説明

画像形成装置、および画像形成方法

【課題】現像剤の並置混色によってフルカラー画像を形成する画像形成装置において、プリント画像のパターンによって、像担持体と転写材とのずれが生じ、部分的な画像の伸びや縮み、画像スジなどの画像不良が発生する。
【解決手段】像担持体のトナー像を転写材に転写する際に、所定の色成分のトナー像によるずれ防止パターンを形成する画像形成装置であって、各色成分のうちのずれ防止パターンの色成分以外のトナー像と、ずれ防止パターンのトナー像とが、像担持体の表面で重なる位置を検知する検知手段と、検知手段の検知結果に基づき、ずれ防止パターンを形成する色成分以外のトナー像と、ずれ防止パターンのトナー像とが像担持体の表面で重なる位置以外のずれ防止パターンを像担持体の表面に形成させる制御手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を用いた画像形成装置に関する。特に、トナー像に起因した画像形成のずれ防止に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置は、高画質や高生産性とともに、省スペースの観点から更なる小型化が強く望まれている。小型化のための1つの手段として、1つの感光体上に複数の露光装置と現像器を並べ、中間的加法混色の一種である並置混色を用いた画像形成装置が提案されている。この画像形成装置は、例えば1画素を構成するn×m(n、mは整数)のドットマトリックス内に、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックのトナーを並べて配置する。これにより、画像形成装置は、各トナーの反射光の混合、すなわち中間的加法混色の一種である並置混色により画像を形成する。このような方法であれば、従来の画像形成装置で色ステーション毎に必要であった、感光体や帯電装置を削減できるため、装置を大幅に小型化することが可能である。
【0003】
このような画像形成装置において、コート紙等の紙表面の滑り性が高い転写材を用いた場合に、像担持体と転写材との間の滑り性の変化が画像の進行方向に対してトナー像の有無により生じる。この滑り性の変化により、像担持体と転写材との間に速度差が出来てしまう。像担持体と転写材との間において、転写材の進行が遅れる様な速度差が発生するとプリント画像内の副走査方向に局所的な縮みが出来てしまう。また、像担持体の回転速度が変動し、転写材に対して、回転速度が遅くなると、プリント画像内の副走査方向に局所的な伸びや、像担持体へ画像露光のぶれによる画像スジなどの画像不良が発生することがあった。
【0004】
このような滑り性の差による画像不良を防止するために、特許文献1では画像領域のほぼ全面に画像ずれ防止ドットを印字する構成が提案されている。
【0005】
特許文献2では、プリント画像情報に基づいた現像剤像が形成される通常画像領域、及び通常画像領域の中間転写体移動方向で上流部分且つ転写材P領域内に、1以上のドット単位の面積のドット現像剤像を分散したドット分散画像を形成する。このとき、ドット分散画像の形成領域において形成されるドットのうち、プリント画像情報による現像剤像の濃度が所定濃度より薄いドットでは、所定濃度でドット現像剤像を形成し、所定濃度より濃いドットでは、外部情報に従った濃度でドット現像剤像を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−52758号公報
【特許文献2】特開2004−151588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明で課題としている、画像形成時における像担持体と転写材との間の速度差による画像不良防止について、並置混色を用いる画像形成装置では、トナーで形成されたドット同士を重ねることが出来ない。したがって、特許文献2のように、プリント画像情報による現像剤濃度が薄いドットと判定されてもドット分散画像の現像剤を重ねることができない。
【0008】
このとき、予め決定された所定のドット分散画像を形成する際に、プリント画像情報と重なるドットよりも優先してドット分散画像を形成してしまうと、プリント画像におけるベタ部分で、ドット分散画像のドットパターン部の色が抜けて見える。そのため、画像の欠損によるガサツキとなってしまい、画像の品質を低下させてしまう。
【0009】
従って本発明の目的は、並置混色の画像形成装置において、像担持体と転写材との転写時におけるずれを防止しながら、ずれ防止ドットによる画像の欠損を無くすことである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的は本発明に係る画像形成装置にて達成される。すなわち、本発明は以下の構成を有する。像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の表面に、各色成分の潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された潜像にトナー像を現像する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写させる転写手段とを備え、前記転写手段による転写時における画像形成のずれを防止するために、所定の色成分のトナー像によるずれ防止パターンを形成する画像形成装置であって、前記各色成分のうちの前記ずれ防止パターンの色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが、前記像担持体の表面で重なる位置を検知する検知手段と、前記検知手段の検知結果に基づき、前記ずれ防止パターンを形成する色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが前記像担持体の表面で重なる位置以外のずれ防止パターンを前記像担持体の表面に形成させる制御手段とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、像担持体と転写材との滑り性を一定にできる。そのため、トナー像の転写時における像担持体と転写材との間のトナー像に起因した部分的な画像の伸びや縮み、画像スジなどの画像不良の防止が可能である。また、プリント画像用ドットのある部分には、ずれ防止ドットを印字しないため、画像におけるガサツキのない良好な画質を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図。
【図2】第一実施形態に係る画像形成動作の制御ブロック図。
【図3】ずれ防止ドットを形成したときの転写材上の画像パターンを説明した図。
【図4】各画素を形成するドットマトリクス内のトナーの配置について説明した図。
【図5】第一実施形態に係る画像形成動作のフローチャート。
【図6】第二実施形態に係る画像形成動作のフローチャート。
【図7】第三実施形態に係る現像剤介在時の像担持体と転写材との摩擦力の変化の一例を示した図。
【図8】第三実施形態に係る画像形成装置の画像形成動作のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<第一実施形態>
以下、この発明の第一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態の全図においては、同一または対応する部分には同一の符号を付す。まず、この発明の第一実施形態による画像形成装置としての複写機について説明する。図1に、この発明の第一実施形態による複写機の概略構成を示す。
【0014】
(像担持体の構成)
図1に示すように、第一実施形態による画像形成装置においては、像担持体1が設けられている。以下、本発明に用いる像担持体としての電子写真感光体の構成について詳細に説明する。本発明における電子写真感光体は、感光層が電荷輸送材料と電荷発生材料を同一の層に含有する単層型、もしくは電荷輸送層と電荷発生層に分離した積層型のいずれにおいても適用可能である。しかし、電子写真特性的には積層型がより好ましい。
【0015】
電子写真感光体において使用する導電性支持体は、導電性を有するものであればよい。その材質としては、例えば、アルミニウム、ステンレス等の金属、あるいは導電層を設けた金属、紙、プラスチック等が挙げられる。また、導電性支持体の形状はシート状、円筒状等が挙げられる。本実施形態においては、省スペース化を目的として、アルミニウム製の無端状シートを用いる。
【0016】
デジタル複写機のような画像入力がレーザー光の場合は、散乱による干渉縞防止または支持体の傷を被覆することを目的とした導電層を設けてもよい。これはカーボンブラック、金属粒子等の導電性粉体をバインダー樹脂に分散させて形成することができる。導電層の膜厚は5〜40μmにて形成され、好ましくは10〜30μmが適当である。
【0017】
導電層の上に接着機能を有する中間層を設ける。中間層の材料としては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、カゼイン、ポリウレタン、ポリエーテルウレタン等が挙げられる。中間層を形成する材質は適当な溶剤に溶解して塗布される。中間層の膜厚は0.05〜5μmにて形成され、好ましくは0.3〜1μmが適当である。
【0018】
中間層の上には電荷発生層が形成される。本実施形態に用いられる電荷発生層の材料としては、例えば、セレン−テルル、ピリリウム、チアピリリウム系染科、フタロシアニン、アントアントロン、ジベンズピレンキノン、トリスアゾ、シアニン、ジスアゾ、モノアゾ、インジゴ、キナクリドン、非対称キノシアニン系の各顔料が挙げられる。
【0019】
電荷輸送層と電荷発生層とを分離した機能分離型である積層型の場合、電荷発生材料を0.3〜4倍量のバインダー脂及び溶剤と共にホモジナイザー、超音波分散、ボールミル、振動ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル及び液衝突型高速分散機等の方法で適切に分散する。そして各方法により分散された分散液を塗布、乾燥させて電荷発生層を形成する。電荷発生層の膜厚は5μm以下にて形成され、好ましくは0.1〜2μmが適当である。
【0020】
電荷輸送層は、主として本実施形態におけるバインダー樹脂と電荷輸送材料とを溶剤中に溶解させた塗料を塗工乾燥して形成する。用いられる電荷輸送材料としては、例えばトリアリールアミン系化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン化合物、ピラゾリン系化合物、オキサゾール系化合物、トリアリルメタン系化合物、チアゾール系化合物等が挙げられる。
【0021】
これらの電荷輸送層を形成する材料は、0.5〜2倍量のバインダー樹脂と組み合わされ塗工、乾燥されることで電荷輸送層を形成する。電荷輸送層の膜厚は5〜40μmにて形成され、好ましくは15〜30μmが適当である。
【0022】
像担持体1は、懸架ローラとして、像担持体1に駆動を伝達する駆動ローラ22、像担持体1の回動に従動する従動ローラ23、像担持体1を挟んでクリーニングブレード13に対向するテンションローラ24に巻架される。駆動ローラ22は、像担持体1を挟んで転写ローラ4に対向しており、金属ローラの表面に数mm厚のゴム(ウレタン又はクロロプレン)をコーティングして像担持体1とのスリップを防いでいる。駆動ローラ22はパルスモータ(不図示)によって矢印方向(反時計回り)へ回転駆動される。
【0023】
テンションローラ24と従動ローラ23との間には像担持体1の平面部が形成されており、平面部に対して帯電手段としての一次帯電器2、現像手段としての現像器40Y〜40Kの現像スリーブ41Y〜41Kが並列して配置される。
【0024】
また、この像担持体1の周囲には、転写手段としての転写ローラ4、および残留物除去手段としてのクリーニングブレード13を有するクリーニング装置14が順次配置されている。転写ローラ4は、駆動ローラ22に対向して配置され、像担持体1とのニップによって転写領域T1を形成する。このとき、転写ローラ4は像担持体1に対して適度な圧力で加圧されている。
【0025】
また、本実施形態による画像形成装置における像担持体1の下方には、原稿画像を走査(スキャン)して得られた原稿画像に対応する露光部3Y、3M、3C、3Kからの光を、像担持体1の表面に照射する光学系が設けられている。
【0026】
また、転写ローラ4の最上流には、給紙部としての給紙カセット9が配置されている。そして、記録材としての転写材30が、この給紙カセット9から、給紙ローラ10およびレジストローラ11によって給送される。そして、駆動ローラ22と転写ローラ4とが対向して配置されている転写領域T1に搬送される。
【0027】
また、転写ローラ4の下流側には、定着器15が設けられている。さらに定着器15の下流側には、転写材30を機外に排出するための、排紙ローラ16と排紙トレイとからなる排紙部が配置されている。
【0028】
以上のように構成された本実施形態による複写機において、まず、モータにより駆動される像担持体1の表面が、一次帯電器2によって帯電される。その後、一次帯電器2によって帯電された帯電域に、露光部3Yから光が照射されることにより、像担持体1の表面に静電潜像が形成される。
【0029】
イエロー現像器40Yの現像剤担持体である現像スリーブ41Yが回転することにより、露光部3Yにより形成された静電潜像がトナー現像されてイエローのトナー像として顕在化される。以下同様に露光部3Mにより形成された静電潜像に対応したマゼンタのトナー像、露光部3Cにより形成された静電潜像に対応したシアンのトナー像、および露光部3Kにより形成された静電潜像に対応したブラックのトナー像が、それぞれ現像スリーブ41M、41C、41Kによって顕在化される。
【0030】
像担持体1の表面で顕在化されたトナー像は、像担持体1の回転により転写領域T1に順次到達する。他方、送られてきた転写材30は、レジストローラ11により像担持体1上のトナー像と同期がとられて、転写領域T1に送出される。そして、転写ローラ4により、トナー像が転写される。トナー像が転写された転写材30は、続けて、定着器15によってトナー像が定着された後、排紙ローラ16を介して機外に排出される。
【0031】
他方、トナー像転写後、像担持体1の表面に残留している現像剤は、残留物として、クリーニング装置14のクリーニングブレード13により像担持体1の表面から掻き取られ、回収トナー容器に供給される。
【0032】
(制御ブロック図)
本実施形態においては、各色成分のトナーのうち、ずれ防止パターンをイエロートナーで形成している。ここでのずれ防止パターンとは、転写時における像担持体と転写材との間のずれを防止するために用いられるドットのパターンを示している。詳細については、図3および図4を用いて後述する。また、ずれ防止パターンに含まれる各ドットをずれ防止ドットとも記載する。
【0033】
露光部3Yに入力される画像データは、図2のブロック図のように生成される。ホストPC101あるいはリーダー(画像読み取り部)102から入力されたプリント画像を形成するための外部情報は画像処理部103で処理され、露光部3Y〜3Kに作用するレーザーユニット107を駆動するための通常画像信号として出力される。又、ずれ防止ドット形成部104では、ずれ防止パターンとして微小なドットからなるトナー像が分布されたドットパターンを形成するためのドットパターン信号が生成される。
【0034】
ずれ防止ドット形成部104から取得したドットパターン信号と、画像処理部103から取得したプリント画像信号に含まれる画像パターン情報とを合成した露光画像情報が画像パターン判定回路105を介してPWM回路106に送られる。PWM回路106では、露光画像情報に応じたパルス幅を生成するPWMテーブルによりパルス幅信号に変換されて、レーザーユニット107に送られる。そして、像担持体1上に形成されるトナー像は、図3に示すような、通常プリント画像とずれ防止パターンを重ね合わせたものになる。なお、パルス幅信号に変換するためのPWMテーブルは、予め定義されているものとする。
【0035】
(制御フローチャート)
本実施形態におけるずれ防止パターンを形成する際の画像形成動作のフローチャートについて説明する。なお、本処理は、本実施形態において、図2に示す各構成要素によって実現される。しかし、各構成要素にて回路と記載されている箇所を画像形成装置が有するCPU(不図示)が実行するプログラムにて実現してもよい。また、以下に述べるプリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりを判定する際において、ずれ防止パターンの色成分と、プリント画像パターンの色成分とが重なっているかの検知結果を用いて判定する。すなわち、本実施形態においては、ずれ防止パターンの色成分はイエローであるため、イエローとその色成分以外とが重なっているか否かで判定する。
【0036】
図5に示したように、まずホストPC101あるいはリーダー(画像読み取り部)102から入力されたプリント画像を形成するための外部情報が画像処理部103に入力される。そして、画像処理部103により生成されたプリント画像パターンが画像パターン判定回路105に入力される。これとともに、ずれ防止ドット形成部104から予め設定されたずれ防止パターンの信号も入力される(S1)。画像パターン判定回路105は、プリント画像パターンとずれ防止パターンとが像担持体上で重なるエリアがあるか否かを判定する(S2)。この判定により、検知手段を実現する。プリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりがある場合(S2にてYES)、画像パターン判定回路105は、重なっているエリアからずれ防止パターンを削除した露光画像信号(露光画像情報)を形成する(S3)。そして、S4へ遷移する。プリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりがない場合(S2にてNO)、S4へ遷移する。露光部3Y〜3Kは、露光画像信号に基づいてPWM回路106により生成されたパルス幅信号に従って潜像パターンを形成し、上述した画像形成動作を実行する(S4)。つまり、プリント画像パターンとずれ防止パターンとが重なった位置以外において、ずれ防止パターンの画像形成を行うこととなる。以上により、本処理フローを終了する。
【0037】
(ずれ防止パターン)
転写材30において、上記制御フローに従ったタイミングで形成された通常プリント画像領域とずれ防止パターンのエリアを図3に示した。尚、ここでは、露光部3から照射されるレーザービームで走査される方向、つまり像担持体1の移動方向(進行方向)と交差する方向を主走査方向、像担持体1が移動する方向を副走査方向と称す。
【0038】
転写材エリア(転写材領域)内のほぼ全域が本発明とするところのずれ防止パターンエリア(領域)を示し、プリント画像は図3中の斜線(画像中央部のL字部分)で描かれた画像である。
【0039】
図4に、図3で説明したプリント画像領域における各画素を形成するドットマトリクス内のトナーの配置を示す。図4において、マゼンタトナードット、シアントナードット、ずれ防止パターンによるドット(イエロー)をそれぞれ示している。また、画像ドット(マゼンタ、シアン)とずれ防止パターンによるドットとが重複する位置を示している。なお、本実施形態において、ずれ防止パターンは1色(イエロー)の場合を例にとって述べているが、例えば、複数色を扱える画像形成装置において、複数の色にてずれ防止パターンを形成させても構わない。
【0040】
従来技術にて説明したように、通常像担持体1と転写材30との間に摩擦力が生じ、像担持体1と転写材30との間にトナーがある場合と無い場合で摩擦力の程度が変化する。つまり、像担持体1と転写材30との間の滑り性に変化が生じる。この滑り性により、像担持体1の移動速度が転写材30に対して遅くなるように変動する場合は、プリント画像が副走査方向に伸びたり、像担持体1への画像露光がぶれてしまい、画像先端部に画像スジが発生する。一方、転写材30の移動速度が像担持体1に対して遅くなるように変化する場合は、プリント画像の副走査方向の縮みが発生する。
【0041】
本発明により、プリント画像のパターン形状によらず、ドットパターンの領域に隙間が無くなるので、転写ニップでのトナーが存在しない部分から存在する部分に変化することによる像担持体1と転写材30との摩擦力の急激な変動が避けられる。結果として、像担持体1と転写材30の移動速度の変動を緩和できる。そのことにより安定した画像形成を行える。
【0042】
尚、本実施形態では、ドットマトリクスによる画像パターン作成例を示したが、スクリーンによる画像パターン作成においても本発明は適用可能である。
【0043】
<第二実施形態>
本実施形態では、プリント画像パターンとずれ防止パターンのドットが重なった場合に別の場所にドットを配置することを特徴としている。本実施形態で用いる画像形成装置は、特に明記しない限り第一実施形態と同様の構成を有する。
【0044】
像担持体1と転写材30との摩擦力は、両者のニップ間に存在するトナー量によって決まるので、主走査方向全域と、副走査方向においては、像担持体1と転写材30とがニップを形成する位置(転写領域T1)に所定以上のトナーが存在すれば良い。ここでの所定以上とは、トナーが存在する所定の数以上のドット数を意味する。そのため、ずれ防止ドットの位置をずらす場合には、該当するドット印字位置と同一のニップ形成領域にドットを形成すれば良いことになる。具体的には、主走査方向に位置をずらしてずれ防止ドットを形成することが望ましい。
【0045】
(制御フローチャート)
図6のフローチャートを参照して、ずれ防止パターンを形成する画像形成動作の流れを説明する。なお、本処理は、本実施形態において、図2に示す各構成要素によって実現される。しかし、各構成要素にて回路と記載されている箇所を画像形成装置が有するCPU(不図示)が実行するプログラムにて実現してもよい。
【0046】
まずホストPC101あるいはリーダー(画像読み取り部)102から入力されたプリント画像を形成するための外部情報が画像処理部103に入力される。そして、画像処理部103により生成されたプリント画像パターンが画像パターン判定回路105に入力される。これとともに、ずれ防止ドット形成部104から予め設定されたずれ防止パターンの信号も入力される(S11)。画像パターン判定回路105は、プリント画像パターンとずれ防止パターンとが像担持体1上で重なるエリアがあるか否かを判定する(S12)。この判定により、検知手段を実現する。プリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりがある場合(S12にてYES)、重なっているエリアから、ずれ防止パターンのドットを近傍のエリアにずらした露光画像信号(露光画像情報)を形成する(S13)。ずれ防止パターンのドットをずらす場合、ずれ防止の観点から、該当のドットがあった位置から主走査方向にずらす。このとき、主走査方向であれば正負のいずれの向きでも構わない。そして、S14へ遷移する。プリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりがない場合(S12にてNO)、S14へ遷移する。露光部3Y〜3Kは、露光画像信号に基づいてPWM回路106により生成されたパルス幅信号に従って潜像パターンを形成し、上述した画像形成動作を実行する(S14)。以上により、本処理フローを終了する。
【0047】
以上により、第一実施形態と同様に、安定した画像形成が可能となる。
【0048】
<第三実施形態>
本実施形態では、プリント画像パターンの主走査方向におけるトナー像のドット数が所定の数以上であれば、主走査方向の位置にずれ防止用パターンのドットを打たないことを特徴としている。本実施形態で用いる画像形成装置は、特に明記しない限り第一実施形態と同様の構成を有する。
【0049】
図7は、像担持体1と、当該像担持体1に対して総圧1kgfの加圧力で押し当てた転写ローラ4との間に、A4ヨコサイズのコート紙を通紙した場合のトナー像のドット数による像担持体1と転写材30との動摩擦力の変化を示した図である。主走査方向のトナー像のドット数は約600dpiとした。この結果からも分かるように、主走査方向のトナー像のドット数が一定個数以上であれば、動摩擦力の差は生じず、ずれが発生する状態にはならない。この実験的に求められた値を参照し、所定の数として、予め保持しておく。
【0050】
(制御フローチャート)
図8のフローチャートを参照して、ずれ防止パターンを形成する画像形成動作の流れを説明する。なお、本処理は、本実施形態において、図2に示す各構成要素によって実現される。しかし、各構成要素にて回路と記載されている箇所を画像形成装置が有するCPU(不図示)が実行するプログラムにて実現してもよい。
【0051】
まずホストPC101あるいはリーダー(画像読み取り部)102から入力されたプリント画像を形成するための外部情報が画像処理部103に入力される。そして、画像処理部103により生成されたプリント画像パターンが画像パターン判定回路105に入力される。これとともに、ずれ防止ドット形成部104から予め設定されたずれパターンの信号も入力される(S21)。画像パターン判定回路105は、プリント画像パターンの主走査方向のドット数が所定値以下であるか否かを判定する(S22)。ドット数が所定値以下の場合(S22にてYES)、該当の主走査方向に予め設定されたずれ防止パターン信号を入力する(S23)。そして、S24へ進む。ドット数が所定値よりも大きい場合(S22にてNO)、S26へ進む。
【0052】
画像パターン判定回路105は、プリント画像パターンとずれ防止パターンとが像担持体上で重なるエリアがあるか否かを判定する(S24)。プリント画像パターンとずれ防止パターンの重なりがある場合(S24にてYES)、画像パターン判定回路105は、重なっているエリアからずれ防止パターンを削除した露光画像信号を形成する(S25)。プリント画像パターンとずれ防止パターンとの重なりがない場合(S24にてNO)、S26へ遷移する。露光部3Y〜3Kは、露光画像信号に基づいてPWM回路106により生成されたパルス幅信号に従って潜像パターンを形成し、上述した画像形成動作を実行する(S26)。一方、プリント画像の主走査方向のドット数が所定値より大きい場合(S22にてNO)、ずれ防止パターンのドットを印字する必要がない。したがって、露光部3Y〜3Kは、ずれ防止パターンの信号がプリント画像パターンに合成されていないパルス幅信号に従って画像形成動作を行うこととなる(S26)。以上、本処理フローを終了する。
【0053】
本実施形態によれば、第一実施形態の効果に加え、不要なずれ防止ドットを印字する必要がなく、現像剤の消費量を削減することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の表面に、各色成分の潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された潜像にトナー像を現像する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写させる転写手段とを備え、前記転写手段による転写時における画像形成のずれを防止するために、所定の色成分のトナー像によるずれ防止パターンを形成する画像形成装置であって、
前記各色成分のうちの前記ずれ防止パターンの色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが、前記像担持体の表面で重なる位置を検知する検知手段と、
前記検知手段の検知結果に基づき、前記ずれ防止パターンを形成する色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが前記像担持体の表面で重なる位置以外のずれ防止パターンを前記像担持体の表面に形成させる制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、更に各色成分のトナーに前記像担持体の表面で重なる位置の前記ずれ防止パターンを、主走査方向のトナー像が重ならない位置にずらして形成させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記トナー像を形成するドットの数が前記像担持体の主走査方向において所定値以下である場合に、前記主走査方向において、前記ずれ防止パターンを形成する色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが前記像担持体の表面で重なる位置以外のずれ防止パターンを形成させることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
像担持体と、前記像担持体の表面を帯電する帯電手段と、前記像担持体の表面に、各色成分の潜像を形成する露光手段と、前記露光手段により形成された潜像にトナー像を現像する現像手段と、前記トナー像を転写材に転写させる転写手段とを備え、前記転写手段による転写時における画像形成のずれを防止するために、所定の色成分のトナー像によるずれ防止パターンを形成する画像形成装置における画像形成方法であって、
検知手段が、前記各色成分のうちの前記ずれ防止パターンの色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが、前記像担持体の表面で重なる位置を検知する検知工程と、
制御手段が、前記検知工程における検知結果に基づき、前記ずれ防止パターンを形成する色成分以外のトナー像と、前記ずれ防止パターンのトナー像とが前記像担持体の表面で重なる位置以外のずれ防止パターンを前記像担持体の表面に形成させる制御工程と
を有することを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−103440(P2012−103440A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251276(P2010−251276)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】