説明

画像形成装置、画像形成方法、及びコンピュータプログラム

【課題】 微小画素の追加あるいは削除を行うことにより主走査幅を拡大あるいは縮小するに際し、濃度ムラの発生を低減させる。
【解決手段】 補正対象の画素については、補正前後における濃度差を導出し、導出した濃度差を、同一の主走査方向においてそれまでに導出された濃度差に加算して累積濃度差を導出する。補正対象の画素の濃度差を導出する前までに導出されている累積濃度差が閾値ETH−以下である場合には、補正対象の画素のデータに白の微小画素を追加し、閾値ETH+以上である場合には、補正対象の画素のデータに黒の微小画素を追加する。一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でもETH+以上でもない場合であって、補正対象の画素の濃度が閾値以上である場合には、補正対象の画素のデータに黒の微小画素を追加し、そうでない場合には、補正対象の画素のデータに白の微小画素を追加する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びコンピュータプログラムに関し、特に、カラー画像を形成する際の各色の主走査幅を補正するために用いて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
インライン方式のカラー画像形成装置は、C、M、Y、Kの色毎に個別に感光ドラムを有しており、各色の走査経路がそれぞれ異なる。したがって、装置の機構上の精度(メカ精度)のばらつきにより、C、M、Y、Kの色毎に主走査幅が異なる。このため、画像クロックの周波数を色毎に異ならせて、主走査幅を揃えることにより、色ずれを低減している。従来は、色毎にPLL(Phase Locked Loop)を設け、これら色毎のPLLを用いて、主走査幅の補正を行うことにより、色ずれの低減を行っていた。しかし、この方式では、画像形成装置のコストが高くなる。そこで、画像形成装置の低コスト化を実現するために、1つのPLLで、画像クロックよりも高周波である基準クロックを分周して画像クロックを作る方式が提案されている。この方式では、局所的に微小画素を追加したり、削除したりすることにより、主走査幅を補正することを実現している。微小画素を削除する場合は、画素の濃度が濃いか薄いかを判定して、薄い場合には白の微小画素を削除することで、画像の消失をなくす画像形成装置が提案されている(特許文献1を参照)。また、微小画素を削除する場合に、次の書き込みクロックで、削除された微小画素分を補正する画像形成装置が提案されている(特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−98595号公報
【特許文献2】特開2007−55098号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、削除する微小画素の色を画素の濃度に応じて決定しているだけなので、追加あるいは削除する微小画素が多い場合、濃度ムラが発生してしまうという課題がある。また、特許文献2の技術では、削除した微小画素を、次のクロックの画素に追加するので、黒色の画像情報は欠落しない。しかし、濃度を補正していないので、追加あるいは削除する微小画素が多い場合には、特許文献1の技術と同様に、濃度ムラが発生してしまうという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、微小画素の追加あるいは削除を行うことにより主走査幅を拡大あるいは縮小するに際し、濃度ムラの発生を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の画像形成装置は、画素に対して、1画素未満の大きさの微小画素の追加、及び削除の少なくとも何れか一方を行うことによって、形成する画像の主走査方向の幅の拡大、及び縮小の少なくとも何れか一方を行う画像形成装置であって、前記主走査方向における各画素のうち、補正対象の画素に対して微小画素を追加又は削除して、当該補正対象の画素の濃度を補正する補正手段と、前記補正手段により補正される前の前記補正対象の画素の濃度と、前記補正手段により補正された後の当該補正対象の画素の濃度との濃度差を計算する濃度差計算手段と、前記濃度差計算手段で計算された濃度差を累積した累積濃度差を記憶媒体に記憶する記憶手段と、前記記憶手段により記憶された累積濃度差と所定の閾値とを比較して、前記累積濃度差が小さくなるように、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色、又は前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として、白又は黒を決定する決定手段と、を有し、前記補正手段は、前記決定手段で決定された白又は黒の微小画素を、前記補正対象の画素に対して、追加、又は削除することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、微小画素の追加あるいは削除を行うことにより主走査幅を拡大あるいは縮小するに際し、濃度ムラの発生を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態に係る主走査幅の補正の方法を示す図である。
【図2】露光制御部の構成を示す図である。
【図3】第1の実施形態に係る主走査幅の補正処理を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施形態に係る主走査幅の補正の方法を示す図である。
【図5】第2の実施形態に係る主走査幅の補正処理を示すフローチャートである。
【図6】片倍率が異常な場合の主走査方向の画素を示す図である。
【図7】第3の実施形態に係る主走査幅の補正処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照しながら、第1の実施形態を説明する。本実施形態では、画像形成装置として、インライン方式の画像形成装置を用いるようにしている。本実施形態のインライン方式の画像形成装置では、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色毎に個別に感光ドラムを有する。これら4つの感光ドラムの表面には均一な帯電量の電荷が与えられ、画像データに応じて変調されたレーザ光が感光ドラム上に露光走査される。これにより感光ドラム上には静電潜像が形成される。C、M、Y、Kの現像材が、対応する感光ドラムに供給されることによって、感光ドラム上の静電潜像がトナー像として可視像化される。可視像化されたトナー像は中間転写ベルトに転写される。尚、画像形成装置は、このようなものに限定されず、光ビームによって書き込みを行う光書き込み装置を備えた複写機、プリンタ等の画像形成装置を採用することができる。
【0009】
通常、光ビームの走査を行う画像形成装置では、出力画像に階調をもたせるために、1画素単位でオン/オフを行うのではなく、1画素あたりの露光量を制御する。露光量の制御は、一般に、PWM(Pulse Width Modulation)により1クロック周期内の露光時間を制御することによって行う。1クロック内の露光パターンのHigh/Lowの波形をPWM波形と呼ぶ。そこで、本実施形態では、露光量の調整のために、PWM波形を用いる場合を例に挙げて説明する。
【0010】
図1は、本実施形態の画像形成装置における主走査幅の補正の方法の一例を模式的に示す図である。
図1において、(a)は、補正前の画像クロックである。(b)は、補正前の露光パターンを、微小画素のつながりにより模式的に表したものである。(b)では、黒の微小画素が露光する箇所を表し、白の微小画素が露光しない箇所を表している。(c)は、補正後の画像クロックである。(c)の△で示された画素クロックの周期(2クロック目、4クロック目、6クロック目、及び8クロック目の画素クロックの周期)が、1/8周期だけ、元の画素クロックの周期よりも長くなっている。このように、局所的に周期が長い画素クロックを複数生成することによって、全体の主走査幅を拡大することができる。
【0011】
一例として、YとKの主走査幅をそろえて色ずれを低減する方法を説明する。公知の技術により、YとKの主走査幅の相対差を測定する。YとKの主走査幅が相対的に同じであれば色ずれを低減できる。よって、Yの主走査幅がKの主走査幅よりも1%短い場合、Yの主走査幅を1%伸ばせばよい。主走査方向の画素数を4960画素とし、画素クロックの周期を1/8周期だけ元のクロックよりも長くすると、(4960×(1/100))/(1/8)≒397個の画素クロックに対して周期の変更を行うとよい。4960画素のうち、どの397画素の画素クロックに対して周期の変更を行うのかを決定する方法としては、種々の方法が考えられる。画素クロックの周期を変更する画素が局所的に固まると局所的に色ずれを起こしてしまうので、なるべく分散して微小画素を追加するのが好ましい。例えば、主走査方向を8個の領域に分割して、そのうち3個の領域では49個の画素クロックの周期を変更し、残りの5個の領域では、50個の画素クロックの周期を変更する。その際、各領域内で変更する画素クロックの位置をランダムに配置する。このようにして、Y、M、C、Kのうち最も主走査幅が長い色に、他の色の主走査幅を合わせることにより、色ずれを低減することができる。
【0012】
画素クロックの周期をのばすと、画素クロックの周期にあわせて露光パターンも変更する必要がある。理想的には、画素クロックの周期を9/8倍したとき、PWM波形も同様に9/8倍になると良い。しかし、PWM波形は、後で説明するように、高周波数の基準クロックからデジタル的に生成されるので、PWMデューティを変化させずにPWM波形を9/8倍にすることはできない。ここで、1クロック周期内のオン時間を1クロック周期で割ったものをPWMデューティと呼ぶ。したがって、1/8画素サイズの微小画素をPWMデータに追加することによって、画素クロックの周期を変化させる。その際、白又は黒の何れの微小画素を追加するかということが問題になる。以後の説明では、この微小画素の白又は黒のことを微小画素の色と呼ぶ。以下、追加する微小画素の色の決定方法の一例について詳細に説明する。
【0013】
図1に示す例では、4箇所の画素クロックの周期が元のクロック周期の9/8倍になっている。(d)は、補正後の露光パターンを、微小画素のつながりにより模式的に表したものである。1個の楕円が1個の微小画素を表している。補正前の露光パターン((b)を参照)と同様に、黒の微小画素は露光する箇所を表し、白の微小画素は露光しない箇所を表している。(e)は、各画素の補正前のPWMデューティ(濃度)である。本実施形態では、各画素の補正前のPWMデューティは全て4/8となっている。(f)は、各画素の補正後のPWMデューティ(濃度)である。△で示された画像クロックのデータに対して補正が行われている。本実施形態では、これらの画素クロックの周期が9/8倍されているので、PWMデューティもそれに伴い変化する。(g)は、補正前後のPWMデューティの差を表している。以後、PWMデューティの差を濃度差と呼ぶ。(h)は、各画素クロックの時点における濃度差を主走査方向に累積した累積濃度差を示している。
【0014】
本実施形態では、図1に示すように、微小画素を追加することにより主走査幅を拡大する。以下の説明において、PWMデータは、高周波の基準クロックの1周期を単位としたオン時間を示すものとする。例えば、"PWMデータが4"とは、基準クロック4周期分の期間だけ露光することを示す。
追加する微小画素の色を決定する方法の一例は以下の通りである。まず、補正前のPWMデータが閾値以上の場合には、黒の微小画素を追加する。逆に、補正前のPWMデータが閾値未満の場合は、白の微小画素を追加する。補正前のPWMデューティと補正後のPWMデューティとの差(補正前のPWMデューティ−補正後のPWMデューティ)を濃度差として濃度差を累積していき、累積濃度差が所定の閾値よりも小さくなると、次の補正対象の画素クロックで白の微小画素を追加する。一方、累積濃度差が所定の閾値よりも大きくなると、次の補正対象の画素クロックで黒の微小画素を追加する。
【0015】
図1に示す例では、2クロック目の補正対象の画素クロックでは、累積濃度差が0であるので、PWMデータと閾値4とを比較する。PWMデータと閾値とが同じなので、2クロック目の補正対象の画素クロックには黒の微小画素を追加する。補正前のPWMデューティ(=4/8)と補正後のPWMデューティ(=5/9)との差は、−0.055なので、累積濃度差は、0−0.055=−0.055となる。同様に、4クロック目の補正対象の画素クロックでは、黒の微小画素を追加し、累積濃度差は、−0.11となる。同様に6クロック目の補正対象の画素クロックでは、黒の微小画素を追加し、累積濃度差は、−0.165となる。8クロック目の補正対象の画素クロックでは、累積濃度差が−0.165となり、閾値の−0.125よりも小さいので、白の微小画素を追加する。この場合、濃度差は、4/8−4/9=0.055となる。したがって、累積濃度差は−0.165+0.055=−0.11になる。以後、この動作を主走査幅分繰り返す。次の主走査についても、これと同様な方法で、補正対象の画素クロックに追加する微小画素の色(白/黒)を決定する。
【0016】
図2は、画像形成装置における露光制御部の構成の一例を示す図である。
FIFO(First In Fast Out)1は、画像データとしてPWMデータを入出力(格納)するためのものである。入力データレジスタ2は、FIFO1から出力されたPWMデータを一時的に格納しておくためのレジスタである。
データ生成部3は、入力データレジスタ2に格納されたPWMデータと、濃度差比較部5における比較の結果とに基づいて、補正後のPWMデータのビット列を生成する。シフトレジスタ4は、ロードされたPWMデータのビット列をシフトしてPWM波形に変換する。
【0017】
濃度差比較部5は、所定の閾値と濃度差格納部7に格納されている累積濃度差とを比較して、追加する微小画素の色を決定する。濃度差計算部6は、入力データレジスタ2に格納されているPWMデータのデューティと、データ生成部3で補正された後のPWMデータのデューティとの濃度差を計算する。濃度差格納部7は、濃度差計算部6で計算された濃度差を、自身に格納されている累積濃度差に足し合わせ、その結果を最新の累積濃度差として格納する。
【0018】
図2に示す各ブロックの動作の一例を詳細に説明する。ここでは、図1に示すように、1クロックの1画素を8分割したものを1個の微小画素とする例で説明する。図示しない画像処理回路にて、0〜8の9レベルを示す4bitのPWMデータと、黒画素の成長方向を示す2bitのデータとが画像データとしてFIFO1に入力される。黒画素の成長方向は、例えば、左、右、中心の3方向であるとすると、黒画素の成長方向を示すデータは、2bitで表すことができる。図示しないタイミング制御回路により、画像クロックの立ち上がりに同期してFIFO1から入力データレジスタ2に、4bitのPWMデータと2ビットの黒画素の成長方向を示すデータとからなる6bitのデータをロードする。
【0019】
データ生成部3は、微小画素を追加すべきデータであるかどうかを判断する。この判断は、周期を変更する画素クロックのデータであるかどうかによって行われる。前述したように、周期を変更する画素クロックは、局所的にならないようになるべく分散させるのが好ましい。周期を変更する画素クロックは、このような指標に基づいて予め設定されている。微小画素を追加すべきデータである場合であって、濃度差比較部5から、追加する微小画素の色を指定する色指定信号が入力された場合には、当該色指定信号に基づいて、黒又は白の微小画素の何れかをPWMデータに追加する。一方、微小画素を追加すべきデータである場合であって、濃度差比較部5から、追加する微小画素の色を指定する色指定信号が入力されていない場合、データ生成部3は、黒又は白の微小画素のいずれを追加するかは、4bitのPWMデータから求める。具体的には、閾値TH=4として、PWMデータが0〜3の場合、データ生成部3は、白の微小画素をPWMデータに追加する。一方、PWMデータが4〜8の場合、データ生成部3は、黒の微小画素をPWMデータに追加する。微小画素の追加は以下のように行う。
【0020】
まず、データ生成部3は、入力データレジスタ2から入力される「6bitのデータ」から、黒の微小画素の数と、黒画素の成長方向とを判別できる。また、データ生成部3は、濃度差比較部5から入力される「微小画素の色指定信号」から、追加すべき微小画素が黒か白かを判別できる。データ生成部3は、それらの情報から9bitのビット列を生成する。例えば、入力されたPWMデータが4であり、黒画素の成長方向が左方向であり、且つ、追加する微小画素の色が黒であるとする。この場合、データ生成部3は、左端に黒の微小画素を1つ追加すると良いので、データ生成部3は、左から111110000のビット列を生成する。ここで、1は黒の微小画素を、0は白の微小画素を示す。データ生成部3は、このような方法で作成したビット列をシフトレジスタ4にロードする。同様の入力で、追加する微小画素が白であるとすると、右端に白の微小画素を追加すると良いので、データ生成部3は、左から111100000のビット列を生成する。この例では、黒の微小画素を本来の黒画素に連続するようにビット列を生成すると共に、白の微小画素を本来の白画素に連続するようにビット列を生成した。しかしながら、必ずしも、この位置に微小画素を追加する必要はなく、例えば、予め決められた場所に微小画素を追加するようにしても良い。
【0021】
シフトレジスタ4は、画像クロックの8倍の周波数をもつクロックにて、データ生成部3から入力したビット列を順次左方向にシフトする。このようにしてシフトされたビット列の最上位ビットがPWM出力となる。以上のようにして、入力データであるPWMデータをPWM波形に変換して出力することができる。
濃度差計算部6は、入力データレジスタ2から入力される「6bitのデータ」と、データ生成部3から入力される「9bitのデータ」との濃度差を計算する。これら2つのデータそのものは濃度データではない。そこで、濃度差計算部6は、濃度差の計算をする前に、以下のようにデータ変換を行う。
【0022】
入力データレジスタ2から入力される「6bitのデータ」のうち、4bitのPWMデータは、0〜8の値をとる。画像クロックの周期は8なので、濃度差計算部6は、0〜8をそれぞれ8で割って、0、0.125〜0.875、1を得る。小数の演算を行わないために、これらの値を0、125〜875、1000とすると良い。濃度差計算部6は、データ生成部3から入力される「9bitのデータ」中の1の数をカウントし、同様にカウント値を9で割る。これにより、濃度差計算部6は、0〜9のカウント値に対して、0、0.111〜0.888、1を得る。小数の演算を行わないために、これらの値を0、111〜888、1000とすると良い。これらの演算をプロセッサではなくロジック回路で行うためには、入力データと濃度とをLUT(ルックアップテーブル)で対応付けておくと良い。
【0023】
濃度差計算部6は、前述した濃度情報の差を計算し、濃度差として、濃度差格納部7に出力する。濃度差格納部7は、自らが格納していた累積濃度差に、濃度差計算部6から入力した濃度差を加算することで、累積濃度差を更新する。
濃度差比較部5は、予め決められた閾値と、濃度差格納部7で格納されている累積濃度差とを比較して、白の微小画素又は黒の微小画素を追加するかどうかを決定し、白または黒の情報を色指定信号としてデータ生成部3に出力する。具体的には、白の微小画素を追加する場合は0、黒の微小画素を追加する場合は1を示す色指定信号がデータ生成部3に出力される。また、濃度差比較部5は、累積濃度差が閾値を超えているか否かを示す1bitのデータをデータ生成部3に出力する。この1bitのデータは、累積濃度差が閾値を超えている場合は1、超えていない場合は0にするとよい。
【0024】
濃度差比較部5で使用する閾値として2種類の閾値を予め設定しておく。すなわち、白の微小画素を追加するか否かを判定のための第1の閾値の一例である負の閾値ETH−と、黒の微小画素を追加するか否かを判定するための第2の閾値の一例である正の閾値ETH+と、の2種類の閾値を予め設定しておく。ここでは、正の閾値を1/8画素相当の125、負の閾値を1/8画素相当の−125とする。このようにすると、濃度差比較部5は、濃度差格納部7に格納されている累積濃度差が−124よりも小さい場合には0を出力し、累積濃度差が125以上の場合には1を出力する。尚、累積濃度差が前述した閾値を超えているとは、正の閾値よりも大きい場合と、負の閾値よりも小さい場合のことを示す。
【0025】
図3は、画像形成装置における露光制御部における主走査幅の補正処理の一例を示すフローチャートである。画像クロック毎にこのフローチャートによる処理が実行される。
まず、ステップS101において、データ生成部3は、処理対象の画素クロックが微小画素を追加する画素クロックであるかどうかを判定する。この判定の結果、処理対象の画素クロックが微小画素を追加する画素クロックでない場合には、主走査幅の補正を行わずに、図3のフローチャートによる処理を終了する。
【0026】
一方、処理対象の画素クロックが微小画素を追加する画素クロックである場合には、ステップS102に進む。ステップS102に進むと、濃度差比較部5は、濃度差格納部7で格納されている(最新の)累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下であるか否かを判定する。この判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下である場合には、ステップS106に進む。ステップS106に進むと、濃度差比較部5は、白の微小画素を追加することを示す1bitのデータ(0)を色指定信号としてデータ生成部3に出力する。データ生成部3は、この色指定信号に基づいて、PWMデータに白の微小画素を追加する。そして、後述するステップS107に進む。
【0027】
一方、累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下でない場合には、ステップS103に進む。ステップS103に進むと、濃度差比較部5は、濃度差格納部7で格納されている(最新の)累積濃度差が、所定の閾値ETH+以上であるか否かを判定する。この判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH+以上である場合には、ステップS104を省略してステップS105に進む。ステップS105に進むと、濃度差比較部5は、黒の微小画素を追加することを示す1bitのデータ(1)を色指定信号としてデータ生成部3に出力する。データ生成部3は、この色指定信号に基づいて、PWMデータに黒の微小画素を1つ追加する。そして、後述するステップS107に進む。
【0028】
一方、ステップS103の判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH+未満である場合には、ステップS104に進む。ステップS104に進むと、データ生成部3は、補正前のPWMデータ(の値)が所定の閾値TH以上であるか否かを判定する。この判定の結果、補正前のPWMデータが所定の閾値TH以上である場合には、前述したステップS105に進み、データ生成部3は、PWMデータに黒の微小画素を1つ追加する。ここでは、データ生成部3は、色指定信号に基づかずに、PWMデータから、追加する微小画素の色を決定する。一方、補正前のPWMデータが所定の閾値TH未満である場合には、前述したステップS106に進み、データ生成部3は、PWMデータに白の微小画素を追加する。ここでも、データ生成部3は、色指定信号に基づかずに、PWMデータから、追加する微小画素の色を決定する。このステップS104〜S106の処理により、累積濃度差によって微小画素の色が決まらない画素クロックに関して、補正前のPWM濃度が閾値よりも濃い場合には黒画素を追加し、薄い場合には白画素を追加することができる。
【0029】
ステップS107に進むと、濃度差計算部6は、補正前後のPWM濃度の濃度差を計算して、現在の累積濃度差に加算することで累積濃度差を更新する。以上の動作を画像クロック毎に繰り返す。
【0030】
以上のように、本実施形態では、主走査方向の領域を8個の領域に分割し、各領域において、微小画素を追加する画素の数を均等に割り振って、微小画素を追加する画素(補正対象画素)を決定する。補正対象の画素については、補正前後における濃度差を導出し、導出した濃度差を、同一の主走査方向においてそれまでに導出された濃度差に加算して累積濃度差を導出する。補正対象の画素の濃度差を導出する前までに導出されている累積濃度差が閾値ETH−以下である場合には、補正対象の画素のデータに白の微小画素を追加し、閾値ETH+以上である場合には、補正対象の画素のデータに黒の微小画素を追加する。一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でもETH+以上でもない場合であって、補正対象の画素の濃度が閾値以上である場合には、補正対象の画素のデータに黒の微小画素を追加し、そうでない場合には、補正対象の画素のデータに白の微小画素を追加する。以上のように、微小画素の追加により主走査幅を拡大する際、累積濃度差が0に近づくように、追加する微小画素の色(白/黒)を決定するので、出力画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0031】
本実施形態では、正の閾値ETH+を1/8画素(1つの微小画素の最大濃度)相当の125にすると共に、負の閾値ETH−を1/8画素相当の−125にしている。すなわち、追加する微小画素の大きさが1/8画素相当であるので、閾値をこれに相当する値(±125)に設定した。これにより、累積濃度差が微小画素分よりも大きくなると、その累積濃度差を打ち消すように微小画素を追加することになる。従って、補正前のPWM濃度と補正後のPWM濃度との差が常に、1画素の1/8以下であるようにPWM出力を補正することになる。しかし、閾値はこれらの値に限るものではなく、その絶対値が0画素より大きく、1画素よりも小さい値に自由に設定して良い。例えば、1/16画素相当の閾値にすると、補正前のPWM濃度と補正後のPWM濃度の差が常に、1画素の1/16以下であるようにPWM波形を補正することができる。
【0032】
また、本実施形態では、微小画素を1/8画素として説明した。しかし、微小画素の大きさはこれに限るものではなく、1画素をn(n>1)分割した1画素未満の画素であれば、例えば、1/16画素、1/32画素等に微小画素を設定しても良い。
また、本実施形態では、累積濃度差と閾値との比較によって、追加する微小画素の色(白/黒)が決まらない場合には、補正前のPWMデータと所定の閾値とを比較する方法により、追加する微小画素の色を決定するようにした。しかし、他の方法、例えば、補正前のPWMデータの左端の微小画素と同じ微小画素を追加する方法にしてもよい。何れにしても補正前後のPWM濃度差が所定の範囲に収まるように次の補正対象の画素クロックの微小画素の色を決定することに変わりはない。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では、主走査幅を拡大する場合を例に挙げて説明した。これに対し、本実施形態では、主走査幅を縮小する場合について説明する。このように、本実施形態と第1の実施形態とでは、主走査幅を変更する際の処理の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1の実施形態と同一の部分については、図1〜図3に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
【0034】
図4は、本実施形態の画像形成装置における主走査幅の補正の方法の一例を模式的に示す図である。
図4において、(a)は、補正前の画像クロックである。(b)は、補正前の露光パターンを、微小画素のつながりにより模式的に表したものである。(b)では、黒の微小画素は露光する箇所を表し、白の微小画素が露光しない箇所を表している。後述するように、(b)の△で示された微小画素を削除することにより、これらの画像クロックの周期が1/8周期だけ元の画像クロックの周期よりも短くなっている。このように、局所的に周期が短い画像クロックを複数生成することによって、全体の主走査幅を縮小することができる。
【0035】
本実施形態では、4箇所の画像クロックの周期が元の画像クロックの周期の7/8倍になっている((f)を参照)。(d)は、補正後の露光パターンを、微小画素のつながりにより模式的に表したものである。白と黒の意味は第1の実施形態で説明したものと同じである。(e)は、各画素の補正前のPWMデューティ(濃度)である。本実施形態では、各画素の補正前のPWMデューティは全て4/8となっている。(f)は、各画素の補正後のPWMデューティ(濃度)である。△で示された画像クロックのデータに対して補正が行われている。本実施形態では、これらの画素クロックは周期が7/8倍されているので、PWMデューティもそれに合わせた値になっている。
【0036】
本実施形態では、図4に示すように、微小画素を削除することにより主走査幅を縮小する。削除する微小画素の色を決定する方法の一例は以下の通りである。まず、補正前のPWMデータが閾値以上の場合には、白の微小画素を削除する。逆に、補正前のPWMデータが閾値未満の場合には、黒の微小画素を削除する。補正前のPWMデューティと補正後のPWMデューティとの差を濃度差として累積していき、累積濃度差が所定の閾値よりも小さくなると、次の補正対象の画素クロックで黒の微小画素を削除する。一方、累積濃度差が所定の閾値よりも大きくなると、次の補正対象の画素クロックで白の微小画素を削除する。
【0037】
図4に示すでは、2クロック目の補正対象の画素クロックでは、累積濃度差が0であるので、PWMデータと閾値4とを比較する。PWMデータと閾値とが同じなので、2クロック目の補正対象の画素クロックでは白の微小画素を削除する。補正前のPWMデューティ(=4/8)と補正後のPWMデューティ(=4/7)との差は、−0.071なので、累積濃度差は、0−0.071=−0.071なる。同様に、4クロック目の補正対象の画素クロックでは、白の微小画素を削除し、累積濃度差は、−0.142となる。6クロック目の補正対象の画素クロックでは、累積濃度差が−0.142であり、この累積濃度差は、閾値の−0.125よりも小さいので、6クロック目の補正対象の画素クロックから黒の微小画素を削除する。この場合、濃度差は、4/8−4/7=0.071となる。したがって、累積濃度差は−0.142+0.071=−0.71になる。以後、この動作を主走査幅分繰り返す。次の主走査についても、これと同様な方法で、補正対象の画素クロックから削除する微小画素の色(白/黒)を決定する。
【0038】
尚、本実施形態においても、画素クロックの周期を変更する画素が局所的に固まらないように、なるべく分散して微小画素を削除する。削除する微小画素は、第1の実施形態において、追加する微小画素を決定する方法と同じようにして決定することができる。
【0039】
図5は、画像形成装置における露光制御部における主走査幅の補正処理の一例を示すフローチャートである。画像クロック毎にこのフローチャートによる処理が実行される。
まず、ステップS201において、データ生成部3は、処理対象の画素クロックが微小画素を削除する画素クロックであるかどうかを判定する。この判定の結果、処理対象の画素クロックが微小画素を削除する画素クロックでない場合には、主走査幅の補正を行わずに、図5のフローチャートによる処理を終了する。
【0040】
一方、処理対象の画素クロックが微小画素を削除する画素クロックである場合には、ステップS202に進む。ステップS202に進むと、濃度差比較部5は、濃度差格納部7で格納されている(最新の)累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下であるか否かを判定する。この判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下である場合には、ステップS206に進む。ステップS206に進むと、濃度差比較部5は、黒の微小画素を削除することを示す1bitのデータを色指定信号としてデータ生成部3に出力する。データ生成部3は、この色指定信号に基づいて、PWMデータから黒の微小画素を削除する。そして、後述するステップS207に進む。
【0041】
一方、累積濃度差が、所定の閾値ETH−以下でない場合には、ステップS203に進む。ステップS203に進むと、濃度差比較部5は、濃度差格納部7で格納されている(最新の)累積濃度差が、所定の閾値ETH+以上であるか否かを判定する。この判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH+以上である場合には、ステップS204を省略してステップS205に進む。ステップS205に進むと、濃度差比較部5は、白の微小画素を削除することを示す1bitのデータを色指定信号としてデータ生成部3に出力する。データ生成部3は、この色指定信号に基づいて、PWMデータから白の微小画素を1つ削除する。そして、後述するステップS207に進む。
【0042】
一方、ステップS203の判定の結果、累積濃度差が、所定の閾値ETH+未満である場合には、ステップS204に進む。ステップS204に進むと、データ生成部3は、補正前のPWMデータ(の値)が所定の閾値TH以上であるか否かを判定する。この判定の結果、補正前のPWMデータが所定の閾値TH以上である場合には、前述したステップS205に進み、データ生成部3は、PWMデータから白の微小画素を1つ削除する。ここでは、データ生成部3は、色指定信号に基づかずに、PWMデータから、削除する微小画素の色を決定する。ただし、補正前のPWMデータが全て黒の微小画素を示すものであって白の微小画素を削除できない場合、データ生成部3は、黒の微小画素を1つ削除する。一方、補正前のPWMデータが所定の閾値TH未満である場合には、前述したステップS206に進み、データ生成部3は、PWMデータから黒の微小画素を1つ削除する。ここでも、データ生成部3は、色指定信号に基づかずに、PWMデータから、削除する微小画素の色を決定する。ただし、補正前のPWMデータが全て白の微小画素を示すものであって黒の微小画素を削除できない場合、データ生成部3は、白の微小画素を1つ削除する。
【0043】
ステップS207に進むと、濃度差計算部6は、補正前後のPWM濃度の濃度差を計算して、現在の累積濃度差に加算することで累積濃度差を更新する。以上の動作を画像クロック毎に繰り返す。閾値ETH−、ETH+、THは、第1の実施形態で説明した値を設定すると良い。
【0044】
以上のように、本実施形態では、補正対象の画素の濃度差を導出する前までに導出されている累積濃度差が閾値ETH−以下である場合には、補正対象の画素のデータから黒の微小画素を削除する。一方、閾値ETH+以上である場合には、補正対象の画素のデータに黒の微小画素を追加する。また、累積濃度差が閾値ETH−以下でもETH+以上でもない場合であって、補正対象の画素の濃度が閾値以上である場合は、補正対象の画素のデータから白の微小画素を削除し、そうでない場合には、補正対象の画素のデータから黒の微小画素を削除する。以上のように、微小画素の削除により主走査幅を縮小する際、累積濃度差が0に近づくように、削除する微小画素の色(白/黒)を決定するので、出力画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。
【0045】
本実施形態では、累積濃度差と閾値との比較によって、微小画素の色(白/黒)が決まらない場合には、補正前のPWMデータと所定の閾値とを比較する方法により、削除する微小画素の色を決定するようにした。しかし、他の方法、例えば、補正前のPWMデータの左端の微小画素を削除する方法にしてもよい。何れにしても補正前後のPWM濃度差が所定の範囲に収まるように次の補正対象の画素クロックの微小画素の色を決定することに変わりはない。その他、本実施形態でも、第1の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0046】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態を説明する。本実施形態では、微小画素の追加と削除とを組み合わせることで、全体倍率を補正するだけではなく片倍率を補正する際の微小画素の補正方法を説明する。このように本実施形態と第1、第2の実施形態とは、主走査幅を変更する際の処理の一部が主として異なる。したがって、本実施形態の説明において、第1、第2の実施形態と同一の部分については、図1〜図5に付した符号と同一の符号を付す等して詳細な説明を省略する。
【0047】
図6は、片倍率が異常な場合の主走査方向の画素の一例を模式的に示す図である。
図6において、S1は、1画素を示し、S2は、主走査方向の本来の書き込み幅を示し、S3は、書き込み幅S2の中心位置を示している。図6に示す例では、片倍率が異常であるので、中心位置S3よりも右側の画素の大きさは本来よりも大きくなり、左側の画素の大きさは本来よりも小さくなる。このような場合、中心位置S3よりも右側の画素については微小画素の削除を行うと共に、中心位置S3よりも左側の画素については微小画素の追加を行うことにより、片倍率の補正を行うことができる。
【0048】
図7は、画像形成装置における露光制御部における主走査幅の補正処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートは、一つの主走査方向における補正処理で微小画素の追加と削除とが混在する場合の処理を示すものである。また、画像クロック毎にこのフローチャートによる処理が実行される。
まず、ステップS301において、データ生成部3は、処理対象の画素クロックが微小画素を追加又は削除する画素クロックであるかどうかを判定する。この判定の結果、処理対象の画素クロックが微小画素を追加又は削除する画素クロックでない場合には、主走査幅の補正を行わずに、図7のフローチャートによる処理を終了する。
【0049】
一方、処理対象の画素クロックが微小画素を追加又は削除する画素クロックである場合には、ステップS302に進む。ステップS302に進むと、データ生成部3は、処理対象の画素クロックが微小画素を追加する画素クロックであるかどうかを判定する。この判定の結果、処理対象の画素クロックが微小画素を追加する画素クロックである場合には、ステップS303に進む。ステップS303〜S308の処理は、ステップS102〜S107の処理と同じである。すなわち、ステップS303において、濃度差比較部5は、濃度差格納部7内の累積濃度差が閾値ETH−以下であるか否かを判定する。そして、累積濃度差が閾値ETH−以下である場合には、ステップS308において、データ生成部3は、濃度差比較部5からの色指定信号に基づいて、PWMデータに白の微小画素を追加する。
【0050】
一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でない場合には、ステップS304において、濃度差比較部5は、濃度差格納部7内の累積濃度差が閾値ETH+以上であるか否かを判定し、累積濃度差が閾値ETH+以上である場合には、ステップS306に進む。そして、データ生成部3は、濃度差比較部5からの色指定信号に基づいて、PWMデータに黒の微小画素を追加する。
一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でも閾値ETH+以上でもない場合には、ステップS305に進み、データ生成部3は、補正前のPWMデータが閾値TH以上であるか否かを判定する。そして、補正前のPWMデータが閾値TH以上である場合には、前述したステップS306に進み、データ生成部3は、PWMデータに黒の微小画素を追加する。一方、補正後のPWMデータが閾値TH未満である場合には、前述したステップS308に進み、データ生成部3は、PWMデータに白の微小画素を追加する。以上の処理の後、ステップS307に進むと、濃度差計算部6は、補正前後のPWM濃度の濃度差を計算して、現在の累積濃度差に加算することで累積濃度差を更新する。
【0051】
ステップS302の判定の結果、当該画素クロックが微小画素を追加する画素クロックではなく、微小画素を削除する画素クロックである場合には、ステップS309に進む。ステップS309〜S313、S307の処理は、ステップS202〜S207の処理と同じである。すなわち、ステップS309において、濃度差比較部5は、濃度差格納部7内の累積濃度差が閾値ETH−以下であるか否かを判定する。そして、累積濃度差が閾値ETH−以下である場合には、ステップS313において、データ生成部3は、濃度差比較部5からの色指定信号に基づいて、PWMデータから黒の微小画素を削除する。
【0052】
一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でない場合には、ステップS310において、濃度差比較部5は、濃度差格納部7内の累積濃度差が閾値ETH+以上であるか否かを判定し、累積濃度差が閾値ETH+以上である場合には、ステップS312に進む。そして、データ生成部3は、濃度差比較部5からの色指定信号に基づいて、PWMデータから白の微小画素を削除する。
一方、累積濃度差が閾値ETH−以下でも閾値ETH+以上でもない場合には、ステップS311に進み、データ生成部3は、補正前のPWMデータが閾値TH以上であるか否かを判定する。そして、補正前のPWMデータが閾値TH以上である場合には、前述したステップS312に進み、データ生成部3は、PWMデータから白の微小画素を削除する。一方、補正後のPWMデータが閾値TH未満である場合には、前述したステップS313に進み、データ生成部3は、PWMデータから黒の微小画素を削除する。以上の処理の後、前述したステップS307に進むと、濃度差計算部6は、累積濃度差を更新する。以上の動作を画像クロック毎に繰り返す。閾値ETH−、ETH+、THは、第1の実施形態で説明したような値を設定すると良い。
【0053】
以上のように、本実施形態では、1つの主走査方向において、微小画素の追加と削除とが混在する補正を行う場合でも、補正前後における濃度差が大きく変わらないように(累積濃度差が0に近づくように)、追加又は削除する微小画素の色(白/黒)を決定する。よって、出力画像の濃度ムラの発生を抑制することができる。
本実施形態でも、第1、第2の実施形態で説明した種々の変形例を採用することができる。
【0054】
尚、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0055】
(その他の実施例)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、まず、以上の実施形態の機能を実現するソフトウェア(コンピュータプログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給する。そして、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)が当該コンピュータプログラムを読み出して実行する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素に対して、1画素未満の大きさの微小画素の追加、及び削除の少なくとも何れか一方を行うことによって、形成する画像の主走査方向の幅の拡大、及び縮小の少なくとも何れか一方を行う画像形成装置であって、
前記主走査方向における各画素のうち、補正対象の画素に対して微小画素を追加又は削除して、当該補正対象の画素の濃度を補正する補正手段と、
前記補正手段により補正される前の前記補正対象の画素の濃度と、前記補正手段により補正された後の当該補正対象の画素の濃度との濃度差を計算する濃度差計算手段と、
前記濃度差計算手段で計算された濃度差を累積した累積濃度差を記憶媒体に記憶する記憶手段と、
前記記憶手段により記憶された累積濃度差と所定の閾値とを比較して、前記累積濃度差が小さくなるように、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色、又は前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として、白又は黒を決定する決定手段と、を有し、
前記補正手段は、前記決定手段で決定された白又は黒の微小画素を、前記補正対象の画素に対して、追加、又は削除することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記濃度差は、補正される前の前記補正対象の画素の濃度から、補正された後の前記補正対象の画素の濃度を引いたものであり、
前記決定手段は、前記補正対象の画素に微小画素を追加する場合であって、前記累積濃度差が所定の第1の閾値よりも小さい場合には、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色として白を決定し、
前記補正対象の画素に微小画素を追加する場合であって、前記累積濃度差が前記第1の閾値よりも値が大きい所定の第2の閾値よりも大きい場合には、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色として黒を決定し、
前記補正対象の画素から微小画素を削除する場合であって、前記累積濃度差が所定の第1の閾値よりも小さい場合には、前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として黒を決定し、
前記補正対象の画素から微小画素を削除する場合であって、前記累積濃度差が前記第1の閾値よりも値が大きい所定の第2の閾値よりも大きい場合には、前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として白を決定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の閾値は負の値であり、第2の閾値は正の値であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の閾値と前記第2の閾値の絶対値は、1つの画素の最大濃度よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の閾値と前記第2の閾値の絶対値は、1つの微小画素の最大濃度に相当する値であることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正対象の画素の大きさが、本来の画素よりも小さい場合には、当該画素に対して前記微小画素を追加すると判定し、前記補正対象の画素の大きさが、本来の画素よりも大きい場合には、当該画素に対して前記微小画素を削除すると判定する判定手段を有することを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
画素に対して、1画素未満の大きさの微小画素の追加、及び削除の少なくとも何れか一方を行うことによって、形成する画像の主走査方向の幅の拡大、及び縮小の少なくとも何れか一方を行う画像形成方法であって、
前記主走査方向における各画素のうち、補正対象の画素に対して微小画素を追加又は削除して、当該補正対象の画素の濃度を補正する補正工程と、
前記補正工程により補正される前の前記補正対象の画素の濃度と、前記補正工程により補正された後の当該補正対象の画素の濃度との濃度差を計算する濃度差計算工程と、
前記濃度差計算工程で計算された濃度差を累積した累積濃度差を記憶媒体に記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された累積濃度差と所定の閾値とを比較して、前記累積濃度差が小さくなるように、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色、又は前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として、白又は黒を決定する決定工程と、を有し、
前記補正工程は、前記決定工程で決定された白又は黒の微小画素を、前記補正対象の画素に対して、追加、又は削除することを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
前記濃度差は、補正される前の前記補正対象の画素の濃度から、補正された後の前記補正対象の画素の濃度を引いたものであり、
前記決定工程は、前記補正対象の画素に微小画素を追加する場合であって、前記累積濃度差が所定の第1の閾値よりも小さい場合には、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色として白を決定し、
前記補正対象の画素に微小画素を追加する場合であって、前記累積濃度差が前記第1の閾値よりも値が大きい所定の第2の閾値よりも大きい場合には、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色として黒を決定し、
前記補正対象の画素から微小画素を削除する場合であって、前記累積濃度差が所定の第1の閾値よりも小さい場合には、前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として黒を決定し、
前記補正対象の画素から微小画素を削除する場合であって、前記累積濃度差が前記第1の閾値よりも値が大きい所定の第2の閾値よりも大きい場合には、前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として白を決定することを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記第1の閾値は負の値であり、第2の閾値は正の値であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記第1の閾値と前記第2の閾値の絶対値は、1つの画素の最大濃度よりも小さいことを特徴とする請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記第1の閾値と前記第2の閾値の絶対値は、1つの微小画素の最大濃度に相当する値であることを特徴とする請求項9又は10に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記補正対象の画素の大きさが、本来の画素よりも小さい場合には、当該画素に対して前記微小画素を追加すると判定し、前記補正対象の画素の大きさが、本来の画素よりも大きい場合には、当該画素に対して前記微小画素を削除すると判定する判定工程を有することを特徴とする請求項7〜11の何れか1項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
画素に対して、1画素未満の大きさの微小画素の追加、及び削除の少なくとも何れか一方を行うことによって、形成する画像の主走査方向の幅の拡大、及び縮小の少なくとも何れか一方を行うことをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記主走査方向における各画素のうち、補正対象の画素に対して微小画素を追加又は削除して、当該補正対象の画素の濃度を補正する補正工程と、
前記補正工程により補正される前の前記補正対象の画素の濃度と、前記補正工程により補正された後の当該補正対象の画素の濃度との濃度差を計算する濃度差計算工程と、
前記濃度差計算工程で計算された濃度差を累積した累積濃度差を記憶媒体に記憶する記憶工程と、
前記記憶工程により記憶された累積濃度差と所定の閾値とを比較して、前記累積濃度差が小さくなるように、前記補正対象の画素に追加する微小画素の色、又は前記補正対象の画素から削除する微小画素の色として、白又は黒を決定する決定工程と、をコンピュータに実行させ、
前記補正工程は、前記決定工程で決定された白又は黒の微小画素を、前記補正対象の画素に対して、追加、又は削除することを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−90038(P2012−90038A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234410(P2010−234410)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】