説明

画像形成装置、画像形成システム、及びプログラム

【課題】 画像形成装置及びその周辺装置のダウンタイムが少ない画像処理システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム1は、複数のジョブが投入されている場合に、処理中のジョブだけでなく、その後続のジョブもチェックして、給紙装置20により供給される印刷用紙の不足、又は、後処理装置30で使用される消耗品の不足などを予め予測し、必要な補充措置などを操作者に予め提示する。また、画像形成システム1は、必要な補充措置を提示しても操作者が補充措置を所定のタイミングまでにできなかった場合には、ジョブの順序を入れ替えることによって、補充措置を行うための時間をさらに延長する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び周辺装置を含む画像処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、ジャム紙及びジャム発生後搬送された紙の除去を容易にする区分装置が開示されている。
【特許文献1】特開昭57−057161号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、装置のダウンタイムを低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る本発明は、画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と、接続された周辺装置とを制御する画像形成装置であって、
入力された処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に応じて、前記画像形成部及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御する装置制御手段とを有する。
【0005】
請求項2に係る本発明では、前記決定手段は、入力された処理要求が前記周辺装置の処理能力を超えると判断された場合に、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行うと決定する。
【0006】
請求項3に係る本発明では、前記周辺装置は、前記画像形成部によって画像が形成された画像記録媒体に対して、後処理を施す後処理装置であり、
前記決定手段は、入力された複数の処理要求によりそれぞれ画像形成すべき枚数と、前記後処理装置により処理可能な枚数とに基づいて、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する。
【0007】
請求項4に係る本発明では、前記装置制御手段は、前記決定手段により処理要求の順序入替えを行なうよう決定された場合に、動作中の周辺装置から他の周辺装置に切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える。
【0008】
請求項5に係る本発明では、前記周辺装置は、画像記録媒体を前記画像形成装置に供給する給紙装置であり、
前記決定手段は、入力された処理要求の要求枚数と、この処理要求によって指定された前記給紙装置に残っている画像記録媒体の枚数とに基づいて、操作者に対する通知、及び、前記処理要求の順序入替えを行うか否かを決定し、
前記装置制御手段は、前記決定手段により操作者に対する通知を行うことが決定され、かつ、所定のタイミングまでに画像記録媒体の追加がなされなかった場合に、給紙装置が切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える。
【0009】
請求項6に係る本発明では、前記周辺装置は、前記画像形成装置により画像が形成された画像記録媒体を排出する排出装置であり、
前記決定手段は、入力された処理要求により画像形成すべき枚数と、この処理要求によって指定された前記排出装置において積載可能な枚数とに基づいて、画像記録媒体を排出装置から除去する旨の通知、及び、前記処理要求の順序入替えを行うか否かを決定し、
前記装置制御手段は、前記決定手段により画像記録媒体を排出装置から除去する旨の通知を行うことが決定され、かつ、所定のタイミングまでに画像記録媒体が除去なされなかった場合に、排出装置が切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える。
【0010】
請求項7に係る本発明は、画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された周辺装置と、
前記画像形成装置に対する処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、前記画像形成装置に対する処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に応じて、前記画像形成装置及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御する制御手段とを有する。
【0011】
請求項8に係る本発明は、画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置、及び、この画像形成装置に接続された周辺装置を制御するためのプログラムであって、
前記画像形成装置に対する処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、前記画像形成装置による処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定するステップと、
前記決定に応じて、前記画像形成装置及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御するステップとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、画像形成装置又は周辺装置のダウンタイムを低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、画像形成システム1を例示する図である。
図1に例示するように、画像形成システム1は、画像形成装置10、及び、複数の後処理装置30を有する。
画像形成装置10は、各後処理装置30と、直接又は間接的に接続されている。
画像形成装置10には、制御装置100、複数の給紙装置20、及び操作部40が設けられている。
制御装置100は、例えば、画像形成装置10の各構成(プリントエンジン、給紙装置20、操作部40など)と、後処理装置30とを制御する。
なお、本実施形態における給紙装置20及び後処理装置30は、本発明に係る周辺装置の具体例である。
【0014】
画像形成装置10は、操作者からの処理要求(以下、ジョブ)に応じて、印刷用紙(画像記録媒体)に画像を形成する。より具体的には、画像形成装置10に外部からジョブが投入されると、制御装置100は、受信したジョブに応じて、画像形成装置10の各構成及び後処理装置30に対して制御信号を出力する。画像形成装置10の給紙装置20は、制御装置100からの制御信号に応じて、ジョブにより指定された印刷用紙をプリントエンジンに供給する。画像形成装置10のプリントエンジンは、制御装置100からの制御信号に応じて、給紙装置20から供給された印刷用紙に画像を形成する。画像が形成された印刷用紙は、制御装置100からの制御信号に応じて、いずれかの後処理装置30に送出される。後処理装置30は、制御装置100からの制御信号に応じて、画像形成装置10により画像が形成された印刷用紙に対して、後処理を施す。
ここで、後処理とは、画像が形成された後の印刷用紙に対して施される処理であり、例えば、ステープル処理、製本処理、用紙排出処理などである。
操作部40は、操作者からの指示を受け付けるユーザインタフェースであり、例えば、タッチパネルである。
【0015】
図2は、制御装置100(図1)にインストールされた制御プログラム5の機能構成を例示する図である。
図2に例示するように、制御プログラム5は、ジョブ検索部500、処理能力監視部510、決定部520、装置制御部530、及び、解除措置検出部540を有する。また、装置制御部530は、解除措置通知部532及びジョブ入替部534を含む。
なお、本例の制御プログラム5は、ソフトウェアで実装しているが、その一部又は全部がASICなどによってハードウェア的に実装されてもよい。
【0016】
制御プログラム5において、ジョブ検索部500は、操作者から投入されたジョブを探索して、後続のジョブによって指定された内容(以下、指定情報)を特定し、特定された指定情報を決定部520に出力する。ここで、後続のジョブとは、処理中のジョブ以外のジョブである。既処理のジョブは、処理の終了と共に消滅するため、後続のジョブとは、処理中のジョブを除く、未処理の処理要求である。
ジョブには、図3(A)に例示するように、例えば、印刷すべき画像データ、印刷部数、印刷用紙を指定する用紙指定情報、及び、施すべき後処理を指定する後処理指定情報などが含まれている。
【0017】
処理能力監視部510は、周辺装置(例えば、給紙装置20、後処理装置30)の処理能力を監視し、各周辺装置の処理能力を決定部520に出力する。周辺装置の処理能力とは、各周辺装置が外部からの補助又は補充なしで、処理可能な量であり、例えば、各給紙装置20に残っている印刷用紙の枚数、後処理装置30で後処理可能な枚数などである。
【0018】
決定部520は、投入されているジョブの内容と、周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、ジョブの順序入替えを行うか否かを決定する。操作者に対する通知とは、例えば、操作者による措置(解除措置)を促すメッセージの表示や警告音である。
より具体的には、決定部520は、複数のジョブが存在する場合に、後続のジョブの内容と、このジョブで指定された指定情報とに基づいて、後続のジョブを処理した時に、これらのジョブの要求が周辺装置の処理能力を超えるか否かを判断し、超えると判断された場合に、操作者に対する通知を行うことを決定する。なお、本例では、操作者に対する通知は、ジョブの順序入替えの前提条件となる。すなわち、操作者に対して解除措置を促すメッセージを表示した後、既定のタイミングまでに解除措置が検知されなかった場合には、ジョブの順序入替えが許容される。
【0019】
装置制御部530は、決定部520の決定に応じて、画像形成装置10の各構成、及び、後処理装置30の少なくとも一方を制御する。
より具体的には、装置制御部530の解除措置通知部532は、決定部520によって操作者に対する通知を行うよう決定された場合に、操作部40(図1)を制御して、解除措置を促すメッセージを表示させる。また、ジョブ入替部534は、解除措置通知部532によって解除措置を促すメッセージが表示された後、所定のタイミングまでに、解除措置検出部540によって解除措置が検出されなかった場合に、ジョブの入替えを開始する。ジョブの入替えは、解除措置が必要な周辺装置(後続のジョブで処理能力を超える給紙装置20又は後処理装置30)が切り替わるようになされる。すなわち、ジョブ入替部534は、解除措置が促された周辺装置(給紙装置20又は後処理装置30)とは異なる周辺装置を指定する後続ジョブを検索し、このような後続ジョブが存在する場合に、ジョブの順序入替えを行なう。
【0020】
解除措置検出部540は、画像形成装置10及び後処理装置30に設けられたセンサからの信号に基づいて、解除措置がなされたか否かを検出し、検出結果を装置制御部530に出力する。
【0021】
図3は、ジョブの入替えを例示する図である。
図3(A)に例示するように、各ジョブには、画像データの他に、印刷部数、用紙指定情報、後処理指定情報などが含まれている。
図3(B)に例示するように、画像形成装置10に複数のジョブ(ジョブ1〜ジョブ3)がたまった場合、通常は、ジョブが投入された順序で処理される。しかしながら、本実施形態の制御装置100(制御プログラム5)は、次のジョブ(本図では「ジョブ2」)において処理能力を超えると判断された場合(本図では、「ジョブ2」の実行中にステープル針が無くなり、ステープル処理ができなくなる)、図3(C)に例示するように、他の後処理(本図ではパンチ処理)を指定する「ジョブ3」と、「ジョブ2」とを入れ替える。これによって、「ジョブ3」が処理されている間に、解除措置(ステープル針の補充)が可能になる。
【0022】
次に、画像形成システム1の動作例を説明する。
図4は、画像形成システム1における後処理の動作(S10)を例示するフローチャートである。
図4に示すように、ステップ102(S102)において、画像形成装置10の制御装置100は、操作者のコンピュータ端末からジョブを受信すると、ジョブの受信順に、印刷処理を開始するよう画像形成装置10の各構成(給紙装置20及びプリントエンジンなど)を制御する。
なお、ジョブの受信は、印刷処理の開始時(S102)だけでなく、印刷処理の実行中(S104〜S120)にも並行してなされる。
【0023】
ステップ104(S104)において、制御装置100(制御プログラム5)のジョブ検索部500は、ジョブが複数存在するか否かを判断する。
制御プログラム5は、ジョブが複数存在する場合に、S106の処理に移行し、ジョブが複数存在しない場合に、S120の処理に移行する。
【0024】
ステップ106(S106)において、ジョブ検索部500は、次のジョブ(すなわち、処理中のジョブの次に受信したジョブ)で指定された後処理の内容を特定し、特定された後処理の内容を決定部520に通知する。
なお、処理能力監視部510は、後処理装置30に設けられたセンサからの情報に基づいて、各後処理装置30の処理能力(すなわち、後処理可能な枚数)を監視し、決定部520に出力している。
【0025】
ステップ108(S108)において、決定部520は、ジョブ検索部500から通知された後処理の内容(後処理の種類及び要求枚数)と、処理能力監視部510から入力された後処理装置30の処理能力(ジョブで指定された後処理装置の処理可能枚数)とを比較して、次のジョブにおいて後処理が可能であるか否か(すなわち、ジョブで要求される後処理が、このジョブで指定された後処理装置30の処理能力を超えるか否か)を判断する。
制御プログラム5は、決定部520により後処理が可能であると判断された場合に、S120の処理に移行し、後処理が不可能であると判断された場合(すなわち、次のジョブの要求が、このジョブで指定された後処理装置30の処理能力を超えると判断された場合)に、S110の処理に移行する。
【0026】
ステップ110(S110)において、装置制御部530の解除措置通知部532は、決定部520により後処理が不可能であると判断された場合(すなわち、次のジョブで指定された後処理装置30に対して解除措置が必要である場合)に、後処理装置30に対する解除措置を促すメッセージを操作部40に表示させる。
操作者は、操作部40に表示されたメッセージによって、次のジョブが開始される前に、解除措置の必要性を知ることができる。
【0027】
ステップ112(S112)において、装置制御部530は、解除措置検出部540による検出結果に基づいて、所定のタイミング(例えば、次のジョブが開始されるタイミング)までに解除措置(上記メッセージに対応する措置)がなされたか否かを判断する。なお、解除措置検出部540は、間欠的に、後処理装置30に対する解除措置を監視しており、解除措置がなされたことを検出すると、その旨を装置制御部530に出力する。
制御プログラム5は、装置制御部530によって解除措置がなされたと判断された場合に、S120の処理に移行し、解除措置がなされていないと判断された場合に、S114の処理に移行する。
【0028】
ステップ114(S114)において、ジョブ入替部534は、所定のタイミングまでに解除措置がなされていないと判断された場合に、次のジョブと異なる後処理装置30を指定する後続ジョブを検索する。
【0029】
ステップ116(S116)において、制御プログラム5は、異なる後処理装置30を指定する後続ジョブが存在する場合に、S118の処理に移行し、存在しない場合に、S120の処理に移行する。
【0030】
ステップ118(S118)において、ジョブ入替部534は、次のジョブと、発見された後続ジョブ(異なる後処理装置を指定するジョブ)との順序を入れ替える。
【0031】
ステップ120(S120)において、制御装置100は、投入されているジョブに従って、印刷処理及び後処理を続行するよう、画像形成装置10の各構成及び後処理装置30を制御する。
【0032】
ステップ122(S122)において、制御装置100は、投入されたジョブが全て処理されて消滅したか否かを判断し、ジョブが残っている場合に、S104の処理に戻って印刷処理及び後処理を継続し、ジョブが残っていない場合に、処理を終了して、新たにジョブが投入されるまで待機状態となる。
【0033】
図5は、後処理装置30によってなされうる後処理と、これらの後処理に関する解除措置とを例示する。
図5に例示するように、後処理装置30は、ステープル処理、用紙排出処理、パンチ処理、コイルバインダー処理、テープバインダー処理、のり付け製本、及び、用紙裁断などを後処理として実行する。
ステープル処理を行なう後処理装置30に関しては、ステープル針が無くなったときと、ステープル針屑が屑入れに満杯になったときとが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、ステープル針が次のジョブの処理中に不足すると判断された場合に、解除措置通知部530は、ステープル針の補充を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、ステープル針の補充が所定のタイミングまでになされなかった場合に、このステープル針を使用しない後続ジョブを探索する。また、ステープル針屑が次のジョブの処理中に満杯になると判断された場合に、解除措置通知部530は、ステープル針屑の除去を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、ステープル針屑が所定のタイミングまでに除去されなかった場合に、ステープル針屑が発生させない後続ジョブを探索する。
同様に、用紙排出を行なう後処理装置30に関しては、排紙トレイが用紙で満杯になったときが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、排紙トレイが次のジョブの処理中に満杯になると判断された場合に、解除措置通知部530は、排紙トレイから印刷用紙を除去するよう促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、排紙トレイの印刷用紙が所定のタイミングまでに除去されなかった場合に、この排紙トレイを使用しない後続ジョブを探索する。
【0034】
また、パンチ処理を行なう後処理装置30に関しては、屑入れのパンチ屑が満杯になったときが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、パンチ屑の屑入れが次のジョブの処理中に満杯になると判断された場合に、解除措置通知部530は、パンチ屑の除去を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、パンチ屑の除去が所定のタイミングまでになされなかった場合に、パンチ屑が生じない後続ジョブを探索する。
同様に、コイルバインダー処理又はテープバインダー処理を行なう後処理装置30に関しては、コイルが不足したとき、又は、テープが不足したときが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、コイル又はテープが次のジョブの処理中に不足すると判断された場合に、解除措置通知部530は、コイル又はテープの補充を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、コイル又はテープの補充が所定のタイミングまでになされなかった場合に、コイル又はテープを使用しない後続ジョブを探索する。
【0035】
また、のり付け製本を行う後処理装置30に関しては、製本に使用するのりが不足するときが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、製本用のりが次のジョブの処理中に不足すると判断された場合に、解除措置通知部530は、製本用のりの補充を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、製本用のりの補充が所定のタイミングまでになされなかった場合に、製本用のりを使用しない後続ジョブを探索する。
同様に、用紙裁断を行なう後処理装置30に関しては、裁断屑で屑入れが満杯になったときが、後処理能力の限界であり、解除措置の対象となる。したがって、次のジョブの処理中に屑入れが裁断屑で満杯になると判断された場合に、解除措置通知部530は、裁断屑の除去を促すメッセージを表示させ、ジョブ入替部534は、裁断屑の除去が所定のタイミングまでになされなかった場合に、裁断屑が生じない後続ジョブを探索する。
【0036】
次に、画像形成システム1の他の動作例を説明する。
図6は、画像形成システム1における給紙処理の動作(S20)を例示するフローチャートである。
図6に示すように、ステップ202(S202)において、画像処理装置10の制御装置100は、操作者のコンピュータ端末からジョブを受信すると、ジョブの受信順に、印刷処理を開始するよう画像形成装置10の各構成(給紙装置20及びプリントエンジンなど)を制御する。
【0037】
ステップ204(S204)において、制御装置100(制御プログラム5)のジョブ検索部500は、ジョブが複数存在するか否かを判断し、ジョブが複数存在する場合に、S206の処理に移行し、ジョブが複数存在しない場合に、S220の処理に移行する。
【0038】
ステップ206(S206)において、ジョブ検索部500は、次のジョブで指定された印刷用紙及びその要求枚数を特定し、特定された印刷用紙及び要求枚数を決定部520に通知する。
なお、処理能力監視部510は、給紙装置20に設けられたセンサからの情報に基づいて、各給紙装置20の処理能力(すなわち、印刷用紙の残枚数)を監視し、決定部520に出力している。
【0039】
ステップ208(S208)において、決定部520は、ジョブ検索部500から通知された印刷用紙及び要求枚数と、処理能力監視部510から入力された各印刷用紙の残枚数とを比較して、次のジョブにおいて給紙が可能であるか否か(すなわち、次のジョブで要求される印刷用紙の要求枚数が、給紙装置20に残っている印刷用紙の枚数を超えるか否か)を判断する。
制御プログラム5は、決定部520により給紙が可能であると判断された場合に、S220の処理に移行し、給紙が不可能であると判断された場合(すなわち、次のジョブで印刷用紙が不足すると判断された場合)に、S210の処理に移行する。
【0040】
ステップ210(S210)において、装置制御部530の解除措置通知部532は、決定部520により給紙が不可能であると判断された場合(すなわち、次のジョブで指定された印刷用紙の補充が必要である場合)に、給紙装置20に対する解除措置(すなわち、印刷用紙の補充)を促すメッセージを操作部40に表示させる。
操作者は、操作部40に表示されたメッセージによって、次のジョブが開始される前に、印刷用紙の補充が必要であることを知ることができる。
【0041】
ステップ212(S212)において、装置制御部530は、解除措置検出部540による検出結果に基づいて、次のジョブが開始されるまでに印刷用紙の補充がなされたか否かを判断する。なお、解除措置検出部540は、給紙装置20に残っている印刷用紙の枚数を監視しており、印刷用紙の増加(すなわち、印刷用紙の補充)を検出すると、その旨を装置制御部530に出力する。
制御プログラム5は、次のジョブが開始されるまでに印刷用紙の補充がなされた場合に、S220の処理に移行し、これ以外の場合に、S214の処理に移行する。
【0042】
ステップ214(S214)において、ジョブ入替部534は、次のジョブの開始までに印刷用紙が補充されていない場合に、次のジョブと異なる印刷用紙(すなわち、給紙トレイ)を指定する後続ジョブを検索する。
【0043】
ステップ216(S216)において、制御プログラム5は、異なる印刷用紙を指定する後続ジョブが存在する場合に、S218の処理に移行し、存在しない場合に、S220の処理に移行する。
【0044】
ステップ218(S218)において、ジョブ入替部534は、次のジョブと、発見された後続ジョブ(異なる印刷用紙を使用するジョブ)との順序を入れ替える。
【0045】
ステップ220(S220)において、制御装置100は、投入されているジョブに従って、印刷処理を続行するよう、画像形成装置10の各構成(給紙装置20及びプリントエンジン)を制御する。
【0046】
ステップ222(S222)において、制御装置100は、投入されたジョブが全て処理されて消滅したか否かを判断し、ジョブが残っている場合に、S204の処理に戻って印刷処理を継続し、ジョブが残っていない場合に、処理を終了して、新たにジョブが投入されるまで待機状態となる。
【0047】
以上説明したように、本実施形態の画像形成システム1は、複数のジョブが投入されている場合に、処理中のジョブだけでなく、その後続のジョブもチェックして、画像形成装置10又は後処理装置30におけるダウンタイムの発生を予測して、適切な解除措置を予め操作者に提示する。
【0048】
[変形例]
なお、上記実施形態では、操作者に対する通知(解除措置を促すメッセージの表示)を、ジョブの順序入替えの前提条件としているが、これに限定されるものではなく、例えば、操作者に対する通知と、ジョブの順序入替えとを並行して実施してもよいし、ジョブの順序入替えを行なった後に、操作者に対する通知を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】画像形成システム1を例示する図である。
【図2】制御装置100(図1)にインストールされた制御プログラム5の機能構成を例示する図である。
【図3】ジョブの入替えを例示する図である。
【図4】画像処理システム1における後処理の動作(S10)を例示するフローチャートである。
【図5】後処理装置30によってなされうる後処理と、これらの後処理に関する解除措置とを例示する。
【図6】画像処理システム1における給紙処理の動作(S20)を例示するフローチャートである。
【符号の説明】
【0050】
1・・・画像形成システム
10・・・画像形成装置
100・・・制御装置
20・・・給紙装置
30・・・後処理装置
5・・・制御プログラム
500・・・ジョブ検索部
510・・・処理能力監視部
520・・・決定部
530・・・装置制御部
532・・・解除措置通知部
534・・・ジョブ入替部
540・・・解除措置検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成部と、接続された周辺装置とを制御する画像形成装置であって、
入力された処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に応じて、前記画像形成部及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御する装置制御手段と、
を有する画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、入力された処理要求が前記周辺装置の処理能力を超えると判断された場合に、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行うと決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記周辺装置は、前記画像形成部によって画像が形成された画像記録媒体に対して、後処理を施す後処理装置であり、
前記決定手段は、入力された複数の処理要求によりそれぞれ画像形成すべき枚数と、前記後処理装置により処理可能な枚数とに基づいて、操作者に対する通知、又は、処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装置制御手段は、前記決定手段により処理要求の順序入替えを行なうよう決定された場合に、動作中の周辺装置から他の周辺装置に切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記周辺装置は、画像記録媒体を前記画像形成装置に供給する給紙装置であり、
前記決定手段は、入力された処理要求の要求枚数と、この処理要求によって指定された前記給紙装置に残っている画像記録媒体の枚数とに基づいて、操作者に対する通知、及び、前記処理要求の順序入替えを行うか否かを決定し、
前記装置制御手段は、前記決定手段により操作者に対する通知を行うことが決定され、かつ、所定のタイミングまでに画像記録媒体の追加がなされなかった場合に、給紙装置が切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記周辺装置は、前記画像形成装置により画像が形成された画像記録媒体を排出する排出装置であり、
前記決定手段は、入力された処理要求により画像形成すべき枚数と、この処理要求によって指定された前記排出装置において積載可能な枚数とに基づいて、画像記録媒体を排出装置から除去する旨の通知、及び、前記処理要求の順序入替えを行うか否かを決定し、
前記装置制御手段は、前記決定手段により画像記録媒体を排出装置から除去する旨の通知を行うことが決定され、かつ、所定のタイミングまでに画像記録媒体が除去なされなかった場合に、排出装置が切り替わるように前記処理要求の順序を入れ替える請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置に接続された周辺装置と、
前記画像形成装置に対する処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、前記画像形成装置に対する処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定する決定手段と、
前記決定手段による決定に応じて、前記画像形成装置及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御する制御手段と、
を有する画像形成システム。
【請求項8】
画像記録媒体に対して画像を形成する画像形成装置、及び、この画像形成装置に接続された周辺装置を制御するためのプログラムであって、
前記画像形成装置に対する処理要求と、前記周辺装置の処理能力とに基づいて、操作者に対する通知、又は、前記画像形成装置による処理要求の順序入替えを行なうか否かを決定するステップと、
前記決定に応じて、前記画像形成装置及び前記周辺装置の少なくとも一方を制御するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−118108(P2009−118108A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−288071(P2007−288071)
【出願日】平成19年11月6日(2007.11.6)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】