説明

画像形成装置および画像形成方法

【課題】現像器内に新たな現像剤が供給されたときに、生産性の低下を抑えながら画質を安定化させる。
【解決手段】画像判断部111は、画像情報の画像種別が、写真であるかテキストであるかを判別する。トナー補給制御部112は、現像器へ新たなトナーを補給する。攪拌制御部113は、新たなトナーの補給量が所定値を超えた場合には、前記画像判断部111の判断結果に応じて、写真であれば、画像形成動作を停止して現像器内で新たなトナーを攪拌するように制御し、テキストであれば、通常の画像形成動作を継続するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に、現像器内に新たな現像剤が供給されたときに、生産性の低下を抑えながら画質を安定化させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置で使用される現像剤は、装置の使用環境や現像剤の消費状態などに依って、帯電特性、流動性などの機能特性が大きく変化する。
特に、現像器に新たな現像剤が供給され、古い現像剤に対する新たな現像剤の比率が高くなると、現像性が上がり、一時的に出力画像の濃度が急激に高くなることがある。
そこで、従来は、現像剤の供給量が閾値を超えた場合には、新たな現像剤を現像器内に分散させるために、画像処理を中断し、現像剤の攪拌処理を行うことによって、画質の安定化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−76867号公報
【特許文献2】特開2007−212778号公報
【特許文献3】特開2006−201600号公報
【特許文献4】特開2006−119479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現像剤の攪拌処理は、現像器の大きさやシステムスピードなどに依るが、概ね10〜20秒程かかる。そのため、従来は、新たな現像剤が供給されると10〜20秒程画像処理が停止することになり、生産性が低下するという問題がある。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みなされたものであって、新たな現像剤が供給された場合であっても、生産性の低下を抑えながら画質を安定化させる画像形成装置および画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置であって、前記画像情報が、多階調画像を含むか否かを判別する画像判断手段と、現像剤を攪拌するための攪拌部を含み、像担持体上の潜像を前記現像剤で現像する現像器と、前記現像器へ新たな現像剤を補給する補給手段と、画像形成動作中に補給された新たな現像剤の補給量が所定量を超えると、前記画像情報が多階調画像を含む場合、画像形成動作を停止した状態で前記攪拌部を動作させて新たな現像剤を撹拌し、前記画像情報が多階調画像を含まない場合、前記攪拌部で新たな現像剤を攪拌しつつ、画像形成動作を継続するよう制御する攪拌制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
低階調から高階調までを含む多階調画像は、新たな現像剤の補給により濃度変動を起こしやすい。
そこで、本発明は、多階調画像を含む画像データを処理しているときは、画像処理を停止して攪拌処理を行うことにより、画質低下を抑制するすることができる。一方で、多階調画像を含まない画像データを処理しているときは、画像処理を継続するので、新たな現像剤が補給されると画像データの種別に依らず常に画像処理を停止して攪拌処理を行っている従来の画像形成装置と比較して生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置10の概略構成を示す図である。
【図2】画像形成装置10の機能的な構成を示す図である。
【図3】ユーザが原稿画質のモードを設定する画面の具体例を示す図である。
【図4】PCから受信する画像データのデータ種別を判断する方法を説明するための図である。
【図5】画像種別に依って、トナーが補給された際の濃度変化が異なることを説明するための図である。
【図6】トナー補給制御およびトナー攪拌制御について説明するための図である。
【図7】トナー攪拌制御の動作を示すフローチャートである。
【図8】変形例に係るトナー攪拌制御の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る画像形成装置について、図面を参照しながら説明する。
ここでは、本発明に係る一つの実施形態である画像形成装置10について説明する。
1.画像形成装置10の構成
図1は、本発明に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
同図に示すように、画像形成装置10は、装置本体の内部に収容された、プロセスユニット1Y、1M、1C、1K、制御部105、中間転写ベルト3、定着装置4、クリーニング装置5、給紙部6などから構成される。画像形成装置10は、スキャナ機能(印刷機能)、プリンタ機能、FAX機能などを備えたフルカラーの多機能複合機である。
【0009】
以下、画像形成装置10の各構成要素について説明する。
制御部105は、CPU、ROM、RAMなどを備え、画像形成装置10全体の制御を行う。制御部105は、LAN(Local Area Network)を介して外部のパーソナルコンピュータ(以下、「PC」と記載する。)と接続されている。制御部105がLANを介してPCからプリント指示を受信すると、画像形成装置10の各部は、プリント処理を開始する。
【0010】
中間転写体としての中間転写ベルト3は、絶縁樹脂製のシート材で形成された無端状のベルトであって、駆動ローラと従動ローラとに張架されている。中間転写ベルト3は、駆動ローラを回転させることにより、図1に示す矢印Aの方向に回転駆動する。
プロセスユニット1Y、1M、1C、および1Kは、それぞれ、イエロー用、マゼンタ用、シアン用、ブラック用の作像ユニットである。それぞれ中間転写ベルト3と対向させるようにして当該中間転写ベルト3に沿って所定間隔をあけて列設されている。図1では、各プロセスユニットに含まれる構成要素の符号に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対応して、Y、M、C、Kの添え字を付している。しかし、プロセスユニットは、各色同様の構成および機能を有するため、以下では、特に区別して説明する必要が無ければ、添え字を省略して説明する。
【0011】
各プロセスユニット1は、感光体ドラム11、帯電器12、現像器13、クリーナ14、露光器15、および一次転写ローラ34などを備えており、各色のトナー像を形成する。
像担持体としての感光体ドラム11は、表面に感光体層が形成された外径約20〜100mmの円筒形状であって、図1に示す矢印の方向に回転駆動される。
【0012】
帯電器12は、感光体ドラム11との間で放電を起こさせて感光体ドラム11の表面を所定の電位に帯電させる非接触方式の帯電器である。
現像器13は、現像ローラ、攪拌部、供給部を含み、感光体ドラム11の表面にトナーを供給して、露光器15により形成された静電潜像を顕像化する。なお、現像方式はトナーとキャリアとからなる2成分現像方式でもキャリアを含まない1成分現像方式でも良い。
【0013】
一次転写ローラ34は、中間転写ベルト3を挟んで感光体ドラム11と対向配置されており、感光体ドラム11の表面のトナー像を電界と圧力によって中間転写ベルト3へ転写する。各プロセスユニット1Y〜IKによる作像動作が実行され、一次転写ローラ34Y、34M、34Cおよび34Kにより、各色のトナー像が中間転写ベルト3上の同じ位置に重なるようにタイミングをずらして一次転写する。そして、フルカラーのトナー像が中間転写ベルト3上に転写され、中間転写ベルト3は、二次転写位置に移動する。
【0014】
クリーナ14は、感光体ドラム11の表面にブレードを接触させて、その表面から不要なトナーを掻き取る。掻き取ったトナーはクリーナ14の内部に回収される。不要なトナーとは、転写不良等による転写残トナー、トナー粉塵などである。
露光器15は、レーザーダイオードなどの発光素子を備え、各色ごとにレーザー光を発し、感光体ドラム11の表面を露光走査する。これにより、帯電器12により帯電された感光体ドラム11上に静電潜像を形成する。
【0015】
給紙部6は、記録シートSを収容する給紙カセット21と、給紙カセット21内の記録シートSを搬送路上に1枚ずつ繰り出すローラ22と、繰り出された記録シートSを二次転写位置に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ対24などを備える。タイミングローラ対24は、記録シートSを二次転写のタイミングに合わせて二次転写位置へ搬送する。
【0016】
二次転写ローラ35は、二次転写位置へ搬送された記録シートSに中間転写ベルト3の表面のトナー像を転写する。二次転写ローラ35を通過した記録シートSは、定着装置4に搬送される。
定着装置4は、対向配置され接触回転する発熱定着ベルトおよび加圧ローラを備える。発熱定着ベルトと加圧ローラとの間を記録シートSが通過すると、記録シートSを加熱および加圧して、トナーを記録シートSに定着させる。その後、記録シートSは、排出ローラ対の間を通り、排出トレイ上に排出される。
【0017】
クリーニング装置5は、中間転写ベルト3の表面にクリーナブレードを当接させて、中間転写ベルト3上の転写残トナーを掻き取って、クリーニング装置5の内部に収容する。クリーナブレードは、中間転写ベルト3上にトナー像が形成されている間は中間転写ベルト3表面から離間した位置に保持され、中間転写ベルト3のトナー像が記録シートに転写された後に中間転写ベルト3の表面に当接される。
【0018】
反射型フォトセンサ7は、中間転写ベルト3上のトナーパッチを検知するためのセンサであって、中間転写ベルト3に対向配置されている。反射型フォトセンサ7は、画像制御用のAIDC(Auto Image Density Control)センサとして兼用されている。
2.画像形成装置10の機能的構成
図2は、画像形成装置10の構成を機能的に示す機能ブロック図である。
【0019】
同図に示すように、画像形成装置10は、印刷部101、操作部102、通信部103、記憶部104、および制御部105から構成される。
印刷部101は、スキャナ機能およびプリンタ機能を備える。
スキャナ機能は、本発明の画像情報生成手段に相当し、原稿台及び画像読取部等を備え、制御部105がスキャン処理を受け付けると、画像読取部が、原稿台上に載置された紙原稿から文字、図形或いは写真等の画像を読み取って、電子データからなる画像データを生成する。なお、印刷部101は、原稿トレイに載置された複数の紙原稿を、自動で1枚ずつ原稿台に搬送するADF(Auto Document Feeder)を備えていてもよい。
【0020】
プリンタ機能としては、制御部105がPCを介してプリント処理を受け付けると、印刷用に変換されたデータを用紙に印刷し紙文書として出力する。なお、印刷部101は、ソート、パンチ穴空け或いはステーブル付け等のフィニッシング機能を有するフィニッシャを備えていてもよい。
操作部102は、ユーザ操作を受け付けるための操作パネルであって、タッチパネル液晶ディスプレイ、テンキー、各種ボタンなどで構成される。タッチパネルや各種ボタンがユーザによって操作されると、操作部102は、ユーザ操作に応じた入力情報を生成し、生成した入力情報を制御部105へ通知する。また、操作部102は、制御部105から各種の画面情報を受け取り、受け取った画面情報をタッチパネル液晶ディスプレイに表示する。
【0021】
通信部103は、本発明の受信手段に相当し、制御部105を、LAN(Local Area Network)に接続するためのEthernet(登録商標)ポートや、制御部105とPC(Personal Computer)とをパラレルポート接続するためのインタフェース等を備える。また、通信部103は、公衆回線を介して画像データを送受信するためのモデム機能を備える。
【0022】
記憶部104は、HDD等の不揮発性メモリで構成され、各種設定情報、画像データ、FAX番号、電子メールアドレス、電子メールなどのデータを記憶する。
制御部105は、CPU、ROM、RAM、HDD等から構成される。HDDまたはROMには、全体制御プログラム、画像処理プログラム、画像判断プログラム、トナー補給制御プログラム、攪拌制御プログラムなど画像形成装置10を機能させるための各種のコンピュータプログラムが記録されている。制御部105は、CPUが作業用のRAMを用いて各種のコンピュータプログラムを実行することにより、他のユニットを制御し、画像形成装置10全体としての機能及び動作を制御する。
【0023】
また、制御部105は、本発明の特徴的な機能を担う画像判断部111、トナー補給制御部112、および攪拌制御部113を含む。
画像判断部111は、入力された画像データの画像種別を判断する。ここで、入力された画像データとは、印刷部101のプリンタ機能によって紙原稿から読み込まれた画像データ、および、通信部103を介してPCから受信した画像データの何れかである。また、画像種別には、「文字」、「写真」、「文字および写真」の3つの種別がある。
【0024】
紙原稿から読み込まれた画像データの場合、画像判断部111は、記憶部104に保持されている原稿画質の設定情報を取得することにより、画像種別を判断する。なお、記憶部104は、ユーザが操作部102を用いて予め設定した原稿画質の設定情報を保持している。
図3は、ユーザが原稿画質を設定するときに操作部102に表示される画面の具体例を示す図である。画面上には、文字画像を示すアイコン231、文字および写真画像を示すアイコン232、および、写真画像を示すアイコン233を含む。
【0025】
ユーザは、原稿が主に文字のみから構成される場合には、アイコン231を選択する。また、原稿が文字および写真から構成される場合には、アイコン232を選択する。また、原稿が写真である場合には、アイコン233を選択する。操作部102は、ユーザが選択したアイコンに対応する設定情報を、記憶部104に格納する。
画像判断部111は、記憶部104に保持されてい原稿画質の設定情報が「文字」の場合、画像データの画像種別は「文字」であると判断し、設定情報が「文字および写真」の場合、画像データの画像種別は「文字および写真」であると判断し、設定情報が「写真」の場合、画像データの画像種別は「写真」であると判断する。
【0026】
PCから受信した画像データの場合、画像判断部111は、画像データに付加されているタグ情報を用いて画像種別を判断する。
図4は、PCから受信した画像データの画像種別の判断について説明するための図である。PCから画像形成装置10へ送信されるプリント原画像データ240は、ヘッダ部241およびデータ部242から構成される。ヘッダ部241は、データ部242に格納されている画像データの種別を示すタグ情報を含む。画像データの種別は、「文字」、「写真」、「文字および写真」の3種類である。
【0027】
画像判断部111は、プリンタドライバ250の一部の機能により、画像種別の判断を行う。プリンタドライバ250は、プリント原画像データ240のヘッダ部241からタグ情報を抽出する(251)、そして、タグ情報に記載されているデータ種別を判断する(252)。
このように、画像判断部111は、入力された画像データの画像種別を判断し、判断結果を攪拌制御部113へ通知する。
【0028】
ここで、現像器13に新品トナーが補給された際の濃度変化が、画像種別によって異なることを説明する。
図5の曲線Aは、新品トナー補給前における、画像データの階調値と反射濃度との関係を表している。曲線Bは、新品トナー補給後における、画像データの階調値と反射濃度との関係を表している。
【0029】
新品トナーが現像器13に補給されると、基本的に現像性が上昇する。現像器13内に存在する既存の現像剤と新品トナーとが完全に攪拌されれば基準の階調特性を得られるが、攪拌処理が不十分である場合には、部分的に現像性が上昇して1枚の出力画像内で濃度が均一とならずに画質が低下する。
図5に示すように、現像性上昇による濃度変化は、低階調で大きく、高階調になるにつれて小さくなる。べた濃度(階調値=255)では、濃度変化が最も小さい。
【0030】
文字画像(線画)は、高階調画像であり、写真画像は、低階調から高階調まで含み、特に中間調中心に構成されている多階調画像である。
そこで、画像種別が「文字」と判断された画像データは、新品トナーの補給による影響を受けにくく、画像種別が「写真」または「文字および写真」と判断された画像データは、新品トナーの補給による影響を受けやすい。
【0031】
次に、図6を用いて、本発明の補給手段であるトナー補給制御部112および本発明の攪拌制御手段である攪拌制御部113の詳細について説明する。
トナー補給制御部112は、図6に記載のROM201、CPU202、透磁率センサ210、トナー補給モータ駆動回路214、トナー補給モータ215、トナー格納部203から構成される。攪拌制御部113は、図6に記載のROM201、CPU202、トナー攪拌モータ駆動回路216、およびトナー攪拌モータ217から構成される。
【0032】
なお、図6では、トナー補給制御およびトナー攪拌制御を説明するために、現像器13の構成要素である現像ローラ205、攪拌部206、および供給部208も記載している。
3.トナー攪拌処理について
ここでは、先ず、現像器13内部でのトナー攪拌処理について説明する。
【0033】
現像器内のトナー濃度(キャリアとトナーの比率)は、常に一定に保たれ、トナーが現像ローラ205に達するまでに、最適な電荷量を保持していることが望ましい。
また、新品トナーが大量に補給された場合には、現像剤の流動性も変化する。特に、キャリアを使用しない1成分現像方式では、流動性の変化が顕著に現れる。1成分現像方式の場合、トナーの流動性はトナー製造時に添加される後処理剤により制御される。後処理剤は、新品トナーの場合にはトナー表面に付着しているが、トナーが現像器内を循環する間にトナー表面から剥がれ落ち、徐々に流動性が低下する。トナーの流動性が低下すると、現像ローラ表面に供給されるトナー量が低下するので、出力画像の濃度が低下する。
【0034】
そこで新品トナーが大量に補給された場合には、新品トナーが一様に分布するように、新品トナーと既存の現像剤とを十分に攪拌して、トナーの帯電性および流動性を均一にしておかないと再現画像に濃度ムラが生じることがある。
図6に示すように、攪拌部206の内部には、トナー格納部203から補給された新品トナーと既に現像器内に残存する現像剤とを攪拌し、さらに、現像剤を搬送するための攪拌スクリュー207が配置されている。供給部208の内部には、供給部208内の現像剤を攪拌および搬送するための供給スクリュー209が配置されている。
【0035】
また、攪拌部206と供給部208との間には、現像剤通路212および213が形成されている。画像形成動作によってトナー濃度が低下した現像剤は、供給部208から現像剤通路212を通って攪拌部206へ移動する。そして、トナー格納部203から攪拌部206に新品トナーが補給されると、新品トナーは攪拌部206の内部で攪拌スクリュー207によって残存する現像器と攪拌される。そして、トナー濃度が回復した現像剤は、攪拌部206から現像剤通路213を通って供給部208へ搬送される。
【0036】
なお、CPU202がトナー攪拌モータ駆動回路216を制御して、トナー攪拌モータ217を回転駆動させると、攪拌スクリュー207および供給スクリュー209は、連動して回転する。
4.トナー補給制御について
次に、トナー補給制御について説明する。
【0037】
現像器13内部のトナー濃度を検出するために、攪拌部206の下流側に透磁率センサ210が備えられている。
透磁率センサ210は、攪拌部206内のトナー濃度検知を行う。透磁率センサ210は、検知結果をAD変換することにより検出信号を生成し、生成した検出信号をCPU202へ出力する。CPU202と接続されているROM201には、予め、基準値が格納されている。この基準値は、規定のトナー濃度を透磁率センサ210が生成する検知信号に変換した値である。
【0038】
CPU202は、透磁率センサ210から出力された検知信号とROM201に格納されている基準値とを比較し、その差分に応じてトナー補給量を決定する。
なお、ROM201には、温度、湿度などに対応した補正テーブルが予め格納されていることが望ましい。CPU202は、補正テーブルを加味してトナー補給量を決定してもよい。
【0039】
CPU202は、決定したトナー補給量をトナー格納部203から現像器13へ補給するために必要なトナー補給スクリュー204の回転時間tを算出する。そして、CPU202は、トナー補給モータ駆動回路214を制御して、トナー補給モータ215を時間tだけ回転駆動させる。
トナー補給スクリュー204が回転すると、トナーはトナー通路211まで搬送され、トナー通路211を介して攪拌部206に補給される。
5.トナー攪拌制御について
続いて、図7を用いてトナー攪拌制御について説明する。図7は、トナー攪拌制御処理の動作を示すフローチャートである。
【0040】
トナー格納部203から攪拌部206へ新品トナーが補給されると(ステップS1)、CPU202は、単位時間当たりのトナーの補給量Tを算出する(ステップS2)。
ROM201には、濃度変動閾値Stが記憶されている。新品トナーの単位時間当たりの補給量が濃度変動閾値Stを超えると濃度変化が大きくなり、出力画像の画質が低下する。
【0041】
CPU202は、ステップS2で算出した単位時間当たり補給量Tと、ROM201に記憶されている濃度変動閾値Stとを比較する。
単位時間当たりの補給量Tが、濃度変動閾値Stを超えていない場合(ステップS3でNO)、画像形成装置10は、通常の画像形成処理を継続する。
単位時間当たりの補給量Tが、濃度変動閾値Stを超えている場合(ステップS3でYES)、CPU202は、画像判断部111から画像データの画像種別を受け取り、受け取った画像種別を判断する。
【0042】
画像種別が「文字」の場合(ステップS4で「文字」)、画像形成装置10は、通常の画像形成処理を継続する。
画像種別が「写真」または「文字および写真」の場合(ステップS4で「写真」、「文字/写真」)、攪拌制御処理を実行する(ステップS5)。
ステップS5の攪拌制御処理は、CPU202が、画像形成処理を停止させた状態で、トナー攪拌モータ駆動回路216を制御して、トナー攪拌モータ217を回転駆動させることをいう。その後、画像形成装置10は、通常の画像形成処理を行う。
【0043】
なお、CPU202は、給紙部6の動作を停止させ、また、感光体ドラム11を帯電させつつ、露光器15による感光体ドラム11への露光を停止することにより、画像形成処理を停止させる。
なお、図7のフローチャートに記載した処理は、Y、M、C、およびKの各色の現像器についてそれぞれ個別に行われる処理である。即ち、トナーの補給が必要な色について、ステップS1〜ステップS5までの処理が行われ、トナーの補給が不要な色については、図7の処理は行われない。
6.実施の形態の効果
以上説明したように、上記の実施の形態では、新品トナーの補給による影響を受けにくい文字画像を処理しているときは、新品トナーが補給されたとしても画像形成処理を停止させない。一方で、新品トナーの補給により画質低下を起こしやすい写真画像を処理しているときは、画像形成処理を停止してトナーの攪拌処理を行う。
【0044】
従来の画像形成装置は、文字画像であっても写真画像であっても、新品トナーが補給されると画像形成処理を停止してトナーの攪拌処理を行っていたので、本実施形態は、従来の画像形成装置と比較して生産性が向上する。
7.その他の変形例
本発明を上記の実施形態に基づき説明してきたが、本発明は、上記の実施形態に限定されないのは勿論であり、以下のような場合も含まれる。
(1)上記の実施形態では、Y、M、C、およびKの各色の現像器について、攪拌制御処理が個別に行われるので、攪拌制御処理が不要な現像器と攪拌制御処理が必要な現像器とが存在することになる。しかし、フルカラーの画像を出力するため、攪拌制御処理が不要な現像器であっても、他の現像器の攪拌制御処理が行われている間、画像形成を停止することになる。
【0045】
そこで、攪拌制御処理が不要な現像器では、他の現像器の攪拌制御処理が行われている間に、攪拌制御処理以外の他の処理を行ってもよい。
図8は、このときの処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS1〜ステップS5までは、図7の処理と同様である。ステップS3において、単位時間当たりの補給量Tが、濃度変動閾値Stを超えていない場合(ステップS3でNO)、および、ステップS4において、画像種別が「文字」の場合(ステップS4で「文字」)には、処理待ち状態か否か判断する。「処理待ち状態」とは、他の現像器で攪拌制御処理を行う必要があるために、画像形成処理を待たされている状態を言う。
【0046】
処理待ちでなければ(ステップS16でNO)、画像形成装置10は、通常の画像形成処理を継続する。処理待ちであれば(ステップS16でYES)、攪拌制御処理以外の処理として先行処理を行う(ステップS17)。なお、「先行処理」とは、通常は攪拌制御処理が終了してから行うが、攪拌制御処理が行われて画像形成動作が停止している間に先に行う処理を指す。このように、待ち時間に先行処理を行うことによって、さらに、生産性を向上させることができる。
【0047】
以下、先行処理の具体例を説明する。
(a)先行処理として、以下に示す画像安定化処理を行ってもよい。
AIDCセンサである反射型フォトセンサ7は、中間転写ベルト上におけるY、M、C、およびKそれぞれのべた付着量(濃度)を検出する。そして、制御部105は、検出した濃度と予め保持している基準濃度とを比較し、検出した濃度が基準濃度になるように現像器の制御および補正を行う。なお、画像安定化処理では、一次転写後の中間転写ベルト上で濃度検出を行う場合に限定されず、現像後の感光体ドラム上で濃度検出を行ってもよい。
(b)先行処理として、以下に示す劣化トナーの排出処理を行ってもよい。
【0048】
現像器内のトナーの劣化が進むと、カブリなどの現象が生じ、画像形成機能自体が果たされない可能性がある。そこで、劣化検出手段であるAIDCセンサ(反射型フォトセンサ7)が中間転写ベルト上において検出したY、M、C、Kそれぞれのべた付着量(濃度)に基づいてトナーの劣化度合いを検出し、劣化が激しい場合には現像器内の現像剤を外部へ排出する。
【0049】
なお、劣化検出手段としては、AIDCセンサ以外にも、現像器内のトナー濃度を検出する透磁率センサを用いてもよいし、トナーが現像器へ供給されてからの時間を計測するタイマを用いてもよい。
(c)先行処理として、以下に示すトナー供給処理を行ってもよい。
クリーナ14は、ブレードを感光体ドラム11上に接触させ、摩擦により、転写されたなかったトナーを掻き取る。クリーニング装置5も同様に、ブレードを中間転写ベルト3に接触させ、摩擦により、転写されなかったトナーを掻き取る。ここで、ブレードと感光体ドラム11、および、ブレードと中間転写ベルト3の間には、常に潤滑剤として機能するトナーが存在する。そして、この潤滑剤として機能するトナーが減少すると、感光体ドラム11および中間転写ベルト3に傷が付く可能性あるためブレードにトナーを供給する必要がある。特に、階調値の低い画像データの印字が続くと、ブレードに存在するトナーが減少しやすいため、現像器からブレードへトナーを供給する必要がある。
【0050】
そこで、制御部105は、印刷履歴などを参照して、階調値の低い画像データの画像形成処理が続いていることを検出すると、ブレードに潤滑剤として機能するトナーを供給する処理を行う。
具体的に、クリーナ14のブレードにトナーを供給するには、感光体ドラム11表面のトナーが中間転写ベルト3へ一次転写しないように、感光体ドラム11と中間転写ベルト3とが離間するように制御する。そして、感光体ドラム11表面にトナーが付着した状態で感光体ドラム11を回転させることにより、感光体ドラム11からブレードへトナーを供給する。
【0051】
クリーニング装置5のブレードにトナーを供給するには、中間転写ベルト3を記録シートから離間する機能を有する装置であれば、中間転写べルト3にトナーが供給されている状態のときに、中間転写ベルトと記録シートとが離間するように制御する。また、中間転写ベルト3を記録シートから離間する機能を有していない装置であれば、中間転写ベルト3から記録シートへトナーが二次転写しないように逆バイアス電圧をかけてもよい。
【0052】
このようにして中間転写ベルト3上に残留したトナーは、クリーニング装置5のブレードに供給される。
(2)上記の実施形態では、入力された画像データの画像種別を判断する方法として、原稿画質の設定情報を用いる方法と、PCから受信した画像データのタグ情報をプリンタドライバが取得する方法とを記載した。
【0053】
しかし、本発明では、入力された画像データの画像種別を判断する方法は、これらに限定されず、例えば、以下のような場合も含まれる。
画像形成装置10は、印刷部101のスキャナ機能によって読み取った画像データから、当該画像データを構成する画素の階調値を基に、読み取った画像データが写真画像であるか文字画像であるかの判別を行う領域判別部を備えていてもよい。
【0054】
具体的には、領域判別部は、入力された画像データの各画素について、r、g、b色の画素データ(256階調)を公知の変換式を用いて明度データに変換する。領域判別部は、生成された明度データをフィルタにかけてノイズを除去し、所定値の閾値によって2値化する。
その後、領域判別部は、2値化された画素を連結して所定の大きさのブロックを生成する。そして、ブロック内に中間調の画素が含まれる割合を計算し、中間調の画素の割合が閾値を超えた場合には、写真画像領域であると判別する。閾値を超えない場合は、文字領域であると判別する。
【0055】
さらに、その後、領域判別部は、原稿1枚に相当する画像データに含まれる写真画像領域と文字画像領域との割合に応じて、入力された画像データが写真画像であるか文字画像であるかを判別する。
(3)上記の実施形態では、フルカラーの画像形成装置を例に説明したが、本発明の画像形成装置はカラー機に限定されず、モノクロ機であってもよい。
(4)上記の実施形態と各変形例とを組み合わせた場合も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、画像形成装置を製造および販売する産業において、生産性の低下を抑えながら画質を安定化させる技術として利用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 プロセスユニット
3 中間転写ベルト
4 定着装置
5 クリーニング装置
6 給紙部
7 反射型フォトセンサ
10 画像形成装置
11 感光体ドラム
12 帯電器
13 現像器
14 クリーナ
15 露光器
21 給紙カセット
22 ローラ
24 タイミングローラ対
34 一次転写ローラ
35 二次転写ローラ
101 印刷部
102 操作部
103 通信部
104 記憶部
105 制御部
111 画像判断部
112 トナー補給制御部
113 攪拌制御部
201 ROM
202 CPU
203 トナー格納部
204 トナー補給スクリュー
205 現像ローラ
206 攪拌部
207 攪拌スクリュー
208 供給部
209 供給スクリュー
210 透磁率センサ
211 トナー通路
212 現像剤通路
213 現像剤通路
214 トナー補給モータ駆動回路
215 トナー補給モータ
216 トナー攪拌モータ駆動回路
217 トナー攪拌モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置であって、
前記画像情報が、多階調画像を含むか否かを判別する画像判断手段と、
現像剤を攪拌するための攪拌部を含み、像担持体上の潜像を前記現像剤で現像する現像器と、
前記現像器へ新たな現像剤を補給する補給手段と、
画像形成動作中に補給された新たな現像剤の補給量が所定量を超えると、前記画像情報が多階調画像を含む場合、画像形成動作を停止した状態で前記攪拌部を動作させて新たな現像剤を撹拌し、前記画像情報が多階調画像を含まない場合、前記攪拌部で新たな現像剤を攪拌しつつ、画像形成動作を継続するよう制御する攪拌制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像情報は、写真画像またはテキスト画像の何れかであって、
前記画像判断手段は、前記画像情報が写真画像であるかテキスト画像であるかを判別し、写真画像である場合に多階調画像を含み、テキスト画像である場合に多階調画像を含まないと判別する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、さらに、
原稿画像を読み取り、読み取った原稿画像から前記画像情報を生成する画像情報生成手段と、
前記原稿画像がテキスト画像であるか写真画像であるかを示す画像モードの入力を受け付ける受付手段とを備え、
前記画像判断手段は、前記受付手段により受け付けた入力に基づき、前記画像情報が写真画像であるかテキスト画像であるかを判別する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像形成装置は、さらに、
ネットワークを介して接続されている端末装置から、前記画像情報および前記画像情報のデータ種別を受信する受信手段を備え、
前記画像判断手段は、受信した前記データ種別を用いて、前記画像情報がテキスト画像であるか写真画像であるかを判別する
ことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
請求項1に記載の画像形成装置は、前記現像器、前記補給手段、および前記攪拌制御手段を色ごとに備えたフルカラーの画像形成装置であって、
各色の現像器のうち、画像形成動作を停止して攪拌部を動作させる現像器が存在する場合に、画像形成動作が停止している間、画像形成以外の他の処理を行う
ことを特徴とするフルカラー画像形成装置。
【請求項6】
前記フルカラー画像形成装置は、
中間転写体と、
一次転写後の前記中間転写体上において各色の濃度測定を行うセンサと、
前記センサによる濃度測定の結果に基づいて、各色の測定濃度が基準濃度になるよう制御する濃度安定化手段とを備え、
画像形成動作が停止している間、前記他の処理として、前記濃度安定化手段による制御を行う
ことを特徴とする請求項5に記載のフルカラー画像形成装置。
【請求項7】
前記フルカラー画像形成装置は、さらに、
各現像器内の現像剤の劣化度合いを検出する劣化検出手段を備え、
画像形成動作が停止している間、前記他の処理として、劣化した現像剤を排出する処理を行う
ことを特徴とする請求項5に記載のフルカラー画像形成装置。
【請求項8】
前記フルカラー画像形成装置は、
複数の色ごとに、像担持体と前記像担持体上の現像剤を除去するクリーニング手段とを備えており、
画像形成動作が停止している間、前記他の処理として、前記クリーニング手段に潤滑剤として機能する現像剤を供給する処理を行う
ことを特徴とする請求項5に記載のフルカラー画像形成装置。
【請求項9】
前記フルカラー画像形成装置は、
中間転写体と前記中間転写体上の現像剤を除去するクリーニング手段とを備えており、
画像形成動作が停止している間、前記他の処理として、前記クリーニング手段に潤滑剤として機能する現像剤を供給する処理を行う
ことを特徴とする請求項6に記載のフルカラー画像形成装置。
【請求項10】
画像情報に基づいて画像形成を行う画像形成装置で用いられる画像形成方法であって、
前記画像形成装置は、現像剤を攪拌するための攪拌部を含み、像担持体上の潜像を前記現像剤で現像する現像器を備え、
前記画像形成方法は、
前記画像情報が、多階調画像を含むか否かを判別する画像判断ステップと、
前記現像器へ新たな現像剤を補給する補給ステップと、
画像形成動作中に補給された新たな現像剤の補給量が所定量を超えると、前記画像情報が多階調画像を含む場合、画像形成動作を停止した状態で前記攪拌部を動作させて新たな現像剤を撹拌し、前記画像情報が多階調画像を含まない場合、前記攪拌部で新たな現像剤を攪拌しつつ、画像形成動作を継続するよう制御する攪拌制御ステップと
を含むことを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−3181(P2012−3181A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−140405(P2010−140405)
【出願日】平成22年6月21日(2010.6.21)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】