説明

画像形成装置及び再印刷制御プログラム

【課題】 記憶部における印刷ジョブの保存領域が複数ある画像形成装置において、印刷ジョブの保存中に他の印刷ジョブを受信した場合でも、一定の期間内については、保存中の印刷ジョブの再印刷を確実に実行できる画像形成装置の実現。
【解決手段】 印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、先に受信した印刷ジョブを保存する第一ジョブ保存手段と、後に受信した印刷ジョブを保存する第二ジョブ保存手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、入力操作に応じ保存された印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備え、前記第一ジョブ保存手段は、前記第二ジョブ保存手段により保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき及び/又は当該印刷ジョブの受信もしくは保存を行った後所定時間を経過したときには、保存されている印刷ジョブを消去する構成としてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷ジョブを保存することによって、所定操作にもとづく再印刷を可能とする画像形成装置及び再印刷制御プログラムに関し、より詳しくは、一定の条件を満たすまでの期間は、再印刷を確実に実行しうる画像形成装置及び再印刷制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、既に印刷し終えたところの印刷ジョブを保持し、ユーザの所定操作に応じて再度印刷することができる再印刷機能を備えた画像形成装置が考案され、その技術が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1によって開示されている画像形成装置は、さらに、既存のキー操作によって再印刷部数の設定が可能となっており、LCD等を搭載しないローエンドプリンタによって再印刷機能を実現できることが特徴となっている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−35649号公報(第1−3頁、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、以上のような従来提案されている画像形成装置においては、印刷処理を行った印刷ジョブを記憶手段によって保存しておくものの、新たな印刷ジョブを受信した場合にはこれを上書き保存するため、それまで保存していた先の印刷ジョブが必然的に消去され、再印刷が不可能となる問題が発生していた。
また、ローエンドプリンタの中には、記憶装置に印刷ジョブを複数保存できるものの、再印刷する印刷ジョブを選択する機能が備えられていないものがある。ここで、仮に2つの印刷ジョブが保存されている場合に再印刷開始の操作がなされると、いずれの印刷ジョブの再印刷を行うべきか決定できない。こうした状況を回避すべく、新たな印刷ジョブの受信時には既に保存していた印刷ジョブを消去して、常時1つの印刷ジョブのみが保存されているようにしていた。
【0005】
一方、ユーザとしては、情報処理装置から送信したジョブによる印刷物を画像形成装置で受け取る場合に、その画像形成装置上で再印刷開始の操作を行って再印刷を行えることが望ましい。ところが、従来の画像形成装置においては、情報処理装置から画像形成装置へ移動している間に他の印刷ジョブを受信すると、そのユーザの印刷ジョブを消去していたため、ユーザが画像形成装置に到着したときには既に自身の印刷ジョブの再印刷ができない状況にあった。こうした事態が排除できると、再印刷機能を従来以上に有効に利用でき、利便性の高い画像形成装置を実現できる。
特に、画像形成装置に対する情報処理装置の台数が多いシステムの場合には、複数の印刷ジョブが短時間のうちに出力されることが多く、この様な問題が発生し易い状況となっていた。
【0006】
本発明は、以上のような従来の技術が有する問題を解決するために提案されたものであり、記憶装置に印刷ジョブを複数保存できるものの、再印刷する印刷ジョブを選択する機能が備えられていない画像形成装置においても、印刷ジョブの保存中に他の印刷ジョブを受信した場合に、一定の期間内で前記印刷ジョブを確保し、係る再印刷を確実に実行できる画像形成装置及び再印刷制御プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、請求項1に記載するように、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段と、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備えた画像形成装置であって、前記ジョブ保存手段は、印刷ジョブを保存する保存領域を複数有し、第一の前記保存領域に印刷ジョブが保存されている場合に、第二の前記保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき及び/又は当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去する構成としてある。
【0008】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、第二の保存領域に保存されたジョブの印刷処理が完了するまで又は所定時間が経過するまでは、第一の保存領域に保存された印刷ジョブは消去されずに保存されているため、この印刷ジョブの再印刷を実行できる。
これにより、第一の印刷ジョブが保存されている間に、第二の印刷ジョブを受信した場合であっても、直ぐに第一の印刷ジョブを消去して再印刷が不可能となるのではなく、第二の印刷ジョブの受信後も一定条件下で第一の印刷ジョブの再印刷が可能となるので、再印刷可能な時間を拡大させることができる。このため、ユーザにとって再印刷機能が利用しやすく、利便性に優れた画像形成装置を実現することが可能である。特に、情報処理装置が複数あるシステムにおいては大いにその効果を発揮することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置は、請求項2に記載するように、前記ジョブ保存手段は、前記第二の保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき、又は、当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したとき、のいずれか早いときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去する構成とすることができる。
また、本発明の画像形成装置は、請求項3に記載するように、前記ジョブ保存手段は、前記第二の保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了し、かつ、当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去する構成とすることもできる。
【0010】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、保存されている第一の印刷ジョブを消去するタイミングを予め選択し、再印刷できる時間の長短を設定することも可能である。
例えば、再印刷可能な時間を短くしたい場合には、後の印刷ジョブに係る印刷が完了したときか、当該印刷ジョブの受信等を行った後所定時間を経過したときのいずれか早いタイミングで先の印刷ジョブを消去し、係る再印刷を制限するようにしてもよい。
また、再印刷可能な時間を長くしたい場合には、後の印刷ジョブに係る印刷が完了し、かつ、当該印刷ジョブの受信等を行った後所定時間を経過したときに限り、先の印刷ジョブを消去し、係る再印刷を制限するようにしてもよい。
このようにして再印刷できる時間の長短を予め設定できるので、ユーザの利用形態に適した画像形成装置を実現し、提供できるようになる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置は、請求項4に記載するように、所定キーの押下回数を測定する押下回数測定手段をさらに備え、前記再印刷制御手段は、前記押下回数測定手段により測定された回数に応じた部数の再印刷処理を実行させる構成としてある。
また、本発明の画像形成装置は、請求項5に記載するように、所定キーの長押し時間を測定する押下時間測定手段をさらに備え、前記再印刷制御手段は、前記押下時間測定手段により測定された時間に応じた部数の再印刷処理を実行させる構成としてある。
【0012】
このような構成からなる本発明の画像形成装置によれば、再印刷専用のキー操作に応じて、又は既存のキー操作に応じて、再印刷の出力部数を設定することが可能となっている。
したがって、LCD等を備えていないローエンドモデルの画像形成装置によっても再印刷やその出力部数の設定できるため、利便性や汎用性に優れた画像形成装置を低価格で提供できるようになる。
【0013】
また、本発明の再印刷制御プログラムは、請求項6に記載するように、画像形成装置としてのコンピュータを、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段、印刷ジョブを保存するジョブ保存手段、入力操作に応じ保存された印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段、時間を計測する計時手段、として機能させるための再印刷制御プログラムであって、前記コンピュータを、印刷ジョブを保存する複数の保存領域を有した前記ジョブ保存手段、第一の前記保存領域に印刷ジョブが保存されている場合に、第二の前記保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき及び/又は当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去する手段として機能させるためのプログラムとしてある。
【0014】
このように本発明はプログラムとしても実現化することができる。
これにより、装置発明としてのみならず従来の画像形成装置等にプログラムをインストールすることによって本発明を実現することができ、汎用性,拡張性に優れた再印刷制御プログラムとして提供することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明の画像形成装置によれば、予め一定の条件を定め、その条件を満たすまでの間に要求のあった再印刷は確実に実施できるため、再印刷機能が使いやすく利便性に優れた画像形成装置を実現し、提供することが可能である。
そして、印刷ジョブに関し複数の保存領域を備えているため、記憶媒体の限られた領域を有効に活用しながら再印刷の処理を円滑に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図1〜図7を参照して説明する。
ここで、以下に示す本実施形態の画像形成装置は、プログラム(ソフトウェア)の命令によりコンピュータで実行される処理,手段,機能によって実現される。プログラムは、コンピュータの各構成要素に指令を送り、以下に示すような所定の処理・機能を行わせる。すなわち、本実施形態の画像形成装置における各処理・手段は、プログラムとコンピュータとが協働した具体的手段によって実現される。
なお、プログラムの全部又は一部は、例えば、磁気ディスク,光ディスク,半導体メモリ,その他任意のコンピュータで読取り可能な記録媒体により提供され、記録媒体から読み出されたプログラムがコンピュータにインストールされて実行される。また、プログラムは、記録媒体を介さず、通信回線を通じて直接にコンピュータにロードし実行することもできる。
【0017】
[第一実施形態]
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、画像形成装置10は、ホストドライバ101と、PDL解析部102と、PDL処理部103と、VIDEO部104と、エンジンコントローラ105と、RAM106と、画像圧縮部107と、記憶部108と、タイマ109とを備えている。
【0018】
ホストドライバ101は、パーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置20から送信されてきた印刷ジョブ(印刷データ)を受信するインタフェースである(ジョブ受信手段)。
PDL解析部102及びPDL処理部103は、ホストドライバ101によって受信された印刷ジョブを解析し、ビットマップデータに変換するものである。PDL処理部103でビットマップ状態になったジョブデータはRAM106に展開されるとともに、ビットマップ化の終了がVIDEO部104に通知される。
【0019】
VIDEO部104は、RAM106に展開された画像データを参照しつつ、ビットマップデータにもとづきページ単位の画像イメージを生成する。
エンジンコントローラ105は、VIDEO部104で生成された画像イメージにもとづき印刷処理を実行する(印刷手段)。
画像圧縮部107は、RAM106に展開されたビットマップデータを圧縮する。
記憶部108は、画像圧縮部107で圧縮されたビットマップデータを保存する(ジョブ保存手段)。これは、一旦、記憶部108に印刷ジョブを保存させておき、後に読み出して再印刷を行うためである。
【0020】
なお、本実施形態の画像形成装置10においては、記憶部108に2つの保存領域(第一保存領域108a、第二保存領域108b)が備えられており、第一ジョブ保存手段と第二ジョブ保存手段により印刷ジョブを保存するようにしている。これら第一ジョブ保存手段と第二ジョブ保存手段とを合わせて「ジョブ保存手段」という。
そして、ユーザが画像形成装置10のキー操作を行うことによって再印刷が行われることとなる(再印刷制御手段)。
また、画像形成装置10はタイマ109(計時手段)を搭載しており、印刷ジョブの処理に係る各種時間を測定し、時間に応じた再印刷制御も可能となっている。
【0021】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の再印刷について、図2及び図3を参照しながら説明を行う。
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の構成のうち再印刷に関する構成を示すブロック図であり、図3は、本実施形態に係る画像形成装置の全体及びキー操作部を示した斜視図である。
図2に示すとおり、再印刷の実施は、画像形成装置10に備えられたキー操作部110をユーザが操作することから始まる。具体的には、図3(a)に示すGOキー(110a)その他既存のキーを長押しするか、又は、図3(b)に示す再印刷用キー(リプリントキー110c)を押下することによってパネルドライバ111は再印刷の指示を認識する。なお、GOキー110aは、通常、画像形成装置10のオンライン/オフライン切替のために使用される操作キーのことである。
【0022】
ここで、本実施形態の画像形成装置10は、再印刷実施の際に、予め部数の設定が可能であり、例えば、上記GOキー110aの長押し時間やリプリントキー110cの押下回数に応じてカウントアップさせ、設定部数に応じた再出力を行うこともできる。
また、再印刷を複数部行う場合には、先の再印刷の操作から後の再印刷の操作までを一定時間内に行うようにし、当該時間内に後の再印刷の操作がなければその後の再印刷は無効とすることもできる。また、処理中止を指示するキャンセルキー110bにより、設定した再印刷部数をクリアすることも可能である。
例えば、3部再印刷したい場合、リプリントキー110cを3度押す必要があるが、最初にリプリントキー110cを押してから3秒以内に2度目のリプリントキー110cを押さなければならず、2度目のリプリントキー110cを押してから3秒以内に3度目のリプリントキー110cを押さなければならないこととすることができる。そして、画像形成装置10は、リプリントキー110cが最後に押されてから3秒後に再印刷を行うようにしてもよい。
【0023】
パネルドライバ111は、再印刷の指示を認識すると、記憶部108に保存されている印刷ジョブを画像伸張部112に出力させる。
なお、前述の通り、記憶部108には保存領域が2つあるので、印刷ジョブを最大2つ保存することができる。ただし、ローエンド機の場合は、原則として、ユーザが再印刷するジョブを選択できないことになっている。このため、保存領域が2つ確保されていても、ジョブは通常は一方の保存領域にのみ保存されており、他方の保存領域は空いた状態となっている。その後、新たにジョブが受信され印刷処理後他方の保存領域に保存されると、一方の保存領域に保存されていたジョブは他方のジョブの印刷処理後又は所定時間経過後に消去される。これにより、再印刷用の所定キーが操作されたときには、その時点で保存されている一のジョブについて再印刷を実行することができる。
また、本実施形態は、画像形成装置としてローエンド機を想定しているが、本発明をローエンド機以外の画像形成装置にも適用可能であり、この場合、ユーザは保存されている印刷ジョブのうち、どちらの印刷ジョブについて再印刷を行うかを操作キーによって選択し、これをパネルドライバ111が認識することによって対応する印刷ジョブが取り出されるようにすることもできる。
【0024】
なお、パネルドライバ111は、GOキー110aの押下時間を測定し、この測定した押下時間に応じた部数の再印刷を実行させるときには、「押下時間測定手段」として機能する。
また、パネルドライバ111は、リプリントキー110cの押下回数をカウント(測定)し、このカウントした押下回数に応じた部数の再印刷を実行させるときには、「押下回数測定手段」として機能する。
【0025】
画像伸張部112では、圧縮されたビットマップデータを元のデータに戻したうえで、VIDEO部104に出力する。
VIDEO部104では、ビットマップデータにもとづき、ページ毎の画像イメージを生成する。そして、エンジンコントローラ105によって印刷が行われる。
このように、キー操作部110においてキー操作を行うことにより再印刷の要求を行い、パネルドライバ111がこれを検知する。そして、パネルドライバ111は、記憶部108に保存されている印刷ジョブの読み出しを行い、エンジンコントローラ105から印刷を行わせる。
なお、本実施形態においては、再印刷に関係する構成各部、特に、キー操作部110やパネルドライバ111を「再印刷制御手段」という。
【0026】
次に、本実施形態に係る画像形成装置の動作手順について図4を参照しながら説明する。
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示したシーケンスである。
同図に示すとおり、本実施形態の画像形成装置10は主に、ジョブ受信手段、第一ジョブ保存手段、第二ジョブ保存手段、計時手段、印刷手段及び再印刷制御手段があり、相互に連携して様々な処理を行っている。
【0027】
図4に示すように、画像形成装置10のホストドライバ101は、同一ネットワーク上に存在するPC等の情報処理装置20からジョブ1(第一の印刷ジョブ)を受信する(A1)。
ジョブ1を受信すると、第一ジョブ保存手段は、記憶部108の第一保存領域108aに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(A2)。ここでは、第一保存領域108aに保存されている印刷ジョブはないものとする。
第一保存領域108aに他の印刷ジョブが保存されていないことを確認すると、第一ジョブ保存手段は、その第一保存領域108aにジョブ1を保存する(A3)。
そして、ジョブ1にもとづく通常の印刷が実行されることとなる(A4)。
【0028】
続いて、キー操作部110で再印刷の開始に関する操作が行われると、パネルドライバ111でその操作内容が検出される(A5)。この検出にもとづき、再印刷命令が記憶部108に送られ(A6)、現在保存中のビットマップデータ(ジョブ1の圧縮データ)が記憶部108から抽出され(A7)、画像伸張部112で伸張され、VIDEO部104で画像イメージが生成されて、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(A8、A9)。
【0029】
次に、印刷ジョブとしてジョブ2を受信したこととする(B1)。
ジョブ2を受信すると、第一ジョブ保存手段は記憶部108の第一保存領域108aに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(B2)。ここでは、ジョブ1が保存されていることを確認する。
そこで、第二ジョブ保存手段は記憶部108の第二保存領域108bに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(B3)。ここでは、第二保存領域108bに保存されている印刷ジョブはないものとする。
【0030】
他のジョブが第二保存領域108bに保存されていないことを確認すると、第二ジョブ保存手段は、第二保存領域108bにジョブ2を保存する(B4)。
そして、ジョブ2にもとづく通常の印刷が実行されることとなる(B5)。
ここで、本実施形態の画像形成装置10は、ステップB5にてジョブ2の印刷が完了すると、第一ジョブ保存手段は、第一保存領域108aからジョブ1を消去する(B6)。
【0031】
続いて、キー操作部110で再印刷の開始に関する操作が行われると、パネルドライバ111でその操作内容が検出される(B7)。この検出にもとづき、再印刷命令が第二ジョブ保存手段に送られ(B8)、現在保存中のビットマップデータ(ジョブ2の圧縮データ)が記憶部108の第二保存領域108bから抽出され(B9)、画像伸張部112で伸張され、VIDEO部104で画像イメージが生成されて、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(B10、B11)。
【0032】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10によれば、2つの印刷ジョブを保存する手段を備え、一定の条件に達した場合にのみ、保存された印刷ジョブを消去するようにしている。具体的には、先に受信した印刷ジョブと後に受信した印刷ジョブとがある場合、後に受信した印刷ジョブの印刷が完了すると同時に、先に受信した印刷ジョブを消去することとしている。
このため、上記条件を満たすまでの間は、先に受信した印刷ジョブについて確実に再印刷を実施できるだけでなく、次に受信する印刷ジョブの保存領域も予め確保するようにしているため、円滑に再印刷の処理ができるようになる。
【0033】
[第二実施形態]
次に、本発明の画像形成装置の第二の実施形態について、図5を参照して説明する。
本実施形態は、第一実施形態と比較して、第一ジョブを消去するタイミングが相違する。すなわち、第一実施形態では、第二ジョブの印刷が完了すると、保存されていた第一ジョブを消去していたのに対し、本実施形態では、第二ジョブの保存から所定時間経過後に、保存されていた第一ジョブを消去することとしている。他の構成要素は第一実施形態と同様である。したがって、図1と同様の構成部分については同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。なお、本実施形態の画像形成装置の構成は、第一実施形態における画像形成装置の構成と略同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0034】
ここで、第二実施形態に係る画像形成装置の動作手順について図5を参照しながら説明する。
図5は、第二実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示したシーケンスである。
本実施形態では、前述の第一実施形態と同様、まずジョブ1を受信し、ジョブ1は、第一ジョブ保存手段により第一保存領域108aに保存され、印刷処理が実行される(A1〜A4)。
【0035】
次いで、印刷ジョブとしてジョブ3を受信したこととする(C1)。
ジョブ3を受信すると、第一ジョブ保存手段は記憶部108の第一保存領域108aに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(C2)。ここでは、ジョブ1が保存されていることを確認する。
そこで、第二ジョブ保存手段は記憶部108の第二保存領域108bに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(C3)。ここでは、第二保存領域108bに保存されているジョブはないものとする。
他のジョブが第二保存領域108bに保存されていないことを確認すると、第二ジョブ保存手段は、第二保存領域108bにジョブ3を保存する(C4)。
そして、ジョブ3にもとづく通常の印刷が実行されることとなる(C5)。
【0036】
ここで、計時手段はジョブ保存開始からの時間の測定を開始する(C6)。
そして、上記時間が予め設定した時間を経過すると、第一ジョブ保存手段は第一記憶媒体108aからジョブ1を消去する(C7)。
これにより、その後、ジョブ1についての再印刷は実施できなくなる。
【0037】
続いて、キー操作部110で再印刷の開始に関する操作が行われると、パネルドライバ111でその操作内容が検出される(C8)。この検出にもとづき、再印刷命令が第二ジョブ保存手段に送られ(C9)、現在保存中のビットマップデータ(ジョブ2の圧縮データ)が記憶部108の第二保存領域108bから抽出され(C10)、画像伸張部112で伸張され、VIDEO部104で画像イメージが生成されて、エンジンコントローラ105で印刷処理が実行される(C11、C12)。
【0038】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10によれば、第一実施形態と同様に、2つの印刷ジョブを保存する手段を備え、一定の条件に達した場合にのみ、保存された印刷ジョブを消去するようにしている。
ただし、第一実施形態と異なり、先に受信した印刷ジョブと後に受信した印刷ジョブとがある場合、後に受信した印刷ジョブが受信、又は保存されてから一定時間経過したときに、先に受信した印刷ジョブを消去することとしている。
このため、上記一定時間を経過するまでは先に受信した印刷ジョブについて確実に再印刷を実施でき、また、次に受信する印刷ジョブの保存領域も予め確保するようにしているため、円滑に再印刷の処理ができるようになる。
【0039】
[第三実施形態]
次に、第三実施形態に係る画像形成装置の動作手順について図6及び図7を参照しながら説明する。
図6は、第三実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示した第一のシーケンスであり、図7は、第三実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示した第二のシーケンスである。
図6に示すとおり、本実施形態では、前述の実施形態と同様、まずジョブ1を受信し、ジョブ1は、第一ジョブ保存手段により第一保存領域108aに保存され、印刷処理が実行される(A1〜A4)。
【0040】
次いで、印刷ジョブとしてジョブ4を受信したこととする(D1)。
ジョブ4を受信すると、第一ジョブ保存手段は記憶部108の第一保存領域108aに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(D2)。ここでは、ジョブ1が保存されていることを確認する。
そこで、第二ジョブ保存手段は記憶部108の第二保存領域108bに他の印刷ジョブが保存されているか否かを確認する(D3)。ここでは、第二保存領域108bに保存されているジョブはないものとする。
他のジョブが第二保存領域108bに保存されていないことを確認すると、第二ジョブ保存手段は、第二保存領域108bにジョブ4を保存する(C4)。
そして、ジョブ4にもとづく通常の印刷が実行される(D5)とともに、計時手段により時間の測定を開始する(D6)。
【0041】
ここで、本実施形態の画像形成装置10は、ステップD5における印刷完了時またはステップD6の時間測定における一定時間経過時のうち、どちらか遅く経過したときにジョブ1を消去する(D7)。
例えば、図6の場合、ステップD6で測定した所定時間の経過時がステップD5における印刷完了時よりも遅いので、ステップD6において所定時間を経過した時点でジョブ1が消去されることとなる。
【0042】
次に、本実施形態の他の動作手順について図7の第二シーケンスを参照しながら説明を行う。
前述の第一シーケンスと比較するとわかるとおり、第二シーケンスの特徴は、ステップE5からE7において実施するジョブ消去の手順である。
すなわち、第二シーケンスにおいては、ステップE5における印刷完了時またはステップE6の時間測定における一定時間経過時のうち、どちらか早く経過したときにジョブ1を消去することとしている(E7)。
例えば、図7の場合、ステップE5における印刷完了時がステップE6で測定した所定時間の経過時がよりも早いので、ステップE5において印刷が完了した時点でジョブ1が消去されることとなる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態の画像形成装置10によれば、前述の他の実施形態と同様に、2つの印刷ジョブを保存する手段を備え、一定の条件に達した場合にのみ、保存された印刷ジョブを消去するようにしている。
ただし、他の実施形態と異なり、先に受信した印刷ジョブと後に受信した印刷ジョブとがある場合、後に受信した印刷ジョブが保存等されてから一定時間経過したとき、または、後に受信した印刷ジョブの印刷が完了したときのうち、いずれか早く経過したときに、先に受信した印刷ジョブを消去することとしている。
さらに、後に受信した印刷ジョブが保存等されてから一定時間経過し、かつ、後に受信した印刷ジョブの印刷が完了したときに、先に受信した印刷ジョブを消去することも可能である。
このため、他の実施形態と同様の効果が発揮されるだけでなく、保存されている印刷ジョブを消去するタイミングを予め選択し、設定することができるため、利用形態に最適な画像形成装置10を実現し、提供することが可能となる。
【0044】
以上、本発明の画像形成装置について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明にかかる画像形成装置は、上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることは言うまでもない。
例えば、本発明の画像形成装置は、プリンタ等の印刷装置ではなく、ファクシミリ装置であってもよく、原稿を読み取った後、一時的にその画像データを保持させておき、その間は任意の通信相手に同一の原稿を何度も送信することが可能となる。
また、上述の実施形態においては、記憶部に設ける保存領域の数を2つとしたが、2つに限るものではなく、複数とすることもできる。この場合も、本発明を適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明は、再印刷機能を備えた画像形成装置に好適に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための第一のブロック図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の動作を説明するための第二のブロック図である。
【図3】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の全体及びキー操作部を示した斜視図である。
【図4】本発明の第一実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示したシーケンスである。
【図5】本発明の第二実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示したシーケンスである。
【図6】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置の動作手順を示した第一のシーケンスである。
【図7】本発明の第三実施形態に係る画像形成装置の他の動作手順を示した第二のシーケンスである。
【符号の説明】
【0047】
10 画像形成装置
108 記憶部
108a 第一保存領域
108b 第二保存領域
109 タイマ
20 情報処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを受信するジョブ受信手段と、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段と、受信した印刷ジョブを保存するジョブ保存手段と、入力操作に応じ保存した印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段と、時間を計測する計時手段と、を備えた画像形成装置であって、
前記ジョブ保存手段は、印刷ジョブを保存する保存領域を複数有し、第一の前記保存領域に印刷ジョブが保存されている場合に、第二の前記保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき及び/又は当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ保存手段は、
前記第二の保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき、又は、当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したとき、のいずれか早いときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記ジョブ保存手段は、
前記第二の保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了し、かつ、当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
所定キーの押下回数を測定する押下回数測定手段をさらに備え、
前記再印刷制御手段は、前記押下回数測定手段により測定された回数に応じた部数の再印刷処理を実行させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
所定キーの長押し時間を測定する押下時間測定手段をさらに備え、
前記再印刷制御手段は、前記押下時間測定手段により測定された時間に応じた部数の再印刷処理を実行させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置としてのコンピュータを、印刷ジョブを受信するジョブ受信手段、受信した印刷ジョブの印刷処理を実行する印刷手段、印刷ジョブを保存するジョブ保存手段、入力操作に応じ保存された印刷ジョブの再印刷処理を前記印刷手段に実行させる再印刷制御手段、時間を計測する計時手段、として機能させるための再印刷制御プログラムであって、
前記コンピュータを、
印刷ジョブを保存する複数の保存領域を有した前記ジョブ保存手段、
第一の前記保存領域に印刷ジョブが保存されている場合に、第二の前記保存領域に保存された印刷ジョブの印刷が完了したとき及び/又は当該印刷ジョブの受信後もしくは保存後所定時間を経過したときに、前記第一の保存領域に保存されている印刷ジョブを消去する手段
として機能させるための再印刷制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−80754(P2008−80754A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−266270(P2006−266270)
【出願日】平成18年9月29日(2006.9.29)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】