説明

画像形成装置、画像読取装置及び印刷物発行システム

【課題】 サーバ及びネットワークとの接続無しに、偽造等に対して安全性の高い印刷物を容易且つ安価に発行できる印刷物発行システムを提供する。
【解決手段】 画像形成装置1には、記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段31を備える記録媒体3からその固有情報を読出す固有情報読取部11と、その固有情報を加工して加工後情報を生成する固有情報加工部12とを備えさせ、画像読取装置2には、記録媒体3からその固有情報を読出す固有情報読取部21と、加工後情報が印刷された記録媒体3上からその加工後情報を読出す加工後情報読取部22と、加工後情報から所定の復元方法により固有情報を復元させる固有情報復元部24と、記憶手段から読み出された固有情報と加工後情報を復元させた固有情報を比較する比較手段23とを備えさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、無線により読み出し可能な記憶手段を備える記録媒体に真贋判定が実施される画像を印刷する画像形成装置、及び、その記録媒体に印刷された画像の真贋判定を実施する画像読取装置とから構成される印刷物発行システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の複写機やプリンタ等の画像形成装置の高性能化により、紙等の記録媒体上に形成された画像の正確な複写が容易になり、一般の業務が便利になる一方で、有価証券、金券、切手、切符、入場券、あるいは、機密情報の印刷物等の複写されるべきでない画像や情報等が記録媒体に容易に複写(偽造)されてしまい、その不正な複写物(以下、不正複写文書と記載)が流出するという問題が発生している。
【0003】
この不正複写文書の流出を防止するための方法としては、例えば、先ず非接触(無線方式)で記憶される情報の読み書きが可能な記憶手段であるICチップ(ICタグ:RFIDとも称される)を記録媒体に組み込んだ電子シートを使用し、複写されるべきでない画像をその電子シートに印刷(画像形成)する時に、記憶手段に真贋判定用の情報を書き込んで(記憶させて)おくと共に、その真贋判定用の情報をオンライン接続されたネットワークを介して情報管理用サーバに格納しておく。そして、その印刷された電子シートを検証するときに、検証装置は、情報管理用サーバからネットワークを介して真贋判定用の情報を読み出し、電子シートから読み出したデータと照合することにより真贋判定を実施する印刷物発行システムが知られている。
【0004】
又、ネットワークを介して情報管理用サーバに接続された画像形成装置を用いる方法では、ICチップに情報を読み書きするICリーダライタは認証キーが一致しないと読み書きできない性質を利用して、まず、オリジナル文書を電子シートに印刷する時に、ICチップの読み書きの許可に用いられる認証キーと、ICチップ内に暗号化されて記録された情報を復号するために用いられる復号化キーをネットワーク経由で情報管理用サーバに格納する。次に、その認証キーと復号化キーを、予めオフライン型の検証装置(ICリーダを備える)に格納させておく。そして、検証装置を用いて電子シートの真贋を判定する場合には、不正な認証キーで書き込まれたICチップ内容は、認証キーが異なるためICリーダで読み出せなくなる。このようにして印刷された電子シートの真贋の判定を行う印刷物発行システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2001−134672号公報(第5〜6頁、図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記した従来の印刷物発行システムでは、記憶手段が組み込まれた記録媒体に印刷する場合に、印刷に使用される電子シートの記憶手段(ICチップ)を読み出しできる機能だけでは不十分で、認証キー等を書き込めるように書き込み機能を有している必要がある。又、同様に画像形成装置(印刷装置)にも、情報を読み出せるICリーダの機能だけでは不十分で、認証キー等の書き込みができるICリーダライタの機能が必要である。又、その書き込み時には、画像形成装置(印刷装置)と情報管理用サーバとを通信接続して認証キーと復号化キーとをサーバ側で管理する必要があった。
【0007】
一般的に、読み出しのみの記憶手段(ICチップ)に対して、読み書きが可能な記憶手段は高価である。又、読み出しのみのICリーダに対して、読み書きが可能なICリーダライタも高価である。したがって、上記した従来の方法では、高価な記憶手段が組み込まれた用紙(記録媒体)が使用され、高価なICリーダライタが備えられた画像形成装置で実施する必要があるので、画像形成装置の製造コストおよびランニングコストが増加するという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した如き従来の問題を解決するためになされたものであって、偽造、複製あるいは改ざん等に対して安全性の高い印刷物を容易且つ安価に発行できる印刷物発行システムを提供することである。より具体的には、まず一方では、真贋判定が必要になる画像等を記録媒体に印刷する場合に、読み出し機能のみの記憶手段が組み込まれた記録媒体を使用でき、読み出し機能のみのICリーダを使用できる画像形成装置を提供する。そして、他方では、その読み出し機能のみの記憶手段が組み込まれて印刷された記録媒体の真贋を判定する場合にも、読み出し機能のみのICリーダを使用できる検証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した課題を解決するために、本発明の印刷物発行システムでは、画像形成装置には、記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段を備える記録媒体から該固有情報を読み出す固有情報読取部と、固有情報を、所定の加工方法により加工して加工後情報を生成する固有情報加工部と、記録媒体に印刷させるために外部から入力される印刷情報及び加工後情報を記録媒体上に印刷する画像形成部とを備え、画像読取装置には、記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段を備える記録媒体から該固有情報を読み出す固有情報読取部と、固有情報が加工された加工後情報が印刷されている記録媒体上から該加工後情報を読み出す加工後情報読取部と、加工後情報から所定の復元方法により固有情報を復元させる固有情報復元部と、記憶手段から読み出された固有情報と加工後情報を復元させた固有情報を比較する比較手段とを備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る画像形成装置及び画像読取装置は、真贋判定が必要になる画像等を記録媒体に印刷する場合に、読み出し機能のみの記憶手段が組み込まれた記録媒体を使用でき、読み出し機能のみのICリーダを備える画像形成装置と、読み出し機能のみの記憶手段が組み込まれて印刷された記録媒体の真贋判定時にも、読み出し機能のみのICリーダを備える検証装置となる画像読取装置を提供できるので、偽造、複製あるいは改ざん等に対して安全性の高い印刷物を容易に発行できる印刷物発行システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態1に係る画像形成装置及び画像読取装置の概略の構成を示す断面図である。
図1の画像形成装置1は、各々固有情報が格納されて無線により読み出し可能な記憶手段(無線ICチップ or RFID:IC=Integrated Circuit、RFID=Radio Frequency IDentification:以下、無線ICチップのみ記載)が埋め込まれると共に印刷情報を表面に印刷させることができる記録媒体(用紙)3が格納される用紙トレイ10と、その用紙3中の記憶手段から固有情報を読み出せる固有情報読取部(ICリーダ)11を備える。本実施の形態では、ICリーダ11としては、読取機能のみ(リード・オンリー)で書き込み機能を備えていない安価なものが使用される。
【0013】
本実施の形態で利用する用紙3に埋め込まれた記憶手段(無線ICチップ)には、用紙に埋め込まれて製造される段階で、一般的な製品と同様に、品質管理あるいは問題発生時の製造時点や流通経路のトレース等のため、製造番号(あるいはシリアルナンバー)が付与されている。この製造番号は、用紙1枚毎に異なる番号等の情報であり、例えば、アルファベット記号ならABC順であったり、数字であれば昇順の連続番号、あるいは、アルファベットと数字の組み合わせにより構成されることが多い。本実施形態では、この製造番号を固有情報として利用する。又、以下の本実施の形態では、製造番号が数字の連続番号である場合について説明する。
【0014】
又、画像形成装置1には、固有情報を所定の加工方法により加工して加工後情報を生成する固有情報加工部と、用紙に印刷させるために外部から入力される印刷情報及び加工後情報を用紙上に印刷する画像形成部が備えられるが、これらについては、図3を参照して後述する。
【0015】
真贋判定が必要になる画像等を用紙3に印刷する印刷指示が入力された場合には、画像形成装置1は、用紙トレイ10に格納された用紙3からICリーダ11で固有情報を読み出し、次いで固有情報加工部で固有情報を真贋判定に用いられる情報に加工して加工後情報とし、その加工後情報の画像を印刷指示された印刷情報の画像と合成し、用紙3を搬送経路13中を搬送させながら、合成された画像を画像形成部により形成(印刷)する。
【0016】
図1の画像読取装置2は、記録媒体毎の固有情報が格納されて無線により読み出し可能な記憶手段が埋め込まれて印刷情報が表面に印刷された記録媒体(用紙)3中の記憶手段から固有情報を読み出せる固有情報読取部(ICリーダ)21と、その固有情報が加工された加工後情報が印刷されている用紙3上からその加工後情報(識別情報、バーコード)を読み出す加工後情報読取部22とを備える。本実施の形態では、ICリーダ21としては、読取機能のみ(リード・オンリー)で書き込み機能を備えていない安価なものが使用される。
【0017】
又、その加工後情報から所定の復元方法により固有情報を復元させる固有情報復元部と、記憶手段からICリーダ21により読み出された固有情報と加工後情報を復元させた固有情報を比較する比較手段が備えられるが、これらについては、図3を参照して後述する。
【0018】
読み出し機能のみの記憶手段が組み込まれて印刷された用紙3の真贋を判定する場合には、画像読取装置2は、搬送経路23を搬送される用紙3からICリーダ21で固有情報を読み出すと共に、さらにその後の搬送経路23を搬送される用紙3から加工後情報印刷内容読取部22で印刷内容から加工後情報を読み出す。その後、固有情報復元部では、加工後情報からもとの固有情報を復元させる。さらに、比較手段では、ICリーダ21で読み取った固有情報と加工後情報から復元された固有情報とを比較して真贋を判定する。
【0019】
図2は、図1の記憶手段が埋め込まれた用紙に加工後情報が合成された印刷情報が印刷された一例を示す図である。
図2では、加工後情報33が、例えば、上位装置等の外部から入力される印刷情報32と合成されて用紙3上に印刷される。図2における用紙3の上部左側には、無線ICチップ31が埋め込まれている。無線ICチップ31は、上記したように予め記録媒体各々に独自内容である固有情報が格納されており、例えば、アンテナで外部電界から誘導された電力を取得して、外部からの信号(例えば、読み出し指示信号)を受信すると共に記憶された内容を無線出力により読み出させることができるものである。
【0020】
加工後情報33は、本実施の形態では図示されたようにバーコードの形態であり、例えば、図2における用紙3の下部右側の所定位置に印刷される。
【0021】
図3は、本実施形態の画像形成装置1、画像読取装置2、用紙3、及び、印刷情報を送出する上位装置4の概略の内部構成を示すブロック図である。
画像形成装置1は、用紙3の無線ICチップ31に格納されている固有情報を読み出せるICリーダ11、読み取った固有情報を所定の加工方法に基づいて加工して印刷物の真贋を判定するための加工後情報(識別情報)を生成する固有情報加工部12と、加工後情報を印刷するためにバーコード化させて出力する加工後情報印刷内容生成部13と、上位装置4から送信された印刷情報を受信する印刷情報受信部14と、印刷情報の画像と加工後情報印刷内容生成部13から出力されたバーコードの画像を合成させた合成画像情報を出力すると共に画像形成(印刷)を制御する制御部15と、その合成画像情報による画像を印刷する画像形成部16とを備える。
【0022】
さらに、画像形成装置1は、固有情報加工部12で固有情報を加工する加工方法(及びその復元方法)を記憶する加工/復元方法記憶部17と、加工後情報印刷内容生成部13で加工後情報を印刷するためにバーコード化させる方法(及びその復元方法)を記憶する印刷内容生成/復元情報記憶部18を備える。
【0023】
画像読取装置2は、用紙3の無線ICチップ31に格納されている固有情報を読み出せるICリーダ21、固有情報が加工された加工後情報(バーコード)が印刷されている用紙3上からその加工後情報(バーコードの場合はバーコードを数値あるいは文字に戻して)を読み出す加工後情報読取部22と、読み取った加工後情報を画像形成装置1で加工される前の固有情報に復元させる固有情報復元部24と、ICリーダ21で用紙3から読み取られた固有情報と固有情報復元部24で復元された固有情報とを比較して用紙3が正当に印刷された物か否かを判定すると共に判定結果の表示出力を制御する制御部23と、その判定結果の出力を表示させる表示部25とを備える。
【0024】
さらに、画像読取装置2は、固有情報復元部24で固有情報を復元する復元方法(及びその加工方法)を記憶する加工/復元方法記憶部26と、加工後情報読取部22で印刷物から加工後情報を読み出す方法(又はバーコードから加工後情報の数値を復元させて読み出す方法)を記憶する印刷内容生成/復元情報記憶部27を備える。
【0025】
画像形成装置1の加工/復元方法記憶部17と、画像読取装置2の加工/復元方法記憶部26の記憶内容については、加工方法と復元の両方の方法を記憶させることで同内容が記憶させても良いが、画像形成装置1では少なくとも加工方法が必要であり、画像読取装置2では少なくとも復元方法が必要である。同様にして、画像形成装置1の印刷内容生成/復元情報記憶部18と、画像読取装置2の印刷内容生成/復元情報記憶部27の記憶内容についても、印刷内容生成と復元の両方の方法を記憶させることで同内容が記憶させても良いが、画像形成装置1では少なくとも印刷内容生成方法が必要であり、画像読取装置2では少なくとも復元方法が必要である。
【0026】
図1に示したように、画像形成装置1と画像読取装置2が一体化されている装置の場合には、加工/復元方法記憶部17と加工/復元方法記憶部26を統合させることができ、同様に、印刷内容生成/復元情報記憶部18と印刷内容生成/復元情報記憶部27も統合させることが可能である。
【0027】
又、画像形成装置1と画像読取装置2が別体の装置である場合には、例えば、画像形成装置1の加工/復元方法記憶部17からは、少なくともその復元情報を含み、又、印刷内容生成/復元情報記憶部18からも、少なくともその復元情報を含む情報を汎用のメモリーカード等の可搬型の記憶手段に記憶させて、その可搬型記憶手段の記憶内容を、画像読取装置2の加工/復元方法記憶部26と印刷内容生成/復元情報記憶部27に転記させればよい。
【0028】
用紙3は、無線により読み出し可能な記憶手段(無線ICチップ)31が埋め込まれており、その無線ICチップ31中には、上記したように予め記録媒体毎の独自の固有情報が格納されている。用紙3の表面上には、上位装置4等から入力(受信)される印刷情報に基づく画像が印刷されるが、本実施の形態では、その印刷時には、印刷情報と合成された加工後情報の印刷内容(バーコード)の画像が共に印刷される。
【0029】
上位装置4は、例えばパーソナルコンピュータであり、例えばプリンタである画像形成装置1と接続ケーブル等により接続されている。上位装置4は、使用者(ユーザ)が印刷情報を作成する際に使用するソフトウエア等のアプリケーション部41と、アプリケーション部41からの指示により印刷情報を生成すると共に印刷結果に真贋の判定に用いる加工後情報(識別情報)を付加して印刷する指示を出力するドライバ部42と、印刷情報を送信すると共に画像形成装置1からの応答等を受信する送受信部43を備える。
【0030】
図4は、図3の構成の画像形成装置1で固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
最初のステップ201は、図3の用紙3の無線ICチップ31に記憶されて、画像形成装置1の固有情報読取部11により読み取られた固有情報を示す。この固有情報は、上記したように、例えば、製造番号(シリアルナンバー)のように各用紙1枚毎に異なる独自の情報である。なお、図4のステップ201では、この固有情報を数字のみで12345678としたが、上記したように、他の数字配列あるいはアルファベットの並びにより置き換えても良い。
【0031】
次のステップ202では、固有情報「12345678」の並び順が固有情報加工部12で逆順に加工されて、加工後情報「87654321」とされた場合を示している。この数字を逆順にする方法は、加工/復元情報記憶部17に記憶されており、固有情報加工部12は、加工/復元情報記憶部17から読み出した加工方法に基づいて固有情報を加工する。この固有情報の加工作業(及び復元作業)は、広義で捉えた場合には、暗号化作業(及び復号化作業)と言える。
【0032】
本実施の形態では、この加工後情報を、印刷物の受領者が画像の真贋を判定するための識別情報として用いることができるように、印刷画像と共に用紙3上に印刷しておき、印刷物の受領者は、復号方法により加工後情報を元の固有情報に復元させて、無線ICチップ31から読み出された固有情報と照合することで、印刷物の真贋を判定することができることになる。
【0033】
最後のステップ203では、上記したステップ202の加工後情報をさらに加工後情報印刷内容生成部13でバーコード化した印刷内容として、制御部15で画像合成して、画像形成部16で用紙3上に印刷させる場合を示している。アルファベットあるいは数値等をバーコード化する際には、様々な方式があり、何れの方式のバーコードが用いられるかを印刷物の受領者側で知ることは困難である。この加工後情報のバーコード化作業(及び復元作業)も、広義で捉えた場合には、暗号化作業(及び復号化作業)と言える。このようにして、本実施形態では、ステップ202で数字の並びを逆順にする第1の暗号化作業が実施された後に、ステップ203でバーコード化という第2の暗号化作業が実施されることになる。
【0034】
図5は、図3の画像読取装置2により図4に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
最初のステップ401は、図3の用紙3上の印刷内容から加工後情報印刷内容読取部22で読み取られたバーコードが示されている。
次のステップ402では、バーコードから復元された印刷物の真贋判定用の識別情報(元の加工後情報)である「87654321」が示されている。図3の加工後情報印刷内容読取部22では、印刷内容生成/復元情報記憶部27から読み出されたバーコードの復元情報を用いて、元の加工後情報「87654321」を得ている。
【0035】
最後のステップ403では、固有情報復元部24で復元(復号)された元の固有情報「12345678」が示されている。固有情報復元部24では、ステップ402で復元された識別情報(元の加工後情報)に対して、更に、加工/復元方法記憶部26から読み出された復号情報を用いて復号させることで、元の固有情報「12345678」を得ている。そして、制御部23では、固有情報復元部24で復号された固有情報と、ICリーダ21で無線ICチップ31から読み出された固有情報とを比較して、該当する印刷物の真贋を判定することになる。
【0036】
図6は、本実施の形態の画像形成装置1で、図3の上位装置4から受信した印刷情報と共に、用紙3の無線ICチップ31の固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工後さらにバーコード化させて付加して用紙3上に印刷する場合のフローチャートである。
まず、図6に示される以前の周辺装置の処理動作について説明する。上位装置4では、アプリケーション部41で作成したデータをドライバ部42で印刷情報に変換するが、その際に、印刷物が真贋(正当性)を判別する必要がある場合には、例えば、その判別用の識別情報を付加することを指示(又は選択)する。すると、上位装置4の送受信部43では、その印刷情報を識別情報を付加して印刷する指示(識別印刷指示)を、印刷情報と共に画像形成装置1に向けて送信する。
【0037】
画像形成装置1は、印刷情報受信部14で印刷情報を受信する(S1)と、制御部15では、それと共に識別印刷指示が受信されたか否か、すなわち識別印刷指示の受信の有無により予め設定された識別印刷を実施するか否かを判断する(S2)。識別印刷とは、上記したように印刷物が真贋(正当性)を判別する必要がある場合に、印刷情報による印刷画像に対してその判別用の識別情報が付加されて(又は、印刷画像中に埋め込まれて)印刷されることである。なお、識別印刷の設定については、画像形成装置1の設置時等の事前の段階で予め実施されていることとする。
【0038】
識別印刷指示が受信されていた場合(S2:YES)には、制御部15は、固有情報読取部11により用紙3の無線チップ31から固有情報を読み取らせ(S3)、読取が成功したか否かを判断する(S4)が、識別印刷指示が受信されていない場合(S2:NO)には、制御部15は、通常印刷を実施する(S13)。
【0039】
固有情報読取部11による固有情報の読取が成功した場合(S4:YES)には、制御部15は、固有情報加工部12に対し、加工/復元情報記憶部17から加工方法の情報を取得させて、その固有情報を加工後情報に加工させる(S5)。しかし、固有情報読取部11による固有情報の読取が失敗した場合(S4:NO)には、制御部15は、図示されない通信部(送信手段)を介して上位装置(印刷情報送信側手段)に対して識別印刷ができない(不可)旨を通知する(S11)。
【0040】
固有情報加工部12で加工された加工後情報は、加工後情報印刷内容生成部13で変換されて、バーコード形式の加工後情報の印刷内容が生成される(S6)。次いで、制御部15では、印刷情報受信部14で受信した印刷情報と、バーコード形式の加工後情報の印刷内容とが合成されて画像形成部16に送出される(S7)と共に、例えば、図1の画像形成装置1の用紙トレイ10から用紙3が画像形成部16に給紙され(S8)、画像形成部16において、印刷情報とバーコード形式の加工後情報が、識別印刷として印刷される(S9)。
【0041】
一方、ステップS11で識別印刷ができない旨を上位装置に通知した画像形成装置1は、上位装置4から通常印刷の指示が受信されたか否か、すなわち通常印刷指示の受信の有無により通常印刷を実施するか否かを判断する(S12)。通常印刷指示が受信されていた場合(S12:YES)には、制御部15は、印刷情報受信部14で受信した印刷情報を通常印刷で印刷する(S13)が、通常印刷指示が受信されていない場合(S12:NO)には、制御部15は、上位装置(印刷情報送信側手段)4に向けて印刷不能である旨を通知する(S14)。
【0042】
図7は、本実施の形態の画像読取装置2で、図3の画像形成装置1で識別情報が付加されて印刷された用紙3上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙3の無線ICチップ31の固有情報を読み取り、用紙3が正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
画像読取装置2は、用紙3の無線チップ31から固有情報を読み取らせ(S21)、読取が成功したか否かを判断する(S22)。固有情報が読み取りできる場合(S22:YES)には、制御部23は、加工後情報印刷内容読取部22に対し、印刷内容生成/復元情報記憶部27から復元方法の情報を取得させて、用紙3上の印刷内容から加工後情報を読み取らせる(S23)。具体的には、例えば、加工後情報印刷内容読取部22が、バーコードの形式情報を印刷内容生成/復元情報記憶部27から得て、読み込んだバーコードから加工後情報の印刷内容を復元させる。一方、固有情報が読み取りできない場合(S22:NO)には、制御部23は、不正な印刷物であると識別する(S29)。
【0043】
画像読取装置2は、ステップS23で読み取られる加工後情報について、読取が成功したか否かを判断する(S24)。加工後情報が読み取りできた場合(S24:YES)には、制御部23は、固有情報復元部24に対し、加工/復元情報記憶部26から復元方法の情報を取得させて、加工後情報から元の固有情報を復元させる(S25)。一方、加工後情報が読み取りできない場合(S24:NO)には、制御部23は、不正な印刷物であると識別する(S29)。
【0044】
次いで、制御部23は、用紙3の無線チップ31から読み取られた固有情報と、固有情報復元部24で加工後情報から復元された固有情報とを比較し(S26)、両方の固有情報が一致するか否かを判断する(S27)。制御部23は、両方の固有情報が一致した場合(S27:YES)には、用紙3は正当な印刷物であると識別し(S28)、両方の固有情報が一致しない場合(S27:NO)には、用紙3は不正な印刷物であると識別し(S29)、その識別結果を表示部25に表示させる(S30)。
【0045】
尚、図1では、画像形成装置1と画像読取装置2が一体に形成された場合の例を示したが、本実施の形態では、図3に示した画像形成装置1の固有情報加工手段12及び加工後情報印刷内容生成部13に対して、画像読取装置2の加工後情報印刷内容読取部22及び固有情報復元部24が対応する復元手段(復元方式)を備えていれば別体であってもかまわない。一体である場合には、上記したように加工情報及び復元情報の記憶部を統合でき、別体である場合には、メモリーカード等を用いて記憶内容を転記させればよい。
【0046】
このように本実施の形態の画像形成装置1には、固有情報読取部(ICリーダ)11と固有情報加工部12と画像形成部16とを少なくとも備え、又、画像読取装置2には、固有情報読取部(ICリーダ)21と、加工後情報読取部22と、固有情報復元部24と、比較手段(制御部)23とを少なくともを備えるように構成したので、真贋判定が必要になる画像等を記録媒体に印刷する場合には、読み出し機能のみの記憶手段(無線ICチップ)31が組み込まれた記録媒体(用紙)3を使用でき、読み出し機能のみのICリーダ11を使用でき、ネットワーク通信手段を不要にできる。又、その読み出し機能のみの記憶手段(無線ICチップ)31が組み込まれて印刷された記録媒体(用紙)3の真贋を判定する場合には、読み出し機能のみのICリーダ21を使用でき、ネットワーク通信手段を不要にできる。従って、本実施の形態では、サーバ及びネットワークとの接続無しに、偽造、複製あるいは改ざん等に対して安全性の高い印刷物を容易且つ安価に発行できる印刷物発行システムを提供することができる。
【0047】
実施の形態2
図8は、本発明の実施の形態2の画像形成装置、画像読取装置、用紙、及び、印刷情報を送出する上位装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
画像形成装置1aの内部において、ICリーダ11a、固有情報加工部12a、加工後情報印刷内容生成部13a、印刷情報受信部14a、制御部15a、画像形成部16a、加工/復元方法記憶部17a、及び、印刷内容生成/復元情報記憶部18aの基本的な構成及び動作内容は、実施の形態1の対応する構成及び動作と同様である。又、画像読取装置2aの内部において、ICリーダ21a、加工後情報読取部22a、固有情報復元部24a、制御部23a、表示部25a、加工/復元方法記憶部26a、印刷内容生成/復元情報記憶部27aの基本的な構成及び動作内容も、実施の形態1の対応する構成及び動作と同様である。従って、それらの基本的な構成及び動作内容については、重複する説明を省略する。
【0048】
本実施の形態の画像形成装置1aでは、上記した実施の形態1の構成に加えて、用紙3a上の加工後情報(識別情報)を印刷する位置を演算する印刷位置演算部57を備える。又、本実施の形態の画像読取装置2aでは、上記した実施の形態1の構成に加えて、用紙3a上の加工後情報(識別情報)が印刷されている位置、すなわち、用紙3aから加工後情報(識別情報)を読み取る位置を演算する印刷位置演算部66を備える。
【0049】
画像形成装置1aの印刷位置演算部57は、ICリーダ11aで用紙3aから読み取られた固有情報、例えば、「12345678」に基づいて加工後情報(識別情報:本実施の形態ではバーコード形式)を用紙3a上に印刷する位置を演算する。固有情報が「12345678」の場合で、例えば、その先頭の数値「1」を利用する場合には、用紙3a上で、左端から1cm(下端からは所定距離)に加工後情報(バーコード)を印刷させるように、制御部(画像合成)15aで印刷情報と画像合成して画像形成部16aで印刷させればよい。その他の処理は実施の形態1と同様である。
【0050】
一方、画像読取装置2aの印刷位置演算部66は、ICリーダ21aで用紙3aから読み取られた固有情報、例えば、「12345678」に基づいて加工後情報(識別情報:本実施の形態ではバーコード形式)が用紙3a上に印刷されている位置を演算する。固有情報が「12345678」の場合で、例えば、その先頭の数値「1」を利用する場合には、用紙3a上で、左端から1cm(下端からは所定距離)の加工後情報(バーコード)を読み取るように、加工後情報印刷内容読取部22aに指示すればよい。その他の処理は実施の形態1と同様である。
【0051】
図9は、図8の構成の画像形成装置1aで固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
尚、以下の説明では、実施の形態1と同様な処理内容については重複する記載を省略し、実施の形態1と異なる処理内容についてのみ記載する。
最初のステップ201aでは、図8の用紙3aの無線ICチップ31aに記憶されて、画像形成装置1aの固有情報読取部11aにより読み取られた固有情報「12345678」を示す。本実施の形態では、その先頭の数値「1」を利用する場合を説明する。
【0052】
次のステップ202aでは、固有情報「12345678」の先頭の「1」を除く数字「2345678」について、並び順が固有情報加工部12aで逆順に加工されて、加工後情報「8765432」とされた場合を示している。それと共にステップ301が実施され、位置演算部57で固有情報の先頭の「1」に基づいて印刷位置が演算される。例えば、「1」に基づいて、用紙3a上で、左端から1cm(下端からは所定距離)に加工後情報(バーコード)を印刷させるように指示が出力される。
【0053】
最後のステップ203aでは、上記したステップ202aの加工後情報をさらに加工後情報印刷内容生成部13aでバーコード化した印刷内容として、制御部15aで画像合成させる際には用紙3a上で左端から1cm(下端からは所定距離)となるように画像合成させて、画像形成部16aで用紙3a上に印刷させる場合を示している。
【0054】
図10は、図8の画像読取装置2aにより図9に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
最初のステップ501では、画像読取装置2aの固有情報読取部21aで用紙3aの無線ICチップ31aから読み取られた固有情報「12345678」が示されている。その先頭の数値「1」が印刷位置演算部66に出力される。
【0055】
次のステップ502では、受信した数値「1」に基づいて印刷位置演算部66で演算される用紙3a上における加工後情報(バーコード)が印刷された位置が示されている。例えば、「1」に基づいて、用紙3a上で、左端から1cm(下端からは所定距離)に加工後情報(バーコード)が印刷されていることが演算される。この印刷位置の情報が加工後情報印刷内容読取部22aに出力される。
【0056】
ステップ401aでは、図8の用紙3a上の印刷内容から、左端から1cm(下端からは所定距離)が指定されて、加工後情報印刷内容読取部22aで読み取られたバーコードが示されている。
【0057】
次のステップ402aでは、バーコードから復元された印刷物の真贋判定用の識別情報(元の加工後情報)である「8765432」が示されている。図8の加工後情報印刷内容読取部22aでは、印刷内容生成/復元情報記憶部27aから読み出されたバーコードの復元情報を用いて、元の加工後情報「8765432」を得ている。
【0058】
最後のステップ403aでは、固有情報復元部24aで復元(復号)された元の固有情報「2345678」が示されている。固有情報復元部24aでは、ステップ402aで復元された識別情報(元の加工後情報)に対して、更に、加工/復元方法記憶部26aから読み出された復号情報を用いて復号させることで、元の固有情報「2345678」を得ている。そして、制御部23aでは、固有情報復元部24aで復号された固有情報と、ICリーダ21aで無線ICチップ31aから読み出された固有情報とを比較して、該当する印刷物の真贋を判定することになる。
【0059】
図11は、本実施の形態の画像形成装置1aで、図8の上位装置4aから受信した印刷情報と共に、用紙3aの無線ICチップ31aの固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工後さらにバーコード化させて付加して用紙3a上に印刷する場合のフローチャートである。
図11に示される本実施の形態のフローチャートでは、図示される以前の周辺装置の処理動作及びステップS1a〜S4aまでの処理動作と、ステップS8a以降の処理動作については実施の形態1の対応するステップと同様であるので、以下の説明では重複する記載を省略し、異なる処理動作のみについて説明する。
【0060】
固有情報読取部11aによる固有情報の読取が成功した場合(S4a:YES)には、印刷位置演算部57は、固有情報読取部11aで読み取られたその固有情報の一部(先頭の数値「1」)を用いて用紙3a上における加工後情報(バーコード)の印刷位置を演算する(S15)。制御部15aは、固有情報加工部12aに対し、加工/復元情報記憶部17aから加工方法の情報を取得させて、その固有情報を加工後情報に加工させる(S5a)。しかし、固有情報読取部11aによる固有情報の読取が失敗した場合(S4a:NO)には、制御部15aは、図示されない通信部(送信手段)を介して上位装置(印刷情報送信側手段)に対して識別印刷ができない(不可)旨を通知する(S11a)。
【0061】
固有情報加工部12aで加工された加工後情報は、加工後情報印刷内容生成部13aで変換されて、バーコード形式の加工後情報の印刷内容が生成される(S6a)。次いで、制御部15aでは、印刷情報受信部14aで受信した印刷情報に対して、バーコード形式の加工後情報の印刷内容が印刷位置演算部57で演算された印刷位置に合成されて画像形成部16aに送出される(S7a)。他の処理動作は、実施の形態1と同様である。
【0062】
図12は、本実施の形態の画像読取装置2aで、図8の画像形成装置1aで識別情報が付加されて印刷された用紙3a上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙3aの無線ICチップ31aの固有情報を読み取り、用紙3aが正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
【0063】
図12に示される本実施の形態のフローチャートでは、ステップS21a〜S22aまでの処理動作と、ステップS26a以降の処理動作については実施の形態1の対応するステップと同様であるので、以下の説明では重複する記載を省略し、異なる処理動作のみについて説明する。
【0064】
固有情報が読み取りできる場合(S22a:YES)には、印刷位置演算部66は、固有情報読取部21aで読み取られた固有情報の一部(先頭の数値「1」)を用いて用紙3a上における加工後情報(バーコード)の印刷位置を演算する(S31)。制御部23aは、加工後情報印刷内容読取部22aに対し、印刷位置演算部66からの印刷位置の情報と印刷内容生成/復元情報記憶部27aから復元方法の情報を取得させて、用紙3a上の印刷内容から加工後情報を読み取らせる(S23a)。具体的には、例えば、加工後情報印刷内容読取部22aが、用紙3aの左から何cmから読み取りするかの印刷位置の情報を印刷位置演算部66から取得すると共にバーコードの形式情報を印刷内容生成/復元情報記憶部27aから取得して、読み込んだバーコードから加工後情報の印刷内容を復元させる。一方、固有情報が読み取りできない場合(S22a:NO)には、制御部23aは、不正な印刷物であると識別する(S29a)。
【0065】
画像読取装置2は、ステップS23aで読み取られる加工後情報について、読取が成功したか否かを判断する(S24a)。加工後情報が読み取りできた場合(S24a:YES)には、制御部23aは、固有情報復元部24aに対し、加工/復元情報記憶部26aから復元方法の情報を取得させて、加工後情報から元の固有情報を復元させる(S25a)。一方、加工後情報が読み取りできない場合(S24a:NO)には、制御部23は、不正な印刷物であると識別する(S29a)。
【0066】
このように本実施の形態の画像形成装置1aには、実施の形態1の画像形成装置1の構成に加えて、印刷位置演算部57が設けられ、又、画像読取装置2aにも、実施の形態1の画像読取装置2の構成に加えて、印刷位置演算部66が設けられたので、用紙3aにおける加工後情報(識別情報)を印刷する位置を任意の位置に変更することができる。従って、本実施の形態では、実施の形態1の効果に加えて、印刷位置と読取位置による偽造防止を実施できるので、偽造、複製あるいは改ざん等に対してより安全性の高い印刷物を発行できる印刷物発行システムを提供できる。
【0067】
実施の形態3
図13は、本発明の実施の形態3の画像形成装置、画像読取装置、用紙、及び、印刷情報を送出する上位装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
画像形成装置1bの内部において、ICリーダ11b、固有情報加工部12b、加工後情報印刷内容生成部13b、印刷情報受信部14b、制御部15b、画像形成部16b、加工/復元方法記憶部17b、及び、印刷内容生成/復元情報記憶部18bの基本的な構成及び動作内容は、実施の形態1の対応する構成及び動作と同様である。又、画像読取装置2bの内部において、ICリーダ21b、加工後情報読取部22b、固有情報復元部24b、制御部23b、表示部25b、加工/復元方法記憶部26b、印刷内容生成/復元情報記憶部27bの基本的な構成及び動作内容も、実施の形態1の対応する構成及び動作と同様である。従って、それらの基本的な構成及び動作内容については、重複する説明を省略する。
【0068】
本実施の形態の画像形成装置1bでは、上記した実施の形態1の構成に加えて、固有情報加工部12bで固有情報を加工するために使用される暗号化方式の情報が記憶される暗号化方式記憶部77と、固有情報を暗号化するために使用される暗号化キーの情報が記憶される暗号化キー記憶部78と、暗号化された形態の固有情報を元の形態の固有情報に復号化させるために使用される復号化キーの情報が記憶される復号化キー記憶部79を備える。又、本実施の形態の画像読取装置2bでは、上記した実施の形態1の構成に加えて、画像形成装置1bで固有情報を加工(暗号化)する際に使用された暗号化方式に対応する暗号(復号)化方式の情報が記憶される暗号(復号)化方式記憶部86と、暗号化された形態の固有情報を元の形態の固有情報に復号化させるために使用される復号化キーの情報が記憶される復号化キー記憶部87を備える。
【0069】
画像形成装置1bの固有情報加工部12bは、ICリーダ11bで用紙3bから読み取られた固有情報、例えば、「12345678」に基づき、さらに、暗号化方式記憶部77に記憶された暗号化方式で、暗号化キー記憶部78に記憶された暗号化キーを用いて、固有情報を加工(暗号化)する。そして、暗号化された加工後情報(識別情報:本実施の形態ではバーコード形式)が用紙3b上に印刷される。その他の処理は実施の形態1と同様である。
【0070】
一方、画像読取装置2bの固有情報復元部24bは、ICリーダ21bで用紙3bから読み取られた固有情報、例えば、「12345678」に基づき、さらに、暗号(復号)化方式記憶部86に記憶された暗号化方式で、複合化キー記憶部87に記憶された複合化キーを用いて、暗号化された加工後情報(識別情報:本実施の形態ではバーコード形式)を復号する。そして、復号化された固有情報が制御部23bに出力されて、固有情報読取部21bで用紙3bから読み取られた固有情報と比較される。その他の処理は実施の形態1と同様である。
【0071】
図14は、図13の構成の画像形成装置1bで固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
尚、以下の説明では、実施の形態1と同様な処理内容については重複する記載を省略し、実施の形態1と異なる処理内容についてのみ記載する。
【0072】
最初のステップ201bでは、図13の用紙3bの無線ICチップ31bに記憶されて、画像形成装置1bの固有情報読取部11bにより読み取られた固有情報「12345678」を示す。本実施の形態では、その固有情報「12345678」を、ステップ302の暗号化キー「sol4eXpo」を用いて暗号化する場合を説明する。
【0073】
次のステップ202bでは、固有情報加工部12bによって、固有情報「12345678」が、暗号化方式記憶部77に記憶された暗号化方式で、暗号化キー記憶部78に記憶された暗号化キーにより暗号化された結果の加工後情報「8dg0aek9」が示されている。この加工後情報(バーコード)を印刷させるように指示が出力される。
【0074】
最後のステップ203bでは、上記したステップ202bの加工後情報をさらに加工後情報印刷内容生成部13bでバーコード化した印刷内容として画像合成させて、画像形成部16bで用紙3b上に印刷させる場合を示している。
【0075】
図15は、図13の画像読取装置2bにより図14に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【0076】
最初のステップ401bでは、図13の用紙3b上の印刷内容から、加工後情報印刷内容読取部22bで読み取られたバーコードが示されている。
【0077】
次のステップ402bでは、バーコードから復元された印刷物の真贋判定用の識別情報(元の加工後情報)である「8dg0aek9」が示されている。図13の加工後情報印刷内容読取部22bでは、印刷内容生成/復元情報記憶部27bから読み出されたバーコードの復元情報を用いて、元の加工後情報「8dg0aek9」を得ている。一方、ステップ503では、固有情報復元部24bは、暗号(復号)化方式記憶部86から復号化方式を読み出すと共に、復号化キー記憶部87から復号化キー「odu3F4ps」を読み出している。
【0078】
最後のステップ403bでは、固有情報復元部24bで復元(復号)された元の固有情報「12345678」が示されている。固有情報復元部24bでは、ステップ402bで復元された識別情報(元の加工後情報)に対して、更に、暗号(復号)化方式記憶部86に記憶された暗号化方式で、復元化キー記憶部87から読み出された復号化キー「odu3F4ps」を用いて復号させることで、元の固有情報「12345678」を得ている。そして、制御部23bでは、固有情報復元部24bで復号された固有情報と、ICリーダ21bで無線ICチップ31bから読み出された固有情報とを比較して、該当する印刷物の真贋を判定することになる。
【0079】
図16は、本実施の形態の画像形成装置1bで、図13の上位装置4bから受信した印刷情報と共に、用紙3bの無線ICチップ31bの固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工(暗号化)後さらにバーコード化させて付加して用紙3b上に印刷する場合のフローチャートである。
図16に示される本実施の形態のフローチャートでは、図示される以前の周辺装置の処理動作及びステップS1b〜S4bまでの処理動作と、ステップS8b以降の処理動作については実施の形態1の対応するステップと同様であるので、以下の説明では重複する記載を省略し、異なる処理動作のみについて説明する。
【0080】
固有情報読取部11bによる固有情報の読取が成功した場合(S4b:YES)には、暗号化方式記憶部77に暗号化方式が設定され、暗号化キー記憶部78には、その暗号化方式で用いられる暗号化キーが設定される。その際に、復号化キーも復号化キー記憶部79に設定される(S16)。制御部15bは、固有情報加工部12bに対して、固有情報読取部11bで読み取られたその固有情報「12345678」を、暗号化方式記憶部77に記憶された暗号化方式で、暗号化キー記憶部78に記憶された暗号化キーを用いて暗号化させて、その加工後情報「8dg0aek9」を加工後情報印刷内容生成部13bに出力させる(S17)。しかし、固有情報読取部11bによる固有情報の読取が失敗した場合(S4b:NO)には、制御部15bは、図示されない通信部(送信手段)を介して上位装置(印刷情報送信側手段)に対して識別印刷ができない(不可)旨を通知する(S11b)。
【0081】
固有情報加工部12bで加工された加工後情報は、加工後情報印刷内容生成部13bで変換されて、バーコード形式の加工後情報の印刷内容が生成される(S6b)。次いで、制御部15bでは、印刷情報受信部14bで受信した印刷情報に対して、バーコード形式の加工後情報の印刷内容が合成されて画像形成部16bに送出される(S7b)。他の処理動作は、実施の形態1と同様である。
【0082】
図17は、本実施の形態の画像読取装置2bで、図13の画像形成装置1bで識別情報が付加されて印刷された用紙3b上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙3bの無線ICチップ31bの固有情報を読み取り、用紙3bが正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
【0083】
図17に示される本実施の形態のフローチャートでは、ステップS21b〜S24bまでの処理動作と、ステップS26b以降の処理動作については実施の形態1の対応するステップと同様であるので、以下の説明では重複する記載を省略し、異なる処理動作のみについて説明する。
【0084】
まず、画像読取処理の前に、暗号(復号)化方式記憶部86に復号化方式を記憶させると共に、復号化キー記憶部87に復号化キー「odu3F4ps」を記憶させておき(S32)、その後に、ステップS21b〜S24bの処理を実施させる。
【0085】
加工後情報が読み取りできた場合(S24b:YES)には、制御部23bは、固有情報復元部24bに対し、暗号(復号)化方式記憶部86に記憶された複合化方式の情報と、復元化キー記憶部87から読み出された復号化キー「odu3F4ps」の情報を取得させて、加工後情報から元の固有情報を復元させる(S33)。一方、加工後情報が読み取りできない場合(S24b:NO)には、制御部23bは、不正な印刷物であると識別する(S29b)。
【0086】
このように本実施の形態の画像形成装置1bには、実施の形態1の画像形成装置1の構成に加えて、暗号化方式記憶部77と暗号化キー記憶部78と復号化キー記憶部79が設けられ、又、画像読取装置2bにも、実施の形態1の画像読取装置2の構成に加えて、暗号(復号)化方式記憶部86と復号化キー記憶部87が設けられたので、固有情報化後部12bで固有情報を加工後情報(識別情報)に加工する際に、データの加工方式として一般的な暗号化方式を適用することができる。すると、画像形成装置1bに独自に設定したデータの加工(暗号化)方法を、画像読取装置2bの復元(復号化)方法として共用するために独自の設定が必要なくなり、両装置に一般的な暗号化方式を適用することができる。従って、本実施の形態では、実施の形態1の効果に加えて、一般的な暗号化方式による偽造防止を実施できるので、偽造、複製あるいは改ざん等に対して安全性の高い印刷物をより容易に発行できる印刷物発行システムを提供できる。
【0087】
尚、上記した各実施の形態では、画像形成装置がプリンタの場合で画像読取装置が一体化された場合を説明したが、本発明は上記した各実施の形態に示された構成に限られるものではなく、各実施の形態の要素を任意に組み合わせた構成にも適用することができる。又、本発明は、例えば、本発明の画像形成装置が多機能印刷機(MFP)である場合、あるいは、画像読取装置がバーコードリーダ又はスキャナである場合、画像形成装置と画像読取装置が一体化された複合機が、ファクシミリ装置又は複写装置である場合等に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1に係る画像形成装置及び画像読取装置の概略の構成を示す断面図である。
【図2】図1の記憶手段が埋め込まれた用紙に加工後情報が合成された印刷情報が印刷された一例を示す図である。
【図3】本実施形態の画像形成装置、画像読取装置、用紙、及び、印刷情報を送出する上位装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
【図4】図3の構成の画像形成装置で固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図5】図3の画像読取装置により図4に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図6】実施の形態1の画像形成装置で、図3の上位装置から受信した印刷情報と共に、用紙の無線ICチップの固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工後さらにバーコード化させて付加して用紙上に印刷する場合のフローチャートである。
【図7】実施の形態1の画像読取装置で、図3の画像形成装置で識別情報が付加されて印刷された用紙上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙の無線ICチップの固有情報を読み取り、用紙が正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
【図8】本発明の実施の形態2の画像形成装置、画像読取装置、用紙、及び、印刷情報を送出する上位装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
【図9】図8の構成の画像形成装置で固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図10】図8の画像読取装置により図9に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図11】実施の形態2の画像形成装置で、図8の上位装置から受信した印刷情報と共に、用紙の無線ICチップの固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工後さらにバーコード化させて付加して用紙上に印刷する場合のフローチャートである。
【図12】実施の形態2の画像読取装置で、図8の画像形成装置で識別情報が付加されて印刷された用紙上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙の無線ICチップの固有情報を読み取り、用紙が正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
【図13】本発明の実施の形態3の画像形成装置、画像読取装置、用紙、及び、印刷情報を送出する上位装置の概略の内部構成を示すブロック図である。
【図14】図13の構成の画像形成装置で固有情報を加工する場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図15】図13の画像読取装置により図14に示されたバーコードから固有情報を復元させる場合の情報の形態が変遷する様子の一例を示す図である。
【図16】実施の形態3の画像形成装置で、図13の上位装置から受信した印刷情報と共に、用紙の無線ICチップの固有情報を正当な印刷であることを示す加工後情報(識別情報)に加工(暗号化)後さらにバーコード化させて付加して用紙上に印刷する場合のフローチャートである。
【図17】実施の形態3の画像読取装置で、図13の画像形成装置で識別情報が付加されて印刷された用紙上の印刷内容から加工後情報(識別情報)を読み取ると共に、用紙の無線ICチップの固有情報を読み取り、用紙が正当な印刷物であることを判断(識別)する場合のフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成装置
2 画像読取装置
3 用紙(記録媒体)
4 上位装置
11 固有情報読取部
12 固有情報加工部
13 加工後情報印刷内容生成部
14 印刷情報受信部
15 制御部(画像合成)
16 画像形成部
17 加工/復元情報記憶部
18 印刷内容生成/復元情報記憶部
21 固有情報読取部
22 加工後情報印刷内容読取部
23 制御部(情報比較)
24 固有情報復元部
25 表示部
26 加工/復元情報記憶部
27 印刷内容生成/復元情報記憶部
31 (固有情報記憶)無線ICチップ(記憶手段)
41 アプリケーション部
42 ドライバ部
43 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段を備える記録媒体から該固有情報を読み出す固有情報読取部と、
前記固有情報を、所定の加工方法により加工して加工後情報を生成する固有情報加工部と、
前記記録媒体に印刷させるために外部から入力される印刷情報及び前記加工後情報を前記記録媒体上に印刷する画像形成部と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記固有情報から、前記記録媒体上の前記加工後情報を印刷する位置を演算する印刷位置演算部
を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固有情報加工部は、所定の加工方法として、前記固有情報に所定の暗号化処理を実施する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段を備える記録媒体から該固有情報を読み出す固有情報読取部と、
前記固有情報が加工された加工後情報が印刷されている前記記録媒体上から該加工後情報を読み出す加工後情報読取部と、
前記加工後情報から所定の復元方法により固有情報を復元させる固有情報復元部と、
前記記憶手段から読み出された固有情報と前記加工後情報を復元させた固有情報を比較する比較手段と
を備えることを特徴とする画像読取装置。
【請求項5】
前記固有情報から、前記記録媒体上の前記加工後情報が印刷された位置を演算する印刷位置演算部
を備えることを特徴とする請求項4に記載の画像読取装置。
【請求項6】
前記固定情報復元部は、所定の復元方法として、前記加工後情報に所定の暗号復号化処理を実施する
ことを特徴とする請求項4又は5に記載の画像読取装置。
【請求項7】
請求項1〜3の何れかに記載された画像形成装置と、請求項4〜6の何れかに記載された画像読取装置とを備える
ことを特徴とする印刷物発行システム。
【請求項8】
記録媒体毎の固有情報が格納された記憶手段を備える記録媒体から該固有情報を読み出す手段と、前記固有情報を暗号化する手段と、真贋判定が必要となる画像と共に前記暗号化された固有情報を前記記録媒体上に印刷する手段とを備えた画像形成装置と、
前記暗号化された固有情報が前記画像形成装置により印刷された前記記録媒体から該暗号化された固有情報の印刷内容を読み出す手段と、前記記録媒体から該固有情報を読み出す手段と、前記暗号化された固有情報の印刷内容を復号化させて固有情報を復元させる手段と、前記記録媒体から読み出された固有情報と前記印刷内容から復元された固有情報を比較して差異の有無を判定する比較手段とを備えた画像読取装置と
を備えることを特徴とする印刷物発行システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate


【公開番号】特開2006−253767(P2006−253767A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−63560(P2005−63560)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】