説明

画像形成装置及び方法

【課題】人間の感性というのが本来、個々人によって異なるものであることを考慮し、ユーザに複雑な色補正パラメータを入力させることなく、所望のカラー画像を、簡単な感覚的な言語の重み付けによって出力する。
【解決手段】複数の色補正パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義した色心理パラメータを入力、前記色補正パラメータの組合せを出力とする学習データによって学習するニューラルネットワーク302を有する。ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、ユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させる。次に、定義結果である色心理パラメータを、ニューラルネットワーク202に入力する。出力された色補正パラメータの組合せを用いて出力画像を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び方法に関し、特に、画像イメージに対する印象が個人の感性の違いによってそれぞれ異なることに対応する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の色調整パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を感覚的な言葉で定義した色心理パラメータと、前記複数の色調整パラメータの組合せとを対応させて記憶した記憶手段と、前記色心理パラメータを指定するための指定手段と、前記指定手段で指定された色心理パラメータと対応する前記記憶手段に記憶されている複数の色調整パラメータの組み合わせを実行する色調整実行手段とを備えており、前記色心理パラメータを入力すると、それに対応した前記色調整パラメータを決定する機能を有する画像形成装置について開示されている。
【0003】
ここで、色調整パラメータとは、赤、青、緑、シアン、マゼンタ、イエローそれぞれの濃度やガンマテーブル、コントラストなどといったパラメータのことを指す。「色補正パラメータ」とも言う。以下では、「色補正パラメータ」と呼ぶ。なお、色補正パラメータは、上記のような複数のパラメータの組合せとして捉えることができる。
また、出力画像の印象を定義する感覚的な言葉とは、例えば、「鮮やかな」、「くっきりとした」などといった、画像イメージを表す形容詞を指す。以下では、このような言葉のことを「感覚言語」と呼ぶ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前述した従来技術では、「色調整の複雑な設定をなくして使い勝手を良くし,迅速に設定できるようにすると共に,色調整時に色調整後の出力画像の変化を容易に想像できるようにして簡単に好みの画像を得られるようにする」とあるが、本来人間の感性というのは、個々人によって異なるものであり、その部分が考慮されていない。
【0005】
そこで本発明では、ユーザによる感性の違いを考慮し、ユーザに複雑な色補正パラメータを入力させることなく、所望のカラー画像を、簡単な感覚的な言語の重み付けによって出力することができる画像形成装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、第1の態様として、複数の色補正パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義した色心理パラメータを入力、前記色補正パラメータの組合せを出力とする学習データによって学習するニューラルネットワークと、ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、ユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させた、画像出力に用いる色心理パラメータを、前記ニューラルネットワークに入力する制御を行う制御手段と、前記ニューラルネットワークから出力された、画像出力に用いる色補正パラメータの組合せを用いて出力画像を形成する画像形成手段と、を有することを特徴とする、画像形成装置を提供するものである。
【0007】
また、第2の態様として、複数の色補正パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義した色心理パラメータを入力、前記色補正パラメータの組合せを出力とする学習データによって学習するニューラルネットワークを用いる画像形成方法であって、ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、ユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させる工程と、その定義結果を画像出力に用いる色心理パラメータとして、該色心理パラメータを前記ニューラルネットワークに入力する工程と、前記ニューラルネットワークから出力された、画像出力に用いる色補正パラメータの組合せを用いて出力画像を形成する画像形成工程と、を含むことを特徴とする、画像形成方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの感性による違いが考慮されており、所望のカラー画像を簡単な感覚的な言語の重み付けによって出力することが可能な画像形成装置及び方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による実施形態の画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図2】階層型ネットワークモデルを説明するための図である。
【図3】本実施形態において、ユーザ毎に行われるアンケートを説明するための図である。
【図4】本実施形態において用いられる階層型ネットワークモデルを説明するための図である。
【図5】本実施形態の機能構成を示すブロック図である。
【図6】実施例1の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】実施例2の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】実施例3の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<基本構成>
図1に、本発明を好適に実施した一実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成例を示す。図1は、本実施形態の画像形成装置の制御系の構成例を示すブロック図である。この画像形成装置は、MFPであり、エンジン部201とコントローラ部(画像処理装置)202とを備えている。なお、MFPの代わりに、レーザプリンタ、デジタル複写機、又はファクシミリ装置等の他の画像形成装置を用いてもよい。
【0011】
エンジン部201は、スキャナ101,プロッタ102,読み取り制御部103,書き込み制御部104,およびエンジン制御CPU105等によって構成されている。このエンジン部201が装置本体に相当する。
スキャナ101は、原稿の画像を読み取る画像読取手段である。
プロッタ102は、それぞれコントローラ部202のメモリ115に展開された画像データをASIC112および書き込み制御部104を介して受け取り、可視画像としてのトナー画像を記録用紙(他の記録材でもよい)に印刷(形成)する画像形成部(画像形成手段)と、その画像形成部によって記録用紙に形成されたトナー画像を加熱して定着させる定着部(定着手段)とを備えている。
画像形成部は、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の4色版のレーザビームを出力できる光書込装置を搭載している。
なお、画像形成部内の光書込装置からのレーザビームによる画像の書き込みは、周知であるため、詳細は省略する。また、画像形成部および定着部はそれぞれ3つ以上備えていてもよい。
読み取り制御部103は、スキャナ101による原稿画像の読み取りを制御するものである。
書き込み制御部104は、プロッタ102に備えている各画像形成部内の光書込装置を制御する書き込み制御手段(書込制御装置)である。
エンジン制御CPU105は、図示しないROM内のプログラムに従って動作することにより、エンジン部201の各部を統括的に制御するものである。
【0012】
コントローラ部202は、コントローラ制御CPU111、ASIC112、操作部113、HDD114、メモリ115、およびネットワークインタフェース(以下「インタフェース」を「I/F」ともいう)116等によって構成されている。なお、操作部113は実際にはコントローラ部202の外側に配置されている。
コントローラ制御CPU111は、図示しないROM内の固定プログラムおよびメモリ115上に展開したプログラムに従って動作することにより、コントローラ部202の各部を統括的に制御するものである。
ASIC(Application Specific IC)112は、多機能デバイスボードであり、コントローラ制御CPU111の制御対象となるデバイスの共有化を図り、アーキテクチャの面からアプリケーションプログラム等の開発の高効率化を支援するものである。
操作部113は、画像形成装置により提供される画像処理機能の選択に基づくエンジン部201に対する動作指示等のデータを画像形成装置の操作者が入力するための各種の操作キー(操作スイッチ又は操作ボタンともいう)、LCD又はCRT等の文字表示器を有するものである。
HDD(Hard Disk Drive)114は、大量のデータを記憶保持する不揮発性の記憶手段(記憶装置)であり、OS(オペレーティングシステム)を含むプログラムや、各種設定データ、画像データ等の各種データを蓄積することができる。なお、このHDD114に、メモリ115内のデータを蓄積しておくこともできる。また、不揮発性メモリを備え、それに各種設定データを記憶するようにしてもよい。
メモリ115は、各種プログラムを記憶するプログラムメモリ、コントローラ制御CPU111がデータ処理を行う際に使用するワークメモリ、および画像データを展開する画像メモリ等として使用するRAM等の記憶手段である。
ネットワークI/F116は、図示しないネットワークを介してパーソナルコンピュータ等の外部装置と通信を行うためのものである。
ここで、印刷対象となる画像データは、スキャナ101からの読み取りデータ(RGBの画像データ)、ネットワークI/F116からの入力データ、HDD114の蓄積データと様々であるが、印刷動作を行う場合、カラー(フルカラー)の場合にはYMCBの各色版の画像データに、モノクロの場合はモノクロ(グレイスケール)の画像データにそれぞれ予め変換し、メモリ115に展開する。
【0013】
このように構成された画像形成装置において、コントローラ部202のコントローラ制御CPU111は、電源投入時に、ROM内のブートプログラムに従い、HDD114内のOS(オペレーションシステム)およびアプリケーションソフトウェアを含む各種プログラムを読み出してメモリ115上に展開した後、その各種プログラムに従って動作し(各種プログラムを必要に応じて選択的に実行し)、装置を制御することにより、本実施形態の要部に関わる、ニューラルネットワークシステムを用いたカラー画像出力機能を実現することができる。
【0014】
ここで、本実施形態において重要となる、ニューラルネットワークについて説明する。ニューラルネットワークは、人間の脳の仕組みを模倣した情報処理機構である。ニューラルネットワークを用いることにより、パターン認識や予測などの定式化が困難な問題の解決が可能なことから、近年ニューラルネットワークの様々な分野への適用が行われている。例えば、人物の判断処理のような判断基準が変化するような処理は問題の定式化が困難なため、プログラム化された手順を元に処理を行うコンピュータで、パターン認識を行うことは困難である。そこで、人間の脳の仕組みを模倣したシステムを構築することにより、人間の基本機能である認識や記憶や判断などの処理を、コンピュータ上で実現するために考案されたのがニューラルネットワークである。
【0015】
ニューラルネットワークの基本モデルは、図2のようになる。図2は、階層型ネットワークと呼ばれるモデルとなるが、この階層型ネットワークにおける特徴は、信号の伝播処理を繰り返し行うことにより、与えられた問題に対する望ましい入出力パターンを得ることができるということである。つまり、この階層型ネットワークに、事前に入出力パターンを幾つか学習させておけば、あるデータを入力した際に、その入力に対する望ましい出力データを得ることができるというものである。
この、事前に学習させておく入出力パターンを「学習パターン」という。
【0016】
<学習データ>
まず、本システムに事前に入力しておく学習データについて、図3と図4を用いて説明する。最初に画像形成装置は、各ユーザに対してそれぞれ個別にアンケートを実行する。アンケート内容は、図3に示したように、ある原稿に対して、色補正パラメータを様々に変化させた複数のカラー出力画像に対して「鮮やかな」「くっきりとした」などといった画像を表現する感覚言語の5段階の重み付けをユーザに入力してもらうといったものになる。
【0017】
この5段階の重み付け/画像の色補正パラメータの組み合わせを、それぞれ入力層/出力層として、図4に示したような、ニューラルネットワークモデルにおける階層型ネットワークに、学習データとして学習させる。上記アンケートから学習データ作成までを、画像形成装置を利用する各ユーザごとに実施し、そのユーザごとの学習データを、画像形成装置に記録させる。
【0018】
<機能構成>
上述のような学習データによって学習され、信号の電波処理を繰り返し行うことにより、あるデータを入力した際にその入力に対する望ましい出力データが得られることができるようになったニューラルネットワークを有する本実施形態に係る画像形成装置の機能構成について説明する。図5に、本実施形態の機能ブロック図を示す。
【0019】
本実施形態の画像形成装置は、図5に示すように、制御手段301と、ニューラルネットワーク302と、画像形成手段303を有する。
制御手段301は、例えば、図1のコントローラ制御CPU111がHDD114に格納されているソフトウェアプログラムをメモリ115上に展開し、実行することによって構成される機能ブロックである。
制御手段301は、ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、そのユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させる処理を行う。これは、上述のアンケートを実行する処理である。定義させる処理は、具体的には、例えば、操作部113の図示しないディスプレイ画面にアンケート画面を表示してユーザによる入力を待つようにしてもよい。
また、制御手段301は、その定義結果を画像出力に用いる色心理パラメータとして、これをニューラルネットワーク302に入力する処理も行う。
【0020】
ニューラルネットワーク302は、図4を参照しながら説明したような学習機能を備える階層型ネットワークである。ニューラルネットワーク302は、学習データによって学習され、信号の電波処理を繰り返し行うことにより、あるデータを入力した際にその入力に対する望ましい出力データが得られることができるようになっている。この学習データは、個人毎に異なる。したがって、ニューラルネットワーク302は、感覚言語(色心理パラメータ)と色補正パラメータの相関を各ユーザ毎に事前に学習している。
この学習によって、ニューラルネットワーク302は、ユーザが本画像形成装置を用いて原稿から画像を出力しようとする際に、制御手段301から色心理パラメータの入力を受けて、画像出力を試みているユーザにユニークなカラー画像を出力するような色補正パラメータを出力する。
換言すれば、ニューラルネットワーク302は、ユーザ毎に別々に用意されている。本実施形態においては、ユーザIDに対応する階層型ネットワークがそれぞれ用意されている。
【0021】
画像形成手段303は、例えば、図1のエンジン部201とASIC112、コントローラ制御CPU111等によって実現することができる。また、画像形成手段303は、ユーザが本画像形成装置を用いて原稿から画像を出力しようとする際に、ニューラルネットワーク302から出力される色補正パラメータを用いて出力画像を形成する。
【0022】
<画像出力>
このような機能構成を備える本実施形態に係る画像形成装置が実行する画像出力時の動作について、図6ないし図8を参照して、説明する。なお、図6ないし図8において、同等の処理を行うブロックには同じ符号を振り、しばしば説明を省略する。
【0023】
図6は、本実施形態に係る画像形成装置の第1動作例(以下、実施例1という)の流れを示すフローチャートである。
ユーザが、ある原稿を画像形成装置にセットし、カラー画像出力を要求すると、図6に示すフローチャートが開始される。カラー画像出力の要求を受けて、制御手段301は、ユーザが出力させたいカラー画像のイメージをユーザ自身に定義させる。
【0024】
この定義は、各感覚言語5段階の重み付けで点数化(鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒3点など)したもの(感覚言語の重み付け入力)である。また、制御手段301は、その感覚言語の重み付け入力を、ユーザに画像形成装置の操作部113上で入力させる。また、自身のユーザIDの入力も行わせる(ステップS101)。
【0025】
すると制御手段301は、そのユーザIDに対応した階層型ネットワークを呼び出し(ステップS102)、ユーザによって入力された感覚言語の点数を入力する(ステップS103)。
【0026】
すると、ニューラルネットワーク機能により、その入力された感覚言語の点数に対応した色補正パラメータが、階層型ネットワークから出力され、画像形成手段303は、その色補正パラメータを元に、カラー画像を出力する(ステップS104)。
【0027】
カラー画像の出力の際、制御手段301は、操作部113上に、出力カラー画像が、ユーザの持っていた画像イメージと一致しているかどうかを”はい”、”いいえ”で選択させる(ステップS105)。もしユーザの持っていた画像イメージと一致していた場合はそこで”はい”を選択し、終了となる。もしその出力カラー画像が、ユーザの画像イメージと一致していなかった場合、ユーザは操作部上で、”いいえ”を選択し、その画像に対して再度、感覚言語による5段階の重み付けを、操作部113上で実施する(ステップS106)。そして制御手段301は、出力カラー画像の色補正パラメータ/ユーザによる再重み付けの結果を、そのユーザの学習データの新たなパラメータとして追加し、階層型ネットワークの更新を行う(ステップS107)。
【0028】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置の第2動作例(以下、実施例2という)の流れを示すフローチャートである。
ユーザが、ある原稿を画像形成装置にセットし、カラー画像出力を要求すると、図7に示すフローチャートが開始される。カラー画像出力の要求を受けて、制御手段301は、ユーザが出力させたいカラー画像のイメージをユーザ自身に定義させる。
【0029】
この定義は、特に自身の意識する各感覚言語のみに対して5段階の重み付けで点数化(例えば、鮮やかさを特に意識した画像を出力したい場合は、”鮮やかな”の点数だけを入力する)したもの(感覚言語の重み付け入力(ユーザの意識する感覚言語のみ))である。また、制御手段301は、その感覚言語の重み付け入力を、ユーザに画像形成装置の操作部113上で入力させる。また、自身のユーザIDの入力も行わせる(ステップS101a)。
【0030】
すると制御手段301は、そのユーザIDに対応した階層型ネットワークを呼び出し(ステップS102)、ユーザによって入力された感覚言語以外の感覚言語をランダムに点数化し(ステップS103a)、幾つかのそのランダムパターンを、上記階層型ネットワークに入力する(ステップS103b)。
【0031】
例えばユーザが、”鮮やかな⇒5点”と入力した場合、
第1パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒3点/あでやかな⇒2点・・・
第2パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒1点/あでやかな⇒4点・・・
第3パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒5点/あでやかな⇒3点・・・
・・・といった複数パターンを用意し、それぞれを階層型ネットワークに入力する。
【0032】
すると、ニューラルネットワーク機能により、その入力された感覚言語の点数に対応した色補正パラメータが、階層型ネットワークから出力され、画像形成手段303は、その色補正パラメータを元に、それぞれの入力パターンに対応した、複数のカラー画像を出力する(ステップS104a)。
【0033】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置の第3動作例(以下、実施例3という)の流れを示すフローチャートである。
ユーザが、ある原稿を画像形成装置にセットし、カラー画像出力を要求すると、図7に示すフローチャートが開始される。カラー画像出力の要求を受けて、制御手段301は、ユーザが出力させたいカラー画像のイメージをユーザ自身に定義させる。
【0034】
この定義は、特に自身の意識する各感覚言語のみに対して5段階の重み付けで点数化(例えば、鮮やかさを特に意識した画像を出力したい場合は、”鮮やかな”の点数だけを入力する)したもの(感覚言語の重み付け入力(ユーザの意識する感覚言語のみ))である。また、制御手段301は、その感覚言語の重み付け入力を、ユーザに画像形成装置の操作部113上で入力させる。また、自身のユーザIDの入力も行わせる(ステップS101a)。
【0035】
すると制御手段301は、そのユーザIDに対応した階層型ネットワークを呼び出し(ステップS102)、ユーザによって入力された感覚言語以外の感覚言語をランダムに点数化し(ステップS103a)、幾つかのそのランダムパターンを、上記階層型ネットワークに入力する(ステップS103b)。
【0036】
例えばユーザが、”鮮やかな⇒5点”と入力した場合、
第1パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒3点/あでやかな⇒2点・・・
第2パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒1点/あでやかな⇒4点・・・
第3パターン:鮮やかな⇒5点/くっきりとした⇒5点/あでやかな⇒3点・・・
・・・といった複数パターンを用意し、それぞれを階層型ネットワークに入力する。
【0037】
すると、ニューラルネットワーク機能により、その入力された感覚言語の点数に対応した色補正パラメータが、階層型ネットワークから出力され、画像形成手段303は、その色補正パラメータを元に、それぞれの入力パターンに対応した、複数のカラー画像を出力する(ステップS104a)。
【0038】
カラー画像の出力の際、制御手段301は、操作部113上に、出力カラー画像が、ユーザの持っていた画像イメージと一致しているかどうかを”はい”、”いいえ”で選択させる(ステップS105)。もしユーザの持っていた画像イメージと一致していた場合はそこで”はい”を選択し、終了となる。もしその出力カラー画像が、ユーザの画像イメージと一致していなかった場合、ユーザは操作部上で、”いいえ”を選択し、その画像に対して再度、感覚言語による5段階の重み付けを、操作部113上で実施する(ステップS106)。そして制御手段301は、出力カラー画像の色補正パラメータ/ユーザによる再重み付けの結果を、そのユーザの学習データの新たなパラメータとして追加し、階層型ネットワークの更新を行う(ステップS107)。
【0039】
上記実施形態によれば、感覚言語/色補正パラメータの相関を、ニューラルネットワークシステムを用いて事前に学習させているため、ユーザが複雑な色補正パラメータを入力することなく、感覚的な言語でイメージを入力することで、そのイメージに対応したカラー画像を出力することができる。
【0040】
また、ユーザが複数の場合にもユーザ毎にニューラルネットワークシステムを用いて事前に学習させているため、個々人の色に対する感性の違いに適切に対応することができる。換言すれば、そのユーザが持っているイメージに対応した、ユーザごとにユニークなカラー画像を出力することができる。
【0041】
また、実施例1、3の構成によれば、出力されたカラー画像がユーザのイメージに一致しなかった場合に、ユーザが新たに重み付けした結果を学習させる機能を有しているため、次にユーザが同じ重み付けを入力した場合には、その重み付けのイメージに合ったカラー画像を出力することができる。
【0042】
また、実施例2、3の構成によれば、ユーザが自分の意識したいイメージの重み付けのみを入力することで、その他のイメージの重み付けをランダムに変化させた複数のカラー画像を出力する機能を有しているため、ユーザが潜在的には所望していた、つまり意識していなかったような、思いがけずイメージに合致したといったような画像を、ユーザに提示できる可能性がある。
【符号の説明】
【0043】
111 コントローラ制御CPU
112 ASIC
113 操作部
114 HDD
115 メモリ
301 制御手段
302 ニューラルネットワーク(階層型ネットワーク)
303 画像形成手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】
【特許文献1】特開平07−203230号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の色補正パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義した色心理パラメータを入力、前記色補正パラメータの組合せを出力とする学習データによって学習するニューラルネットワークと、
ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、ユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させた、画像出力に用いる色心理パラメータを、前記ニューラルネットワークに入力する制御を行う制御手段と、
前記ニューラルネットワークから出力された、画像出力に用いる色補正パラメータの組合せを用いて出力画像を形成する画像形成手段と、
を有することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記画像形成手段によって形成された出力画像の印象が、ユーザが所望した出力画像の印象に一致しているか否かを、ユーザに問い合わせ、一致していない場合に、前記画像形成手段によって形成された出力画像の印象を、ユーザに、複数の感覚言語で重み付けとともに定義させ、定義結果の色心理パラメータを入力、前記画像出力に用いる色補正パラメータを出力とする新規学習データを作成し、
前記ニューラルネットワークは、前記新規学習データを学習することを特徴とする、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像出力に用いる色心理パラメータは、ユーザが重み付けした感覚言語の重み付け結果、及び、ユーザによる重み付けがなされなかった感覚言語についてランダムに重み付けした重み付け結果からなることを特徴とする、請求項1又は2記載の画像形成装置。
【請求項4】
複数の色補正パラメータの組合せを指定した際に、出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義した色心理パラメータを入力、前記色補正パラメータの組合せを出力とする学習データによって学習するニューラルネットワークを用いる画像形成方法であって、
ユーザが原稿から画像を出力しようとする際に、ユーザに、所望する出力画像の印象を複数の感覚言語で重み付けとともに定義させる工程と、
その定義結果を画像出力に用いる色心理パラメータとして、該色心理パラメータを前記ニューラルネットワークに入力する工程と、
前記ニューラルネットワークから出力された、画像出力に用いる色補正パラメータの組合せを用いて出力画像を形成する画像形成工程と、
を含むことを特徴とする、画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−193269(P2011−193269A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58109(P2010−58109)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】