説明

画像形成装置における給紙方法

【課題】中間転写方式を用いる画像形成装置において、用紙収納部から次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知できるような給紙方法を提案すること。
【解決手段】複数色に色分解された画像情報を、複数の感光体ドラム3を用いて、それぞれの感光体ドラム3と所定圧力で接触し回転する中間転写ベルト7に積層転写した後に、給紙カセット10から搬送される用紙に一括転写することによってカラー画像を用紙上に形成する中間転写方式を用いる画像形成装置において、印字要求枚数が複数枚のとき、給紙カセット10から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する用紙ピックアップ工程を行うタイミングを給紙枚数に応じて異ならせて、給紙カセット10に収納されている用紙の有無を検知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中間転写方式を用いた画像形成装置における給紙方法に関し、特に、印字要求枚数が複数枚のとき、用紙収納部からの給紙タイミングを制御して用紙収納部に収納されている次の用紙の有無を検知できるようにした給紙方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の印字処理速度は高速化している。また、従来のモノクロ印字の画像形成装置に加えて、カラー印字の画像形成装置の開発が進んでいる。カラー印字の画像形成装置の一例として、複数色(例えば、K、C、M、Yの4色)に色分解された画像情報を、複数の静電潜像担持体を用いて、各静電潜像担持体と所定圧力で接触し回転する中間転写ベルトに重ね合わせて転写した後に、用紙収納部(例えば、給紙カセット等)から搬送されるシート(用紙)に一括転写することによってカラー画像を用紙上に形成する中間転写方式を用いる画像形成装置がある。
【0003】
このような中間転写方式の画像形成装置において、印字要求があった場合には、指定されたサイズの用紙が収納されている用紙収納部から給紙するようにしていた。ところが、連続印字の途中で給紙カセットの用紙がなくなった場合、用紙がなくなったことが検知されたときには、中間転写ベルト上では、次の用紙に対する印字工程がすでに開始されていた。このため、画像形成した画像や未定着現像剤が無駄になったり、クリーニング部の負荷増大を招いたり、静電潜像担持体や現像器にも負荷がかかり、ライフ特性が低下したりするという問題点があった。
【0004】
そこで、画像形成装置において、用紙収納部の後端部分に用紙有無センサを配置することで、連続印字時においても前の用紙を少しだけピックアップした時点で次の用紙の有無を検知できるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この技術では、感光体ベルトに画像が書き込まれる前に、次の用紙の有無を検知できるようにして、用紙がない場合には、感光体ベルトへの画像の書き込みを中止することにより上記問題点の解消を図ろうとしている。
【0005】
次に、従来の中間転写方式を用いた画像形成装置における給紙方法について、図7を用いて説明する。図7は、従来の中間転写方式を用いた画像形成装置における印字要求枚数が複数枚のときの印字工程と給紙工程とを示すタイミングチャートである。なお、図7には、1枚目〜3枚目の用紙に対する印字工程および給紙工程を示しているが、4枚目以降の用紙に対する印字工程および給紙工程(印字要求枚数が4枚以上の場合)は、3枚目の用紙に対する印字工程および給紙工程と同様のタイミングで行われる。
【0006】
中間転写方式を用いた画像形成装置において、連続印字要求があった場合、つまり、複数枚の印字要求があった場合には、まず、印字前処理が行われる。なお、印字前処理は、印字要求枚数が1枚のみか、複数枚かにかかわらず行われる。
【0007】
印字前処理の後、1枚目の用紙に対する印字工程と給紙工程とが行われる。印字工程は、各色(この場合には、第1色目〜第4色目)の印字工程と一括転写工程とからなり、第1色目(例えば、イエロー)の印字工程→第2色目(例えば、マゼンタ)の印字工程→第3色目(例えば、シアン)の印字工程→第4色目(例えば、ブラック)の印字工程→一括転写工程の順序で行われる。各色の印字工程は、帯電器により静電潜像担持体を帯電する主帯電工程と、露光ユニットにより静電潜像担持体を露光し、その表面に静電潜像を形成する像露光工程と、現像剤(トナー)により静電潜像を顕像化し、静電潜像担持体にトナー像を形成する現像工程と、トナー像を中間転写ベルトに転写する転写工程とからなり、主帯電工程→像露光工程→現像工程→転写工程の順序で行われる。
【0008】
1枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程は、印字前処理の後に行われる。第1色目〜第4色目の印字工程では、中間転写ベルトに、各色のトナー像が順次的に重ねて転写されていき、これにより、中間転写ベルト上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。一括転写工程では、2次転写部において、中間転写ベルト上の多色トナー像が搬送されてくる用紙に一括転写される。
【0009】
2枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程は、1枚目の用紙に対する印字工程における第2色目の印字工程の途中のタイミングで開始する。これ以降の2枚目の用紙に対する印字工程は、1枚目の用紙に対する印字工程と同様の順序で行われる。そして、同様のタイミングで、3枚目以降の用紙に対する印字工程が行われる。
【0010】
一方、給紙工程には、給紙カセットから用紙を1枚ずつ用紙搬送路に供給する用紙ピックアップ工程と、用紙を給紙カセットからレジストローラまで搬送する第1用紙搬送工程と、レジストローラを回転させて用紙をレジストローラから2次転写部まで搬送する第2用紙搬送工程とが含まれる。
【0011】
1枚目の用紙に対する給紙工程において、用紙ピックアップ工程は、印字前処理の後、上述した1枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程と略同じタイミング(時刻t1)で開始し、1枚目の用紙が給紙カセットから用紙搬送路に供給される。この用紙ピックアップ工程と同じタイミング(時刻t1)で、レジストローラまでの第1用紙搬送工程が開始し、1枚目の用紙が用紙搬送路に沿ってレジストローラまで搬送される。その後、1枚目の用紙に対する印字工程における一括転写工程が開始(時刻t3)する少し前のタイミング(時刻t2)で、レジストローラが回転し始め、このレジストローラの回転による第2用紙搬送工程が開始する。この第2用紙搬送工程は、1枚目の用紙の先端と中間転写ベルト上の多色トナー像の先端とが2次転写部において合うようなタイミングで開始する。
【0012】
2枚目の用紙に対する給紙工程における用紙ピックアップ工程、および第1用紙搬送工程は、3枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程が開始された後のタイミング(時刻t4)で開始する。そして、同様のタイミングで、3枚目以降の用紙に対する給紙工程における用紙ピックアップ工程、および第1用紙搬送工程が開始する。また、2枚目以降の用紙に対する給紙工程における第2用紙搬送工程は、1枚目以降の用紙に対する給紙工程における第2用紙搬送工程と同様のタイミング(時刻t6)で開始する。
【特許文献1】特開2000−109224号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、上述のような従来の中間転写方式を用いた画像形成装置における給紙方法には、次のような問題点があった。
【0014】
図7に示すように、印字要求枚数が複数枚のとき、1枚目の用紙に対する用紙ピックアップ工程は、印字前処理の後、1枚目の用紙に対する第1色目の印字工程の主帯電工程と略同じタイミング(時刻t1)で開始していた。このため、上記特許文献1に示されるように、給紙カセットの後端部分に用紙有無センサを配置した場合には、2枚目の用紙の有無は、2枚目の用紙に対する印字工程の開始前に検知することができた。
【0015】
これに対して、3枚目以降の用紙については、給紙カセットの後端部分に用紙有無センサを配置した場合であっても、給紙される用紙の有無は、この用紙に対する印字工程の開始前には検知することができなかった。例えば、3枚目の用紙の有無の検知は、2枚目の用紙に対する用紙ピックアップ工程が開始(時刻t4)した後(時刻t5)に行われるところ、この2枚目の用紙の用紙ピックアップ工程は、3枚の用紙に対する第1色目の印字工程の主帯電工程よりも、時間T1だけ遅れて開始していた。
【0016】
このため、3枚目以降の用紙については、連続印字の途中で給紙カセットの用紙がなくなる可能性があり、上記背景技術で述べたような問題点が発生する可能性があった。
【0017】
本発明は、中間転写方式を用いる画像形成装置において、用紙収納部から次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知でき、連続印字途中で用紙収納部の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点を解決できるような給紙方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、複数に色分解された画像情報を、複数の静電潜像担持体を用いて、各静電潜像担持体と所定圧力で接触し回転する中間転写ベルトに積層転写した後に、用紙収納部から搬送される用紙に一括転写することによってカラー画像を用紙上に形成する中間転写方式を用いる画像形成装置における給紙方法であって、印字要求枚数が複数枚のとき、前記用紙収納部から用紙を1枚ずつ用紙搬送路に供給する用紙ピックアップ工程を行うタイミングを給紙枚数に応じて異ならせて、用紙収納部に収納されている用紙の有無を検知することを特徴とする。
【0019】
このような給紙方法によれば、印字要求枚数が複数枚のとき、用紙ピックアップ工程を行うタイミングを給紙枚数に応じて異ならせることで、2枚目の用紙についてだけでなく、3枚目以降の用紙についても、次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知するようにできる。これにより、連続印字途中で用紙収納部の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点、具体的には、画像形成した画像や未定着現像剤が無駄になったり、クリーニング部の負荷増大を招いたり、静電潜像担持体や現像器にも負荷がかかり、ライフ特性が低下したりするという問題点が起こることを未然に防ぐことができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置における給紙方法において、前記用紙ピックアップ工程を、前ピックアップおよび後ピックアップの2つに分けて行うことを特徴とする。
【0021】
この場合、前記前ピックアップによる用紙の搬送距離は、最大限、用紙の先端が前記用紙収納部の近傍に設けられる重送防止用部材に到達する距離であり、最小限、用紙の後端が用紙の有無を検知する用紙検知部を通過する距離である。ここで、前記用紙検知部は、前記用紙収納部の後部において移動可能に設けられている。
【0022】
このような給紙方法によれば、前ピックアップが行われると、次に給紙される用紙が用紙収納部にあるか否かを検知することができる。これにより、次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知するようにでき、連続印字途中で用紙収納部の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点を解決することができる。
【0023】
また、本発明の画像形成装置における給紙方法において、前記前ピックアップを、2枚目以降の用紙に対して行うことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の画像形成装置における給紙方法において、2枚目以降の用紙に対する前記前ピックアップが終了するタイミングを、その次の用紙に対する印字工程が開始する前としたことを特徴とする。ここで、前記次の用紙に対する印字工程の開始とは、前記複数の静電潜像担持体のうち、前記一括転写を行う一括転写部から最遠の静電潜像担持体に対する主帯電器による電界付与の開始のことである。
【0025】
このような給紙方法によれば、印字要求枚数が複数枚のとき、3枚目以降の用紙について、2枚目以降の用紙に対する前ピックアップが終了するタイミングは、次の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程が開始する前となる。これにより、次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知することができ、用紙収納部に次の用紙がないと検知された場合には、印字工程をその開始前に停止することができる。この結果、連続印字途中で用紙収納部の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点、具体的には、画像形成した画像や未定着現像剤が無駄になったり、クリーニング部の負荷増大を招いたり、静電潜像担持体や現像器にも負荷がかかり、ライフ特性が低下したりするという問題点が起こることを未然に防ぐことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、上述のような給紙方法であるから、2枚目の用紙についてだけでなく、3枚目以降の用紙についても、印字工程が開始する前のタイミングで用紙の有無を検知することができる。これにより、連続印字途中で用紙収納部の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点が起こることを未然に防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
【0028】
まず、本発明を適用する画像形成装置の全体的な構成について説明する。図1に示すように、画像形成装置100は、露光ユニット1、現像器2、感光体ドラム(静電潜像担持体)3、主帯電器5、クリーナユニット4、中間転写ベルトユニット8、定着ユニット12と、用紙搬送路S、給紙カセット10、排紙トレイ15等により構成されている。画像形成装置100は、外部から伝達された画像データに応じて、所定のシート(用紙)に対して多色(カラー)の画像を形成するものである。
【0029】
そして、画像形成装置100は、以下に述べるように、複数色(この例では4色)に色分解された画像情報を、複数(この例では4つ)の感光体ドラム3を用いて、それぞれの感光体ドラム3と所定圧力で接触し回転する中間転写ベルト7に積層転写した後に、給紙カセット10等の用紙収納部から搬送される用紙に一括転写することによってカラー画像を用紙上に形成する中間転写方式を用いるカラー画像形成装置として構成されている。
【0030】
なお、画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の各色を用いたカラー画像に応じたものである。したがって、現像器2(2a、2b、2c、2d)、感光体ドラム3(3a、3b、3c、3d)、主帯電器5(5a、5b、5c、5d)、クリーナユニット4(4a、4b、4c、3d)は、各色(K、C、M、Y)に応じた4種類の潜像を形成するようにそれぞれ4個ずつ設けられており、画像形成装置100には、4つの画像ステーション(画像形成部)が構成されている。ここで、添え字aの構成部材がブラックに、添え字bの構成部材がシアンに、添え字cの構成部材がマゼンタに、添え字dの構成部材がイエローにそれぞれ対応している。
【0031】
感光体ドラム3は、画像形成装置100の上部に配置(装着)されている。それぞれの感光体ドラム3の周囲には、主帯電器5、現像器2、クリーナユニット4等が配置されている。
【0032】
主帯電器5は、主帯電工程において、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるものであり、この例では、接触式のローラ型の帯電器が用いられている。なお、ブラシ型の帯電器、チャージャ型の帯電器等を用いてもよい。
【0033】
露光ユニット1は、像露光工程において、主帯電器5により帯電された感光体ドラム3を入力された画像データに応じて露光することによって、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成するものであり、この例では、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)が用いられている。なお、発光素子がアレイ状に並べられたELやLED書込みヘッド等を用いてもよい。
【0034】
現像器2は、現像工程において、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を各色(K、C、M、Y)のトナーにより顕像化し、各色のトナー像を形成するものである。現像工程の後、転写工程において、後述するように、感光体ドラム3上のトナー像が中間転写ベルト7に転写される(1次転写)。
【0035】
クリーナユニット4は、現像・転写後における感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去・回収するものである。
【0036】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット8は、中間転写方式を用いて用紙上にカラー画像を形成するものであり、中間転写ベルト7、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73、中間転写ベルト従動ローラ72、中間転写ローラ6(6a、6b、6c、6d)、および中間転写ベルトクリーニングユニット9を備えている。
【0037】
中間転写ベルト7は、中間転写ベルト駆動ローラ71、中間転写ベルトテンション機構73の中間転写ベルトテンションローラ74、中間転写ローラ6、中間転写ベルト従動ローラ72等に張架されており、矢印B方向に回転駆動する。この例では、中間転写ベルト7は、厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。また、中間転写ベルト7は、それぞれの感光体ドラム3および中間転写ローラ6に挟まれるようにして設けられている。この中間転写ベルト7に、それぞれの感光体ドラム3に形成されたトナー像が順次的に重ねて転写されることによって、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。
【0038】
このような感光体ドラム3から中間転写ベルト7へのトナー像の転写は、中間転写ベルト7の裏側に接触している中間転写ローラ6によって行われる。この中間転写ローラ6は、中間転写ベルトテンション機構73の中間転写ローラ取付部に回転可能に支持されている。そして、感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト7上に転写するために、中間転写ローラ6には、高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。
【0039】
中間転写ローラ6は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス等)の軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えば、EPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト7に対して均一に高電圧を印加することができる。なお、この例では、ローラ状の転写電極を使用しているが、ブラシ状のものを用いてもよい。
【0040】
上述のように、入力された画像情報が、それぞれの感光体ドラム3上で各色に応じて顕像化され、さらに、中間転写ベルト7上に積層転写される。そして、一括転写工程において、積層された画像情報は、中間転写ベルト7の回転によって、中間転写ベルト7と2次転写ローラ11とが圧接している2次転写部70において用紙上に一括転写される(2次転写)。
【0041】
このとき、中間転写ベルト7と2次転写ローラ11とは、2次転写部70において所定ニップで圧接されているとともに、2次転写ローラ11には、中間転写ベルト7に積層された多色トナー像を用紙に転写させるための電圧(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加される。そして、2次転写ローラ11および中間転写ベルト駆動ローラ71のうち、一方を硬質材料(例えば金属等)のローラとし、他方を軟質材料(例えば、ゴム、発泡性樹脂等)の弾性ローラとして、上記ニップを定常的に得られるようにしている。
【0042】
それぞれの感光体ドラム3との接触により中間転写ベルト7に付着したトナーのうち、2次転写ローラ11によって用紙上に転写が行われず中間転写ベルト7上に残留したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット9により除去・回収されるようにしている。中間転写ベルトクリーニングユニット9には、中間転写ベルト7に接触するクリーニング部材として、例えば、クリーニングブレードが備えられている。中間転写ベルト7は、クリーニングブレードと接触する位置で裏側から中間転写ベルト従動ローラ72により支持されている。
【0043】
給紙カセット10は、画像形成に使用する用紙を蓄積しておく用紙収納部として、画像形成装置100の画像形成部および露光ユニット1の下側に設けられている。一方、排紙トレイ15は、印刷済みの用紙をフェイスダウンで載置するために、画像形成装置100の上部に設けられている。
【0044】
定着ユニット12は、ヒートローラ31、加圧ローラ32等を備えており、ヒートローラ31および加圧ローラ32は、用紙を挟んで回転するようになっている。ヒートローラ31は、図示しない温度検出器からの信号に基づいて所定の定着温度となるように温度制御されている。ヒートローラ31および加圧ローラ33は、用紙を熱圧着することで用紙に転写された多色トナー像を溶融・混合・圧接する。これにより、用紙に対して多色トナー像を熱定着するようにしている。このような定着ユニット12による定着後、用紙は、搬送ローラ(25−2、25−3)によって搬送され、フェイスダウンで(多色トナー像を下側に向けて)排紙トレイ15に排出される。
【0045】
画像形成装置100には、用紙を給紙カセット10から2次転写部70や定着ユニット12を経由させて排紙トレイ15に搬送する用紙搬送路Sが設けられている。給紙カセット10から排紙トレイ15までの用紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ(用紙搬送ローラ)16、レジストローラ14、2次転写部70、定着ユニット12、用紙を搬送する搬送ローラ25等が配置されている。そして、用紙搬送路Sは、給紙カセット10の近傍に配置されている搬送ローラ25−1から、排紙トレイ15の近傍に配置されている搬送ローラ25−3までの間では、略垂直に形成されている。
【0046】
搬送ローラ25は、用紙の搬送を促進・補助するための小型のローラであり、用紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ16は、給紙カセット10の先端部に備えられ、給紙カセット10から用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する呼び込みローラである。また、レジストローラ14は、用紙搬送路Sに沿って搬送されている用紙を一旦保持するとともに、用紙の先端と中間転写ベルト7上の多色トナー像の先端とを合わせるタイミングで用紙を2次転写部70に搬送するローラである。
【0047】
用紙搬送路Sにおいて、給紙カセット10から給紙された用紙は、搬送ローラ25−1によってレジストローラ14まで搬送され、用紙の先端と中間転写ベルト7上の画像情報の先端を整合するタイミングで2次転写部70に搬送され、2次転写部で用紙上に画像情報が書き込まれる。その後、用紙は定着ユニット12で用紙上の未定着トナーが溶融・固着され、搬送ローラ25−2、搬送ローラ(排紙ローラ)25−3によって搬送され、フェイスダウンで(多色トナー像を下側に向けて)排紙トレイ15に排出される(片面印字要求の場合)。
【0048】
一方、印字要求内容が両面印字要求の場合には、上述のように片面印字が終了し、定着ユニット12を通過した用紙は、その後端が排紙ローラ25−3でチャックされた状態で、排紙ローラ25−3が逆回転することによって、反転搬送路S´に導かれる。反転搬送路S´では、搬送ローラ25−7、25−8によって搬送された後、再び用紙搬送路Sに導かれる。そして、レジストローラ14を経て、裏面印字が行われた後に排紙トレイ15に排出される。
【0049】
画像形成装置100には、上述の給紙カセット10とともに、ユーザが少数枚の印字を行うとき、給紙カセット10の開閉動作を行わなくてもよいように手差しトレイ20が配置されている。手差しトレイ20の端部には、ピックアップローラ21が備えられており、手差しトレイ20の用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに導くようになっている。手差しトレイ20に積載される用紙は、ピックアップローラ21によって給紙され、複数の搬送ローラ(25−6、25−5、25−4)を経て、レジストローラ14まで搬送される。それ以降は、給紙カセット10から給紙される用紙の場合と同様にして排紙トレイ15に排出される。
【0050】
次に、画像形成装置100における給紙方法について、図2〜図6を用いて説明する。この例の給紙方法では、印字要求枚数が複数枚のとき、給紙カセット10等の用紙収納部から用紙を給紙する給紙タイミングを給紙枚数に応じて異ならせて、用紙収納部に収納されている用紙の有無を検知するようにしている。
【0051】
まず、給紙カセット10について、図2、図4〜図6を用いて詳しく説明する。上述したように、給紙カセット10の先端部には、ピックアップローラ16が配置されている。後述する給紙工程の用紙ピックアップ工程では、ピックアップローラ16の動作により、給紙カセット10に収納されている用紙が1枚ずつ用紙搬送路Sに供給される。また、用紙搬送路Sにおける給紙カセット10の近傍には、さばきローラ(重送防止用部材)119が設けられており、用紙の重送を防止するようにしている。
【0052】
給紙カセット10の先端部および後部には、用紙先端押え板113および用紙後端押え板114が設けられており、用紙の先端および後端を押さえた状態で用紙を収納するようにしている。用紙先端押え板113は、給紙カセット10の先端部に固定されているのに対し、用紙後端押え板114は、給紙カセット10の底面に形成されているスライド溝117に沿って前後にスライドするスライド板115に取り付けられている。スライド板115には、スライド溝117と契合するスライドギア116が形成されている。これにより、用紙後端押え板114を、収納する用紙のサイズに応じた位置までスライドさせることによって、用紙の先端を常に所定の位置に合わせるようにしている。また、回転板118が設けられており、給紙カセット10に収納される用紙の先端側を上方に持ち上げるようにしている。
【0053】
給紙カセット10の後部には、給紙カセット10に収納されている用紙の有無を検知するための用紙検知部110が設けられている。用紙検知部110は、発光センサ111と受光センサ112とからなる。発光センサ111は、スライド板115の後端に取り付けられており、スライド溝117に沿って用紙後端押え板114とともに前後にスライドする。一方、受光センサ112は、給紙カセット10の上方の画像形成装置100の装置フレーム120に取り付けられている。受光センサ112は、少なくとも用紙後端押え板114とともにスライドする発光センサ111の移動範囲にわたって設けられている。
【0054】
発光センサ111からは、受光センサ112に向けて光信号が送られる。この光信号は、給紙カセット10に用紙がある場合には、用紙の後端部に遮られて受光センサ112まで届かない。逆に、給紙カセット10に用紙がない場合には、発光センサ111からの光信号は受光センサ112まで到達する。つまり、給紙カセット10の用紙がなくなると、発光センサ111からの光信号が受光センサ112により受光される。このように、発光センサ111から受光センサ112へ光信号が到達したか否かによって、給紙カセット10の用紙の有無を検知するようにしている。
【0055】
そして、画像形成装置100においては、次の2つの関係式(式1)、(式2)が成り立っている。
【0056】
L1/V1≦(L2−L3)/V2+L3/V1 ・・・ (式1)
V1×1.0<V2<V×2.0 ・・・ (式2)
ここで、図2に示すように、L1は、2次転写部70から最も遠く配置されている感光体ドラム3(この例では、イエローの感光体ドラム3d)における主帯電器5dによる電界付与部50から、感光体ドラム3d上のトナー像が中間転写ベルト7に転写される1次転写部60までの感光体ドラム3dの回転方向に沿った感光体ドラム3d上の距離(X)と、この1次転写部60から2次転写部70までの中間転写ベルト7の回転方向に沿った中間転写ベルト7上の距離(Y)との和である。L2は、給紙カセット10の用紙検知部110から2次転写部70までの用紙搬送方向に沿った距離であり、L3は、用紙搬送路S上のレジストローラ14から2次転写部70までの距離である。また、V1は、中間転写ベルト7の駆動速度であり、レジストローラ14から2次転写部70までにおける用紙搬送速度である。V2は、レジストローラ14までにおける用紙搬送速度である。
【0057】
次に、画像形成装置100における給紙を行うタイミングについて、図3を用いて説明する。図3は、印字要求枚数が複数枚のときの印字工程および給紙工程を示すタイミングチャートである。なお、図3には、1枚目〜3枚目の用紙に対する印字工程および給紙工程を示しているが、4枚目以降の用紙に対する印字工程および給紙工程(印字要求枚数が4枚以上の場合)は、2、3枚目の用紙に対する印字工程および給紙工程と同様のタイミングで行われる。
【0058】
画像形成装置100において、複数枚の印字要求があった場合(連続印字要求があった場合)、まず、印字前処理が行われる。この印字前処理の後、1枚目の用紙に対する印字工程および給紙工程が行われる。
【0059】
印字工程は、第1色目〜第4色目の印字工程と一括転写工程とからなり、第1色目〜第4色目の印字工程の後、一括転写工程が行われる。第1色目〜第4色目の印字工程は、2次転写部70から遠くに配置されている画像ステーションにおける印字工程から順に行われ、第1色目(この例では、イエロー)の印字工程→第2色目(この例では、マゼンタ)の印字工程→第3色目(この例では、シアン)の印字工程→第4色目(この例では、ブラック)の印字工程の順に行われる。各色の印字工程は、主帯電器5により感光体ドラム3を帯電する主帯電工程と、露光ユニット1により感光体ドラム3を露光し、その表面に静電潜像を形成する像露光工程と、現像器2のトナーにより静電潜像を顕像化し、感光体ドラム3にトナー像を形成する現像工程と、トナー像を中間転写ベルト7に転写する転写工程とからなり、主帯電工程→像露光工程→現像工程→転写工程の順序で行われる。
【0060】
1枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程は、印字前処理の後に行われる。第1色目〜第4色目の印字工程では、中間転写ベルト7に、各色のトナー像が順次的に重ねて転写されていき、これにより、中間転写ベルト7上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。一括転写工程では、2次転写部70において、中間転写ベルト7上の多色トナー像が搬送されてくる用紙に一括転写される。
【0061】
2枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程は、1枚目の用紙に対する印字工程における第2色目の印字工程の途中のタイミング(時刻t13)で開始する。これ以降の2枚目の用紙に対する印字工程は、1枚目の用紙に対する印字工程と同様の順序で行われる。そして、同様のタイミングで、3枚目以降の用紙に対する印字工程が行われる。
【0062】
一方、給紙工程には、ピックアップローラ16により給紙カセット10に収納されている用紙を1枚ずつ用紙搬送路Sに供給する用紙ピックアップ工程と、用紙を給紙カセット10からレジストローラ14まで搬送する第1用紙搬送工程と、レジストローラ14を回転させて用紙をレジストローラ14から2次転写部70まで搬送する第2用紙搬送工程とが含まれる。
【0063】
さらに、用紙ピックアップ工程では、前ピックアップと後ピックアップとが行われる。前ピックアップでは、ピックアップローラ16の動作により、給紙カセット10に収納された状態の用紙をピックアップし、所定時間(図3では、T11、T21、T31)だけ搬送方向(用紙搬送路Sに向かう方向)に搬送する。この所定時間の前ピックアップにより用紙が搬送される距離は、最小限、用紙の後端が発光センサ111の直上方を通過する距離であり、最大限、用紙の先端がさばきローラ119に到達する距離である。つまり、前ピックアップによる用紙の搬送距離は、用紙後端押え板114から発光センサ111の直上方までの距離よりも長く、かつ、用紙搬送路Sの始端からさばきローラ119までの距離よりも短くなっている。
【0064】
前ピックアップが終了すると、ピックアップローラ16は一旦停止し、用紙搬送が一旦停止する。このとき、用紙の後端は発光センサ111の直上方を通過しており、これにより、発光センサ111の上方に用紙がなくなった場合には、発光センサ111からの光信号が受光センサ112へ届き、次に給紙される用紙がないことが検知される。発光センサ111は、上述したように、スライド板115の後端、つまり、給紙カセット10に収納されている用紙後端の下方に設けられているため、前ピックアップが行われると、次に給紙される用紙が給紙カセット10にあるか否かを検知することができる。
【0065】
後ピックアップは、前ピックアップの終了後、所定時間(図3では、T12、T22、T32)が経過すると開始する。後ピックアップでは、ピックアップローラ16の再動作により、用紙搬送路Sのさばきローラ119の手前で停止している用紙をレジストローラ14に向けて所定時間(図3では、T13、T23、T33)だけ搬送する。この所定時間の後ピックアップにより、用紙の後端が給紙カセット10から用紙搬送路Sへ送り出される。
【0066】
1枚目の用紙に対する給紙工程において、用紙ピックアップ工程の前ピックアップは、印字前処理の後、上述した1枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程と略同じタイミング(時刻t11)で開始する。この前ピックアップは、時間T11だけ行われ、これにより、1枚目の用紙がピックアップされ、さばきローラ119の手前まで用紙搬送路Sに沿って搬送される。前ピックアップの終了後、時間T12経過後(時刻t12)に後ピックアップが開始する。後ピックアップは、時間T13だけ行われ、これにより、1枚目の用紙の後端が給紙カセット10から用紙搬送路Sへ送り出される。この後ピックアップが開始するのと同じタイミング(時刻t12)で、レジストローラ14までの第1用紙搬送工程が開始する。これにより、用紙搬送路Sに供給された1枚目の用紙が用紙搬送路Sに沿ってアイドルローラ14まで搬送される。
【0067】
その後、1枚目の用紙に対する印字工程における一括転写工程が開始(時刻t17)する少し前のタイミング(時刻t18)で、レジストローラ14が回転し始め、このレジストローラ14の回転による第2用紙搬送工程が開始する。この第2用紙搬送工程は、1枚目の用紙の先端と中間転写ベルト7上の多色トナー像の先端とが2次転写部70において合うようなタイミングで開始する。2枚目以降の用紙に対する給紙工程における第2用紙搬送工程は、1枚目以降の用紙に対する給紙工程における第2用紙搬送工程と同様のタイミングで開始する。
【0068】
2枚目の用紙に対する給紙工程における用紙ピックアップ工程の前ピックアップは、3枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程が開始(時刻t16)する前のタイミング(時刻t14)で、時間T21だけ行われる。つまり、2枚目の用紙に対する前ピックアップが終了するタイミングが、3枚目の用紙に対する第1色目の主帯電工程が開始(時刻t16)する前となっている。前ピックアップの終了後、時間T22経過すると、後ピックアップと第1用紙搬送工程とが開始する。そして、同様のタイミングで、3枚目以降の用紙に対する給紙工程における用紙ピックアップ工程の前ピックアップおよび後ピックアップと、第1用紙搬送工程とが開始する。
【0069】
以上のように、画像形成装置100における用紙ピックアップ工程では、前ピックアップと後ピックアップとが分けて行われており、印字要求枚数が複数枚のとき、2枚目以降の用紙に対する前ピックアップが終了するタイミングが、次の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程が開始する前となっている。次の用紙とは、給紙工程で対象となる用紙に対して次の用紙という意味である。
【0070】
また、用紙ピックアップ工程では、前ピックアップが行われる時間について、時間T11と時間T21と時間T31とは一致している(T11=T21=T31)。また、後ピックアップが行われる時間について、時間T13と時間T23と時間T33とは一致している(T13=T23=T33)。これに対し、前ピックアップと後ピックアップとの間の時間については、時間T22と時間T32とは略一致し、両者は時間T12よりも長くなっている(T12<T22≒T32)。このように、2枚目以降の用紙ピックアップ工程に要する時間を1枚目よりも長くしている。こうして、用紙ピックアップ工程が終了するタイミング(後ピックアップが終了するタイミング)を基準とした場合、用紙ピックアップ工程が開始するタイミング(前ピックアップが開始するタイミング)が、1枚目の用紙に対する用紙ピックアップ工程よりも、2枚目以降の用紙に対する用紙ピックアップ工程では早くなっている。つまり、2枚目以降の用紙に対しては、給紙工程のスタートタイミングが早くなっている。
【0071】
そして、この例では、印字要求枚数が複数枚のとき、2枚目の用紙については、1枚目の用紙に対する前ピックアップが印字前処理の後、1枚目の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程と略同じタイミング(時刻t11)で開始するため、従来の場合(図7参照)と同様に、2枚目の用紙に対する印字工程が開始(時刻t13)する前に、2枚目の用紙の有無を検知することができる。
【0072】
また、3枚目以降の用紙については、2枚目以降の用紙に対する前ピックアップが終了するタイミングを、次の用紙に対する印字工程における第1色目の印字工程の主帯電工程が開始する前としている。このため、次に給紙される用紙の有無を、この用紙に対する印字工程が開始する前に検知することができ、従来の場合(図7参照)と比べて早く検知することができる。
【0073】
このように、2枚目の用紙についてだけでなく、3枚目以降の用紙についても、印字工程が開始する前のタイミング(例えば、3枚目の用紙では、印字工程が開始(時刻t16)する前のタイミング(時刻t15))で用紙の有無を検知することができ、給紙カセット10に次の用紙がないと検知された場合には、印字工程をその開始前に停止することができる。これにより、連続印字途中で給紙カセット10の用紙がなくなった場合に発生していた従来の問題点、具体的には、画像形成した画像や未定着現像剤が無駄になったり、クリーナユニット4の負荷増大を招いたり、感光体ドラム3や現像器2にも負荷がかかり、ライフ特性が低下したりするという問題点が起こることを未然に防ぐことができる。
【0074】
上述では、図3に示すように、1枚目の用紙に対する用紙ピックアップ工程を、2枚目以降の用紙に対する用紙ピックアップ工程と同様に、前ピックアップと後ピックアップとに分けて行う例について説明したが、従来の場合(図7参照)と同様に、前ピックアップと後ピックアップとに分けずに行うこともできる。つまり、少なくとも、2枚目以降の用紙に対して、用紙ピックアップ工程を前ピックアップと後ピックアップとに分けて行うようにすればよい。
【0075】
また、上述では、図3に示すように、給紙カセット10から複数枚の用紙を紙間をあけて給紙する例について説明したが、紙間をあけずに連続して給紙することもできる。この場合には、2枚目以降の用紙に対する前ピックアップは、前の用紙に対する後ピックアップと同時に行うようにすればよい。つまり、前の用紙が後ピックアップで用紙搬送路Sに沿ってレジストローラに向けて搬送されている状態で、次の用紙の前ピックアップを行うようにすればよい。
【0076】
さらに、上述では、図1に示すように、用紙収納部として、給紙カセット10が1つ設けられている画像形成装置100に適用する例について説明したが、複数の給紙カセットが設けられる場合や、手差しトレイ20から給紙を行う場合にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明を適用する画像形成装置の一実施形態を示す説明図である。
【図2】画像形成装置内部の配置関係を模式的に示す説明図である。
【図3】印字要求枚数が複数枚ときの印字工程と給紙工程とを示すタイミングチャートである。
【図4】給紙カセット内部を示す側面図である。
【図5】給紙カセット後部を示す平面図である。
【図6】給紙カセット後部に設けられる発光センサ等を示す側面図である。
【図7】従来の中間転写方式を用いた画像形成装置における印字要求枚数が複数枚のときの印字工程と給紙工程とを示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
【0078】
1 露光ユニット
2 現像器
3 感光体ドラム
5 主帯電器
6 中間転写ローラ
7 中間転写ベルト
10 給紙カセット
11 2次転写ローラ
14 レジストローラ
16 ピックアップローラ
70 2次転写部
100 画像形成装置
110 用紙検知部
S 用紙搬送路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数に色分解された画像情報を、複数の静電潜像担持体を用いて、各静電潜像担持体と所定圧力で接触し回転する中間転写ベルトに積層転写した後に、用紙収納部から搬送される用紙に一括転写することによってカラー画像を用紙上に形成する中間転写方式を用いる画像形成装置における給紙方法であって、
印字要求枚数が複数枚のとき、前記用紙収納部から用紙を1枚ずつ用紙搬送路に供給する用紙ピックアップ工程を行うタイミングを給紙枚数に応じて異ならせて、用紙収納部に収納されている用紙の有無を検知することを特徴とする画像形成装置における給紙方法。
【請求項2】
前記用紙ピックアップ工程を、前ピックアップおよび後ピックアップの2つに分けて行うことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項3】
前記前ピックアップによる用紙の搬送距離は、最大限、用紙の先端が前記用紙収納部の近傍に設けられる重送防止用部材に到達する距離であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項4】
前記前ピックアップによる用紙の搬送距離は、最小限、用紙の後端が用紙の有無を検知する用紙検知部を通過する距離であることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項5】
前記用紙検知部を、前記用紙収納部の後部において移動可能に設けたことを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項6】
前記前ピックアップを、2枚目以降の用紙に対して行うことを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれかに記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項7】
2枚目以降の用紙に対する前記前ピックアップが終了するタイミングを、その次の用紙に対する印字工程が開始する前としたことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれかに記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項8】
前記次の用紙に対する印字工程の開始とは、前記複数の静電潜像担持体のうち、前記一括転写を行う一括転写部から最遠の静電潜像担持体に対する主帯電器による電界付与の開始のことであることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置における給紙方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成装置における給紙方法において、
L1を、最遠の静電潜像担持体における主帯電器による電界付与部から、静電潜像担持体上のトナー像が中間転写ベルトに転写される1次転写部までの静電潜像担持体の回転方向に沿った静電潜像担持体上の距離と、1次転写部から一括転写部までの中間転写ベルトの回転方向に沿った中間転写ベルト上の距離との和、
L2を、用紙収納部の用紙検知部から一括転写部までの用紙搬送方向に沿った距離、
L3を、用紙搬送路に沿って配置されるレジストローラから一括転写部までの距離、
V1を、中間転写ベルトの駆動速度、
V2を、用紙搬送路におけるレジストローラまでにおける用紙搬送速度とすると、次の2つの関係式、
L1/V1≦(L2−L3)/V2+L3/V1
V1×1.0<V2<V×2.0
が成り立つことを特徴とする画像形成装置における給紙方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−76671(P2006−76671A)
【公開日】平成18年3月23日(2006.3.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−259671(P2004−259671)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】