説明

画像形成システム

【課題】画像形成装置の現在の利用状況だけではなく、時刻指定等の利用状況も想定してユーザに各画像形成装置の利用状況を通知することにより、効率よくユーザに利用させることができるようにする。
【解決手段】画像形成システムは、ネットワーク8上に複数台のMFP等の画像形成装置1〜3、1または複数のPC7、ジョブ予約管理サーバ5、ログ管理サーバ6が接続されて構成されている。ユーザは、PC7からネットワーク8を介して、あるいは、画像形成装置の1つから画像形成装置に希望するジョブを指定して印刷等の各種の処理を行わせることができる。そして、ユーザが画像形成装置1〜3の1つを利用する場合、画像形成装置は、ジョブ予約管理サーバ5からジョブ予約状況を受け取り、それを元にウェイト計算を行い、ユーザに画像形成装置の利用状況を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに係り、特に、MFP(Multi Functional Peripheral)等の画像形成装置とPC等の情報処理装置とがネットワークとにより接続されて構成される画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
PC等の情報処理装置と画像形成装置とがネットワークとにより接続され、画像形成装置が、情報処理装置からの操作予約を受け付けた後に予約時の処理を行うようにした画像形成システムが、例えば、特許文献1等に記載されて知られている。この従来技術は、画像処理装置が、PC等の情報処理装置からユーザを特定する暗証コードと、アプリケーションを特定したアプリケーションの操作予約とを受け取ると、操作予約されたアプリケーションの初期設定画面への画面遷移を禁止し、情報処理装置から入力された暗証コードと操作部で入力されたユーザコードとが一致したときに、操作予約されたアプリケーションの動作操作を許可すると共に、当該アプリケーションの初期設定画面への画面遷移を許可するというものである。
【特許文献1】特開2003−196061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述した従来技術は、情報処理装置やネットワークの負荷を低減すると共に、画像形成装置の利便性の向上を図ることができるものであるが、ネットワーク上に複数台の画像形成装置がある場合、1台の画像形成装置への利用が集中したときに、ユーザの待ち時間を発生させる場合があるという問題点を有している。
【0004】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、ネットワーク上の画像形成装置をユーザが使用するときに、画像形成装置の現在の利用状況だけではなく、時刻指定等の利用状況も想定してユーザに各画像形成装置の利用状況を通知することにより、効率よくユーザに利用させることができるようにした画像形成システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を解決するため本発明の第1の手段は、情報処理装置及び複数台の画像形成装置がネットワークに接続された構成された画像形成システムにおいて、前記ネットワーク上にジョブ予約管理サーバを有し、前記画像形成装置は、前記ジョブ予約管理サーバからジョブ予約状況を受け取り、それを元にウェイト計算を行い、ユーザに画像形成装置の利用状況を通知することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の第2の手段は、第1の手段において、前記ネットワーク上にログ管理サーバをさらに有し、前記画像形成装置は、前記ログ管理サーバからログ情報を受け取り、このログ情報と前記ジョブ予約状況とからウェイト計算を行い、ユーザに画像形成装置の利用状況を通知することを特徴とする。
【0007】
また、本発明の第3の手段は、第1または第2の手段において、前記画像形成装置の利用状況のユーザへの通知は、前記画像形成装置からジョブ操作を行う場合に、ジョブ操作を行う画像形成装置に対して行われることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第4の手段は、第1または第2の手段において、前記画像形成装置の利用状況のユーザへの通知は、前記情報処理装置からジョブ操作を行う場合に、ジョブ操作を行う情報処理装置に対して行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ジョブ予約管理サーバにある予約ジョブの状況を利用することにより先に渡った利用状況をユーザに示すことができるので、1台の画像形成装置に利用が集中したようなときにも、ユーザに待ち時間が発生したりするムダをなくすことができ、各画像形成装置を効率よく利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明による画像形成システムの実施形態を図面により詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の一実施形態による画像形成システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本発明の一実施形態による画像形成システムは、ネットワーク8上に複数台のMFP等の画像形成装置1〜3、1または複数の個人が使用する情報処理装置であるPC7、ジョブ予約管理サーバ5、ログ管理サーバ6が接続されて構成されている。そして、ユーザは、PC7からネットワーク8を介して画像形成装置1〜3の1つにアクセスして、または、画像形成装置の1つからその画像形成装置に希望するジョブを指定して印刷等の各種の処理を行わせることができる。
【0012】
本発明の実施形態では、ユーザがPC7を介して画像形成装置1〜3の1つを利用する場合、あるいは、画像形成装置の1つから画像形成装置を利用する場合に、利用するジョブの予約を行うことができ、このために、ジョブ予約管理サーバ5及びログ管理サーバ6が設けられている。
【0013】
図2はジョブ予約管理サーバ5が管理している情報の一例を示す図である。ジョブ予約管理サーバ5は、各画像形成装置が、どのように利用予約を受けているかを各画像形成装置毎に予約された印刷等の処理の内容を保持管理している。各処理の内容は、1.予約日時、2.機能、3.データサイズ、4.印刷等の部数等である。このような予約の内容は、予約日時が経過した時、あるいは、その処理が終了した時にジョブ予約管理サーバ5から削除される。
【0014】
図3はログ管理サーバ6が管理している情報の一例を示す図である。ログ管理サーバ6は、各画像形成装置が、どのように利用されたかの履歴を各画像形成装置毎に、利用の内容をログとして取得して保持管理している。取得したりようの内容は、予約の場合と同様に、1.予約日時、2.機能、3.データサイズ、4.印刷等の部数等である。
【0015】
図4はウェイト値の算出方法の一例を説明する図である。本発明の実施形態では、ウェイト値の算出を、CPU、搭載メモリ等の装置のスペック、印刷、送信されるデータのサイズ量、その部数、優先度(機能によって割り込み作業が発生するため)、カラーか、モノクロか等を利用して計算することとする。算出式は、
ウェイト値
=(データサイズ×部数)×α・スペック+β(優先度、カラー・モノクロ)
であるとする。
【0016】
図5は連結印刷を画像形成装置の1つから始める場合の連結印刷時のシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。
【0017】
(1)画像形成装置の1つ、ここでは画像形成装置1から連結印刷を始めようとするユーザは、印刷を行う画像形成装置の選択を行う必要があるが、そのとき、親機、子機の選択は他の人が使わない装置であるほど全体の効率が上がるため、どの装置が空いているか状況を確認する。このため、ユーザは、まず、画像形成装置1を使用して連結印刷を選択し、画像形成装置1に連結印刷を行わせる指示を行う。この指示により、画像形成装置1は、ジョブ予約管理サーバ5から画像形成装置1の予約状況を取得し、取得した予約状況の情報に基づいてウェイト値を前述した算出式により算出する(シーケンス501〜503)。
【0018】
(2)その後、画像形成装置1は、画像形成装置2に対して、画像形成装置2のウェイト値を送信するように要求する。この要求を受け取った画像形成装置2は、ジョブ予約管理サーバ5から画像形成装置2の予約状況を取得し、取得した予約状況の情報に基づいてウェイト値を前述した算出式により算出し、そのウェイト値を画像処理装置1に送信する(シーケンス504〜507)。
【0019】
(3)その後、画像形成装置2は、画像形成装置3に対して、画像形成装置3のウェイト値を送信するように要求する。この要求を受け取った画像形成装置3は、ジョブ予約管理サーバ5から画像形成装置3の予約状況を取得し、取得した予約状況の情報に基づいてウェイト値を前述した算出式により算出し、そのウェイト値を画像処理装置1に送信する(シーケンス508〜511)。
【0020】
(4)次に、画像形成装置1は、自画像形成装置1のウェイト値を含む画像形成装置2、3のウェイト値及び各画像形成装置の利用予約状況(今後に渡ってどれぐらい使われる可能性があるかの予測値)から各画像形成装置の利用状況を算出して、その結果を自装置の操作表示部に表示してユーザに提示する(シーケンス512)。
【0021】
(5)画像形成装置1の操作表示部に表示された各画像形成装置の利用状況を確認したユーザは、連結印刷を行わせる画像形成装置を選択、ここでは、連結親機としての画像形成装置1と、画像形成装置3とを選択して、それらの画像形成装置1、3に印刷要求を行う(シーケンス513、514)。
【0022】
(6)印刷要求を受け取った画像処理装置1、3は、それぞれ、要求された印刷の処理を実行する(シーケンス515、516)。
【0023】
図6はシーケンス512の処理で画像形成装置1の操作表示部に表示される各画像形成装置の利用状況の画面例を示す図である。ここに示す画面例は、機器名、その機器の利用状況、その機器を親機または子機として使用するか否かを選択するボタンから構成され、機器名としての画像処理装置1〜3(MFP1〜3)の使用状況が、それぞれ、低、高、中であり、ユーザが、画像処理装置1を親機として選択し、画像形成装置3を子機として選択したことを示している。
【0024】
図7はログ管理サーバをも利用し、時刻指定でPCからPCFAX要求を行った場合のシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。ログ管理サーバを利用することにより、予約管理サーバからの今後の画像形成装置の利用状況だけでなく、過去の利用状況から曜日、時間帯等の定例的な利用状況も予測した処理を行うことができ、より深い利用状況の予測を行った処理が可能となる。図7に示して説明する例は、図5により説明した連結印刷時の場合と違い、ユーザが画像形成装置からではなく、PCから処理を実行させる例である。また、図7により説明する例は、PCFAXの要求を行って処理を行うものであるが、前述した連結印刷を含む各種の処理に適用することができる。
【0025】
(1)PC7を利用して時刻指定で画像形成装置の1つにPCFAXによる印刷出力を行わせようとするユーザは、PCFAXを行わせる画像形成装置の選択を行う必要があるが、そのとき、画像形成装置の選択は他の人が使わない装置であるほど効率が上がるため、どの装置が空いているか状況を確認する。このため、ユーザは、まず、PC7を使用して時刻指定でのPCFAXを選択し、PCFAXを行わせる指示を行う。この指示により、PC7は、画像形成装置1に対して、画像形成装置1のウェイト値を送信するように要求する(シーケンス401、402)。
【0026】
(2)ウェイト値の送信を要求された画像形成装置1は、ログ管理サーバ6から画像形成装置1のログ情報を取得すると共に、ジョブ予約管理サーバ5から画像形成装置1の予約状況を取得し、取得したログ情報と予約状況の情報とに基づいてウェイト値を算出し、算出したウェイト値をPC7に通知する(シーケンス703〜706)。
【0027】
(3)次に、PC7は、画像形成装置2に対して、画像形成装置2のウェイト値を送信するように要求する。これにより、画像形成装置2は、ログ管理サーバ6から画像形成装置2のログ情報を取得すると共に、ジョブ予約管理サーバ5から画像形成装置2の予約状況を取得し、取得したログ情報と予約状況の情報とに基づいてウェイト値を算出し、算出したウェイト値をPC7に通知する(シーケンス707〜711)。
【0028】
(4)その後、PC7は、画像形成装置1、2のウェイト値から各画像形成装置の利用状況を算出して、その結果を自PCに表示してユーザに提示する。各画像形成装置の利用状況を確認したユーザは、時刻指定によるPCFAXの印刷を行わせる画像形成装置を選択、ここでは、画像形成装置2を選択して、PC2からその画像形成装置2に時刻指定によるPCFAXの印刷要求を行う(シーケンス712〜715)。
【0029】
なお、前述で説明した例は、画像形成装置が2台であるとして説明したが、画像形成装置は、さらに多数備えられていてもよい。
【0030】
図8はシーケンス713の処理でPCに表示される各画像形成装置の利用状況の画面例を示す図である。ここに示す画面例は、PCFAXによる時刻指定印刷の出力指定時刻として「14:00」を指定したとき、その時刻での各画像形成装置(MFP1〜3)の利用状況を表示している例である。
【0031】
前述した本発明の実施形態によれば、ジョブ予約管理サーバにある予約ジョブの状況を利用することにより先に渡った利用状況をユーザに示すことができるので、1台の画像形成装置に利用が集中したようなときにも、ユーザに待ち時間が発生したりするムダをなくすことができ、各画像形成装置を効率よく利用することができる。
【0032】
また、本発明の実施形態によれば、ログ管理サーバの情報を利用することにより、毎日、毎週の時間帯毎の利用状況も推測し、ユーザに対してより厳密な利用状況を通知することができる。
【0033】
さらに、前述した本発明の実施形態によれば、ユーザは、PC、画像形成装置のどちらからでもサービスを利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態による画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】ジョブ予約管理サーバが管理している情報の一例を示す図である。
【図3】ログ管理サーバが管理している情報の一例を示す図である。
【図4】ウェイト値の算出方法の一例を説明する図である。
【図5】連結印刷を画像形成装置の1つから始める場合の連結印刷時のシーケンスチャートである。
【図6】シーケンス512の処理で画像形成装置の操作表示部に表示される各画像形成装置の利用状況の画面例を示す図である。
【図7】ログ管理サーバをも利用し、時刻指定でPCからPCFAX要求を行った場合のシーケンスチャートである。
【図8】シーケンス713の処理でPCに表示される各画像形成装置の利用状況の画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0035】
1〜3 画像形成装置(MFP)
5 ジョブ予約管理サーバ
6 ログ管理サーバ
7 PC
8 ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置及び複数台の画像形成装置がネットワークに接続されて構成された画像形成システムにおいて、
前記ネットワーク上にジョブ予約管理サーバを有し、前記画像形成装置は、前記ジョブ予約管理サーバからジョブ予約状況を受け取り、それを元にウェイト計算を行い、ユーザに画像形成装置の利用状況を通知することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記ネットワーク上にログ管理サーバをさらに有し、前記画像形成装置は、前記ログ管理サーバからログ情報を受け取り、このログ情報と前記ジョブ予約状況とからウェイト計算を行い、ユーザに画像形成装置の利用状況を通知することを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記画像形成装置の利用状況のユーザへの通知は、前記画像形成装置からジョブ操作を行う場合に、ジョブ操作を行う画像形成装置に対して行われることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記画像形成装置の利用状況のユーザへの通知は、前記情報処理装置からジョブ操作を行う場合に、ジョブ操作を行う情報処理装置に対して行われることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−316854(P2007−316854A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144429(P2006−144429)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】