説明

画像形成装置、プログラムおよび情報処理システム

【課題】ユーザが操作を行うことなく画像データの内容や出力を制御することにより、ユーザや管理者に負担をかけずに情報の漏洩を防ぐ。
【解決手段】短距離通信手段にて受け取った通信設定情報を使用して近距離通信手段にて受信した携帯端末装置からのデータに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、データ処理部またはプリンタ部で行う処理内容を制御する。これにより、画像形成装置と携帯端末装置とを確実に無線接続してから画像処理の制御に関するデータに従ったデータ処理部により処理されたデータのプリンタ部による出力が可能となることにより、携帯端末装置を持ち歩くユーザまたは画像形成装置の管理者が操作を行うことなく画像データの内容や出力を制御することができるので、ユーザや管理者に負担をかけずに情報の漏洩を防ぐことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、プログラムおよび情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報機器の小型化に伴って、ユーザは手軽に情報機器を持ち歩くことが可能になった。さらに、場所にとらわれずに情報機器同士を自由に接続できる環境も整備されつつある。
【0003】
一方で、社外に持ち出された情報機器から企業に不利益な情報が漏洩する問題も起こり始めている。そのため、企業では、情報セキュリティを確保、維持する管理体制を構築することが重要視されている。
【0004】
例えば特許文献1では、ネットワーク上におけるデータのセキュリティを保護するために、端末装置から受信した画像データに付加されている情報を元に出力するか否かを判断して画像出力を制御する画像形成装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、端末装置側であらかじめ、画像データを扱うユーザが必要に応じて画像出力制御用の情報を付加する必要があり、ユーザに負担がかかるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザが操作を行うことなく画像データの内容や出力を制御することにより、ユーザや管理者に負担をかけずに情報の漏洩を防ぐことができる画像形成装置、プログラムおよび情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、携帯端末装置の近接に伴って短距離通信手段にて無線接続を確立して当該短距離通信手段よりも長距離での無線通信が可能な近距離通信手段のための通信設定情報を受け取った後、当該通信設定情報を使用して前記近距離通信手段にて無線接続を確立して、前記携帯端末装置から前記近距離通信手段にて受信したデータをデータ処理部にてデータ処理し、前記データ処理部により処理されたデータの出力をプリンタ部にて行う画像形成装置において、前記近距離通信手段にて受信した前記データに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、前記データ処理部または前記プリンタ部で行う処理内容を制御する制御部を備える、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、短距離通信手段にて受け取った通信設定情報を使用して近距離通信手段にて受信した携帯端末装置からのデータに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、データ処理部またはプリンタ部で行う処理内容を制御することにより、画像形成装置と携帯端末装置とを確実に無線接続してから画像処理の制御に関するデータに従ったデータ処理部により処理されたデータのプリンタ部による出力が可能となることにより、携帯端末装置を持ち歩くユーザまたは画像形成装置の管理者が操作を行うことなく画像データの内容や出力を制御することができるので、ユーザや管理者に負担をかけずに情報の漏洩を防ぐことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の実施の一形態にかかる情報処理システムの構成を示す模式図である。
【図2】図2は、複合機のハードウェア構成を示す説明図である。
【図3】図3は、情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、印刷開始の制御データの一例を示す模式図である。
【図5】図5は、タグに指定する値のリストの例を示す模式図である。
【図6】図6は、操作表示部で表示される表示画面の一例を示す説明図である。
【図7】図7は、携帯端末装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】図8は、印刷設定項目を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】図9は、ガイド画面の一例を示す模式図である。
【図10】図10は、機能設定情報の一例を示す模式図である。
【図11】図11は、印刷設定画面の一例を示す模式図である。
【図12】図12は、携帯端末装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】図13は、印刷要求処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図14は、印刷ファイル選択画面の一例を示す模式図である。
【図15】図15は、印刷中画面の一例を示す模式図である。
【図16】図16は、印刷エラー画面の一例を示す模式図である。
【図17】図17は、情報処理システムの変形例の構成を示すブロック図である。
【図18】図18は、データ記憶部のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図19】図19は、機種情報に従って履歴を取得するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図20】図20は、設定情報に含まれる複製検知レベルを変更するための処理の流れを示すフローチャートである。
【図21】図21は、設定情報に含まれる複製検知設定処理の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置、プログラムおよび情報処理システムの最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
本実施の形態について、添付図面を参照して説明する。本実施の形態は、情報処理装置(画像形成装置)の一例として、コピー機能、ファクシミリ(FAX)機能、プリント機能、スキャナ機能および入力画像データ(スキャナ機能により読取られた画像データや、プリント機能により形成された画像データ、FAX機能により受信した画像データ)を配信する機能等を備えたいわゆる複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)に適用する。尚、以下では、情報処理装置の一例として複合機に適用して説明しているが、印刷機能のみを備える印刷(プリンタ)装置、スキャナ機能のみを備えるスキャナ装置のほか、これらの機能を備える画像形成装置等の情報処理装置であれば適用可能であり、上述した複合機に限られるものではない。
【0012】
まず、本発明が適用される複合機および携帯端末装置を含む情報処理システムの構成例について説明する。図1は、本発明の実施の一形態にかかる情報処理システムの構成を示す模式図である。本実施の形態にかかる情報処理システム10は、複合機100と、携帯端末装置200とを備える。携帯端末装置200は、携帯電話、ノートPC、PDAなどのように小型の計算機に無線通信機能を有したものである。複合機100は、よく知られているように、印刷用のデータを処理し、媒体(例えば紙)に出力する機能を有する装置である。
【0013】
複合機100は、データ処理に用いる様々な設定能力を有し、例えば、両面可否(媒体の片面に印刷するか、例えば、両面で左綴じ方向に印刷するか)、集約可否(生成した1ページ分の画像をそのまま媒体に転写するか、例えば2ページ分の画像を縮小加工し、2ページ分を1ページとして媒体に転写するか)、カラー印刷可否(カラー印刷か、白黒印刷か)、ステープル可否(ステープル綴じをしないか、例えば左上に1ヶ所ステープル綴じをするか)などの設定を行うことができる。
【0014】
複合機100と携帯端末装置200とは、後述するように2つの通信手段によって、2点鎖線で示す通信範囲1及び破線で示す通信範囲2の範囲での通信が可能である。また、複合機100は、ネットワーク300に接続され、ネットワーク300を介して他の複合機400やファクシミリ装置、クライアント端末装置等に接続されている。この図1の例では、携帯端末装置100において、ユーザは複合機100に対する出力設定として、文書データ“○○○.pdf”のデータに対して、“両面”印刷の設定を“左綴じ”、“集約”の設定を“しない”、“カラー/白黒”印刷の設定を“白黒”にし、一方複合機100のプリンタ機能の能力としては、“両面”印刷の設定を“左綴じ”、“集約”の設定を“しない”、“カラー/白黒”印刷の設定を“白黒”等の設定が可能であることを示している。そして、以降で説明する印刷処理によって、図1に示す文書データP1が、白黒で、かつ集約されずに両面印刷された文書として出力されることを示している。
【0015】
次に、複合機100のハードウェア構成を説明する。図2は、複合機100のハードウェア構成を示す説明図である。図2に示すように、複合機100は、コントローラ510とプリンタ部560およびスキャナ部570とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ510は、デジタル複合機100全体の制御と描画、通信、操作部520からの入力を制御するコントローラである。なお、プリンタ部560またはスキャナ部570には、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。操作部520は、スキャナ部570で読み取られた原稿の原稿画像情報等をLCD(Liquid Crystal Display)に表示するとともに操作者からの入力をタッチパネルを介して受け付ける操作表示部520aと、操作者からのキー入力を受け付けるキーボード部520bとを有している。
【0016】
本実施の形態にかかるデジタル複合機100は、操作部520のアプリケーション切り替えキーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、およびファクシミリ機能を順次に切り替えて選択することが可能となっている。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリモードの選択時にはファクシミリモードとなる。
【0017】
コントローラ510は、コンピュータの主要部であるCPU(Central Processing Unit)511と、システムメモリ(MEM−P)512と、ノースブリッジ(NB)513と、サウスブリッジ(SB)514と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)516と、記憶部であるローカルメモリ(MEM−C)517と、記憶部であるハードディスクドライブ(HDD)518とを有し、NB513とASIC516との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス515で接続した構成となる。また、MEM−P512は、ROM(Read Only Memory)512aと、RAM(Random Access Memory)512bとをさらに有する。
【0018】
CPU511は、デジタル複合機100の全体制御を行うものであり、NB513、MEM−P512およびSB514からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0019】
NB513は、CPU511とMEM−P512、SB514、AGPバス515とを接続するためのブリッジであり、MEM−P512に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0020】
MEM−P512は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM512aとRAM512bとからなる。ROM512aは、CPU511の動作を制御するプログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM512bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0021】
SB514は、NB513とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB514は、PCIバスを介してNB513と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部580なども接続される。
【0022】
ASIC516は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス515、PCIバス、HDD518およびMEM−C517をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC516は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC516の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C517を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、プリンタ部560やスキャナ部570との間でPCIバスを介したデータ転送を行うPCIユニットとからなる。このASIC516には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)530、USB(Universal Serial Bus)540、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース550が接続される。
【0023】
MEM−C517は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD518は、画像データの蓄積、CPU511の動作を制御するプログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0024】
AGPバス515は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM−P512に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にするものである。
【0025】
なお、本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0026】
さらに、本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の複合機100で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0027】
本実施の形態の複合機100で実行されるプログラムは、後述する各部(NFC通信部101、ブルートゥース通信部102、利用可否判定部104、データ処理部106、ファクシミリ送受信部108、制御部111など(図3参照))を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、NFC通信部101、ブルートゥース通信部102、利用可否判定部104、データ処理部106、ファクシミリ送受信部108、制御部111などが主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0028】
図3は、本実施の形態にかかる情報処理システム10の構成を示すブロック図である。複合機100は、NFC通信部101と、ブルートゥース通信部102と、利用可否判定部104と、スキャナ部105と、データ処理部106と、プリンタ部107と、ファクシミリ送受信部108と、設定情報記憶部110と、制御部111とを備えている。
【0029】
制御部111は、NFC通信部101と、ブルートゥース通信部102と、利用可否判定部104と、スキャナ部105と、データ処理部106と、プリンタ部107と、ファクシミリ送受信部108と、設定情報記憶部110とをそれぞれ制御する。
【0030】
NFC通信部101は、短距離通信手段であるNFC(Near Field Communication)と呼ばれる非接触IC用無線通信規格により携帯端末装置200と非接触で通信するものであり、具体的には、後述する携帯端末装置のNFC通信部201のタグからの情報を非接触で読み出す通信制御プログラムを内蔵したリーダ/ライタである。NFC通信部101は、もう一つの通信手段であるブルートゥース通信部102と比較して近距離、すなわち通信距離が0〜10数mmの非接触無線通信によりデータを送受信する。また、NFC通信部101によるNFC規格の非接触通信では、データ転送速度(100〜400kbps)がブルートゥース通信部102よるBluetooth(R)規格の無線通信のデータ転送速度(1〜2Mbps)よりも遅いため、比較的小容量のデータの通信に用いる。なお、NFC通信部101は、通信規格をNFCに限る必要はなく、比較的近距離、すなわち後述するBluetooth(R)規格の無線通信の通信範囲より狭い通信範囲での無線通信が可能であれば他の通信規格であってもよい。
【0031】
また、NFC通信部101は、携帯端末装置200がNFC通信部101の通信圏内に接近した場合に、携帯端末装置200のNFC通信部201との通信を確立し、携帯端末装置200から送信された認証ID、機能ID、通信設定情報、機能設定情報を受信する。ここで、認証IDとは、携帯端末装置200からの指示による複合機100の利用を許可するか否かを判定するための情報(認証情報)である。なお、認証IDは、携帯端末装置200に割当てられた固有の情報や携帯端末装置200を所持するユーザを識別する情報であってもよい。ユーザを識別する情報を用いる場合は、社員ID等の情報を用いてもよい。また、機能IDとは、携帯端末装置200が利用を要求する複合機100の機能を示す情報(機能情報)であり、例えば、複合機100のプリント機能を利用する場合は、機能IDに“プリントID”を設定する。また、複合機100のスキャナ機能を利用する場合は、機能IDに“スキャナID”を設定する。
【0032】
また、通信設定情報とは、ブルートゥース通信部102での無線通信を行う際に必要となる情報である。このように、データの送受信が容易なNFC通信によって携帯端末装置200と複合機100の間でブルートゥース通信の通信設定情報を受信することにより、ユーザは複合機100に携帯端末装置200を近づけるだけで特別な操作をすることなく、通信相手である複合機100を特定でき、ブルートゥース通信が可能となるため、利便性が向上する。機能設定情報とは、機能に応じた処理内容を指示する設定情報である。例えば、機能IDにプリントIDが設定されている場合は、機能設定情報として印刷設定情報である設定ID“両面印刷”に設定値“on”または“off”、設定ID“集約”に設定値“on”または“off”等を設定する。また、機能IDにスキャンIDが設定されている場合は、機能設定情報としてスキャン設定情報である設定ID“解像度”に設定値“300”dps等を設定する。
【0033】
なお、機能設定情報は、複合機100の状態情報や設定情報を含み、項目とその項目が有する値とをもつ。例えば、複合機100の状態を表す項目として、各トレイの接続状態、各トレイの用紙残量、各トレイの用紙サイズ、ステープルユニットの接続状態、パンチユニットの接続状態などを含む。また、設定情報として、印刷部数、印刷カラー、印刷用紙トレイ、印刷用紙サイズ、印刷用紙種類、両面印刷の可否、印刷ソートの可否、印刷ステープルの可否、印刷パンチの可否、印刷集約、排紙トレイ、解像度、地紋印刷の可否などを含む。さらに、機能設定情報は、複合機100のプリンタ記述言語(PostScript、PDF(Portable Document Format)、PCL(Printer Control Language),PJL(Printer Job Language)等)などで記述してもよい。
【0034】
利用可否判定部104は、携帯端末装置200によって送信された機能IDが複合機100の利用を認められるIDであるか否かを判断する。
【0035】
ブルートゥース通信部102は、近距離通信手段であるBluetooth(R)規格により携帯端末装置200と非接触で通信するものである。Bluetooth(R)規格の無線通信方式を採用したブルートゥース通信部102は、NFC規格の非接触通信方式のNFC通信部101と比較して大容量かつ高速(1〜2Mbps)でデータの送受信を行う。また、Bluetooth(R)規格の無線通信方式を採用したブルートゥース通信部102では、機器間の距離が10m以内であれば障害物があっても利用することができ、NFC規格の通信方式の通信範囲に比べて通信範囲が長くなっている。
【0036】
ブルートゥース通信部102は、具体的には、データの送受信を担うBluetooth(R)規格のトランシーバ等のBluetooth(R) I/F(インタフェース)と、通信制御部とから構成される。Bluetooth(R) I/Fは、接続先の携帯端末装置200との間でデータの送受信を担うものである。通信制御部は、携帯端末装置200との間でデータを送受信する前に、Bluetooth(R) I/Fを介して通信設定情報を通信先と交換して、Bluetooth(R)規格の無線通信を確立する処理を行う通信制御プログラムである。この通信設定情報としては、Bluetooth(R) I/Fに割り当てられた固有のアドレス情報を用いる。
【0037】
なお、本実施の形態では、無線通信としてBluetooth(R)規格に準拠したブルートゥース通信部102を用いているが、これに限定されるものではなく、Bluetooth(R)規格に代えて他の規格、例えば、IEEE802.11a/IEEE802.11b規格のWiFi(Wireless Fidelity)方式で無線通信を行うように構成することができる。この場合、データの送受信を担うIEEE802.11a/IEEE802.11b規格のネットワークボードとIEEE802.11a/IEEE802.11bによる無線通信の確立やデータの送受信を制御する通信制御部(通信制御プログラム)でWiFi通信部を構成すればよい。また、UWB通信方式で機器間の距離が3m以内なら有線のUSB2.0と同等の480Mbpsでの通信が可能なWireless USB規格で無線通信を行うように構成することができる。この場合には、データの送受信を担うWireless USB規格のUSBデバイスとUWB方式による無線通信の確立やデータの送受信を制御する通信制御部(通信制御プログラム)によりWireless USB通信部を構成すればよい。
【0038】
また、ブルートゥース通信部102は、NFC通信によって携帯端末装置200から通信設定情報を受信し、受信された通信設定情報によって携帯端末装置200とのブルートゥース通信が確立した場合は、機能IDに応じたデータを送受信する。なお、送受信されるデータは、画像データや文書データ、テキストデータ、その他様々な種類のデータのいずれであってもよい。
【0039】
スキャナ部105は、CCD(Charge Coupled Devices)等のような撮像素子で原稿を読み取る。なお、スキャナ部105には、ADF(Auto Document Feeder)を搭載して、自動原稿送りをしてもよい。
【0040】
データ処理部106は、ブルートゥース通信部102によって受信したデータまたはブルートゥース通信部102によって送信するデータ等に対してNFC通信部101によって受信した機能ID、機能設定条件に応じた処理を行う。例えば、機能IDが“プリントID”の場合は、機能設定情報に応じてデータに対して濃度や色調整等の画像処理や片面/両面印刷等のレイアウト加工等を行う。また、機能IDが“スキャナID”に場合は、スキャナ部105から読取ったデータに対して機能設定条件に従って画像処理やレイアウト加工等を行う。
【0041】
プリンタ部107は、データ処理部106によって画像処理やレイアウト加工等されたデータを印刷する。
【0042】
ファクシミリ送受信部108は、スキャナ部105によって読込まれたデータや携帯端末装置200から送信されたデータを、ネットワーク300を介して他の複合機400やファクシミリ装置、クライアント端末などに送信する。また、ファクシミリ送受信部108は、他の複合機400やファクシミリ装置、クライアント端末から送信されたデータを受信する。
【0043】
設定情報記憶部110は、後述する図5に示すように複合機100が保持する機能を機能設定情報として、機能名、設定項目ID、設定項目の値とを対応付けて記憶する。図5の両面の設定では“1”(両面印刷しない)から“4”(上綴じ)の設定を記憶している。なお、複合機が両面印刷の機能を有していないような場合には、両面設定“1”(両面印刷しない)のみを記憶している。同様に、複合機がカラー印刷の機能を有していないような場合には、カラー/白黒設定“1”(白黒)のみを記憶している。このように複合機100は、一般に機種によって各機能の処理内容が異なるため、機能名ごとの設定項目IDとその設定項目IDに対応して設定可能な値を格納しておく。
【0044】
次に、携帯端末装置200について説明する。携帯端末装置200は、CPU(プロセッサ),ROM,RAM等を備えたコンピュータ構成である。携帯端末装置200で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。また、携帯端末装置200で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで半導体メモリ等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0045】
さらに、携帯端末装置200で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、本実施形態の携帯端末装置200で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0046】
携帯端末装置200で実行されるプログラムは、後述する各部(NFC通信部201、ブルートゥース通信部202、印刷制御部206など(図3参照))を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPUが上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、NFC通信部201、ブルートゥース通信部202、印刷制御部206などが主記憶装置上に生成されるようになっている。なお、携帯端末装置200は、具体的には携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistants)、ノートパソコン、携帯型記憶媒体等である。
【0047】
図3に示すように、携帯端末装置200は、NFC通信部201と、ブルートゥース通信部202と、データ記憶部203と、操作入力部204と、操作表示部205と、印刷制御部206とを備えている。
【0048】
NFC通信部201は、携帯端末装置200が複合機100のNFC通信部101の通信圏内に接近した場合に、複合機100のNFC通信部101との通信を確立し、携帯端末装置200から複合機100を利用するための認証IDや機能ID、ブルートゥース通信部202による通信を確立するための通信設定情報、機能設定情報を送信する。
【0049】
具体的には、NFC通信部201は、タグと、通信の確立やデータの送受信を制御する通信制御プログラムとを内蔵したNFCチップであり、このタグに上記認証IDや機能IDが記憶されている。このNFC通信部201を複合機100に近接すると、通信が確立され複合機100のNFC通信部(リーダ/ライタ)101によってタグ内の情報が読み取られることにより送信されるようになっている。
【0050】
なお、この場合には、タグと通信制御プログラムとを内蔵したNFCチップを非接触式ICカードに保存しておき、携帯端末装置200の本体と独立して、認証IDや機能IDを複合機100に送信する構成としてもよい。
【0051】
なお、本実施の形態では、携帯端末装置200のNFC通信部201に認証IDや機能IDを記憶したタグを設け、複合機100のNFC通信部101をリーダ/ライタとして構成したが、これに限定されるものではない。携帯端末装置200のNFC通信部201をリーダ/ライタとし、複合機100のNFC通信部101をタグとして構成してもよい。この場合には、携帯端末装置200のデータ記憶部203に認証IDや機能IDを記憶しておき、このNFC通信部201を複合機100に近接させて通信を確立し、図示しない制御部によって、データ記憶部203の認証IDや機能IDをNFC通信部201に転送し、NFC通信部201のリーダ/ライタによって、転送された認証IDや機能IDを複合機100のNFC通信部(タグ)101に送信して書き込むように構成すればよい。
【0052】
ブルートゥース通信部202は、複合機100のブルートゥース通信部102との通信が確立した場合は、データ記憶部203に格納されているデータを複合機100に送信する。また、ブルートゥース通信部202は、複合機100の機能を利用して処理されたデータを受信する。
【0053】
データ記憶部203は、複合機100の機能を利用するためのデータを格納する。例えば、複合機100のプリント機能を利用する場合には、通信設定情報と、機能設定情報としての印刷設定情報と画像データが格納されている。なお、機能設定情報は、例えば、図5に示すようなデータ形式で格納される。ここで、設定項目IDとは、機能の処理内容を示すID番号であり、例えばプリント機能の場合は設定IDとして“6”の“両面”等がある。また、設定項目の値は、設定項目IDに設定可能な候補値のなかからデータに対する処理として設定した値であり、両面印刷の設定項目ID“6”に対して設定値“2”(左綴じ)等が設定される。
【0054】
操作入力部204は、プッシュボタン等の操作ボタンから構成され、ユーザからの機能名、設定項目ID、設定項目の値の入力を受付ける。例えば、ユーザは、データ記憶部203に格納された複合機100を利用するための設定項目の値を選択して指定する場合に、操作入力部204を押下することによって、設定項目の値を指定することができる。このようにして受け付けられた複合機100を利用するための制御データは、データ記憶部203に記憶されるとともに、印刷制御部206に伝達される。制御データの詳細については、後述する。
【0055】
印刷制御部206は、制御データをブルートゥース通信部202を介して複合機100に送信する。複合機100は、制御データに従って複合機100に対する印刷開始、印刷切断、印刷データ生成、設定情報の取得、印刷状況の取得などの処理を行う。また、印刷制御部206は、複合機100から受け取った制御データに対する応答データ、または設定情報を、操作表示部205に伝達する。
【0056】
ここで、図4は印刷開始の制御データの一例を示す模式図である。図4に示す例は、機能設定情報を含む印刷開始の制御データをXML(eXtensible Markup Language)で記述した例である。
【0057】
印刷開始の要求は、requestPrintStartで行うことができる。具体的には、RequestPrintStartタグの入れ子に、印刷データのファイル名と印刷設定情報を記述する。ここで、ファイル名はfileNameタグに記述し、設定情報はmodeタグに記述する。modeタグは、さらに機能、設定項目ID、設定項目の値を表すfuncタグ、propertyidタグ、valueタグを有している。図5に、各タグに指定する値のリストの例を示す。ここで、funcタグは、印刷やスキャンなどデータ処理の機能名を表し、Printは携帯端末から印刷装置へ印刷を行うときの機能名である。
【0058】
propertyidタグは、設定項目のID番号をあらわす。図5の例では、設定項目名の印刷部数、カラー/白黒、の順に1,2,・・・とあらかじめ番号を対応付けておく。valueタグは、設定項目の値であり、印刷部数やカラー/白黒の設定項目の設定値を数値で指定する。ここで、印刷カラー設定項目の値には、白黒、カラーの値としてそれぞれ1,2があらかじめ対応付けられている。従って、図4に示すpuropetyidを2,valueを2で記述している箇所は、カラー/白黒の設定項目に対してカラーの値を設定することになる。
【0059】
なお、上記ではXMLによる記述を示したが構造化された文書であればどのような形式でもよく、HTML(Hyper Text Markup Language)で記載してもよい。また、XMLの例では、設定項目などのキーワードをタグで記述しているが、制御用のキーワードを一意に定義してキーワードに対する値を抽出できるのであれば、プレーンテキストのように構造化されていない形式で記述してもかまわない。
【0060】
操作表示部205は、液晶ディスプレイ等の画面から構成され、データ記憶部203に記憶された通信設定情報や機能設定情報を表示する。例えば、操作表示部205は、データ記憶部203に記憶された設定項目IDに対応する設定項目名と値とを表示し、ユーザは、表示された設定項目名に対応する値のなかから、上述した操作入力部204を押下する。
【0061】
図6は、操作表示部205で表示される表示画面の一例を示す説明図である。図6に示す表示画面は、印刷設定画面X1である。印刷設定画面X1は、図6の上段のように、同期アイコンIを有しているとともに、2列のリストによって設定を選択できるようになっている。図6に示す例では、“プリンタ設定”の列に各設定項目名に対する現在の設定値が表示され、右側の列に操作表示部205で選択された設定項目名と設定項目の値が表示されている。図6に示すように、“プリンタ設定”の列で“A4”を選択すると右側の列には設定項目名である“用紙サイズ”と“用紙サイズ”の設定項目名の値が表示される。また、現在操作表示部205で選択されている設定項目の値は、ハイライトされている。
【0062】
次に、以上のように構成されている複合機100と携帯端末装置200とを備える情報処理システム10において、携帯端末装置200が複合機100から印刷設定項目を取得する処理について説明する。ここで、図7は携帯端末装置200における処理の流れを示すフローチャート、図8は印刷設定項目を取得する処理の流れを示すフローチャートである。
【0063】
ユーザは、図6に示した印刷設定画面X1から同期アイコンIを押して、複合機100のプリンタの接続を要求する。すなわち、同期アイコンIは、複合機100で設定可能な設定項目と、携帯端末装置200で選択可能な設定項目との同期を図る旨を宣言する操作を受け付ける同期宣言手段として機能する。
【0064】
操作表示部205は、操作入力部204から同期アイコンIが押されたことを受け付けると、接続制御データ<requestConnect/>を印刷制御部206に送信する(ステップS1)。印刷制御部206は、操作表示部205から接続制御データ<requestConnect/>を受信し(ステップS21)、図9に示すガイド画面Y1を操作表示部205に表示する。図9に示すガイド画面Y1によれば、「プリンタにタッチしてください。」と表示されていることにより、ユーザは携帯端末装置200を複合機100に触れさせることが分かる。
【0065】
次に、接続処理要求(ステップS22)は、以下のように行われる。まず、ユーザがガイド画面Y1に従って携帯端末装置200と複合機100とを接近させて、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とが通信可能な範囲まで接近することにより、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立する。
【0066】
図8に示すように、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立すると(ステップS101のYes)、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とを介したNFC通信によって通信設定情報を複合機100が受信する。通信設定情報は、Bluetooth(R)のBD(Bluetooth Device)アドレスやパスフレーズなどが該当する。
【0067】
複合機100のブルートゥース通信部102と携帯端末装置200のブルートゥース通信部202との間で通信設定情報を交換する(ステップS102)。
【0068】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、通信設定情報の交換によって複合機100とのブルートゥース通信による通信が確立した場合(ステップS23のYes)(ステップS103のYes)、印刷制御部206は、操作表示部205に接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を送信する(ステップS24)。なお、通信が確立していない場合(ステップS23のNo)、再度、接続要求処理を実行する(ステップS22)。
【0069】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を受け取ると(ステップS2)、印刷設定要求データを印刷制御部206に対して送信する(ステップS3)。このとき、図4に示したようにXMLを制御データとして使用する場合には、以下に示すようなrequestConditionタグを用いる。
<requestCondition>
<all/>
</requestCondition>
ここで、allタグは、プリンタの全ての設定項目を要求することを示す。
【0070】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、印刷設定要求データを受信すると(ステップS25)、機能設定データを取得する(ステップS26)。より詳細には、ステップS26は、印刷設定要求情報として機能設定データ取得を要求するPJLコマンドをブルートゥース通信部202を介して複合機100へ送信する。
【0071】
図8に示すように、複合機100の制御部111は、ブルートゥース通信部102を介して印刷設定要求情報を受信すると(ステップS104)、設定情報記憶部110から機能設定データとしてPJLデータを取得し、携帯端末装置200の印刷制御部206へ応答として送信する(ステップS105)。
【0072】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、取得した機能設定データを図10に示すようにしてXML形式に変換し、操作表示部205へ送信する(ステップS27)。図10に示す機能設定情報は、図4に示すデータと比べると、stateタグが追加されている点で異なっている。このstateタグは、modeタグで囲まれた設定項目の設定可否を表しており、TRUE(設定可)またはFALSE(設定不可)とされている。
【0073】
このとき、ステップS27におけるXML形式への変換は次のように処理する。すなわち、複合機100から取得した機能設定データにmodeタグで囲まれた設定項目が存在すればstateタグの要素をTRUEとし、存在しなければFALSEとする。
【0074】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から機能設定データを受け取ると(ステップS4)、図6に示した印刷設定画面X1の設定項目を更新する(ステップS5)。ここで、更新した設定項目に設定不可能項目が有る場合には、図11に示すように、設定不可能項目をグレーアウトにして表示する。図10によれば、項目「カラー/白黒」の値2(カラー)は、設定不可であるため、図11のプリンタ設定画面内のフルカラー項目をグレーアウト表示に更新する。同様に、用紙サイズ画面内の項目についても、図11のID番号4(印刷用紙サイズ)の応答を参照して、stateタグが“FALSE”になっている設定値に対応する表示(B4,B5,B6)をグレーアウト表示に更新する。
【0075】
その後、携帯端末装置200の操作表示部205は、操作表示部205に表示された「閉じる」ボタンB1のユーザによる押下に応じて、印刷制御部206に対して切断制御データ<requestDisconnect/>を送信する(ステップS6)。
【0076】
なお、印刷設定画面X1の設定項目を更新後、「閉じる」ボタンB1の押下を待つことなく、直ちに切断制御データの送信するようにしても良い。
【0077】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、切断制御データを受信すると(ステップS28)、複合機100とのブルートゥース通信の切断処理を実行した後(ステップS29)、切断制御応答データ<requestDisconnectResult/>を操作表示部205へ応答として送信する(ステップS30)。これにより、必要なときだけ通信を行うことができ、セキュリティを確保することができる。
【0078】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から切断制御応答データの受信後(ステップS7)、処理を終了する。
【0079】
次に、携帯端末装置200から複合機100に対する印刷要求する処理について説明する。ここで、図12は携帯端末装置200における処理の流れを示すフローチャート、図13は印刷要求処理の流れを示すフローチャートである。
【0080】
ユーザが、図6に示したような印刷設定画面X1で印刷設定を行い、「ファイルの選択」ボタンB2を押下すると、携帯端末装置200の操作表示部205は、図14に示すような印刷ファイル選択画面X2に操作表示部205の表示を移行させる。
【0081】
なお、ユーザが、図6に示したような印刷設定画面X1で印刷設定した値は、履歴情報としてデータ記憶部203に記憶される。ここに、履歴情報記憶手段の機能が実行される。この履歴情報は、機能設定情報を含み、記述形式はXML(eXtensible Markup Language)のように構造化された形式で記述されてもよく、テキスト形式のように構造化されていない形式でもよい。履歴情報は、図6に示したように、印刷設定画面X1の下段に表示され、機能設定情報、および印刷場所が表示される。この履歴のいずれかを選択すると、データ記憶部203から履歴情報の設定を読み出し、設定項目が設定できるようになっている。このようにすることで、ユーザが以前に設定した機能設定情報を記憶することで、以前に設定した機能設定情報を再利用することができ、設定の利便性を高めることができる。
【0082】
印刷ファイル選択画面X2は、図14に示すように、上段に設けられた3階層構造のリストによってファイルを選択することができるようになっている。印刷ファイル選択画面X2の下段には、ファイルの設定状況を示すプレビューが表示されている。
【0083】
ユーザは、図14に示すような印刷ファイル選択画面X2の上段に設けられた3階層構造のリストから印刷するファイルを選択し、「OK」ボタンB3を押して印刷を要求する。
【0084】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷要求を受け付けると、図9に示すガイド画面Y1を表示するとともに、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とを介したNFC通信によって通信設定情報を含む接続制御データ<requestConnect/>を印刷制御部206に送信する(ステップS31)。図9に示すガイド画面Y1によれば、「プリンタにタッチしてください。」と表示されていることにより、ユーザに対して携帯端末装置200を複合機100に近づけることを促している。
【0085】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、操作表示部205から通信設定情報を含む接続制御データ<requestConnect/>を受信し(ステップS51)、データ処理部106との接続要求処理を実行する(ステップS52)。接続処理要求(ステップS52)は、以下のように行われる。まず、ユーザがガイド画面Y1に従って携帯端末装置200と複合機100とを接近させて、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とが通信可能な範囲まで接近することにより、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立する。
【0086】
図13に示すように、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立すると(ステップS201のYes)、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とを介したNFC通信によって通信設定情報を複合機100が受信する。通信設定情報は、Bluetooth(R)のBD(Bluetooth Device)アドレスやパスフレーズなどが該当する。
【0087】
複合機100のブルートゥース通信部102と携帯端末装置200のブルートゥース通信部202との間で通信設定情報を交換する(ステップS202)。
【0088】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、通信設定情報の交換によって複合機100とのブルートゥース通信による通信が確立した場合(ステップS53のYes)(ステップS203のYes)、複合機100は、ブルートゥース通信部102を介して携帯端末装置200に接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を送信する(ステップS54)。なお、通信が確立していない場合(ステップS53のNo)、再度、データ処理部106との接続要求処理を実行する(ステップS52)。
【0089】
携帯端末装置200の操作表示部205は、接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を受け取ると(ステップS32)、印刷制御部206に印刷制御データ(例えば、図4参照)を送信する(ステップS33)。
【0090】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、印刷制御データを受信すると(ステップS55)、図13に示すように、印刷要求処理を実行する(ステップS56)。印刷処理処理において、印刷制御部206は、図4に示す各タグの要素を参照し、印刷設定項目を表すPJLデータとファイル名が示すデータとを結合した印刷データを生成する。その後、印刷データを複合機100に送信する。
【0091】
図13に示すように、複合機100の制御部111は、ブルートゥース通信部102を介して印刷データ(印刷ファイルおよび設定情報)を受信すると(ステップS204)、データ処理部106およびプリンタ部107を制御して、画像処理やレイアウト加工等されたデータの印刷を開始する(ステップS205)。
【0092】
また、携帯端末装置200の印刷制御部206は、印刷制御応答データ<requestPrintStartResult/>を送信する(ステップS58)。
【0093】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から印刷制御応答データ<requestPrintStartResult/>を受け取ると(ステップS34)、印刷制御部206に印刷状態制御データを送信する(ステップS35)。
【0094】
携帯端末装置200の印刷制御部205は、印刷状態制御データを受信すると、ブルートゥース通信部202を介して印刷状態応答を要求するPJLコマンドを送信する(ステップS59)。
【0095】
図13に示すように、複合機100の制御部111は、印刷状態応答要求を受信すると(ステップS206)、データ処理部に問い合わせを行い、印刷状態(印刷完了、印刷中、印刷エラー、印刷ジョブなし)を示すPJLデータをブルートゥース通信部102を介して送信する(ステップS207)。
【0096】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、ブルートゥース通信部202を介して受信したPJLデータを解析し、印刷状態(印刷完了、印刷中、印刷エラー、印刷ジョブなし)のいずれかを含む印刷状態応答データに変換して操作表示部205に送信する(ステップS60)。印刷状態応答データの一例を以下に示す。また、JobStatusタグは、“|”で区切られたいずれかの要素が入る。
<requestJobStatusResult>
<jobStatus>Success|Processing|Failure|Nojob</jobStatus>
</requestJobStatusResult>
【0097】
また、携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から印刷状態応答データを受け取り(ステップS36)、印刷制御応答データから印刷状態を判別するとともに、印刷状態を示す画面を表示させる(ステップS37)。
【0098】
例えば、印刷状態応答データの印刷状態が“印刷中”の場合、携帯端末装置200の操作表示部205は、図15に示すような印刷中画面Y2を表示させる。
【0099】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷が完了していると判断した場合には(ステップS38のYes)、印刷制御部206に切断制御データを送信する(ステップS39)。
【0100】
一方、印刷エラーが発生していると判断した場合には、携帯端末装置200の操作表示部205は、図16に示すような印刷エラー画面Y3を表示させるとともに(ステップS37)、ユーザが印刷エラー画面Y3に設けられた「再試行」ボタンB4を押下したことを条件として、携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206に印刷制御データ(例えば、図4参照)を再度送信する(ステップS38のNo、ステップS40のYes、ステップS41のYes)。また、ユーザが印刷エラー画面Y3に設けられた「再試行」ボタンB4を押下しない場合には(ステップS38のNo、ステップS40のYes、ステップS41のNo)、一定時間経過後、携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206に切断制御データ<requestDisconnect/>を送信する(ステップS39)。
【0101】
以上のように複合機100の動作状態をユーザに通知することにより、ユーザの利便性を高めることができる。
【0102】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、切断制御データを受信すると(ステップS61)、複合機100とのブルートゥース通信の切断処理を実行した後(ステップS62)、切断制御応答データ<requestDisconnectResult/>を携帯端末装置200の操作表示部205へ応答として送信する(ステップS63)。これにより、必要なときだけ通信を行うことができ、セキュリティを確保することができる。
【0103】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から切断制御応答データ<requestDisconnectResult/>の受信後(ステップS42)、処理を終了する。
【0104】
このように本実施の形態によれば、情報処理装置である複合機100における情報処理にかかる設定項目を要求する設定項目要求に応じて、複合機100から設定項目を近距離通信手段(ブルートゥース通信)にて受信し、受信した設定項目の値を選択可能に表示する設定画面を表示することにより、無線通信接続された複合機100で利用可能な設定項目の提示・設定を携帯端末装置200で行うことができるので、ユーザの利便性を向上させることができる。
【0105】
また、本実施の形態によれば、ユーザは複合機100の設定状況に従って所望の設定を行い、印刷を実行することができる。
【0106】
また、本実施の形態においては、携帯端末装置200を適用したが、これに限るものではなく、デジタルカメラ、PC(Personal Computer)など、無線通信によりデータを送受信する機能を有する装置に適用することができる。
【0107】
次に、情報処理システム10の変形例について説明する。図17は、情報処理システム10の変形例の構成を示すブロック図である。図17に示すように、図3に示した情報処理システム10とは、携帯端末装置200が識別情報取得手段として機能する識別情報取得部210を備えている点で異なっている。
【0108】
識別情報取得部210は、複合機100の機種情報、携帯端末装置200の物理的な位置情報、ユーザの嗜好情報(ユーザID、所属名、役職、および印刷頻度情報など)、課金に関する情報(ユーザ識別情報、課金金額情報など)など少なくとも一種類以上の識別情報を取得する。
【0109】
そして、印刷制御部206は、図18に示すように、識別情報取得部210で取得した識別情報に対応付けて、ユーザが以前に設定した機能設定情報を履歴情報としてデータ記憶部203に記憶する。
【0110】
ここで、複合機100の機種情報に従って履歴を取得するための処理の流れを図19のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0111】
ユーザは、図6に示した印刷設定画面X1から同期アイコンIを押して、複合機100のプリンタの接続を要求する。
【0112】
操作表示部205は、操作入力部204から同期アイコンIが押されたことを受け付けると、接続制御データ<requestConnect/>を印刷制御部206に送信する(ステップS1)。印刷制御部206は、操作表示部205から接続制御データ<requestConnect/>を受信し(ステップS21)、図9に示すガイド画面Y1を操作表示部205に表示する。図9に示すガイド画面Y1によれば、「プリンタにタッチしてください。」と表示されていることにより、ユーザは携帯端末装置200を複合機100に触れさせることが分かる。
【0113】
次に、接続処理要求(ステップS22)は、以下のように行われる。まず、ユーザがガイド画面Y1に従って携帯端末装置200と複合機100とを接近させて、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とが通信可能な範囲まで接近することにより、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立する。
【0114】
図8に示したように、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101との間で通信(短距離通信)が確立すると(ステップS101のYes)、携帯端末装置200のNFC通信部201と複合機100のNFC通信部101とを介したNFC通信によって通信設定情報を複合機100が受信する。通信設定情報は、Bluetooth(R)のBD(Bluetooth Device)アドレスやパスフレーズなどが該当する。
【0115】
複合機100のブルートゥース通信部102と携帯端末装置200のブルートゥース通信部202との間で通信設定情報を交換する(ステップS102)。
【0116】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、通信設定情報の交換によって複合機100とのブルートゥース通信による通信が確立した場合(ステップS23のYes)(ステップS103のYes)、印刷制御部206は、操作表示部205に接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を送信する(ステップS24)。なお、通信が確立していない場合(ステップS23のNo)、再度、接続要求処理を実行する(ステップS22)。
【0117】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から接続要求制御応答データ<requestConnectResult/>を受け取ると(ステップS2)、印刷設定要求データを印刷制御部206に対して送信する(ステップS3)。このとき、図4に示したようにXMLを制御データとして使用する場合には、以下に示すようなrequestConditionタグを用いる。
<requestCondition>
<all/>
</requestCondition>
ここで、allタグは、プリンタの全ての設定項目を要求することを示す。
【0118】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、印刷設定要求データを受信すると(ステップS25)、印刷設定要求情報として機能設定データ取得を要求するPJLコマンドをブルートゥース通信部202を介して複合機100へ送信する(ステップS26)。
【0119】
図8に示したように、複合機100の制御部111は、ブルートゥース通信部102を介して印刷設定要求情報を受信すると(ステップS104)、設定情報記憶部110から機能設定データとしてPJLデータを取得し、携帯端末装置200の印刷制御部206へ応答として送信する(ステップS105)。
【0120】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、取得した機能設定データを図10に示すようにしてXML形式に変換し、操作表示部205へ送信する(ステップS27)。図10に示す機能設定情報は、図4に示すデータと比べると、stateタグが追加されている点で異なっている。このstateタグは、modeタグで囲まれた設定項目の設定可否を表しており、TRUE(設定可)またはFALSE(設定不可)とされている。
【0121】
このとき、ステップS26におけるXML形式への変換は次のように処理する。すなわち、複合機100から取得した機能設定データにmodeタグで囲まれた設定項目が存在すればstateタグの要素をTRUEとし、存在しなければFALSEとする。
【0122】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から機能設定データを受け取ると(ステップS4)、識別情報取得部210を制御してデータ記憶部203に記憶された履歴情報から複合機100の機種と同一機種に関する機能設定情報の有無を判別し(ステップS71)、同一の機種に関する機能設定情報が有る場合には(ステップS71のYes)、履歴情報から設定値を取得して(ステップS72)、その設定内容で(図18参照)、印刷設定画面X1を更新して表示する(ステップS73)。一方、携帯端末装置200の印刷制御部206は、複合機100の機種と同一の機種に関する機能設定情報がデータ記憶部203に記憶された履歴情報に無い場合には(ステップS72のNo)、取得した機能設定情報に従って印刷設定画面X1を更新する(ステップS74)。
【0123】
以上に述べたように本実施の形態では、ユーザが同一機種に設定した以前の設定値を即時に利用することができるので利便性を高めることができる。
【0124】
その後、携帯端末装置200の操作表示部205は、操作表示部205に表示された「閉じる」ボタンB1のユーザによる押下に応じて、印刷制御部206に対して切断制御データ<requestDisconnect/>を送信する(ステップS6)。
【0125】
なお、印刷設定画面X1の設定項目を更新後、「閉じる」ボタンB1の押下を待つことなく、直ちに切断制御データの送信するようにしても良い。
【0126】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、切断制御データを受信すると(ステップS28)、複合機100とのブルートゥース通信の切断処理を実行した後(ステップS29)、切断制御応答データ<requestDisconnectResult/>を操作表示部205へ応答として送信する(ステップS30)。これにより、必要なときだけ通信を行うことができ、セキュリティを確保することができる。
【0127】
携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から切断制御応答データの受信後(ステップS7)、処理を終了する。
【0128】
次に、携帯端末装置200の物理的な位置情報に従って、設定情報に含まれる複製検知レベルを変更する場合について図20のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、携帯端末装置200の物理的な位置情報は、GPS(Global Positioning System)を利用して取得することができる。
【0129】
図20に示すように、携帯端末装置200の操作表示部205は、印刷制御部206から機能設定データを受け取ると(ステップS4)、GPSである識別情報取得部210を制御して携帯端末装置200の物理的な位置情報を取得、またはデータ記憶部203に記憶された履歴情報から携帯端末装置200の物理的な位置情報を取得する(ステップS81)。そして、携帯端末装置200の印刷制御部206は、識別情報取得部210で携帯端末装置200の物理的な位置情報を取得すると、現在の携帯端末装置200の物理的な位置情報がユーザの所属する組織内であるか否かを判別する(ステップS82)。ただし、ユーザの所属する組織のデータは予めデータ記憶部203に記憶されており、判別の比較に用いられる。
【0130】
携帯端末装置200の印刷制御部206は、現在の携帯端末装置200の物理的な位置情報がユーザの所属する組織内であると判別した場合には(ステップS82のYes)、機能設定情報の複製検知を図21に示すように有効化する(ステップS83)。一方、携帯端末装置200の印刷制御部206は、現在の携帯端末装置200の物理的な位置情報がユーザの所属する組織内ではないと判別した場合には(ステップS82のNo)、機能設定情報の複製検知を無効化する(ステップS84)。
【0131】
ここで、複製検知の有効/無効の処理であるが、図12に示す処理手順で、複合機100の制御部111による印刷要求処理が行われた際に、複製検知が有効である場合は、これまでの例と同様に、接続した複合機100から印刷物が出力される。一方、複製検知が無効である場合は、接続した複合機100から印刷物は出力されない。このとき、携帯端末装置200の印刷制御部206は、図4の<condition>タグに囲まれている部分に次のような<mode>タグをさらに追加して送信する。
複製検知が有効のとき:
<mode>
<func> Print </func>
<propertyid> 13 </propertyid>
<value> 1 </value>
</mode>
複製検知が無効のとき:
<mode>
<func> Print </func>
<propertyid> 13 </propertyid>
<value> 2 </value>
</mode>
ここで、<propertyid>に囲まれた番号13は、図5に示したように複製検知有効/無効の設定条件を示すものである。
【0132】
なお、有効/無効の設定に基づく処理は、上述したものに限るものではなく、周知の印刷制御の機能を応用してもよい。例えば、無効に設定されている場合においても、印刷物は出力されるが、印刷画像に関わらず、データ処理部106において原画像を白画像や黒画像に変更したり、「複製厳禁」の文字のみの画像に置換した後で、プリンタ部107から印刷してもよい。
【0133】
また、通常、複製検知を有効にした場合は、情報漏洩の可能性が小さいことを想定しているが、印刷物が何らかの理由により、他者の手に渡ってしまい、不正にコピーされる可能性がある。この問題に対応するために、文書データの背景画像または前面画像に出力を禁止するドットパターン情報や文書データを破壊するドットパターン情報を埋め込んで重畳し、印刷することも可能である。なお、ドットパターン情報の埋め込みに関する技術は、特開2004−260341号公報等に公開されている技術を用いることができる。本実施の形態によれば、上記方法で出力された印刷物をスキャンした場合に、埋め込まれたドットパターン情報を判定して、出力を禁止したり、文書画像を破壊して出力させたりすることができる。なお、ドットパターンの検出に関する技術は、特開2005−142918号公報等に公開されている技術を用いることができる。
【0134】
このように本実施の形態によれば、ユーザが印刷を行う位置に応じて、複製検知の可否を自動判別することができるので、ユーザの利便性を高めると共に、情報流出の危険性を回避することができる。また、本実施の形態で、印刷物がコピーされたとしても、出力を禁止したり、コピー画像を破壊してから出力することができるので、複製による情報流出の危険性を回避することができ、さらに安全な状態で情報を扱うことが可能になる。
【0135】
このように本実施の形態によれば、短距離通信手段にて受け取った通信設定情報を使用して近距離通信手段にて受信した携帯端末装置からのデータに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、データ処理部またはプリンタ部で行う処理内容を制御することにより、画像形成装置と携帯端末装置とを確実に無線接続してから画像処理の制御に関するデータに従ったデータ処理部により処理されたデータのプリンタ部による出力が可能となることにより、携帯端末装置を持ち歩くユーザまたは画像形成装置の管理者が操作を行うことなく画像データの内容や出力を制御することができるので、ユーザや管理者に負担をかけずに情報の漏洩を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0136】
10 情報処理システム
100 画像形成装置
111 制御部
200 携帯端末装置
206 印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0137】
【特許文献1】特開2001−043058号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置の近接に伴って短距離通信手段にて無線接続を確立して当該短距離通信手段よりも長距離での無線通信が可能な近距離通信手段のための通信設定情報を受け取った後、当該通信設定情報を使用して前記近距離通信手段にて無線接続を確立して、前記携帯端末装置から前記近距離通信手段にて受信したデータをデータ処理部にてデータ処理し、前記データ処理部により処理されたデータの出力をプリンタ部にて行う画像形成装置において、
前記近距離通信手段にて受信した前記データに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、前記データ処理部または前記プリンタ部で行う処理内容を制御する制御部を備える、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、画像処理の制御に関するデータの内容として、複製処理が無効であると判断した場合、データ出力を行わないことを前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、画像処理の制御に関するデータの内容として、複製処理が無効であると判断した場合、前記データ処理部に出力対象のデータを他のデータに置換することを指示し、置換後のデータ出力を前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、画像処理の制御に関するデータの内容として、複製処理が無効であると判断した場合、前記データ処理部に出力対象のデータの破壊処理を指示し、破壊後のデータ出力を前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、画像処理の制御に関するデータの内容として、複製処理が無効であると判断した場合、前記データ処理部に出力対象のデータと複写を禁止する文書であることを示す画像パターンとの重畳処理を指示し、重畳後のデータ出力を前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
原稿を読取って画像データを得るスキャナ部をさらに備え、
前記制御部は、前記スキャナ部から得られた画像データに前記画像パターンがあると判断した場合には、前記画像データに対して前記データ処理部または前記プリンタ部で行う処理内容について複写を禁止するように制御する、
ことを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記スキャナ部から得られた画像データに前記画像パターンがあると判断した場合には、データ出力を行わないことを前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スキャナ部から得られた画像データに前記画像パターンがあると判断した場合には、前記データ処理部に出力対象のデータを他のデータに置換することを指示し、置換後のデータ出力を前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記スキャナ部から得られた画像データに前記画像パターンがあると判断した場合には、前記データ処理部に出力対象のデータの破壊処理を指示し、破壊後のデータ出力を前記プリンタ部に指示する、
ことを特徴とする請求項6記載の画像形成装置.
【請求項10】
携帯端末装置の近接に伴って短距離通信手段にて無線接続を確立して当該短距離通信手段よりも長距離での無線通信が可能な近距離通信手段のための通信設定情報を受け取った後、当該通信設定情報を使用して前記近距離通信手段にて無線接続を確立して、前記携帯端末装置から前記近距離通信手段にて受信したデータをデータ処理部にてデータ処理し、前記データ処理部により処理されたデータの出力をプリンタ部にて行う処理を実行するコンピュータを、
前記近距離通信手段にて受信した前記データに画像処理の制御に関するデータが含まれていると判断した場合には、そのデータ内容に従って、前記データ処理部または前記プリンタ部で行う処理内容を制御する制御部として機能させる、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項11】
自らの物理的な位置情報を取得するとともに、他の装置に対して近接させることにより短距離通信手段にて無線接続を確立して当該短距離通信手段よりも長距離での無線通信が可能な近距離通信手段のための通信設定情報を受け取った後、当該通信設定情報を使用して前記近距離通信手段にて無線接続を確立する携帯端末装置であって、前記位置情報に基づいて印刷処理制御の有効/無効を指示して前記近距離通信手段にて送信するデータに含める印刷制御部を備える携帯端末装置と、
前記携帯端末装置の近接に伴って短距離通信手段にて無線接続を確立して当該短距離通信手段よりも長距離での無線通信が可能な近距離通信手段のための通信設定情報を受け取った後、当該通信設定情報を使用して前記近距離通信手段にて無線接続を確立して、前記携帯端末装置から前記近距離通信手段にて受信したデータをデータ処理部にてデータ処理し、前記データ処理部により処理されたデータの出力をプリンタ部にて行う画像形成装置であって、前記近距離通信手段にて受信した前記データに含まれている前記印刷処理制御の有効/無効に従って、前記データ処理部または前記プリンタ部で行う処理内容を制御する制御部を備える画像形成装置と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−241114(P2010−241114A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264069(P2009−264069)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】