画像形成装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法
【課題】 急激な圧力変化を発生させずにインクジェットヘッドのヘッド内圧を微正圧にすること。
【解決手段】 インクジェットヘッドのメンテナンスは、加圧ポンプを駆動してエアータンク内の圧力を所定の圧力まで高め、エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、インクタンクとエアータンクとを連通させ、インクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させ、パージ工程後、インクタンクとエアータンクとを連通させた状態でエアータンク、又はインクタンクを複数回間欠的に大気開放し、ヘッド内圧がインクジェットヘッドからインクが垂れ落ちない程度の微正圧になるようにインクタンク内の圧力を減圧させる。
【解決手段】 インクジェットヘッドのメンテナンスは、加圧ポンプを駆動してエアータンク内の圧力を所定の圧力まで高め、エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、インクタンクとエアータンクとを連通させ、インクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させ、パージ工程後、インクタンクとエアータンクとを連通させた状態でエアータンク、又はインクタンクを複数回間欠的に大気開放し、ヘッド内圧がインクジェットヘッドからインクが垂れ落ちない程度の微正圧になるようにインクタンク内の圧力を減圧させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドからインクを噴射して画像形成媒体に画像形成するための画像形成装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に示すようにインクジェットヘッド1は、ノズルプレート3と各圧電素子(PZT)4とを有する。ノズルプレート3は、複数のノズル2を形成している。各圧電素子4は、複数のノズル2毎に設けられている。インクジェットヘッド1は、各ノズル2毎に各圧電素子4により形成された各インク室5を有する。
【0003】
画像形成時に各圧電素子4が変位動作すると、各インク室5内の圧力が高くなる。これにより、各ノズル2からそれぞれインク6が噴射される。
また、インクジェットヘッド1は、各インク室5内にそれぞれバックプレッシャが加えられることにより各ノズル2に各メニスカス7を形成する。
【0004】
ところが、インク室5内に塵や埃、エアー、変質したインク液等の混入、ノズル2やノズル2の近傍への塵や埃等の付着物の付着があると、メニスカス7は壊れる。このため、各ノズル2から噴射される各インク6の量が適正量にならない。インク6の噴射方向が変化する。この結果、高画質の画像形成ができなくなる。
このような事からインクジェットヘッド1のメンテナンスが行なわれる。例えば特許文献1は、次のようなメンテナンスの技術を開示する。
インクジェットヘッドにおける所定のノズルは、吸引キャップ等の密閉手段により密閉される。密閉された密閉手段の内部は、負圧状態にされる。この状態で、吸引キャップ等の密閉手段がインクジェットヘッドに対して掃引移動される。吸引キャップ等の密閉手段は、ノズル内の残留インクを吸引する。これにより、ノズル内の気泡や異物などが排出される。
【0005】
インクジェットヘッド1のメンテナンスでは、各ノズル2内及び各インク室5内の気泡や異物などを排出し、壊れたメニスカス7を回復し、新たに壊れたメニスカス7を発生しないことである。特許文献1のようにただ単にインクジェットヘッドに対して負圧状態にした密閉手段を掃引移動させるだけでは、インクジェットヘッド1のノズル2にメニスカス7を確実に回復することに困難性がある。
【0006】
このような問題を解決するために従来では、図17に示すような構成で各色(K、C、M、Y)別の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のメンテナンスを行っている。
【0007】
各色(K、C、M、Y)別の各分配器10−1〜10−4には、それぞれ複数のインクジェットヘッド1k−1〜1y−6が接続されている。各分配器10−1〜10−4には、各チューブ11−1〜11−4を介して各インクタンク(サブタンク)12−1〜12−4が接続されている。
【0008】
各インクタンク12−1〜12−4内には、それぞれ各色の各インク6k、6c、6m、6yが充填されている。各インクタンク12−1〜12−4には、それぞれ各大気開放チューブ13−1〜13−4が接続されている。各大気開放チューブ13−1〜13−4には、それぞれ各大気開放弁14−1〜14−4が設けられている。なお、各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの液面高さ位置と各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0009】
各インクタンク12−1〜12−4には、各連通チューブ15−1〜15−4を介して各エアータンク16−1〜16−4が接続されている。各連通チューブ15−1〜15−4には、各加圧弁17−1〜17−4が設けられている。各インクタンク12−1〜12−4には、それぞれ図示しない各色別の各インクボトルが接続されている。各インクタンク12−1〜12−4には、各インクボトルから各色のインク6k、6c、6m、6yが供給される。
各エアータンク16−1〜16−4には、各加圧チューブ18−1〜18−4を介して各加圧ポンプ19−1〜19−4が接続されている。
【0010】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応して各クリーニング部材20k−1〜20y−6が設けられている。図17では、図示する煩雑さを避けるためにK色の各クリーニング部材20k−1〜20k−3のみを示す。
K色の各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、それぞれ吸引チューブ21を介して吸引ポンプ21に接続されている。K色の各クリーニング部材(吸引ヘッド)20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対してそれぞれ摺動する。
【0011】
次に、K色のメンテナンス動作について説明する。
先ず、大気開放弁14−1が閉じる。これと共に、加圧弁17−1−4が閉じる。
次に加圧ポンプ19−1が駆動する。加圧ポンプ19−1からのエアーは、加圧チューブ18−1を通してエアータンク16−1に供給される。このとき、加圧弁17−1が閉じられているので、エアータンク16−1内の圧力は上昇する。
【0012】
エアータンク16−1内の圧力が所定の圧力(パージに必要な圧力)に達すると、加圧弁17−1が開放される。これにより、エアータンク16−1内のパージ圧力は、加圧弁17−1を通してインクタンク12−1に加えられる。インクタンク12−1内の圧力は上昇する。
【0013】
圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているインク6kは、チューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにインク6kは、インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズル2からインク6kが吐出される。インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。このようにインク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などを排出することをパージと称する。
【0014】
次に、大気開放弁14−1が開放される。これにより、インクタンク12−1内の圧力は減圧される。このとき、大気開放弁14−1を閉じるタイミングを制御することによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各インク室5内の圧力を所定の微正圧に設定される。
【0015】
微正圧の設定によってインクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からインク6kが少しずつ吐出される。なお、インク6kは、各ノズル2から少しずつ吐出されてもノズルプレート上から垂れ落ちない程度に留まっている状態にある。
この状態で、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズルプレート3に対して接触しながら摺動される。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズルプレート3に排出されたインクを掻き取りながら吸引する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−347260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、インクタンク12−1を大気開放することによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6内の圧力を所定の微正圧まで低下させる際、急激な圧力変化によって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6内の圧力が正圧から一時的に負圧に低下し、再び正圧に戻るようなアンダーシュートを発生する場合がある。このような場合、ノズルからインク室内にエアーが巻き込まれるおそれがある。
そこで、本発明では、急激な圧力変化を発生させずにインクジェットヘッドのヘッド内圧を微正圧にすることができる画像記録装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の主要な局面に係る画像形成装置は、インクを収容するインクタンクと、インクタンクから供給されたインクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、インクタンク内を加圧する加圧タンクと、インクタンクと加圧タンクとの間を連通する第1の弁を有する連通部材と、インクタンク又は加圧タンクに設けられ、インクタンク内又は加圧タンク内を大気開放する第2の弁と、インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも第1の弁及び第2の弁の開閉動作を制御する制御部とを有し、制御部は、第2の大気開放弁を閉塞し、第1の弁を開放することで加圧タンクからインクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させるインク吐出制御部と、インクジェットヘッドからインクを吐出させた後、第1の弁を開放した状態で第2の弁を複数回間欠的に開閉することでヘッド内圧をインクジェットヘッドのノズルからインクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部とを備える。
【0019】
本発明の主要な局面に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、インクを収容するインクタンクと、インクタンクから供給されたインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクタンクと接続されるエアータンクと、エアータンク内を加圧する加圧ポンプとを有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、加圧ポンプを駆動し、エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、インクタンクとエアータンクとを連通させ、インクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させるパージ工程と、パージ工程後、インクタンクとエアータンクとを連通させた状態でエアータンク、又はインクタンクを複数回間欠的に大気開放し、ヘッド内圧がインクジェットヘッドからインクが垂れ落ちない程度の微正圧になるようにインクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程とを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、急激な圧力変化を発生させずにインクジェットヘッドのヘッド内圧を微正圧にすることができる画像記録装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】同装置におけるメンテナンスユニットの構成図。
【図3】同装置におけるクリーニング部材の構成図。
【図4】同装置におけるインク供給系の構成図。
【図5】同装置におけるメンテナンス開始時のベルトプラテン及び各インクパンの移動位置を示す図。
【図6】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図8】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図9】本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態を示す全体構成図。
【図10】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第4の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図12】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図13】本発明に係る画像形成装置の第5の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図14】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図15】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図16】インクジェットヘッドの概略構成図。
【図17】従来における画像形成装置のメンテナンスを行うための構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図16及び図17と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図1は画像形成装置の全体構成図である。装置本体30は、下部筐体31と上部筐体32とからなる。上部筐体32の一方の側面には、給紙トレイ33が着脱可能に取り付けられている。給紙トレイ33には、複数枚の画像形成媒体34が収納されている。給紙トレイ33の給紙端部には、ピックアップローラ35が設けられている。ピックアップローラ35は、給紙トレイ33内に収納されている画像形成媒体34を1枚ずつ上部筐体32に給紙する。
【0023】
上部筐体32内における給紙トレイ33からの給紙路上には、一対のレジストレーションローラ対36が設けられている。レジストレーションローラ対36は、給紙トレイ33から給紙された画像形成媒体34を所定の搬送速度でベルトプラテン37に供給する。
ベルトプラテン37は、3つのプラテンローラ38a、38b、38cと、無端で帯状の搬送ベルト38dとを有する。搬送ベルト38dは、各プラテンローラ38a、38b、38c間に掛けられている。
【0024】
各プラテンローラ38a、38b、38cのうちプラテンローラ38aは、駆動ローラになっている。各プラテンローラ38a、38bの間には、エアー吸引部38eが設けられている。ベルトプラテン37は、供給された画像形成媒体34をエアー吸引部38eによりエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着する。ベルトプラテン37は、プラテンローラ38aの駆動により画像形成媒体34を所定の搬送速度でY方向に搬送する。
【0025】
上部筐体32内におけるベルトプラテン37からの排紙路上には、排出ローラ対39が設けられている。上部筐体32の他方の側面には、排紙トレイ40が着脱可能に取り付けられている。排紙トレイ40には、排出ローラ対39から排出された画像形成された画像形成媒体34が収納される。
各色の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6がベルトプラテン37の上方に設けられている。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、それぞれ各色(K、C、M、Y)毎にY方向に所定の間隔を開けて設けられている。K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6は、X軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。同様に、C、M、Y色の各インクジェットヘッド1c−1〜1c−6、1m−1〜1m−6、1y−1〜1y−6は、それぞれX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。
【0026】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、それぞれ2つのインクヘッド単体を互いの各背面を合わせて並設してなる。2つのインクヘッド単体は、それぞれ各インク6k〜6yを噴射する複数のノズル2を配列してなる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の上部には、それぞれ各色別に各分配器10−1〜10−4が接続されている。
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各側面側には、それぞれ各色別の各インクパン41k、41c、41m、41yが設けられている。各インクパン41k〜41yは、図2に示すようにメンテナンスユニット42内のメンテナンスキャリッジ43に連結されている。
【0027】
メンテナンスユニット42には、X方向駆動機構44及びY方向駆動機構45が設けられている。X方向駆動機構44は、メンテナンスユニット42をX方向に移動させる。Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42をY方向に移動させる。
メンテナンスユニット42の各コーナ部には、Z軸方向の各ガイド46が設けられている。メンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の移動(上下移動)に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に移動する。
【0028】
各インクパン41k、41c、41m、41y上には、それぞれ各クリーニング部材20k−1〜20y−6が設けられている。なお、図2上では、符号が煩雑になることから全ての符号の記載を省略する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各色毎に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の配置位置に対応してX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。
【0029】
各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示すように凸状部47の両側にそれぞれ各ワイプブレード47−1、47−2を設け、かつ複数の吸引ノズル48、49を設けている。
【0030】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、上述したようにそれぞれ2つのインクヘッド単体の各背面を合わせて並設してなる。これにより、2つのインクヘッド単体の間に凸状部47が入る。一方のインクヘッド単体にワイプブレード47−1が接触する。これと共に、一方のインクヘッド単体に対して複数の吸引ノズル48によりエアー吸引が行われる。これと同時に、他方のインクヘッド単体にワイプブレード47−2が接触する。これと共に、他方のインクヘッド単体に対して複数の吸引ノズル49によりエアー吸引が行われる。
【0031】
上部筐体32の上部には、各色別の各インクボトル50k、50c、50m、50yが設けられている。上部筐体32の下部には、各色別の各インクタンク12−1〜12−4が設けられている。下部筐体31には、廃液ボトル51が設けられている。
図4は各色のインク6k〜6yのインク供給系の構成図である。1台の加圧ポンプ52は、1本の加圧チューブ53を介して1つのエアータンク54に接続されている。エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間には、各連通チューブ15−1〜15−4が接続されている。各連通チューブ15−1〜15−4の途中には、それぞれ各圧力弁17−1〜17−4が設けられている。
【0032】
又、各連通チューブ15−1〜15−4における各インクタンク12−1〜12−4側の各先端は、それぞれ各インクタンク12−1〜12−4内に配設され、かつこれら先端は、それぞれ各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの各液面よりも常に上方に位置するものとなっている。
【0033】
従って、各圧力弁17−1〜17−4が開放されている状態では、各インクタンク12−1〜12−4及びエアータンク54は、各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になる。
画像形成制御部55は、画像形成媒体34に対する画像形成の一連の動作制御を行う。すなわち、画像形成制御部55は、給紙トレイ33に収納されている画像形成媒体34をピックアップローラ35により1枚ずつピックアップして上部筐体32内に供給する。
【0034】
画像形成制御部55は、供給された画像形成媒体34をレジストレーションローラ対36によりタイミングを調整してベルトプラテン37に搬送する。
画像形成制御部55は、画像形成媒体34をエアー吸引部38eによるエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着させる。この状態で、画像形成制御部55は、ベルトプラテン37を駆動し、画像形成媒体34を所定の搬送速度でY方向に搬送する。このとき画像形成制御部55は、各色(K、C、M、Y)の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色(K、C、M、Y)の各インク6k、6c、6m、6yを噴出して画像形成媒体34上に画像を形成する。
画像形成制御部55は、画像形成された画像形成媒体34を排出ローラ対39を通して排紙トレイ40内に排出する。
【0035】
画像形成制御部55は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノーマルメンテナンス動作制御を行うためのインク吐出制御部56及びエアー圧力制御部57を有する。インク吐出制御部56は、エアータンク54に設けられた圧力センサ58から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク54内の圧力がパージ圧力に達したか否かを検出する。
【0036】
インク吐出制御部56は、エアータンク54内の圧力がパージ圧力に達したことを検出すると、各加圧弁17−1〜17−4を開放し、エアーをエアータンク54から各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に供給する。さらにインク吐出制御部56は、エアーによる圧力を各分配器10−1〜10−4を通して各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。
これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ヘッド内圧が高くなり、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色の各インク6k〜6yが吐出される。
【0037】
エアー圧力制御部57は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4の開放を維持する。これと共に、エアー圧力制御部57は、各インクタンク12−1〜12−4に連通して設けられた各大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回間欠的に開放する。これにより、各インクタンク12−1〜12−4内が減圧し、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力が平均化する。
【0038】
次に、上記の如く構成された装置のノーマルメンテナンス動作について説明する。
ノーマルメンテナンス開始時、図5に示すようにベルトプラテン37は、Z方向に下降する。メンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。
【0039】
次に、Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42を画像形成媒体34の給紙側に向ったY方向に移動させる。これにより、メンテナンスユニット42における各インクパン41k、41c、41m、41y上の各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
ノーマルメンテナンスの初期状態として、加圧ポンプ52は停止し、各加圧弁17−1〜17−4は閉塞され、各大気開放弁14−1〜14−4は開放されている。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内には、各インクタンク12−1〜12−4を通してバックプレッシャが加わる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2には、各メニスカス7が形成される。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離れた下方に位置している。
【0040】
次に、ノーマルメンテナンスを図6のタイミングチャートを参照して説明する。
インク吐出制御部56は、時刻t1において、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。このとき、各加圧弁17−1〜17−4は、全て閉じている。
これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。圧力センサ58は、エアータンク54内の圧力を検出し、圧力検出信号を出力する。圧力検出信号は、画像形成制御部55に送られる。
【0041】
エアータンク54内の圧力が時刻t2にノーマルパージに必要な圧力(ヘッド内圧力Paが例えば10KPa)に達すると、インク吐出制御部56は、同時刻t2に加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放命令を発する。
各加圧弁17−1〜17−4が開放されると、エアータンク54内の圧力は、各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に加えられる。このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は閉じている。
これにより、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は上昇する。各インクタンク12−1〜12−4内の圧力の上昇により各インクタンク12−1〜12−4内に充填されている各色の各インク6k、6c、6m、6yは、各チューブ11−1〜11−4を通して各分配器10−1〜10−4に供給される。さらに各インク6k、6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給される。
【0042】
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のヘッド内圧Phは、例えば3K〜20KPaのパージ圧Paが印加され、各ノズル2から各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。各インク6k、6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。各ノズル2から吐出された各インク6k、6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0043】
各インク6k、6c、6m、6yの吐出しは、ノーマルのパージ期間tpに行なわれる。画像形成制御部55は、パージ期間tpを内部タイマにより計測し、例えば約0.3〜20秒、好ましくは約0.5〜5秒の期間内に設定する。
パージ期間tpが経過すると、画像形成制御部55は、時刻t3において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4が開放状態になる。これによって各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は低下する。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は低下する。
【0044】
ここで、低下したときのノズル2内及びインク室5内の圧力は、サッキングをした後であっても、各インク6k、6c、6m、6yが各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2から垂れ落ちない程度の微正圧に設定される。この微正圧は、例えば約0.1K〜3KPaである。
【0045】
このように各大気開放弁14−1〜14−4は、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が実質的にサッキング時の正圧、すなわち微正圧に低下したときに閉じられる。ところで、各大気開放弁14−1〜14−4を一度の開閉のみで各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を微正圧まで低下させると、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は急激に変化する。これと共に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のインク室5内の圧力も急激に変化する。
このため、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときに急激な圧力変化によって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のインク室5内の圧力は、正圧から一時的に負圧に低下し、再び正圧に戻るようなアンダーシュートを発生する。このアンダーシュートによる負圧への低下量は、インク室5内の圧力変化が大きければ大きい程大きくなる。
【0046】
このようにインク室5内の圧力が正圧から一時負圧に低下すると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2においてインク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動する。これによって各インク室5内にエアーが巻き込まれるおそれを有する。
これに対処するためエアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、同時に2回間欠的に開放状態になる。
この結果、短期間に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内の圧力が低下しても、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることを抑えられる。
【0047】
一方、各大気開放弁14−1〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きい。このため各大気開放弁14−1〜14−4は、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放するとは限らない。各大気開放弁14−1〜14−4は、それぞれ異なったタイミングで開放する。このような各大気開放弁14−1〜14−4の各開放のタイミングのばらつきは、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきを生じさせる。
【0048】
これに対してエアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが連通する。この結果、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは、平均化される。
【0049】
従って、各大気開放弁14−1〜14−4がそれぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通による各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧との平均化により低減される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、所定の微正圧に設定し易くなる。
【0050】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力が微正圧に設定されると、画像形成制御部55は、時刻t4において、図5に示す各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めする。次に、画像形成制御部55は、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
【0051】
これと共に画像形成制御部55は、同時刻t4において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49で吸引を開始する。
吸引ポンプ22のエアー吸引により各クリーニング部材20k−1〜20y−6に負圧Pnが加わる。各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧Pnが所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t5において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42がX方向、即ち水平方向(もしくはノズル配列方向)に移動する。
【0052】
各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上に付着された各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これと共に、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各ノズルプレート3に付着している付着物を掻き取りながら除去する。
【0053】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、印加されている微正圧のために、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズルから少しずつ吐出し、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上に溜まっている各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これにより、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動することがなく、各インク室5内にエアーを巻き込むおそれもない。
サッキング期間tsが終了する時刻t6になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0054】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t7になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。
画像形成制御部55は、同時刻t7において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4は、開放された状態で放置される。
【0055】
これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。しかるに、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
その後、メンテナンスユニット42は、時刻t8において、X方向に逆向きに移動し、元の位置に戻る。エアータンク内の圧力が大気圧と同等になってから、加圧弁17−1〜17−4を閉塞し初期状態に戻る。
【0056】
このように上記第1の実施の形態によれば、加圧ポンプ52を加圧チューブ53を介してエアータンク54に接続し、このエアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間を各加圧弁17−1〜17−4を介して接続し、パージ期間tpの後、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放する。
この結果、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とは、各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になり、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化する。なお、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になのは、各連通チューブ15−1〜15−4の各先端がそれぞれ各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの各液面よりも常に上方に位置することによる。
【0057】
しかるに、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を発しても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放せず、それぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力は平均化できる。
しかるに、各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧との平均化により各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力を微正圧に設定し易くなる。
【0058】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量を適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。高画質の画像形成ができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する。
上記第1の実施の形態における各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2のうちあるノズル2にノズル抜けが固定的に発生すると、上記第1の実施の形態で説明したノーマルメンテナンスでは、ノズル抜けを回復できない場合がある。
このような場合、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のあるノズル2に対してヘッド内圧Phのより高いメンテナンス(ストロングメンテナンスと称する)を行う必要がある。
【0060】
本実施の形態は、ストロングメンテナンスを行う。図7は本画像形成装置における画像形成制御部の構成図である。画像形成制御部60は、画像形成媒体34に対する画像形成の一連の動作制御を行い、かつストロングメンテナンスの制御動作を行う。
【0061】
画像形成制御部60は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のストロングメンテナンス動作制御を行うための第1のインク吐出制御部61、第2のインク吐出制御部62及びエアー圧力制御部63を有する。
第1のインク吐出制御部61は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみを開放し、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して所要一色であるK色に対応するインクタンク12−1内のみにエアーを供給する。
第1のインク吐出制御部61は、インクタンク12−1内のみにエアーを供給し、インクタンク12−1から分配器10−1を通してK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ヘッド内圧Pgに高める。
第1のインク吐出制御部61は、K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ヘッド内圧Pgに高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から所要一色であるK色のインク6kを強く吐出させるストロングメンテナンスを行う。
【0062】
第2のインク吐出制御部62は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色であるK色以外の他色、例えばC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4を開放し、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給する。
第2のインク吐出制御部62は、各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給し、各インクタンク12−2〜12−4から各分配器10−2〜10−4を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ヘッド内圧Phを高める。
第2のインク吐出制御部62は、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ヘッド内圧Phを高め、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6から他色であるC色、M色、Y色の各インク6c、6m、6yをそれぞれ吐出させるノーマルメンテナンスを行う。
【0063】
エアー圧力制御部63は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これと共に、エアー圧力制御部63は、各インクタンク12−1〜12−4に連通して設けられた各大気開放弁14−1〜14−4のうち少なくとも1つ以上の大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回間欠的に開放する。これと共に、エアー圧力制御部63は、各加圧弁17−1〜17−4を開放して各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を平均化する。
【0064】
次に、上記の如く構成された装置のストロングメンテナンス動作について図8に示すストロングメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。
ストロングメンテナンス開始時、図5に示すようにメンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。メンテナンスユニット42は、Y方向駆動機構45の動作により画像形成媒体34の給紙側に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
【0065】
第1のインク吐出制御部61は、時刻t10において、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。
【0066】
エアータンク54内の圧力が時刻t11にストロングパージのために必要なパージ圧力(ヘッド内に印加される圧力PgがPbに相当する圧力)に達すると、第1のインク吐出制御部61は、時刻t11に加圧ポンプ52に停止命令を発する。これと共に、第1のインク吐出制御部61は、ノズル抜けの生じた所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみに対して開放命令を発する。なお、ノズル抜けの生じた色がC色であれば、C色に対応する加圧弁17−2のみを開放する。
【0067】
加圧弁17−1が時刻t11から時刻t12の期間に開放されると、エアータンク54内のストロングパージに必要な圧力は、全て加圧弁17−1を通してインクタンク12−1のみに加えられる。
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は、閉じているので、インクタンク12−1内の圧力は上昇する。この圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているK色のインク6kがチューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにK色のインク6kは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からは、パージ圧力Pb(例えば20K〜50KPa)によってインク6kが強力に吐出される。
【0068】
インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出され、ノズル抜けが回復できる。各ノズル2から吐出されたインク6kは、廃液ボトル51に排出される。
【0069】
次に、第2のインク吐出制御部62は、時刻t12において、加圧弁17−1を閉じ、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーが加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。
エアータンク54内の圧力が時刻t13にノーマルパージに必要なパージ圧力に達すると、第2のインク吐出制御部61は、時刻t13に加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、K色以外の他色、すなわちC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4に対して開放命令を発する。
【0070】
各加圧弁17−2〜17−4が開放されると、エアータンク54内の圧力は、各加圧弁17−2〜17−4を通して各インクタンク12−2〜12−4に加えられる。各インクタンク12−2〜12−4内の圧力が上昇すると、各インクタンク12−2〜12−4内に充填されている各色の各インク6c、6m、6yが各チューブ11−2〜11−4を通して各分配器10−2〜10−4に供給される。さらに各インク6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に供給される。これにより、パージ圧Paが各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に印加される。
これによってC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ノズル2から各インク6c、6m、6yが吐出される。各インク6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。各ノズル2から吐出された各インク6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0071】
ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとが経過する時刻t14になると、エアー圧力制御部63は、時刻t14の時点で全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放状態を維持する命令を発する。
エアー圧力制御部63は、時刻t14からt15の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4が複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、全ての加圧弁17−1〜17−4が開放状態を維持する。
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力が負圧になることはない。
【0072】
一方、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力は、他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力よりも高くなっている。エアー圧力制御部63は、上記のように全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが連通する。
しかるに、インクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の各圧力との間に差が生じていても、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは平均化される。
【0073】
この結果、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により平均化される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0074】
これと共に、各大気開放弁14−2〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放しない。このような各大気開放弁14−2〜14−4の開放タイミングのばらつきにより圧力差が生じても、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは平均化される。
この後、上記第1の実施の形態と同様に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、僅かに各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。しかしながら、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、ノズルプレートからは垂れ落ちない程度の微正圧、例えば約0.1k〜3kPaに設定される。
【0075】
次に、画像形成制御部60は、時刻t15において、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めする。これと共に、画像形成制御部60は、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
【0076】
画像形成制御部60は、同時刻t15において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49の吸引を開始する。
吸引ポンプ22のエアー吸引により各クリーニング部材20k−1〜20y−6に負圧Pnが加わる。各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧Pnが所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t16において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。
これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42はX方向(ノズル配列方向)に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3に排出された各インク6k、6c、6m、6yを掻き取りながら吸引する。これと共に、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0077】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上の各インク6k、6c、6m、6yを吸引するので、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動しない。各インク室5内にエアーは、巻き込まれるおそれもない。
サッキング期間tsが終了する時刻t17になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0078】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t18になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。画像形成制御部55は、同時刻t18において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。
これにより、各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4が開放された状態で放置されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。しかるに、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
【0079】
この後、メンテナンスユニット42は、時刻t19において、X方向に反対方向に移動し、元の位置に戻る。エアータンク内の圧力が大気圧と同等になったならば、加圧弁17−1〜17−4を閉じ初期状態に戻る。
【0080】
このように上記第2の実施の形態によれば、ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとの終了時に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放すると共に、全ての大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。
これにより、ストロングパージのパージ圧力Pbによるインクタンク12−1内の圧力と、ノーマルパージのパージ圧力Paによる各インクタンク12−2〜12−4内の圧力とが異なっていても、各インクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とを連通するので、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、平均化できる。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0081】
従って、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量が適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。この結果、高画質の画像形成ができる。
ストロングメンテナンスでは、加圧ポンプ52からのエアーを1色(例えばK色)の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給する。ノーマルメンテナンスでは、加圧ポンプ52からのエアーを各色の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。これにより、加圧ポンプ52及びエアータンク54は、容量を大きくすることなく既存のもので対応できる。
【0082】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する 。
【0083】
図9は画像形成装置の全体構成図である。エアータンク54には、1本の大気開放チューブ70が設けられている。大気開放チューブ70には、大気開放弁71が設けられている。なお、上記第1及び第2の実施の形態における各インクタンク12−1〜12−4に設けられた各大気開放弁14−1〜14−4は取り外されている。
【0084】
インク吐出制御部72は、エアータンク54に設けられた圧力センサ58から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク54内の圧力が所定の圧力(ヘッド内に印加される圧力Phがノーマルパージ圧力Paに相当する程度の圧力)に達した否かを検出する。
インク吐出制御部72は、エアータンク54内の圧力が所定の圧力に達した否かを検出すると、パージ期間tpにおいて、各加圧弁17−1〜17−4を開放し、かつ加圧ポンプ52を停止する。
これにより、インク吐出制御部72は、エアーをエアータンク54から各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に供給し、さらに各分配器10−1〜10−4を通して各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。
【0085】
しかして、インク吐出制御部72は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ヘッド内圧を高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色の各インク6k〜6yを吐出させる。
エアー圧力制御部73は、パージ期間tpの終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、エアータンク54に設けられた大気開放弁71を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。これにより、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は平均化する。
【0086】
次に、上記の如く構成された装置のノーマルメンテナンス動作について図10に示すノーマルメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と異なる動作のみについて説明する。
パージ期間tpが経過すると、エアー圧力制御部73は、時刻t3において、大気開放弁71に対して複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する開放命令を発する。大気開放弁71が例えば2回同時に間欠的に開放状態になると、エアータンク54内は、大気圧に向って低下する。
【0087】
このとき、全ての加圧弁17−1〜17−4は開放しているので、エアータンク54と全てのインクタンク12−1〜12−4とが連通する。これにより、エアータンク54内の圧力が低下する。
【0088】
これと共に、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は、各連通チューブ15−1〜15−4を通して同様に低下する。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、低下する。
【0089】
このような大気開放弁71の間欠的な2回の開放により短期間に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内の圧力が低下しても、大気開放弁71を開放したときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることはない。
【0090】
この結果、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力にばらつきが生じていても、大気開放弁71の開放により全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との各圧力を平均化できる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0091】
第1及び第2の実施の形態のように、各色のメンテナンス系に個別の各大気開放弁14−1〜14−4を設けると、各大気開放弁14−1〜14−4の動作タイミングによって各色の微正圧に差が生じる。複数の大気開放弁14−1〜14−4を設けることによって、コストアップになる。
これに対して第3の実施形態は、4色を連通し、大気開放弁71を1つにする。これによって、コスト的に見合った動作タイミングの精度の高い大気開放の電磁弁を使用し、最適な微正圧を設定することができる。
【0092】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する。
図11はストロングメンテナンスを行う画像形成装置における画像形成制御部60の構成図である。画像形成制御部60は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のストロングメンテナンス動作制御を行うための第1のインク吐出制御部74、第2のインク吐出制御部75及びエアー圧力制御部76を有する。
【0093】
第1のインク吐出制御部74は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみを開放する。これと共に、第1のインク吐出制御部74は、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して所要一色であるK色に対応するインクタンク12−1内のみにエアーを供給する。
これにより、第1のインク吐出制御部74は、エアーをインクタンク12−1から分配器10−1を通してK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給し、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6各ヘッド内圧Pgを高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から所要一色であるK色のインク6kを吐出させる。
【0094】
第2のインク吐出制御部75は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色であるK色以外の他色、例えばC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4を開放する。これと共に、第2のインク吐出制御部75は、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給する。
これにより、第2のインク吐出制御部75は、エアーを各インクタンク12−2〜12−4から各分配器10−2〜10−4を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4に供給し、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4の各ヘッド内圧Phを高め、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4から他色であるC色、M色、Y色の各インク6c、6m、6yをそれぞれ吐出させる。
【0095】
エアー圧力制御部76は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これと共に、エアー圧力制御部76は、エアータンク54に設けられた大気開放弁71を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、さらに各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これにより、エアー圧力制御部76は、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を平均化する。
【0096】
次に、上記の如く構成された装置のストロングメンテナンス動作について図12に示すストロングメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。
ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとが経過すると、エアー圧力制御部76は、時刻t14からt15の期間において、大気開放弁71に対して複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する命令を発する、これと共に、エアー圧力制御部76は、全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放状態を維持する命令を発する。
これにより、大気開放弁71は、複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、全ての加圧弁17−1〜17−4の開放状態を維持する。しかるに、上記第3の実施の形態と同様に、大気開放弁71を開放したときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることはない。
【0097】
一方、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力は、他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力よりも高くなっている。エアー圧力制御部76は、上記同様に、大気開放弁71を開放すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放する。
これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とは、連通する。この連通により全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは、平均化される。
【0098】
この結果、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力とが異なっていても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により平均化される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
このように上記第4の実施の形態によっても上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもない。
なお、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、次のように変形してもよい。
例えば、エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間は、それぞれ各連通チューブ15−1〜15−4及び各加圧弁17−1〜17−4を介して接続している。これに対し、ノーマルメンテナンスを行う場合であれば、各加圧弁17−1〜17−4からエアータンク54側の各連通チューブ15−1〜15−4は、1本の連通チューブにしてもよい。これにより、各加圧弁17−1〜17−4とエアータンク54との間は、1本の連通チューブにより接続される。
【0099】
第1及び第3の実施の形態では、パージ期間tpの終了後に、全ての大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放している。これに対し、各大気開放弁14−1〜14−4のうちいずれか1本の大気開放弁14−1、14−2、14−3又は14−4を開放しても、エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4とを連通して各内圧を平均化できる。
【0100】
次に、本発明の第5の実施の形態について図13乃至図15を参照して説明する。
図13は画像形成装置における画像形成制御部の構成図である。同装置は、各色の各インクタンク12−1〜12−4と各色のエアータンク16−1〜16−4との間に各色の各連通チューブ15−1〜15−4が連結されている。各連通チューブ15−1、15−2の間には、連結管30−1が連結されている。連結管30−1は、各連通チューブ15−1、15−2の間を連結する。連結管30−1には、電磁弁31−1が設けられている。
【0101】
各連通チューブ15−2、15−3の間には、連結管30−2が連結されている。連結管30−2は、各連通チューブ15−2、15−3の間を連結する。連結管30−2には、電磁弁31−2が設けられている。
各連通チューブ15−3、15−4の間には、連結管30−3が連結されている。連結管30−3は、各連通チューブ15−3、15−4の間を連結する。連結管30−3には、電磁弁31−3が設けられている。
【0102】
なお、各圧力弁17−1〜17−4が開放され、かつ各電磁弁31−1〜31−3が開放されている状態であれば、各インクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4は、各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態になる。
【0103】
次に、上記の如く構成された装置におけるノーマルメンテナンスを図14のタイミングチャートを参照して説明する。
インク吐出制御部56は、時刻t1において、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。各加圧ポンプ52−1〜52−4の駆動によりエアーは、各加圧チューブ53−1〜53−4を通して各エアータンク16−1〜16−4内に供給される。このとき、各加圧弁17−1〜17−4は、全て閉じているので、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力は上昇する。
各圧力センサ58−1〜58−4は、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力を検出し、その圧力検出信号を画像形成制御部55に送出する。
【0104】
各エアータンク16内の圧力が時刻t2に、ノーマルパージに必要な圧力(例えば、ヘッド内圧力Paが例えば10KPaになるような圧力)に達すると、画像形成制御部55は、同時刻t2に、各加圧ポンプ52−1〜52−4に停止命令を発する。これと共に、画像形成制御部55は、全ての加圧弁17−1〜17−4及び電磁弁31−1〜31−3に対して開放命令を発する。
【0105】
各加圧弁17−1〜17−4が開放されると、各エアータンク16内の圧力が各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に加えられる。この際、各電磁弁31−1〜31−3も開放されるので、各連通管30−1,30−2,30−3を介して各連通チューブがそれぞれ連通される。
この結果、各インクタンク12−1〜12−4に印加される圧力は平均化される。ほぼ同じ圧力が各インクタンク12−1〜12−4に印加されることになる。
【0106】
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は閉じているので、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が上昇する。これら圧力の上昇により各インクタンク12−1〜12−4内に充填されている各色の各インク6k、6c、6m、6yは、各チューブ11−1〜11−4を通して各分配器10−1〜10−4に供給される。さらに各インク6k、6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のヘッド内には、例えば3K〜20KPaのパージ圧Paが印加され、各ノズル2から各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。
【0107】
各インク6k、6c、6m、6yの吐出しは、ノーマルのパージ期間tpに行なわれる。画像形成制御部55は、パージ期間tpを内部タイマにより計測し、例えば約0.3〜20秒、好ましくは約0.5〜5秒の期間内に設定する。
パージ期間tpが経過すると、エアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して間欠開放命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、間欠的に開放される。これによって各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は、低下する。
【0108】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は低下する。サッキングした後であっても、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、各インク6k、6c、6m、6yがヘッドから垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.1K〜3KPa)に設定される。
【0109】
なお、画像形成制御部55は、大気開放弁14−1〜14−4が開放されている間(t3〜t4)、各連通電磁弁31−1〜31−3を継続的に開放させる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内に印加される微正圧の値は、平均化される。
これにより、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきなどに起因する各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力のばらつきを平均化することができる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6にほぼ同じ圧力(所定の微正圧)を印加させることができる。
【0110】
なお、各連通電磁弁31−1〜31−3は、放置期間tfに入ってからも開放し続ける。これにより、各連通電磁弁31−1〜31−3は、各加圧弁17−1〜17−4の閉塞タイミングと同じタイミングで閉塞されるよう制御される。
【0111】
このように各色のインクタンク12−1〜12−4と各色の各エアータンク16−1〜16−4との間を連結する各連通チューブ15−1〜15−4の間に各連結管30−1〜30−3を設け、各連結管30−1〜30−3に各電磁弁31−1〜31−3を設けた。
【0112】
このような構成において、全ての加圧弁17−1〜17−4は、開放される。これと共に、全ての電磁弁31−1〜31−3が開放される。全てのインクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とが連通する。
これにより、各インクタンク12−1〜12−4の各内圧が平均化できる。所定のほぼ同じ微正圧を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に印加させることができる。
【0113】
次に、ストロングメンテナンス動作を図15のタイミングチャートを参照して説明する。
ストロングメンテナンス開始時、メンテナンスユニット42は、図5に示すようにベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。メンテナンスユニット42は、Y方向駆動機構45の動作により画像形成媒体34の給紙側に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
【0114】
第1のインク吐出制御部61は、時刻t10において、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。各加圧ポンプ52−1〜52−4の駆動によりエアーは、各加圧チューブ53−1〜53−4を通して各エアータンク16−1〜16−4内に供給される。これにより、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力は、上昇する。このとき各電磁弁31−1〜31−3は、閉鎖したままである。
【0115】
各エアータンク16−1〜16−4内の圧力が時刻t11にストロングパージのために必要なパージ圧力(ヘッド内に印加される圧力がPbに相当する圧力)に達すると、第1のインク吐出制御部61は、同時刻t11に、各加圧ポンプ52−1〜52−4に停止命令を発する。これと共に、第1のインク吐出制御部61は、ノズル抜けの生じた所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみに対して開放命令を発する。なお、ノズル抜けの生じた色がC色であれば、C色に対応する加圧弁17−2のみを開放する。
【0116】
加圧弁17−1が時刻t11から時刻t12の期間に開放されると、エアータンク16−1内のストロングパージに必要な圧力は、全て加圧弁17−1を通してインクタンク12−1のみに加えられる。
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は、閉じているので、インクタンク12−1内の圧力は上昇する。この圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているK色のインク6kは、チューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにK色のインク6kは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
【0117】
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からは、パージ圧力Pb(例えば20K〜50KPa)によってインク6kが強力に吐出される。インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。ノズル抜けが回復できる。各ノズル2から吐出されたインク6kは、廃液ボトル51に排出される。
【0118】
次に、第2のインク吐出制御部62は、時刻t12において、加圧弁17−1を閉じ、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通して各エアータンク16−2〜16−4内に供給される。これにより、タンク内の圧力は、上昇する。
各エアータンク16−2〜16−4内の圧力が時刻t13にノーマルパージに必要なパージ圧力に達すると、第2のインク吐出制御部62は、同時刻t13に、加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、K色以外の他色、すなわちC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4に対して開放命令を発する。
【0119】
各加圧弁17−2〜17−4が開放されると、各エアータンク16−2〜16−4内の圧力は、各加圧弁17−2〜17−4を通して各インクタンク12−2〜12−4に加えられる。
各インクタンク12−2〜12−4内の圧力が上昇すると、各インクタンク12−2〜12−4内に充填されている各色の各インク6c、6m、6yは、各チューブ11−2〜11−4を通して各分配器10−2〜10−4に供給される。さらに各インク6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に供給される。これにより、パージ圧Paが各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に印加される。
【0120】
これによってC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ノズル2から各インク6c、6m、6yが吐出される。各インク6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などは、排出される。各ノズル2から吐出された各インク6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0121】
エアー圧力制御部57は、時刻t14の時点で、加圧弁17−1に対して開放状態を維持する命令を発する。エアー圧力制御部57は、同時刻t14からt15の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。全ての加圧弁17−1〜17−4が開放する。
【0122】
時刻t14になると、エアー圧力制御部57は、各電磁弁31−1〜31−3を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とは、それぞれ各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態になる。
これにより、インクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の各圧力との間に差が生じていても、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧と各エアータンク16−1〜16−4の各内圧は平均化される。ほぼ所定の微正圧が各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内に対して印加される。
【0123】
これと共に、各大気開放弁14−2〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きい。各大気開放弁14−2〜14−4は、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放しないことがある。このような各大気開放弁14−2〜14−4の開放タイミングのばらつきにより生じる圧力差も全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク16−1〜16−4との連通により平均化される。
【0124】
この後、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、僅かに各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。ところが、上記第1の実施の形態と同様に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、ノズルプレートからは垂れ落ちない程度の微正圧、例えば約0.1k〜3kPaに設定される。
【0125】
次に、画像形成制御部55は、時刻t15において、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めし、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
これと共に画像形成制御部55は、同時刻t15において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49の吸引を開始する。
【0126】
吸引ポンプ22によりエアー吸引による各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧が所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t16において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42がX方向(ノズル配列方向)に移動する。
これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3に排出された各インク6k、6c、6m、6yを掻き取りながら吸引する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0127】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上の各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これにより、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動することがなく、各インク室5内にエアーを巻き込むおそれがない。
サッキング期間tsが終了する時刻t17になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0128】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t18になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。
画像形成制御部55は、同時刻t18において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。これにより、各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4が開放される。
この状態で放置されることにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
【0129】
その後、メンテナンスユニット42は、時刻t19において、X方向に反対方向に移動し、元の位置に戻る。各エアータンク内の圧力が大気圧と同等になったならば、加圧弁17−1〜17−4を閉じ初期状態に戻る。
【0130】
このように上記第5の実施の形態によれば、各圧力弁17−1〜17−4を開放し、かつ各電磁弁31−1〜31−4を開放し、各インクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とを各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態にする。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧と各エアータンク16−1〜16−4の内圧とが平均化できる。
【0131】
しかるに、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を発しても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放せず、それぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力は平均化できる。
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量を適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。高画質の画像形成ができる。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1k−1〜1y−6:インクジェットヘッド、2:ノズル、3:ノズルプレート、4:圧電素子(PZT)、5:インク室、6(6k,6c,6m,6y):インク液、7:メニスカス、10−1〜10−4:分配器、11−1〜11−4:チューブ、12−1〜12−4:インクタンク、13−1〜13−4:大気開放チューブ、14−1〜14−4:大気開放弁、15−1〜15−4:連通チューブ、16−1〜16−4:エアータンク、17−1〜17−4:加圧弁、18−1〜18−4:加圧チューブ、19−1〜19−4:加圧ポンプ、20k−1〜20y−6:クリーニング部材、21:吸引チューブ、30:装置本体、31:下部筐体、32:上部筐体、33:給紙トレイ、34:画像形成媒体、35:ピックアップローラ、36:レジストレーションローラ対、37:ベルトプラテン、38a,38b,38c:プラテンローラ、38d:搬送ベルト、38e:エアー吸引部、39:排出ローラ対、40:排紙トレイ、41k,41c,41m,41y:インクパン、42:メンテナンスユニット、43:メンテナンスキャリッジ、44:X方向駆動機構、45:Y方向駆動機構、46:ガイド、47−1,47−2:ワイプブレード、48,49:吸引ノズル、50k,50c,50m,50y:インクボトル、51:廃液ボトル、52:加圧ポンプ、53:加圧チューブ、54:エアータンク、55:画像形成制御部、56:インク吐出制御部、57:エアー圧力制御部、58:圧力センサ、60:画像形成制御部、61:第1のインク吐出制御部、62:第2のインク吐出制御部、63:エアー圧力制御部、70:大気開放チューブ、71:大気開放弁、72:インク吐出制御部、73:エアー圧力制御部、74:第1のインク吐出制御部、75:第2のインク吐出制御部、76:エアー圧力制御部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットヘッドからインクを噴射して画像形成媒体に画像形成するための画像形成装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図16に示すようにインクジェットヘッド1は、ノズルプレート3と各圧電素子(PZT)4とを有する。ノズルプレート3は、複数のノズル2を形成している。各圧電素子4は、複数のノズル2毎に設けられている。インクジェットヘッド1は、各ノズル2毎に各圧電素子4により形成された各インク室5を有する。
【0003】
画像形成時に各圧電素子4が変位動作すると、各インク室5内の圧力が高くなる。これにより、各ノズル2からそれぞれインク6が噴射される。
また、インクジェットヘッド1は、各インク室5内にそれぞれバックプレッシャが加えられることにより各ノズル2に各メニスカス7を形成する。
【0004】
ところが、インク室5内に塵や埃、エアー、変質したインク液等の混入、ノズル2やノズル2の近傍への塵や埃等の付着物の付着があると、メニスカス7は壊れる。このため、各ノズル2から噴射される各インク6の量が適正量にならない。インク6の噴射方向が変化する。この結果、高画質の画像形成ができなくなる。
このような事からインクジェットヘッド1のメンテナンスが行なわれる。例えば特許文献1は、次のようなメンテナンスの技術を開示する。
インクジェットヘッドにおける所定のノズルは、吸引キャップ等の密閉手段により密閉される。密閉された密閉手段の内部は、負圧状態にされる。この状態で、吸引キャップ等の密閉手段がインクジェットヘッドに対して掃引移動される。吸引キャップ等の密閉手段は、ノズル内の残留インクを吸引する。これにより、ノズル内の気泡や異物などが排出される。
【0005】
インクジェットヘッド1のメンテナンスでは、各ノズル2内及び各インク室5内の気泡や異物などを排出し、壊れたメニスカス7を回復し、新たに壊れたメニスカス7を発生しないことである。特許文献1のようにただ単にインクジェットヘッドに対して負圧状態にした密閉手段を掃引移動させるだけでは、インクジェットヘッド1のノズル2にメニスカス7を確実に回復することに困難性がある。
【0006】
このような問題を解決するために従来では、図17に示すような構成で各色(K、C、M、Y)別の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のメンテナンスを行っている。
【0007】
各色(K、C、M、Y)別の各分配器10−1〜10−4には、それぞれ複数のインクジェットヘッド1k−1〜1y−6が接続されている。各分配器10−1〜10−4には、各チューブ11−1〜11−4を介して各インクタンク(サブタンク)12−1〜12−4が接続されている。
【0008】
各インクタンク12−1〜12−4内には、それぞれ各色の各インク6k、6c、6m、6yが充填されている。各インクタンク12−1〜12−4には、それぞれ各大気開放チューブ13−1〜13−4が接続されている。各大気開放チューブ13−1〜13−4には、それぞれ各大気開放弁14−1〜14−4が設けられている。なお、各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの液面高さ位置と各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2の高さ位置とは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えて各ノズル2に各メニスカス7を形成するのに最適な高低差に設定されている。
【0009】
各インクタンク12−1〜12−4には、各連通チューブ15−1〜15−4を介して各エアータンク16−1〜16−4が接続されている。各連通チューブ15−1〜15−4には、各加圧弁17−1〜17−4が設けられている。各インクタンク12−1〜12−4には、それぞれ図示しない各色別の各インクボトルが接続されている。各インクタンク12−1〜12−4には、各インクボトルから各色のインク6k、6c、6m、6yが供給される。
各エアータンク16−1〜16−4には、各加圧チューブ18−1〜18−4を介して各加圧ポンプ19−1〜19−4が接続されている。
【0010】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応して各クリーニング部材20k−1〜20y−6が設けられている。図17では、図示する煩雑さを避けるためにK色の各クリーニング部材20k−1〜20k−3のみを示す。
K色の各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、それぞれ吸引チューブ21を介して吸引ポンプ21に接続されている。K色の各クリーニング部材(吸引ヘッド)20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に対してそれぞれ摺動する。
【0011】
次に、K色のメンテナンス動作について説明する。
先ず、大気開放弁14−1が閉じる。これと共に、加圧弁17−1−4が閉じる。
次に加圧ポンプ19−1が駆動する。加圧ポンプ19−1からのエアーは、加圧チューブ18−1を通してエアータンク16−1に供給される。このとき、加圧弁17−1が閉じられているので、エアータンク16−1内の圧力は上昇する。
【0012】
エアータンク16−1内の圧力が所定の圧力(パージに必要な圧力)に達すると、加圧弁17−1が開放される。これにより、エアータンク16−1内のパージ圧力は、加圧弁17−1を通してインクタンク12−1に加えられる。インクタンク12−1内の圧力は上昇する。
【0013】
圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているインク6kは、チューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにインク6kは、インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズル2からインク6kが吐出される。インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。このようにインク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などを排出することをパージと称する。
【0014】
次に、大気開放弁14−1が開放される。これにより、インクタンク12−1内の圧力は減圧される。このとき、大気開放弁14−1を閉じるタイミングを制御することによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各インク室5内の圧力を所定の微正圧に設定される。
【0015】
微正圧の設定によってインクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からインク6kが少しずつ吐出される。なお、インク6kは、各ノズル2から少しずつ吐出されてもノズルプレート上から垂れ落ちない程度に留まっている状態にある。
この状態で、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズルプレート3に対して接触しながら摺動される。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6のノズルプレート3に排出されたインクを掻き取りながら吸引する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20k−6は、ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2002−347260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、インクタンク12−1を大気開放することによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6内の圧力を所定の微正圧まで低下させる際、急激な圧力変化によって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6内の圧力が正圧から一時的に負圧に低下し、再び正圧に戻るようなアンダーシュートを発生する場合がある。このような場合、ノズルからインク室内にエアーが巻き込まれるおそれがある。
そこで、本発明では、急激な圧力変化を発生させずにインクジェットヘッドのヘッド内圧を微正圧にすることができる画像記録装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の主要な局面に係る画像形成装置は、インクを収容するインクタンクと、インクタンクから供給されたインクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、インクタンク内を加圧する加圧タンクと、インクタンクと加圧タンクとの間を連通する第1の弁を有する連通部材と、インクタンク又は加圧タンクに設けられ、インクタンク内又は加圧タンク内を大気開放する第2の弁と、インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも第1の弁及び第2の弁の開閉動作を制御する制御部とを有し、制御部は、第2の大気開放弁を閉塞し、第1の弁を開放することで加圧タンクからインクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させるインク吐出制御部と、インクジェットヘッドからインクを吐出させた後、第1の弁を開放した状態で第2の弁を複数回間欠的に開閉することでヘッド内圧をインクジェットヘッドのノズルからインクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部とを備える。
【0019】
本発明の主要な局面に係るインクジェットヘッドのメンテナンス方法は、インクを収容するインクタンクと、インクタンクから供給されたインクを吐出するインクジェットヘッドと、インクタンクと接続されるエアータンクと、エアータンク内を加圧する加圧ポンプとを有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、加圧ポンプを駆動し、エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、インクタンクとエアータンクとを連通させ、インクタンクを介してインクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、インクジェットヘッドからインクを吐出させるパージ工程と、パージ工程後、インクタンクとエアータンクとを連通させた状態でエアータンク、又はインクタンクを複数回間欠的に大気開放し、ヘッド内圧がインクジェットヘッドからインクが垂れ落ちない程度の微正圧になるようにインクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程とを有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、急激な圧力変化を発生させずにインクジェットヘッドのヘッド内圧を微正圧にすることができる画像記録装置及びインクジェットヘッドのメンテナンス方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係る画像形成装置の第1の実施の形態を示す全体構成図。
【図2】同装置におけるメンテナンスユニットの構成図。
【図3】同装置におけるクリーニング部材の構成図。
【図4】同装置におけるインク供給系の構成図。
【図5】同装置におけるメンテナンス開始時のベルトプラテン及び各インクパンの移動位置を示す図。
【図6】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図7】本発明に係る画像形成装置の第2の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図8】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図9】本発明に係る画像形成装置の第3の実施の形態を示す全体構成図。
【図10】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図11】本発明に係る画像形成装置の第4の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図12】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図13】本発明に係る画像形成装置の第5の実施の形態を示す画像形成制御部の構成図。
【図14】同装置におけるノーマルメンテナンスのタイミング図。
【図15】同装置におけるストロングメンテナンスのタイミング図。
【図16】インクジェットヘッドの概略構成図。
【図17】従来における画像形成装置のメンテナンスを行うための構成図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図16及び図17と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
図1は画像形成装置の全体構成図である。装置本体30は、下部筐体31と上部筐体32とからなる。上部筐体32の一方の側面には、給紙トレイ33が着脱可能に取り付けられている。給紙トレイ33には、複数枚の画像形成媒体34が収納されている。給紙トレイ33の給紙端部には、ピックアップローラ35が設けられている。ピックアップローラ35は、給紙トレイ33内に収納されている画像形成媒体34を1枚ずつ上部筐体32に給紙する。
【0023】
上部筐体32内における給紙トレイ33からの給紙路上には、一対のレジストレーションローラ対36が設けられている。レジストレーションローラ対36は、給紙トレイ33から給紙された画像形成媒体34を所定の搬送速度でベルトプラテン37に供給する。
ベルトプラテン37は、3つのプラテンローラ38a、38b、38cと、無端で帯状の搬送ベルト38dとを有する。搬送ベルト38dは、各プラテンローラ38a、38b、38c間に掛けられている。
【0024】
各プラテンローラ38a、38b、38cのうちプラテンローラ38aは、駆動ローラになっている。各プラテンローラ38a、38bの間には、エアー吸引部38eが設けられている。ベルトプラテン37は、供給された画像形成媒体34をエアー吸引部38eによりエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着する。ベルトプラテン37は、プラテンローラ38aの駆動により画像形成媒体34を所定の搬送速度でY方向に搬送する。
【0025】
上部筐体32内におけるベルトプラテン37からの排紙路上には、排出ローラ対39が設けられている。上部筐体32の他方の側面には、排紙トレイ40が着脱可能に取り付けられている。排紙トレイ40には、排出ローラ対39から排出された画像形成された画像形成媒体34が収納される。
各色の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6がベルトプラテン37の上方に設けられている。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、それぞれ各色(K、C、M、Y)毎にY方向に所定の間隔を開けて設けられている。K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6は、X軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。同様に、C、M、Y色の各インクジェットヘッド1c−1〜1c−6、1m−1〜1m−6、1y−1〜1y−6は、それぞれX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。
【0026】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、それぞれ2つのインクヘッド単体を互いの各背面を合わせて並設してなる。2つのインクヘッド単体は、それぞれ各インク6k〜6yを噴射する複数のノズル2を配列してなる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の上部には、それぞれ各色別に各分配器10−1〜10−4が接続されている。
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各側面側には、それぞれ各色別の各インクパン41k、41c、41m、41yが設けられている。各インクパン41k〜41yは、図2に示すようにメンテナンスユニット42内のメンテナンスキャリッジ43に連結されている。
【0027】
メンテナンスユニット42には、X方向駆動機構44及びY方向駆動機構45が設けられている。X方向駆動機構44は、メンテナンスユニット42をX方向に移動させる。Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42をY方向に移動させる。
メンテナンスユニット42の各コーナ部には、Z軸方向の各ガイド46が設けられている。メンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の移動(上下移動)に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に移動する。
【0028】
各インクパン41k、41c、41m、41y上には、それぞれ各クリーニング部材20k−1〜20y−6が設けられている。なお、図2上では、符号が煩雑になることから全ての符号の記載を省略する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各色毎に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の配置位置に対応してX軸方向に複数、例えば6本千鳥足状に左右交互に配列されている。
【0029】
各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示すように凸状部47の両側にそれぞれ各ワイプブレード47−1、47−2を設け、かつ複数の吸引ノズル48、49を設けている。
【0030】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、上述したようにそれぞれ2つのインクヘッド単体の各背面を合わせて並設してなる。これにより、2つのインクヘッド単体の間に凸状部47が入る。一方のインクヘッド単体にワイプブレード47−1が接触する。これと共に、一方のインクヘッド単体に対して複数の吸引ノズル48によりエアー吸引が行われる。これと同時に、他方のインクヘッド単体にワイプブレード47−2が接触する。これと共に、他方のインクヘッド単体に対して複数の吸引ノズル49によりエアー吸引が行われる。
【0031】
上部筐体32の上部には、各色別の各インクボトル50k、50c、50m、50yが設けられている。上部筐体32の下部には、各色別の各インクタンク12−1〜12−4が設けられている。下部筐体31には、廃液ボトル51が設けられている。
図4は各色のインク6k〜6yのインク供給系の構成図である。1台の加圧ポンプ52は、1本の加圧チューブ53を介して1つのエアータンク54に接続されている。エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間には、各連通チューブ15−1〜15−4が接続されている。各連通チューブ15−1〜15−4の途中には、それぞれ各圧力弁17−1〜17−4が設けられている。
【0032】
又、各連通チューブ15−1〜15−4における各インクタンク12−1〜12−4側の各先端は、それぞれ各インクタンク12−1〜12−4内に配設され、かつこれら先端は、それぞれ各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの各液面よりも常に上方に位置するものとなっている。
【0033】
従って、各圧力弁17−1〜17−4が開放されている状態では、各インクタンク12−1〜12−4及びエアータンク54は、各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になる。
画像形成制御部55は、画像形成媒体34に対する画像形成の一連の動作制御を行う。すなわち、画像形成制御部55は、給紙トレイ33に収納されている画像形成媒体34をピックアップローラ35により1枚ずつピックアップして上部筐体32内に供給する。
【0034】
画像形成制御部55は、供給された画像形成媒体34をレジストレーションローラ対36によりタイミングを調整してベルトプラテン37に搬送する。
画像形成制御部55は、画像形成媒体34をエアー吸引部38eによるエアー吸引によって搬送ベルト38d上に吸着させる。この状態で、画像形成制御部55は、ベルトプラテン37を駆動し、画像形成媒体34を所定の搬送速度でY方向に搬送する。このとき画像形成制御部55は、各色(K、C、M、Y)の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色(K、C、M、Y)の各インク6k、6c、6m、6yを噴出して画像形成媒体34上に画像を形成する。
画像形成制御部55は、画像形成された画像形成媒体34を排出ローラ対39を通して排紙トレイ40内に排出する。
【0035】
画像形成制御部55は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノーマルメンテナンス動作制御を行うためのインク吐出制御部56及びエアー圧力制御部57を有する。インク吐出制御部56は、エアータンク54に設けられた圧力センサ58から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク54内の圧力がパージ圧力に達したか否かを検出する。
【0036】
インク吐出制御部56は、エアータンク54内の圧力がパージ圧力に達したことを検出すると、各加圧弁17−1〜17−4を開放し、エアーをエアータンク54から各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に供給する。さらにインク吐出制御部56は、エアーによる圧力を各分配器10−1〜10−4を通して各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。
これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ヘッド内圧が高くなり、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色の各インク6k〜6yが吐出される。
【0037】
エアー圧力制御部57は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4の開放を維持する。これと共に、エアー圧力制御部57は、各インクタンク12−1〜12−4に連通して設けられた各大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回間欠的に開放する。これにより、各インクタンク12−1〜12−4内が減圧し、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力が平均化する。
【0038】
次に、上記の如く構成された装置のノーマルメンテナンス動作について説明する。
ノーマルメンテナンス開始時、図5に示すようにベルトプラテン37は、Z方向に下降する。メンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。
【0039】
次に、Y方向駆動機構45は、メンテナンスユニット42を画像形成媒体34の給紙側に向ったY方向に移動させる。これにより、メンテナンスユニット42における各インクパン41k、41c、41m、41y上の各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
ノーマルメンテナンスの初期状態として、加圧ポンプ52は停止し、各加圧弁17−1〜17−4は閉塞され、各大気開放弁14−1〜14−4は開放されている。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内には、各インクタンク12−1〜12−4を通してバックプレッシャが加わる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2には、各メニスカス7が形成される。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離れた下方に位置している。
【0040】
次に、ノーマルメンテナンスを図6のタイミングチャートを参照して説明する。
インク吐出制御部56は、時刻t1において、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。このとき、各加圧弁17−1〜17−4は、全て閉じている。
これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。圧力センサ58は、エアータンク54内の圧力を検出し、圧力検出信号を出力する。圧力検出信号は、画像形成制御部55に送られる。
【0041】
エアータンク54内の圧力が時刻t2にノーマルパージに必要な圧力(ヘッド内圧力Paが例えば10KPa)に達すると、インク吐出制御部56は、同時刻t2に加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放命令を発する。
各加圧弁17−1〜17−4が開放されると、エアータンク54内の圧力は、各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に加えられる。このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は閉じている。
これにより、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は上昇する。各インクタンク12−1〜12−4内の圧力の上昇により各インクタンク12−1〜12−4内に充填されている各色の各インク6k、6c、6m、6yは、各チューブ11−1〜11−4を通して各分配器10−1〜10−4に供給される。さらに各インク6k、6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給される。
【0042】
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のヘッド内圧Phは、例えば3K〜20KPaのパージ圧Paが印加され、各ノズル2から各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。各インク6k、6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。各ノズル2から吐出された各インク6k、6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0043】
各インク6k、6c、6m、6yの吐出しは、ノーマルのパージ期間tpに行なわれる。画像形成制御部55は、パージ期間tpを内部タイマにより計測し、例えば約0.3〜20秒、好ましくは約0.5〜5秒の期間内に設定する。
パージ期間tpが経過すると、画像形成制御部55は、時刻t3において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4が開放状態になる。これによって各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は低下する。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は低下する。
【0044】
ここで、低下したときのノズル2内及びインク室5内の圧力は、サッキングをした後であっても、各インク6k、6c、6m、6yが各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2から垂れ落ちない程度の微正圧に設定される。この微正圧は、例えば約0.1K〜3KPaである。
【0045】
このように各大気開放弁14−1〜14−4は、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が実質的にサッキング時の正圧、すなわち微正圧に低下したときに閉じられる。ところで、各大気開放弁14−1〜14−4を一度の開閉のみで各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を微正圧まで低下させると、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は急激に変化する。これと共に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のインク室5内の圧力も急激に変化する。
このため、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときに急激な圧力変化によって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のインク室5内の圧力は、正圧から一時的に負圧に低下し、再び正圧に戻るようなアンダーシュートを発生する。このアンダーシュートによる負圧への低下量は、インク室5内の圧力変化が大きければ大きい程大きくなる。
【0046】
このようにインク室5内の圧力が正圧から一時負圧に低下すると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2においてインク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動する。これによって各インク室5内にエアーが巻き込まれるおそれを有する。
これに対処するためエアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、同時に2回間欠的に開放状態になる。
この結果、短期間に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内の圧力が低下しても、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることを抑えられる。
【0047】
一方、各大気開放弁14−1〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きい。このため各大気開放弁14−1〜14−4は、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放するとは限らない。各大気開放弁14−1〜14−4は、それぞれ異なったタイミングで開放する。このような各大気開放弁14−1〜14−4の各開放のタイミングのばらつきは、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきを生じさせる。
【0048】
これに対してエアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが連通する。この結果、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは、平均化される。
【0049】
従って、各大気開放弁14−1〜14−4がそれぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通による各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧との平均化により低減される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、所定の微正圧に設定し易くなる。
【0050】
各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力が微正圧に設定されると、画像形成制御部55は、時刻t4において、図5に示す各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めする。次に、画像形成制御部55は、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
【0051】
これと共に画像形成制御部55は、同時刻t4において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49で吸引を開始する。
吸引ポンプ22のエアー吸引により各クリーニング部材20k−1〜20y−6に負圧Pnが加わる。各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧Pnが所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t5において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42がX方向、即ち水平方向(もしくはノズル配列方向)に移動する。
【0052】
各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上に付着された各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これと共に、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各ノズルプレート3に付着している付着物を掻き取りながら除去する。
【0053】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、印加されている微正圧のために、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズルから少しずつ吐出し、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上に溜まっている各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これにより、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動することがなく、各インク室5内にエアーを巻き込むおそれもない。
サッキング期間tsが終了する時刻t6になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0054】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t7になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。
画像形成制御部55は、同時刻t7において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4は、開放された状態で放置される。
【0055】
これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。しかるに、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
その後、メンテナンスユニット42は、時刻t8において、X方向に逆向きに移動し、元の位置に戻る。エアータンク内の圧力が大気圧と同等になってから、加圧弁17−1〜17−4を閉塞し初期状態に戻る。
【0056】
このように上記第1の実施の形態によれば、加圧ポンプ52を加圧チューブ53を介してエアータンク54に接続し、このエアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間を各加圧弁17−1〜17−4を介して接続し、パージ期間tpの後、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放する。
この結果、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とは、各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になり、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化する。なお、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが各連通チューブ15−1〜15−4を介して全てエアーで連通した状態になのは、各連通チューブ15−1〜15−4の各先端がそれぞれ各インクタンク12−1〜12−4内の各インク6k、6c、6m、6yの各液面よりも常に上方に位置することによる。
【0057】
しかるに、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を発しても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放せず、それぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力は平均化できる。
しかるに、各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧との平均化により各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力を微正圧に設定し易くなる。
【0058】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量を適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。高画質の画像形成ができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する。
上記第1の実施の形態における各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2のうちあるノズル2にノズル抜けが固定的に発生すると、上記第1の実施の形態で説明したノーマルメンテナンスでは、ノズル抜けを回復できない場合がある。
このような場合、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のあるノズル2に対してヘッド内圧Phのより高いメンテナンス(ストロングメンテナンスと称する)を行う必要がある。
【0060】
本実施の形態は、ストロングメンテナンスを行う。図7は本画像形成装置における画像形成制御部の構成図である。画像形成制御部60は、画像形成媒体34に対する画像形成の一連の動作制御を行い、かつストロングメンテナンスの制御動作を行う。
【0061】
画像形成制御部60は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のストロングメンテナンス動作制御を行うための第1のインク吐出制御部61、第2のインク吐出制御部62及びエアー圧力制御部63を有する。
第1のインク吐出制御部61は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみを開放し、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して所要一色であるK色に対応するインクタンク12−1内のみにエアーを供給する。
第1のインク吐出制御部61は、インクタンク12−1内のみにエアーを供給し、インクタンク12−1から分配器10−1を通してK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ヘッド内圧Pgに高める。
第1のインク吐出制御部61は、K色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ヘッド内圧Pgに高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から所要一色であるK色のインク6kを強く吐出させるストロングメンテナンスを行う。
【0062】
第2のインク吐出制御部62は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色であるK色以外の他色、例えばC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4を開放し、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給する。
第2のインク吐出制御部62は、各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給し、各インクタンク12−2〜12−4から各分配器10−2〜10−4を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ヘッド内圧Phを高める。
第2のインク吐出制御部62は、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ヘッド内圧Phを高め、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6から他色であるC色、M色、Y色の各インク6c、6m、6yをそれぞれ吐出させるノーマルメンテナンスを行う。
【0063】
エアー圧力制御部63は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これと共に、エアー圧力制御部63は、各インクタンク12−1〜12−4に連通して設けられた各大気開放弁14−1〜14−4のうち少なくとも1つ以上の大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回間欠的に開放する。これと共に、エアー圧力制御部63は、各加圧弁17−1〜17−4を開放して各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を平均化する。
【0064】
次に、上記の如く構成された装置のストロングメンテナンス動作について図8に示すストロングメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。
ストロングメンテナンス開始時、図5に示すようにメンテナンスユニット42は、ベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。メンテナンスユニット42は、Y方向駆動機構45の動作により画像形成媒体34の給紙側に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
【0065】
第1のインク吐出制御部61は、時刻t10において、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。
【0066】
エアータンク54内の圧力が時刻t11にストロングパージのために必要なパージ圧力(ヘッド内に印加される圧力PgがPbに相当する圧力)に達すると、第1のインク吐出制御部61は、時刻t11に加圧ポンプ52に停止命令を発する。これと共に、第1のインク吐出制御部61は、ノズル抜けの生じた所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみに対して開放命令を発する。なお、ノズル抜けの生じた色がC色であれば、C色に対応する加圧弁17−2のみを開放する。
【0067】
加圧弁17−1が時刻t11から時刻t12の期間に開放されると、エアータンク54内のストロングパージに必要な圧力は、全て加圧弁17−1を通してインクタンク12−1のみに加えられる。
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は、閉じているので、インクタンク12−1内の圧力は上昇する。この圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているK色のインク6kがチューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにK色のインク6kは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からは、パージ圧力Pb(例えば20K〜50KPa)によってインク6kが強力に吐出される。
【0068】
インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出され、ノズル抜けが回復できる。各ノズル2から吐出されたインク6kは、廃液ボトル51に排出される。
【0069】
次に、第2のインク吐出制御部62は、時刻t12において、加圧弁17−1を閉じ、加圧ポンプ52に対して駆動命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーが加圧チューブ53を通してエアータンク54内に供給される。これにより、エアータンク54内の圧力は上昇する。
エアータンク54内の圧力が時刻t13にノーマルパージに必要なパージ圧力に達すると、第2のインク吐出制御部61は、時刻t13に加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、K色以外の他色、すなわちC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4に対して開放命令を発する。
【0070】
各加圧弁17−2〜17−4が開放されると、エアータンク54内の圧力は、各加圧弁17−2〜17−4を通して各インクタンク12−2〜12−4に加えられる。各インクタンク12−2〜12−4内の圧力が上昇すると、各インクタンク12−2〜12−4内に充填されている各色の各インク6c、6m、6yが各チューブ11−2〜11−4を通して各分配器10−2〜10−4に供給される。さらに各インク6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に供給される。これにより、パージ圧Paが各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に印加される。
これによってC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ノズル2から各インク6c、6m、6yが吐出される。各インク6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。各ノズル2から吐出された各インク6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0071】
ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとが経過する時刻t14になると、エアー圧力制御部63は、時刻t14の時点で全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放状態を維持する命令を発する。
エアー圧力制御部63は、時刻t14からt15の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4が複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、全ての加圧弁17−1〜17−4が開放状態を維持する。
これにより、上記第1の実施の形態と同様に、各大気開放弁14−1〜14−4を閉じたときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力が負圧になることはない。
【0072】
一方、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力は、他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力よりも高くなっている。エアー圧力制御部63は、上記のように全ての大気開放弁14−1〜14−4を開放すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とが連通する。
しかるに、インクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の各圧力との間に差が生じていても、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは平均化される。
【0073】
この結果、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により平均化される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0074】
これと共に、各大気開放弁14−2〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放しない。このような各大気開放弁14−2〜14−4の開放タイミングのばらつきにより圧力差が生じても、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは平均化される。
この後、上記第1の実施の形態と同様に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、僅かに各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。しかしながら、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、ノズルプレートからは垂れ落ちない程度の微正圧、例えば約0.1k〜3kPaに設定される。
【0075】
次に、画像形成制御部60は、時刻t15において、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めする。これと共に、画像形成制御部60は、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
【0076】
画像形成制御部60は、同時刻t15において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49の吸引を開始する。
吸引ポンプ22のエアー吸引により各クリーニング部材20k−1〜20y−6に負圧Pnが加わる。各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧Pnが所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t16において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。
これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42はX方向(ノズル配列方向)に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3に排出された各インク6k、6c、6m、6yを掻き取りながら吸引する。これと共に、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0077】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上の各インク6k、6c、6m、6yを吸引するので、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動しない。各インク室5内にエアーは、巻き込まれるおそれもない。
サッキング期間tsが終了する時刻t17になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0078】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t18になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。画像形成制御部55は、同時刻t18において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。
これにより、各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4が開放された状態で放置されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。しかるに、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
【0079】
この後、メンテナンスユニット42は、時刻t19において、X方向に反対方向に移動し、元の位置に戻る。エアータンク内の圧力が大気圧と同等になったならば、加圧弁17−1〜17−4を閉じ初期状態に戻る。
【0080】
このように上記第2の実施の形態によれば、ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとの終了時に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放すると共に、全ての大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。
これにより、ストロングパージのパージ圧力Pbによるインクタンク12−1内の圧力と、ノーマルパージのパージ圧力Paによる各インクタンク12−2〜12−4内の圧力とが異なっていても、各インクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とを連通するので、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、平均化できる。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0081】
従って、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量が適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。この結果、高画質の画像形成ができる。
ストロングメンテナンスでは、加圧ポンプ52からのエアーを1色(例えばK色)の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給する。ノーマルメンテナンスでは、加圧ポンプ52からのエアーを各色の各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。これにより、加圧ポンプ52及びエアータンク54は、容量を大きくすることなく既存のもので対応できる。
【0082】
次に、本発明の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する 。
【0083】
図9は画像形成装置の全体構成図である。エアータンク54には、1本の大気開放チューブ70が設けられている。大気開放チューブ70には、大気開放弁71が設けられている。なお、上記第1及び第2の実施の形態における各インクタンク12−1〜12−4に設けられた各大気開放弁14−1〜14−4は取り外されている。
【0084】
インク吐出制御部72は、エアータンク54に設けられた圧力センサ58から出力される圧力検出信号を入力し、エアータンク54内の圧力が所定の圧力(ヘッド内に印加される圧力Phがノーマルパージ圧力Paに相当する程度の圧力)に達した否かを検出する。
インク吐出制御部72は、エアータンク54内の圧力が所定の圧力に達した否かを検出すると、パージ期間tpにおいて、各加圧弁17−1〜17−4を開放し、かつ加圧ポンプ52を停止する。
これにより、インク吐出制御部72は、エアーをエアータンク54から各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に供給し、さらに各分配器10−1〜10−4を通して各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給する。
【0085】
しかして、インク吐出制御部72は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ヘッド内圧を高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から各色の各インク6k〜6yを吐出させる。
エアー圧力制御部73は、パージ期間tpの終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放した状態で、エアータンク54に設けられた大気開放弁71を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。これにより、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は平均化する。
【0086】
次に、上記の如く構成された装置のノーマルメンテナンス動作について図10に示すノーマルメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と異なる動作のみについて説明する。
パージ期間tpが経過すると、エアー圧力制御部73は、時刻t3において、大気開放弁71に対して複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する開放命令を発する。大気開放弁71が例えば2回同時に間欠的に開放状態になると、エアータンク54内は、大気圧に向って低下する。
【0087】
このとき、全ての加圧弁17−1〜17−4は開放しているので、エアータンク54と全てのインクタンク12−1〜12−4とが連通する。これにより、エアータンク54内の圧力が低下する。
【0088】
これと共に、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は、各連通チューブ15−1〜15−4を通して同様に低下する。この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、低下する。
【0089】
このような大気開放弁71の間欠的な2回の開放により短期間に各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内の圧力が低下しても、大気開放弁71を開放したときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることはない。
【0090】
この結果、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力にばらつきが生じていても、大気開放弁71の開放により全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との各圧力を平均化できる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
【0091】
第1及び第2の実施の形態のように、各色のメンテナンス系に個別の各大気開放弁14−1〜14−4を設けると、各大気開放弁14−1〜14−4の動作タイミングによって各色の微正圧に差が生じる。複数の大気開放弁14−1〜14−4を設けることによって、コストアップになる。
これに対して第3の実施形態は、4色を連通し、大気開放弁71を1つにする。これによって、コスト的に見合った動作タイミングの精度の高い大気開放の電磁弁を使用し、最適な微正圧を設定することができる。
【0092】
次に、本発明の第4の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、図1乃至図5と同一部分には同一符号を付してその詳しい説明は省略し、相違する部分について説明する。
図11はストロングメンテナンスを行う画像形成装置における画像形成制御部60の構成図である。画像形成制御部60は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のストロングメンテナンス動作制御を行うための第1のインク吐出制御部74、第2のインク吐出制御部75及びエアー圧力制御部76を有する。
【0093】
第1のインク吐出制御部74は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみを開放する。これと共に、第1のインク吐出制御部74は、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して所要一色であるK色に対応するインクタンク12−1内のみにエアーを供給する。
これにより、第1のインク吐出制御部74は、エアーをインクタンク12−1から分配器10−1を通してK色の各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給し、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6各ヘッド内圧Pgを高め、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6から所要一色であるK色のインク6kを吐出させる。
【0094】
第2のインク吐出制御部75は、各加圧弁17−1〜17−4のうち所要一色であるK色以外の他色、例えばC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4を開放する。これと共に、第2のインク吐出制御部75は、加圧ポンプ52からエアータンク54を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクタンク12−2〜12−4内にそれぞれエアーを供給する。
これにより、第2のインク吐出制御部75は、エアーを各インクタンク12−2〜12−4から各分配器10−2〜10−4を通して他色であるC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4に供給し、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4の各ヘッド内圧Phを高め、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−4から他色であるC色、M色、Y色の各インク6c、6m、6yをそれぞれ吐出させる。
【0095】
エアー圧力制御部76は、パージ期間の終了時に、各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これと共に、エアー圧力制御部76は、エアータンク54に設けられた大気開放弁71を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、さらに各加圧弁17−1〜17−4を開放する。これにより、エアー圧力制御部76は、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力を平均化する。
【0096】
次に、上記の如く構成された装置のストロングメンテナンス動作について図12に示すストロングメンテナンスのタイミング図を参照して説明する。
ストロングのパージ期間tpsとノーマルのパージ期間tpとが経過すると、エアー圧力制御部76は、時刻t14からt15の期間において、大気開放弁71に対して複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する命令を発する、これと共に、エアー圧力制御部76は、全ての加圧弁17−1〜17−4に対して開放状態を維持する命令を発する。
これにより、大気開放弁71は、複数回、例えば2回同時に間欠的に開放し、全ての加圧弁17−1〜17−4の開放状態を維持する。しかるに、上記第3の実施の形態と同様に、大気開放弁71を開放したときの各インクタンク12−1〜12−4内の圧力変化は小さくなる。各インク室5内の圧力は、負圧になることはない。
【0097】
一方、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力は、他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力よりも高くなっている。エアー圧力制御部76は、上記同様に、大気開放弁71を開放すると共に、全ての加圧弁17−1〜17−4を開放する。
これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54とは、連通する。この連通により全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とは、平均化される。
【0098】
この結果、ストロングメンテナンスによりインクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の圧力とが異なっていても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力にばらつきは、全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク54との連通により平均化される。各インクタンク12−1〜12−4の各内圧とエアータンク54の内圧とが平均化されると、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、微正圧に設定し易くなる。
このように上記第4の実施の形態によっても上記第2の実施の形態と同様の効果を奏することは言うまでもない。
なお、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、次のように変形してもよい。
例えば、エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4との間は、それぞれ各連通チューブ15−1〜15−4及び各加圧弁17−1〜17−4を介して接続している。これに対し、ノーマルメンテナンスを行う場合であれば、各加圧弁17−1〜17−4からエアータンク54側の各連通チューブ15−1〜15−4は、1本の連通チューブにしてもよい。これにより、各加圧弁17−1〜17−4とエアータンク54との間は、1本の連通チューブにより接続される。
【0099】
第1及び第3の実施の形態では、パージ期間tpの終了後に、全ての大気開放弁14−1〜14−4を複数回、例えば2回同時に間欠的に開放している。これに対し、各大気開放弁14−1〜14−4のうちいずれか1本の大気開放弁14−1、14−2、14−3又は14−4を開放しても、エアータンク54と各インクタンク12−1〜12−4とを連通して各内圧を平均化できる。
【0100】
次に、本発明の第5の実施の形態について図13乃至図15を参照して説明する。
図13は画像形成装置における画像形成制御部の構成図である。同装置は、各色の各インクタンク12−1〜12−4と各色のエアータンク16−1〜16−4との間に各色の各連通チューブ15−1〜15−4が連結されている。各連通チューブ15−1、15−2の間には、連結管30−1が連結されている。連結管30−1は、各連通チューブ15−1、15−2の間を連結する。連結管30−1には、電磁弁31−1が設けられている。
【0101】
各連通チューブ15−2、15−3の間には、連結管30−2が連結されている。連結管30−2は、各連通チューブ15−2、15−3の間を連結する。連結管30−2には、電磁弁31−2が設けられている。
各連通チューブ15−3、15−4の間には、連結管30−3が連結されている。連結管30−3は、各連通チューブ15−3、15−4の間を連結する。連結管30−3には、電磁弁31−3が設けられている。
【0102】
なお、各圧力弁17−1〜17−4が開放され、かつ各電磁弁31−1〜31−3が開放されている状態であれば、各インクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4は、各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態になる。
【0103】
次に、上記の如く構成された装置におけるノーマルメンテナンスを図14のタイミングチャートを参照して説明する。
インク吐出制御部56は、時刻t1において、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。各加圧ポンプ52−1〜52−4の駆動によりエアーは、各加圧チューブ53−1〜53−4を通して各エアータンク16−1〜16−4内に供給される。このとき、各加圧弁17−1〜17−4は、全て閉じているので、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力は上昇する。
各圧力センサ58−1〜58−4は、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力を検出し、その圧力検出信号を画像形成制御部55に送出する。
【0104】
各エアータンク16内の圧力が時刻t2に、ノーマルパージに必要な圧力(例えば、ヘッド内圧力Paが例えば10KPaになるような圧力)に達すると、画像形成制御部55は、同時刻t2に、各加圧ポンプ52−1〜52−4に停止命令を発する。これと共に、画像形成制御部55は、全ての加圧弁17−1〜17−4及び電磁弁31−1〜31−3に対して開放命令を発する。
【0105】
各加圧弁17−1〜17−4が開放されると、各エアータンク16内の圧力が各加圧弁17−1〜17−4を通して各インクタンク12−1〜12−4に加えられる。この際、各電磁弁31−1〜31−3も開放されるので、各連通管30−1,30−2,30−3を介して各連通チューブがそれぞれ連通される。
この結果、各インクタンク12−1〜12−4に印加される圧力は平均化される。ほぼ同じ圧力が各インクタンク12−1〜12−4に印加されることになる。
【0106】
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は閉じているので、各インクタンク12−1〜12−4内の圧力が上昇する。これら圧力の上昇により各インクタンク12−1〜12−4内に充填されている各色の各インク6k、6c、6m、6yは、各チューブ11−1〜11−4を通して各分配器10−1〜10−4に供給される。さらに各インク6k、6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に供給される。
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のヘッド内には、例えば3K〜20KPaのパージ圧Paが印加され、各ノズル2から各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。
【0107】
各インク6k、6c、6m、6yの吐出しは、ノーマルのパージ期間tpに行なわれる。画像形成制御部55は、パージ期間tpを内部タイマにより計測し、例えば約0.3〜20秒、好ましくは約0.5〜5秒の期間内に設定する。
パージ期間tpが経過すると、エアー圧力制御部57は、時刻t3からt4の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して間欠開放命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、間欠的に開放される。これによって各インクタンク12−1〜12−4内の圧力は、低下する。
【0108】
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は低下する。サッキングした後であっても、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、各インク6k、6c、6m、6yがヘッドから垂れ落ちない程度の微正圧(例えば約0.1K〜3KPa)に設定される。
【0109】
なお、画像形成制御部55は、大気開放弁14−1〜14−4が開放されている間(t3〜t4)、各連通電磁弁31−1〜31−3を継続的に開放させる。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内に印加される微正圧の値は、平均化される。
これにより、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきなどに起因する各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力のばらつきを平均化することができる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6にほぼ同じ圧力(所定の微正圧)を印加させることができる。
【0110】
なお、各連通電磁弁31−1〜31−3は、放置期間tfに入ってからも開放し続ける。これにより、各連通電磁弁31−1〜31−3は、各加圧弁17−1〜17−4の閉塞タイミングと同じタイミングで閉塞されるよう制御される。
【0111】
このように各色のインクタンク12−1〜12−4と各色の各エアータンク16−1〜16−4との間を連結する各連通チューブ15−1〜15−4の間に各連結管30−1〜30−3を設け、各連結管30−1〜30−3に各電磁弁31−1〜31−3を設けた。
【0112】
このような構成において、全ての加圧弁17−1〜17−4は、開放される。これと共に、全ての電磁弁31−1〜31−3が開放される。全てのインクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とが連通する。
これにより、各インクタンク12−1〜12−4の各内圧が平均化できる。所定のほぼ同じ微正圧を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に印加させることができる。
【0113】
次に、ストロングメンテナンス動作を図15のタイミングチャートを参照して説明する。
ストロングメンテナンス開始時、メンテナンスユニット42は、図5に示すようにベルトプラテン37のZ方向の下降に応動して各ガイド46にガイドされてZ軸方向に下降する。メンテナンスユニット42は、Y方向駆動機構45の動作により画像形成媒体34の給紙側に移動する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対応した各下方にそれぞれ配置される。
【0114】
第1のインク吐出制御部61は、時刻t10において、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発すると共に、各大気開放弁14−1〜14−4に対して閉命令を発する。各加圧ポンプ52−1〜52−4の駆動によりエアーは、各加圧チューブ53−1〜53−4を通して各エアータンク16−1〜16−4内に供給される。これにより、各エアータンク16−1〜16−4内の圧力は、上昇する。このとき各電磁弁31−1〜31−3は、閉鎖したままである。
【0115】
各エアータンク16−1〜16−4内の圧力が時刻t11にストロングパージのために必要なパージ圧力(ヘッド内に印加される圧力がPbに相当する圧力)に達すると、第1のインク吐出制御部61は、同時刻t11に、各加圧ポンプ52−1〜52−4に停止命令を発する。これと共に、第1のインク吐出制御部61は、ノズル抜けの生じた所要一色、例えばK色に対応する加圧弁17−1のみに対して開放命令を発する。なお、ノズル抜けの生じた色がC色であれば、C色に対応する加圧弁17−2のみを開放する。
【0116】
加圧弁17−1が時刻t11から時刻t12の期間に開放されると、エアータンク16−1内のストロングパージに必要な圧力は、全て加圧弁17−1を通してインクタンク12−1のみに加えられる。
このとき、各大気開放弁14−1〜14−4は、閉じているので、インクタンク12−1内の圧力は上昇する。この圧力の上昇によりインクタンク12−1内に充填されているK色のインク6kは、チューブ11−1を通して分配器10−1に供給される。さらにK色のインク6kは、各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6に供給される。
【0117】
これによって各インクジェットヘッド1k−1〜1k−6の各ノズル2からは、パージ圧力Pb(例えば20K〜50KPa)によってインク6kが強力に吐出される。インク6kの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などが排出される。ノズル抜けが回復できる。各ノズル2から吐出されたインク6kは、廃液ボトル51に排出される。
【0118】
次に、第2のインク吐出制御部62は、時刻t12において、加圧弁17−1を閉じ、各加圧ポンプ52−1〜52−4に対して駆動命令を発する。加圧ポンプ52の駆動によりエアーは、加圧チューブ53を通して各エアータンク16−2〜16−4内に供給される。これにより、タンク内の圧力は、上昇する。
各エアータンク16−2〜16−4内の圧力が時刻t13にノーマルパージに必要なパージ圧力に達すると、第2のインク吐出制御部62は、同時刻t13に、加圧ポンプ52に停止命令を発すると共に、K色以外の他色、すなわちC色、M色、Y色に対応する各加圧弁17−2〜17−4に対して開放命令を発する。
【0119】
各加圧弁17−2〜17−4が開放されると、各エアータンク16−2〜16−4内の圧力は、各加圧弁17−2〜17−4を通して各インクタンク12−2〜12−4に加えられる。
各インクタンク12−2〜12−4内の圧力が上昇すると、各インクタンク12−2〜12−4内に充填されている各色の各インク6c、6m、6yは、各チューブ11−2〜11−4を通して各分配器10−2〜10−4に供給される。さらに各インク6c、6m、6yは、各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に供給される。これにより、パージ圧Paが各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6に印加される。
【0120】
これによってC色、M色、Y色に対応する各インクジェットヘッド1c−1〜1y−6の各ノズル2から各インク6c、6m、6yが吐出される。各インク6c、6m、6yの吐出しによってノズル2内及びインク室5内の気泡や異物などは、排出される。各ノズル2から吐出された各インク6c、6m、6yは、廃液ボトル51に排出される。
【0121】
エアー圧力制御部57は、時刻t14の時点で、加圧弁17−1に対して開放状態を維持する命令を発する。エアー圧力制御部57は、同時刻t14からt15の期間において、全ての大気開放弁14−1〜14−4に対して複数回、例えば2回間欠的に開放する命令を発する。これにより、全ての大気開放弁14−1〜14−4は、複数回、例えば2回同時に間欠的に開放する。全ての加圧弁17−1〜17−4が開放する。
【0122】
時刻t14になると、エアー圧力制御部57は、各電磁弁31−1〜31−3を開放する。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とは、それぞれ各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態になる。
これにより、インクタンク12−1内の圧力と他の各インクタンク12−2〜12−4内の各圧力との間に差が生じていても、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧と各エアータンク16−1〜16−4の各内圧は平均化される。ほぼ所定の微正圧が各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内に対して印加される。
【0123】
これと共に、各大気開放弁14−2〜14−4は、製品毎に性能のばらつきが大きい。各大気開放弁14−2〜14−4は、例えば同じタイミングで開放命令を受けても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放しないことがある。このような各大気開放弁14−2〜14−4の開放タイミングのばらつきにより生じる圧力差も全てのインクタンク12−1〜12−4とエアータンク16−1〜16−4との連通により平均化される。
【0124】
この後、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2からは、僅かに各インク6k、6c、6m、6yが吐出される。ところが、上記第1の実施の形態と同様に、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6のノズル2内及びインク室5内の圧力は、ノズルプレートからは垂れ落ちない程度の微正圧、例えば約0.1k〜3kPaに設定される。
【0125】
次に、画像形成制御部55は、時刻t15において、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に対して各クリーニング部材20k−1〜20y−6を位置決めし、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6に当接する。
これと共に画像形成制御部55は、同時刻t15において、吸引ポンプ22に対して吸引命令を発する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、図3に示す各吸引ノズル48、49の吸引を開始する。
【0126】
吸引ポンプ22によりエアー吸引による各クリーニング部材20k−1〜20y−6に加わる負圧が所定値で安定すると、画像形成制御部55は、時刻t16において、X方向駆動機構44に対して駆動命令を発する。これにより、サッキング期間tsにおいて、メンテナンスユニット42がX方向(ノズル配列方向)に移動する。
これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、それぞれ各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3の全体に亘って摺動する。各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3に排出された各インク6k、6c、6m、6yを掻き取りながら吸引する。これにより、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各ノズルプレート3に付着している付着物を除去する。
【0127】
このとき、各クリーニング部材20k−1〜20y−6は、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズルプレート3上の各インク6k、6c、6m、6yを吸引する。これにより、インク液面が各ノズル2と各インク室5内との間で移動することがなく、各インク室5内にエアーを巻き込むおそれがない。
サッキング期間tsが終了する時刻t17になると、画像形成制御部55は、X方向駆動機構44に対して停止命令を発する共に、吸引ポンプ22に対しても停止命令を発する。
【0128】
次に、画像形成制御部55は、放置期間tfの開始時の時刻t18になると、各クリーニング部材20k−1〜20y−6を下降させて各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6から離す。
画像形成制御部55は、同時刻t18において、各大気開放弁14−1〜14−4に対して開放命令を発する。これにより、各大気開放弁14−1〜14−4は、開放する。各大気開放弁14−1〜14−4が開放される。
この状態で放置されることにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャが加えられる。各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各ノズル2に各メニスカス7が形成される。これにより、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6は、画像形成可能な状態に戻る。
【0129】
その後、メンテナンスユニット42は、時刻t19において、X方向に反対方向に移動し、元の位置に戻る。各エアータンク内の圧力が大気圧と同等になったならば、加圧弁17−1〜17−4を閉じ初期状態に戻る。
【0130】
このように上記第5の実施の形態によれば、各圧力弁17−1〜17−4を開放し、かつ各電磁弁31−1〜31−4を開放し、各インクタンク12−1〜12−4と各エアータンク16−1〜16−4とを各連通チューブ15−1〜15−4及び各連通管30−1〜30−3を介して全てエアーで連通した状態にする。これにより、全てのインクタンク12−1〜12−4の各内圧と各エアータンク16−1〜16−4の内圧とが平均化できる。
【0131】
しかるに、各大気開放弁14−1〜14−4の製品毎に性能のばらつきが大きく、例えば同じタイミングで開放命令を発しても電気的なディレーやメカニカル的なディレーなどにより同時に開放せず、それぞれ異なったタイミングで開放したとしても、各インクタンク12−1〜12−4内の各圧力は平均化できる。
この結果、各インクジェットヘッド1k−1〜1y−6の各インク室5内にバックプレッシャを加えることにより各ノズル2に良好な各メニスカス7が形成できる。画像形成時に各ノズル2から噴射される各インク6k、6c、6m、6yの量を適正量にできる。各インク6k、6c、6m、6yの噴射方向が適正方向にできる。高画質の画像形成ができる。
【0132】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0133】
1k−1〜1y−6:インクジェットヘッド、2:ノズル、3:ノズルプレート、4:圧電素子(PZT)、5:インク室、6(6k,6c,6m,6y):インク液、7:メニスカス、10−1〜10−4:分配器、11−1〜11−4:チューブ、12−1〜12−4:インクタンク、13−1〜13−4:大気開放チューブ、14−1〜14−4:大気開放弁、15−1〜15−4:連通チューブ、16−1〜16−4:エアータンク、17−1〜17−4:加圧弁、18−1〜18−4:加圧チューブ、19−1〜19−4:加圧ポンプ、20k−1〜20y−6:クリーニング部材、21:吸引チューブ、30:装置本体、31:下部筐体、32:上部筐体、33:給紙トレイ、34:画像形成媒体、35:ピックアップローラ、36:レジストレーションローラ対、37:ベルトプラテン、38a,38b,38c:プラテンローラ、38d:搬送ベルト、38e:エアー吸引部、39:排出ローラ対、40:排紙トレイ、41k,41c,41m,41y:インクパン、42:メンテナンスユニット、43:メンテナンスキャリッジ、44:X方向駆動機構、45:Y方向駆動機構、46:ガイド、47−1,47−2:ワイプブレード、48,49:吸引ノズル、50k,50c,50m,50y:インクボトル、51:廃液ボトル、52:加圧ポンプ、53:加圧チューブ、54:エアータンク、55:画像形成制御部、56:インク吐出制御部、57:エアー圧力制御部、58:圧力センサ、60:画像形成制御部、61:第1のインク吐出制御部、62:第2のインク吐出制御部、63:エアー圧力制御部、70:大気開放チューブ、71:大気開放弁、72:インク吐出制御部、73:エアー圧力制御部、74:第1のインク吐出制御部、75:第2のインク吐出制御部、76:エアー圧力制御部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインクタンクと、
前記インクタンクから供給された前記インクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、
前記インクタンク内を加圧する加圧タンクと、
前記インクタンクと前記加圧タンクとの間を連通する第1の弁を有する連通部材と、
前記インクタンク又は前記加圧タンクに設けられ、前記インクタンク内又は前記加圧タンク内を大気開放する第1の弁と、
前記インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも前記第1の弁及び前記第2の弁の開閉動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第2の弁を閉塞し、前記第1の弁を開放することで前記加圧タンクから前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるインク吐出制御部と、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させた後、前記第1の弁を開放した状態で前記第2の弁を複数回間欠的に開閉することで前記ヘッド内圧を前記インクジェットヘッドのノズルから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクタンクと接続されるエアータンクと、前記エアータンク内を加圧する加圧ポンプとを有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、
前記加圧ポンプを駆動し、前記エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、
前記エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させ、前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるパージ工程と、
前記パージ工程後、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させた状態で前記エアータンク、又は前記インクタンクを複数回間欠的に大気開放し、前記ヘッド内圧が前記インクジェットヘッドから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧になるように前記インクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程と、
を有することを特徴とするインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
【請求項1】
インクを収容するインクタンクと、
前記インクタンクから供給された前記インクを画像形成媒体上に吐出し、画像形成を行うインクジェットヘッドと、
前記インクタンク内を加圧する加圧タンクと、
前記インクタンクと前記加圧タンクとの間を連通する第1の弁を有する連通部材と、
前記インクタンク又は前記加圧タンクに設けられ、前記インクタンク内又は前記加圧タンク内を大気開放する第1の弁と、
前記インクジェットヘッドのメンテナンスを行う際に、少なくとも前記第1の弁及び前記第2の弁の開閉動作を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、前記第2の弁を閉塞し、前記第1の弁を開放することで前記加圧タンクから前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるインク吐出制御部と、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させた後、前記第1の弁を開放した状態で前記第2の弁を複数回間欠的に開閉することで前記ヘッド内圧を前記インクジェットヘッドのノズルから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧まで減圧させるエアー遮断制御部と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
インクを収容するインクタンクと、前記インクタンクから供給された前記インクを吐出するインクジェットヘッドと、前記インクタンクと接続されるエアータンクと、前記エアータンク内を加圧する加圧ポンプとを有する画像形成装置におけるインクジェットヘッドのメンテナンス方法であって、
前記加圧ポンプを駆動し、前記エアータンク内の圧力を所定の圧力まで高める圧力供給工程と、
前記エアータンク内の圧力が所定の圧力に達すると、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させ、前記インクタンクを介して前記インクジェットヘッドのヘッド内圧を高め、前記インクジェットヘッドから前記インクを吐出させるパージ工程と、
前記パージ工程後、前記インクタンクと前記エアータンクとを連通させた状態で前記エアータンク、又は前記インクタンクを複数回間欠的に大気開放し、前記ヘッド内圧が前記インクジェットヘッドから前記インクが垂れ落ちない程度の微正圧になるように前記インクタンク内の圧力を減圧させる減圧工程と、
を有することを特徴とするインクジェットヘッドのメンテナンス方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−37282(P2011−37282A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−260390(P2010−260390)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2005−14299(P2005−14299)の分割
【原出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【分割の表示】特願2005−14299(P2005−14299)の分割
【原出願日】平成17年1月21日(2005.1.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
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