説明

画像形成カートリッジ

【課題】簡単な構成及び簡単な操作で感光体に対するローラの圧接/解除が可能な画像形成カートリッジを得る。
【解決手段】感光体ドラム12と、感光体ドラム12に圧接する帯電ローラ13と、帯電ローラ13を回転自在に保持する一対の軸受16を感光体ドラム12側に付勢するコイルばね17と、帯電ローラ13が感光体ドラム12に圧接する位置と離間する位置に軸受16を規制する圧接解除部材50とを備えた画像形成カートリッジ。圧接解除部材50はハウジング11に対して引抜き自在に配置され、軸受16の突起16aと係合する凹部52a,52bと凸部53a,53b,53cが引抜き方向Aに所定のピッチで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成カートリッジ、特に、電子写真法によって画像を形成する中核となる感光体を含む画像形成カートリッジに関する
【背景技術】
【0002】
電子写真法によって画像を形成する複写機、プリンタなどの画像形成装置においては、感光体や現像器、帯電器などを一体的に組み込んだ画像形成カートリッジを装置本体に着脱可能に設けている。これらの画像形成カートリッジでは、帯電ローラやクリーニングローラは感光体に所定の圧力で圧接しており、圧接状態で長期間保持されると、ローラにクリープ又はブリードが発生する。これらの不具合は、多くの場合、装置が組立、検査を終了してからユーザのもとで稼働するまでの期間に発生する。
【0003】
従来、例えば、特許文献1では、離間部材をプロセスカートリッジに装着した場合には、一方の枠体で離間部材を両端で支持し、他方の枠体をその間の部分で支持することで、感光体ドラムに圧接して使用する現像ローラや帯電ローラを離間状態に保つ構造を提案している。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の圧接解除機構は圧接する箇所ごとに独立しており、複数必要となり、構造的に複雑である。また、圧接状態と離間状態の制御が難しく、例えば、離間部材を引き抜くという簡単な操作で圧接状態と離間状態を制御することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−308755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な構成及び簡単な操作で感光体に対するローラの圧接/解除が可能な画像形成カートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明の一形態である画像形成カートリッジは、
感光体と、該感光体に圧接するように付勢されたローラと、該ローラを回転自在に保持する一対の軸受と、該一対の軸受を前記感光体側に付勢するばね部材と、前記感光体と前記軸受と前記ばね部材を支持するハウジングと、該ハウジングと前記軸受とに係合し、前記ローラが前記感光体に圧接する位置と離間する位置に前記軸受を規制する圧接解除部材と、を備え、
前記圧接解除部材は前記ハウジングに対して引抜き自在に配置され、前記軸受との係合部が引抜き方向に所定のピッチで凹凸を有していること、
を特徴とする。
【0008】
対象となるローラは、例えば、帯電ローラ、現像ローラ又はクリーニングローラなどである。
【0009】
前記画像形成カートリッジにおいては、圧接解除部材はローラ軸受との係合部が所定のピッチで凹凸を有している。例えば、凹部が軸受と係合している場合はローラが感光体に圧接し、凸部が軸受と係合している場合はローラが感光体から離間する。この操作は圧接解除部材をハウジングに対して引き抜くという簡単な操作で行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ローラ軸受に係合する凹凸を有する圧接解除部材を設けるという簡単な構成からなり、該圧接解除部材を所定ピッチで引き抜くという簡単な操作で、圧接/解除が可能であり、ローラにクリープ又はブリードが発生する不具合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る画像形成カートリッジを備えたプリンタを示す概略構成図である。
【図2】前記画像形成カートリッジにおける感光体ドラム、帯電ローラ、圧接解除部材を示す概略説明図である。
【図3】前記圧接解除部材を示す斜視図である。
【図4】前記画像形成カートリッジにおける感光体ドラム、帯電ローラ、圧接解除部材を示す斜視図である。
【図5】帯電ローラの圧接/解除動作を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る画像形成カートリッジの実施例について、添付図面を参照して説明する。なお、各図面において、同一部材、部分に関しては同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
本発明に係る画像形成カートリッジが搭載される画像形成装置について、図1を参照して説明する。この画像形成装置は、タンデム方式のカラープリンタであり、概略、Y,M,C,Kの各色のトナー画像を形成するための画像形成カートリッジ10(10y,10m,10c,10k)とレーザ走査ユニット20と、中間転写ユニット30を中心として構成されている。
【0014】
画像形成カートリッジ10は、それぞれ、図1に点線で示す筺体の内部に、感光体ドラム12、帯電ローラ13、現像器14、残留トナーや残留電荷のクリーニングローラ15などを配置したもので、図1の紙面に垂直な方向に装置本体から出し入れ可能である。この画像形成カートリッジ10においては、レーザ走査ユニット20から照射されるレーザによって感光体ドラム12に描画された静電潜像を現像ローラ14aで現像してトナー像を形成する。
【0015】
中間転写ユニット30は、矢印B方向に無端状に回転駆動される中間転写ベルト31を備え、各感光体ドラム12と対向する転写ローラ32から付与される電界にて、各感光体ドラム12上に形成されたトナー画像を中間転写ベルト31上に1次転写して合成する。なお、このような電子写真法による画像形成プロセスは周知であり、詳細な説明は省略する。
【0016】
装置本体の下部には記録シートを1枚ずつ給紙する自動給紙ユニット40が配置され、記録シートは給紙ローラ41からタイミングローラ42を経て、前記中間転写ベルト31と2次転写ローラ35とのニップ部に搬送され、ここでトナー画像(カラー合成画像)が2次転写される。その後、記録シートは定着ユニット45に搬送されてトナーの加熱定着を施され、装置本体の上面に配置されたトレイ部46に排出される。
【0017】
前記画像形成カートリッジ10において、帯電ローラ13は導電性の弾性体からなり、両端の軸部13a(図4参照)が軸受16にて回転自在に支持されている。帯電ローラ13は、軸受16がコイルばね17にて感光体ドラム12側に付勢されることで感光体ドラム12に所定の圧力で圧接している。
【0018】
(帯電ローラの接離機構、図2〜図5参照)
帯電ローラ13は回転を停止した状態で感光体ドラム12への圧接状態が長期間継続されるとクリープやブリードなどの不具合を生じる。装置がユーザに納品された後、帯電ローラ13は日常的に稼働(回転)されるため、このような不具合を生じることはない。しかし、装置が工場で組立、検査された後にユーザに納品されるまでに長期間を要すると前記不具合が生じるおそれがある。
【0019】
そこで、本実施例では、軸受16をカートリッジ10のハウジング11(図4参照)に対して上下方向に移動自在に取り付け、コイルばね17にて下方から感光体ドラム12に向けて弾性的に付勢するとともに、圧接解除部材50をカートリッジ10の着脱方向(矢印A:引出し方向、矢印A’:挿入方向)にスライド可能に取り付けた。ハウジング11は感光体ドラム12を回転可能に支持するとともに軸受16及びコイルばね17をも支持している。
【0020】
圧接解除部材50は、図3に示すように、一端に円形状の把持部51を有する長尺体からなり、下面に凹部52a,52b及び凸部53a,53b,53cが長手方向に所定のピッチpで形成されている。この圧接解除部材50は、カートリッジ10が組み立てられた段階で、帯電ローラ13に沿った状態でハウジング11に取り付けられ、ハウジング11の開口部11a(図4参照)にて矢印A,A’方向にガイドされて移動可能である。
【0021】
一方、軸受16には突起16aが形成されており、該突起16aが圧接解除部材50の凹部52a,52b及び凸部53a,53b,53cに係合可能である。図2に示すように、軸受16は帯電ローラ13の両端部に配置され、凹部52a,52bと凸部53a,53b,53cはそれぞれの軸受16の突起16aに対向して位置している。
【0022】
次に、圧接解除部材50による帯電ローラ13の感光体ドラム12に対する接離動作を説明する。圧接解除部材50はカートリッジ10に組み込まれたときには、凸部53aが軸受16の突起16aに上方から係合し、軸受16はコイルばね17のばね力に抗して若干下方に移動し、帯電ローラ13は感光体ドラム12の表面から離間している(図5(A)参照)。
【0023】
工場において、組み立てたカートリッジ10の試験(1回目の試験)を行うとき、圧接解除部材50を1ピッチpだけ矢印A方向に引き抜く。これにて、凹部52aが突起16aに対向し、軸受16がコイルばね17に付勢されて上方に移動することで、帯電ローラ13が感光体ドラム12に所定の圧力で圧接する(図5(B)参照)。1回目の試験が終了すると、圧接解除部材50はさらに1ピッチpだけ矢印A方向に引き抜かれる。このとき、凸部53bが突起16aに係合し、帯電ローラ13が感光体ドラム12の表面から離間する。
【0024】
さらに、カートリッジ10が前記プリンタに搭載され、画像形成の試験(2回目の試験)を行うときには、圧接解除部材50をさらに1ピッチpだけ矢印A方向に引き抜く。これにて、凹部52bが突起16aに対向し、帯電ローラ13が感光体ドラム12に再度圧接することになる。2回目の試験が終了すると、圧接解除部材50はさらに1ピッチpだけ引き抜かれ、凸部53cが突起16aに係合し、帯電ローラ13が感光体ドラム12の表面から離間する。この状態でプリンタは出荷を待つ。
【0025】
プリンタがユーザのもとに納品されると、圧接解除部材50はカートリッジ10から完全に引き抜かれる。これにて、帯電ローラ13が感光体ドラム12に所定の圧力での圧接状態を維持されることになる。
【0026】
以上のごとく、本実施例において、帯電ローラ13の接離機構は、軸受16に突起16aを形成するとともに、突起16aに係合する凹凸を有する圧接解除部材50を設けるという簡単な構成からなる。しかも、圧接解除部材50を所定ピッチpずつ引き抜くという簡単な操作で、帯電ローラ13を感光体ドラム12に圧接/解除させることができる。これにて、帯電ローラ13にクリープ又はブリードが発生するという不具合が防止される。
【0027】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成カートリッジは前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0028】
特に、本発明において感光体ドラム12に対して接離させる部材は前記帯電ローラ13に限定するものではなく、現像ローラ14aやクリーニングローラ15であってもよい。また、圧接解除部材50に形成する凹部や凸部の数は、前記実施例に限定するものではなく、工場での試験が1回であれば、あるいは、2回の試験が時間的に短い間隔で行われるのであれば、少なくて済む。また、圧接解除部材50は、ユーザでの稼働の間も凹部が突起16aに対向するように設定しておけば、カートリッジ10に装着された状態であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
以上のように、本発明は、画像形成カートリッジに有用であり、特に、簡単な構成及び簡単な操作で感光体に対するローラの圧接/解除が可能である点で優れている。
【符号の説明】
【0030】
10…画像形成カートリッジ
11…ハウジング
12…感光体ドラム
13…帯電ローラ
16…軸受
16a…突起
17…コイルばね
50…圧接解除部材
52a,52b…凹部
53a,53b,53c…凸部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体と、該感光体に圧接するように付勢されたローラと、該ローラを回転自在に保持する一対の軸受と、該一対の軸受を前記感光体側に付勢するばね部材と、前記感光体と前記軸受と前記ばね部材を支持するハウジングと、該ハウジングと前記軸受とに係合し、前記ローラが前記感光体に圧接する位置と離間する位置に前記軸受を規制する圧接解除部材と、を備え、
前記圧接解除部材は前記ハウジングに対して引抜き自在に配置され、前記軸受との係合部が引抜き方向に所定のピッチで凹凸を有していること、
を特徴とする画像形成カートリッジ。
【請求項2】
前記ローラは、帯電ローラ、現像ローラ又はクリーニングローラの少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項3】
前記圧接解除部材に形成された凹凸は、凹部が前記軸受に係合するときは前記ローラを前記感光体に圧接させ、凸部が前記軸受に係合するときは前記ローラを前記感光体から離間させること、を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の画像形成カートリッジ。
【請求項4】
前記凹と前記凸が所定のピッチで交互に形成されていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の画像形成カートリッジ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−7826(P2011−7826A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148234(P2009−148234)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】