説明

画像処理装置

【課題】着脱可能な記録媒体に画像データを書き込む書き込み手段を備えた画像処理装置において、画像データ読み書きの衝突を防止すると共に、画像データの書き込みを効率よく実施することができる画像処理装置を提供する。
【解決手段】ステップ104で、ハードディスク装置に蓄積された画像データ量を集計し、ステップ106で、ジョブが終了したか否かを判断する。ジョブが終了したと判断された場合には、ステップ108で、記録メディアの1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否かを判断する。画像データが蓄積されたと判断された場合は、ステップ110で、画像データを記録メディアに転送する旨を表示部に表示し、ユーザが画像データの入力処理及び出力処理を指示できないようにしてから、ステップ112で、ディスクドライブを駆動して蓄積された画像データを記録メディアに転送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に係り、特に、着脱可能な記録媒体に画像データを書き込む書き込み手段を備えた画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CD−RやDVD−R等の着脱可能な(リムーバブル)記録媒体用のリーダ/ライタを内蔵し、画像メモリ等、複写機内部の記憶装置に蓄積された画像データのバックアップ処理を行うデジタル複写機等の画像処理装置が提案されている(特許文献1〜5)。
【0003】
特許文献1〜4に記載された上記構成の画像処理装置では、バックアップ処理の実行中にコピー処理の実行が指示されると、画像データ読み書きの衝突を防止するために、バックアップ処理とコピー処理とを時分割で行っている。
【特許文献1】特開昭63−146555号公報
【特許文献2】特開昭63−146567号公報
【特許文献3】特開平4−205270号公報
【特許文献4】特開平6−311375号公報
【特許文献5】特開2001−136328号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の処理を時分割で行うことで、当然、各処理の処理速度は遅くなり、画像処理装置のユーザは指示した処理が終了するまで長い時間待たされることになる。従って、画像データが蓄積される度にバックアップ処理を実行したのでは、ユーザの作業効率が著しく低下することになる。
【0005】
特許文献5に記載された画像処理装置では、バックアップ処理とコピー処理とが共に起動状態になったと判断したときには、コピー処理を優先して実行することにより、ユーザの待ち時間を短縮しているが、バックアップ処理に関するユーザの利便性は考慮されていない。
【0006】
本発明は上記問題を解決するために成されたものであり、本発明の目的は、着脱可能な記録媒体に画像データを書き込む書き込み手段を備えた画像処理装置において、画像データ読み書きの衝突を防止すると共に、画像データの書き込みを効率よく実施することができる画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明の画像処理装置は、画像データの入力処理を行う入力処理手段と、前記入力処理手段により入力された画像データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、読み出した画像データの画像形成部への出力処理を行う出力処理手段と、画像データを着脱可能な記録媒体に書き込む書き込み手段と、前記入力処理手段により入力された画像データを前記記憶手段に順次蓄積するように制御すると共に、前記記憶手段に蓄積された画像データのデータ量を集計し、集計されたデータ量が着脱可能な記録媒体の記録容量に応じて予め定めた所定量を超えた場合に、前記入力処理及び前記出力処理に優先して前記記憶手段から蓄積された画像データを読み出し、読み出した画像データが前記着脱可能な記録媒体に書き込まれるように前記書き込み手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の画像処理装置では、入力処理手段により入力された画像データが記憶手段に記憶される。出力処理手段は、記憶手段に記憶された画像データを読み出し、読み出した画像データの画像形成部への出力処理が行われる。また、本発明の画像処理装置は、画像データを着脱可能な記録媒体に書き込む書き込み手段を備えている。そして、制御手段は、入力処理手段により入力された画像データが記憶手段に順次蓄積されるように制御すると共に、記憶手段に蓄積された画像データのデータ量を集計し、集計されたデータ量が着脱可能な記録媒体の記録容量に応じて予め定めた所定量を超えた場合に、入力処理及び出力処理に優先して記憶手段から蓄積された画像データを読み出し、読み出した画像データが着脱可能な記録媒体に書き込まれるように書き込み手段を制御する。
【0009】
この通り、本発明の画像処理装置では、入力処理手段により画像データが入力されるたびに着脱可能な記録媒体への書き込みを行うのではなく、着脱可能な記録媒体の記録容量に応じて予め所定のデータ量(所定量)を定めておき、記憶手段に蓄積された画像データのデータ量がこの所定量を超えた場合に、蓄積された画像データを着脱可能な記録媒体に書き込むので、画像データの書き込みを効率よく実施することができる。
【0010】
また、蓄積された画像データを着脱可能な記録媒体に書き込む際には、入力処理及び出力処理に優先して記憶手段から蓄積された画像データを読み出すので、画像データ読み書きの衝突を防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、着脱可能な記録媒体に画像データを書き込む書き込み手段を備えた画像処理装置において、画像データの書き込みを効率よく実施することができる、という効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1に示すように、デジタル複写機10の上部には、原稿を1枚ずつ自動的に送って原稿を読み取り画像データを出力するスキャナ26が配置されている。スキャナ26の側方には、原稿を載置するための原稿載置台26Aが配置されており、原稿載置台26Aに原稿を載置し後述する操作部32のスタートキーを押下すると、スキャナ26は原稿を1枚ずつ読み取り、読み取った原稿を原稿載置台26Aの下方に配置された原稿受け26Bに排出する。
【0014】
なお、スキャナ26は、紙面奥側の図示しない複数のヒンジを軸として紙面手前の上下方向(図1の矢印A方向又はその反対方向)に回動可能であり、原稿が1枚のときには、原稿載置台26Aに載置せずスキャナ26を紙面手前の上方向に回動させて所定位置に原稿をセットしコピーすることも可能である。
【0015】
原稿受け26Bの下側で紙面手前側には、テンキー、スタートキー等のキーで構成され、デジタル複写機10を操作するための操作部32が配置されている。テンキーは複写枚数を入力する等のためのキーであり、スタートキーはスキャナ26で読み取った画像データに基づいて用紙に画像を形成(複写)する処理を開始するためのキーである。
【0016】
操作部32の側方には、デジタル複写機10の操作状況や動作状況等を表示する表示部34が配置されており、表示部34は液晶表示装置で構成されている。また、表示部34の側方下部でデジタル複写機10の側面には、用紙42を排出する排紙トレイ30が配置されている。
【0017】
操作部32の下方で紙面手前側には前面扉52が配置されている。また、前面扉52の側方には側面扉54が配置されている。この前面扉52及び側面扉54を開放することにより、デジタル複写機10の各構成部のメンテナンスが可能である。また、デジタル複写機10の底部四隅には、ストッパ付きのキャスタ56が配置されており、デジタル複写機10の移動を容易にしている。
【0018】
デジタル複写機10の内部には、着脱可能な記録メディア38に画像データを書き込む書き込み手段としてのディスクドライブ36が設けられている。前面扉52の前面にはディスクドライブ36に記録メディア38を出し入れするためのイジェクト36A及びイジェクトボタン36Bが設けられている。
【0019】
着脱可能な記録メディア38としては、CD−R、CD−RW、DVD−R等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、フロッピー(登録商標)ディスク等の磁気ディスクが挙げられる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスクドライブとCDドライブというように、記録メディア38の種類に応じて複数のディスクドライブ36が設けられていてもよい。
【0020】
次に、図2を参照して、デジタル複写機10の制御系を説明する。
【0021】
この制御系のバス12には、CPU14、ROM16、RAM18、主記憶装置としての画像メモリ20、及び補助記憶装置としてのハードディスク装置22が接続されている。ROM16には、CPU14を制御するプログラムが格納されている。RAM18はCPU14が使用するワークエリアを確保するためのメモリである。また、画像メモリ20は入力された画像データを一時的に記憶するためのメモリであり、ハードディスク装置22は大量の画像データを蓄積しておくためのメモリである。
【0022】
バス12には、上述したスキャナ26、画像データに基づいて用紙42に画像を形成する画像形成部28、操作部32、表示部34、及びディスクドライブ36が接続されている。ディスクドライブ36には記録メディア38が着脱される。
【0023】
次に、図3に示す制御ルーチンを参照して、本実施の形態の作用を詳細に説明する。
【0024】
この制御ルーチンは、スキャナ26が画像データの読み取りを開始したときスタートする。ステップ100で、読み込んだ画像データを画像メモリ20に一時的に記憶し、ステップ102で、読み込んだ画像データをハードディスク装置22に蓄積する。なお、画像データは、ユーザID、記憶領域(ディレクトリ)、データ量等のデータ管理情報と関連付けられて蓄積される。
【0025】
次のステップ104で、ハードディスク装置22に蓄積された画像データ量を集計し、ステップ106で、ジョブが終了したか否か、即ち、複写処理が終了したか否かを判断する。ステップ106でジョブが終了したと判断された場合には、ステップ108で、記録メディア38の1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否かを判断する。一方、ステップ106でジョブが終了していないと判断された場合には、ステップ100に戻る。
【0026】
ステップ108で画像データが蓄積されたと判断された場合は、ステップ110で、例えば「データ転送中」等、蓄積された画像データを記録メディア38に転送する旨を表示部34に表示し、ユーザが画像データの入力処理及び出力処理を指示できないようにしてから、ステップ112で、ディスクドライブ36を駆動して蓄積された画像データを記録メディア38に転送する。
【0027】
一方、ステップ108で、記録メディア38の1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されていないと判断された場合は、記録メディア38へのデータ転送は行わずに制御ルーチンを終了する。
【0028】
この通り、本実施の形態では、ハードディスク装置に記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されるまで待って、蓄積された画像データを記録メディアに転送し、記録するので、記録メディアへのデータ転送回数が少なくて済み、画像データの書き込みを効率よく実施することができる。
【0029】
また、ジョブの終了を待ってから画像データを転送する旨を表示すると共に、記録メディアへのデータ転送の際には、画像データの入力処理及び出力処理を禁止するので、画像データ読み書きの衝突を防止することができる。
【0030】
なお、上記の実施の形態では、ハードディスク装置に蓄積された画像データ量を単に集計する例について説明したが、特定のユーザIDを有する画像データ量を集計し、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否か判断することもできる。また、特定のディレクトリ内の画像データ量を集計し、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否か判断してもよい。
【0031】
また、上記の実施の形態では、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否かを判断する例について説明したが、閾値となるデータ量は記録メディアの記憶容量に応じて予め設定された所定量であればよく、記録メディア1枚分の記憶容量には限定されない。記録メディアの種類に応じて複数のディスクドライブが設けられている場合には、記録メディアの種類毎に閾値を予め設定することができる。また、複数のディスクドライブが設けられている場合でも、特定の記録メディアについてだけ閾値を設定することもできる。
【0032】
また、上記の実施の形態では、ユーザの指示を待たず画像データを記録メディアへ転送する例について説明したが、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積された旨を表示して、ユーザが転送を行うか選択できるようにしてもよい。例えば、スキャナ26が画像データの読み取りを開始したときに、図4に示す制御ルーチンを実行する。図4のステップ200〜ステップ208は、図3のステップ100〜ステップ108と同じであるため説明を省略する。
【0033】
ステップ208で、記録メディア38の1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたと判断された場合には、ステップ210で、例えば「所定量のデータが蓄積されました」等、記録メディア38の1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたことが表示部34に表示され、ステップ212で、蓄積された画像データを記録メディア38に転送する指示が成されたか否かが判断される。
【0034】
例えば、「所定量のデータが蓄積されました」等の表示と共に、「記録メディアに保存する」、「記録メディアに保存しない」等の選択肢を併せて表示し、ここでユーザにより「記録メディアに保存する」が選択され、操作部32のスタートキーが押下されると、ユーザによる転送指示があったと判断される。一方、「記録メディアに保存しない」が選択され、操作部32のスタートキーが押下されると、ユーザによる転送指示は無かったと判断される。
【0035】
ステップ212でユーザによる転送指示があったと判断された場合には、ステップ214で、蓄積された画像データを記録メディア38に転送する旨を表示部34に表示し、ステップ216で、ディスクドライブ36を駆動して蓄積された画像データを記録メディア38に転送する。一方、ステップ212でユーザにより転送指示は無かったと判断された場合には、記録メディア38へのデータ転送は行わずに制御ルーチンを終了する。
【0036】
この制御ルーチンでは、ジョブの終了後に記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたことを表示するので、ユーザは記録メディアへの転送が可能になったことを知ることができる。また、ユーザによる転送指示を待って、蓄積された画像データを記録メディアに転送するので、ユーザ自身が転送タイミングを選択することができ、ユーザの利便性が向上する。
【0037】
また、記録メディアへの転送を行わない場合には、履歴フラグを立てる等して、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたことを履歴として記憶しておき、画像データの入力の度に履歴を読み出して、記録メディア1枚分の記憶容量の画像データが蓄積されたか否かを判断してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明が適用されるデジタル複写機の外観を示す概略図である。
【図2】図1に示すデジタル複写機の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施の形態の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図4】制御ルーチンの他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0039】
10 デジタル複写機
12 バス
20 画像メモリ
22 ハードディスク装置
26 スキャナ
26A 原稿載置台
28 画像形成部
30 排紙トレイ
32 操作部
34 表示部
36A イジェクト
36B イジェクトボタン
36 ディスクドライブ
38 記録メディア
42 用紙
52 前面扉
54 側面扉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの入力処理を行う入力処理手段と、
前記入力処理手段により入力された画像データを記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、読み出した画像データの画像形成部への出力処理を行う出力処理手段と、
画像データを着脱可能な記録媒体に書き込む書き込み手段と、
前記入力処理手段により入力された画像データを前記記憶手段に順次蓄積するように制御すると共に、前記記憶手段に蓄積された画像データのデータ量を集計し、集計されたデータ量が着脱可能な記録媒体の記録容量に応じて予め定めた所定量を超えた場合に、前記入力処理及び前記出力処理に優先して前記記憶手段から蓄積された画像データを読み出し、読み出した画像データが前記着脱可能な記録媒体に書き込まれるように前記書き込み手段を制御する制御手段と、
を備えた画像処理装置。
【請求項2】
前記集計されたデータ量が前記所定量を超えたことをユーザに報知する報知手段と、画像データを着脱可能な記録媒体に書き込むタイミングを選択する選択手段と、をさらに備え、
前記制御手段は、前記選択手段により選択されたタイミングに応じて、前記入力処理及び前記出力処理に優先して前記記憶手段から蓄積された画像データを読み出し、読み出した画像データが前記着脱可能な記録媒体に書き込まれるように前記書き込み手段を制御する請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記画像データの属性に応じて前記記憶手段に蓄積された画像データのデータ量を集計する請求項1または2記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記画像データの属性が、前記画像データの入力者である請求項3記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記画像データの属性が、前記記憶手段における前記画像データの記憶場所である請求項3記載の画像処理装置。
【請求項6】
着脱可能な記録媒体が、光記録媒体、光磁気記録媒体、及び磁気記録媒体からなる群から選択される少なくとも一種である請求項1乃至5のいずれか1項記載の画像処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2006−221753(P2006−221753A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−35132(P2005−35132)
【出願日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】