説明

画像処理装置

【課題】画像の読み取り途中に電源がOFFになり、電源が再度ONになったときに、ユーザの手間を軽減させることができる。
【解決手段】原稿を読み込み、画像データを取得する読込手段と、画像データ、及び前記画像データの出力条件を記憶する記憶手段と、読込手段によるジョブの実行中に動作停止したか否かを判定する判定手段と、判定手段により動作停止したと判定された場合、前記記憶手段に記憶された出力条件を読み出す読出手段と、原稿を継続して読込手段により読み込むことを可能にし、読出手段により読み出された出力条件で、前記ジョブのリカバリ処理を行うリカバリ手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、読み込んだ画像を出力する画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)では、ジョブの実行中に電源がOFFになった場合にジョブを中断する。再び電源がONになった場合のジョブの処理について、例えば特許文献1の技術がある。
【0003】
特許文献1には、画像データの転送中に、受信側で電源がOFFになり、再度電源がONになった場合、引き続き行われる画像データの展開処理において「データの転送を初めから行う」、「途中から行う」、「破棄する」の内から選択的に実行制御する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、読み取った画像データの転送時の技術であって、原稿の読み取り途中に電源がOFFになることは想定されていない。よって、原稿の読み取り途中で電源がOFFになった場合、電源がONになったとしても、読み取り途中の原稿を読み取り前の設定で再度読み取ることができず、読み取りの設定をやり直さなければならなかった。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、原稿の読み取り途中に電源がOFFになり、電源が再度ONになったときに、同じ条件で継続して原稿を読み取り可能なのでユーザの手間を軽減させることができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における一局面の画像処理装置は、原稿を読み込み、画像データを取得する読込手段と、前記画像データ、及び前記画像データの出力条件を記憶する記憶手段と、前記読込手段によるジョブの実行中に動作停止したか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により動作停止したと判定された場合、前記記憶手段に記憶された前記出力条件を読み出す読出手段と、前記原稿を継続して前記読込手段により読み込むことを可能にし、前記読出手段により読み出された前記出力条件で、前記ジョブのリカバリ処理を行うリカバリ手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、原稿の読み取り途中に電源がOFFになり、電源が再度ONになったときに、電源OFF前と同じ条件で継続して原稿を読み取り可能なのでユーザの手間を軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1に係る画像処理装置のハードウェアの一例を示す図。
【図2】通常ジョブ実行時の処理概念を示す図。
【図3】本発明によるリカバリ実行時の処理概念を示す図。
【図4】実施例1における画像処理装置の機能の一例を示すブロック図。
【図5】出力条件及び画像データの場所の一例を示す図。
【図6】通常のリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図7】枚数を表示するリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図8】原稿追加受付画面の一例を示す図。
【図9】プレビューを表示するリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図10】サムネイル画像を表示する画面の一例を示す図。
【図11】動作モードを選択するリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図12】動作モード選択画面の一例を示す図。
【図13】動作モードを事前に設定する処理の一例を示すフローチャート。
【図14】動作モードが事前に設定された場合のリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図15】条件変更を行うリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【図16】条件変更画面の一例を示す図。
【図17】条件変更の可否を事前に設定する処理の一例を示すフローチャート。
【図18】条件変更の可否を事前設定したリカバリ処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明にかかる画像処理装置の実施例を詳細に説明する。
【0010】
また、以下に示す実施例では、画像データを処理する画像処理装置として、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を一つの筐体に搭載した複合機を例にあげて説明する。
【0011】
[実施例1]
<ハードウェア>
図1は、実施例1に係る画像処理装置1のハードウェアの一例を示す図である。画像処理装置1は、CPU(プロセッサ)10、ROM11、RAM12、NVRAM13、外部I/F14、パネル制御部15、操作パネル16、スキャナエンジン制御部17、プロッタエンジン制御部19ストレージドライバ21を有する。
【0012】
また、パネル制御部15には操作パネル16が、スキャナエンジン制御部17にはスキャナエンジン18が、プロッタエンジン制御部19にはプロッタエンジン20が、ストレージドライバ21には記憶媒体22がそれぞれ接続されている。
【0013】
CPU10は、画像処理装置1全体の制御演算を行う。RAM11は、一時的なデータの記憶場所、CPU10のワークスペースとして利用される。ROM12は、プログラムコード、フォント、及びその他の静的なデータを格納する。NVRAM13は、不揮発性のデータを格納する。
【0014】
操作パネル16とパネル制御部15は、ユーザとのインタフェースとなる。スキャナエンジン18とスキャナエンジン制御部17は、画像データの入力ユニットとして、紙原稿の読み取りを行う。プロッタエンジン20とプロッタエンジン制御部19は、画像データの出力ユニットとして、転写紙への印刷を行う。
【0015】
記憶媒体22とストレージドライバ21は、大量の画像データなどを蓄積したり、データベースの記憶場所としたりして利用される。外部I/F14は、セントロニクスやRS−232C等のインタフェースを用いて外部の機器との通信を可能にする。CPU10、RAM11、ROM12、NVRAM13、外部I/F14、パネル制御部15、スキャナエンジン制御部17、プロッタエンジン制御部19、ストレージドライバ21は、データバスを通じてデータのやり取りを行う。
【0016】
<処理概念>
図2は、通常ジョブ実行時の処理概念を示す図である。時刻t1で、ユーザは、原稿をセットし、スキャンした画像データの出力条件を設定する。また、ユーザは、原稿をスキャンする入力条件を合わせて設定してもよい。時刻t2で、ユーザはスタートボタンを押下する。時刻t3で、セットされた原稿がスキャンされ、スキャンされた画像データは、出力条件に基づいて出力される。出力とは、例えば印刷であったり、メール送信であったりする。出力条件とは、出力が印刷の場合には、解像度や用紙サイズである。時刻t2〜t3の間で、画像処理装置1は、ジョブを実行する。
【0017】
図3は、本発明によるリカバリ実行時の処理概念を示す図である。時刻t11で、ユーザは、原稿をセットし、スキャンした画像データの出力条件を設定する。また、ユーザは、原稿をスキャンする入力条件を設定してもよい。時刻t12で、ユーザはスタートボタンを押下する。時刻t13で、電源がOFFされる。時刻t13までに、画像処理装置1は、スキャンによる読み込みが完了している画像データ、及び出力条件を記憶しておく。入力条件がある場合は、入力条件も記憶する。
【0018】
時刻t14で、電源がONされる。このとき、画像処理装置1は、記憶していた出力条件を読み出してジョブの条件値として設定し、継続して原稿のスキャンを受け付ける。時刻t15で、このジョブでスキャンされた画像データは、読み出された出力条件に基づいて出力される。
【0019】
<機能>
図4は、実施例1における画像処理装置1の機能の一例を示すブロック図である。図4に示すように、画像処理装置1は、条件設定手段100、読込手段101、停止ジョブ判定手段102、リカバリ手段103、管理手段104、動作決定手段107、表示手段112を有する。
【0020】
条件設定手段100は、ジョブの条件における設定を制御する。例えば、画像読み取りの条件(入力条件)を設定するUI画面を制御したり、画像を出力する条件(出力条件)を設定するUI画面を制御したりする。条件設定手段100により設定された条件は、管理手段104に出力される。
【0021】
画像読込手段101は、条件が設定された後に、ジョブの実行が指示されると、原稿を読み込み、画像データを取得する。取得した画像は、管理手段104に出力される。ジョブの実行の判定は、ユーザによりスタートボタンが押下されたことを検知して判定する。
【0022】
停止ジョブ判定手段102は、電源断の後、再起動された場合に、ジョブの実行中に動作が停止したジョブ(未完了のジョブともいう)があるか否かを判定する。停止ジョブ判定手段102は、ジョブのログを参照することで、ジョブの実行後、未完了のジョブがあるか否かを判定できる。停止ジョブ判定手段102は、未完了のジョブがある場合、管理手段104にその旨通知する。
【0023】
管理手段104は、記憶手段105、読出手段106を有する。記憶手段105は、条件設定手段100から入力条件や出力条件を取得した場合、取得した条件をRAM11又はNVRAM13に記憶する(書き込む)。また、記憶手段105は、画像読込手段101により読み込まれた画像データを例えばページ単位でRAM11又はNVRAM13に記憶する。また、記憶手段105は、未完了のジョブがある場合、リカバリ手段103により指示があれば、電源断前の画像データと次に取得する画像データとが続きのページ番号となるようにする。
【0024】
図5は、出力条件及び画像データの場所の一例を示す図である。図5は、出力条件として、解像度「300dpi」、印刷サイズ「A4」が設定されている。この場合の出力は、「印刷」である。また、画像データの場所が記憶されている。図5に示す例では、3枚の原稿を読み込んだ時点の例である。記憶手段105は、図5に示すように、出力条件と画像データの記憶場所とを一つのテキスト形式でRAM11などに記憶するようにしてもよい。
【0025】
図4に戻り、読出手段106は、停止ジョブ判定手段102から未完了のジョブがあることを通知されると、RAM11又はNVRAM13に記憶された入力条件や出力条件を読み出し、リカバリ手段103に出力する。
【0026】
リカバリ手段103は、後述する動作決定手段107の指示によりどのリカバリ処理を行うのか、又はリカバリ処理を行わないのかを決めて処理を実行する。リカバリ処理とは、ジョブ実行中に電源断などにより処理が途中で止まってしまった場合、再び画像処理装置1を起動させたタイミングで、ジョブを途中から復元する処理のことをいう。ここでは、リカバリ手段103は、第1リカバリ処理、第2リカバリ処理、又はリカバリ処理なしのいずれかの動作モードを処理可能とする。
【0027】
(第1リカバリ処理)
リカバリ手段103は、読出手段106から入力条件や出力条件を取得すると、取得した入力条件や出力条件を、未完了のジョブを復元する際の入力条件や出力条件とする。これにより、ユーザは再度出力条件などを設定する必要がなくなる。また、リカバリ手段103は、電源断後に取得する画像データと電源断前の画像データとを同様の画像データとして、続きのページ番号となるように記憶手段105に指示する。これにより、電源断後に読み込む原稿の画像データを、電源断前に取得した画像データに継続して記憶することができる。
【0028】
(第2リカバリ処理)
リカバリ処理103は、読出手段106から出力条件を取得すると、取得した出力条件で、RAM11又はNVRAM13に記憶されている画像データを出力する。これより、電源断前までに読み込みが完了した画像データを出力することができる。
【0029】
(リカバリ処理なし)
リカバリ処理103は、動作決定手段107の指示により、前述した第1リカバリ処理又は第2リカバリ処理のいずれも処理しない。
【0030】
動作決定手段107は、リカバリ処理の動作を決定する。動作決定手段108は、選択手段108、モード設定手段109、条件変更手段110、変更可否設定手段111を有する。
【0031】
選択手段108は、電源断の後の起動時に、停止ジョブ判定手段102により未完了ジョブがあると判定された場合、リカバリ処理の選択を制御する。選択手段108は、リカバリ処理の選択について、第1リカバリ処理、第2リカバリ処理、リカバリ処理なしのいずれかの動作モードを操作パネル16に表示するなどして選択を制御する。選択手段108は、選択された動作モードをリカバリ手段103に通知する。これにより、ユーザがリカバリ処理の可否を自由に決定することができ、利便性が向上する。
【0032】
モード設定手段109は、前述した3つの動作モードのいずれかを予め設定する機能を有する。モード設定手段109は、設定された動作モードをROM12などに記憶しておくとよい。動作決定手段107は、未完了ジョブがあると判定された場合、まず、モード設定手段109により設定された動作モードがないかを確認する。動作決定手段107は、モード設定手段109により設定された動作モードがある場合は、この動作モードをリカバリ手段103に出力し、設定された動作モードがない場合は、選択手段108により動作モードをユーザに選択させる。これにより、事前に動作モードを設定しておくことで、電源が起動し、未完了ジョブがある度にユーザは動作モードを選択しなくてもよく、ユーザの利便性が向上する。
【0033】
条件変更手段110は、第1リカバリ処理、又は第2リカバリ処理を行う場合に、出力条件の条件変更を制御する。条件変更手段110は、条件変更について、条件設定のUI画面を操作パネル16に表示するなどして設定を制御する。条件変更手段110は、変更された出力条件をリカバリ手段103に出力する。なお、入力条件が設定されている場合には、入力条件の変更を行ってもよい。これにより、電源起動前の出力条件又は入力条件とは異なる条件で画像データを読み取り又は出力することができ、ユーザの要望に合わせて設定変更を柔軟に行うことができる。
【0034】
変更可否設定手段111は、条件変更手段110による条件変更を許可するか否かを予め設定する機能を有する。変更可否設定手段111は、設定された可否情報をROM12などに記憶しておけばよい。動作決定手段107は、未完了ジョブがあると判定された場合、変更の可否情報を確認する。動作決定手段107は、変更可否設定手段111により変更否が設定されていた場合、条件変更手段110による変更が禁止され、変更可が設定されていた場合、条件変更手段110により設定変更を制御させる。これにより、例えば、モード設定手段109により第2リカバリ処理が設定されていた場合において、リカバリ時の条件変更を不可とすることで、電源が再び起動した時に、ユーザ操作無しに自動的にジョブを実行させることができる。
【0035】
表示手段112は、未完了ジョブがあると判定された場合に、例えばRAM11に記憶されている画像データ及び/又は画像データに関する情報を操作パネル16に表示してもよい。表示手段112は、枚数表示手段113、プレビュー表示手段114を有する。
【0036】
枚数表示手段113は、リカバリ手段103によるリカバリ処理前に、例えばRAM11に記憶されている画像データの枚数を操作パネル16に表示する。これにより、原稿のどのページまで読み込みが完了したかが分かり、ユーザは読み込む原稿の続きを把握することができる。
【0037】
プレビュー表示手段114は、リカバリ手段103によるリカバリ処理前に、例えばRAM11に記憶されている画像データのプレビューを操作パネル16に表示する。プレビューとしては、例えばサムネイル画像として縮小して表示するようにすればよい。これにより、どの原稿まで読み込みが完了したかが、プレビュー表示を見ることで容易に把握することができるため、利便性が向上する。例えば、大量原稿を読み取り中に電源断が発生した場合、電源断前の最後に読み取った原稿を把握することができるため、ページ枚数を数えなくても、原稿をみるだけで続きの画像を把握することができる。
【0038】
なお、条件設定手段100、動作決定手段107、及び表示手段112は、例えばCPU10、パネル制御部15及び操作パネル16により実現され、画像読込手段101は、例えばCPU10、スキャナエンジン制御部17及びスキャナエンジン18により実現され、停止ジョブ判定手段102及び管理手段104は、例えばCPU10により実現され、リカバリ手段103は、例えばCPU10、プロッタエンジン制御部19及びプロッタエンジン20により実現されうる。
【0039】
<動作>
次に、画像処理装置1の動作について説明する。以下、画像処理装置1の複数の処理を順に示す。
【0040】
(通常処理)
図6は、通常のリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS101で、条件設定手段100は、出力条件を設定させ、記憶手段105に設定された条件を出力する。このとき、条件設定手段100は、入力条件も設定されていた場合、出力条件と合わせて記憶手段105に出力する。記憶手段105は、取得した出力条件や入力条件を例えばRAM11に記憶する。
【0041】
ステップS102で、ユーザが原稿をセットし、スタートボタンを押下するなどしてジョブの実行を指示する。
【0042】
ステップS103で、画像読込手段101は、原稿を読み込んで画像データを取得し、記憶手段105に出力する。記憶手段105は、取得した画像データを例えばRAM11に記憶する。
【0043】
ステップS104で、停電やユーザにより電源断(OFF)が発生した場合はステップS105に進み、電源断がなければステップS108に進む。
【0044】
ステップS105で、画像処理装置1が再起動される。ステップS106で、停止ジョブ判定手段102は、ジョブ実行中に電源断されたジョブを検知したとする。停止ジョブ判定手段102は、ジョブのログを参照し、未完了ジョブの有無を判定すればよい。
【0045】
ステップS107で、読出手段106は、RAM11に記憶された出力条件を読み出し、リカバリ手段103に出力する。このとき、停止ジョブ判定手段102は、入力条件もRAM11に記憶されていれば入力条件も読み出してリカバリ手段103に出力する。
【0046】
ステップS108で、画像読込手段101は、追加の原稿がないことを検知するまで、ステップS103に戻る。追加の原稿がないことが検知された場合、ステップS109に進む。なお、ステップS107の後のステップS108の処理において、読み込まれた原稿の画像データは、電源断前の画像データの続きとして例えばRAM11に記憶される。電源断前の画像データの続きとしてRAM11に記憶することは、リカバリ手段103の指示によって実現される。
【0047】
ステップS109で、リカバリ手段103は、ステップS107で読み出された出力条件で、RAM11に記憶されている画像データをプロッタエンジン制御部19に出力する。プロッタエンジン20は、プロッタエンジン制御部19により制御されて、画像データを印刷する。
【0048】
これにより、電源再起動後に画像データを追加することが可能であるため、電源断時に読み込むことができなかった原稿も出力対象とすることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0049】
(枚数表示処理)
図7は、枚数を表示するリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図7に示す処理において、図6に示す処理と同様の処理を行うものは図6と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0050】
図7に示すステップS201で、枚数表示手段113は、未完了ジョブで記憶された画像データの枚数を操作パネル16に表示する。画像データの枚数については、原稿を読み込む毎にページ番号を振り、ページ番号を含む名称を有する画像データを例えばRAM11に記憶するようにすればよい。
【0051】
図8は、原稿追加受付画面の一例を示す図である。図8に示す例では、原稿を5枚読み込んだ時点で電源断になり、その後起動した場合に操作パネル16に画像(画像データ)枚数として「5」が表示される。「原稿の入力を完了する」ボタンが押下されれば、5枚の画像データが出力される。これにより、ユーザが何枚目から原稿を追加で読み込ませればよいかが分かり、追加すべき原稿を把握しやすい。
【0052】
(プレビュー表示処理)
図9は、プレビューを表示するリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理において、図6に示す処理と同様の処理を行うものは図6と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0053】
図9に示すステップS301で、プレビュー表示手段114は、未完了ジョブで記憶された画像データのプレビューを操作パネル16に表示する。プレビューについては、画像処理装置1が画像データを縮小してサムネイル画像を生成し、プレビュー表示手段114がサムネイル画像を操作パネル16に表示すればよい。
【0054】
図10は、サムネイル画像を表示する画面の一例を示す図である。図10に示すように、操作パネル16にサムネイル画像が表示され、画像が選択されると選択された画像が拡大表示される。拡大表示された画像の表示画面から「戻る」が押下されると元のサムネイル画像の表示画面に戻る。
【0055】
これにより、ユーザはどの原稿まで読み込みが完了したかを、画像を見て判断することができるので、ページ枚数を数える必要がなく、どの原稿から追加すればよいかを容易に把握することができる。
【0056】
(動作モードの選択処理)
図11は、動作モードを選択するリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図11に示す処理において、図6に示す処理と同様の処理を行うものは同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0057】
図11に示すステップS401で、選択手段108は、動作モードの選択画面を操作パネル16に表示させる。動作モードとは、リカバリの方法を特定する動作を示す。ここでの動作モードは以下の通りである。
モード1:原稿を追加してリカバリ処理を行う
モード2:入力完了した画像までリカバリ処理を行う
モード3:リカバリしない
選択手段108は、上記3つのモードをユーザに選択させる。
【0058】
ステップS402で、ユーザがどのモードを選択したかを選択手段108が検知し、リカバリ手段103に出力する。リカバリ手段103は、モード1が選択されたと判断すれば、ステップS107に進み、図6で説明した処理を行う。リカバリ手段103は、モード2が選択されたと判断すれば、ステップS109に進み、既に記憶されている画像データを出力する。リカバリ手段103は、モード3が選択されたと判断すれば、リカバリ処理を行わずジョブ自体を終了する。このとき、ログには未完了として記憶される。
【0059】
図12は、動作モード選択画面の一例を示す図である。図12に示すように、動作モード選択画面では、原稿を追加してリカバリ(モード1)、入力完了した画像までリカバリ(モード2)、リカバリしない(モード3)のボタンが選択可能に表示される。ユーザはいずれかのボタンを押下することで、選択手段108が、ユーザはどのモードを選択したかを特定できる。これにより、ユーザの要望に応じた動作モードを選択することができる。
【0060】
(動作モードの事前設定による処理)
図13は、動作モードを事前に設定する処理の一例を示すフローチャートである。図13に示すステップS501で、モード設定手段109は、図12に示すような選択画面を操作パネル16に表示させる。ステップS502で、モード設定手段109は、選択されたモードを事前の動作モード設定としてROM12などに記憶する。これにより、事前の動作モード設定を完了する。
【0061】
図14は、動作モードが事前に設定された場合のリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図14に示す処理で、図6及び図11に示す処理と同様の処理を行うものは図6及び図11と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0062】
図14に示すステップS601で、動作決定手段107が、予め設定された動作モードをROM12から読み出し、リカバリ手段103に出力する。ステップS402で、リカバリ手段103は、モードの種類を判定し、以降の処理は図11と同様である。
【0063】
これにより、予め設定で動作モードを選択できるので、リカバリ処理が行われる度にユーザが動作モードを選択する手間が省ける。
【0064】
(条件変更処理)
図15は、条件変更を行うリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図15に示す処理において、図6と同様の処理を行うものは図6と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0065】
図15に示すステップS701で、条件変更手段110は、条件変更を可能にする画面を操作パネル16に表示させる。ここでいう条件とは入力条件、出力条件のいずれでもよいが、以下では、出力条件を例にして説明する。条件変更手段110は、ユーザが変更した条件を検知し(受け付け)、変更された条件をリカバリ手段103に出力する。リカバリ手段103が出力条件を変更することで、S109において、変更された出力条件で画像データを出力することができる。
【0066】
図16は、条件変更画面の一例を示す図である。図16に示す例では、出力条件の変更画面を示す。図16では、解像度が「300dpi」、印刷サイズが「A4」の出力条件であることを示す。このとき、解像度「600dpi」のボタンが押下された場合は、「600dpi」が網掛けになり、出力条件の解像度が「600dpi」に設定変更される。
【0067】
これにより、原稿の追加に加え、入力条件や出力条件の設定を変更することができ、ユーザの要望に合わせて柔軟に対応することができる。
【0068】
(条件変更の可否の事前設定による処理)
図17は、条件変更の可否を事前に設定する処理の一例を示すフローチャートである。図17に示すステップS801で、変更可否設定手段111は、例えば、条件変更を許可するボタン、禁止するボタンが表示された選択画面を操作パネル16に表示させる。ステップ802で、変更可否設定手段111は、選択された変更の可否をROM12などに記憶する。これにより、事前に、条件変更を許可するか禁止するかを設定しておくことができる。
【0069】
図18は、条件変更の可否を事前設定したリカバリ処理の一例を示すフローチャートである。図18に示す処理において、図6及び図15に示す処理と同様の処理を行うものは、図6及び図15と同じ符号を付し、その説明を省略する。
【0070】
図18に示すステップS901で、動作決定手段107は、予め設定された条件変更の可否をROM12から読み出す。ステップS902で、動作決定手段107は、変更が可であれば、条件変更手段110に通知して、図16に示すような変更画面を表示させ、変更が不可であれば、リカバリ手段103に通知する。リカバリ手段103は、以降の処理を行う。
【0071】
これにより、例えば、動作モードの事前設定で、モード2が設定されていた場合、条件変更を不可にしておくことで、ユーザ操作なしにジョブをリカバリすることができる。
【0072】
以上、実施例1によれば、原稿の読み取り途中に電源がOFFになり、電源が再度ONになったときに、電源OFF前と同じ条件で継続して原稿を読み取り可能なのでユーザの手間を軽減させることができる。
【0073】
実施例1の画像処理装置で実行されるプログラムは、前述した各手段を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)がROM12からプログラムを読み出して実行することにより上記各手段のうち1又は複数の各手段が主記憶装置上にロードされ、1又は複数の各手段が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0074】
なお、本発明は、上記実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 画像処理装置
10 CPU
11 RAM
12 ROM
13 NVRAM
15 パネル制御部
16 操作パネル
17 スキャナエンジン制御部
18 スキャナエンジン
19 プロッタエンジン制御部
20 プロッタエンジン
100 条件設定手段
101 画像読込手段
102 停止ジョブ判定手段
103 リカバリ手段
104 管理手段
105 記憶手段
106 読出手段
107 動作決定手段
108 選択手段
109 モード選択手段
110 条件変更手段
111 変更可否設定手段
112 表示手段
113 枚数表示手段
114 プレビュー表示手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開平8−293952号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み込み、画像データを取得する読込手段と、
前記画像データ、及び前記画像データの出力条件を記憶する記憶手段と、
前記読込手段によるジョブの実行中に動作停止したか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により動作停止したと判定された場合、前記記憶手段に記憶された前記出力条件を読み出す読出手段と、
前記原稿を継続して前記読込手段により読み込むことを可能にし、前記読出手段により読み出された前記出力条件で、前記ジョブのリカバリ処理を行うリカバリ手段と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
動作停止前までに取得された画像データの枚数を前記リカバリ処理時に表示する表示手段をさらに備える請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記表示手段は、
動作停止前までに取得された画像データのプレビューを表示する請求項2記載の画像処理装置。
【請求項4】
動作回復時に、前記リカバリ処理を行わない、前記リカバリ処理を行う、又は前記記憶手段に記憶された出力条件で前記記憶手段に記憶された前記画像データを出力する、のいずれかの動作モードを選択させる選択手段をさらに備える請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
動作回復時に、読み出された前記出力条件を変更可能にする変更手段をさらに備える請求項1乃至4いずれか一項に記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2011−151733(P2011−151733A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13320(P2010−13320)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】