説明

画像処理装置

【課題】 画像処理装置の総合的な稼働状況を時間軸に照らし合わせて視覚的に把握することが出来る画像処理装置を提供することにある。
【解決手段】 画像を出力するために画像形成処理を行なう各種構成機器と、これら各種構成機器を制御するための制御装置と、各種情報を視覚的に表示するためのモニターが搭載された画像処理装置において、制御装置に、画像処理装置における画像形成処理時の各構成機器の稼働開始から稼働終了に至る稼働状況を記録するための稼働状況記録部と、稼働状況記録部に記録された各構成機器の稼働状況をモニターの画面上に総合的に表示させるための運転状況表示制御部とを構築して、画像処理装置の総合的な稼働状況をオペレータが視覚的に把握出来るようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば画像をプリント用紙にプリント処理するなどの画像を出力するために画像形成処理を行なう画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にこの種の画像処理装置は、現像済フィルムのコマ画像を読み取るためのスキャナ、各種記録メディアに記録した画像データを読み取るための読み取り装置、スキャナまたは読み取り装置で読み取った画像データに主として各種の画像処理を施すための画像データ処理機構等が搭載された画像処理機と、画像処理機で処理された画像データを出力する一例としてプリント用紙に焼き付けるためのプリンターと、画像が焼き付けられたプリント用紙を現像処理するためのプロセッサとから構成されている。
【0003】
また以上の画像処理装置では、前述の各種構成機器を制御する制御手段としてのコントローラや、このコントローラに各種情報を入力するための入力手段としてのキーボード、更には各種情報を視覚的に表示するための表示手段としてのモニターなどが備えられており、オペレータは、モニターを見ながら適宜キーボードなどを操作して、画像処理装置を操作するようにしている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−174938号 ところで、以上の画像処理装置では、プリントの処理枚数を示すカウンタなどが搭載されており、オペレータは、これらカウンタなどによってプリントの処理枚数などを個々に任意把握することが出来るが、画像処理装置の各構成機器の全体的な稼働状況、即ち例えばスキャナの駆動状況や、プリンタの駆動状況など画像処理装置の全体的的な運転状況を把握することは出来ないものである。
【0004】
そのため、特に複数台の画像処理装置が備えられたラボ店において、これら複数台の画像処理装置の総合的な稼働状況を把握し難くて、これら複数台の画像処理装置を効率良く運転することが困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、画像処理装置の時間軸に照らし合わせた総合的な稼働状況を視覚的に把握することが出来る画像処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、画像を出力するために画像形成処理を行なう各種構成機器と、これら各種構成機器を制御するための制御装置と、各種情報を視覚的に表示するためのモニターが搭載された画像処理装置において、制御装置には、画像処理装置における画像形成処理時の各構成機器の稼働開始から稼働終了に至る稼働状況を記録するための稼働状況記録部と、稼働状況記録部に記録された各構成機器の稼働状況をモニターの画面上に総合的に表示させるための運転状況表示制御部とが構築されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の運転状況表示制御部が、稼働状況記録部に記録された異なる日の各構成機器の稼働状況をそれぞれ総合的に表示するようにしていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像処理装置が複数台接続され、接続された複数台中の少なくとも一台の画像処理装置における運転状況表示制御部は、接続された複数の画像処理装置における稼働状況記録部に記録された各構成機器の稼働状況をモニターの画面上に総合的に表示させるようにしていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、モニターの画面を見るだけで、画像処理装置の過去の稼働状況の傾向を把握して、画像処理作業の稼働計画を立てる際の参考とすることが出来るので、画像処理装置の効率的な運用が行ない易くなる。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、異なる日の稼働状況を把握することにより、画像処理装置の運行状況をより細かく把握することが出来、より一層、画像処理装置の効率的な運用が行ない易くなるのである。
【0011】
また請求項3に記載の発明によれば、請求項1または2に記載の発明の効果に加え、例えばLANで接続されている複数台の画像処理装置の過去の運行状況の傾向を視覚的に把握することが出来、複数台の画像処理装置の効率的な運用が行なえる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明にかかる画像処理装置の一例を概略的に示したものであって、この画像処理装置1は、現像済フィルムをセットするためのフィルムマスクユニット21、このフィルムマスクユニット21にセットされた現像済フィルムのコマ画像を読み取るためのスキャナ22、各種記録メディアに記録した画像データを読み取るための読み取り装置23、スキャナ22または読み取り装置23で読み取った画像データに主として各種の画像処理を施すための画像処理部24を搭載した画像処理機2と、
画像処理機2で処理された画像データを出力する一例として、プリント用紙の一例である印画紙Pに画像を焼き付けるためのプリンター3と、
プリンター3で画像が焼き付けられた印画紙を現像するためのプロセッサ4とから構成されている。
【0013】
画像処理機2に搭載されているスキャナ22は、現像済フィルムをフィルムマスクユニット21にセットすることにより、光源ユニット20からの光をフィルムマスクユニット21にセットされた現像済フィルムに照射して、各コマの画像を順次読み取って画像処理部24に出力し、また画像処理部24では、スキャナ22または読み取り装置23で読み取られた画像データに各種画像処理を施すようにしている。
【0014】
画像処理部24は、画像処理ソフトウエア等がインストールされたコンピュータから成るメインコントローラ25と、メインコントローラ25に各種情報を入力するためのキーボード26a及びマウス26bと、各種情報を視覚的に表示するためのモニター27とから構成されている。
【0015】
そしてスキャナ22若しくは読み取り装置23により読み取られた画像データは、所定の処理プログラムとキーボード26aまたはマウス26bにより入力されるプリントサイズなどの各種情報に基づいてメインコントローラ25により適宜処理された後、順次プリントデータとしてプリンター3に搭載した後記のサブコントローラ30に出力するようにしている。
【0016】
プリンター3は、画像処理機2の画像処理部24で作成されたプリントデータを印画紙Pに焼き付けるためのものであり、画像処理部24から出力されたプリントデータなどを入力するためのサブコントローラ30と、ロール状に巻かれた印画紙Pを充填したペーパーマガジン31a・31bと、ペーパーマガジン31a・31bから送り出される印画紙Pを搬送するための搬送機構32と、搬送機構32で搬送される印画紙Pにサブコントローラ30を介して画像データを露光するためのレーザービーム方式の露光機構33とが搭載されている。
【0017】
そしてプリンター3では、メインコントローラ25から出力されるプリントデータがサブコントローラ30に入力されるに伴い、このサブコントローラ30で、入力されるプリントデータに基づいて露光用データが生成されて、露光機構33に出力されるようにしている。
【0018】
尚、露光機構33の方式としては、レーザービーム方式のほか、PLZTシャッター方式や、液晶シャッター方式、蛍光ビーム方式等が知られており、仕様に応じて任意の方式を採択することが出来る。
【0019】
プロセッサ4は、プリンター3で画像が焼き付け処理された印画紙Pを現像処理するための現像処理機構41と、現像処理機構41で現像処理された印画紙Pを乾燥するための乾燥処理機構42と、乾燥処理により完成したプリントPRを搬出するための搬出機構43と、この搬出機構43から搬出される印画紙を例えばオーダー毎に仕分けるためのソーター44とが備えられている。
【0020】
現像処理機構41は複数の処理槽41aが備えられており、これら処理槽41aには、現像液、漂白・定着液、安定化液等の各種処理液がそれぞれ個別に貯溜されている。
【0021】
乾燥処理機構42は、印画紙Pを乾燥するためのヒーターを備え、搬送機構(図示せず)により搬送される印画紙Pをヒーターで適宜乾燥するようにしている。
【0022】
ソーター44は、多数の受け皿45が備えられ、基本的には、メインコントローラ25の制御により、出来上がったプリントが例えば1オーダ分受け皿45に搬送された段階で、その受け皿45が下方に移送されると共に、続いて搬送されて来るプリントPは次の受け皿45に収容するようにしている。
【0023】
また以上の画像処理装置では、画像処理機2、プリンター3、プロセッサー4を構成する各種構成機器は、メインコントローラ25により制御するようにしている。
【0024】
そして以上の構成から成る画像処理装置1において、図に示す実施形態では、メインコントローラ25のプログラム上に、
画像処理装置におけるプリント処理時の各構成機器の稼働開始時から稼働終了時に至る稼働状況(稼働時間)を記録するための稼働状況記録部5と、
稼働状況記録部5に記録された各構成機器の稼働状況(稼働時間)をモニター27の画面上に総合的に表示させるための運転状況表示制御部6とが構築されている。
【0025】
以上の実施形態では、2台の画像処理装置1がLANで接続されており、各画像処理装置1の稼働状況記録部5には、この稼働状況記録部5が構築されている画像処理装置1の稼働状況に加え、LAN接続されている他の画像処理装置1におけるプリント処理時の各構成機器の稼働開始時から稼働終了時に至る稼働状況(稼働時間)をも記録するようにしている。
【0026】
また運転状況表示制御部6によるモニター27の画面上への表示態様は、図4〜図6に示すように、横軸が時間の経過を表わしてなるいわゆるガントチャート様式のものであって、各構成機器による稼働内容、具体的には、画像処理機2での画像処理作業を示す「ジャッジ」プリンター3の露光機構33の露光作業を示す「露光動作」画像処理機2でのメディアへの画像保存作業用を示す「メディア保存」、プロセッサ4での現像処理作業を示す「ペーパー現像」画像処理装置1の運転開始時における温調作業を示す「準備中」などの各稼働時間に対応して、その稼働開始時から稼働終了時まで横方向に延びる棒グラフ状の表示7a〜7eがそれぞれ異なる色彩でモニター27の画面上に表示されるようにしている。
【0027】
図4に示す表示態様は、画像処理装置1の各種構成機器による稼働が横方向に一列に表示される概要表示部8aと、各種構成機器の稼働がそれぞれ個別に表示される詳細表示部8bとに分けられ、概要表示部8aでは、各構成機器の稼働に対応する表示7a〜7eが時間軸上に順次表示され、詳細表示部8bでは、各構成機器の稼働状況ごとに個別に表示されるようにしたものである。
【0028】
また図5に示す表示態様は、異なる日の稼働状況を複数の段に分けてそれぞれ概略表示8aにより表示するようにしたものである。
【0029】
また更に図6に示す表示態様は、LANで接続された2台の画像処理装置1のそれぞれの稼働状況を概略表示8aにより複数段に表示するようにしたものであって、画面の上段には、本機の画像処理装置1の稼働状況が、また画面の下段にはLANで接続された別機の画像処理装置の稼働状況がそれぞれ表示されるようにしている。
【0030】
以上の図4〜図6に示す表示態様の切換は、キーボード26aまたはマウス26bの操作により、モニター27のメニュー画面から所望の表示方法を選択することで行なうようにしている。
【0031】
例えばキーボード26aまたはマウス26bの操作よる表示態様の選択により、図4に示す表示仕様が選択されると、モニター27の画面には、画像処理装置1の例えば昨日の稼働状況が表示されるのである。
【0032】
また図5に示す表示仕様が選択されると、モニター27の画面には、過去の異なる日の稼働状況がそれぞれ表示されるのである。
【0033】
更に図6に示す表示仕様が選択されると、モニター27の画面には、LANで接続された2台の画像処理装置1の過去の日時におけるそれぞれの稼働状況が表示されるのである。
【0034】
斯くしてオペレータは、以上のモニター27の画面を見るだけで、画像処理装置1の過去の稼働状況の傾向を把握することが出来、例えばこれから行なう画像処理作業の稼働計画を立てる際の参考とすることが出来、画像処理装置1の効率的な運用が行ない易くなるのである。
【0035】
特に図5に示す表示仕様を選択した場合には、画像処理装置1の運行状況をより細かく把握することが出来、より一層、画像処理装置1の効率的な運用が行ない易くなるのである。
【0036】
また特に図6に示す表示仕様を選択した場合には、LANで接続されている2台の画像処理装置1の過去の運行状況の傾向を把握することが出来、2台の画像処理装置1の効率的な運用が行なえる。
【0037】
以上の実施形態では、例えばレーザー式の露光機構33が搭載された画像処理装置に本発明を適用したが、これに限定されるものではなく、インクジェット式のプリント機構が搭載された画像処理装置に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明にかかる画像処理装置の説明図。
【図2】本発明にかかる画像処理装置の構成図。
【図3】画像処理装置の稼働状況の一例を示す説明図。
【図4】モニターの画面表示の一例を示す説明図。
【図5】モニターの画面表示の他の例を示す説明図。
【図6】モニターの画面表示の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
【0039】
1 画像処理装置
2 画像処理機
25 メインコントローラ
26a キーボード
3 プリンター
4 プロセッサ
5 稼働状況記録部
6 稼働状況表示制御部
8a 概要表示部
8b 詳細表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を出力するために画像形成処理を行なう各種構成機器と、これら各種構成機器を制御するための制御装置と、各種情報を視覚的に表示するためのモニターが搭載された画像処理装置において、制御装置には、画像処理装置における画像形成処理時の各構成機器の稼働開始から稼働終了に至る稼働状況を記録するための稼働状況記録部と、稼働状況記録部に記録された各構成機器の稼働状況をモニターの画面上に総合的に表示させるための運転状況表示制御部とが構築されていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
運転状況表示制御部が、稼働状況記録部に記録された異なる日の各構成機器の稼働状況をそれぞれ総合的に表示するようにしていることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
画像処理装置が複数台接続され、接続された複数台中の少なくとも一台の画像処理装置における運転状況表示制御部は、接続された複数の画像処理装置における稼働状況記録部に記録された各構成機器の稼働状況をモニターの画面上に総合的に表示させるようにしていることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−25070(P2006−25070A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200117(P2004−200117)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】