説明

画像形成装置および画像形成方法

自動車における画像形成装置および画像形成方法を提案する。赤外線カメラは行毎に画像行で自動車周辺の画像を形成する。赤外線カメラの画像検出領域は、少なくとも1つの赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源によってパルス状に照明される。画像行の検出は時間的にパルス状照明と同期して実行される。第1の実施例では、赤外線CMOSカメラの画像行の検出は、赤外スペクトル領域近傍で放射するレーザダイオードと、同期化線路を介して時間的に同期する。第2の実施例では、赤外線CMOSカメラの画像行の検出とパルス状照明との時間的な同期が、自律的に、CMOSカメラによって、少なくとも1つの検出された画像行を評価することによって実行される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
自動車による夜間走行時には、ロービームの到達距離が制限されるので、運転者の視界が低減されてしまう。近年では、光放射がより強力な新たなガス放電ヘッドランプを導入することによって、従来のヘッドライトに対して走行路の照明が改善されている。しかし視野はこのような新たなヘッドライトによっても制限されてしまい、従って視界を改善するために、自動車に夜間暗視システムを使用することが試みられている。
【0002】
夜間暗視システムは受動的な夜間暗視システムと能動的な夜間暗視システムに分けられる。受動的な夜間暗視システムは熱画像カメラから成る。受動的な夜間視界カメラの欠点は、熱画像カメラによっては、現実に忠実な画像を形成することが困難であるということである。これに対して、能動的な夜間暗視システムは、赤外線を放射する照明ユニット(例えばフィルタを有するハロゲンライト)と1つまたは複数の赤外線カメラから成る。この照明ユニットは、ハイビーム領域において車両前領域を照明し、カメラは反射されて戻ってきた赤外−ハイビームを記録し、この画像をモニターまたはヘッドアップディスプレイ上に再現する。ここで可視のロービームおよびハイビームに対するヘッドライトが赤外光を放出するために使用される。しかし自動車産業では割合的にますます、赤外放射式ハロゲンヘッドライトが赤外線不使用のキセノンヘッドライトによって置き換えられている。これによって、付加的な赤外線を放射する放射源が必要となる。付加的な赤外放射源としては例えば、赤外放射レーザが使用される。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許DE4243200C2号には、軍事用の農業車両の味方−敵−識別装置が記載されている。味方−敵−識別用の隠されているサインを可視化するために、COレーザを有する熱画像カメラが結合されている。観測者は個々の光パルスを送出し、赤外カメラは同期して反射された信号を受信する。この装置の欠点は、熱画像カメラが実際に忠実な画像を供給しないことである。自動車内での使用に適した現実に忠実な画像を形成する装置および方法に関する示唆は、DE4243200C2号には記載されていない。
【0004】
発明の利点
少なくとも1つの赤外線カメラによって、画像行毎に画像を、自動車周辺のパルス状照明と同期して形成する形式の、以下に記載する、自動車内の画像形成装置および方法は次のような利点を有している。すなわち視界状況および/または天候が良くても悪くても、画像の質が高い、現実に忠実な画像を形成するという利点である。この画像形成装置および方法は殊に有利には、形成画像の高い画質によって、視界状況が悪いとき(殊に夜間)の事故件数を減少させるのに寄与する。高い画質を有する現実に忠実な画像は、視界状況および/または天候状況が悪いときでも次のことによって形成される。すなわち、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源による画像検出領域の照明が雨や雪によって著しくは妨害されないということによって形成される。
【0005】
有利には、少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域で放射する放射源の寿命は、パルス状の光放射によって長くなる。パルス駆動時には、出力が同じ場合には放射源の熱負荷は、連続作動時に比べると少ない。これによって直接的に寿命が延びる。放射源のより長い寿命、ひいてはより長い交換間隔によって、自動車の場合には有利には作動コストが低減する。
【0006】
同時に、少なくとも1つの赤外線放射源のパルス駆動は、放射源の放射強度が平均的に同じ場合には、格段に高い、光パルス中の放射強度を可能にする。ここで放射強度は立体角あたりの出力として定められている。従って照射面積の放射照度、すなわち面積あたりの出力が、光パルス中に、連続的な非パルス状光放出と比べて高められる。殊に有利には、これによって、少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域が集中的に照明される。
【0007】
特に有利には、少なくとも1つの赤外線CMOSカメラは自動車周辺の少なくとも1つの画像を形成する。他のタイプのカメラとは異なって、CMOSカメラではブルーミング作用が低減される。ここでブルーミングとは強い光源による眩惑が原因で形成画像が曇らされる(Ueberstrahlung)ことである。
【0008】
少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードによって殊に有利には、容易に、少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域をパルス状に照明することができる。例えばレーザダイオードは、短い応答特性によって、光パルス持続時間の間の同時の高い放射強度のもとで短い光パルスの生成を可能にする。さらに赤外放射レーザおよび/または赤外放射レーザダイオードは次のような利点を有している。すなわちレーザ光が狭いスペクトル帯域幅を有しているという利点である。少なくとも1つの赤外線カメラの前の相応のバンドフィルタによって、他のスペクトル領域をフィルタリング除去することが可能である。例えば、夜間にロービームで走行している対向車両の場合には、これによって、画像形成の障害となるこのような可視光をフィルタリング除去することが可能になる。有利には少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードを使用することによって、高い画質を有する画像が形成される。この他に、赤外放射レーザおよび/または赤外放射レーザダイオードは高い効率を有しているという利点を有している。
【0009】
少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源は光パルスを形成する。有利には、光パルスのパルス持続時間は100nsよりも短く、殊に10〜80nsの間である。このような短いパルス持続時間によって、形成画像の画質が高められる。択一的または付加的に有利には0.1%よりも小さいデューティファクタを有する光パルスが形成される。このような手法によって、光パルス中に高い放射照度が生成され、これによって画像の良好な画質が得られる。
【0010】
画像行毎の同期の場合には、少なくとも1つの赤外線カメラの画像行の検出は、パルス状照明と時間的に同期する。ここで時間的同期は各画像行または少なくとも2つの画像行のシーケンスに対して実行される。パルス状照明との、このような画像行検出の画像行毎の時間的な同期によって、有利には確実かつ時間的に安定した同期が得られる。これに対して画像毎または画像シーケンス毎(bildfolgenweise)の時間的な同期は次の利点を有している。すなわち、同期に対する技術的なコストが低減されるという利点を有している。時間的同期化は、画像毎または画像シーケンス毎の時間的な同期のもとで少なくとも1つの画像に対して行われる。このような画像行毎または画像毎または画像シーケンス毎の同期は、少なくとも1つの赤外線カメラと少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源との間の、少なくとも1つの同期化線路上の、一方向または双方向の同期化信号によって得られる。特に有利には時間的な同期化は、自動車内の少なくとも1つの通信データバス、例えばCANバスを介して行われる。これによって有利には付加的な同期化線路が省略され、自動車内の既存のインフラストラクチャーがデータ交換に使用される。
【0011】
パルス状照明との、少なくとも1つの赤外線カメラの自律した時間的な同期は特に有利である。なぜなら少なくとも1つの赤外線カメラと、少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源との間の別個の同期化線路が必要ないからである。これは次のような利点を有する。すなわち、以下に記載する装置および方法がこれによって耐ノイズに性を有するという利点である。なぜなら個々のコンポーネントは相互に依存しないで作動するからである。
【0012】
以下に説明する装置および方法の変形形態は、画像行の検出をパルス状照明に対して時間的にずらすことができるという特別な利点を有している。これによって例えば、光パルス放出からカメラによる検出までのビームの伝播時間作用が補償される。これによって高い画質を有する画像が得られる。
【0013】
時間的な同期が少なくとも1つの画質レベル(Bildqualitaetsmasses)に依存して実行される形式の、以下に記載する装置および方法の別の変形形態は有利である。少なくとも1つの画質レベルを計算することによって、一方では、画像行の検出とパルス状照明の間の時間的なずれが自動的に調整される。同じようにこれによって、高い画質を有する画像が形成される。なぜなら、全体的な画像領域および画像シーケンスにおける画像露光が一定だからである。この他に、少なくとも1つの画質レベルを突き止めることによって、少なくとも1つの赤外線カメラと、パルス状照明との自律的な時間的同期化が可能になる。これは画質レベルが悪化した際に画像行の検出をパルス状照明に対してずらして、高い画質を得ることによって行われる。
【0014】
さらなる利点は、図面を参照した以下の実施例の説明および従属請求項に記載されている。
【0015】
図面
本発明を以下で図示された実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0016】
図1は第1の実施例の概観図であり、
図2は第1の実施例のブロックダイヤグラムであり、
図3は第1の実施例の時間ダイヤグラムであり、
図4は第2の実施例の概観図である。
【0017】
実施例の説明
以下で、自動車における画像形成装置および画像形成方法を説明する。赤外線カメラは、行毎に画像行で自動車周辺の画像を形成する。赤外線カメラの画像検出領域は、少なくとも1つの赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源によってパルス状に照明される。画像行の検出は、パルス状照明と時間的に同期して行われる。第1の実施例では、赤外線CMOSカメラの画像行の検出は、赤外スペクトル領域近傍で放射するレーザダイオードと、同期化線路を介して時間的に同期する。第2の実施例では赤外線CMOSカメラの画像行の検出と、パルス状照明との時間的な同期は、自律して、CMOSカメラによって、少なくとも1つの検出された画像行を評価することによって行われる。
【0018】
図1には、第1の実施例の自動車における画像形成装置の概観図が示されている。これは、制御ユニット/処理ユニット16を有する赤外線カメラ10と、制御ユニット14を有する赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源12から成る。赤外線カメラ10の制御ユニット/処理ユニット16と放射源12の制御ユニット14は信号線路18を介して相互に接続されている。放射源12は赤外スペクトル領域近傍で赤外線20を生成し、これによって自動車の周辺24がパルス状に照明される。ここで放射源12は、ロービーム/ハイビーム用のヘッドライトの間の、自動車の正面領域に組み込まれる。赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源12として、第1の実施例では、赤外スペクトル領域近傍で放射するレーザダイオードが使用されている。放射源12は制御ユニット14によって制御および監視される。散乱されて戻ってきた赤外線22から、赤外線カメラ10は自動車の周辺24の画像を形成する。赤外線カメラ10は、自動車のフロントガラスの後方に室内バックミラーの領域に取り付けられている。第1の実施例では、赤外線カメラ10は赤外線CMOSカメラ10である。CMOSカメラ10は、制御ユニット/処理ユニット16を介して駆動制御される。同時にCMOSカメラ10は、自動車周辺24の形成された画像を、さらなる処理のために制御ユニット/処理ユニット16へ伝送する。
【0019】
図2には、第1の実施例の自動車における画像形成装置のブロックダイヤグラムが示されている。以下では、図1に対して付加的なコンポーネントおよび装置の作用を説明する。赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源12は、赤外スペクトル領域近傍で放射するレーザダイオード28,光検出器30および温度非依存性抵抗32を有する。レーザダイオード28は、レーザダイオード駆動制御のための信号線路38を介して、光検出器30および温度非依存性抵抗32によって求められた測定値に依存して駆動制御される。光検出器30および温度非依存性抵抗32は測定手段としてフィードバック結合分岐部において用いられる。これはレーザダイオード28によって出力される、放射強度および/または光パルスの時間的な特性を閉ループ制御で調整する。放射源12は、赤外線を、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で、有利には850nm〜900nmの間の波長領域で生成する。引き続き、生成された赤外線はレンズ26を介して、CMOSカメラ10の画像検出領域をパルス状に照明するために使用される。レンズ26は、生成された赤外線を垂直方向および水平方向に拡張させるのに用いられ、CMOSカメラ10の画像検出領域はできるだけ完全に照明される。反射されて戻ってきた赤外線は、フィルタ27によるフィルタリング後に、赤外線CMOSカメラ10によって検出される。フィルタ27は、送出された赤外線の波長を透過させ、通過帯域外の波長を減衰させるバンドフィルタである。赤外線CMOSカメラ10は、反射されて戻ってきた赤外線から自動車周辺の画像を形成し、この形成された画像を信号線路36を介して制御ユニット/処理ユニット16へ伝送する。赤外線CMOSカメラ10は個々のピクセルから成る。このピクセルは第1の実施例において640×480個のピクセルを含むマトリックス状に配置されている。画像を形成するために行毎に画像行が検出される。ここでCMOSカメラ10は、画像信号を行毎に緩衝記憶する。これによって行毎に、放射源12から送出された閃光が次第に、画像全体を照射する。しかも露光に反応じないフェーズにおいてはレーザエネルギーは放出されない。CMOSカメラ10の行毎の光感応性は「行シャッター(Zeilenshutter)」とも称される。信号線路18および信号線路34を介して、制御ユニット/処理ユニット16は画像行の行毎の検出とCMOSカメラ10の画像検出領域のパルス状照明との間の時間的な同期を制御する。第1の実施例では一方向性の時間的同期が実行される。制御ユニット/処理ユニット16は信号線路34を介して行信号をCMOSカメラに出力する。これに同期されて、制御ユニット/処理ユニット16からレーザ制御信号が信号線路18を介して、放射源12の制御ユニット14に伝送される。信号34を介してCMOSカメラに各行信号が達すると、それぞれ画像行が次のように駆動制御される。すなわち画像行が光学情報に対して反応するように駆動制御される。光学情報はサンプルアンドホールド回路を介して画像信号に変換される。サンプリングプロセスが終了した後には、自動的に次の画像行に、または最後の画像行に達した場合にはマトリックスの最初の画像行に切り替え接続される。これに行信号が続くときには、上述のプロセスが繰り返され、この画像行に対するサンプリングプロセスが相応に実行される。画像は最終的に、全画像行の各ピクセルの画像信号から構成される。制御ユニット14は、信号線路18を介して伝送されるレーザ制御信号からレーザ制御電流を生成する。これはレーザダイオード駆動制御用の信号線路38を介してレーザダイオード28の直接的な駆動制御のために使用される。場合によっては、CMOSカメラ10の画像検出領域のパルス状照明と、時間的に同期すべき画像行の行毎の検出との間の位相ずれは、CMOSカメラ10および制御ユニット14へのパルス、すなわち行信号およびレーザ制御信号を時間的にずらすことによって補償される。位相ずれの原因としては、光パルス生成における時間的な遅延および光パルスの伝播時間遅延が挙げられる。このようなずれは典型的に、使用されている個々のコンポーネントに依存して固定的に調整される。またはこのずれは画質レベルを介して求められる。画質レベルは、画像の輝度および/または画像縁部における輝度勾配を、すなわち第1の画像行から最後の画像行の方向への輝度勾配に関する、制御ユニット/処理ユニット16内の画像評価を介して求められる。相応の閉ループ制御を介して時間的なずれが、制御ユニット/処理ユニット16内で求められた画質レベルに依存して最適に設定される。
【0020】
図3には、それぞれ、図2に示された信号線路34,18,38上の信号40,42,44の第1の実施例に対する時間ダイヤグラム並びに図1に示された赤外線20のレーザパルス46の時間経過特性が示されている。図3には信号40,42,44およびレーザパルス46の基本的な経過特性が示されている。図3a,3b,3cおよび3dの横座標上には、それぞれ時間tが示されている。図3aには、図2に示された信号線路34上の行信号40の電圧Uが示されている。100μsの周期を有し、約120ns持続するパルスが行信号40として生成れる。行信号40はサンプリングプロセスを実行するため、、かつ同時に次の画像行を選択するためにCMOSカメラで用いられる。図3bには、図2に示されている信号線路18上のレーザ制御信号42の電圧Uが示されている。100μsの周期を伴って、約80ns持続するパルスがレーザ制御信号42として生成される。レーザ制御信号42は、図2に示されている制御ユニット14に対する信号として用いられる。これはこのレーザ制御信号42に依存してレーザ制御電流44を生じさせる。これはその後、図2に示された、赤外線を放射する放射源12によってレーザパルス46に変換される。図3cには、図2に示された信号線路38上のレーザ制御電流44の電流Iの時間的な経過特性が示されている。最後に図3dには、レーザパルス46の放射束Φの時間的経過特性が示されている。図3aおよび図3bには行信号40のパルスの開始と、レーザ制御信号42のパルスの開始との間の時間的なずれΔtが示されている。第1の実施例では、この時間的なずれΔtは次のように調整される。すなわちレーザ制御信号42のパルスが対称的に、行信号40のパルスの中央に位置するように調整される。これに相応して時間的なずれΔtは、第1の実施例では約20nsである。
【0021】
上述した第1の実施例の変形形態では、図2に示された制御ユニット/処理ユニット16から、信号線路18および34を介して画像同期パルスが出力される。画像同期パルスは第1の画像行において行毎の画像検出の開始を定める。固有のクロック発生器自体による画像同期パルスによってトリガされて赤外線CMOSカメラ10は行信号40を生成する。これと相似して、制御ユニット14は、固有のクロック発生器自体による画像同期パルスによってトリガされて、レーザ制御信号42を同じように生成する。クロック発生器としてはこの変形形態ではクオーツが使用される。別の変形形態では時間的な同期が画像シーケンス毎に実行される。すなわち、画像シーケンス同期パルスが例えば10個の画像後に形成され、CMOSカメラ10および制御ユニット40は、行信号40およびレーザ制御信号42をその間に自身で、固有のクロック発生器によって生じさせる。上述した実施例の別の変形形態では、時間的同期が双方向で行われる。
【0022】
図4には、第2の実施例の自動車における画像形成装置の概観図が示されている。これは制御ユニット/処理ユニット16を有する赤外線カメラ10と、制御ユニット14を有する赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源12から成る。以下では、図1に対する、図4の構成および機能の違いだけを記載する。図1に示された第1の実施例とは異なって、同期化線路は存在しない。画像行の行毎の検出とパルス状照明との間の時間的な同期は、上述した画質レベルを制御ユニット/処理ユニット16によって求めることによって行われる。制御ユニット/処理ユニット16は求められた画質レベルに依存して、高い画質レベルを得ることを目的にして、行信号の開始を生じさせる。ここで放射源12のパルスパターンは、画質レベルによる行信号の開始の捜索をサポートする。パルスパターンとは、ここではレーザパルスの揺れ動く周波数変化のことである。択一的または付加的に、行信号および/または画像同期パルスおよび/または画像シーケンス同期パルスの体系的な周波数シフトによってこの捜索がサポートされる。
【0023】
上述した実施例および変形形態の変形形態では、赤外線カメラとカメラの制御ユニット/処理ユニットが1つのユニットを構成する。択一的または付加的に、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源と放射源の制御ユニットが1つのユニットを構成する。
【0024】
上述した装置および方法の変形形態では一般的に少なくとも1つの赤外線カメラが使用される。これは行毎に画像行を検出する手段を有している。赤外線カメラの他に、ある変形形態では少なくとも1つの別の赤外線カメラ、殊に少なくとも1つの赤外線CMOSカメラが使用されている。上述した実施例で使用されている640×480ピクセルのカメラのマトリックスサイズ(VGAフォーマット)の他に、別の変形形態では例えば352×288ピクセル(CIEフォーマット)および/または1024×768ピクセルおよび/または1280×1024ピクセルのマトリックスサイズを有する赤外線カメラが使用される。上述した装置および方法の別の変形形態では、画像行の代わりに画像列が検出される。上述した実施例で使用される少なくとも1つの赤外線カメラは、直線的な露光特性曲線および/または対数的な露光特性曲線を有している。
【0025】
光パルスのパルス持続時間および/または周期は一般的に実施例に相応して、少なくとも1つのカメラのタイミングおよび/または少なくとも1つのカメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性(Zeitverhalten)に合わせられる。カメラのタイミングは、画像繰り返し周波数(フレーム率)および/または行同期信号および/またはピクセルクロックによって定められる。例えば1秒あたり少なくとも25画像の画像繰り返し周波数の場合には、赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて、4MHz〜20MHzのピクセルクロックが設定される。光パルスの周期は、赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて、行同期信号に相応して50μs〜100μsの間である。ピクセルの時間特性とは、短い、矩形の光パルス上のピクセルの出力信号のことである。パルス状に、赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源を、できるだけ高いピーク放射出力で駆動させるために、デューティファクタ(デューティサイクル)はできるだけ小さく、有利には0.1%より小さく選択される。ピクセルの立ち上がり特性によって制限され、光パルスのパルス持続時間は次のように選択される。すなわちパルス持続時間が少なくとも1ピクセル−クロックになるように選択される。赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて光パルスのパルス持続時間は有利には50ns〜200nsの間で選択される。
【0026】
上述した装置および方法の変形形態において赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源の他に、少なくとも1つの別の、赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源が使用される。択一的または付加的に少なくとも1つの赤外スペクトル領域近傍で放射するレーザが使用される。一般的に、少なくとも赤外領域近傍での赤外線をパルス状に出力するのに適している、少なくとも1つの赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施例の概観図。
【図2】第1の実施例のブロックダイヤグラム。
【図3】第1の実施例の時間ダイヤグラム。
【図4】第2の実施例の概観図。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
従来技術
自動車による夜間走行時には、ロービームの到達距離が制限されるので、運転者の視界が低減されてしまう。近年では、光放射がより強力な新たなガス放電ヘッドランプを導入することによって、従来のヘッドライトに対して走行路の照明が改善されている。しかし視野はこのような新たなヘッドライトによっても制限されてしまい、従って視界を改善するために、自動車に夜間暗視システムを使用することが試みられている。
【0002】
夜間暗視システムは受動的な夜間暗視システムと能動的な夜間暗視システムに分けられる。受動的な夜間暗視システムは熱画像カメラから成る。受動的な夜間視界カメラの欠点は、熱画像カメラによっては、現実に忠実な画像を形成することが困難であるということである。これに対して、能動的な夜間暗視システムは、赤外線を放射する照明ユニット(例えばフィルタを有するハロゲンライト)と1つまたは複数の赤外線カメラから成る。この照明ユニットは、ハイビーム領域において車両前領域を照明し、カメラは反射されて戻ってきた赤外−ハイビームを記録し、この画像をモニターまたはヘッドアップディスプレイ上に再現する。ここで可視のロービームおよびハイビームに対するヘッドライトが赤外光を放出するために使用される。しかし自動車産業では割合的にますます、赤外放射式ハロゲンヘッドライトが赤外線不使用のキセノンヘッドライトによって置き換えられている。これによって、付加的な赤外線を放射する放射源が必要となる。付加的な赤外放射源としては例えば、赤外放射レーザが使用される。
【0003】
ドイツ連邦共和国特許DE4243200C2号には、軍事用の農業車両の味方−敵−識別装置が記載されている。味方−敵−識別用の隠されているサインを可視化するために、CO2レーザを有する熱画像カメラが結合されている。観測者は個々の光パルスを送出し、赤外カメラは同期して反射された信号を受信する。この装置の欠点は、熱画像カメラが実際に忠実な画像を供給しないことである。自動車内での使用に適した現実に忠実な画像を形成する装置および方法に関する示唆は、DE4243200C2号には記載されていない。
【0004】
発明の利点
少なくとも1つの赤外線カメラによって、画像行毎に画像を、自動車周辺のパルス状照明と同期して形成する形式の、以下に記載する、自動車内の画像形成装置および方法は次のような利点を有している。すなわち視界状況および/または天候が良くても悪くても、画像の質が高い、現実に忠実な画像を形成するという利点である。この画像形成装置および方法は殊に有利には、形成画像の高い画質によって、視界状況が悪いとき(殊に夜間)の事故件数を減少させるのに寄与する。高い画質を有する現実に忠実な画像は、視界状況および/または天候状況が悪いときでも次のことによって形成される。すなわち、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源による画像検出領域の照明が雨や雪によって著しくは妨害されないということによって形成される。
【0005】
有利には、少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源の寿命は、パルス状の光放射によって長くなる。パルス駆動時には、出力が同じ場合には放射源の熱負荷は、連続作動時に比べると少ない。これによって直接的に寿命が延びる。放射源のより長い寿命、ひいてはより長い交換間隔によって、自動車の場合には有利には作動コストが低減する。
【0006】
同時に、少なくとも1つの赤外線放射源のパルス駆動は、放射源の放射強度が平均的に同じ場合には、格段に高い、光パルス中の放射強度を可能にする。ここで放射強度は立体角あたりの出力として定められている。従って照射面積の放射照度、すなわち面積あたりの出力が、光パルス中に、連続的な非パルス状光放出と比べて高められる。殊に有利には、これによって、少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域が集中的に照明される。
【0007】
特に有利には、少なくとも1つの赤外線CMOSカメラは自動車周辺の少なくとも1つの画像を形成する。他のタイプのカメラとは異なって、CMOSカメラではブルーミング作用が低減される。ここでブルーミングとは強い光源による眩惑が原因で形成画像が曇らされる(Ueberstrahlung)ことである。
【0008】
少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードによって殊に有利には、容易に、少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域をパルス状に照明することができる。例えばレーザダイオードは、短い応答特性によって、光パルス持続時間の間の同時の高い放射強度のもとで短い光パルスの生成を可能にする。さらに赤外放射レーザおよび/または赤外放射レーザダイオードは次のような利点を有している。すなわちレーザ光が狭いスペクトル帯域幅を有しているという利点である。少なくとも1つの赤外線カメラの前の相応のバンドフィルタによって、他のスペクトル領域をフィルタリング除去することが可能である。例えば、夜間にロービームで走行している対向車両の場合には、これによって、画像形成の障害となるこのような可視光をフィルタリング除去することが可能になる。有利には少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードを使用することによって、高い画質を有する画像が形成される。この他に、赤外放射レーザおよび/または赤外放射レーザダイオードは高い効率を有しているという利点を有している。
【0009】
少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源は光パルスを形成する。有利には、光パルスのパルス持続時間は100nsよりも短く、殊に10〜80nsの間である。このような短いパルス持続時間によって、形成画像の画質が高められる。択一的または付加的に有利には0.1%よりも小さいデューティファクタを有する光パルスが形成される。このような手法によって、光パルス中に高い放射照度が生成され、これによって画像の良好な画質が得られる。
【0010】
画像行毎の同期の場合には、少なくとも1つの赤外線カメラの画像行の検出は、パルス状照明と時間的に同期する。ここで時間的同期は各画像行または少なくとも2つの画像行のシーケンスに対して実行される。パルス状照明との、このような画像行検出の画像行毎の時間的な同期によって、有利には確実かつ時間的に安定した同期が得られる。これに対して画像毎または画像シーケンス毎(bildfolgenweise)の時間的な同期は次の利点を有している。すなわち、同期に対する技術的なコストが低減されるという利点を有している。時間的同期化は、画像毎または画像シーケンス毎の時間的な同期のもとで少なくとも1つの画像に対して行われる。このような画像行毎または画像毎または画像シーケンス毎の同期は、少なくとも1つの赤外線カメラと少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源との間の、少なくとも1つの同期化線路上の、一方向または双方向の同期化信号によって得られる。特に有利には時間的な同期化は、自動車内の少なくとも1つの通信データバス、例えばCANバスを介して行われる。これによって有利には付加的な同期化線路が省略され、自動車内の既存のインフラストラクチャーがデータ交換に使用される。
【0011】
パルス状照明との、少なくとも1つの赤外線カメラの自律した時間的な同期は特に有利である。なぜなら少なくとも1つの赤外線カメラと、少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源との間の別個の同期化線路が必要ないからである。これは次のような利点を有する。すなわち、以下に記載する装置および方法がこれによって耐ノイズに性を有するという利点である。なぜなら個々のコンポーネントは相互に依存しないで作動するからである。
【0012】
以下に説明する装置および方法の変形形態は、画像行の検出をパルス状照明に対して時間的にずらすことができるという特別な利点を有している。これによって例えば、光パルス放出からカメラによる検出までのビームの伝播時間作用が補償される。これによって高い画質を有する画像が得られる。
【0013】
時間的な同期が少なくとも1つの画質レベル(Bildqualitaetsmasses)に依存して実行される形式の、以下に記載する装置および方法の別の変形形態は有利である。少なくとも1つの画質レベルを計算することによって、一方では、画像行の検出とパルス状照明の間の時間的なずれが自動的に調整される。同じようにこれによって、高い画質を有する画像が形成される。なぜなら、全体的な画像領域および画像シーケンスにおける画像露光が一定だからである。この他に、少なくとも1つの画質レベルを突き止めることによって、少なくとも1つの赤外線カメラと、パルス状照明との自律的な時間的同期化が可能になる。これは画質レベルが悪化した際に画像行の検出をパルス状照明に対してずらして、高い画質を得ることによって行われる。
【0014】
さらなる利点は、図面を参照した以下の実施例の説明および従属請求項に記載されている。
【0015】
図面
本発明を以下で図示された実施例に基づいてより詳細に説明する。
【0016】
図1は第1の実施例の概観図であり、
図2は第1の実施例のブロックダイヤグラムであり、
図3は第1の実施例の時間ダイヤグラムであり、
図4は第2の実施例の概観図である。
【0017】
実施例の説明
以下で、自動車における画像形成装置および画像形成方法を説明する。赤外線カメラは、行毎に画像行で自動車周辺の画像を形成する。赤外線カメラの画像検出領域は、少なくとも1つの近赤外スペクトル領域で放射する放射源によってパルス状に照明される。画像行の検出は、パルス状照明と時間的に同期して行われる。第1の実施例では、赤外線CMOSカメラの画像行の検出は、近赤外スペクトル領域で放射するレーザダイオードと、同期化線路を介して時間的に同期する。第2の実施例では赤外線CMOSカメラの画像行の検出と、パルス状照明との時間的な同期は、自律して、CMOSカメラによって、少なくとも1つの検出された画像行を評価することによって行われる。
【0018】
図1には、第1の実施例の自動車における画像形成装置の概観図が示されている。これは、制御ユニット/処理ユニット16を有する赤外線カメラ10と、制御ユニット14を有する近赤外スペクトル領域で放射する放射源12から成る。赤外線カメラ10の制御ユニット/処理ユニット16と放射源12の制御ユニット14は信号線路18を介して相互に接続されている。放射源12は近赤外スペクトル領域で赤外線20を生成し、これによって自動車の周辺24がパルス状に照明される。ここで放射源12は、ロービーム/ハイビーム用のヘッドライトの間の、自動車の正面領域に組み込まれる。近赤外スペクトル領域で放射する放射源12として、第1の実施例では、近赤外スペクトル領域で放射するレーザダイオードが使用されている。放射源12は制御ユニット14によって制御および監視される。散乱されて戻ってきた赤外線22から、赤外線カメラ10は自動車の周辺24の画像を形成する。赤外線カメラ10は、自動車のフロントガラスの後方に室内バックミラーの領域に取り付けられている。第1の実施例では、赤外線カメラ10は赤外線CMOSカメラ10である。CMOSカメラ10は、制御ユニット/処理ユニット16を介して駆動制御される。同時にCMOSカメラ10は、自動車周辺24の形成された画像を、さらなる処理のために制御ユニット/処理ユニット16へ伝送する。
【0019】
図2には、第1の実施例の自動車における画像形成装置のブロックダイヤグラムが示されている。以下では、図1に対して付加的なコンポーネントおよび装置の作用を説明する。近赤外スペクトル領域で放射する放射源12は、近赤外スペクトル領域で放射するレーザダイオード28,光検出器30および温度非依存性抵抗32を有する。レーザダイオード28は、レーザダイオード駆動制御のための信号線路38を介して、光検出器30および温度非依存性抵抗32によって求められた測定値に依存して駆動制御される。光検出器30および温度非依存性抵抗32は測定手段としてフィードバック結合分岐部において用いられる。これはレーザダイオード28によって出力される、放射強度および/または光パルスの時間的な特性を閉ループ制御で調整する。放射源12は、赤外線を、少なくとも近赤外スペクトル領域で、有利には850nm〜900nmの間の波長領域で生成する。引き続き、生成された赤外線はレンズ26を介して、CMOSカメラ10の画像検出領域をパルス状に照明するために使用される。レンズ26は、生成された赤外線を垂直方向および水平方向に拡張させるのに用いられ、CMOSカメラ10の画像検出領域はできるだけ完全に照明される。反射されて戻ってきた赤外線は、フィルタ27によるフィルタリング後に、赤外線CMOSカメラ10によって検出される。フィルタ27は、送出された赤外線の波長を透過させ、通過帯域外の波長を減衰させるバンドフィルタである。赤外線CMOSカメラ10は、反射されて戻ってきた赤外線から自動車周辺の画像を形成し、この形成された画像を信号線路36を介して制御ユニット/処理ユニット16へ伝送する。赤外線CMOSカメラ10は個々のピクセルから成る。このピクセルは第1の実施例において640×480個のピクセルを含むマトリックス状に配置されている。画像を形成するために行毎に画像行が検出される。ここでCMOSカメラ10は、画像信号を行毎に緩衝記憶する。これによって行毎に、放射源12から送出された閃光が次第に、画像全体を照射する。しかも露光に反応じないフェーズにおいてはレーザエネルギーは放出されない。CMOSカメラ10の行毎の光感応性は「行シャッター(Zeilenshutter)」とも称される。信号線路18および信号線路34を介して、制御ユニット/処理ユニット16は画像行の行毎の検出とCMOSカメラ10の画像検出領域のパルス状照明との間の時間的な同期を制御する。第1の実施例では一方向性の時間的同期が実行される。制御ユニット/処理ユニット16は信号線路34を介して行信号をCMOSカメラに出力する。これに同期されて、制御ユニット/処理ユニット16からレーザ制御信号が信号線路18を介して、放射源12の制御ユニット14に伝送される。信号34を介してCMOSカメラに各行信号が達すると、それぞれ画像行が次のように駆動制御される。すなわち画像行が光学情報に対して反応するように駆動制御される。光学情報はサンプルアンドホールド回路を介して画像信号に変換される。サンプリングプロセスが終了した後には、自動的に次の画像行に、または最後の画像行に達した場合にはマトリックスの最初の画像行に切り替え接続される。これに行信号が続くときには、上述のプロセスが繰り返され、この画像行に対するサンプリングプロセスが相応に実行される。画像は最終的に、全画像行の各ピクセルの画像信号から構成される。制御ユニット14は、信号線路18を介して伝送されるレーザ制御信号からレーザ制御電流を生成する。これはレーザダイオード駆動制御用の信号線路38を介してレーザダイオード28の直接的な駆動制御のために使用される。場合によっては、CMOSカメラ10の画像検出領域のパルス状照明と、時間的に同期すべき画像行の行毎の検出との間の位相ずれは、CMOSカメラ10および制御ユニット14へのパルス、すなわち行信号およびレーザ制御信号を時間的にずらすことによって補償される。位相ずれの原因としては、光パルス生成における時間的な遅延および光パルスの伝播時間遅延が挙げられる。このようなずれは典型的に、使用されている個々のコンポーネントに依存して固定的に調整される。またはこのずれは画質レベルを介して求められる。画質レベルは、画像の輝度および/または画像縁部における輝度勾配を、すなわち第1の画像行から最後の画像行の方向への輝度勾配に関する、制御ユニット/処理ユニット16内の画像評価を介して求められる。相応の閉ループ制御を介して時間的なずれが、制御ユニット/処理ユニット16内で求められた画質レベルに依存して最適に設定される。
【0020】
図3には、それぞれ、図2に示された信号線路34,18,38上の信号40,42,44の第1の実施例に対する時間ダイヤグラム並びに図1に示された赤外線20のレーザパルス46の時間経過特性が示されている。図3には信号40,42,44およびレーザパルス46の基本的な経過特性が示されている。図3a,3b,3cおよび3dの横座標上には、それぞれ時間tが示されている。図3aには、図2に示された信号線路34上の行信号40の電圧Uが示されている。100μsの周期を有し、約120ns持続するパルスが行信号40として生成れる。行信号40はサンプリングプロセスを実行するため、、かつ同時に次の画像行を選択するためにCMOSカメラで用いられる。図3bには、図2に示されている信号線路18上のレーザ制御信号42の電圧Uが示されている。100μsの周期を伴って、約80ns持続するパルスがレーザ制御信号42として生成される。レーザ制御信号42は、図2に示されている制御ユニット14に対する信号として用いられる。これはこのレーザ制御信号42に依存してレーザ制御電流44を生じさせる。これはその後、図2に示された、赤外線を放射する放射源12によってレーザパルス46に変換される。図3cには、図2に示された信号線路38上のレーザ制御電流44の電流Iの時間的な経過特性が示されている。最後に図3dには、レーザパルス46の放射束Φの時間的経過特性が示されている。図3aおよび図3bには行信号40のパルスの開始と、レーザ制御信号42のパルスの開始との間の時間的なずれΔtが示されている。第1の実施例では、この時間的なずれΔtは次のように調整される。すなわちレーザ制御信号42のパルスが対称的に、行信号40のパルスの中央に位置するように調整される。これに相応して時間的なずれΔtは、第1の実施例では約20nsである。
【0021】
上述した第1の実施例の変形形態では、図2に示された制御ユニット/処理ユニット16から、信号線路18および34を介して画像同期パルスが出力される。画像同期パルスは第1の画像行において行毎の画像検出の開始を定める。固有のクロック発生器自体による画像同期パルスによってトリガされて赤外線CMOSカメラ10は行信号40を生成する。これと相似して、制御ユニット14は、固有のクロック発生器自体による画像同期パルスによってトリガされて、レーザ制御信号42を同じように生成する。クロック発生器としてはこの変形形態ではクオーツが使用される。別の変形形態では時間的な同期が画像シーケンス毎に実行される。すなわち、画像シーケンス同期パルスが例えば10個の画像後に形成され、CMOSカメラ10および制御ユニット40は、行信号40およびレーザ制御信号42をその間に自身で、固有のクロック発生器によって生じさせる。上述した実施例の別の変形形態では、時間的同期が双方向で行われる。
【0022】
図4には、第2の実施例の自動車における画像形成装置の概観図が示されている。これは制御ユニット/処理ユニット16を有する赤外線カメラ10と、制御ユニット14を有する近赤外スペクトル領域で放射する放射源12から成る。以下では、図1に対する、図4の構成および機能の違いだけを記載する。図1に示された第1の実施例とは異なって、同期化線路は存在しない。画像行の行毎の検出とパルス状照明との間の時間的な同期は、上述した画質レベルを制御ユニット/処理ユニット16によって求めることによって行われる。制御ユニット/処理ユニット16は求められた画質レベルに依存して、高い画質レベルを得ることを目的にして、行信号の開始を生じさせる。ここで放射源12のパルスパターンは、画質レベルによる行信号の開始の捜索をサポートする。パルスパターンとは、ここではレーザパルスの揺れ動く周波数変化のことである。択一的または付加的に、行信号および/または画像同期パルスおよび/または画像シーケンス同期パルスの体系的な周波数シフトによってこの捜索がサポートされる。
【0023】
上述した実施例および変形形態の変形形態では、赤外線カメラとカメラの制御ユニット/処理ユニットが1つのユニットを構成する。択一的または付加的に、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源と放射源の制御ユニットが1つのユニットを構成する。
【0024】
上述した装置および方法の変形形態では一般的に少なくとも1つの赤外線カメラが使用される。これは行毎に画像行を検出する手段を有している。赤外線カメラの他に、ある変形形態では少なくとも1つの別の赤外線カメラ、殊に少なくとも1つの赤外線CMOSカメラが使用されている。上述した実施例で使用されている640×480ピクセルのカメラのマトリックスサイズ(VGAフォーマット)の他に、別の変形形態では例えば352×288ピクセル(CIEフォーマット)および/または1024×768ピクセルおよび/または1280×1024ピクセルのマトリックスサイズを有する赤外線カメラが使用される。上述した装置および方法の別の変形形態では、画像行の代わりに画像列が検出される。上述した実施例で使用される少なくとも1つの赤外線カメラは、直線的な露光特性曲線および/または対数的な露光特性曲線を有している。
【0025】
光パルスのパルス持続時間および/または周期は一般的に実施例に相応して、少なくとも1つのカメラのタイミングおよび/または少なくとも1つのカメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性(Zeitverhalten)に合わせられる。カメラのタイミングは、画像繰り返し周波数(フレーム率)および/または行同期信号および/またはピクセルクロックによって定められる。例えば1秒あたり少なくとも25画像の画像繰り返し周波数の場合には、赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて、4MHz〜20MHzのピクセルクロックが設定される。光パルスの周期は、赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて、行同期信号に相応して50μs〜100μsの間である。ピクセルの時間特性とは、短い、矩形の光パルス上のピクセルの出力信号のことである。パルス状に、近赤外スペクトル領域で放射する放射源を、できるだけ高いピーク放射出力で駆動させるために、デューティファクタ(デューティサイクル)はできるだけ小さく、有利には0.1%より小さく選択される。ピクセルの立ち上がり特性によって制限され、光パルスのパルス持続時間は次のように選択される。すなわちパルス持続時間が少なくとも1ピクセル−クロックになるように選択される。赤外線カメラのマトリックスサイズに応じて光パルスのパルス持続時間は有利には50ns〜200nsの間で選択される。
【0026】
上述した装置および方法の変形形態において近赤外スペクトル領域で放射する放射源の他に、少なくとも1つの別の、近赤外スペクトル領域で放射する放射源が使用される。択一的または付加的に少なくとも1つの近赤外スペクトル領域で放射するレーザが使用される。一般的に、少なくとも近赤外領域での赤外線をパルス状に出力するのに適している、少なくとも1つの近赤外スペクトル領域で放射する放射源が使用される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】第1の実施例の概観図。
【図2】第1の実施例のブロックダイヤグラム。
【図3】第1の実施例の時間ダイヤグラム。
【図4】第2の実施例の概観図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車における画像形成装置であって、
自動車周辺の少なくとも1つの画像を形成する少なくとも1つの赤外線カメラと、
当該少なくとも1つの赤外反応カメラの画像検出領域をパルス状に照明する少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源を有している形式のものにおいて、
少なくとも1つの画像を行毎に画像行で検出し、前記パルス状照明と画像行検出の時間的同期を実行するための手段が設けられている、
ことを特徴とする、自動車における画像形成装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは少なくとも1つの赤外線CMOSカメラである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源は、少なくとも1つの赤外放出レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードである、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源は、カメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性に合わせられたパルス持続時間を有する光パルスを出力する、殊に50ns〜200nsの間のパルス持続時間を有する光パルスを出力する手段を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記時間的同期を画像行毎および/または画像毎および/または画像シーケンス毎に実施する手段が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは、前記パルス状照明との時間的同期を自律して行う手段を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
自動車における画像形成方法であって、
少なくとも1つの赤外線カメラ、殊に少なくとも1つの赤外線CMOSカメラが自動車の周辺の少なくとも1つの画像を形成し、
少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源、殊に少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードが前記少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域をパルス状に照明する形式の方法において、
前記少なくとも1つの画像を行毎に画像行で検出し、
当該画像行の検出を前記パルス状照明と時間的に同期させる、
ことを特徴とする、自動車における画像形成方法。
【請求項8】
少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源は、カメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性に合わせられたパルス持続時間を有する光パルスを出力し、
殊に少なくとも1つの、少なくとも赤外スペクトル領域近傍で放射する放射源は、50ns〜200nsのパルス持続時間を有する光パルスを出力する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記時間的同期を、画像行毎および/または画像毎および/または画像シーケンス毎に行う、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは自律的に前記パルス状照明と時間的に同期する、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車における画像形成装置であって、
自動車周辺の少なくとも1つの画像を形成する少なくとも1つの赤外線カメラと、
当該少なくとも1つの赤外反応カメラの画像検出領域をパルス状に照明する少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源を有している形式のものにおいて、
少なくとも1つの画像を行毎に画像行で検出し、前記パルス状照明と画像行検出の時間的同期を実行するための手段が設けられている、
ことを特徴とする、自動車における画像形成装置。
【請求項2】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは少なくとも1つの赤外線CMOSカメラである、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源は、少なくとも1つの赤外放出レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードである、請求項1または2記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源は、カメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性に合わせられたパルス持続時間を有する光パルスを出力する、殊に50ns〜200nsの間のパルス持続時間を有する光パルスを出力する手段を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の装置。
【請求項5】
前記時間的同期を画像行毎および/または画像毎および/または画像シーケンス毎に実施する手段が設けられている、請求項1から4までのいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは、前記パルス状照明との時間的同期を自律して行う手段を有している、請求項1から5までのいずれか1項記載の装置。
【請求項7】
自動車における画像形成方法であって、
少なくとも1つの赤外線カメラ、殊に少なくとも1つの赤外線CMOSカメラが自動車の周辺の少なくとも1つの画像を形成し、
少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源、殊に少なくとも1つの赤外放射レーザおよび/または少なくとも1つの赤外放射レーザダイオードが前記少なくとも1つの赤外線カメラの画像検出領域をパルス状に照明する形式の方法において、
前記少なくとも1つの画像を行毎に画像行で検出し、
当該画像行の検出を前記パルス状照明と時間的に同期させる、
ことを特徴とする、自動車における画像形成方法。
【請求項8】
少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源は、カメラの少なくとも1つのピクセルの時間特性に合わせられたパルス持続時間を有する光パルスを出力し、
殊に少なくとも1つの、少なくとも近赤外スペクトル領域で放射する放射源は、50ns〜200nsのパルス持続時間を有する光パルスを出力する、請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記時間的同期を、画像行毎および/または画像毎および/または画像シーケンス毎に行う、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
前記少なくとも1つの赤外線カメラは自律的に前記パルス状照明と時間的に同期する、請求項7から9までのいずれか1項記載の方法。
【誤訳訂正2】
【訂正対象書類名】明細書
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【誤訳訂正書】
【提出日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【誤訳訂正1】
【訂正対象書類名】特許請求の範囲
【訂正対象項目名】全文
【訂正方法】変更
【訂正の内容】

【公表番号】特表2006−515129(P2006−515129A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567721(P2004−567721)
【出願日】平成15年11月8日(2003.11.8)
【国際出願番号】PCT/DE2003/003711
【国際公開番号】WO2004/071095
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(390023711)ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (2,908)
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Wernerwerkstrasse 2, D−93049 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】