説明

画像形成装置および画像形成システム

【課題】操作のための表示に適用される表示言語をユーザが選択する操作の操作性を高める。
【解決手段】ネットワークを介して受信したプリントジョブを実行する画像形成装置は、受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、抽出された表示言語情報をプリントジョブに関連付けて記憶する記憶手段と、ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成システム、操作支援方法および画像形成装置のためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
OA(Office Automation)機器と呼ばれるビジネスユースの情報機器の一つに複合機がある。近年の複合機は、画像形成装置としての基本機能であるコピーやプリントに加えて、イメージ入力、ファクシミリ通信、メール送受、およびドキュメントの保存などに利用可能な多機能周辺機器(MFP:Multifunction Peripherals)として知られている。一般に、複合機はネットワークに接続され、クライアントとしての複数の情報処理装置から与えられるジョブを実行する。
【0003】
複合機の操作パネルは、複数の操作画面を選択的に表示するためのディスプレイを有する。複数の操作画面は階層化され、ユーザの使い勝手が良いように各操作画面に配置する操作キーおよび各操作画面の階層順位が選定されている。操作の項目は大中小というように体系的に分類され、大項目の選択や指定のための操作画面が階層の上位に配置され、より小さい項目の選択や指定のための操作画面がより下位に配置される。そして、操作画面の表示は上位から下位へと切り替えられる。ユーザは、上位の操作画面で適切に操作することにより、所望の下位の操作画面を表示させることができる。
【0004】
複合機を含む情報機器に中には、操作画面における表示に用いられる言語をユーザが複数の言語から選択できるように構成されたものがある。言語選択のための操作画面が用意され、この言語選択画面でのユーザによる操作に応じて言語が切り替わる。この言語を切り替える機能は、理解し得る言語の異なる複数のユーザが情報機器を共同使用する使用環境において有用である。使用するときはいつも母国語に切り替えるユーザもいれば、詳細設定のような不慣れな操作を行うときだけ母国語での表示を望むユーザもいる。
【0005】
操作パネルの表示言語の切り替えに係わるユーザの負担を軽減する先行技術がある。特許文献1および2は、クライアントが画像形成装置に送るプリントジョブに表示言語を指定する情報を付加する技術を開示する。特許文献3には、操作パネルに複数の言語を表示するためにスクロールボタンを配置することが記載されている。特許文献4は、プリントジョブに表示言語情報とユーザ情報とを付加し、画像形成装置でユーザ認証が行われたときに表示言語を切り換える技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−50701号公報
【特許文献2】特開2004−318427号公報
【特許文献3】特開2005−842945号公報
【特許文献4】特開2006−248151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ネットワークに接続された画像形成装置の使い方として、ユーザがクライアント(情報処理装置)から画像形成装置へプリントジョブを送り、直ぐには実行させずに記憶させておく形態がある。ユーザが画像形成装置の設置場所へ出向いて操作パネルでジョブの実行を指示すると、画像形成装置がプリントジョブを実行する。
【0008】
このような使い方で画像形成装置が使用される状況において、上記特許文献1および2の技術のようにプリントジョブを受信した時点で表示言語を切り替えると、あるユーザが操作をしているにもかかわらず、ネットワークを介して新たなプリントジョブを受信した時点で表示が切り替わるので、操作をユーザが困惑してしまうおそれがある。誰かが操作をしているときには表示言語を切り替えないことにすると、第1のユーザが操作をしているときに新たなプリントジョブを送った第2のユーザが操作するときに表示言語が切り替わっていないことに困惑するおそれがある。
【0009】
また、特許文献3に記載された技術では、マルチジョブ時に複数のメッセージ言語を同時に表示させることが可能であるが、ユーザが操作している間に新たなプリントジョブを受信した時点で複数のメッセージが表示されると、操作中のユーザにとっては表示が見づらくなって操作しにくくなる。
【0010】
さらに、特許文献4に記載された技術では、適用可能な画像形成装置がユーザ認証を行うものに限られる。画像形成装置のもつ機能の全部または一部をユーザ認証なしに利用可能な場合には、表示言語の自動的な切り替えは行われないことになる。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑み、操作のための表示に適用される表示言語をユーザが選択する操作の操作性を高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する画像形成装置は、ネットワークを介して受信したプリントジョブを実行する画像形成装置であって、受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、抽出された表示言語情報をプリントジョブに関連付けて記憶する記憶手段と、前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段と、を備える。
【0013】
上記目的を達成する画像形成システムは、プリントジョブを実行する画像形成装置とネットワークを介して前記画像形成装置にジョブを与える装置であるクライアントとを備える。画像形成装置は、受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、抽出された表示言語情報をプリントジョブに関連付けて記憶する記憶手段と、前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段と、を備える。クライアントは、前記画像形成装置に与えるプリントジョブに付加する表示言語情報を生成する表示言語情報生成部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作のための表示に適用される表示言語をユーザが選択する操作の操作性を高めることができる。ユーザが操作をしているときにプリントジョブを受信してもその時点では表示言語が切り替わらないので、意図しない表示言語の切り替えによってユーザが困惑することがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の一例を示す外観図である。
【図3】画像形成装置におけるハードウェア構成の一例を示す図である。
【図4】画像形成システムの機能構成を示すブロック図である。
【図5】クライアントにおいて実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。
【図6】クライアントにおいて表示されるプリント画面の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態の画像形成装置における受信したジョブを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【図8】ジョブリストを有した操作画面の一例を示す図である。
【図9】ジョブリストを有した操作画面の一例を示す図である。
【図10】第2実施形態の画像形成装置における受信したジョブを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【図11】ジョブリストを有していない操作画面の一例を示す図である。
【図12】ジョブリストを有した操作画面の一例を示す図である。
【図13】第3実施形態の画像形成装置における受信したジョブを実行する際の動作を示すフローチャートである。
【図14】言語グループ選択肢を表示するジョブリストを有した操作画面の一例を示す図である。
【図15】言語グループ選択肢を表示するジョブリストを有した操作画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に図面を参照して三つの実施形態を順に説明する。これら実施形態における共通する事項についての繰り返しとなる説明を省略する。複数の図のそれぞれに描かれた構成要素のうち同一または互いに対応する構成要素には同一の符号が付されている。
〔第1実施形態〕
図1に例示される画像形成システム1は、用紙に画像をプリントする画像形成装置2と、画像形成装置2にプリントジョブを与えるクライアント5とを備える。画像形成装置2は例えば複合機である。複合機はMFPとも呼ばれる多機能の情報機器であり、基本機能であるコピーおよびネントワークプリンティングに加えて、イメージ入力・ファクシミリ通信・メール送受・ドキュメントの保存などの種々の機能を有する。クライアント5は、パーソナルコンピュータに代表される情報処理装置である。クライアント5は、電子データ化された文書や画像などのドキュメントを記憶するストレージとしてのハードディスクドライブ3を備える。画像形成装置2およびクライアント5は、有線または無線の通信路を含むネットワーク4を介した相互のアクセスおよび相互のデータ交換が可能である。
【0017】
図2のように画像形成装置2は、原稿搬送部21、スキャナ部22、プリンタ部23および給紙部24を備える。これら四つの部分は積み重なるように配置され、タワー状の外観を形成する。最も上の部分である原稿搬送部21はユーザがセットした原稿を1枚ずつ下方のスキャナ部22に自動搬送する。スキャナ部22は、原稿に記録された文字、記号、画像などの情報を光学的に読み取る。スキャナ部22の下方に配置されたプリンタ部23は、コピー、ネットワークプリンティングまたはファクシミリ受信といったジョブの実行に際して、給紙部24から供給される用紙上に画像を形成する。画像の形成された用紙はプリント出力として排出口23aから排出される。最も下の部分である給紙部24は、多段式の用紙ストッカを備え、ジョブの指定に応じたサイズの用紙を選択的にプリンタ部23に供給する。
【0018】
このような画像形成装置2に対して、ユーザは直接の操作によって所望のジョブを実行させることができる。操作のためのマンマシンインタフェースとして、表示部25および操作部28がスキャナ部22の前側に配置されている。表示部25は操作画面を表示するためのディスプレイとしてLCD(Liquid Crystal Display)を有し、ユーザに対してジョブに関する情報やその他の情報を表示する。操作部28は、表示部25のディスプレイの前面に重ねられたタッチパネル26とディスプレイの周囲に配置された操作ボタン群27とを有する。
【0019】
図3のように画像形成装置2は、上述した要素の他に、制御に係わる電気回路を構成する要素として、CPU(Central Processing Unit)10、ROM(Read-Only Memory)11、RAM(Random Access Memory)12、記憶部13および通信インタフェース14を備えている。CPU10は、ROM11に格納されるプログラムを読み出して実行することにより、画像形成機能を実現するとともに、表示部25が表示する操作画面の表示言語を切り換える機能を実現する。記憶部13は、ハードディスクドライブや半導体メモリといった記憶デバイスとそれにアクセスするための回路を備えるデータ記憶手段である。この記憶部13に、プリントジョブ情報15、表示言語情報16および表示可能言語情報17が記憶される。
【0020】
プリントジョブ情報15は、画像形成装置2に与えられたプリントジョブに関する情報である。プリントジョブ情報15には、例えばプリント出力の部数情報、仕分け(ソート)情報、両面プリント指定情報などが含まれる。
【0021】
表示言語情報16は、画像形成装置2がネットワーク4を介してクライアント5からプリントジョブを受信する場合に、プリントジョブと共に受信する情報である。表示言語情報16はクライアント5が使用している言語を示す。本実施形態において表示言語情報16が示す言語には、英語およびドイツ語が含まれる。
【0022】
表示可能言語情報17は、画像形成装置2が表示部25において表示可能な言語を示す情報である。ユーザは操作部28において所定の切換え操作を行うことにより、表示可能言語情報17の示す言語のいずれかを操作画面の表示言語として選択することができる。本実施形態では、英語やドイツ語といった表示可能な言語で表わされるメッセージ情報が表示可能言語情報17に含まれる。
【0023】
通信インタフェース14は、ネットワーク4を介してクライアント5または他の情報処理装置とデータ通信を行ったり、電話回線を通じてファクシミリ送受信を行ったりするための手段である。通信インタフェース14としては、例えばネットワークインタフェースカード(NIC)、モデム、ターミナルアダプタ(TA)、無線通信ユニットなどが用いられる。
【0024】
なお、画像形成装置2では、ROM11に記憶されるプログラムを、ネットワーク4またはインターネットを介して外部の装置からダウンロードすることによって、最新バージョンのプログラムに更新することができるように構成されている。
【0025】
図4は画像形成システム1の機能構成を示す。
【0026】
画像形成装置2において、CPU10はプログラムを実行することにより、ジョブ管理部32およびジョブ実行部33として機能する。
【0027】
ジョブ管理部32は、プリントジョブ情報15から実行するプリントジョブを読み出してそのプリントジョブをジョブ実行部33に実行させ、実行が終了したプリントジョブをジョブ履歴として管理する。ジョブ管理部32は、プリントジョブ登録部34とジョブ指定部35とジョブ制御部37とを有する。プリントジョブ登録部34はネットワーク4を介して受信したプリントジョブをプリントジョブ情報15に登録する。ジョブ指定部35は、プリントジョブ情報15に記憶されている複数のプリントジョブのうちから一つのプリントジョブを指定する。ジョブ制御部37はプリントジョブ実行部33にプリントジョブを投入してプリントジョブを実行させる。
【0028】
ジョブ実行部33は、ジョブ制御部37から与えられたプリントジョブを実行する機能要素である。プリントジョブを受けて、ジョブ実行部33は、原稿搬送部21、スキャナ部22、給紙部23またはプリンタ部24の駆動制御をする。
【0029】
一方、クライアント5は、通信インタフェース51、CPU52、表示部53および操作部54とを備えている。通信インタフェース51はネットワーク4を介して画像形成装置2とデータ通信するための手段である。CPU52は制御プログラムやアプリケーションプログラムを実行して情報処理装置としての各種機能を実現する。そして、CPU52は、クライアント5のユーザがキーボードやマウスを有した操作部54によってプリント指示を入力した場合には、プリンタドライバ(ソフトウェア)を実行することによってジョブ生成部55、表示言語情報生成部56およびジョブ送信部57として機能する。
【0030】
例えばユーザがハードディスクドライブ3に格納された多数のファイルの中からプリントするファイル(元データ)を選択してプリント指示を与えると、表示言語情報生成部57がクライアント5において使用されている言語の情報を取得して表示言語情報を生成する。ジョブ生成部55がプリント対象の元データに基づいてジョブを生成し、ジョブ送信部57が画像形成装置2にジョブを送信する。このとき、表示言語情報生成部57で生成された表示言語情報を、ネットワーク4を介して画像形成装置2に送信する。プリントジョブと表示言語情報とを例えば一連の情報として送信することにより、画像形成装置2において受信されるプリントジョブと表示言語情報との対応関係が識別可能となる。
【0031】
このようにジョブを画像形成装置2に与える場合にクライアント5においてCPU52の実行する処理が図5に示される。ユーザによるファイル指定を待つ状態、例えばクライアント5がハードディスクドライブ3に格納されたファイルのファイル名を表示部53にて一覧表示している状態で、ユーザが操作部54を操作してファイルを指定したとする。CPU52はこの指示操作を受け付け(#101)、ユーザがファイルのプリントに係わるプリント画面を表示させる指示をしたか否かをチェックする(#102)。プリント画面の表示指示があった場合(ステップ#102でYES)、表示言語情報生成部57がクライアント5の使用する言語の情報を取得して表示言語情報を生成し(#103)、プリント画面に表示言語情報を表示する(#104)。そして、クライアント5は、プリント画面を表示した状態でボタン操作が行われるのを待つ(#105)。図6はクライアント5が表示するプリント画面Q1の一例を示す。プリント画面Q1の表示言語再設定ボタンB2はユーザが表示言語情報を変更するためのリストボックス形式の操作ボタンである。プリント画面Q1の下部に配置された印刷ボタンB1をユーザがマウスまたはキーボードで操作すると、その時点のジョブ情報に基づくプリントジョブが画像形成装置2に送られるようになっている。
【0032】
プリント画面Q1での操作に応じた処理が行われる。表示言語再設定ボタンB2が操作された場合には、CPU52はステップ#106からステップ#107へ進み、表示言語再設定処理を行ってステップ#105に戻る。ユーザが印刷ボタンB1を操作した場合には、ジョブ生成部55がプリントジョブを生成する(#108)。続いて、ジョブ送信部57がプリントジョブと表示言語情報とを画像形成装置2に送信し(#109)、図5の処理を終了する。これに対して、ユーザがプリント画面Q1に表示されるキャンセルボタンB21を操作した場合は、ジョブ生成部55はプリントジョブを生成せずに図5の処理を終了する。
【0033】
なお、プリントジョブの送信に際してプリント画面Q1が表示されない場合もある。例えば、印刷指示操作として、画像形成装置のプリンタアイコンに対してファイルをドラッグアンドドロップする操作がある。この操作が行われた場合、CPU52はプリント画面Q1を表示せずに、プリントジョブと共に表示言語情報を画像形成装置2に送信する。この場合においてユーザは当然ながらプリント画面Q1による表示言語情報の再設定をすることができない。
【0034】
一方、画像形成装置2はネットワーク4を介してクライアント5からのジョブを受ける。ジョブは通信インタフェース14からジョブ登録部34へ引き渡される。プリントジョブと共に表示言語情報を受信した場合には、ジョブ登録部34が受信データから表示言語情報を抽出し、表示可能言語情報17に基づいて表示言語情報を書き換えるか否かの判断を行う。そして、表示言語情報16を記憶部13のプリントジョブ情報15に関連付けてて登録する。この関連づけにより、画像形成装置2においてプリントジョブ情報15に登録された複数のジョブの中から一つのジョブを選択する際に、表示言語情報16に基づいて表示部25で表示される言語を切り換えることが可能になる。
【0035】
図7のフローチャートは、受信したジョブを実行する際の画像形成装置2の動作を示す。図7の動作はCPU10がROM11および記憶部13に格納されたプログラムを実行することにより実現される(以下に説明する画像形成装置2における別の処理ルーチンのフローチャートにおいても同様である)。
【0036】
画像形成装置2はネットワーク4を介して複数のプリントジョブを実質的に同時に受信する(#201)。次に、受信した複数のプリントジョブをジョブリストに表示する(#202)。そして、画像形成装置2はジョブリストを表示した状態でユーザが操作入力を行うのを待つ(#203)。図8はステップ#202において画像形成装置2の表示部25に表示されるジョブリストL1を含む操作画面Q2の一例を示す図である。例示におけるデフォルト表示言語は日本語である。ジョブリストL1は、受信されて記憶された複数のプリントジョブが在ることを示す。また、ジョブリストL1は、ユーザがジョブを選択するための操作入力領域でもある。ジョブリストL1の先頭の文字列(メッセージ)B3で示されるプリントジョブ(ドイツ語)は、クライアント5においてプリント画面Q1の表示言語再設定ボタンB2で「ドイツ語」に設定されたジョブである。同様に、2番目の文字列B4で示されるプリントジョブ(英語)は表示言語再設定ボタンB2で「英語」に設定されたプリントジョブである。ジョブリストL1の下端部には矢印キーB5a,B5b、削除キーB5cおよびジョブ詳細キーB6が配置されている。ユーザは矢印キーB5a,B5bの操作によって選択するジョブを変更することができ、削除キーB5の操作によってジョブを削除することができる。また、プリントジョブの部数設定や仕分け設定といった詳細情報をジョブ詳細キーB6の操作によって表示させることができる。
【0037】
ジョブリストL1を表示した状態でのユーザによる操作に応じた処理が行われる。ユーザがプリントジョブ選択以外の操作をした場合には、ステップ#204からステップ#205へ進み、操作に応じた表示の切り替えをする画面処理(#205)を行ってステップ#203に戻る。ここでユーザが例えばプリントジョブ(ドイツ語)に対応した文字列B3を選択した場合、ジョブ指定部35はステップ#204においてプリントジョブ選択であると判断する。次に、選択されたプリントジョブに表示言語情報が関連付けられているか否かをチェックする(#206)。表示言語情報が関連付けられていれば、ステップ#207へ進んで表示可能言語情報か否かをチェックする。一方、表示言語情報が関連付けられていなければ図7の処理を終了する。ステップ#207のチェックにおいて、ジョブ指定部35は記憶部13に記憶された表示可能言語情報17とプリントジョブに関連付けられている表示言語情報とを比較して該当する言語情報があった場合、表示可能言語であると判断し(ステップ#206でYES)、表示言語情報に基づいて表示言語を切り換える(#209)。ステップ#207のチェックにおいて表示可能言語でないと判断した場合、プリントジョブに関連付けられている表示言語情報をデフォルト表示言語へ書き換えて(#208)、表示言語情報に基づき表示言語を切り換える(#209)。図9はステップ#209において画像形成装置2の表示部25に表示されるジョブリストL2を有した操作画面Q3の一例を示す図である。ジョブリストL2において文字列B7は背景色を他の文字列と異ならせることで強調されており、これによりユーザが図8のジョブリストL1においてプリントジョブ(ドイツ語)に対応した文字列B3を選択した状態であることが示される。ジョブリストL2においては、リストのタイトルや削除キーB5bおよびジョブ詳細キーB6bなどの表記がドイツ語表記になっている。
【0038】
以上のとおり、第1実施形態においては、画像形成装置2の表示部25に表示されたジョブリストL1内の複数のプリントジョブから一つのプリントジョブが選択されるのに呼応して、表示部25の表示言語が切り換わる。このようにジョブリストL1が表示された状態での操作を表示言語の切り換えの契機とする場合、各種の設定を可能にするために用意される複数の操作画面の全てがジョブリストL1を含む必要がある。しかし、一般には画面の階層の最上位の基本画面だけがジョブリストL1を含む。あるユーザが基本画面から下位の画面へ操作を進めた段階ではジョブが選択されているというのがその理由である。したがって、ジョブリストL1を含まない操作画面がユーザの理解できない言語で表示されている場合に、ユーザにとって画像形成装置2の操作が困難になるおそれがある。そのような場合においてもユーザの操作性を向上させることができる第2実施形態を次に説明する
〔第2実施形態〕
第2実施形態におけるハードウェア構成および機能構成は第1実施形態の画像形成システム1および画像形成装置2のものと同様である。
【0039】
第2実施形態における画像形成装置2は、受信したプリントジョブに関連付けられている表示言語情報がデフォルト表示言語情報と異なる場合には、常にジョブリストを表示する。
【0040】
図10のフローチャートは、受信したプリントジョブを実行する際の第2実施形態における画像形成装置2の動作を示す。
【0041】
画像形成装置2はネットワーク4を介してプリントジョブを受信する(#301)。次に、受信したプリントジョブが存在することをジョブリストによって表示する(#302)。そして、画像形成装置2はジョブリストを表示した状態でユーザがキー操作を行うのを待つ(#303)。ユーザがジョブリストを元々有する操作画面(例えば、図8の基本画面)に表示を遷移させる操作を行った場合には、ステップ#304からステップ#305へ進み、所定の画面処理1(#305)を行ってステップ#303に戻る。ここでユーザがジョブリストを元々は有していない操作画面に表示を遷移させる操作を行った場合には、ステップ#304からステップ#306に進み、受信したプリントジョブに関連付けられている表示言語情報がデフォルト表示言語情報か否かをチェック(#306)。表示言語情報がデフォルト表示言語情報である場合は所定の画面処理2を行う(#308)。図11はステップ#308において画像形成装置2の表示部25に表示されるジョブリストを有していない操作画面Q4の一例を示す図である。例示におけるデフォルト表示言語は日本語である。操作画面Q4は、英数字の入力を可能にするキーボードB8を表示する。操作画面Q4はジョブリストを有していない。一方、表示言語情報がデフォルト表示言語でない場合は(ステップ#306でNO)、ジョブ指定部35は記憶部13に保存された表示可能言語情報17にプリントジョブの表示言語情報に該当する言語があるか否かをチェックする(#307)。該当する言語があった場合、すなわちジョブの指定する言語での表示が可能である場合には、表示部25に表示するビットマップを縮小する(#309)。そして、縮小して空いた画面スペースにジョブリストを表示する(#310)。図12は、ステップ#310において画像形成装置2の表示部25に表示される操作画面Q5の一例を示す。操作画面Q5ではジョブリストL10が常駐表示される。縮小キーボードB9は図11の操作画面Q4のキーボードB8を縮小した操作面であるが、キーボードB8と同様の操作入力を可能にするものである。図11と図12の比較から明らかなように、キーボードB8を縮小することで、操作画面Q4と同サイズの操作画面Q5においてジョブリストL10を表示することが可能になっている。
【0042】
以上のとおり、第2実施形態においては、プリントジョブを受信した際に、表示部25のデフォルト言語情報とプリントジョブの表示言語情報が異なる場合には、表示部25に常にジョブリストが表示される。
【0043】
第2実施形態は、上述した第1実施形態と同様にジョブリストL10におけるプリントジョブの選択操作に呼応して必要に応じて表示言語を切り換えるものである。ところが、多数のプリントジョブを同時に受信した場合のようにジョブリストL10に全てのプリントジョブを表示することができない場合があり得る。ユーザのプリントジョブが表示されず且つユーザの理解できない言語で表示されている場合に、ユーザにとって画像形成装置2の操作が困難になるおそれがある。そのような場合においてもユーザの操作性を向上させることができる第3実施形態を次に説明する
〔第3実施形態〕
第3実施形態におけるハードウェア構成および機能構成は第1実施形態の画像形成システム1および画像形成装置2のものと同様である。
【0044】
第3実施形態における画像形成装置2は、ネットワーク4を介して多数のプリントジョブを受信した際、全てのプリントジョブのそれぞれに関連付けられている表示言語情報をそれが示す言語に応じて複数の言語グループのいずれかに分類(一意の言語にグループ化)すると共に、表示部25のジョブリストに個々のプリントジョブを表示せずに言語グループ選択肢を表示する。
【0045】
図13のフローチャートは、受信したプリントジョブを実行する際の第3実施形態における画像形成装置2の動作を示す。すなわち、第3実施形態の画像形成装置2は図7の動作に代えて図3の動作をする。
【0046】
画像形成装置2はネットワーク4を介して多数のプリントジョブを同時に受信する(#401)。次に、受信した全てのプリントジョブをジョブリストに表示可能か否かを判断する(#402)。全てのプリントジョブを表示可能の場合は、ジョブリストに全てのプリントジョブを表示する(#403)。一方、全てのプリントジョブを表示できない場合(ステップ#402でNO)は、全てのプリントジョブに関連付けられている表示言語情報を言語グループに分類し(#404)、分類された言語グループを選択できるようジョブリストに言語グループ選択肢を表示する(#405)。そして、画像形成装置2は言語グループ選択肢を有する操作画面を表示した状態でユーザがキー操作を行うのを待つ(#406)。図14はステップ#405において画像形成装置2の表示部25に表示される操作画面Q6の一例を示す図である。例示におけるデフォルト表示言語は日本語である。操作画面Q6の言語グループジョブリストL12の選択肢B11は1つ以上のプリントジョブに関連付けられている表示言語情報がドイツ語であることを示す。同様に、選択肢B12,B13,B14は、1つ以上のプリントジョブに関連付けられている表示言語情報がそれぞれ英語、日本語、フランス語であることを示す。これら選択肢B11,B12,B13,B14の文字表記には、対応する言語が用いられている。
【0047】
言語グループジョブリストL12を表示した状態でのユーザによる操作に応じた処理が行われる。ユーザが言語グループ選択肢の選択以外の操作をした場合には、ステップ#407からステップ#408に進み、所定の画面処理を行ってステップ#406に戻る。ここでユーザが言語グループ選択肢B11(Deutsch)を選択した場合、表示部25の表示言語をドイツ語へ切り替える(#409)。ジョブ指定部35はステップ#407において表示言語情報がドイツ語であるプリントジョブ選択であると判断し、言語グループ選択肢B11に紐付けされているプリントジョブ1〜n(ドイツ語)を表示する(#410)。図15はステップ#410において画像形成装置2の表示部25に表示される言語グループジョブリストL13を含む操作画面Q7の一例を示す図である。言語グループジョブリストL13において文字列B15は背景色を他の文字列と異ならせることで強調されている。これによりユーザが図14の言語グループジョブリストL12においてドイツ語に対応した言語グループ選択肢B11を選択し、このタイミングで表示言語がドイツ語へ切り替わったことがた状態で示される。言語グループ選択肢B16(English)、言語グループ選択肢B17(日本語)および言語グループ選択肢B17(Francais)は、言語グループ選択肢B15(Deutsch)が選択されたことに呼応して、図14の言語グループ選択肢B12,B13,B14を下にシフトさせた形で表示される。1つの言語グループが選択された後も言語選択の変更操作が可能なように、必ず非選択の言語グループ選択肢も引き続き表示される。文字列B19は言語グループ選択肢B11(Deutsch)に紐付けされたプリントジョブ1〜n(ドイツ語)を示す。
【0048】
以上のとおり、画像形成装置2においてジョブリストに全てのプリントジョブを表示できない場合においても、グループ言語選択肢を表示することでグループ選択肢を選択したタイミングで表示部25の表示言語が切り換わるようになっている。
【0049】
上述の第1〜第3の実施形態において、記憶部13に実行が終了したプリントジョブをジョブ履歴情報として記憶させ、表示部25に表示される複数のジョブ履歴情報から一つのジョブ履歴を選択する操作入力が行われた場合に、表示部25における表示に当該プリントジョブの表示言語情報に応じた言語を用いるようにしてもよい。
【0050】
また、デフォルトの言語による表示から表示言語情報に応じた言語による表示に切り換える際に、表示部25のタッチパネル検知処理に基づいたタイミングでデフォルト表示言語に戻すと共に、言語グループ選択肢が表示されている場合には言語グループ選択肢も初期化して表示するよう制御してもよい。
【0051】
上述の実施形態によれば、表示部25のデフォルト表示言語と受信したプリントジョブの表示言語情報とが異なる場合に、表示部25に常にジョブリストの表示を行うことが可能になる。通常はジョブリストが表示されない操作画面においてもジョブリストの表示を行うことにより、ユーザが容易に言語を切り換えることが可能になる。
【0052】
ジョブリストに全てのプリントジョブを表示することができない場合、全てのプリントジョブの表示言語情報を一意の言語グループに分類し、言語グループ選択肢を表示することが可能になる。これにより、ユーザがジョブリストから自己のジョブを選択できない場合でも、言語グループ選択肢を表示することによって、でユーザが容易に言語を切り換えることが可能になる。なお、言語グループとは、類似した複数種の言語のあつまりである。一意の言語グループに分類するとは、言語グループの代表となる代表言語を対応付けることを意味する。ある言語グループに分類される表示言語情報が付加されたプリントジョブが記憶部13に蓄積された場合には、当該プリントに対応するジョブ情報の表示には代表言語に設定された言語が用いられる。
【符号の説明】
【0053】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
4 ネットワーク
10 CPU(ジョブリスト表示手段、表示切換手段)
16 表示言語情報
32 ジョブ管理部(抽出手段)
13 記憶部(記憶手段)
L1,L2、L10,L11,L12 ジョブリスト
5 クライアント
56 表示言語情報生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して受信したプリントジョブを実行する画像形成装置であって、
受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、
プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、
抽出された表示言語情報をプリントジョブに関連付けて記憶する記憶手段と、
前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段と、を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブリスト表示手段は、前記表示部のデフォルト表示言語と受信したプリントジョブに付加された前記表示言語情報の示す言語とが異なる場合に、ジョブリストの表示を行う
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記抽出手段は、抽出した複数の表示言語情報のそれぞれをそれが示す言語に応じて複数の言語グループのいずれかに分類し、
前記ジョブリスト表示手段は、前記ジョブリストに全てのプリントジョブの存在を表示できない場合に、前記複数の言語グループの選択肢を表示する
請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブリスト表示手段は、前記言語グループの選択肢の表示には、選択肢ごとに各選択肢に対応する言語を用いる
請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記表示切換手段は、前記言語グループの選択肢の一つを選択する操作入力が行われたときに、選択された前記言語グループの表示言語情報に関連付けられているプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示し、その際に当該表示言語情報の示す言語を表示に用いる
請求項3または4記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記表示言語情報に応じた言語による表示を行うことができない場合、受信したプリントジョブの前記表示言語情報をデフォルト言語情報に書き換える
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
プリントジョブを実行する画像形成装置とネットワークを介して前記画像形成装置にジョブを与える装置であるクライアントとを備えた画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、
プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、
抽出された表示言語情報をプリントジョブに関連付けて記憶する記憶手段と、
前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段と、を備え、
前記クライアントは、
前記画像形成装置に与えるプリントジョブに付加する表示言語情報を生成する表示言語情報生成部を備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
ネットワークを介して受信したプリントジョブを実行する画像形成装置の操作を支援する方法であって、
プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出させ、
受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示させ、
前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を表記に用いた操作画面を表示させる
ことを特徴とする操作支援方法。
【請求項9】
ネットワークを介して受信したプリントジョブを実行する画像形成装置に用いられるコンピュータのためのコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータによって実行されたときに、
受信した一つまたは複数のプリントジョブの存在を示すジョブリストを表示するジョブリスト表示手段と、
プリントジョブに付加された表示言語情報を受信データから抽出する抽出手段と、
前記ジョブリストの示す複数のプリントジョブから一つのプリントジョブを選択する操作入力が行われたときに、選択されたプリントジョブに関連付けられている表示言語情報の示す言語を操作画面の表示に用いる表示言語に設定する表示切換手段と、を前記コンピュータに実現させる
ことを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−208155(P2010−208155A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−56967(P2009−56967)
【出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】