説明

画像形成装置、端末装置、画像形成システム、および制御プログラム

【課題】直感的かつ容易な操作でネットワークで接続された装置間でファイルの送受信が可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置であるMFPのタッチパネルにファイル一覧が表示されている状態でつまむ操作が検出されると、その操作で指定されたファイルが移動対象ファイルと特定され、ログイン情報と共に記憶される。その後、MFPとネットワーク接続された携帯端末において離す操作が検出されると、携帯端末からMFPにファイルの移動が要求されると共に、その操作で格納場所が特定される。該要求を行なったユーザと移動対象のファイルを指定したユーザとが一致する場合、MFPからファイルが出力され、携帯端末の離す操作で特定されたフォルダに格納される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は画像形成装置、端末装置、画像形成システム、および制御プログラムに関し、特に、タッチパネル上でのユーザの「つまむ」操作および「離す」操作により処理が実行される画像形成装置、端末装置、画像形成システム、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コピー機やプリンタやその複合機であるMFP(Multi Function Peripheral)などの画像形成装置の中には、画像データをファイルとして記憶するものがある。
【0003】
ネットワークに画像形成装置と例えば携帯情報端末などの他の装置とが接続されている場合、これら装置間でネットワークを介してファイルを送受信するという使い方が想定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−282634号公報
【特許文献2】特開平08−076926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、このような画像形成装置と他の装置との間でネットワークを介してファイルを送受信する際には、送信側の装置において送信するファイルを選択し、次に、送信先である受信側の装置を該ネットワークを参照して選択する、という操作が必要であり、ユーザにとって操作が複雑であったり、送信先のアドレスなどを認識する必要があったり、煩雑であるという問題があった。
【0006】
また、これら装置が入力装置としてタッチパネルを備えている場合、従来、それぞれの装置で、タッチパネルに選択肢を表示させてその中から指定するものをタッチする、などの操作が一般的である。この操作は直感的な操作ではないために、不慣れなユーザにとってはより煩雑であるという問題があった。
【0007】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、直感的かつ容易な操作でネットワークで接続された装置間でファイルの送受信が可能な画像形成装置、端末装置、画像形成システム、および制御プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のある局面に従うと、画像形成装置は、タッチパネルと、タッチパネルに接続された制御手段と、データファイルを記憶するための記憶手段と、他の装置と通信するための通信手段とを備える。制御手段は、タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第1の特定手段と、通信手段で受信した他の装置からのファイルの移動の要求に応じて、移動対象のファイルを他の装置に移動するための移動手段とを含む。
【0009】
好ましくは、制御手段は、ユーザ情報を用いてユーザ認証を行なうための認証手段をさらに含み、第1の特定手段は、移動対象のファイルを第1の操作を行なったユーザに関連付け、移動手段は、要求に含まれる情報で特定されるユーザが移動対象のファイルに関連付けられたユーザに一致する場合に、移動対象のファイルを他の装置に移動する。
【0010】
好ましくは、移動手段は、第1の操作の後の要求に応じて、他の装置に対して移動対象のファイルを出力することで、移動対象のファイルを他の装置に移動する。
【0011】
好ましくは、移動手段は予め移動対象のファイルの移動先である他の装置を記憶しておき、第1の操作の後であって要求よりも前に移動対象のファイルを他の装置に対して出力することで、移動対象のファイルを他の装置に移動する。
【0012】
より好ましくは、移動手段は、移動対象のファイルを複製して複製した移動対象のファイルを他の装置に対して出力し、他の装置からの要求に応じて、移動対象のファイルを記憶手段から削除する。
【0013】
好ましくは、第1の特定手段は、移動対象のファイルの特定の後から所定期間内に要求がなされないときに、移動対象の特定を解除する。
【0014】
好ましくは、第1の特定手段は、検出手段によって、移動対象のファイルが格納されている格納場所を表わすフォルダを示すタッチパネル上で、2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、移動対象の特定を解除する。
【0015】
好ましくは、制御手段は、移動対象のファイルの特定の後から所定期間内に要求がなされないときに、その旨の警告を出力するための出力手段をさらに含む。
【0016】
好ましくは、第1の特定手段は、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された複数のアイコンで表わされる複数のファイルを移動対象のファイルとして特定する。
【0017】
好ましくは、第1の特定手段は、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲にフォルダを表わすアイコンが表示されているときに、フォルダに格納される複数のファイルを移動対象のファイルとして特定する。
【0018】
好ましくは、表示処理手段は、検出手段によって第1の操作が検出されると、タッチ位置の移動に伴って、タッチ位置の間に表示されたアイコンの形状を変化させる。
【0019】
好ましくは、制御手段は、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第2の特定手段と、検出手段によって第2の操作が検出されると他の装置に対してファイルの移動を要求するための要求手段と、他の装置から送信されたファイルを格納場所に格納するための格納手段とをさらに含む。
【0020】
本発明の他の局面に従うと、端末装置は、タッチパネルと、タッチパネルに接続された制御手段と、画像形成装置と通信するための通信手段とを備える。制御手段は、タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第1の特定手段と、検出手段によって第1の操作が検出されると画像形成装置に対してファイルの移動を要求するための要求手段と、画像形成装置から送信された移動対象のファイルを格納場所に格納するための格納手段とを含む。
【0021】
好ましくは、要求手段は、要求と共に予め記憶されているユーザを特定する情報を画像形成装置に対して送信する。
【0022】
好ましくは、要求は、第1の操作が検出されたことを示す情報を含む。
好ましくは、制御手段はタッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段をさらに含み、表示処理手段は、検出手段によって第1の操作が検出されると、タッチ位置の間に画像形成装置から送信された移動対象のファイルを表わすアイコンを表示させ、タッチ位置の移動に伴って表示されたアイコンの形状を変化させる。
【0023】
好ましくは、画像形成装置から送信された移動対象のファイルには画像形成装置において移動対象のファイルが特定された際の情報が関連付けられており、表示処理手段は、アイコンと共に、画像形成装置において移動対象のファイルが特定された際の情報を表示させる。
【0024】
好ましくは、制御手段は、タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第2の特定手段と、通信手段で受信した画像形成装置からの要求に応じて、移動対象のファイルを画像形成装置に移動するための移動手段とを含む。
【0025】
本発明のさらに他の局面に従うと、画像形成装置と端末装置とを備えた画像形成システムであって、画像形成装置および端末装置は、各々、タッチパネルおよびタッチパネルに接続された制御手段を含む。画像形成装置と端末装置とのうちの第1の装置の制御手段は、タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第1の特定手段と、画像形成装置と端末装置とのうちの第2の装置からの要求に応じて、移動対象のファイルを第2の装置に移動するための移動手段とを含む。第2の装置の制御手段は、タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、検出手段によって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第2の特定手段と、検出手段によって第2の操作が検出されるとファイルの移動を要求するための要求手段と、第2の装置から送信された移動対象のファイルを格納場所に格納するための格納手段とを含む。
【0026】
好ましくは、画像形成システムはサーバをさらに備え、移動手段は、第1の装置から移動対象のファイルをサーバに送信して記憶させ、要求手段はサーバに対してファイルの移動を要求し、移動手段は、要求に応じて、記憶された移動対象のファイルを第2の装置に対して出力する。
【0027】
本発明のさらに他の局面に従うと、制御プログラムは、タッチパネルを有する画像形成装置に、記憶されるファイルを他の装置に移動する処理を実行させるための制御プログラムであって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する操作を検出するステップと、上記操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するステップと、他の装置からのファイルの移動の要求に応じて、移動対象のファイルを他の装置に移動するステップとを画像形成装置に実行させる。
【0028】
本発明のさらに他の局面に従うと、制御プログラムは、タッチパネルを有する端末装置に、画像形成装置に記憶されるファイルを端末装置に移動する処理を実行させるための制御プログラムであって、タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、移動後の2点のタッチを解除する操作を検出するステップと、上記操作が検出されると、移動前と移動後との少なくとも一方の2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するステップと、検出するステップにおいて操作が検出されると画像形成装置に対してファイルの移動を要求するステップと、画像形成装置から送信された移動対象のファイルを受信するステップと、移動対象のファイルを格納場所に格納するステップとを端末装置に実行させる。
【発明の効果】
【0029】
この発明によると、直感的かつ容易な操作でネットワークで接続された装置間でファイルの送受信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の具体例を示す図である。
【図2】画像形成システムに含まれるMFPのハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図3】画像形成システムに含まれる携帯端末のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図4】画像形成システムに含まれるサーバのハードウェア構成の具体例を示す図である。
【図5】画像形成システムでの動作概要を表わした図である。
【図6】画像形成システムでの動作概要を表わした図である。
【図7】つまむ操作を説明するための図である。
【図8】離す操作を説明するための図である。
【図9】MFPの機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図10】携帯端末の機能構成の具体例を示すブロック図である。
【図11】MFPでの、移動対象のファイルを特定するための動作の具体例を示すフローチャートである。
【図12】MFPでの、移動対象のファイルを出力するための動作の具体例を示すフローチャートである。
【図13】携帯端末での、移動対象のファイルを取得して格納するための動作の具体例を示すフローチャートである。
【図14】図13のステップS205で携帯端末からMFPに対して送信されるファイル要求のデータ構成の具体例を示す図である。
【図15】画像形成システムでのファイルの移動の流れを表わしたシーケンス図である。
【図16】つまむ操作に伴うアイコンの変化の具体例を示す図である。
【図17】離す操作に伴うアイコンの変化の具体例を示す図である。
【図18】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図19】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図20】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図21】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【図22】つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。
【0032】
<システム構成>
図1は、本実施の形態にかかる画像形成システムの構成の具体例を示す図である。
【0033】
図1を参照して、本実施の形態にかかる画像形成システムは、画像形成装置の一例としてのMFP100と、端末装置として携帯端末300と、サーバ500とを含み、これらがLAN(Local Area Network)などのネットワークで接続されている。
【0034】
ネットワークは有線であっても無線であってもよい。一例として、図1に示されるように、MFP100とサーバ500とが有線LANに接続され、該有線LANにさらに無線LANアクセスポイント700が含まれ、携帯端末300が無線LANアクセスポイント700と無線LANで接続されている例が挙げられる。
【0035】
<MFPの構成>
図2は、MFP100のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0036】
図2を参照して、MFP100は、全体を制御するための演算装置であるCPU(Central Processing Unit)10と、CPU10で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM(Read Only Memory)11と、CPU10でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM(Random Access Memory)12と、図示しない原稿台に載置された原稿を光学的に読取って画像データを得るためのスキャナ13と、画像データを印刷用紙上に固定するためのプリンタ14と、情報を表示したり当該MFP100に対する操作入力を受付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル15と、画像データをファイルとして保存するためのメモリ16と、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの記録媒体にアクセスしてそこからファイルを読み出したり書き込んだりするための記録媒体への通信を制御するためのメディアコントローラ17と、上記ネットワークを介した通信の制御のためのネットワークコントローラ18とを含む。
【0037】
操作パネル15は、図示しないタッチパネルと操作キー群とを含む。タッチパネルは、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成され、操作画面を表示して、その操作画面上の指示位置を特定する。CPU10は予め記憶されている画面表示をさせるためのデータに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。
【0038】
特定されたタッチパネル上での指示位置(タッチされた位置)や、押下されたキーを示す操作信号はCPU10に入力される。CPU10は押下されたキー、または表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
<携帯端末の構成>
図3は、携帯端末300のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0039】
図3を参照して、携帯端末300は、全体を制御するための演算装置であるCPU30と、CPU30で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM31と、CPU30でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM32と、画像データをファイルとして記憶したり他の情報を記憶したりするためのメモリ33と、情報を表示したり当該携帯端末300に対する操作入力を受付けたりするためのタッチパネルを含んだ操作パネル34と、図示しない基地局と通信することによる電話回線を介した通信を制御するための通信コントローラ35と、上記ネットワークを介した通信の制御のためのネットワークコントローラ36とを含む。
【0040】
操作パネル34は、MFP100の操作パネル15と同様の構成であってよい。すなわち、一例として、液晶表示装置などの表示装置と光学式タッチパネルや静電容量タッチパネルなどの位置指示装置とが重なって構成されたタッチパネルを含む。
【0041】
CPU30は予め記憶されている画面表示をさせるためのデータに基づいてタッチパネルに操作画面を表示させる。タッチパネルでは操作画面上の指示位置が特定され、その位置を示す操作信号がCPU30に入力される。CPU30は表示している操作画面と指示位置とから操作内容を特定し、それに基づいて処理を実行する。
【0042】
<サーバの構成>
図4は、サーバ500のハードウェア構成の具体例を示す図である。
【0043】
図4を参照して、サーバ500は上述のように一般的なコンピュータ等によって構成されるものであり、一例として、全体を制御するための演算装置であるCPU50と、CPU50で実行されるプログラムなどを記憶するためのROM51と、CPU50でプログラムを実行する際の作業領域として機能するためのRAM52と、ファイルなどを記憶するためのHD(Hard Disk)53と、上記ネットワークを介した通信の制御のためのネットワークコントローラ54とを含む。
【0044】
<動作概要>
本実施の形態にかかる画像形成システムにおいては、図5および図6に表わされた操作に応じて、MFP100から携帯端末300にファイルが移動される。一例として、ファイルの移動は、携帯端末300における操作時になされるものとする。
【0045】
図5および図6は、本実施の形態にかかる画像形成システムでの動作概要を表わした図である。ユーザはMFP100にログインし、自身に関連付けられた記憶領域などの指定された記憶領域に格納されているファイル一覧を操作パネル15に表示させる。図5では、操作パネル15にファイル一覧が表示された例が示されている。そして、ファイル一覧の中の移動対象のファイルを示すアイコン上で図5に表わされたような「つまむ」操作を行なうことで、当該ファイルが移動対象として特定される。その後、当該ユーザが自身の携帯端末300の操作パネル34に操作画面を表示させる。図6では、操作パネル34に操作画面が表示された例が示されている。そして、その上で図6に表わされたような「離す」操作を行なうことで、上記移動対象とされたファイルがMFP100から携帯端末300に移動する。
【0046】
図7は、「つまむ」操作を説明するための図である。図7を参照して、「つまむ」操作とは、たとえば2本の指などを用いて操作パネル15上の2点P1、P2を指定し、続いて、その位置から直線状または略直線状に指を近づけ、近づいた位置である2点P’1、P’2で2本の指を操作パネル15から離す操作を指す。
【0047】
CPU10は、操作パネル15上の2点P1、P2が同時に指示され、さらに、それぞれの位置から連続して直線状または略直線状に位置が変化し、元の2点間の間隔よりも短い間隔である2点P’1、P’2で両指定がほぼ同時に解除されたことが検出されると、「つまむ」操作がなされたと検出する。
【0048】
図8は、「離す」操作を説明するための図である。図8を参照して、「離す」操作とは、たとえば2本の指などを用いて操作パネル34上の2点Q1、Q2を指定し、続いて、その位置から直線状または略直線状に指を遠ざけ、ある程度離れた位置である2点Q’1、Q’2で2本の指を操作パネル34から離す操作を指す。
【0049】
CPU30は、操作パネル34上の2点Q1、Q2が同時に指示され、さらに、それぞれの位置から連続して直線状または略直線状に位置が変化し、元の2点間の間隔よりも長い間隔である2点Q’1、Q’2で両指定がほぼ同時に解除されたことが検出されると、「離す」操作がなされたと検出する。
【0050】
<機能構成>
本実施の形態にかかる画像形成システムにおいて動作概要に説明されたような動作を実現するための、各装置の機能構成を説明する。
【0051】
図9は、MFP100の機能構成の具体例を示すブロック図である。図9に示される各機能は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することで、主にCPU10に形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部の機能が図2に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0052】
図9を参照して、上記動作を実現するための機能としてMFP100は、操作パネル15での指示を示す操作信号の入力を受付けるための入力部101と、操作信号に基づいて上述のつまむ操作を検出するための検出部102と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいてつまむ操作で指定されたアイコンを特定するための特定部103と、操作パネル15での表示を実現する処理を実行するための表示処理部104と、メモリ16やメディアコントローラ17によってアクセスされる外部の記憶媒体に記憶されるファイルのうちの特定されたファイルを出力する処理を実行するためのファイル制御部105と、特定されたファイルをネットワークコントローラ18を介して指定された装置に対して出力するための出力部106と、ネットワークコントローラ18を介して他の装置からの上記ファイルの要求の入力を受付けるための要求入力部107とを含む。
【0053】
特定部103は、つまむ操作の最初に指定された2点(図7の2点P1、P2)と最後に指定された2点(図7の2点P’1、P’2)との少なくとも一方に基づいて定義される範囲に表示されるアイコンを、つまむ操作で指定されたアイコンとして特定する。
【0054】
特定部103での、つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法は特定の方法に限定されない。図18〜図22は、特定部103での、つまむ操作によって指定されるアイコンを特定する方法の具体例を説明するための図である。
【0055】
一例として特定部103は、図18に示されるように、最初に指定された2点P1、P2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その中に少なくとも一部が含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。または、図19に示されるように、最初に指定された2点P1、P2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その矩形内に完全に含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザは移動対象とするファイルを表わしたアイコンを挟むように2本の指を操作パネル15にタッチさせ、その状態からつまむ操作のための動作を行なうことで、意図するファイルを指定することができる。そのため、直感的に移動対象とするファイルを指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0056】
他の例として特定部103は、図20に示されるように、最後に指定された2点P’1、P’2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その中に少なくとも一部が含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。または、図21に示されるように、最後に指定された2点P’1、P’2を対角とする矩形をつまむ操作で定義される範囲と特定し、その矩形内に完全に含まれるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザは移動対象とするファイルを表わしたアイコンが最後に2本の指の間に挟まれるように、それよりも広く離して2本の指を操作パネル15にタッチさせた後に近づけることで、意図するファイルを指定することができる。そのため、直感的に移動対象とするファイルを指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0057】
他の例として特定部103は、図22に示されるように、最初に指定された2点P1、P2から最後に指定された2点P’1、P’2までを結ぶ2本の線をつまむ操作で定義される範囲と特定し、いずれかの線が重なるアイコンを指定されるアイコンとして特定してもよい。このように特定されることで、ユーザは移動対象とするファイルを表わしたアイコンをつまむように2本の指を移動させることで、意図するファイルを指定することができる。そのため、直感的に移動対象とするファイルを指定することができる。また、アイコン画像が小さい場合であっても、正確に指定することが可能となる。
【0058】
ファイル制御部105は、つまむ操作によって特定されたファイルを移動対象のファイルとして一時的に記憶する。この「一時的」な期間はたとえば24時間などと予め設定されており、その期間を経過しても後述するファイル要求が他の装置からなかった場合には、移動対象を解除するようにしてもよい。さらに、上記一時的な期間内にファイル要求がなかった場合には、CPU10は、移動対象の解除に替えて、または解除に加えて、移動が完了しなかった旨を表わす警告を操作パネル15に表示させてもよいし、その旨を表わすメッセージを移動対象のファイルに関連付けられたユーザに対応して記憶されている携帯端末300に対して送信してもよい。
【0059】
移動対象を解除する他の例として、上記一時的な期間内にファイル要求がなかった場合に替えて、またはファイル要求がなかった場合に加えて、移動対象として指定されたファイルのアイコンが表示されていたフォルダに対する再度のつまむ操作を検出することで、ファイル制御部105は、当該ファイルについて移動対象を解除するようにしてもよい。
【0060】
なお、図9には示されていないものの、MFP100は、予めユーザ情報を記憶しておき、入力部101で操作パネル15でのログイン操作に基づく操作信号の入力を受付けて、該操作信号とユーザ情報とに基づいてユーザ認証を行なうための機能をさらに備える。そして、ファイル制御部105は、移動対象のファイルをログインユーザを特定する情報と関連付けて記憶する。要求入力部107で受付けた携帯端末300からのファイル要求には、後述するように、当該携帯端末300のユーザ名やログイン情報や携帯端末300固有の識別情報などのユーザを特定する情報が含まれる。ファイル制御部105は、ログイン情報または上記ユーザを特定する情報を予め記憶しておき、ファイル要求に含まれる情報によって特定されるユーザが移動対象のファイルに関連付けられたユーザと一致するか否かを認証した上で、一致した場合に当該移動対象のファイルを送信する処理を実行する。
【0061】
図10は、携帯端末300の機能構成の具体例を示すブロック図である。図10に示される各機能は、CPU30がROM31に記憶されるプログラムを読み出してRAM32上で実行することで、主にCPU30に形成される機能である。しかしながら、少なくとも一部の機能が図3に示されたハードウェア構成によって形成されてもよい。
【0062】
図10を参照して、上記動作を実現するための機能として携帯端末300は、操作パネル34での指示を示す操作信号の入力を受付けるための入力部301と、操作信号に基づいて上述の離す操作を検出するための検出部302と、操作信号で表わされた指定された位置に基づいて離す操作で指定された位置を特定し、その位置で表わされたメモリ33上の格納場所を特定するための特定部303と、検出された離す操作に基づいて予め記憶されているMFP100のネットワーク上のアドレスに対してネットワークコントローラ36を介してファイル要求を出力するための要求出力部305と、上記要求に応じてMFP100から出力されたファイルをネットワークコントローラ36を介して受信するためのファイル入力部306と、入力されたファイルを特定された格納場所に格納する処理を実行するための格納部304とを含む。
【0063】
特定部303は、離す操作の最初に指定された2点(図8の2点Q1、Q2)と最後に指定された2点(図8の2点Q’1、Q’2)との少なくとも一方に基づいて定義される範囲に表示されるフォルダを、離す操作で指定された、格納場所とするフォルダとして特定する。特定部303での、離す操作によって指定される格納場所を特定する方法は特定の方法に限定されない。その方法として、図18〜図22を用いて説明された、つまむ操作での特定方法と同様の特定方法が挙げられる。
【0064】
ただし、離す操作で格納場所を1箇所のみ特定する場合であって、定義された範囲に複数のフォルダが表示されている場合、たとえば、指定された2点(図8の2点Q1、Q2)から最も近い位置に表示されたフォルダとしてもよい。または、離す操作で図18〜図22と同じような特定方法で格納場所として複数のフォルダが特定された場合、そのいずれも格納場所として特定してもよい。この場合、格納部304は、特定された格納場所の数だけ移動対象のファイルをコピーし、それぞれの格納場所に格納するようにしてもよい。
【0065】
要求出力部305は、予め当該携帯端末300に関連付けられているユーザを特定する情報として、後述するように、当該携帯端末300のユーザ名やログイン情報や携帯端末300固有の識別情報などを記憶しておき、ユーザを特定する情報と共にファイル要求をMFP100に対して出力する。
【0066】
<MFPでの動作フロー>
図11は、MFP100での、移動対象のファイルを特定するための動作の具体例を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示される動作は、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することによって実現される。
【0067】
図11を参照して、ステップS101でCPU10はログイン操作を受付けることでログイン処理を実行する。その後、操作パネル15に表示されたファイル一覧上でのつまむ操作があったことが検出されると(ステップS103でYES)、ステップS105でCPU10はその操作で指定されたファイルを特定し、ステップS107で特定されたファイルを、ステップS101でのログイン処理で特定されたログインユーザの識別情報と関連付けて、移動対象のファイルの情報として一時的に記憶する。
【0068】
このとき好ましくはCPU10は、上記つまむ操作の開始を検出した時点で、操作パネル15のタッチされた2点の間に表示されているアイコンの形状を変化させる。図16は、つまむ操作に伴うアイコンの変化の具体例を示す図である。図16を参照して、CPU10は、つまむ操作の開始を検出すると、操作パネル15のタッチされた2点の間に表示されているアイコンの形状を、上記2点の移動方向(スライド方向)に縮めるよう変化させる。これは、予め記憶されているアイコンの画像データをスライド方向に徐々に圧縮することで実現されてもよいし、予め複数種類の画像データを記憶しておき、その画像データを順に表示させることで実現されてもよい。
【0069】
このようにアイコンを表示させることで、つまむ操作によって移動対象のファイルとして特定されたことが直感的に示されることになる。
【0070】
以上の動作はログアウト操作が検出されるまで繰り返される(ステップS109でNO)。そのため、ログアウト操作が検出されるまで複数回上記動作が行なわれることによって、複数のファイルが移動対象のファイルとして特定されてもよい。また、つまむ操作がフォルダに対してなされることや、複数のファイルに対してなされることに対応して、複数のファイルが移動対象のファイルとして特定されてもよい。
【0071】
そして、ログアウト操作が検出されると(ステップS109でYES)、ステップS111でCPU10はログアウト処理を実行し、一連の、移動対象のファイルを特定する処理を終了する。
【0072】
図12は、MFP100での、移動対象のファイルを出力するための動作の具体例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示される動作もまた、CPU10がROM11に記憶されるプログラムを読み出してRAM12上で実行することによって実現される。
【0073】
図12を参照して、CPU10は携帯端末300からファイル要求を受信すると(ステップS301でYES)、図11の動作で移動対象のファイルとして一時的に記憶されたファイルに関連付けられたユーザと、上記要求に含まれる情報で特定されるユーザとが一致するか否かを認証する。そして一致した場合(ステップS303でYES)、ステップS305でCPU10は、一時的に記憶されている移動対象のファイルを要求元である携帯端末300に対して出力する。まだ出力されていない移動対象のファイルが記憶されている場合(ステップS307でYES)、CPU10は以上の処理を繰り返す。これにより、複数のファイルが移動対象のファイルとして特定された場合であっても、それらが携帯端末300に移動されることになる。
【0074】
そして、当該ユーザに関連付けられて記憶されているすべての移動対象のファイルが出力されると(ステップS307でNO)、CPU10は一連の、移動対象のファイルを出力する処理を終了する。
【0075】
<携帯端末での動作フロー>
図13は、携帯端末300での、移動対象のファイルを取得して格納するための動作の具体例を示すフローチャートである。図13のフローチャートに示される動作は、CPU30がROM31に記憶されるプログラムを読み出してRAM32上で実行することによって実現される。
【0076】
図13を参照して、CPU30は操作パネル34に表示された操作画面上での離す操作があったことが検出されると(ステップS201でYES)、ステップS203でCPU30は、操作画面上の離す操作がなされた位置を特定することで、取得したファイルの格納場所であるフォルダを特定する。
【0077】
その後、ステップS205でCPU30は、予め記憶されているMFP100のネットワーク上のアドレスを用いてMFP100にアクセスし、移動対象のファイルを要求する。図14は、ステップS205で携帯端末300からMFP100に対して送信されるファイル要求のデータ構成の具体例を示す図である。ステップS205でCPU30は、ユーザを特定する情報の一例として、予め記憶している当該携帯端末300のユーザ名とパスワードと携帯端末300固有の識別情報とを送信する。ユーザを特定する情報は、これらのうちの少なくとも一つであってもよい。また、パスワードは、MFP100に対する当該ユーザのログイン情報に含まれるパスワードであってもよいし、異なるものであってもよい。
【0078】
上記要求に応じてMFP100から移動対象とされていたファイルが送信されると、CPU30はステップS207で受信し、上記ステップS203で特定されたフォルダに格納して、一連の動作を終了する。
【0079】
このとき好ましくはCPU30は、上記離す操作の開始を検出した時点でMFP100に対してファイル要求を行なってファイルを取得し、そのファイルを表わすアイコンを操作パネル34上での離す操作に連動させて形状を変化させながら表示させる。図17は、離す操作に伴うアイコンの変化の具体例を示す図である。図17を参照して、CPU30は、離す操作の開始を検出するとMFP100からファイルを取得し、操作パネル34のタッチされた2点の間に当該ファイルを表わすアイコンを、その形状をタッチされた2点の方向に縮めて表示させる。そして、上記2点の移動方向(スライド方向)に伸張するよう変化させる。これは、予め記憶されているアイコンの画像データをスライド方向に徐々に伸張することで実現されてもよいし、予め複数種類の画像データを記憶しておき、その画像データを順に表示させることで実現されてもよい。
【0080】
より好ましくはCPU30は、図17に示されるように、アイコンと共に、当該ファイルを移動対象のファイルとして特定した際の日時やユーザ名などの情報も表示させる。これを実現するために、MFP100では移動対象のファイルを、ユーザを特定する情報および特定した際の日時などの情報と共に一時的に記憶し、その情報と共に移動対象のファイルを携帯端末300に対して出力する。
【0081】
このようにアイコンを表示させることで、離す操作によって移動対象のファイルが取得され、特定されたフォルダに格納されたことが直感的に示されることになる。
【0082】
<実施の形態の効果>
図15は、本実施の形態にかかる画像形成システムでのファイルの移動の流れを表わしたシーケンス図である。以上の動作がMFP100および携帯端末300で行なわれることで、図15に示される動作が実現される。
【0083】
図15を参照して、ユーザがMFP100のファイル一覧の画面に対してつまむ操作を行なうことで対象のファイルが移動対象のファイルとして特定される。その後、携帯端末300の操作画面においてユーザが離す操作を行なうことで、当該ユーザのログイン情報や携帯端末300の識別情報などのユーザを特定し得る情報と共にファイル要求が携帯端末300からMFP100に対してなされる。MFP100ではその情報を用いて移動対象のファイルを指定したユーザと認証されると、特定された移動対象のファイルを携帯端末300に対して出力する。携帯端末300では、このファイルを受信すると、上記離す操作によって特定されたフォルダに格納される。
【0084】
これによって、ユーザは移動元のMFP100において対象のファイルをつまみ、移動先の携帯端末300において格納場所で離すという、直感的かつ容易な操作によってファイルをMFP100から携帯端末300に移動させることが可能になる。
【0085】
<変形例1>
以上の説明では、MFP100でつまむ操作が検出されると移動対象のファイルが特定され、携帯端末300上で離す操作が検出された時点で移動対象のファイルがMFP100から携帯端末300に移動されるとしている。
【0086】
しかしながら、移動のタイミングはこのタイミングに限定されない。他の例として、MFP100においてつまむ操作が検出された時点で移動対象のファイルが特定され、さらに、その操作を行なったユーザに予め関連付けて記憶されている携帯端末300に対して当該ファイルが出力されてもよい。このとき、好ましくは、MFP100のCPU10はメモリ16または装着された外部の記憶装置に記憶されている移動対象のファイルをコピーし、コピーしたファイルを携帯端末300に出力する。
【0087】
この場合、携帯端末300のCPU30はMFP100から送信されたファイルを受信し、予め設定されている格納場所に一時的に記憶させる。この際、好ましくは、以降の離す操作が検出されるまで当該ファイルを表わすアイコンなどが表示されないようにする。そして、携帯端末300において離す操作が検出されると、一時的に記憶されているファイルが当該操作によって指定されたフォルダに格納され、そのファイルを表わすアイコンが表示される。さらにこのときCPU30は、MFP100に対してファイル要求がなされたことを示す信号を出力する。これを受信したMFP100のCPU10は、自身のメモリ16または装着された外部の記憶装置から移動対象のファイルを削除する。
【0088】
また、この「一時的」な期間はたとえば24時間などと予め設定されており、その期間を経過しても携帯端末300において離す操作が検出されなかった場合には、携帯端末300のCPU30は、一時的に記憶された移動対象のファイルを削除すると共に、その旨をMFP100に対して通知する。さらに、この通知に対して、CPU10は、移動が完了しなかった旨を表わす警告を操作パネル15に表示させてもよいし、その旨を表わすメッセージを携帯端末300に対して送信してもよい。
【0089】
<変形例2>
以上の例では、MFP100から携帯端末300に対して直接移動対象のファイルが出力されるものとしている。しかしながら、他の例として、図1に示されたサーバ500を介してファイルが出力されてもよい。
【0090】
この場合、図9に示されたMFP100の機能構成のうちの少なくとも一部がサーバ500に含まれてもよい。一例として、ファイル制御部105および要求入力部107がサーバ500に含まれてよい。
【0091】
このとき、MFP100は移動対象のファイルとして特定されたファイルを、その操作を行なったユーザ(ログインユーザ)を特定する情報と共にサーバ500に出力する。サーバ500に含まれるファイル制御部105は、MFP100から受信した移動対象のファイルをユーザを特定する情報と共に一時的に記憶する。
【0092】
携帯端末300はつまむ操作を検出すると、予め記憶されているネットワーク上のアドレスを用いてサーバ500にアクセスし、上述のユーザを特定する情報と共にファイル要求を行なう。サーバ500に含まれるファイル制御部105は、ファイル要求に含まれる情報から特定されるユーザが移動対象のファイルに関連付けられたユーザに一致するか否かを認証した上で、一致した場合に、当該移動対象のファイルを携帯端末300に送信する処理を実行する。
【0093】
なお、以上の説明では、一例として、MFP100から携帯端末300に対してファイルが移動する処理を説明している。上述の説明においてMFP100と携帯端末300とを逆にすることで、携帯端末300からMFP100に対して同様にしてファイルが移動する。すなわち、携帯端末300の操作パネル34に表示されたファイル一覧上でのつまむ操作によって移動対象のファイルを特定し、MFP100の操作パネル15に表示された操作画面上での離す操作によって移動対象のファイルが要求され、特定されたフォルダに該ファイルが格納される。つまり、この場合も、直感的かつ容易な操作によってファイルを携帯端末300からMFP100に移動させることが可能になる。
【0094】
さらに、上述のMFP100での動作、および携帯端末300での動作を行なわせるためのプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM、RAMおよびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0095】
なお、本発明にかかるプログラムは、コンピュータのオペレーティングシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0096】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0097】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0098】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0099】
10,30,50 CPU、11,31,51 ROM、12,32,52 RAM、13 スキャナ、14 プリンタ、15,34 操作パネル、16,33 メモリ、17 メディアコントローラ、18,36,54 ネットワークコントローラ、35 通信コントローラ、100 MFP、101,301 入力部、102,302 検出部、103,303 特定部、104 表示処理部、105 ファイル制御部、106 出力部、107 要求入力部、300 携帯端末、304 格納部、305 要求出力部、306 ファイル入力部、500 サーバ、700 アクセスポイント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルと、
前記タッチパネルに接続された制御手段と、
データファイルを記憶するための記憶手段と、
他の装置と通信するための通信手段とを備え、
前記制御手段は、
前記タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、
前記タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第1の特定手段と、
前記通信手段で受信した前記他の装置からのファイルの移動の要求に応じて、前記移動対象のファイルを前記他の装置に移動するための移動手段とを含む、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、ユーザ情報を用いてユーザ認証を行なうための認証手段をさらに含み、
前記第1の特定手段は、前記移動対象のファイルを前記第1の操作を行なったユーザに関連付け、
前記移動手段は、前記要求に含まれる情報で特定されるユーザが前記移動対象のファイルに関連付けられたユーザに一致する場合に、前記移動対象のファイルを前記他の装置に移動する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記移動手段は、前記第1の操作の後の前記要求に応じて、前記他の装置に対して前記移動対象のファイルを出力することで、前記移動対象のファイルを前記他の装置に移動する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記移動手段は予め前記移動対象のファイルの移動先である前記他の装置を記憶しておき、前記第1の操作の後であって前記要求よりも前に前記移動対象のファイルを前記他の装置に対して出力することで、前記移動対象のファイルを前記他の装置に移動する、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記移動手段は、前記移動対象のファイルを複製して前記複製した移動対象のファイルを前記他の装置に対して出力し、前記他の装置からの前記要求に応じて、前記移動対象のファイルを前記記憶手段から削除する、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第1の特定手段は、前記移動対象のファイルの特定の後から所定期間内に前記要求がなされないときに、前記移動対象の特定を解除する、請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第1の特定手段は、前記検出手段によって、前記移動対象のファイルが格納されている格納場所を表わすフォルダを示す前記タッチパネル上で、2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、前記移動対象の特定を解除する、請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記移動対象のファイルの特定の後から所定期間内に前記要求がなされないときに、その旨の警告を出力するための出力手段をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記第1の特定手段は、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された複数のアイコンで表わされる複数のファイルを移動対象のファイルとして特定する、請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記第1の特定手段は、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲にフォルダを表わすアイコンが表示されているときに、前記フォルダに格納される前記複数のファイルを移動対象のファイルとして特定する、請求項1〜9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記表示処理手段は、前記検出手段によって前記第1の操作が検出されると、前記タッチ位置の移動に伴って、前記タッチ位置の間に表示されたアイコンの形状を変化させる、請求項1〜10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第2の特定手段と、
前記検出手段によって前記第2の操作が検出されると前記他の装置に対してファイルの移動を要求するための要求手段と、
前記他の装置から送信されたファイルを前記格納場所に格納するための格納手段とをさらに含む、請求項1〜11のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項13】
タッチパネルと、
前記タッチパネルに接続された制御手段と、
画像形成装置と通信するための通信手段とを備え、
前記制御手段は、
前記タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第1の特定手段と、
前記検出手段によって前記第1の操作が検出されると前記画像形成装置に対してファイルの移動を要求するための要求手段と、
前記画像形成装置から送信された前記移動対象のファイルを前記格納場所に格納するための格納手段とを含む、端末装置。
【請求項14】
前記要求手段は、前記要求と共に予め記憶されているユーザを特定する情報を前記画像形成装置に対して送信する、請求項13に記載の端末装置。
【請求項15】
前記要求は、前記第1の操作が検出されたことを示す情報を含む、請求項13または14に記載の端末装置。
【請求項16】
前記制御手段は、前記タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段をさらに含み、
前記表示処理手段は、前記検出手段によって前記第1の操作が検出されると、前記タッチ位置の間に前記画像形成装置から送信された前記移動対象のファイルを表わすアイコンを表示させ、前記タッチ位置の移動に伴って表示されたアイコンの形状を変化させる、請求項13〜15のいずれかに記載の端末装置。
【請求項17】
前記画像形成装置から送信された前記移動対象のファイルには前記画像形成装置において前記移動対象のファイルが特定された際の情報が関連付けられており、
前記表示処理手段は、前記アイコンと共に、前記画像形成装置において前記移動対象のファイルが特定された際の情報を表示させる、請求項16に記載の端末装置。
【請求項18】
前記制御手段は、
前記タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第2の特定手段と、
前記通信手段で受信した前記画像形成装置からの要求に応じて、前記移動対象のファイルを前記画像形成装置に移動するための移動手段とを含む、請求項13〜17のいずれかに記載の端末装置。
【請求項19】
画像形成装置と端末装置とを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置および前記端末装置は、各々、タッチパネルおよび前記タッチパネルに接続された制御手段を含み、
前記画像形成装置と前記端末装置とのうちの第1の装置の前記制御手段は、
前記タッチパネルにファイルを示すアイコンを表示させるための表示処理手段と、
前記タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するための第1の特定手段と、
前記画像形成装置と前記端末装置とのうちの第2の装置からの要求に応じて、前記移動対象のファイルを前記第2の装置に移動するための移動手段とを含み、
前記第2の装置の前記制御手段は、
前記タッチパネル上での操作を検出するための検出手段と、
前記検出手段によって、前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第2の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するための第2の特定手段と、
前記検出手段によって前記第2の操作が検出されるとファイルの移動を要求するための要求手段と、
前記第2の装置から送信された前記移動対象のファイルを前記格納場所に格納するための格納手段とを含む、画像形成システム。
【請求項20】
サーバをさらに備え、
前記移動手段は、前記第1の装置から前記移動対象のファイルを前記サーバに送信して記憶させ、
前記要求手段は前記サーバに対してファイルの移動を要求し、
前記移動手段は、前記要求に応じて、前記記憶された前記移動対象のファイルを前記第2の装置に対して出力する、請求項19に記載の画像形成システム。
【請求項21】
タッチパネルを有する画像形成装置に、記憶されるファイルを他の装置に移動する処理を実行させるための制御プログラムであって、
前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が短くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する操作を検出するステップと、
前記操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示されたアイコンで表わされるファイルを移動対象のファイルとして特定するステップと、
前記他の装置からのファイルの移動の要求に応じて、前記移動対象のファイルを前記他の装置に移動するステップとを前記画像形成装置に実行させる、制御プログラム。
【請求項22】
タッチパネルを有する端末装置に、画像形成装置に記憶されるファイルを前記端末装置に移動する処理を実行させるための制御プログラムであって、
前記タッチパネル上で2点がタッチされた後に連続して前記2点のタッチ位置がその間隔が長くなる方向に移動し、その後、前記移動後の前記2点のタッチを解除する操作を検出するステップと、
前記操作が検出されると、前記移動後の前記2点のタッチを解除する第1の操作が検出されると、前記移動前と前記移動後との少なくとも一方の前記2点のタッチ位置で定義される範囲に表示された格納場所を移動対象のファイルの格納場所として特定するステップと、
前記検出するステップにおいて前記操作が検出されると前記画像形成装置に対してファイルの移動を要求するステップと、
前記画像形成装置から送信された前記移動対象のファイルを受信するステップと、
前記移動対象のファイルを前記格納場所に格納するステップとを前記端末装置に実行させる、制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−143963(P2012−143963A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3882(P2011−3882)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】