説明

画像処理装置

【課題】画像の表示においてエッジ補正による消費電力の増大を抑制する。
【解決手段】画像信号処理方法は、1つのフィールド期間(F(m))における複数の期間の中の第1の期間(SF1)に、複数の色成分(RGB)の中の第1の色成分(B)の第1の元の画像信号(Fb(m))を表示用出力端子(404)に供給し、第2の期間に、第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号(Fbe(m))を表示用出力端子に供給し、第1の期間に、第2の色成分(R)の第2の元の画像信号(Fr(m))と第3の色成分(G)の第3の元の画像信号(Fg(m))とを表示用出力端子に供給し、第2の期間において第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理に関し、特に、画像のエッジ補正のための画像処理に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、パーソナル・コンピュータ(PC)、情報処理端末、携帯電話機、ディジタル・カメラ、等の画像を表示する装置では、画像の輪郭またはエッジ部分における輝度、明度または濃度勾配を急峻にして画像を先鋭化(シャープ)にする処理を施すことができる。そのために、元の画像データを2次微分フィルタで濾波して得られたエッジ・データを、元の画像データと合成(加算または減算)することができる。
【0003】
既知の或る画像処理装置において、ラプラシアン・フィルタが、入力画像信号のエッジ信号を強調化して検出する。強調化されたエッジ信号のエッジ成分は、平滑化回路で平滑化される。平滑化回路の出力信号と入力画像信号とは、加算回路で加算され出力信号となる。平滑化されたエッジ信号が入力信号に加算されるので、入力画像信号の滑らかなエッジ強調化の処理が可能となる。
【0004】
既知の或る画像処理装置において、端子に入力された静止画の画像データ(輝度データ)は、ラプラシアン・フィルタに供給され、ここで画像処理をする注目画素と、これを中心とする上下左右の画素にラプラシアン係数が乗じられる。このラプラシアン係数は、例えば注目画素の値が最大値であり、注目画素の上下左右の計4画素だけでなく、斜め左上、斜め左下、斜め右上及び斜め左上の計4画素の各値がそれぞれ“−1”であり、エッジを強調する。これにより、自然なエッジ強調が行え、また、階段状パターンで起こる交互の濃淡パターンの濃淡差を縮小できるので、ジャギの発生を抑えることができる。
【0005】
既知の或るエッジ強調処理装置は、画像信号の供給端に結合され画像信号の画像エッジの存在を示す第1の信号を出力端に出力するエッジ検出部を含んでいる。そのエッジ強調処理装置は、さらに、供給端に結合され画像エッジに関するマッハ効果の程度を示す第2の信号を出力端に出力するマッハ判定部と、供給端と、エッジ検出部の出力端と、エッジ強調部と、を含んでいる。そのエッジ強調部は、マッハ判定部の出力端に結合され第1の信号と第2の信号に応じて画像信号の明度の変化量及び彩度の変化量を決定し、決定された明度の変化量及び彩度の変化量に応じて明度及び彩度の少なくとも一方を変化させることによりエッジ強調処理を施した画像信号を出力する。それによって、液晶ディスプレイの応答速度を改善することができる。
【0006】
既知の或る陰極線管表示装置は、輪郭補正信号によって輪郭補正をすることができる輪郭補正回路と、色補正信号によって色信号の増幅度を変更することができる映像増幅回路とを具備する。その表示装置は、記憶回路に記憶された各パラメータに基づいて、輪郭補正信号および色補正信号を生成してその輪郭補正回路並びに映像増幅回路に供給する。その輪郭補正信号および色補正信号は制御回路においてレベル調整される。それによって、加齢に伴う視覚機能の低下が適正に補正され、高齢者にとって視認し易い映像を再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平09−200530号公報
【特許文献2】特開2006−270421号公報
【特許文献3】特開2001−333278号公報
【特許文献4】特開平11−285022号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】水野ほか、豊田中央研究所R&Dレビュー、Vol.33、No.3、1998.9
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
エッジ強調のために異なる2つのラプラシアン・フィルタの出力のうちの大きい出力を元の画像に重畳して合成画像を生成し、その合成画像を表示装置に表示することが知られている。
【0010】
発明者は、エッジ補正のために、元の画像とそのエッジ補正された画像とを時分割的に表示して、観察者の脳内で視覚的に合成することができる、と認識した。一方、発明者は、エッジ補正のために、例えば3原色のような全ての色成分について、元の画像とそのエッジ補正された画像を時分割的に表示すると、画像が時間的に大きく変化し、例えば液晶表示装置のような表示装置において消費電力が大きくなる、と認識した。
【0011】
発明者は、例えば青色のような特定の色成分についてだけエッジ補正された画像を時分割的に表示すると、例えば液晶表示装置のような表示装置において消費電力の増大が抑制され、それにもかかわらず或る観察者の視覚特性に対して充分なエッジ補正の効果が得られる、と認識した。
【0012】
本発明の実施形態の目的は、画像の表示においてエッジ補正による消費電力の増大を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
実施形態の一観点によれば、画像信号処理装置における画像信号処理方法において、制御部が、連続的な複数の期間を含む1つのフィールド期間におけるその複数の期間の中の第1の期間に、複数の色成分の中の第1の色成分の第1の元の画像信号を表示用の出力端子に供給し、その複数の期間における第2の期間に、その第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号をその表示用の出力端子に供給し、その第1の期間に、その複数の色成分の中の第2の色成分の第2の元の画像信号と、その複数の色成分の中の第3の色成分の第3の元の画像信号とをその表示用の出力端子に供給し、その第2の期間において、その複数の色成分の中のその第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制する、画像信号処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
実施形態の一観点によれば、画像の表示においてエッジ補正による消費電力の増大を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、実施形態による、時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置の概略的構成の例を示している。
【図2】図2Aは、元のフィールド画像の時間的順序の例を示している。図2B〜2Dは、図1の実施形態におけるエッジ補正回路によって供給される各色成分の画像信号の時分割フィールドの時間的順序の例を示している。
【図3】図3は、3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタを用いたエッジ補正された画像に対する観察者の視神経の刺激応答の例を示している。
【図4】図4は、異なるサイズのマスクの2つ以上のラプラシアン・フィルタによるそれぞれのエッジ補正された画像に対する観察者の視神経の刺激応答の例を示している。
【図5】図5は、図1または他の実施形態による、調整されたエッジ補正による画像の望ましい補正の例を示している。
【図6A】図6Aは、3×3画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの係数マトリックスの例を示している。
【図6B】図6Bは、5×5画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの係数マトリックスの例を示している。
【図6C】図6Cは、7×7画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの係数マトリックスの例を示している。
【図6D】図6Dは、9×9画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの係数マトリックスの例を示している。
【図7】図7は、実施形態による、複数の色成分用の時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置および表示装置または表示器の概略的構成の例を示している。
【図8】図8は、図7のソース電極ドライバの概略的構成の例を示している。
【図9】図9は、図7の液晶パネルの概略的構成の例を示している。
【図10】図10は、図9のn本のゲート電極とm本のソース電極の交差部に結合されたn×m個のFETの一部の結合の例を示している。
【図11】図11Aは、元のフィールド画像の時間的順序の例を示している。図11B〜11Dは、図1および7〜10の実施形態におけるエッジ補正回路によって供給される高齢者用の各色成分の画像信号の時分割フィールドの時間的順序の例を示している。
【図12】図12Aは、連続するサブフィールド期間においてゲート電極ドライバによってゲート電極に印加されるパルス電圧の例を示している。図12B〜12Dは、連続するサブフィールド期間においてソース電極ドライバによってソース電極に印加されるパルス電圧の例を示している。
【図13】図13は、別の実施形態による、時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置の概略的構成の例を示している。
【図14】図14Aは、元のフィールド画像の時間的順序の例を示している。図14B〜14Dは、図13および7〜10の実施形態におけるエッジ補正回路によって供給される各色成分の画像信号の時分割フィールドの時間的順序の別の例を示している。
【図15】図15Aは、連続するサブフィールド期間においてゲート電極ドライバによってゲート電極に印加されるパルス電圧の例を示している。図15B〜15Dは、連続するサブフィールド期間においてソース電極ドライバによってソース電極に印加されるパルス電圧の例を示している。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
【0017】
本発明の非限定的な実施形態を、図面を参照して説明する。図面において、同様のコンポーネントおよび素子には同じ参照番号が付されている。
【0018】
例えば液晶表示装置のような表示装置において、観察者の視野の中心(角度0度)において輝度が例えばレベル0から40にステップ状に変化するエッジの画像を観察者が見た場合、その観察者のエッジ画像に対する視神経の刺激応答の大きさは年齢に応じて異なる。
【0019】
例えば20才の観察者は、そのような画像上の視野の角度−8度において負の応答値を示し、角度0度付近で正方向に応答が急激に変化し、角度2度付近で最大の正の応答値を示す。一方、例えば60才の観察者では、それらの視野の角度において正と負の値ともに視神経の刺激応答が小さく、その応答の振幅は概して20才の観察者の約3分の1である。これは、60才の観察者は、20才の観察者と比較すると、輝度が急激に変化するエッジがぼやけて見えることを意味する。従って、発明者は、高齢者が表示画像を観察する場合に、若年者との比較上の高齢者の視神経の刺激応答の低下を、広い視野角度について補償することが望ましい、と認識した。
【0020】
例えば、パーソナル・コンピュータで作業するときの作業標準によれば、人間の目から表示装置までの距離を40cmとすることが推奨されている。また、パーソナル・コンピュータに用いられている表示装置の画素のピッチは、一般的に約0.26mmである。この1画素分の視野は、人間の視野角度に換算すると角度4.4分に対応する。
【0021】
例えば3×3画素のマスク・サイズの1つのラプラシアン・フィルタを用いて画像を補正すると、その補正画像は、エッジの両側各1画素(合計2画素)にわたってエッジの度合いが強調される。それによって、人間の視覚的なマッハ効果を増強するようにそのエッジ付近の画像の輝度が補正される。しかし、高齢者と若年者の視神経刺激に対する反応の差は、実際には視野の中心1画素のみで生じるのでなく、3画素以上にわたって生じる。それにもかかわらず、エッジを中心としてエッジから1画素分に対応する±0.5度より広い角度範囲では、エッジの度合いが強調されない。従って、高齢者に対しては、画像の充分なエッジ補正の効果を提供することができない。
【0022】
一方、単純にエッジ強調の度合いを大きくすると、エッジをより明瞭にする効果はあるが、同時に人間の視覚ではそれがノイズとしても認識されるので、画質劣化が生じることがある。例えば、エッジ強調の度合いが大き過ぎると、エッジの両側に本来存在しない明るい直線と暗い直線が、視覚的に偽画像、アーティファクト(不自然さ)またはノイズとして出現することがある。
【0023】
さらに、例えば7×7画素のようなより大きいマスク・サイズの1つのラプラシアン・フィルタを用いて画像を補正すると、その補正画像は、エッジ付近では振幅が小さく、エッジから両側にそれぞれ2〜3画素分離れた位置付近において補正量のピークが生じる。従って、先鋭なエッジ補正が得られない。
【0024】
このように、若年者と高齢者におけるエッジ画像に対する視神経の刺激応答の特性は異なり、単一のラプラシアン・フィルタを用いても、高齢者にとってエッジ部分における充分なエッジ補正は得られない。発明者は、異なる複数のラプラシアン・フィルタを用いれば、高齢な観察者にとってエッジ部分における充分なエッジ補正が得られる、と認識した。
【0025】
また、高齢者の色覚特性について、特に青色に対する識別力が低下することが知られている。発明者は、特に青色に対して異なる複数のラプラシアン・フィルタを用いれば、高齢な観察者にとってエッジ部分における充分なエッジ補正が得られる、と認識した。
【0026】
図1は、実施形態による、時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置14の概略的構成の例を示している。
【0027】
情報処理装置14は、画像信号処理装置であってもよく、表示装置または表示器300に結合される。情報処理装置14は、表示装置300を含む表示装置であってもよい。情報処理装置14は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置、ハードディスクドライブ、半導体メモリ、バス、入力装置、出力装置、通信インタフェース、記録媒体読み取り用のドライブ、等を含むコンピュータまたは装置であってもよい。情報処理装置14は、例えばパーソナル・コンピュータ(PC)、情報処理端末、携帯電話機、ディジタル・カメラのような、画像を処理し表示する装置であってもよい。表示装置300は、例えば、液晶表示装置および有機EL表示装置のようなホールド型表示装置を用いることが好ましい。情報処理装置14は、上位の第1の制御部100、メモリ101、エッジ補正用の第2の制御部102、メモリ104、入力装置108、画像処理部の一部としてのエッジ補正回路又はエッジ強調回路203、および表示用のフィールド・メモリ312を含んでいる。入力装置108は、例えば、キーボードおよびポインティング・デバイスであってもよい。
【0028】
制御部100は、例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであっても、またはメモリ101に格納されたプログラムに従って動作するものであってもよい。制御部102およびエッジ補正回路203は、例えば集積回路として実装された専用のプロセッサであっても、またはメモリ104に格納されたプログラムに従って動作するものであってもよい。それらのプログラムは、例えば、CD−ROMまたはDVDディスク、USBメモリ等の可搬型記録媒体、フラッシュメモリ等の半導体メモリ、ハードディスクドライブのようなコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0029】
1つの画像(ピクチャ)は、1フレーム期間で構成されており、プログレッシブ型走査では1フレームが1つのフィールドを含み、インターレース型走査では1フレームが例えば2つのフィールドを含んでいる。この明細書において、フィールド画像について説明するが、フレーム画像についても同様に説明できる。また、フィールド・メモリの代わりにフレーム・メモリを用いてもよい。
【0030】
エッジ補正回路203は、3つの色成分または各色成分について、フィールド・メモリ212、2つの2次元のラプラシアン(∇)フィルタ222および224、それぞれのフィールド・メモリまたは複数ライン・メモリ242および244、それぞれの乗算器262および264を含んでいる。エッジ補正回路203は、さらに、マルチプレクサまたはセレクタ278、および加算器または総和器(Σ)280、およびマルチプレクサまたはセレクタ282を含んでいる。
【0031】
ラプラシアン・フィルタ222は、例えば3×3画素(ピクセル)または5×5画素のような小さいサイズのマスクを有していてもよい。ラプラシアン・フィルタ224は、ラプラシアン・フィルタ222のものより大きいサイズ、例えば5×5画素、7×7画素または9×9画素のサイズのマスクを有していてもよい。制御部102の少なくとも一部の機能は、エッジ補正回路203に含まれるように変形してもよい。乗算器262および264は、入力値に係数αおよびβを乗算する。
【0032】
制御部102は、ユーザによる入力装置108の操作に従って、各色成分について、1フィールド以上の元の画像信号F(m)、F(m+1)、F(m+2)、...をフィールド・メモリ212に順次供給する。入力された元の画像信号は、動画像であっても、または静止画像であってもよい。入力された元の画像信号は、情報処理装置14内で生成されたものであっても、またはリムーバブル記憶装置または外部装置から、またはネットワーク(図示せず)を介して情報処理装置14の例えばメモリ101に読み込まれたものであってもよい。
【0033】
フィールド・メモリ212はラプラシアン・フィルタ222および224の入力に結合されている。ラプラシアン・フィルタ222の出力はフィールド・メモリまたは複数ライン・メモリ242に結合されている。ラプラシアン・フィルタ224の出力はフィールド・メモリまたは複数ライン・メモリ244に結合されている。フィールド・メモリ242は乗算器262の入力に結合されている。フィールド・メモリ244は乗算器264の入力に結合されている。
【0034】
乗算器262および264の出力はマルチプレクサ278のそれぞれの入力に結合されている。マルチプレクサ278の出力は加算器280の1つの入力に結合されている。フィールド・メモリ212は、加算器280の別の入力に結合されている。
【0035】
加算器280の出力はマルチプレクサ282の1つの入力に結合されている。フィールド・メモリ212はマルチプレクサ282の別の入力にも結合されている。マルチプレクサ282の出力はフィールド・メモリ312に結合されている。
【0036】
制御部100は、メモリ101、制御部102、入力装置108、フィールド・メモリ312および表示装置300に、バスまたは制御線105を介して制御信号を供給する。制御部102は、メモリ104、およびエッジ補正回路203(要素212、222〜264、278、280および282)に、バスまたは制御線103を介して制御信号を供給する。
【0037】
制御部102は、制御部100を介したユーザによる入力装置108の操作に従って、ラプラシアン・フィルタ222および係数マトリックス、および乗算係数αおよびβを決定しまたは選択することができる。ユーザによって入力された年齢を表す値に応じて、制御部100は、制御部102にその年齢に適した乗算係数αおよびβが決定または選択させてもよい。
【0038】
エッジ補正回路203において、ラプラシアン・フィルタ222は、各色成分について、フィールド・メモリ212から各1フィールドの画像データF(m)、F(m+1)、F(m+2)、...を順次読み込む。ラプラシアン・フィルタ222は、例えば3×3画素のようなマトリックスの画素データに、対応するサイズのマスクの係数マトリックスを乗算することによって、そのマトリックスの画素データを空間的2次元濾波またはフィルタ処理する。その係数マトリックスは、設計者またはユーザによって決定または選択されてもよい。
【0039】
ラプラシアン・フィルタ222は、各フィールド期間F(m)に、各色成分について、その濾波済みのエッジ強調画素データをフィールド・メモリ242に格納する。乗算器262は、各色成分について、フィールド・メモリ242からライン順次でその画素データを読み出して、そのデータの値に係数αを乗算し、その乗算値(積)をエッジ強調データとしてマルチプレクサ278の1つの入力に供給する。その係数αは、設計者またはユーザによって決定または選択されてもよい。
【0040】
同様に、ラプラシアン・フィルタ224は、各色成分について、フィールド・メモリ212から各フィールドの画像データF(m)、F(m+1)、F(m+2)、...を順次読み込む。ラプラシアン・フィルタ224は、例えば5×5画素、7×7画素または9×9画素単位のような相対的に大きいマトリックスの画素データに、対応するサイズのマスクの係数マトリックスを乗算することによって、そのマトリックスの画素データを空間的2次元濾波またはフィルタ処理する。その係数マトリックスは、設計者またはユーザによって決定または選択されてもよい。
【0041】
ラプラシアン・フィルタ224は、各フィールド期間F(m)に、各色成分について、その濾波済みのエッジ強調画素データをフィールド・メモリ244に格納する。乗算器264は、各色成分について、フィールド・メモリ244からライン順次でその画素データを読み出して、そのデータの値に係数βを乗算し、その乗算値(積)をエッジ強調データとしてマルチプレクサ278の別の入力に供給する。その係数βは、設計者またはユーザによって決定または選択されてもよい。
【0042】
例えば1フィールドの画像データ中の青色(B)のような1つの色成分についてだけ、ラプラシアン・フィルタ222および224が、エッジ強調のための濾波を行ってもよい。代替形態として、他の色成分と比較して例えば青色(B)のような1つの色成分に対して、ラプラシアン・フィルタ222および224は、より大きい乗算係数(α、β)を乗算することによって、エッジ強調のための濾波を行ってもよい。それによって、例えば高齢者の観察者にとってより適したエッジ補正された画像表示が得られる。若年者の観察者に対しては、エッジ補正しなくてもよい。
【0043】
マルチプレクサ278は、フィールド期間F(m)に、各色成分について、乗算器262および264の出力から対応する入力に供給された異なる形態でエッジ強調された画像信号のフィールドを交互にまたは循環的に選択して、加算器28の1つの入力に供給する。
【0044】
一方、制御部102は、フィールド期間F(m)に、各同じ色成分について、フィールド・メモリ212から元の画像データF(m)の画素データを加算器280の別の入力に供給する。
【0045】
加算器280は、マルチプレクサ278(即ち乗算器262と264の一方)の出力およびフィールド・メモリ212から、各同じ色成分について、同じフィールドF(m)における互いに対応する画素位置の2つの画素データを加算して、異なる形態でエッジ強調された画素データを時分割的に生成する。加算器280は、そのエッジ強調された画素データを時分割的に順にマルチプレクサ282の1つの入力に供給する。
【0046】
一方、制御部102は、各同じ色成分について、フィールド・メモリ212からの元の画像信号のフィールドをマルチプレクサ282の別の入力に供給する。マルチプレクサ282は、加算器280の出力から供給された異なる形態でエッジ強調された画像信号の交互のまたは循環的なフィールドと、フィールド・メモリ212からの元の画像信号のフィールドとを交互にまたは循環的に選択して、フィールド・メモリ312に供給する。
【0047】
そのエッジ強調された画素データは、係数β=0の場合、若年者に適した形態のものである。そのエッジ強調された画素データは、係数β>0の場合、高齢者により適した形態のものである。
【0048】
フィールド・メモリ312は、制御部102の制御の下で、マルチプレクサ282から受け取った各フィールド・データをデータ線292を介して表示装置300に順次供給する。
【0049】
要素224〜264の直列接続回路に加えて、ラプラシアン・フィルタ224に対応する異なるサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタ、別のフィールド・メモリおよび別の乗算器の複数組の直列接続回路を、要素222〜262の直列接続回路と並列に接続してもよい。即ち、互いに異なるサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタを含む複数(例えば、3または4個)の直列接続回路を、マルチプレクサ278の対応する入力に接続してもよい。
【0050】
表示装置300は、フィールド・メモリ312からの画像信号の交互のまたは循環的なフィールドに従って、高齢者により適した形態でエッジ強調されたそのフィールド画像を表示する。その結果、元のフィールド画像と、ラプラシアン・フィルタ222によってエッジ強調されたフィールド画像と、ラプラシアン・フィルタ224によってエッジ強調されたフィールド画像とが時分割的に循環的に表示される。それによって、人の脳で視覚的に合成された時分割の画像は、高齢者により適した形態のものとなる。時分割的なエッジ補正を行うことによって、画像処理において画像の或る色成分に対してだけ追加的なエッジ補正を施すことができ、追加的な処理負荷を小さくすることができる。
【0051】
図2Aは、元のフィールド画像F(m)、F(m+1)、F(m+2)、...の時間的順序の例を示している。図2B〜2Dは、図1の実施形態におけるエッジ補正回路203によって供給される各色成分の画像信号の時分割サブフィールドの時間的順序の例を示している。
【0052】
図2Bを参照すると、表示装置300によって、赤色について、元のフィールド画像F(m)に対して、サブフィールド期間SF1において元のフィールド画像Fr(m)、サブフィールド期間SF2においてエッジ強調されたフィールド画像Fre(m)、サブフィールド期間SF3において別のエッジ強調されたフィールド画像Fre(m)’が表示される。それと並行して、図2Cを参照すると、表示装置300によって、緑色について、サブフィールド期間SF1、SF2、SF3において、それぞれ、元のフィールド画像Fg(m)、エッジ強調されたフィールド画像Fge(m)、別のエッジ強調されたフィールド画像Fge(m)’が表示される。それと並行して、図2Dを参照すると、表示装置300によって、青色について、サブフィールド期間SF1、SF2、SF3において、それぞれ、元のフィールド画像Fb(m)、エッジ強調されたフィールド画像Fbe(m)、別のエッジ強調されたフィールド画像Fbe(m)’が表示される。
【0053】
同様に、図2Bを参照すると、表示装置300によって、赤色について、次の元のフィールド画像F(m+1)に対して、サブフィールド期間SF1、SF2、SF3において、それぞれ、元のフィールド画像Fr(m+1)、エッジ強調されたフィールド画像Fre(m+1)、別のエッジ強調されたフィールド画像Fre(m+1)’が表示される。それと並行して、図2Cを参照すると、表示装置300によって、緑色について、サブフィールド期間SF1、SF2、SF3において、それぞれ、元のフィールド画像Fg(m+1)、エッジ強調されたフィールド画像Fge(m+1)、別のエッジ強調されたフィールド画像Fge(m+1)’が表示される。それと並行して、図2Dを参照すると、表示装置300によって、青色について、次の元のフィールド画像F(m+1)に対して、サブフィールド期間SF1、SF2、SF3において、それぞれ、元のフィールド画像Fb(m+1)、エッジ強調されたフィールド画像Fbe(m+1)、別のエッジ強調されたフィールド画像Fbe(m+1)’が表示される。
【0054】
さらに次の元のフィールド期間F(m+2)についても、同様である。
【0055】
図2B〜2Dのように1フィールド期間F(m)に元の画像のサブフィールド期間SF1および2つの補正サブフィールド期間SF2、SF3を含む場合、例えば3×3画素および7×7画素のサイズのマスクに対して係数αおよびβの値は、例えばα=1.2およびβ=0.3であってもよい。この場合、3つのサブフィールド期間SF1〜SF3において視覚的に平均されて、1サブフィールド期間当たり視覚的にα=0.4およびβ=0.1と同様の補正効果が得られる。また、1フィールド期間F(m)に元の画像のサブフィールド期間SF1および1つの補正サブフィールド期間SF2を含む場合には、例えば3×3画素および7×7画素のサイズのマスクに対して係数αおよびβの値は、例えばα=0.8およびβ=0.2であってもよい。この場合、2つのサブフィールド期間SF1、SF2において視覚的に平均されて、1サブフィールド期間当たり視覚的にα=0.4およびβ=0.1と同様の補正効果が得られる。
【0056】
また、例えば、視覚的に平均化された乗算係数αは、40才のユーザに対して0.4と決定され、50才のユーザに対して0.35と決定され、60才のユーザに対して0.3と決定されてもよい。例えば、視覚的に平均化された乗算係数βは、40才のユーザに対して0と決定され、50才のユーザに対して0.05と決定され、60才のユーザに対して0.1と決定されてもよい。
【0057】
3以上の異なるサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタが用いられる場合には、各色成分について、元のフィールド画像およびラプラシアン・フィルタによってエッジ強調された3以上のフィールド画像が4以上のサブフィールド期間に表示装置300に循環的に順次表示される。
【0058】
図3は、3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ222を用いたエッジ強調された画像に対する観察者の視神経の刺激応答(強度)の例を示している。図3において、実線で示された線POは、視野角度0度において左から右の正方向に強度0から40にステップ状に変化する明るさのエッジを表す元の画像の例を示している。
【0059】
大きい振幅の実線で示された曲線R20は、エッジ強調されていないエッジ画像に対する20才の観察者の視神経の刺激応答(強度)の例を示している。小さい振幅の実線で示された曲線R60は、エッジ強調されていないエッジ画像に対する60才の観察者の視神経の刺激応答(強度)の例を示している。図3において、視神経の刺激応答は、相対的な強度の変化を表すものであって、画像POの強度と同じ尺度で示されているものではない。
【0060】
破線で示された第1のエッジ強調の線EE1は、元の画像POの強度に重畳された、3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ222および乗算器262によって生成されるエッジ強調の強度の例を示している。大きい振幅の実線で示された曲線Re20は、3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ222によってエッジ強調された画像に対する20才の観察者の視神経の刺激応答(強度)を、理想的な応答の例として示している。小さい振幅の実線で示された曲線Re60は、3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ222によってエッジ強調された画像に対する60才の観察者の視神経の刺激応答(強度)を、補償される応答の例として示している。
【0061】
エッジ強調EE1によって補正されたエッジ画像に対する60才の観察者の視神経の刺激応答Re60は、20才の観察者のまたは理想的な応答Re20より小さく、エッジ強調の度合いが不充分である。
【0062】
図4は、異なるサイズのマスクの2つ以上のラプラシアン・フィルタ222、224、...によるそれぞれのエッジ補正された画像に対する観察者の視神経の刺激応答(強度)の例を示している。
【0063】
図4において、二点鎖線および一点鎖線で示された第2のエッジ強調の線EE2およびEE2’は、元の画像POの強度に重畳された、7×7画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224におよび乗算器264よって生成されるエッジ強調の異なる強度の例を示している。
【0064】
3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ222を用いると、エッジの両側の合計2画素(PIX)分しかエッジ強調が得られない。一方、例えば7×7画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224ではエッジの両側の合計2画素分のエッジ強調の度合いは小さいが、エッジの両側の合計6画素分のエッジ強調が得られる。従って、異なるマスク・サイズの2種類のラプラシアン・フィルタ222および224の出力データに適切な重み係数(α、β)を乗じて、それらの乗算値(積)を元の画像データに加算することによって、高齢者にとって適したエッジ強調が得られる。
【0065】
図5は、図1または他の実施形態(図13)による、調整されたエッジ強調による画像の望ましい補正の例を示している。
【0066】
図5において、一点鎖線で示された第2のエッジ強調EE3は、元の画像POの強度に重畳された、7×7画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224によって生成され乗算器264によって乗算係数βが乗算されたエッジ強調の別の強度の例を示している。この場合、第2のエッジ強調EE3は、乗算器264の乗算係数βによって適切に調整されている。点線で示された線EECは、元の画像POの強度に重畳された、第1のエッジ強調EE1と第2のエッジ強調EE3の合成されたエッジ強調の強度を示している。
【0067】
合成されたエッジ強調EECによって、補正されたエッジ画像に対する60才の観察者の視神経の刺激応答は、20才の観察者のまたは理想的な応答Re20に近似したものに補償される(図示せず)。また、それによって、高齢者の視覚特性に応じて、単一のエッジ強調によって発生し得る偽画像、アーティファクトまたはノイズを抑制することができる。
【0068】
図6A〜6Dは、それぞれ3×3画素、5×5画素、7×7画素および9×9画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの係数マトリックスの例を示している。
図6Aは、3×3画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタ222の係数マトリックスの例を示している。図6Bは、5×5画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタ222または224の係数マトリックスの例を示している。図6Cは、7×7画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタ222または224の係数マトリックスの例を示している。図6Dは、9×9画素のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタ224の係数マトリックスの例を示している。その係数マトリックスは、例示された値に限定されることなく、設計者またはユーザによって決定または選択することができる。
【0069】
図4および5において、視野角度0度から2画素分以上離れた領域において20才の視神経の刺激応答の強度の振幅は、60才の観察者の刺激応答の強度の振幅の約1.6倍である。また、20才の観察者の視神経の刺激応答の強度のピーク−ピーク値は、60才の観察者の刺激応答の強度のピーク−ピーク値の約1.5倍である。従って、60才の観察者のエッジ強調の強度は、20才の観察者のエッジ強度の約1.6倍以下であればよいと考えられる。60才の観察者のためのエッジ強調の振幅または大きさは、元の画層信号の振幅の約0.6倍以下であることが望ましい。
【0070】
異なるサイズのマスクを有する複数のラプラシアン・フィルタ(222、224、等)に対する視覚的に平均化された乗算係数αおよびβの中の最大の乗算係数の値は、エッジ強調の強度または振幅が元の画像信号の強度または振幅の約0.6倍以下であるような値であることが望ましい。マスクのサイズは、例えば、3×3画素、5×5画素、7×7画素、9×9画素であってもよい。乗算係数βの数は、5×5画素以上のサイズのマスクを有するラプラシアン・フィルタの数に等しい(β1、β2、...、βn)。視覚的に平均化された乗算係数αおよびβ(β1、β2、...、βn)のいずれの値も、約0.6以下であることが望ましい。エッジ強調に使用される異なるサイズのマスクを有する複数のラプラシアン・フィルタ(222、224、等)の視覚的に平均化された乗算係数αおよびβの総和(α+β、またはα+β1+β2+...+βn)は、約0.6以下であることが好ましい。ラプラシアン・フィルタ(α、β、β1、β2、...、βn)の数は、2乃至4個であることが好ましい。
【0071】
3×3画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224について、視覚的に平均化された乗算係数αは、例えば、約0.6乃至約0.27、好ましくは約0.33乃至約0.27であってもよい。
【0072】
7×7画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224について、視覚的に平均化された乗算係数βは、例えば、約0.1乃至約0.07、好ましくは約0.09乃至約0.07であってもよい。この値(0.09)は、7×7画素のマスクのラプラシアン・フィルタのエッジ強調のピーク値は中心から約2画素離れた位置においてエッジを表す原画像信号の振幅の約7倍の振幅を有するので、エッジ強調の上限約0.6を約7で除算して(0.6/7)求めた近似的な値である。
【0073】
5×5画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224について、視覚的に平均化された乗算係数βは、例えば、約0.2乃至約0.1であってもよい。9×9画素のマスクのラプラシアン・フィルタ224について、視覚的に平均化された乗算係数βは、例えば、約0.06乃至約0.03であってもよい。
【0074】
図7は、実施形態による、複数の色成分用の時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置14および表示装置または表示器300の概略的構成の例を示している。表示装置300は、例えば液晶表示装置であってもよい。
【0075】
図7の情報処理装置14において、図1の制御部100、制御部102、エッジ補正回路203、およびフィールド・メモリ312だけが示されている。エッジ補正回路203は、赤色成分用のエッジ補正回路203R、緑色成分用のエッジ補正回路203G、および青色成分用のエッジ補正回路203Bを含んでいてもよい。エッジ補正回路203R、203Gおよび203Bの各々は、対応する色成分について図1のエッジ補正回路203と同様の構成を有していてもよい。代替形態として、エッジ補正回路203は、時分割的に、エッジ補正回路203R、エッジ補正回路203Gおよびエッジ補正回路203Bとして機能してもよい。
【0076】
フィールド・メモリ312は、赤色成分用のフィールド・メモリ312R、緑色成分用のフィールド・メモリ312G、および青色成分用のフィールド・メモリ312Bを含んでいる。エッジ補正回路203Rの出力はフィールド・メモリ312Rに結合されている。エッジ補正回路203Gの出力はフィールド・メモリ312Gに結合されている。エッジ補正回路203Bの出力はフィールド・メモリ312Bに結合されている。フィールド・メモリ312は、データ線292および表示用の出力端子404を介して、表示装置300の表示用の入力端子414に結合されている。
【0077】
表示装置300は、ドライバ制御部320、例えば垂直走査用のゲート電極ドライバ330、例えば水平走査用のソース電極ドライバ340、および液晶パネル360を含んでいる。代替形態として、ゲート電極ドライバ330は水平走査用のドライバであってもよく、ソース電極ドライバ340は水平走査用のドライバであってもよい。情報処理装置14の制御部100は、その表示制御用の出力端子402を介して、表示装置300のドライバ制御部320に結合され、ドライバ制御部320に制御信号を供給する。ドライバ制御部320は、ゲート電極ドライバ330およびソース電極ドライバ340に制御線322および324を介して結合されている。ドライバ制御部320は、その表示制御用の入力端子412を介して受け取った制御部100からの制御信号に従って、ゲート電極ドライバ330およびソース電極ドライバ340に制御信号を供給する。
【0078】
エッジ補正回路203Rは、赤色成分について、元のフィールド画像Fr(m)から、エッジ強調されたフィールド画像Fre(m)、および異なるエッジ強調されたフィールド画像Fre(m)’を順次生成する。エッジ補正回路203Gは、緑色成分について、元のフィールド画像Fg(m)から、エッジ強調されたフィールド画像Fge(m)、および異なるエッジ強調されたフィールド画像Fge(m)’を順次生成する。エッジ補正回路203Bは、青色成分について、元のフィールド画像Fb(m)から、エッジ強調されたフィールド画像Fbe(m)、および異なるエッジ強調されたフィールド画像Fbe(m)’を順次生成する。
【0079】
ソース電極ドライバ340は、最初のサブフィールド期間SF1について、フィールド・メモリ312R、312Gおよび312Bから表示制御用の入力端子414を介して、3色成分の元のフィールド画像データFr(m)、Fg(m)、Fb(m)を受け取る。次いで、ソース電極ドライバ340は、次のサブフィールド期間SF2について、フィールド・メモリ312R、312Gおよび312Bから入力端子414を介して、3色成分のエッジ強調されたフィールド画像データFre(m)、Fge(m)、Fbe(m)を受け取る。次いで、ソース電極ドライバ340は、次のサブフィールド期間SF3について、フィールド・メモリ312R、312Gおよび312Bから入力端子414を介して、3色成分の異なるエッジ強調されたフィールド画像データFre(m)’、Fge(m)’、Fbe(m)’を受け取る。
【0080】
一方、ゲート電極ドライバ330は、各サブフィールド期間SF1、SF2またはSF3について、走査パルスを垂直方向に配置された各表示用のゲート電極または表示電極352に順次印加する。ソース電極ドライバ340は、各サブフィールド期間SF1、SF2またはSF3における各垂直走査パルスに対して、対応する水平1ライン分の3色成分の画素(ピクセル)データを同時に表示用の1つのライン分のソース電極または表示電極362に印加する。
【0081】
図8は、図7のソース電極ドライバ340の概略的構成の例を示している。ソース電極ドライバ340は、レシーバ342、ラッチ344、ディジタル−アナログ変換器(DAC)346、バッファ・メモリ348、およびスイッチング用のFET群350を含んでいる。FET群350は、赤色成分用の複数のFET350R、緑色成分用の複数のFET350G、および緑色成分用の複数のFET350Bを含んでいる。FET群350の各色成分毎に対応するFET350R、350G、350Bが、制御線324を介したドライバ制御部320からの制御信号によって、それぞれオン・オフ制御される。
【0082】
図9は、図7の液晶パネル360の概略的構成の例を示している。液晶パネル360は、縦横n×m個の液晶素子370に対して、行方向のn本のゲート電極352および列方向のm本のソース電極362を含んでいる。
【0083】
ソース電極ドライバ340において、レシーバ342は、フィールド・メモリ312に結合されていて、水平1ライン分の3色成分のディジタルのm個のピクセル・データを受け取る。この場合、各ピクセルは、3色成分のサブピクセルを含んでいる。ラッチ344は、レシーバ342から水平1ライン分の各色成分のディジタルの例えば6、7または8ビットの3×m個のサブピクセル・データをラッチする。ディジタル−アナログ変換器346は、ラッチ344から3色成分のディジタルの3×m個のサブピクセル・データを同時に受け取って、それをアナログのサブピクセル電圧(値)に変換する。バッファ・メモリ348は、3色成分のアナログのサブピクセル電圧を一時的に保持する。スイッチング用のFET群350は、ドライバ制御部320からの制御信号に従って、バッファ・メモリ348からの3色成分のアナログのサブピクセル電圧の3×m本の表示用のソース電極362(362R、362G、362B)への供給をイネーブルしまたはディセーブルする。
【0084】
図10は、図9のn本のゲート電極352とm本のソース電極352の交差部に結合されたn×m個のFET354の一部の結合の例を示している。
各FET354のゲートが結合されたゲート電極GTj(j=1〜n)は、ゲート電極ドライバ330の出力に結合されている。各FET354のソースが結合されたソース電極Ri、Gi、Bi(i=1〜m)は、ソース電極ドライバ340の出力に結合されている。各FET354のドレインは、等価的な液晶素子容量C1の一端と等価的な液晶表示パネル寄生容量C2の一端とに並列に結合されている、と仮定することができる。この場合、液晶素子容量C1の他端と液晶表示パネル寄生容量C2の他端は接地点GNDに結合されている。
【0085】
図2B〜2Dに示されているように、制御部102は、通常、元の3色成分のフィールド画像Fr(m)、Fb(m)、Fg(m)をエッジ補正回路203に供給して、エッジ補正処理を行わせる。エッジ補正回路203は、3色成分について、元のフィールド画像データFr(m)、Fb(m)、Fg(m)を供給し、次いでエッジ強調済みフィールド画像データFbe(m)、Fbe(m)、Fge(m)、次いで異なるエッジ強調済みフィールド画像データFbe(m)’、Fbe(m)’、Fge(m)’を生成する。エッジ補正回路203は、それらのフィールド画像データをフィールド・メモリ312に格納する。
【0086】
最初のサブフィールド期間SF1について、ドライバ制御部320は、元のフィールド画像データFr(m)、Fb(m)、Fg(m)をフィールド・メモリ312からソース電極ドライバ320に供給する。次のサブフィールド期間SF2について、ドライバ制御部320は、エッジ強調済みフィールド画像Fbe(m)、Fbe(m)、Fge(m)をフィールド・メモリ312からソース電極ドライバ320に供給する。次のサブフィールド期間SF3について、ドライバ制御部320は、異なるエッジ強調済みフィールド画像Fbe(m)’、Fbe(m)’、Fge(m)’をフィールド・メモリ312からソース電極ドライバ320に供給する。
【0087】
サブフィールド期間SF1において、ゲート電極ドライバ330は、垂直走査パルス電圧PGjをゲート電極352(GT1〜GTn)に順次印加する。各ゲート電極352に各走査パルス電圧PGjが印加されている間に、ソース電極ドライバ340は、フィールド画像Fb(m)、Fb(m)、Fg(m)の各行の3色成分の全列のサブピクセルのレベルを表す高さのパルス電圧PRi、PGi、PBiを対応する表示用のソース電極362(R1〜Rm、G1〜Gm、B1〜Bm)に印加する。それによって、液晶素子容量C1およびパネル寄生容量C2に、各サブピクセル・レベルに対応する量の電荷が蓄積される。それによって、各液晶素子370の透過度が、変化しまたは決定される。
【0088】
サブフィールド期間SF2において、ゲート電極ドライバ330は、垂直走査パルス電圧PGjをゲート電極352(GT1〜GTn)に順次印加する。各ゲート電極352に各走査パルス電圧PGjが印加されている間に、ソース電極ドライバ340は、フィールド画像Fbe(m)、Fbe(m)、Fge(m)の各行の3色成分の全列のサブピクセルのパルス電圧PRi、PGi、PBiをソース電極362(R1〜Rm、G1〜Gm、B1〜Bm)に印加する。それによって、液晶素子容量C1およびパネル寄生容量C2に、各サブピクセル・レベルに対応する量の電荷が蓄積される。それによって、各液晶素子370の透過度が、変化しまたは決定される。
【0089】
サブフィールド期間SF3において、ゲート電極ドライバ330は、垂直走査パルス電圧PGjをゲート電極352(GT1〜GTn)に順次印加する。各ゲート電極352に各走査パルス電圧PGjが印加されている間に、ソース電極ドライバ340は、フィールド画像Fbe(m)’、Fbe(m)’、Fge(m)’の各行の3色成分の全列のサブピクセルのパルス電圧PRi、PGi、PBiをソース電極362(R1〜Rm、G1〜Gm、B1〜Bm)に印加する。それによって、液晶素子容量C1およびパネル寄生容量C2に、各サブピクセル・レベルに対応する量の電荷が蓄積される。それによって、各液晶素子370の透過度が、変化しまたは決定される。
【0090】
発明者は、各色成分、例えば赤色成分について、異なるフィールド画像Fr(m)、Fre(m)、Fre(m)’を順次表示させると、連続するサブフィールド期間の間で液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に蓄積される電荷が変化し、ソース電極ドライバ340が余分に電力を消費する、と認識した。一方、発明者は、例えば青色成分のエッジ強調と比較すると、他の色成分、例えば赤色および緑色成分のエッジ強調について、高齢者の視覚特性に対する改善効果は相対的に低く、例えば青色成分についてだけエッジ強調を行っても充分な改善効果が得られる、と認識した。また、発明者は、或る色成分、例えば赤色について、複数サブフィールド期間にわたって同じフィールド画像Fr(m)を連続的に表示させると、隣接のサブフィールド期間の間で液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2の電荷が変化せず、ソース電極ドライバ340からソース電極362に供給される電力が低減できる、と認識した。
【0091】
図11Aは、元のフィールド画像F(m)、F(m+1)、F(m+2)、...の時間的順序の例を示している。図11B〜11Dは、図1および7〜10の実施形態におけるエッジ補正回路203によって供給される高齢者用の各色成分の画像信号の時分割フィールドの時間的順序の例を示している。
【0092】
図11Dを参照すると、表示装置300によって、青色成分について、最初のサブフィールド期間SF1において、元のフィールド画像Fb(m)が表示される。表示装置300によって、青色について、次のサブフィールド期間SF2において、エッジ強調されたフィールドFbe(m)が表示され、次のサブフィールド期間SF3において、異なるエッジ強調されたフィールドFbe(m)’が表示される。それと並行して、図11Bを参照すると、表示装置300によって、赤色について、3つのサブフィールド期間SF1、SF2、SF3にわたって、元のフィールド画像Fr(m)が連続して表示される。それと並行して、図11Dを参照すると、表示装置300によって、3つのサブフィールド期間SF1、SF2、SF3にわたって、緑色について、元のフィールド画像Fg(m)が連続して表示される。
【0093】
青色成分について、表示装置300によって元のフィールド画像Fb(m)と、エッジ強調されたフィールドFbe(m)、Fbe(m)’を連続するサブフィールド期間に順次表示させることによって、図10の液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に蓄積される電荷が変化する。ソース電極ドライバ340から表示用のソース電極362に、その電荷の変化分およびリークによる自然減少分の電荷に対応した電力が供給される。
【0094】
赤色または緑色成分について、表示装置300によって元のフィールド画像Fr(m)、Fg(m)を連続するサブフィールド期間に繰り返し表示させる。それによって、図10の液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に蓄積される電荷はほとんど変化しない。それによって、ソース電極ドライバ340から表示用のソース電極362に供給される電力の消費が抑制される。最初のサブフィールド期間SF1においてソース電極ドライバ340によってソース電極362を介して液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に印加されて蓄積された電荷は、後続のサブフィールド期間SF2、SF3において、僅かに(例、数%、約5%程度)減少するだけで、ほぼそのまま残存する。ソース電極ドライバ340からソース電極362に、その電荷の自然減少分の電荷に対応した電力だけが供給される。従って、赤色または緑色成分について、後続のサブフィールド期間SF2、SF3において、ソース電極ドライバ340によって、サブフィールド期間SF1におけるパルス電圧PRi、PGiと同じ電圧を繰り返しソース電極362に印加しなくてもよい。それによって赤色または緑色成分の画像の品質に与える影響は僅かである。
【0095】
図12Aは、連続するサブフィールド期間SF1〜SF3においてゲート電極ドライバ330によってゲート電極GT1〜GTnに印加されるパルス電圧PGj(PG1〜PGn)の例を示している。図12B〜12Dは、連続するサブフィールド期間SF1〜SF3においてソース電極ドライバ340によってソース電極Ri(R1〜Rm)、Gi(G1〜Gm)、Bi(B1〜Bm)に印加される表示用のパルス電圧PRi(PR1〜PRm)、PGi(PG1〜PGm)、PBi(PB1〜PBm)の例を示している。
図12B〜12Dにおいて、各パルス電圧PRi、PGi、PBiの値は各サブピクセルのレベルを表す可変値である。
【0096】
図12Bおよび12Cにおいて、赤色および緑色成分について、元のフィールド画像Fr(m)、Fg(m)を連続するサブフィールド期間SF1〜SF3中の最初のサブフィールド期間SF1だけ、ソース電極352(Ri、Gi)に対応するパルス電圧PRi、PGiを印加する。後続のサブフィールド期間SF2、SF3では、赤色および緑色成分について、ドライバ制御部320は、制御部100の制御の下で、パルス電圧を印加することなく、ソース電極ドライバ340の出力をハイインピーダンス状態に保持する。それによって、液晶素子容量C1およびパネル寄生容量C2に蓄積される電荷はほとんど変化せず、ソース電極ドライバ340からソース電極362を介したソース電極352(Ri、Gi)への電力供給が抑制される。
【0097】
後続のサブフィールド期間SF2、SF3では、ソース電極ドライバ340は、制御部320の制御の下で、ソース電極ドライバ340の出力をハイインピーダンス状態に保持し、従って赤色および緑色(R1〜Rm、G1〜Gm)用のFET群350をターンオフ状態に制御する。
【0098】
従って、制御部102は、最初のサブフィールド期間SF1においてだけ、エッジ補正回路203のエッジ補正回路203Rおよび203Gをイネーブル(付勢、可動化)して、元のフィールド画像データFr(m)、Fg(m)を供給させればよい。また、制御部102は、後続のサブフィールド期間SF2、SF3において、エッジ補正回路203Rおよび203Gをディセーブル(消勢、非可動化、停止)すればよい。それによって、エッジ補正回路203Rおよび203Gの電力の消費が抑制される。
【0099】
それによって、エッジ補正表示のための電力の消費を抑制しつつ、高齢の観察者にとって充分なエッジ補正効果が得られる。若年者または正常な視覚特性を有する観察者に対しては、エッジ補正しなくてもよく、例えば、青色成分についても、他の色成分と同様の形態でフィールド画像を表示してもよい。
【0100】
図13は、図1の実施形態の変形であり、別の実施形態による、時分割的なエッジ補正を行う機能を有する情報処理装置16の概略的構成の例を示している。この場合、元のフィールド画像から、重畳的に異なるエッジ強調の組み合わせによってエッジ強調されたフィールド画像が生成される。この場合、図7において、図1の情報処理装置14およびエッジ補正回路203(203R、203G、203B)の代わりに、それぞれ図13の情報処理装置16およびエッジ補正回路206(206R、206G、206B)が用いられる。
【0101】
情報処理装置16は、画像処理部の一部としてのエッジ補正回路又はエッジ強調回路206を含んでいる。情報処理装置16のその他の構成は、図1の情報処理装置14のものと同様である。図7において、エッジ補正回路206は、赤色成分用のエッジ補正回路206R、緑色成分用のエッジ補正回路206G、および青色成分用のエッジ補正回路206Bを含んでいてもよい。エッジ補正回路206R、206Gおよび206Bの各々は、対応する色成分について図13のエッジ補正回路206と同様の構成を有していてもよい。代替形態として、エッジ補正回路206は、時分割的に、エッジ補正回路206R、エッジ補正回路206Gおよびエッジ補正回路206Bとして機能してもよい。
【0102】
エッジ補正回路206は、3つの色成分または各色成分について、図1の要素212、222、224、242、244、262、264、および282に加えて、加算器または総和器(Σ)272、およびマルチプレクサまたはセレクタ282を含んでいる。エッジ補正回路206において、図1のマルチプレクサまたはセレクタ278は使用されない。
【0103】
エッジ補正回路206において、乗算器262および264の出力は加算器272のそれぞれの入力に結合されている。フィールド・メモリ212は、加算器272の別の入力に結合されている。
【0104】
加算器272の出力はマルチプレクサ282の1つの入力に結合されている。フィールド・メモリ212はマルチプレクサ282の別の入力にも結合されている。マルチプレクサ282の出力はフィールド・メモリ312に結合されている。
【0105】
加算器272は、フィールド期間F(m)に、各同じ色成分について、乗算器262および264の出力およびフィールド・メモリ212から供給された対応する画素位置の3つの画素データを加算して、異なるエッジ強調の組み合わせでエッジ強調された画素データを生成する。加算器272は、そのエッジ強調された画素データをマルチプレクサ282の1つの入力に供給する。
【0106】
制御部102は、フィールド期間F(m)に、各同じ色成分について、フィールド・メモリ212からの元の画像信号のフィールドをマルチプレクサ282の別の入力に供給する。マルチプレクサ282は、加算器272の出力からのエッジ強調された画像信号のフィールドと、フィールド・メモリ212からの元の画像信号のフィールドとを交互に選択して、フィールド・メモリ312に供給する。エッジ補正回路206のその他の構成および動作は、図1のエッジ補正回路203のものと同様である。
【0107】
表示装置300は、フィールド・メモリ312からの画像信号の交互のフィールドに従って、高齢者により適した形態でエッジ補正されたそのフィールド画像を表示する。その結果、元のフィールド画像と、ラプラシアン・フィルタ222および224によってエッジ強調されたフィールド画像とが時分割的に交互に表示される。それによって、人の脳で視覚的に合成された時分割の画像は、高齢者により適した形態のものとなる。時分割的なエッジ補正を行うことによって、画像処理において画像の或る色成分に対してだけ追加的なエッジ補正を施すことができ、追加的な処理負荷を小さくすることができる。
【0108】
図14Aは、元のフィールド画像F(m)、F(m+1)、F(m+2)、...の時間的順序の例を示している。図14B〜14Dは、図13および7〜10の実施形態におけるエッジ補正回路206によって供給される各色成分の画像信号の時分割フィールドの時間的順序の別の例を示している。
【0109】
図14Dにおいて、青色成分について、最初のサブフィールド期間SF1において、元のフィールド画像Fb(m)が表示される。表示装置300によって、青色について、次のサブフィールド期間SF2において、異なるエッジ強調の組み合わせでエッジ強調されたフィールドFbe(m)が表示される。それと並行して、図14Bにおいて、表示装置300によって、赤色について、2つのサブフィールド期間SF1、SF2にわたって、元のフィールド画像Fr(m)が連続して表示される。それと並行して、図14Dにおいて、表示装置300によって、2つのサブフィールド期間SF1、SF2にわたって、緑色について、元のフィールド画像Fg(m)が連続して表示される。
【0110】
青色成分について、表示装置300によって元のフィールド画像Fb(m)と、エッジ強調されたフィールドFbe(m)を連続するサブフィールド期間に順次表示させることによって、図10の液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に蓄積される電荷が変化する。ソース電極ドライバ340からソース電極362に、その電荷の変化分およびリークによる自然減少分の電荷に対応した電力が供給される。
【0111】
図2Bおよび2Cの場合と同様に、赤色または緑色成分について、表示装置300によって元のフィールド画像Fr(m)、Fg(m)を連続するサブフィールド期間SF1、SF2に繰り返し表示させる。それによって、図10の液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に蓄積される電荷はほとんど変化しない。それによって、ソース電極ドライバ340からソース電極362に供給される電力の消費が抑制される。最初のサブフィールド期間SF1においてソース電極ドライバ340によってソース電極362を介して液晶素子容量C1とパネル寄生容量C2に印加されて蓄積された電荷は、後続のサブフィールド期間SF2において、僅かに(例、数%、約5%程度)減少するだけで、ほぼそのまま残存する。ソース電極ドライバ340からソース電極362に、その電荷の自然減少分の電荷に対応した電力だけが供給される。従って、赤色または緑色成分について、後続のサブフィールド期間SF2において、ソース電極ドライバ340によって、サブフィールド期間SF1におけるパルス電圧と同じ電圧を繰り返しソース電極362に印加しなくてもよい。それによって赤色または緑色成分の画像の品質に与える影響は僅かである。
【0112】
図15Aは、連続するサブフィールド期間SF1、SF2においてゲート電極ドライバ330によってゲート電極GT1〜GTnに印加されるパルス電圧PGj(PG1〜PGn)の例を示している。図15B〜15Dは、連続するサブフィールド期間SF1、SF2においてソース電極ドライバ340によってソース電極Ri(R1〜Rm)、Gi(G1〜Gm)、Bi(B1〜Bm)に印加されるパルス電圧PRi(PR1〜PRm)、PGi(PG1〜PGm)、PBi(PB1〜PBm)の例を示している。
図15B〜15Dにおいて、各パルス電圧PRi、PGi、PBiの値は各サブピクセルを表す可変値である。
【0113】
図15Bおよび15Cにおいて、赤色および緑色成分について、元のフィールド画像Fr(m)、Fg(m)を連続するサブフィールド期間SF1、SF2の最初のサブフィールド期間SF1だけ、ソース電極352(Ri、Gi)に対応するパルス電圧PRi、PGiを印加する。後続のサブフィールド期間SF2では、赤色および緑色成分について、ドライバ制御部320は、制御部100の制御の下で、パルス電圧を印加することなく、ソース電極ドライバ340の出力をハイインピーダンス状態に保持する。それによって、液晶素子容量C1およびパネル寄生容量C2に蓄積される電荷はほとんど変化せず、ソース電極ドライバ340からソース電極362を介したソース電極352(Ri、Gi)への電力供給が抑制される。
【0114】
後続のサブフィールド期間SF2では、ソース電極ドライバ340は、制御部320の制御の下で、ソース電極ドライバ340の出力をハイインピーダンス状態に保持し、従って赤色および緑色(R1〜Rm、G1〜Gm)用のFET群350をターンオフ状態に制御する。
【0115】
従って、制御部102は、最初のサブフィールド期間SF1においてだけ、エッジ補正回路203のエッジ補正回路203Rおよび203Gをイネーブルして、元のフィールド画像データを供給させればよい。また、制御部102は、後続のサブフィールド期間SF2において、エッジ補正回路203Rおよび203Gをディセーブルすればよい。それによって、エッジ補正回路203Rおよび203Gの電力の消費が抑制される。
【0116】
それによって、エッジ補正表示のための電力の消費を抑制しつつ、高齢の観察者にとって充分なエッジ補正が得られる。若年者または正常な視覚特性を有する観察者に対しては、エッジ補正しなくてもよく、例えば、青色成分についても、他の色成分と同様の形態でフィールド画像を表示してもよい。
【0117】
以上、特に例えば高齢者のような青色に対する識別力の低い視覚特性を持つユーザについて説明したが、上述の実施形態は、他の色成分に対して識別力の低い視覚特性を持つユーザに対して他の色成分に適用することもできる。
【0118】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈され、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない、と理解される。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができる、と理解される。
【0119】
以上の実施例を含む実施形態に関して、さらに以下の付記を開示する。
(付記1) 制御部が、
連続的な複数の期間を含む1つのフィールド期間における前記複数の期間の中の第1の期間に、複数の色成分の中の第1の色成分の第1の元の画像信号を表示用の出力端子に供給し、
前記複数の期間における第2の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号を前記表示用の出力端子に供給し、
前記第1の期間に、前記複数の色成分の中の第2の色成分の第2の元の画像信号と、前記複数の色成分の中の第3の色成分の第3の元の画像信号とを前記表示用の出力端子に供給し、
前記第2の期間において、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制すること
を特徴とする、画像信号処理装置における画像信号処理方法。
(付記2) 前記制御部が、さらに、前記第2の期間において、前記表示用の出力端子に結合される表示装置における前記第2と第3の色成分の画像信号用の表示電極への信号路のインピーダンスを高くする制御信号を、前記表示装置を制御するための出力端子に供給することを特徴とする、付記1に記載の画像処理装置。
(付記3) 前記制御部が、さらに、
第1の画像処理部をイネーブルして前記第1の画像処理部から前記第1の元の画像信号と前記元の画像信号を受け取り、
第2の画像処理部をイネーブルして前記第2の画像処理部から前記第2の元の画像信号を受け取り、前記第2の画像処理部が前記第2の元の画像信号を生成しないとき前記第2の画像処理部をディセーブルし、
第3の画像処理部をイネーブルして前記第3の画像処理部から前記第3の元の画像信号を受け取り、前記第3の画像処理部が前記第3の元の画像信号を生成しないとき前記第3の画像処理部をディセーブルすること、
を特徴とする、付記1または2に記載の画像信号処理方法。
(付記4) 前記制御部が、さらに、前記複数の期間における第3の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した別の補正画像信号を前記表示用の出力端子に供給し、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制することを特徴とする、付記1乃至3のいずれかに記載の画像信号処理方法。
(付記5) 画像処理部と、
表示用の出力端子と、
連続的な複数の期間を含む1つのフィールド期間における前記複数の期間の中の第1の期間に、複数の色成分の中の第1の色成分の第1の元の画像信号を前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記複数の期間における第2の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号を前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記第1の期間に、前記複数の色成分の中の第2の色成分の第2の元の画像信号を前記画像処理部と、前記複数の色成分の中の第3の色成分の第3の元の画像信号とを前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記第2の期間において、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制する制御部と、
を含むことを特徴とする、情報処理装置。
(付記6) 前記情報処理装置はさらに制御用の出力端子を含み、前記表示用の出力端子は表示装置に結合され、
前記制御部が、さらに、前記第2の期間において、前記表示装置における前記第2と第3の色成分の画像信号用の表示電極への電極ドライバの信号路のインピーダンスを高くする制御信号を前記制御用の出力端子に供給することを特徴とする、付記5に記載の情報処理装置。
(付記7) 前記画像処理部は、さらに、第1、第2および第3の画像処理部を含み、
前記制御部が、さらに、
前記第1の画像処理部をイネーブルして前記第1の画像処理部から前記第1の元の画像信号と前記元の画像信号を受け取り、
前記第2の画像処理部をイネーブルして前記第2の画像処理部から前記第2の元の画像信号を受け取り、前記第2の画像処理部が前記第2の元の画像信号を生成しないとき前記第2の画像処理部をディセーブルし、
前記第3の画像処理部をイネーブルして前記第3の画像処理部から前記第3の元の画像信号を受け取り、前記第3の画像処理部が前記第3の元の画像信号を生成しないとき前記第3の画像処理部をディセーブルすること、
を特徴とする、付記5または6に記載の情報処理装置。
(付記8) 前記制御部が、さらに、前記複数の期間における第3の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した別の補正画像信号を前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制することを特徴とする、付記5乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0120】
14、16 情報処理装置
100、102 制御部
203、206 エッジ補正回路
212、312 フィールド・メモリ
222、224 ラプラシアン・フィルタ
242、244 フィールド・メモリまたは複数ライン・メモリ
262、264 乗算器
278、282 マルチプレクサまたはセレクタ
280、272 加算器または総和器
402 表示制御用の出力端子
404 表示用の出力端子
300 表示装置
320 ドライバ制御部
330 ゲート電極ドライバ
340 ソース電極ドライバ
360 液晶パネル
412 表示制御用の入力端子
414 表示用の入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御部が、
連続的な複数の期間を含む1つのフィールド期間における前記複数の期間の中の第1の期間に、複数の色成分の中の第1の色成分の第1の元の画像信号を表示用の出力端子に供給し、
前記複数の期間における第2の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号を前記表示用の出力端子に供給し、
前記第1の期間に、前記複数の色成分の中の第2の色成分の第2の元の画像信号と、前記複数の色成分の中の第3の色成分の第3の元の画像信号とを前記表示用の出力端子に供給し、
前記第2の期間において、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制すること
を特徴とする、画像信号処理装置における画像信号処理方法。
【請求項2】
前記制御部が、さらに、前記第2の期間において、前記表示用の出力端子に結合される表示装置における前記第2と第3の色成分の画像信号用の表示電極への信号路のインピーダンスを高くする制御信号を、前記表示装置を制御するための出力端子に供給することを特徴とする、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記制御部が、さらに、
第1の画像処理部をイネーブルして前記第1の画像処理部から前記第1の元の画像信号と前記元の画像信号を受け取り、
第2の画像処理部をイネーブルして前記第2の画像処理部から前記第2の元の画像信号を受け取り、前記第2の画像処理部が前記第2の元の画像信号を生成しないとき前記第2の画像処理部をディセーブルし、
第3の画像処理部をイネーブルして前記第3の画像処理部から前記第3の元の画像信号を受け取り、前記第3の画像処理部が前記第3の元の画像信号を生成しないとき前記第3の画像処理部をディセーブルすること、
を特徴とする、請求項1または2に記載の画像信号処理方法。
【請求項4】
前記制御部が、さらに、前記複数の期間における第3の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した別の補正画像信号を前記表示用の出力端子に供給し、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の画像信号処理方法。
【請求項5】
画像処理部と、
表示用の出力端子と、
連続的な複数の期間を含む1つのフィールド期間における前記複数の期間の中の第1の期間に、複数の色成分の中の第1の色成分の第1の元の画像信号を前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記複数の期間における第2の期間に、前記第1の元の画像信号をエッジ補正した補正画像信号を前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記第1の期間に、前記複数の色成分の中の第2の色成分の第2の元の画像信号を前記画像処理部と、前記複数の色成分の中の第3の色成分の第3の元の画像信号とを前記画像処理部から受け取って前記表示用の出力端子に供給し、前記第2の期間において、前記複数の色成分の中の前記第2と第3の色成分の画像信号の供給を抑制する制御部と、
を含むことを特徴とする、情報処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図6C】
image rotate

【図6D】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2012−119902(P2012−119902A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267276(P2010−267276)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】