画像形成装置、画像形成方法
【課題】広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能とする技術を提供する。
【解決手段】潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第1の光量と異なる第2の光量で発光させる。
【解決手段】潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第1の光量と異なる第2の光量で発光させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光ヘッドが有する複数の発光素子それぞれからの光を潜像担持体に照射して画像を形成する技術に関するものであり、特に、発光素子の光量調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、露光ヘッドが有する複数の発光素子それぞれからの光を、感光体ドラム等の潜像担持体にスポットとして照射する画像形成装置が知られている。より詳しくは、この画像形成装置は、画像データに応じた位置にスポットを照射して、潜像担持体に潜像を形成するとともに、この潜像を現像して、所望の画像を得るものである。
【0003】
ただし、上述のような画像形成装置では、形成された画像に濃淡ムラが発生する場合がある。そこで、特許文献1では、画像の濃淡ムラを打ち消すように、各発光素子の光量を調整する技術が提案されている。具体的には、この技術は、光量を調整するための係数(同文献の補正係数)を各発光素子について記憶しておき、この係数に応じた光量で各発光素子を駆動することで、画像の濃淡ムラを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−270057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、広い階調範囲に渡って、画像の濃淡ムラを適切に抑制するにあたっては限界があった。つまり、同技術では、実際に形成した画像の濃淡に基づいて、光量を調整するための係数を求め、この係数に応じて複数の発光素子の光量をそれぞれ設定している。ところが、このように形成した画像の濃淡ムラを打ち消すように複数の発光素子の光量をそれぞれ設定したことで、係数を求めるために形成した画像の階調範囲においては濃淡ムラを有効に抑制できる一方、それ以外の階調範囲においては濃淡ムラが発生してしまう場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、第1の発光素子および第2の発光素子を有する露光ヘッドと、第1の発光素子の光量を第1の光量に設定し、第2の発光素子の光量を第1の光量と異なる第2の光量に設定する光量設定部と、第1の発光素子が第1の光量で発光した光が照射され、第2の発光素子が第2の光量で発光した光が照射される潜像担持体と、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第2の光量で発光させる発光制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第1の光量と異なる第2の光量で発光させることを特徴とする。
【0009】
このように構成された発明(画像形成装置、画像形成方法)では、第1の発光素子および第2の発光素子の光量は、それぞれ異なる第1の光量および第2の光量に設定されている。そのため、ある階調範囲では階調ムラを抑制できたとしても、その他の階調範囲では階調ムラを抑えこめない場合があった。これに対して本発明は、互いに異なる2種類の閾値マトリックス(第1・第2の閾値マトリックス)を有しており、互いに光量の異なる第1・第2の発光素子に対して、これら第1・第2の閾値マトリックスを使い分けている。その結果、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能となっている。
【0010】
このとき、第1の閾値マトリックスの閾値は第1の光量に応じて設定されるように構成しても良い。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制を、精度良く図ることが可能となる。
【0011】
具体的には、第1の閾値マトリックスのうち、第1の発光素子が光を照射する潜像担持体での位置に対応する閾値が第1の光量に応じて設定されるように構成すると好適である。
【0012】
さらには、第1の閾値マトリックスのうち、第1の発光素子が光を照射する潜像担持体での位置に対応する閾値以外の閾値も第1の光量に応じて設定されるように構成しても良い。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制をより高精度に図ることが可能となる。
【0013】
なお、第1の閾値マトリックスおよび第2の閾値マトリックスは、網点の大きさにより階調を再現する閾値マトリックスであっても良く、あるいは、万線の線幅によって階調を再現する閾値マトリックスであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの一例を示す図。
【図4】ラインヘッドの一例を示す図。
【図5】ラインヘッドの一例を示す図。
【図6】ラインヘッドによる露光動作の一例を示す図。
【図7】露光動作を制御する電気的構成を示すブロック図。
【図8】光量補正を行わなかった場合の発光素子光量とスポットとを示す模式図。
【図9】光量補正を行った場合の発光素子光量とスポットとを示す模式図。
【図10】中間調で濃淡ムラが発生する様子を例示した図。
【図11】各基本セルに対して用いられる閾値マトリックスを示した図。
【図12】図11の閾値マトリックスMX−aを示す図。
【図13】図11の閾値マトリックスMX−oを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0016】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0017】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0018】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0019】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0020】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0021】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がヘッド駆動信号Sdに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29に駆動信号Sdを送信すると、この駆動信号Sdに基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0022】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0023】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0024】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の液体現像剤、すなわち、樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0025】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0026】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー帯電コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー帯電コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー帯電コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー帯電コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、トナーの帯電が施される。なお、このトナー帯電には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるトナー帯電ローラーを用いてもよい。
【0027】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0028】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0029】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0030】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0031】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0032】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0033】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0034】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、本実施形態にかかる画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、ラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係を、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、レンズLS1、LS2が一点鎖線で記載されているが、これは、発光素子EとレンズLS1、LS2とが光軸方向Doaにおいて異なる位置にあることを考慮したものである。
【0035】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0036】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0037】
ラインヘッド29では、複数(図3の例では15個)の発光素子Eを長手方向LGDに2行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、複数の発光素子グループEGが3行千鳥で長手方向LGDに並べられている。かかる配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、長手方向LGDへ距離3×Dg毎に発光素子グループEGを配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数の発光素子グループEGから1行の発光素子グループ行GRa等が構成される。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcは、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0038】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されて、ガラス製の封止部材294により封止されている。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0039】
上述のように配置された複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系OSが対向している。具体的には、この結像光学系OSは、発光素子グループEG側に凸の2枚のレンズLS1、LS2から構成されている。なお、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0040】
このラインヘッド29では、3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2を配置するために、複数のレンズLS1を3行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を3行千鳥で並べたレンズアレイLA2とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2)では、長手方向LGDへ距離3×Dg毎にレンズLS1(LS2)を配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2)から1行のレンズ行が構成される。さらに、3行のレンズ行は、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0041】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で形成して1つの短尺なレンズアレイLA1(LA2)を作製し、この短尺レンズアレイLA1(LA2)を長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを構成している。
【0042】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。また、レンズアレイLA1からなる長尺レンズアレイ表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA2が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。さらに、レンズアレイLA2からなる長尺レンズアレイ表面には平板状の支持ガラスSSが接着されており、複数のレンズアレイLA2は各スペーサーSP2のみならず、当該スペーサーSP2の反対側から支持ガラスSSによっても支持されている。また、この支持ガラスSSは、各レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0043】
つまり、上述のように構成された2枚レンズアレイLA1、LA2をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの3行千鳥配置に対応して、2枚のレンズLS1、LS2で構成される結像光学系OSが3行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSおよび支持ガラスSSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRb、GRcに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSb、OScが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSb、OScが付されている。
【0044】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSで結像された光が感光体ドラム21表面に照射されて、感光体ドラム21表面が露光される。続いて、ラインヘッド29による露光動作を説明する。
【0045】
図6は、ラインヘッドによる露光動作の一例を示す図である。同図では、感光体ドラム21表面に仮想的に配列された画素PXと、画素PXに照射されるスポットSTとが記載されている。このスポットSTは、1個の発光素子Eからの光が結像光学系OSにより結像されることで、感光体ドラム21表面に照射される光である。ここでは、同図を用いて、主走査方向MD(長手方向LGD)に3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGそれぞれを同時点灯させて実行する露光動作の一例について説明する。より詳しくは、この露光動作例は、感光体ドラム21表面を副走査方向SDに移動させながら、各発光素子グループEGの同時点灯を各時刻t1、t2、t3、…で繰り返すことで、感光体ドラム21表面をくまなく露光するものである。
【0046】
まず、時刻t1において、各発光素子グループEGが同時点灯すると、ハッチングの無い丸印で表された複数のスポットSTがそれぞれ画素PX上に形成される。なお、上述のとおり、発光素子グループEGは主走査方向MDに2行千鳥で並ぶ15個の発光素子Eで構成されている。そのため、発光素子グループEGの各発光素子Eが発光すると、15個のスポットSTを主走査方向MDに2行千鳥で並べたスポットグループSGが形成される。
【0047】
また、上述の図3〜図5を用いた説明が示すとおり、ラインヘッド29では、結像光学系OSa、OSb、OScが、主走査方向MDにピッチDgで周期的に配置されている。したがって、結像光学系OSa、OSb、OScそれぞれは、主走査方向MDにおいて互いに異なる領域ERa、ERb、ERcにスポットSTを形成する。さらに、結像光学系OSa、OSb、OScは副走査方向SDに距離Dtずつシフトしていることから、結像光学系OSa、OSb、OScがスポットグループSGを形成する位置も副走査方向SDに距離Dtずつシフトする。なお、図6では、結像光学系OSaにより形成されたスポットグループSGに対して符号SGaが併記され、同様にして、結像光学系OSb、OScにより形成されたスポットグループSGに対して符号SGb、SGcが併記されている。
【0048】
続いて、感光体ドラム21表面が副走査方向SDに1画素分だけ移動した時刻t2で、複数の発光素子グループEGが同時点灯して、複数のスポットグループSG(複数の斜め線のハッチングが施されたスポットSTからなるスポットグループSG)が形成される。さらに、感光体ドラム21表面が副走査方向SDに1画素分だけ移動した時刻t3で、複数の発光素子グループEGが同時点灯して、複数のスポットグループ(複数の点のハッチングが施されたスポットSTからなるスポットグループSG)が形成される。そして、このような点灯動作を繰り返すことで、感光体ドラム21表面をくまなく露光することができる。
【0049】
なお、ここでは、感光体ドラム21表面をくまなく露光する場合を例示して、ラインヘッド29による露光動作を説明した。しかしながら、ラインヘッド29が実行可能な露光動作はこれだけに限られず、画像形成指令に応じた露光動作を適宜実行可能であることは言うまでも無い。具体例を挙げれば、特開2008−36937号公報に記載のように、副走査方向SDへの感光体ドラム21表面の移動に応じて、各発光素子Eの発光タイミングを制御することで、複数のスポットSTを主走査方向MDに直線的に並べて照射し、ライン状の潜像を形成することもできる。
【0050】
要するに、画像形成指令に含まれる画像データに応じた画素PXに対して選択的にスポットSTを形成するように、各発光素子Eの発光を制御することで、画像形成指令に応じた露光動作を行なうことができる。そして、本実施形態の画像形成装置は、当該露光動作を実行するために次のような電気的構成を備えている。
【0051】
図7は、露光動作を制御する電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、メインコントローラーMCは、ラインヘッド29の各発光素子Eの発光および消灯を示す二値データであるビデオデータVDを画像データに基づいて生成する。一方、ヘッドコントローラーHCは、このビデオデータVDに応じて、駆動信号Sdを適宜与えることで各発光素子Eを所定のタイミングおよび光量で発光させる。各コントローラーMC、HCは、詳しくは次のような構成を備えている。
【0052】
画像データを受信したメインコントローラーMCは、色変換部110において、画像データに含まれるRGB階調データをCMYK階調データに色変換する。このRGB階調データは1画素1色成分あたり8ビット(つまり、256段階の階調を表す)のデータであり、CMYK階調データも同様に1画素1色成分あたり8ビットのデータである。さらに、メインコントローラーMCは、CMYK階調データに対してスクリーン処理を行う。
【0053】
本実施形態でのスクリーン処理は、網点の大きさにより階調を再現する網点型のスクリーン処理であり、換言すれば、網点を構成するドットの個数を階調値に応じて増大させることで、網点を成長させて階調を再現するものである。ここで、ドットおよび網点は、次のとおり、
ドット:1個の画素PXに対してスポットSTを照射した際に形成される潜像をトナー現像したもの、
網点:所定個数のドットの集合、
である。
【0054】
このスクリーン処理における網点の成長は、網点型の閾値マトリックスを用いて制御される。つまり、CMYK階調データの各画素PXの階調値と網点型の閾値マトリックスの各要素(閾値)とが比較されて、閾値以上の階調値を有する各画素PXに対してドットを形成すると決定される。特に、この実施形態では、CMYK階調データと閾値マトリックスとが、主走査方向MDに1ラインずつ比較されて、ドット形成の有無が判断される。そして、当該制御を実行するために、本願のメインコントローラーMCは、ラインバッファー120、閾値ラインメモリー130、閾値テーブルメモリー140、ラインカウンター150および比較器160を有している。
【0055】
ラインバッファー120は主走査方向MDに1ラインずつCMYK階調データを記憶するものである。一方、閾値ラインメモリー130は主走査方向MDに1ラインずつ閾値を記憶するものである。そして、比較器160において、CMYK階調データと閾値マトリックスとが主走査方向MDに1ラインずつ比較されて、ドットを形成するためにスポットSTを照射する画素PXとそうでない画素PXとを示す二値信号であるビデオデータVDが生成される。
【0056】
比較器160において1ライン分のビデオデータVDの生成が完了すると、ラインカウンター150が1ライン分だけカウントアップする。そして、このカウントアップの度に、新たな1ライン分のCMYK階調データがラインバッファー120に上書きされるとともに、当該新たな1ライン分の閾値が閾値テーブルメモリー140から読み出されて閾値ラインメモリー130に上書きされる。なお、閾値テーブルメモリー140は、網点型の閾値マトリックスを、当該マトリックスの要素(閾値)と画素PXとを対応付けて記憶するものであり、ラインカウンター150のカウントアップの度に、主走査方向MDに1ライン分の閾値を閾値ラインメモリー130に出力する。そして、この新たな1ライン分についてCMYK階調データと閾値マトリックスとが比較されて、ビデオデータVDが新たに生成される。
【0057】
こうして、1ライン分のビデオデータVDを順次生成することで、例えば、1ページ分のビデオデータVDを生成することができる。そして、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCから受け取ったビデオデータVDに基づいて、ラインヘッド29を制御する。具体的には、ラインヘッド29の各発光素子Eの発光および消灯がビデオデータVDに基づいて制御される。こうして、適切な画素PXに対して選択的にスポットSTが形成され、画像データに応じた潜像が感光体ドラム21表面に形成される。
【0058】
ところで、発光素子Eの配列ピッチのばらつきや結像光学系OSの光学倍率のばらつき等に起因して、感光体ドラム21表面でのスポットSTの形成ピッチもばらついてしまうことがある。このため、一部の隣接スポットST間のピッチが広がって、これら隣接スポットSTの間で付着すべきトナーの量が著しく減少したり、あるいは全くトナーが付着しなかったりして、画像に濃淡ムラが発生するおそれがある。そこで、本実施形態のヘッドコントローラーHCは、当該問題に対応するために、判定機210と補正データメモリー220とを用いて各発光素子Eの光量を補正している。
【0059】
補正データメモリー220は、各発光素子Eの光量の補正量を、補正データとして記憶するものである。そして、判定機210は、ビデオデータVDが示す画素PXにスポットSTを照射する際の発光素子Eの光量を、補正データメモリー220の補正データに基づいて判定し、この判定結果に基づいて駆動信号Sdを生成する。つまり、この駆動信号Sdは、発光タイミングと光量とを各発光素子Eについて示す信号である。そして、ラインヘッド29の各発光素子Eが駆動信号Sdに応じて発光することで、所望の潜像が感光体ドラム21表面に形成される。こうして、各発光素子Eの光量を補正することで、上述した画像の濃淡ムラが抑制される。以下では、この濃淡ムラの抑制効果について、階調値が最大のベタ画像を形成した場合を例に挙げて、図8および図9を用いつつ説明する。
【0060】
図8は、光量補正を行わなかった場合の発光素子光量とスポットとの関係を示す模式図である。図9は、光量補正を行った場合の発光素子光量とスポットとの関係を示す模式図である。両図の「発光素子光量」の欄には、各発光素子Eの光量が示されており、両図の「スポット」の欄には、「発光素子光量」の欄に示した光量で各発光素子Eを発光させて形成したスポットSTが示されている。なお、この「スポット」の欄は、主走査方向MDに並んで照射される複数のスポットSTを取り出して示している。
【0061】
両図の「スポット」の欄に示すように、いずれの図においても、基本的にはスポットSTはスポットピッチPstで並んでいるが、スポットSTαとスポットSTβの間だけスポットピッチがΔstだけ広がっている。そのため、図8に示すように、各発光素子Eを第1の光量Q1で発光させた場合は、スポットSTα、STβを含む各スポットSTの大きさが略同じとなり、スポットSTα、STβの間に隙間が空いてしまっている。その結果、隣接スポットSTα、STβの間で付着すべきトナーの量が著しく減少したり、あるいは全くトナーが付着しなかったりして、濃淡ムラの原因となっていた。これに対して図9では、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量が第2の光量Q2に補正されている(Q2>Q1)。そのため、スポットSTα、STβが大きくなって、先ほどの隙間の発生が抑えられている。こうして、光量補正を行って、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量を増大させることで、濃淡ムラの発生が抑制される。
【0062】
ところで、実際の画像形成においては、当然のことながら、ベタ画像以外の種々の階調値の画像が形成される。しかしながら、ベタ画像での濃淡ムラを打ち消すように各発光素子Eの光量を設定したがために、ベタ画像以外の階調範囲(換言すれば中間調)においては階調再現性が低下して、濃淡ムラを効果的に抑制できないおそれがあった。
【0063】
図10は、中間調で濃淡ムラが発生する様子を例示した図である。同図では、52画素で構成される各基本セルCL−a、CL−b、…等に対して、13画素で構成された網点Sdt−a、Sdt−b、…を形成して、中間調が再現されている。このような場合、所望の中間調を再現するためには、各網点Sdt−a、Sdt−b、…の基本セルCL−a、CL−b、…に対する面積率が等しいことが望ましい。しかしながら、この実施形態では、発光素子光量の補正が成された結果、スポットSTα、STβは大きく形成される。そのため、スポットSTα、STβが照射される画素(矢印STα、STβで示され副走査方向SDに直線的に並ぶ各画素)を含む基本セルCL−a、CL−b、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fについては、形成される網点と基本セル両方の大きさが変動し、各網点の面積率が変動してしまう。
【0064】
この網点の面積率の変動について、具体的な数値を挙げて例示する。スポットSTα、STβ間のスポットピッチが標準のスポットピッチPstの1.5倍になった場合、スポットSTα、STβが照射される画素(拡大画素)は、実質的に大きさが1.25倍になったと見なせる。そのため、拡大画素を含む基本セルCL−a等の大きさは、この拡大画素を含む個数に応じて大きくなる。例えば、基本セルCL−aは、拡大画素を8個含んでいるため、拡大画素を含まない基本セル(52画素分の大きさを有する)に対して実質的に2画素分大きく、換言すれば、実質的に54画素分の大きさを有する。同様に、基本セルCL−d、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fはそれぞれ、54画素分、56画素分、52.5画素分、52.5画素分、56画素分の大きさを実質的に有する。
【0065】
そして、このように大きくなった基本セルCL−a、CL−b、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fに対して形成された各網点が、基本セルに占める面積率は次のとおりとなる。つまり、網点Sdt−aの面積率は13/54=24%となる。また、網点Sdt−bについては、拡大画素に形成されるドットが当該網点Sdt−bに含まれるため、面積率は13.25/54=24.5%となる。同様に、網点Sdt−c、Sdt−d、Sdt−e、Sdt−fそれぞれの面積率は、25.4%、24.8%、24.8%、29.6%となる。以上の説明が示すように、中間調においては階調再現性が低下して、濃淡ムラを効果的に抑制できないおそれがあった。
【0066】
これに対して、本実施形態の閾値テーブルメモリー140は、複数種類の閾値マトリックスMX−a、MX−b、…、MX−oを記憶している。そして、スポットSTα、STβが照射される画素を含む基本セルCL−a、…、CL−fおよびその他の基本セルの間で、閾値マトリックスが使い分けられる(図11、図12、図13)。
【0067】
図11は、各基本セルに対して用いられる閾値マトリックスを示した図である。図12は、図11の閾値マトリックスMX−aを示す図である。図13は、図11の閾値マトリックスMX−oを示す図である。図11、図12では、スポットSTα、STβが照射される各画素にハッチングが施されている。図11に示すように、スポットSTα、STβが照射されることの無い画素のみで構成される基本セルに対しては、閾値マトリックスMX−oが用いられている。一方、スポットSTα、STβが照射される画素を含む基本セルに対しては、閾値マトリックスMX−oと異なる閾値マトリックスMX−a、…、MX−fが用いられている。そして、このように閾値マトリックスを使い分けることで、各網点Sdt−a、Sdt−b、Sdt−c、Sdt−d、Sdt−e、Sdt−fの平均の面積率は24.9%となり、周囲の網点の面積率とほぼ同じになり、濃淡差が解消される。
【0068】
これら閾値マトリックスMX−a、…、MX−fは、例えば、次のようにして生成される。まずは、最低階調値である白ベタ画像以外のある濃度で、濃淡ムラを補正するための補正データを作成する。そして、この補正データに応じた光量で各発光素子Eを発光させた状態で、網点スクリーンの各網点を1画素ずつ成長させながら、その面積率をラインヘッド29の全長において測定する。網点の基本セルは副走査方向SDにも並ぶが、副走査方向SDへは同じ配列パターンを繰り返し並べておき、面積率の測定は1パターンに対してのみ実行する。0%から100%の濃度の画像データに対し、それぞれのパーセンテージに最も近い面積率となる網点の成長状態を、各網点に対して選び、閾値を設定する。こうして、ラインヘッド29の発光素子Eの個数分の幅を有し、網点の基本セルの繰り返しパターンの1パターン分の高さを有する、2次元の閾値データテーブルを作成することができる。そして、この2次元の閾値データテーブルを副走査方向SDに1行ずつ分解し、テーブルの高さ分の数の閾値テーブルを作成する。この閾値データテーブルは、全発光素子Eに対応した閾値を持つこととなる。
【0069】
こうして、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fは、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量Q2に応じて設定された閾値を有する。具体的には、例えば閾値マトリックスMX−a、MXoを比較して判るように(図12、図13)、閾値マトリックスMX−aにおいてスポットSTα、STβが照射される位置の各閾値は、閾値マトリックスMX−oの対応する位置の各閾値と異なっている。
【0070】
また、本実施形態では、閾値マトリックスMX−aにおいてスポットSTα、STβが照射される位置の閾値以外の閾値も、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量Q2に応じて設定され、閾値マトリックスMX−oの対応する位置の各閾値と異なっている。これは、スポットピッチの変化により、ピッチが変化したスポットSTα、STβが照射される画素の大きさだけでなく、網点の基本セルそのものの面積も変化したことに対応するためである。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制をより高精度に図ることが可能となる。
【0071】
以上のように本実施形態では、互いに光量の異なる発光素子Eに対して、閾値マトリックスを使い分けている。その結果、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能となっている。
【0072】
特に本実施形態では、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fの閾値は光量Q2に応じて設定されているため、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制を、精度良く図ることが可能となる。
【0073】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、現像器24が本発明の「現像部」に相当し、判定機210および補正データメモリー220が協働して本発明の「光量設定部」として機能し、メインコントローラーMCおよびヘッドコントローラーHCが協働して、本発明の「発光制御部」として機能している。また、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」に相当し、それ以外の発光素子Eが本発明の「第2の発光素子」に相当する。また、ビデオデータVDが本発明の「第1の二値データ」「第2の二値データ」に相当し、CMYK階調データが本発明の「階調データ」に相当し、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fが本発明の「第1の閾値マトリックス」に相当し、閾値マトリックスMX−oが本発明の「第2の閾値マトリックス」に相当する。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態のスクリーン処理は、網点型の閾値マトリックスを用いたスクリーン処理であった。しかしながら、スクリーン処理はこれに限られず、万線の線幅によって階調を再現する万線方の閾値マトリックスを用いたスクリーン処理であっても良い。つまり、図9に示したように、光量補正の結果スポットSTα、STβが大きくなると、当該スポットSTα、STβにより形成されるドットが万線に含まれるか否かで、当該万線の線幅が変わる。その結果、上述と同様にして、中間調で濃淡ムラが発生するおそれがある。そこで、互いに光量の異なる発光素子Eに対して、万線型の閾値マトリックスを使い分けることで、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制するように構成しても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、潜像担持体として感光体ドラム21を用いた。しかしながら、特開2008−221570号公報の図26に記載されているような、感光体ベルトを潜像担持体として用い、感光体ベルトのローラーへの巻きかけ部をラインヘッド29で露光するように構成することもできる。
【0076】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は3個に限られず、2個あるいは4個以上であっても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、結像光学系OSの光学倍率については特に言及しなかった。しかしながら、結像光学系OSとしては、倒立像を結像するもの、正立像を結像するもの、縮小像を結像するもの、拡大像を結像するもの、あるいはこれらを組み合わせた光学特性を有するものを用いることができる。
【0078】
また、閾値マトリックスのサイズや形状も上述のものに限られず、任意のサイズおよび形状のものを使用可能である。この際、各閾値マトリックスのサイズ・形状を共通としても良く、あるいは互いに異ならせても良い。
【0079】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0080】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【0081】
ラインヘッド29としては、上述のような、発光素子グループEGを離散的かつ2次元的に配置した上述のラインヘッド29以外に、特開2007−210139のラインヘッドのように複数の発光素子Eをラインヘッドの略全長に渡って等ピッチで並べたものを用いることもできる。
【符号の説明】
【0082】
21…感光体ドラム、 24…現像器、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 LS1、LS2…レンズ、 OS、OSa、OSb、OSc…結像光学系、 MC…メインコントローラー、 HC…ヘッドコントローラー
【技術分野】
【0001】
この発明は、露光ヘッドが有する複数の発光素子それぞれからの光を潜像担持体に照射して画像を形成する技術に関するものであり、特に、発光素子の光量調整に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、露光ヘッドが有する複数の発光素子それぞれからの光を、感光体ドラム等の潜像担持体にスポットとして照射する画像形成装置が知られている。より詳しくは、この画像形成装置は、画像データに応じた位置にスポットを照射して、潜像担持体に潜像を形成するとともに、この潜像を現像して、所望の画像を得るものである。
【0003】
ただし、上述のような画像形成装置では、形成された画像に濃淡ムラが発生する場合がある。そこで、特許文献1では、画像の濃淡ムラを打ち消すように、各発光素子の光量を調整する技術が提案されている。具体的には、この技術は、光量を調整するための係数(同文献の補正係数)を各発光素子について記憶しておき、この係数に応じた光量で各発光素子を駆動することで、画像の濃淡ムラを抑制するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平5−270057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術は、広い階調範囲に渡って、画像の濃淡ムラを適切に抑制するにあたっては限界があった。つまり、同技術では、実際に形成した画像の濃淡に基づいて、光量を調整するための係数を求め、この係数に応じて複数の発光素子の光量をそれぞれ設定している。ところが、このように形成した画像の濃淡ムラを打ち消すように複数の発光素子の光量をそれぞれ設定したことで、係数を求めるために形成した画像の階調範囲においては濃淡ムラを有効に抑制できる一方、それ以外の階調範囲においては濃淡ムラが発生してしまう場合があった。
【0006】
この発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能とする技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明にかかる画像形成装置は、上記目的を達成するために、第1の発光素子および第2の発光素子を有する露光ヘッドと、第1の発光素子の光量を第1の光量に設定し、第2の発光素子の光量を第1の光量と異なる第2の光量に設定する光量設定部と、第1の発光素子が第1の光量で発光した光が照射され、第2の発光素子が第2の光量で発光した光が照射される潜像担持体と、潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第2の光量で発光させる発光制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この発明にかかる画像形成方法は、上記目的を達成するために、潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに第1の発光素子を第1の光量で発光させ、潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに第2の発光素子を第1の光量と異なる第2の光量で発光させることを特徴とする。
【0009】
このように構成された発明(画像形成装置、画像形成方法)では、第1の発光素子および第2の発光素子の光量は、それぞれ異なる第1の光量および第2の光量に設定されている。そのため、ある階調範囲では階調ムラを抑制できたとしても、その他の階調範囲では階調ムラを抑えこめない場合があった。これに対して本発明は、互いに異なる2種類の閾値マトリックス(第1・第2の閾値マトリックス)を有しており、互いに光量の異なる第1・第2の発光素子に対して、これら第1・第2の閾値マトリックスを使い分けている。その結果、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能となっている。
【0010】
このとき、第1の閾値マトリックスの閾値は第1の光量に応じて設定されるように構成しても良い。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制を、精度良く図ることが可能となる。
【0011】
具体的には、第1の閾値マトリックスのうち、第1の発光素子が光を照射する潜像担持体での位置に対応する閾値が第1の光量に応じて設定されるように構成すると好適である。
【0012】
さらには、第1の閾値マトリックスのうち、第1の発光素子が光を照射する潜像担持体での位置に対応する閾値以外の閾値も第1の光量に応じて設定されるように構成しても良い。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制をより高精度に図ることが可能となる。
【0013】
なお、第1の閾値マトリックスおよび第2の閾値マトリックスは、網点の大きさにより階調を再現する閾値マトリックスであっても良く、あるいは、万線の線幅によって階調を再現する閾値マトリックスであっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図。
【図2】図1の装置の電気的構成を示すブロック図。
【図3】ラインヘッドの一例を示す図。
【図4】ラインヘッドの一例を示す図。
【図5】ラインヘッドの一例を示す図。
【図6】ラインヘッドによる露光動作の一例を示す図。
【図7】露光動作を制御する電気的構成を示すブロック図。
【図8】光量補正を行わなかった場合の発光素子光量とスポットとを示す模式図。
【図9】光量補正を行った場合の発光素子光量とスポットとを示す模式図。
【図10】中間調で濃淡ムラが発生する様子を例示した図。
【図11】各基本セルに対して用いられる閾値マトリックスを示した図。
【図12】図11の閾値マトリックスMX−aを示す図。
【図13】図11の閾値マトリックスMX−oを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は本発明を適用可能な画像形成装置の一例を示す図である。また、図2は図1の装置の電気的構成を示すブロック図である。この画像形成装置1は、互いに異なる色の画像を形成する4個の画像形成ステーション2Y(イエロー用)、2M(マゼンタ用)、2C(シアン用)および2K(ブラック用)を備えている。そして、画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)の4色のトナーを重ね合わせてカラー画像を形成するカラーモードと、ブラック(K)のトナーのみを用いてモノクロ画像を形成するモノクロモードとを選択的に実行可能となっている。
【0016】
この画像形成装置では、ホストコンピューターなどの外部装置から画像形成指令がCPUやメモリーなどを有するメインコントローラーMCに与えられると、このメインコントローラーMCはエンジンコントローラーECに制御信号を与えるとともに画像形成指令に対応するビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。このとき、メインコントローラーMCは、ヘッドコントローラーHCから水平リクエスト信号HREQを受け取る毎に、主走査方向MDに1ライン分のビデオデータVDをヘッドコントローラーHCに与える。また、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCからのビデオデータVDとエンジンコントローラーECからの垂直同期信号Vsyncおよびパラメーター値とに基づき、各色の画像形成ステーション2Y、2M、2C、2Kそれぞれのラインヘッド29を制御する。これによって、エンジン部ENGが所定の画像形成動作を実行し、複写紙、転写紙、用紙およびOHP用透明シートなどのシート状の記録媒体RMに画像形成指令に対応する画像を形成する。
【0017】
各画像形成ステーション2Y、2M、2Cおよび2Kは、トナー色を除けばいずれも同じ構造および機能を有している。そこで、図1では、図を見やすくするために、画像形成ステーション2Cを構成する各部品にのみ符号を付し、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kに付すべき符号については記載を省略する。また、以下の説明では、図1に付した符号を参照して画像形成ステーション2Cの構造および動作を説明するが、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kの構造および動作も、トナー色が異なることを除けば同じである。
【0018】
画像形成ステーション2Cには、シアン色のトナー像がその表面に形成される感光体ドラム21が設けられている。感光体ドラム21は、その回転軸が主走査方向MD(図1の紙面に対して垂直な方向)に平行もしくは略平行となるように配置されており、図1中矢印D21の方向に所定速度で回転駆動される。これにより、感光体ドラム21の表面が、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動することとなる。
【0019】
感光体ドラム21の周囲には、感光体ドラム21表面を所定の電位に帯電させるコロナ帯電器である帯電器22と、感光体ドラム21表面を画像信号に応じて露光することで静電潜像を形成するラインヘッド29と、該静電潜像をトナー像として顕像化する現像器24と、第1スクイーズ部25と、第2スクイーズ部26と、転写後の感光体ドラム21の表面をクリーニングするクリーニングユニットとが、それぞれこれらの順に感光体ドラム21の回転方向D21(図1では、時計回り)に沿って配設されている。
【0020】
この実施形態では、帯電器22は2つのコロナ帯電器221、222で構成されており、感光体ドラム21の回転方向D21においてコロナ帯電器221がコロナ帯電器222に対して上流側に配置されており、2つのコロナ帯電器221、222により2段階で帯電されるように構成されている。各コロナ帯電器221、222は同一構成であり、感光体ドラム21の表面に接触しないものであり、スコロトロン帯電器である。
【0021】
そして、コロナ帯電器221、222により帯電された感光体ドラム21表面に対して、ラインヘッド29がヘッド駆動信号Sdに基づいて静電潜像を形成する。つまり、ヘッドコントローラーHCがラインヘッド29に駆動信号Sdを送信すると、この駆動信号Sdに基づいて各発光素子Eが発光する。これにより、感光体ドラム21表面が露光されて、画像信号に対応した静電潜像が形成される。なお、ラインヘッド29の構成および動作の詳細は後述する。
【0022】
こうして形成された静電潜像に対して現像器24からトナーが付与されて、静電潜像がトナーにより現像される。この画像形成装置1の現像器24は、現像ローラー241を有している。この現像ローラー241は円筒状の部材であり、鉄等金属製の内芯の外周部に、ポリウレタンゴム、シリコンゴム、NBR、PFAチューブなどの弾性層を設けたものである。この現像ローラー241は現像用モーターに接続され、図1紙面において反時計回りに回転駆動されて感光体ドラム21に対してウィズ回転する。また、この現像ローラー241は図示を省略する現像バイアス発生部(定電圧電源)と電気的に接続されており、適当なタイミングで現像バイアスが印加されるように構成されている。
【0023】
また、この現像ローラー241に対して液体現像剤を供給するためにアニロックスローラーが設けられており、アニロックスローラーを介して現像剤貯留部から現像ローラー241へ液体現像剤が供給される。このようにアニロックスローラーは現像ローラー241に対して液体現像剤を供給する機能を有する。このアニロックスローラーは、液体現像剤を担持し易いように表面に微細且つ一様に彫刻された螺旋溝などによる凹部パターンが形成されたローラーである。現像ローラー241と同様に、金属の芯金にウレタン、NBRなどのゴム層を巻き付けたものや、PFAチューブを被せたものなどが用いられる。また、アニロックスローラーは現像用モーターに接続されて回転する。
【0024】
現像剤貯留部に貯留される液体現像剤は、従来一般的に使用されている、Isopar(商標:エクソン)を液体キャリアとした低濃度(1〜2wt%)かつ低粘度の常温で揮発性を有する揮発性液体現像剤ではなく、高濃度かつ高粘度の、常温で不揮発性の液体現像剤、すなわち、樹脂中へ顔料などの着色剤を分散させた平均粒径1μmの固形子を、有機溶媒、シリコンオイル、鉱物油又は食用油等の液体溶媒中へ分散剤とともに添加し、トナー固形分濃度を約20%とした高粘度(30〜10000mPa・s程度)の液体現像剤が用いられる。
【0025】
上記のようにして、液体現像剤が供給された現像ローラー241はアニロックスローラーと同時に回転すると共に、感光体ドラム21の表面とは同方向に移動するように回転して現像ローラー241の表面に担持された液体現像剤を現像位置に搬送する。なお、トナー像を形成するため、現像ローラー241の回転方向は、その表面が感光体ドラム21の表面と同方向に移動するようにウィズ回転する必要があるが、アニロックスローラーに対しては、逆方向、或いは、同方向、どちらに移動する構成であってもよい。
【0026】
また、現像器24では、この現像ローラー241の回転方向において現像位置の上流側直前にトナー帯電コロナ発生器242が現像ローラー241に対向して配置されている。このトナー帯電コロナ発生器242は現像ローラー241の表面の帯電バイアスを増加させる電界印加手段であり、定電流電源で構成されたトナーチャージ発生部(図示省略)と電気的に接続されている。そして、トナー帯電コロナ発生器242に対してトナーチャージバイアスが与えられると、現像ローラー241によって搬送される液体現像剤のトナーに対して、このトナー帯電コロナ発生器242と近接する位置で電界が印加され、トナーの帯電が施される。なお、このトナー帯電には、電解印加によるコロナ放電に代えて、接触して帯電させるトナー帯電ローラーを用いてもよい。
【0027】
また、このように構成された現像器24は感光体ドラム21上の潜像を現像する現像位置と感光体ドラム21から離れた退避位置との間で往復可能となっている。したがって、現像器24が退避位置に移動して位置決めされると、その間、シアン用の画像形成ステーション2Cでは、感光体ドラム21への新たな液体現像剤の供給は停止される。
【0028】
感光体ドラム21の回転方向D21において現像位置の下流側に、第1スクイーズ部25が配置されるとともに、さらに第1スクイーズ部25の下流側に第2スクイーズ部26が配置されている。これらのスクイーズ部25、26にはスクイーズローラー251、261がそれぞれ設けられている。そして、スクイーズローラー251が第1スクイーズ位置で感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰現像剤を除去する。また、感光体ドラム21の回転方向D21において第1スクイーズ位置の下流側の第2スクイーズ位置でスクイーズローラー261が感光体ドラム21の表面と当接しながらメインモーターからの回転駆動力を受けて回転してトナー像の余剰液体キャリアやカブリトナーを除去する。また、本実施形態ではスクイーズ効率を高めるために、スクイーズローラー251、261に対して図示省略するスクイーズバイアス発生部(定電圧電源)が電気的に接続されており、適当なタイミングでスクイーズバイアスが印加されるように構成されている。なお、本実施形態では2つのスクイーズ部25、26を設けているが、スクイーズ部の個数や配置などはこれに限定されるものではなく、例えば1個のスクイーズ部を配置してもよい。
【0029】
これらのスクイーズ位置を通過してきたトナー像は転写部3の中間転写体31に1次転写される。この中間転写体31は、その表面、より詳しくはその外周面にトナー像を一時的に担持可能な像担持体としての無端状ベルトであり、複数のローラー32、33、34、35および36に掛け渡されている。これらのうちローラー32はメインモーターに連結されて、中間転写体31を図1の矢印方向D31に周回駆動するベルト駆動ローラーとして機能している。なお、本実施形態では、記録紙RMとの密着性を高めて記録紙RMへのトナー像の転写性を高めるために、中間転写体31の表面に弾性層を設け、当該弾性層の表面にトナー像が担持されるように構成されている。
【0030】
ここで、中間転写体31を掛け渡されたローラー32ないし36のうち、メインモーターにより駆動されるのは上記したベルト駆動ローラー32のみであり、他のローラー33ないし36は駆動源を有しない従動ローラーである。また、ベルト駆動ローラー32は、ベルト移動方向D31において一次転写位置TR1の下流側、かつ後述する二次転写位置TR2の上流側で中間転写体31を巻き掛けている。
【0031】
転写部3は一次転写バックアップローラー37を有しており、一次転写バックアップローラー37は中間転写体31を挟んで感光体ドラム21と対向して配設されている。感光体ドラム21と中間転写体31とが当接する一次転写位置TR1では、感光体ドラム21の外周面が中間転写体31と当接して一次転写ニップ部NP1cを形成している。そして、感光体ドラム21上のトナー像が中間転写体31の外周面(一次転写位置TR1において下面)に転写される。こうして画像形成ステーション2Cにより形成されたシアン色のトナー像が中間転写体31に転写される。同様に、他の画像形成ステーション2Y、2Mおよび2Kでもトナー像の転写が実行されることで、各色のトナー像が中間転写体31上に順次重ね合わされ、フルカラーのトナー像が形成される。一方、モノクロトナー像が形成される際には、ブラック色に対応した画像形成ステーション2Kのみにおいて、中間転写体31へのトナー像転写が行われる。
【0032】
こうして中間転写体31に転写されたトナー像は、ベルト駆動ローラー32への巻き掛け位置を経由して二次転写位置TR2に搬送される。この二次転写位置TR2では、中間転写体31を巻き掛けられたローラー34に対して二次転写部4の二次転写ローラー42が中間転写体31を挟んで対向配置されており、中間転写体31表面と転写ローラー42表面とが互いに当接して二次転写ニップ部NP2を形成している。すなわち、ローラー34は二次転写バックアップローラーとして機能している。バックアップローラー34の回転軸は、例えばバネのような弾性部材である押圧部345によって弾性的に、かつ中間転写体31に対して近接・離間移動自在に支持されている。
【0033】
二次転写位置TR2においては、中間転写体31上に形成された単色あるいは複数色のトナー像が、一対のゲートローラー51から搬送経路PTに沿って搬送される記録媒体RMに転写される。また、トナー像が二次転写された記録媒体RMは、二次転写ローラー42から搬送経路PT上に設けられた定着ユニット7へ送出される。定着ユニット7では、記録媒体RMに転写されたトナー像に熱や圧力などが加えられて記録媒体RMへのトナー像の定着が行われる。こうして、記録媒体RMに所望の画像を形成することができる。
【0034】
以上が画像形成装置の概略構成である。続いて、本実施形態にかかる画像形成装置に適用可能なラインヘッド29の詳細について説明する。図3、図4および図5は、ラインヘッドの一例を示す図である。特に、図3は、ラインヘッド29が備える発光素子およびレンズの位置関係を、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaから見た平面図であり、図4は、ラインヘッド29の部分斜視図であり、図5は、ラインヘッド29のA−A線(図3の階段状の二点鎖線)における部分階段断面図であって、該断面をラインヘッド29の長手方向LGDから見た場合に相当する。図3では、レンズLS1、LS2が一点鎖線で記載されているが、これは、発光素子EとレンズLS1、LS2とが光軸方向Doaにおいて異なる位置にあることを考慮したものである。
【0035】
このラインヘッド29は、長手方向LGDに長尺で幅方向LTDに短尺な全体構成を備える。そこで、図3〜図5および以下の図面では必要に応じて、ラインヘッド29の長手方向LGDおよび幅方向LTDを示す。また、レンズが構成する結像光学系の光軸方向Doaについても、図3〜図5および以下の図面で適宜示すとともに、必要に応じて、光軸方向Doaの矢印側を「表」あるいは「上」と表現し、光軸方向Doaの矢印と反対側を「裏」「下」あるいは「底」と表現する。なお、これらの方向LGD、LTD、Doaは互いに直交もしくは略直交している。
【0036】
また、上述のとおり、同ラインヘッド29を画像形成装置に適用するにあたっては、ラインヘッド29は、主走査方向MDに直交もしくは略直交する副走査方向SDに移動する感光体ドラム21表面に対して露光を行なうものであり、しかも、感光体ドラム21表面の主走査方向MDはラインヘッド29の長手方向LGDに平行もしくは略平行であり、感光体ドラム21表面の副走査方向SDはラインヘッド29の幅方向LTDに平行もしくは略平行である。そこで、必要に応じて、長手方向LGD・幅方向LTDと一緒に、主走査方向MD・副走査方向SDも図示することとする。
【0037】
ラインヘッド29では、複数(図3の例では15個)の発光素子Eを長手方向LGDに2行千鳥で並べて、1個の発光素子グループEGが構成されている。さらに、複数の発光素子グループEGが3行千鳥で長手方向LGDに並べられている。かかる配列態様は、換言すれば次のようにも説明できる。つまり、長手方向LGDへ距離3×Dg毎に発光素子グループEGを配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数の発光素子グループEGから1行の発光素子グループ行GRa等が構成される。さらに、3行の発光素子グループ行GRa、GRb、GRcは、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0038】
また、各発光素子Eは、互いに同一の発光スペクトルを有するボトムエミッション型の有機EL(Electro-Luminescence)素子である。つまり、各発光素子Eを構成する有機EL素子は、長手方向LGDに長く幅方向LTDに短いガラス平板であるヘッド基板293の裏面293−tに形成されて、ガラス製の封止部材294により封止されている。なお、この封止部材294は、ヘッド基板293の裏面293−tに接着剤により固定されている。
【0039】
上述のように配置された複数の発光素子グループEGそれぞれに対しては1つの結像光学系OSが対向している。具体的には、この結像光学系OSは、発光素子グループEG側に凸の2枚のレンズLS1、LS2から構成されている。なお、図4、図5では、発光素子グループEGとレンズLS1、LS2との間には遮光部材297が図示されているが、これについては結像光学系の説明の後に説明する。
【0040】
このラインヘッド29では、3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGのそれぞれに対向してレンズLS1、LS2を配置するために、複数のレンズLS1を3行千鳥で並べたレンズアレイLA1と、複数のレンズLS2を3行千鳥で並べたレンズアレイLA2とが設けられている。つまり、レンズアレイLA1(LA2)では、長手方向LGDへ距離3×Dg毎にレンズLS1(LS2)を配置して、長手方向LGDに直線的に並ぶ複数のレンズLS1(LS2)から1行のレンズ行が構成される。さらに、3行のレンズ行は、幅方向LTDに距離Dtを空けて配置されるとともに、長手方向LGDに距離Dgだけ互いにシフトされている。
【0041】
ちなみに、レンズアレイLA1(LA2)は、光透過製のガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を形成することで構成することができる。また、この実施形態では、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを一体的な構成で作成することは困難であることに鑑みて、比較的短尺なガラス平板に樹脂製のレンズLS1(LS2)を3行千鳥で形成して1つの短尺なレンズアレイLA1(LA2)を作製し、この短尺レンズアレイLA1(LA2)を長手方向LGDに複数並べることで、長手方向LGDに長尺なレンズアレイを構成している。
【0042】
より具体的には、ヘッド基板表面293−hの幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP1が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP1、SP1に架設された状態で、複数のレンズアレイLA1が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。また、レンズアレイLA1からなる長尺レンズアレイ表面の幅方向LTDの両端部それぞれには、複数のスペーサーSP2が長手方向LGDに直線的に間隔を空けて並べられている。そして、幅方向LTDへスペーサーSP2、SP2に架設された状態で、複数のレンズアレイLA2が長手方向LGDに並べられて、1つの長尺レンズアレイが構成されている。さらに、レンズアレイLA2からなる長尺レンズアレイ表面には平板状の支持ガラスSSが接着されており、複数のレンズアレイLA2は各スペーサーSP2のみならず、当該スペーサーSP2の反対側から支持ガラスSSによっても支持されている。また、この支持ガラスSSは、各レンズアレイLA2が外部に露出しないように、当該レンズアレイLA2を覆う機能も併せ持つ。
【0043】
つまり、上述のように構成された2枚レンズアレイLA1、LA2をヘッド基板293に対向させることで、発光素子グループEGの3行千鳥配置に対応して、2枚のレンズLS1、LS2で構成される結像光学系OSが3行千鳥で長手方向LGDに並ぶこととなる。そして、発光素子グループEGの各発光素子Eが射出した光は、結像光学系OSおよび支持ガラスSSを透過して、感光体ドラム21表面に照射される。なお、図5では、発光素子グループ行GRaに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSaが併記されている。また、同様にして、発光素子グループ行GRb、GRcに属する発光素子グループEGからの光を結像する結像光学系OSに対して符号OSb、OScが併記されている。すなわち、幅方向LTDに互いに異なる位置に配置された結像光学系OSに対して、異なる符合OSa、OSb、OScが付されている。
【0044】
このように、ラインヘッド29では、複数の発光素子グループEGそれぞれに対して専用の結像光学系OSが配置されている。このようなラインヘッド29では、発光素子グループEGからの光は、当該発光素子グループEGに設けられた結像光学系OSにのみ入射し、それ以外の結像光学系OSに入射しないことが望ましい。そこで、ヘッド基板293の表面293−hとレンズアレイLA1との間には、遮光部材297が設けられている。この遮光部材297は、発光素子グループEGから当該発光素子グループEGに対向する結像光学系OSに向かう光を制限する機能を果たす。具体的には、遮光部材297には、発光素子グループEGからこれに対向する結像光学系OSへと向かう導光孔2971が、光軸方向Doaに貫通形成されている。導光孔2971は円柱形状の孔であり、その中心軸は結像光学系OSの光軸OAと概ね一致している。したがって、発光素子グループEGから射出された光のうち、遮光部材297の底面で遮られることなく導光孔2971を通過した光が、結像光学系OSに入射することとなる。そして、結像光学系OSで結像された光が感光体ドラム21表面に照射されて、感光体ドラム21表面が露光される。続いて、ラインヘッド29による露光動作を説明する。
【0045】
図6は、ラインヘッドによる露光動作の一例を示す図である。同図では、感光体ドラム21表面に仮想的に配列された画素PXと、画素PXに照射されるスポットSTとが記載されている。このスポットSTは、1個の発光素子Eからの光が結像光学系OSにより結像されることで、感光体ドラム21表面に照射される光である。ここでは、同図を用いて、主走査方向MD(長手方向LGD)に3行千鳥で並ぶ複数の発光素子グループEGそれぞれを同時点灯させて実行する露光動作の一例について説明する。より詳しくは、この露光動作例は、感光体ドラム21表面を副走査方向SDに移動させながら、各発光素子グループEGの同時点灯を各時刻t1、t2、t3、…で繰り返すことで、感光体ドラム21表面をくまなく露光するものである。
【0046】
まず、時刻t1において、各発光素子グループEGが同時点灯すると、ハッチングの無い丸印で表された複数のスポットSTがそれぞれ画素PX上に形成される。なお、上述のとおり、発光素子グループEGは主走査方向MDに2行千鳥で並ぶ15個の発光素子Eで構成されている。そのため、発光素子グループEGの各発光素子Eが発光すると、15個のスポットSTを主走査方向MDに2行千鳥で並べたスポットグループSGが形成される。
【0047】
また、上述の図3〜図5を用いた説明が示すとおり、ラインヘッド29では、結像光学系OSa、OSb、OScが、主走査方向MDにピッチDgで周期的に配置されている。したがって、結像光学系OSa、OSb、OScそれぞれは、主走査方向MDにおいて互いに異なる領域ERa、ERb、ERcにスポットSTを形成する。さらに、結像光学系OSa、OSb、OScは副走査方向SDに距離Dtずつシフトしていることから、結像光学系OSa、OSb、OScがスポットグループSGを形成する位置も副走査方向SDに距離Dtずつシフトする。なお、図6では、結像光学系OSaにより形成されたスポットグループSGに対して符号SGaが併記され、同様にして、結像光学系OSb、OScにより形成されたスポットグループSGに対して符号SGb、SGcが併記されている。
【0048】
続いて、感光体ドラム21表面が副走査方向SDに1画素分だけ移動した時刻t2で、複数の発光素子グループEGが同時点灯して、複数のスポットグループSG(複数の斜め線のハッチングが施されたスポットSTからなるスポットグループSG)が形成される。さらに、感光体ドラム21表面が副走査方向SDに1画素分だけ移動した時刻t3で、複数の発光素子グループEGが同時点灯して、複数のスポットグループ(複数の点のハッチングが施されたスポットSTからなるスポットグループSG)が形成される。そして、このような点灯動作を繰り返すことで、感光体ドラム21表面をくまなく露光することができる。
【0049】
なお、ここでは、感光体ドラム21表面をくまなく露光する場合を例示して、ラインヘッド29による露光動作を説明した。しかしながら、ラインヘッド29が実行可能な露光動作はこれだけに限られず、画像形成指令に応じた露光動作を適宜実行可能であることは言うまでも無い。具体例を挙げれば、特開2008−36937号公報に記載のように、副走査方向SDへの感光体ドラム21表面の移動に応じて、各発光素子Eの発光タイミングを制御することで、複数のスポットSTを主走査方向MDに直線的に並べて照射し、ライン状の潜像を形成することもできる。
【0050】
要するに、画像形成指令に含まれる画像データに応じた画素PXに対して選択的にスポットSTを形成するように、各発光素子Eの発光を制御することで、画像形成指令に応じた露光動作を行なうことができる。そして、本実施形態の画像形成装置は、当該露光動作を実行するために次のような電気的構成を備えている。
【0051】
図7は、露光動作を制御する電気的構成を示すブロック図である。この実施形態では、メインコントローラーMCは、ラインヘッド29の各発光素子Eの発光および消灯を示す二値データであるビデオデータVDを画像データに基づいて生成する。一方、ヘッドコントローラーHCは、このビデオデータVDに応じて、駆動信号Sdを適宜与えることで各発光素子Eを所定のタイミングおよび光量で発光させる。各コントローラーMC、HCは、詳しくは次のような構成を備えている。
【0052】
画像データを受信したメインコントローラーMCは、色変換部110において、画像データに含まれるRGB階調データをCMYK階調データに色変換する。このRGB階調データは1画素1色成分あたり8ビット(つまり、256段階の階調を表す)のデータであり、CMYK階調データも同様に1画素1色成分あたり8ビットのデータである。さらに、メインコントローラーMCは、CMYK階調データに対してスクリーン処理を行う。
【0053】
本実施形態でのスクリーン処理は、網点の大きさにより階調を再現する網点型のスクリーン処理であり、換言すれば、網点を構成するドットの個数を階調値に応じて増大させることで、網点を成長させて階調を再現するものである。ここで、ドットおよび網点は、次のとおり、
ドット:1個の画素PXに対してスポットSTを照射した際に形成される潜像をトナー現像したもの、
網点:所定個数のドットの集合、
である。
【0054】
このスクリーン処理における網点の成長は、網点型の閾値マトリックスを用いて制御される。つまり、CMYK階調データの各画素PXの階調値と網点型の閾値マトリックスの各要素(閾値)とが比較されて、閾値以上の階調値を有する各画素PXに対してドットを形成すると決定される。特に、この実施形態では、CMYK階調データと閾値マトリックスとが、主走査方向MDに1ラインずつ比較されて、ドット形成の有無が判断される。そして、当該制御を実行するために、本願のメインコントローラーMCは、ラインバッファー120、閾値ラインメモリー130、閾値テーブルメモリー140、ラインカウンター150および比較器160を有している。
【0055】
ラインバッファー120は主走査方向MDに1ラインずつCMYK階調データを記憶するものである。一方、閾値ラインメモリー130は主走査方向MDに1ラインずつ閾値を記憶するものである。そして、比較器160において、CMYK階調データと閾値マトリックスとが主走査方向MDに1ラインずつ比較されて、ドットを形成するためにスポットSTを照射する画素PXとそうでない画素PXとを示す二値信号であるビデオデータVDが生成される。
【0056】
比較器160において1ライン分のビデオデータVDの生成が完了すると、ラインカウンター150が1ライン分だけカウントアップする。そして、このカウントアップの度に、新たな1ライン分のCMYK階調データがラインバッファー120に上書きされるとともに、当該新たな1ライン分の閾値が閾値テーブルメモリー140から読み出されて閾値ラインメモリー130に上書きされる。なお、閾値テーブルメモリー140は、網点型の閾値マトリックスを、当該マトリックスの要素(閾値)と画素PXとを対応付けて記憶するものであり、ラインカウンター150のカウントアップの度に、主走査方向MDに1ライン分の閾値を閾値ラインメモリー130に出力する。そして、この新たな1ライン分についてCMYK階調データと閾値マトリックスとが比較されて、ビデオデータVDが新たに生成される。
【0057】
こうして、1ライン分のビデオデータVDを順次生成することで、例えば、1ページ分のビデオデータVDを生成することができる。そして、ヘッドコントローラーHCは、メインコントローラーMCから受け取ったビデオデータVDに基づいて、ラインヘッド29を制御する。具体的には、ラインヘッド29の各発光素子Eの発光および消灯がビデオデータVDに基づいて制御される。こうして、適切な画素PXに対して選択的にスポットSTが形成され、画像データに応じた潜像が感光体ドラム21表面に形成される。
【0058】
ところで、発光素子Eの配列ピッチのばらつきや結像光学系OSの光学倍率のばらつき等に起因して、感光体ドラム21表面でのスポットSTの形成ピッチもばらついてしまうことがある。このため、一部の隣接スポットST間のピッチが広がって、これら隣接スポットSTの間で付着すべきトナーの量が著しく減少したり、あるいは全くトナーが付着しなかったりして、画像に濃淡ムラが発生するおそれがある。そこで、本実施形態のヘッドコントローラーHCは、当該問題に対応するために、判定機210と補正データメモリー220とを用いて各発光素子Eの光量を補正している。
【0059】
補正データメモリー220は、各発光素子Eの光量の補正量を、補正データとして記憶するものである。そして、判定機210は、ビデオデータVDが示す画素PXにスポットSTを照射する際の発光素子Eの光量を、補正データメモリー220の補正データに基づいて判定し、この判定結果に基づいて駆動信号Sdを生成する。つまり、この駆動信号Sdは、発光タイミングと光量とを各発光素子Eについて示す信号である。そして、ラインヘッド29の各発光素子Eが駆動信号Sdに応じて発光することで、所望の潜像が感光体ドラム21表面に形成される。こうして、各発光素子Eの光量を補正することで、上述した画像の濃淡ムラが抑制される。以下では、この濃淡ムラの抑制効果について、階調値が最大のベタ画像を形成した場合を例に挙げて、図8および図9を用いつつ説明する。
【0060】
図8は、光量補正を行わなかった場合の発光素子光量とスポットとの関係を示す模式図である。図9は、光量補正を行った場合の発光素子光量とスポットとの関係を示す模式図である。両図の「発光素子光量」の欄には、各発光素子Eの光量が示されており、両図の「スポット」の欄には、「発光素子光量」の欄に示した光量で各発光素子Eを発光させて形成したスポットSTが示されている。なお、この「スポット」の欄は、主走査方向MDに並んで照射される複数のスポットSTを取り出して示している。
【0061】
両図の「スポット」の欄に示すように、いずれの図においても、基本的にはスポットSTはスポットピッチPstで並んでいるが、スポットSTαとスポットSTβの間だけスポットピッチがΔstだけ広がっている。そのため、図8に示すように、各発光素子Eを第1の光量Q1で発光させた場合は、スポットSTα、STβを含む各スポットSTの大きさが略同じとなり、スポットSTα、STβの間に隙間が空いてしまっている。その結果、隣接スポットSTα、STβの間で付着すべきトナーの量が著しく減少したり、あるいは全くトナーが付着しなかったりして、濃淡ムラの原因となっていた。これに対して図9では、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量が第2の光量Q2に補正されている(Q2>Q1)。そのため、スポットSTα、STβが大きくなって、先ほどの隙間の発生が抑えられている。こうして、光量補正を行って、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量を増大させることで、濃淡ムラの発生が抑制される。
【0062】
ところで、実際の画像形成においては、当然のことながら、ベタ画像以外の種々の階調値の画像が形成される。しかしながら、ベタ画像での濃淡ムラを打ち消すように各発光素子Eの光量を設定したがために、ベタ画像以外の階調範囲(換言すれば中間調)においては階調再現性が低下して、濃淡ムラを効果的に抑制できないおそれがあった。
【0063】
図10は、中間調で濃淡ムラが発生する様子を例示した図である。同図では、52画素で構成される各基本セルCL−a、CL−b、…等に対して、13画素で構成された網点Sdt−a、Sdt−b、…を形成して、中間調が再現されている。このような場合、所望の中間調を再現するためには、各網点Sdt−a、Sdt−b、…の基本セルCL−a、CL−b、…に対する面積率が等しいことが望ましい。しかしながら、この実施形態では、発光素子光量の補正が成された結果、スポットSTα、STβは大きく形成される。そのため、スポットSTα、STβが照射される画素(矢印STα、STβで示され副走査方向SDに直線的に並ぶ各画素)を含む基本セルCL−a、CL−b、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fについては、形成される網点と基本セル両方の大きさが変動し、各網点の面積率が変動してしまう。
【0064】
この網点の面積率の変動について、具体的な数値を挙げて例示する。スポットSTα、STβ間のスポットピッチが標準のスポットピッチPstの1.5倍になった場合、スポットSTα、STβが照射される画素(拡大画素)は、実質的に大きさが1.25倍になったと見なせる。そのため、拡大画素を含む基本セルCL−a等の大きさは、この拡大画素を含む個数に応じて大きくなる。例えば、基本セルCL−aは、拡大画素を8個含んでいるため、拡大画素を含まない基本セル(52画素分の大きさを有する)に対して実質的に2画素分大きく、換言すれば、実質的に54画素分の大きさを有する。同様に、基本セルCL−d、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fはそれぞれ、54画素分、56画素分、52.5画素分、52.5画素分、56画素分の大きさを実質的に有する。
【0065】
そして、このように大きくなった基本セルCL−a、CL−b、CL−c、CL−d、CL−e、CL−fに対して形成された各網点が、基本セルに占める面積率は次のとおりとなる。つまり、網点Sdt−aの面積率は13/54=24%となる。また、網点Sdt−bについては、拡大画素に形成されるドットが当該網点Sdt−bに含まれるため、面積率は13.25/54=24.5%となる。同様に、網点Sdt−c、Sdt−d、Sdt−e、Sdt−fそれぞれの面積率は、25.4%、24.8%、24.8%、29.6%となる。以上の説明が示すように、中間調においては階調再現性が低下して、濃淡ムラを効果的に抑制できないおそれがあった。
【0066】
これに対して、本実施形態の閾値テーブルメモリー140は、複数種類の閾値マトリックスMX−a、MX−b、…、MX−oを記憶している。そして、スポットSTα、STβが照射される画素を含む基本セルCL−a、…、CL−fおよびその他の基本セルの間で、閾値マトリックスが使い分けられる(図11、図12、図13)。
【0067】
図11は、各基本セルに対して用いられる閾値マトリックスを示した図である。図12は、図11の閾値マトリックスMX−aを示す図である。図13は、図11の閾値マトリックスMX−oを示す図である。図11、図12では、スポットSTα、STβが照射される各画素にハッチングが施されている。図11に示すように、スポットSTα、STβが照射されることの無い画素のみで構成される基本セルに対しては、閾値マトリックスMX−oが用いられている。一方、スポットSTα、STβが照射される画素を含む基本セルに対しては、閾値マトリックスMX−oと異なる閾値マトリックスMX−a、…、MX−fが用いられている。そして、このように閾値マトリックスを使い分けることで、各網点Sdt−a、Sdt−b、Sdt−c、Sdt−d、Sdt−e、Sdt−fの平均の面積率は24.9%となり、周囲の網点の面積率とほぼ同じになり、濃淡差が解消される。
【0068】
これら閾値マトリックスMX−a、…、MX−fは、例えば、次のようにして生成される。まずは、最低階調値である白ベタ画像以外のある濃度で、濃淡ムラを補正するための補正データを作成する。そして、この補正データに応じた光量で各発光素子Eを発光させた状態で、網点スクリーンの各網点を1画素ずつ成長させながら、その面積率をラインヘッド29の全長において測定する。網点の基本セルは副走査方向SDにも並ぶが、副走査方向SDへは同じ配列パターンを繰り返し並べておき、面積率の測定は1パターンに対してのみ実行する。0%から100%の濃度の画像データに対し、それぞれのパーセンテージに最も近い面積率となる網点の成長状態を、各網点に対して選び、閾値を設定する。こうして、ラインヘッド29の発光素子Eの個数分の幅を有し、網点の基本セルの繰り返しパターンの1パターン分の高さを有する、2次元の閾値データテーブルを作成することができる。そして、この2次元の閾値データテーブルを副走査方向SDに1行ずつ分解し、テーブルの高さ分の数の閾値テーブルを作成する。この閾値データテーブルは、全発光素子Eに対応した閾値を持つこととなる。
【0069】
こうして、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fは、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量Q2に応じて設定された閾値を有する。具体的には、例えば閾値マトリックスMX−a、MXoを比較して判るように(図12、図13)、閾値マトリックスMX−aにおいてスポットSTα、STβが照射される位置の各閾値は、閾値マトリックスMX−oの対応する位置の各閾値と異なっている。
【0070】
また、本実施形態では、閾値マトリックスMX−aにおいてスポットSTα、STβが照射される位置の閾値以外の閾値も、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eの光量Q2に応じて設定され、閾値マトリックスMX−oの対応する位置の各閾値と異なっている。これは、スポットピッチの変化により、ピッチが変化したスポットSTα、STβが照射される画素の大きさだけでなく、網点の基本セルそのものの面積も変化したことに対応するためである。これにより、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制をより高精度に図ることが可能となる。
【0071】
以上のように本実施形態では、互いに光量の異なる発光素子Eに対して、閾値マトリックスを使い分けている。その結果、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制可能となっている。
【0072】
特に本実施形態では、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fの閾値は光量Q2に応じて設定されているため、広い階調値に渡っての濃淡ムラの抑制を、精度良く図ることが可能となる。
【0073】
その他
以上のように、上記実施形態では、ラインヘッド29が本発明の「露光ヘッド」に相当し、感光体ドラム21が本発明の「潜像担持体」に相当し、現像器24が本発明の「現像部」に相当し、判定機210および補正データメモリー220が協働して本発明の「光量設定部」として機能し、メインコントローラーMCおよびヘッドコントローラーHCが協働して、本発明の「発光制御部」として機能している。また、スポットSTα、STβを照射する発光素子Eが本発明の「第1の発光素子」に相当し、それ以外の発光素子Eが本発明の「第2の発光素子」に相当する。また、ビデオデータVDが本発明の「第1の二値データ」「第2の二値データ」に相当し、CMYK階調データが本発明の「階調データ」に相当し、閾値マトリックスMX−a、…、MX−fが本発明の「第1の閾値マトリックス」に相当し、閾値マトリックスMX−oが本発明の「第2の閾値マトリックス」に相当する。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態のスクリーン処理は、網点型の閾値マトリックスを用いたスクリーン処理であった。しかしながら、スクリーン処理はこれに限られず、万線の線幅によって階調を再現する万線方の閾値マトリックスを用いたスクリーン処理であっても良い。つまり、図9に示したように、光量補正の結果スポットSTα、STβが大きくなると、当該スポットSTα、STβにより形成されるドットが万線に含まれるか否かで、当該万線の線幅が変わる。その結果、上述と同様にして、中間調で濃淡ムラが発生するおそれがある。そこで、互いに光量の異なる発光素子Eに対して、万線型の閾値マトリックスを使い分けることで、広い階調値に渡って、画像の濃淡ムラを抑制するように構成しても良い。
【0075】
また、上記実施形態では、潜像担持体として感光体ドラム21を用いた。しかしながら、特開2008−221570号公報の図26に記載されているような、感光体ベルトを潜像担持体として用い、感光体ベルトのローラーへの巻きかけ部をラインヘッド29で露光するように構成することもできる。
【0076】
また、副走査方向SDに異なる位置に配置される結像光学系OSの個数(換言すれば、レンズ行の行数)は3個に限られず、2個あるいは4個以上であっても良い。
【0077】
また、上記実施形態では、結像光学系OSの光学倍率については特に言及しなかった。しかしながら、結像光学系OSとしては、倒立像を結像するもの、正立像を結像するもの、縮小像を結像するもの、拡大像を結像するもの、あるいはこれらを組み合わせた光学特性を有するものを用いることができる。
【0078】
また、閾値マトリックスのサイズや形状も上述のものに限られず、任意のサイズおよび形状のものを使用可能である。この際、各閾値マトリックスのサイズ・形状を共通としても良く、あるいは互いに異ならせても良い。
【0079】
また、発光素子グループEGを構成する発光素子Eの個数や、配置態様も種々の変更が可能である。
【0080】
また、上述の有機EL素子以外に、LED(Light Emitting Diode)等の光源を、発光素子Eとして用いることもできる。
【0081】
ラインヘッド29としては、上述のような、発光素子グループEGを離散的かつ2次元的に配置した上述のラインヘッド29以外に、特開2007−210139のラインヘッドのように複数の発光素子Eをラインヘッドの略全長に渡って等ピッチで並べたものを用いることもできる。
【符号の説明】
【0082】
21…感光体ドラム、 24…現像器、 29…ラインヘッド、 E…発光素子、 EG…発光素子グループ、 LS1、LS2…レンズ、 OS、OSa、OSb、OSc…結像光学系、 MC…メインコントローラー、 HC…ヘッドコントローラー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の発光素子および第2の発光素子を有する露光ヘッドと、
前記第1の発光素子の光量を第1の光量に設定し、前記第2の発光素子の光量を前記第1の光量と異なる第2の光量に設定する光量設定部と、
前記第1の発光素子が前記第1の光量で発光した光が照射され、前記第2の発光素子が前記第2の光量で発光した光が照射される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、
前記第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに前記第1の発光素子を前記第1の光量で発光させ、前記第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを前記第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと前記階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに前記第2の発光素子を前記第2の光量で発光させる発光制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の閾値マトリックスの閾値は前記第1の光量に応じて設定される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の閾値マトリックスのうち、前記第1の発光素子が光を照射する前記潜像担持体での位置に対応する閾値が前記第1の光量に応じて設定される請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の閾値マトリックスのうち、前記第1の発光素子が光を照射する前記潜像担持体での位置に対応する閾値以外の閾値も前記第1の光量に応じて設定される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の閾値マトリックスおよび前記第2の閾値マトリックスは、網点の大きさにより階調を再現する閾値マトリックスである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の閾値マトリックスおよび前記第2の閾値マトリックスは、万線の線幅によって階調を再現する閾値マトリックスである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに前記第1の発光素子を前記第1の光量で発光させ、前記潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを前記第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと前記階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに前記第2の発光素子を前記第1の光量と異なる第2の光量で発光させることを特徴とする画像形成方法。
【請求項1】
第1の発光素子および第2の発光素子を有する露光ヘッドと、
前記第1の発光素子の光量を第1の光量に設定し、前記第2の発光素子の光量を前記第1の光量と異なる第2の光量に設定する光量設定部と、
前記第1の発光素子が前記第1の光量で発光した光が照射され、前記第2の発光素子が前記第2の光量で発光した光が照射される潜像担持体と、
前記潜像担持体に形成された潜像を現像する現像部と、
前記第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに前記第1の発光素子を前記第1の光量で発光させ、前記第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを前記第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと前記階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに前記第2の発光素子を前記第2の光量で発光させる発光制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1の閾値マトリックスの閾値は前記第1の光量に応じて設定される請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記第1の閾値マトリックスのうち、前記第1の発光素子が光を照射する前記潜像担持体での位置に対応する閾値が前記第1の光量に応じて設定される請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第1の閾値マトリックスのうち、前記第1の発光素子が光を照射する前記潜像担持体での位置に対応する閾値以外の閾値も前記第1の光量に応じて設定される請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1の閾値マトリックスおよび前記第2の閾値マトリックスは、網点の大きさにより階調を再現する閾値マトリックスである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の閾値マトリックスおよび前記第2の閾値マトリックスは、万線の線幅によって階調を再現する閾値マトリックスである請求項1ないし4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
潜像担持体に光を照射する第1の発光素子の発光および消灯を制御する第1の二値データを第1の閾値マトリックスと階調データとを比較して生成し、当該第1の二値データが発光を示すときに前記第1の発光素子を前記第1の光量で発光させ、前記潜像担持体に光を照射する第2の発光素子の発光および消灯を制御する第2の二値データを前記第1の閾値マトリックスと異なる第2の閾値マトリックスと前記階調データとを比較して生成し、当該第2の二値データが発光を示すときに前記第2の発光素子を前記第1の光量と異なる第2の光量で発光させることを特徴とする画像形成方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−178099(P2011−178099A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46255(P2010−46255)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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