる。
【0088】
[4.他の実施形態]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
(1)上記各実施形態では、大ドットを中ドットに変更し、中ドットを小ドットに変更し、小ドットをドット無しに変更するようにしているが、これに限定されるものではなく、ドット無しへの変更は行わないようにしてもよい。例えば、図8のS40,S41の処理(小ドットからドット無しへの変更)を行わないようにすることで実現できる。このようにすれば、印刷媒体に形成されるドットの数が減らないようにすることができ、細線などが消えないようにすることができる。また、大ドットを小ドットに変更するといったように、サイズ情報を2段階以上変更するようにしてもよい。
(2)上記各実施形態では、図7(a)に示すように、インク量規制値がインク量指標値の増加に応じて増加するように、インク量指標値とインク量規制値との対応関係を規定している。しかしながら、これに代えて、例えば図7(b)に示すように、インク量規制値がインク量指標値の増加に応じて減少するように、インク量指標値とインク量規制値との対応関係を規定してもよい。例えば、互いに隣接する2つのバンドのうち、一方のバンドを印刷してから他方のバンドを印刷するまでの時間が長いほど、そのつなぎ目となる位置において先に印刷したバンドのインク滴がにじんで広がる範囲が大きくなることから、このような対応関係が有効となり得る。また、インク量規制値は、インク量指標値の変化に応じて、単調に変化すればよく、例えばステップ状に変化してもよい。
(3)上記各実施形態では、筋目が特に発生しやすい1パス印刷を前提に説明したが、これに代えて、印刷ヘッド27の1回の主走査(1パス)につき用紙をノズル幅よりも短く搬送し、所定領域の画像の印刷を複数回の主走査(マルチパス)で完了するマルチパス印刷の場合にもインク量調整処理を行うことは有効である。例えば、図9(a)に示すように、2パス印刷を行った場合にも、互いに隣接する2つのバンドのつなぎ目に筋目が発生する場合がある。また、図9(a)は、副走査方向の用紙搬送量が均等な場合の例であるが、図9(b)に示すように、副走査方向の用紙搬送量が不均等な場合であっても同様に、筋目が発生し得る。なお、これらの図に示す例では印刷方向を交互に異ならせているが、印刷方向が同じであっても同様である。ちなみに、これらの図においては、パスの違いを分かりやすくするためにバンド領域を左右にずらした状態で示しているが、実際の左右位置は同じである。
(4)上記各実施形態では、バンドの後端ラスタの印刷に使用されるインク量を減らすインク量調整処理を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、バンドの後端ラスタに代えて又は後端ラスタとともに、バンドの前端ラスタ(当該バンドよりも前に印刷されたバンドに隣接する側の端部のラスタ)の印刷に使用されるインクの総量を減らすようにしてもよい。また例えば、1ライン分の画像データに限定されるものではなく、複数ライン分の画像データに対してインク量調整処理を行うようにしてもよい。ただし、上記実施形態のように、1ライン分の画像データのみに対してインク量調整処理を行えば、複数ライン分の画像データに対してインク量調整処理を行う場合と比較して、調整を迅速に実行できるという利点がある。
(5)上記各実施形態では、4階調を表現可能なプリンタ2を例示したが、これに代えて、例えば3階調あるいは5階調以上を表現可能なプリンタであってもよい。
(6)上記各実施形態では、インク量調整処理がパーソナルコンピュータ1側で実行される構成を例示したが、これに限定されるものではなく、プリンタ2側で実行されてもよい。この場合、印刷データ供給処理(S15)は、プリンタ2で生成した調整済印刷データを印刷実行部26に供給する処理となり、この処理が本発明の供給部としての処理に相当する。
【符号の説明】
【0089】
1…パーソナルコンピュータ、2…プリンタ、11,21…制御部、12,22…記憶部、13,23…通信部、14,24…操作部、15,25…表示部、26…印刷実行部、27…印刷ヘッド、111,211…CPU、112,212…ROM、113,213…RAM、121…OS、122…アプリケーションプログラム、123…プリンタドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷のための画像処理装置であって、
原画像データに対してハーフトーン処理を含む画像処理を実行し、ドットの形成態様であって、複数種類のサイズのドットのうちのいずれかの形成又はドットの非形成を示す、前記ドットの形成態様を示す印刷データを生成する処理部と、
前記印刷データに対して修正処理を施し、修正済印刷データを生成する修正部と、
前記修正済印刷データを、印刷ヘッドを含む印刷実行部に供給する供給部と、
を備え、
前記修正部は、
前記印刷ヘッドの1回の主走査で印刷される単位印刷領域に対応する前記印刷データ内の部分画像データのうち、前記単位印刷領域の端部に対応する端部画像データを、複数のブロックデータに区分する区分部であって、前記各ブロックデータは、印刷媒体上で主走査方向に沿って並ぶ複数個のドットに対応する複数のドットデータを含み、前記各ドットデータは、ドットのサイズに関するサイズ情報を示す、区分部と、
前記ブロックデータごとに、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータを用いて、使用予定のインク量に関する指標値を求める指標値決定部と、
前記ブロックデータごとに、前記指標値に基づいて、使用予定のインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更するための変更部と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、
前記指標値が使用予定のインク量が比較的低いことを示す第1の場合に、前記ブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのサイズ情報を変更せず、
前記指標値が使用予定のインク量が比較的高いことを示す第2の場合に、前記ブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更する、画像処理装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、前記ブロックデータごとに、前記指標値が目標値となるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更し、
前記目標値は、前記指標値の変化に応じて単調に変化する値である、画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、
前記ブロックデータに含まれる第1のサイズ情報を有する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を、第1のサイズ情報から、前記第1のサイズ情報よりも小さな第2のサイズ情報に変更する第1変更部と、
前記ブロックデータに含まれる前記第2のサイズ情報を有する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を、前記第2のサイズ情報から、前記第2のサイズ情報よりも小さな第3のサイズ情報に変更する第2変更部と、
を備え、前記第1変更部によるサイズ情報の変更を、前記第2変更部によるサイズ情報の変更よりも優先する、画像処理装置。
【請求項5】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、前記ブロックデータに含まれる最小のサイズを示す2以上のドットデータについては、該ドットデータのサイズ情報は変更せず、最小のサイズよりも大きなサイズを示す2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータについては、該ドットデータのサイズ情報を、より小さなサイズ情報であって、最小のドットサイズ以上のサイズ情報に変更する、画像処理装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記端部画像データは、前記単位印刷領域の端部の1ライン分に対応するライン画像データである、画像処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記処理部は、印刷に使用される複数のインク色のそれぞれについてのドットの形成態様を示す印刷データを生成し、
前記変更部は、前記複数のインク色のそれぞれについての使用予定のインク量が同等の比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更する、画像処理装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記処理部は、印刷に使用される複数のインク色のそれぞれについてのドットの形成態様を示す印刷データを生成し、
前記変更部は、前記複数のインク色のそれぞれについての使用予定のインク量のうち、顔料インクのインク量は維持され、染料インクのインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる染料インクで形成される2以上のドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
【請求項9】
請求項8に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、前記ブロックデータごとに、使用予定のインク量に関する指標値を、目標値とするための比率を求め、染料インクについての使用予定のインク量が前記比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる染料インクで形成される2以上のドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
【請求項10】
請求項8に記載の画像処理装置であって、
前記変更部は、前記ブロックデータごとに、使用予定の染料インク量に関する染料指標値を、使用予定の顔料インク量に関する顔料指標値が差し引かれた目標値とするための比率を求め、染料インクについての使用予定のインク量が前記比率で小さくなるように、そのブロックデータに含まれる2以上の染料インクで形成されるドットに対応する2以上のドットデータのうちの少なくとも一部のサイズ情報を変更する、画像処理装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記部分画像データは、前記印刷ヘッドの1回の主走査につき、前記印刷ヘッドに対する印刷媒体の相対位置を副走査方向に前記単位印刷領域の幅分移動させ、前記印刷媒体における前記単位印刷領域分の画像の印刷を1回の主走査で完了するためのデータである、画像処理装置。
【請求項12】
印刷のための画像処理装置としてコンピュータを機能させるための画像処理プログラムであって、
原画像データに対してハーフトーン処理を含む画像処理を実行し、ドットの形成態様であって、複数種類のサイズのドットのうちのいずれかの形成又はドットの非形成を示す、前記ドットの形成態様を示す印刷データを生成する処理部、
前記印刷データに対して修正処理を施し、修正済印刷データを生成する修正部、及び、
前記修正済印刷データを、印刷ヘッドを含む印刷実行部に供給する供給部
としてコンピュータを機能させ、
前記修正部は、
前記印刷ヘッドの1回の主走査で印刷される単位印刷領域に対応する、印刷データ内の部分画像データのうち、前記単位印刷領域の端部に対応する端部画像データを、複数のブロックデータに区分する区分部であって、前記各ブロックデータは、印刷媒体上で主走査方向に沿って並ぶ複数個のドットに対応する複数のドットデータを含み、前記各ドットデータは、ドットのサイズに関するサイズ情報を示す、区分部と、
前記ブロックデータごとに、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータを用いて、使用予定のインク量に関する指標値を求める指標値決定部と、
前記ブロックデータごとに、前記指標値に基づいて、使用予定のインク量が小さくなるように、そのブロックデータに含まれる前記複数のドットデータのうちの少なくとも一部のドットデータのサイズ情報を変更するための変更部と、
を備えることを特徴とする画像処理プログラム。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図2】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−152908(P2012−152908A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−11290(P2011−11290)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】