説明

画像形成装置及び画像形成方法

【課題】自装置と後処理装置とを中継するブリッジを印刷済みの用紙の排出先として選択することが可能な複合機を提供する。
【解決手段】前記ブリッジ121の搬送路202内を、印刷された用紙の排出先として選択するための「ブリッジ」キー805を押下可能にユーザに表示し、当該「ブリッジ」キー805の押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジ121とするブリッジ排出受付手段504と、前記用紙の排出先が前記ブリッジ121とされると、当該用紙を、当該ブリッジ121の搬送路202に搬送して、当該搬送路202内の所定の位置で停止させる用紙搬送手段507とを備える複合機100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置及び画像形成方法に関し、詳しくは、自装置と後処理装置とを中継するブリッジを印刷済みの用紙の排出先として選択することが可能な画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ等の画像形成装置で現在使用されている排紙装置では、排紙トレイ上に用紙を所定の高さ以上に排出、積載すると、排紙口が塞がれて用紙が詰まってしまう不具合が生じるという問題がある。そこで、用紙が所定の高さまで積載されたことを検知する手段が必要となる。
【0003】
通常のプリンタには、前記検知手段として、プリンタ本体の上部に形成した排紙口を覆うカバーに紙面センサを設けており、当該紙面センサは、前記排紙口から排出された用紙が許容枚数以上にならないようにカバーに排紙部上へ突出させて装着している。そして、前記紙面センサは、下面側にセンサ部を備え、排出された用紙が許容枚数になると、これを検知してプリントストップとするための信号を送出するよう構成している。
【0004】
又、近年のプリンタには、後処理装置であるフィニッシャをオプションとして取り付けることが出来るように構成されており、その際、プリンタ本体の排紙口からフィニッシャへ用紙を搬送するため、前記排紙口とフィニッシャの間をつなぐ中継ユニット(ブリッジともいう)を取り付け得るようになっている。このブリッジを前記プリンタに装着する場合、前記紙面センサを予め取り外す必要がある。
【0005】
ここで、前記プリンタでは、プリンタ本体と紙面センサは接続コネクタ及びハーネスで接続するのが一般的であるが、前記フィニッシャを装着する場合、前記紙面センサを取り外せば、当然に、接続コネクタ及びハーネスは無用となり、どこにも接続されずに放置されることになる。ところが、接続コネクタやハーネスを放置しておくと、前記排紙口の前側に垂れ下がってしまうため、ブリッジを取り付ける際に邪魔になるという問題がある。
【0006】
このような問題を解決する技術として、特開2000−214647号公報(特許文献1)には、排出された用紙が排紙口近傍に一定枚数以上溜まったことを検知する紙面センサを備えるとともに、オプションで設置するフィニッシャと前記排紙口との間で用紙を搬送する中継ユニットを取り付けるために、前記紙面センサを画像形成装置本体から取り外し可能としてなる画像形成装置が開示されている。当該画像形成装置は、前記紙面センサと前記画像形成装置本体とを電気的に接続していたコネクタを前記紙面センサの取り外し後に前記画像形成装置本体内に収納するため、前記画像形成装置本体の前記コネクタの配設位置近傍のカバー部材に切り欠きを設けている。これにより、オプションでフィニッシャを設置する際にフィニッシャとの連携するための中継ユニットの設置にコネクタが邪魔にならず、用紙ジャムの原因となる排紙口への垂れ下がりもなくすことが出来るとしている。
【0007】
又、前記ブリッジに関連する発明として、特開2001−287846号公報(特許文献2)には、原稿の画像情報を読み取る原稿読取部と、上記原稿読取部により読み取られた原稿の画像情報に基づいて用紙上に画像を形成する画像形成部と、上記画像形成部を含む装置本体に付設され、画像形成された用紙の整合およびステイプル処理等の後処理を行う用紙後処理部とを備えた画像形成装置が開示されている。当該画像形成装置は、上記原稿読取部の下方には、上記画像形成部により画像形成された用紙を排出するための排出部として、上記装置本体の外周壁で囲まれた空間部が形成されると共に、上記原稿読取部と空間部との間に、用紙を上記画像形成部から上記用紙後処理部に搬送する中継搬送路が形成されている。これにより、中継搬送路内でジャムが発生した場合、該中継搬送路の上面上に用紙が排出されることはないため、装置本体から用紙後処理装置に搬送されない用紙を排出する排出部上に用紙が残っていても用紙を取り除くことなく、ジャム処理を行なうことが出来るとしている。
【0008】
更に、特開2004−46271号公報(特許文献3)には、装置本体上部に設けられた排紙部と、目的画像が形成されたシートが通常排紙の場合に上記排紙部を介してスタックされる排紙トレイとを有する画像形成装置が開示されている。当該画像形成装置は、上記排紙トレイの上に設けられ、上記排紙部に接続されるシート搬送パス及び搬送手段を具備する着脱可能な中継ユニットを備え、上記中継ユニットが装着されたとき、上記中継ユニットの上面が略水平となるように構成されている。これにより、装置側面に後処理手段等を付加することが出来て、又、略垂直方向搬送パス方式に適用の場合には、その利点であるジャム除去性の向上を減殺することなく後処理手段等を付加することが出来るとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2000−214647号公報
【特許文献2】特開2001−287846号公報
【特許文献3】特開2004−46271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記特許文献1−3に記載の発明では、前記ブリッジに新たな機能を付与するという発想が存在せず、当該ブリッジの用途が、主として画像形成装置とフィニッシャとを中継する搬送路としての用途に限定されるという問題がある。
【0011】
又、前記画像形成装置が、何らかの理由により、前記ブリッジを介してフィニッシャと初期接続を失敗した場合、用紙の排出先は、当該画像形成装置に備えられた排紙トレイ(又はジョブセパレータ)のみとなってしまい、印刷ジョブ毎に排出される用紙を分けて排出する(仕分けする)ことが出来ないという問題がある。
【0012】
一方、前記ブリッジの内部の中継搬送路は、当該ブリッジに予め設けられた開閉可能なカバーにより覆い被さる構成となっており、当該カバーの開閉により、中継搬送路内に存在する用紙を取り出すことが出来る。又、前記中継搬送路に設けられた搬送ローラは、前記画像形成装置の制御により回転が制御されるため、当該搬送ローラの回転の停止により、前記画像形成装置から搬送された用紙を前期中継搬送路に停滞させることも可能である。そのため、前記制御を適切に行えば、前記ブリッジの中継搬送路も用紙の排出先として利用出来る可能性がある。
【0013】
そこで、本発明は、前記問題を解決するためになされたものであり、自装置と後処理装置とを中継するブリッジを印刷済みの用紙の排出先として選択することが可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、自装置と後処理装置とを中継し、搬送路を覆うブリッジカバーが開閉可能であるブリッジが取り付けられた画像形成装置を前提とし、以下の構成を採用する。
【0015】
即ち、前記画像形成装置は、前記ブリッジの搬送路内を、印刷された用紙の排出先として選択するためのブリッジキーを押下可能にユーザに表示し、当該ブリッジキーの押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジとするブリッジ排出受付手段を備える。更に、前記画像形成装置は、前記用紙の排出先が前記ブリッジとされると、当該用紙を、当該ブリッジの搬送路に搬送して、当該搬送路内の所定の位置で停止させる用紙搬送手段を備える。
【0016】
これにより、従来では、前記ブリッジを用紙の排出先として選択出来なかったものを、本発明では、当該ブリッジを用紙の排出先として選択出来るため、当該排出先の選択肢を増やすことが可能となる。又、前記ブリッジの搬送路は、前記ブリッジカバーの開閉により外部から露出可能であるから、前記用紙を当該ブリッジの搬送路内の所定の位置に停滞させて、当該ブリッジを用紙の排出トレイ代わりに使用することが可能となる。
【0017】
更に、前記後処理装置との通信が可能か不可能かを検知するとともに、前記ブリッジとの通信が可能か不可能かを検知する通信検知手段を備え、前記ブリッジ排出受付手段は、前記後処理装置との通信が不可能であり、且つ、前記ブリッジとの通信が可能であると検知された場合に、前記ブリッジキーを押下可能に表示するよう構成することが出来る。
【0018】
更に、前記ブリッジの搬送路内に用紙が存在するか否かを検知するブリッジ内状態検知手段を備え、前記ブリッジ排出受付手段は、前記ブリッジの搬送路内に用紙が存在しないと検知された場合に、前記用紙の排出先を前記ブリッジとするよう構成することが出来る。
【0019】
更に、印刷される用紙の枚数が、1枚−5枚の所定の範囲内であるか否かを判定する印刷枚数判定手段を備え、前記ブリッジ排出受付手段は、前記用紙の枚数が前記所定の範囲内であると判定された場合に、前記ブリッジキーを押下可能に表示する、又は前記用紙の排出先を前記ブリッジとするよう構成することが出来る。
【0020】
更に、前記用紙を前記ブリッジの搬送路に搬送する前に、ユーザから暗証番号を受け付けた場合に、前記用紙が前記ブリッジの搬送路へ搬送されると、当該ブリッジのブリッジカバーの開閉を禁止し、前記暗証番号と同一の暗証番号をユーザから新たに受け付けた場合に、前記ブリッジカバーの開閉を許可するロック手段を備えるよう構成することが出来る。
【0021】
尚、本発明は、自装置と後処理装置とを中継し、搬送路を覆うブリッジカバーが開閉可能であるブリッジが取り付けられた画像形成装置の画像形成方法として提供することが出来る。
【0022】
即ち、前記画像形成方法は、前記ブリッジの搬送路内を、印刷された用紙の排出先として選択するためのブリッジキーを押下可能にユーザに表示し、当該ブリッジキーの押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジとするブリッジ排出受付ステップを備える。更に、前記画像形成方法は、前記用紙の排出先が前記ブリッジとされると、当該用紙を、当該ブリッジの搬送路に搬送して、当該搬送路内の所定の位置で停止させる用紙搬送ステップを備える。このように構成したとしても、上述と同様の効果を得ることが可能となる。
【0023】
又、本発明は、電気通信回線などを介して個別に流通する、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供することができる。この場合、中央演算処理装置(CPU)が、本発明のプログラムに従ってCPU以外の各回路と協働して制御動作を実現する。
【0024】
又、前記プログラム及びCPUを用いて実現される各手段は、専用のハードウェアを用いて構成することもできる。又、当該プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された状態で流通させることも可能である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の画像形成装置及び画像形成方法によれば、自装置と後処理装置とを中継するブリッジを印刷済みの用紙の排出先として選択することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る複合機の内部の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係るブリッジの正面視断面図の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る操作部の全体構成を示す概念図である。
【図4】本発明に係る複合機の制御系ハードウェアの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態における複合機の機能ブロック図である。
【図6】本発明の実施形態の実行手順を示すための第一のフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態の実行手順を示すための第二のフローチャートである。
【図8】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された初期画面の一例を示す図(図8(A))と、本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された排出先選択画面の一例を示す図(図8(B))である。
【図9】本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された第一の用紙取除画面の一例を示す図(図9(A))と、本発明の実施形態のタッチパネル上に表示された第二の用紙取除画面の一例を示す図(図9(B))である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付図面を参照して、本発明の画像形成装置の実施形態について説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。又、フローチャートにおける数字の前に付されたアルファベット「S」はステップを意味する。
【0028】
<画像形成装置>
図1は、画像形成装置の概略模式図である。但し、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0029】
尚、本発明の画像形成装置は、例えばプリンタやスキャナ単体、あるいはプリンタ、コピー、スキャナ、ファックス等を備えた複合機等が該当し、コピーサービス、スキャナサービス、ファクシミリサービス、プリンタサービス等を備えた画像形成装置として機能する。以下に、例えばコピーサービスを利用する場合の複合機100(MFP:Multi Function Peripheral)の動作を簡単に説明する。
【0030】
先ず、ユーザが複合機100を利用する場合、原稿を前記筐体部125上面に備えられている原稿台101に載置する。続いて、ユーザは、前記原稿台101近傍に備えられている操作部122(操作パネル)を使用して、画像形成に関する設定条件の入力を当該操作部122の操作画面から入力する。ユーザが、前記操作部122に設けられたスタートキーを押下すると、複合機100が画像形成(印刷処理)を開始する。
【0031】
次に、画像読取部102において、光源104から照射された光が、前記原稿台101に置かれた原稿に反射される。反射された光は、ミラー105、106、107によって撮像素子108に導かれる。導かれた光は前記撮像素子108により光電変換されて、前記原稿に対応する画像データが生成される。
【0032】
前記画像データに基づいてトナー像を形成する部分が画像形成部103である。前記画像形成部103には感光体ドラム109が備えられている。前記感光体ドラム109は、一定速度で所定の方向に回転し、その周囲には、回転方向の上流側から順に、帯電器110、露光ユニット111、現像器112、転写器113、クリーニングユニット114などが配置されている。
【0033】
前記帯電器110は、前記感光体ドラム109表面を一様に帯電させる。前記露光ユニット111は、帯電された感光体ドラム109の表面に、前記画像データに基づいてレーザーを照射し、静電潜像を形成する。前記現像器112は、形成された静電潜像に、トナーを付着させてトナー像を形成する。形成されたトナー像は、前記転写器113により、記録媒体(例えば、用紙、シート)に転写される。前記クリーニングユニット114は、前記感光体ドラム109の表面に残された余分なトナーを取り除く。これらの一連のプロセスは、前記感光体ドラム109が回転することにより実行される。
【0034】
前記用紙は、複合機100に備えられた複数の給紙カセット115から搬送される。搬送される時は、前記用紙は、ピックアップローラ116により何れか1つの給紙カセット115から搬送路へ引き出される。各給紙カセット115には、それぞれ異なる紙種の用紙が収容されており、画像形成に関する設定条件に基づいて用紙が給紙される。
【0035】
前記搬送路に引き出された用紙は、搬送ローラ対117やレジストローラ対118により感光体ドラム109と転写器113の間に送り込まれる。送り込まれると、前記用紙には前記転写器113により前記トナー像が転写され、定着装置119に搬送される。
【0036】
前記トナー像が転写された用紙が、前記定着装置119に備えられた加熱ローラと加圧ローラの間を通過すると、前記トナー像に熱と圧力が印加されて、トナー像が用紙に定着される。前記加熱ローラの熱量は、紙種に応じて最適に設定され、前記定着が適切に行われる。前記可視像が用紙に定着されて画像形成が終了し、当該用紙は、前記設定条件に従って、各搬送ローラ対117により、胴内排紙トレイ123へ通じる第一の排紙口120か、ジョブセパレータ124(前記胴内排紙トレイ123とは別個に設けられた用紙受けトレイ)へ通じる第二の排紙口126へ導かれる。
【0037】
ここで、前記複合機100に、前記用紙を後処理装置127(フィニッシャ)へ中継するブリッジ121(中継ユニット)が取り付けられていない状態では、前記第一の排紙口120から排出された用紙は、前記胴内排紙トレイ123に積載され、収容される。又、前記第二の排紙口126から排出された用紙は、前記ジョブセパレータ124に積載され、収容される。前記手順により、複合機100の筐体部125は画像形成機能をユーザに提供する。
【0038】
一方、図1に示すように、前記ブリッジ121が複合機100の前記胴内排紙トレイ123の上面に取り付けられた状態では、前記用紙は、当該ブリッジ121へ搬送される。
【0039】
前記ブリッジ121に搬送された用紙は、複合機100に接続(装着)された前記フィニッシャ127に案内される。前記フィニッシャ127は、案内された用紙にパンチング処理やステイプル処理等の後処理を実行する。尚、前記後処理は、予め入力された設定条件に応じて実行される。
【0040】
前記フィニッシャ127は、箱形のケーシング128内で、前記ブリッジ121から排出された用紙を直ぐに受け入れるパンチング処理部129と、当該パンチング処理部129の直下位置に配設されたステイプル処理部130と、当該ステイプル処理部130の更に直下位置に形成された中折り部131とを備えている。
【0041】
前記パンチング処理部129は、複合機100からブリッジ121を介して送り込まれて来た用紙に対し、その側縁部に綴り孔を穿設するための部分である。当該パンチング処理部129に導入された用紙は、操作部125から予め入力されたパンチング処理を行うか否かの入力信号(設定条件)に基づき、パンチング処理が施されたり、施されなかったりする。パンチング処理部129を通過した用紙は、前記設定条件に基づき、そのまま上部排紙トレイ132へ排出されたり、ステイプル処理部130へ向かわされたりする。
【0042】
前記ステイプル処理部130は、パンチング処理部129を通過し、かつ、予め設定された所定枚数が積層された状態で、当該用紙の束に対しステイプル処理(綴結処理)を施す。当該ステイプル処理部130には、綴結装置であるステイプラーが設けられており、このステイプラーによって用紙束の予め設定された位置にステイプル処理が施される。端綴じのステイプル処理が施された用紙束は、前記上部排紙トレイ132へ向けて排出される。
【0043】
中折り部131は、前記ステイプル処理部130において中央部で綴じる、いわゆる中綴じのステイプル処理が施された用紙束に対し、ステイプル処理が施されている部分を境にして2つに折る、いわゆる中折り処理を施す。当該中折り部131で中折り処理が施された用紙束は、専用の下部排紙トレイ133へ排出される。
【0044】
尚、前記フィニッシャ127は、図示しない通信部を介して前記複合機100と通信可能に接続されており、当該通信部を介して前記複合機100から所定の制御信号を受信し、上述した後処理を実行する。前記通信部は、前記フィニッシャ127が前記複合機100(側面)に正常に装着されることで、当該フィニッシャ127側の通信部と、当該複合機100側の通信部とが正常に通信接続される。これにより、両者間で所定の信号の通信が可能となる。
【0045】
図2は、複合機100に取り付けられるブリッジ121の正面視断面図の一例を示す図である。
【0046】
前記ブリッジ121は、複合機100の胴内排紙トレイ123の上面に対して着脱可能に装着できるような立体形状を有しており、複合機100内の搬送ローラ対117により第一の排紙口120から搬送された用紙をフィニッシャ127の通紙口201へ導くブリッジ搬送路202と、当該ブリッジ搬送路202に導入された用紙をフィニッシャ127(の通紙口201)へ向けて搬送するブリッジ搬送ローラ対203とを備えている。
【0047】
前記ブリッジ搬送路202の所定の位置、例えば、上流側、中央、下流側の3箇所の位置に設けられたブリッジ搬送ローラ対203は、前記ブリッジ121の内部に予め設けられた駆動モータ(図示せず)の駆動力により回転し、前記ブリッジ搬送路202の用紙を前記フィニッシャ127に向けて搬送する。又、前記ブリッジ搬送ローラ対203は、ユーザにより入力された設定条件に従って、前記駆動モータの駆動力により回転を停止し、前記ブリッジ搬送路202の所定の位置で用紙を止める。この駆動モータの駆動力は、所定のギア機構を介して、前記ブリッジ搬送ローラ対203に伝達されるよう構成されている。
【0048】
又、前記ブリッジ搬送路202の所定の位置、例えば、下流側のブリッジ搬送ローラ対203aの上流近傍の位置には、用紙の存在を検知する用紙検知センサ204が予め設けられている。前記用紙検知センサ204は、前記用紙の存在、例えば、上流側から搬送された用紙の先端の存在を検知した場合に、オン信号を発信し、前記用紙の存在を検知しない場合に、オフ信号を発信する。
【0049】
又、前記ブリッジ搬送路202の上面には、当該ブリッジ搬送路202の上面を覆うように、開閉可能なブリッジカバー205が予め設けられている。前記ブリッジカバー205が開状態となると、前記下流側のブリッジ搬送ローラ対203aから、上流側のブリッジ搬送ローラ対203bまでのブリッジ搬送路202の部分が露出され、当該部分に存在する用紙を外部から取り出せるよう構成されている。又、前記ブリッジカバー205と前記ブリッジ121との間の所定の位置には、当該ブリッジカバー205の開閉状態を検知する開閉検知センサ206が予め設けられている。前記開閉検知センサ206は、前記ブリッジカバー205が開状態である場合に、オン信号を発信し、前記ブリッジカバー205が閉状態である場合に、オフ信号を発信する。
【0050】
又、前記駆動モータと、前記用紙検知センサ204と、前記開閉検知センサ206とは、前記ブリッジ121の所定の側面、例えば、下流側下面に露出されたブリッジ側通信部207に予め接続されている。又、前記駆動モータに制御信号を送信するとともに、前記用紙検知センサ204、前記開閉検知センサ206からのオン信号又はオフ信号を受信する複合機側通信部208は、前記ブリッジ側通信部207に対応して複合機100側の所定の側面、例えば、下流側上面に予め設けられている。そのため、前記ブリッジ側通信部207と前記複合機側通信部208とは、前記ブリッジ121が前記胴内排紙トレイ123の上面に正常に装着されると、両者の位置が対向して正常に通信接続される。両者が正常に通信接続されることで、両者間で前記信号の通信が可能となり、前記複合機100が、前記駆動モータを制御して、前記ブリッジ搬送ローラ203の回転制御を正常に行ったり、前記用紙検知センサ204、前記開閉検知センサ206からの信号を受信して、用紙の存在不存在、ブリッジカバー205の開閉状態を判定したりすることが可能となる。
【0051】
又、前記ブリッジ121から前記フィニッシャ127の通紙口201に案内された用紙は、当該フィニッシャ127内のフィニッシャ内搬送ローラ対209により上述したパンチング処理部129へ搬送される。前記フィニッシャ内搬送ローラ対209は、前記ブリッジ搬送ローラ対203と同様に、前記ブリッジ121が前記複合機100に正常に装着されたことを機に当該複合機100が回転制御することになる。
【0052】
図3は、複合機100に備えられた操作部122の外観の一例を示す図である。ユーザは、前記操作部122を用いて、上述のような機能提供についての設定条件等を入力する。設定条件の入力等が行なわれる際に、前記操作部122に備えられたタッチパネル301、タッチペン302、操作キー303が用いられる。
【0053】
前記タッチパネル301には、上述した設定条件を入力する機能と、入力された設定条件等を表示する機能とが兼ね備えられている。即ち、タッチパネル301上に表示された画面内の設定項目キー等を押下することによって、当該設定項目キー等に関連付けられた設定条件の入力が行われる。また、設定条件が入力された設定項目キー等は、その背景色を白色からグレー色へ変更してタッチパネル301上に表示されるため、ユーザによって随時視認される。又、複合機100に、所定の部材の故障(異常)が発生した場合、タッチパネル301には、ユーザに対して当該故障等を知らせるための画面(例えば、エラー画面)が表示される。表示された画面に従って、ユーザは所定の部材の故障に対応することが出来る。又、後述するようにユーザに所定の動作の選択を促すガイダンス画面や初期画面も表示される。
【0054】
タッチパネル301の近傍には、タッチペン302が備えられており、ユーザがそのタッチペン302の先をタッチパネル301に接触させると、タッチパネル301下方に設けられた接触センサが接触先を検知する。そのため、タッチペン302の接触により、画面内のキーの押下やキーの入力が可能である。
【0055】
更に、タッチパネル301近傍には、所定数の操作キー303が設けられ、例えば、テンキー304、スタートキー305、クリアキー306、ストップキー307、リセットキー308、電源キー309が備えられている。
【0056】
次に、図4を用いて、複合機100の制御系ハードウェアの構成を説明する。図4は、複合機における制御系ハードウェアの概略構成図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
【0057】
複合機100の制御回路は、CPU(Central Processing Unit)401、ROM(Read Only Memory)402、RAM(Random Access Memory)403、HDD(Hard Disk Drive)404、各駆動部に対応するドライバ405、ブリッジ121側に通信接続される(複合機側)通信部207、フィニッシャ127側に通信接続される通信部406を、内部バス407によって接続している。
【0058】
前記CPU401は、例えば、RAM403を作業領域として利用し、前記ROM402、HDD404等に記憶されているプログラムを実行し、当該実行結果に基づいて前記ドライバ405と前記操作部122からのデータ、前記(複合機側)通信部207及び前記通信部406からのデータ等を授受し、図1−図3に示した各駆動部の動作を制御する。
【0059】
又、前記複合機100の(複合機側)通信部207は、前記ブリッジ121が当該複合機100に正常に装着されることで、当該ブリッジ121の(ブリッジ側)通信部208と接続し、通信可能となる。そのため、前記CPU401が、両者の通信接続を検知することで、前記ブリッジ121内の用紙検知センサ204、開閉検知センサ206からの信号を受信したり、駆動モータ408を制御したりすることが可能となる。尚、前記ブリッジ121には、(ブリッジ側)通信部208、駆動モータ408、前記用紙検知センサ204、開閉検知センサ206が、内部バス409によって接続されている。
【0060】
又、前記フィニッシャ127の制御回路には、CPU410、ROM411、RAM412、後処理の駆動部に対応するドライバ413、複合機100側に通信接続される通信部414が、内部バス415によって接続されている。前記CPU410、前記ROM411、前記RAM412は、上述と同様な機能を有する。又、前記CPU401が、複合機100側の通信部406とフィニッシャ127側の通信部414との通信接続を検知することで、前記フィニッシャ127側のCPU410に所定の信号(命令)を送信し、当該フィニッシャ127としての機能を発揮する。
【0061】
又、前記駆動部以外の後述する各手段(図5に示す)についても、前記CPU401、前記CPU410がプログラムを実行することで当該各手段を実現する。前記ROM402、HDD404、ROM411等には、以下に説明する各手段を実現するプログラムやデータが記憶されている。
【0062】
<本発明の実施形態>
次に、図5−図7を参照しながら、本発明の実施形態に係る構成及び実行手順について説明する。図5は、本発明の複合機の機能ブロック図である。図6及び図7は、本発明の実行手順を示すためのフローチャートである。
【0063】
先ず、ユーザが、フィニッシャ127とブリッジ121とが予め装着された複合機100の電源を投入すると、前記複合機100が起動し、当該複合機100の通信検知手段501が、先ず、前記フィニッシャ127側と通信接続する通信部406と通信することで、前記フィニッシャ127との通信が可能か不可能かを検知する。又、前記通信検知手段501は、前記ブリッジ121側と通信接続する(複合機側)通信部207と通信することで、前記ブリッジ121との通信が可能か不可能かを検知する(図6:S101)。
【0064】
ここで、前記フィニッシャ127との通信が不可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が可能であると検知した場合(図6:S101YES)、前記通信検知手段501は、前記通信不可能であるフィニッシャ127側の通信部406との通信を停止して、当該フィニッシャ127の切り離し制御を実行する(図6:S102)。
【0065】
これにより、前記フィニッシャ127の駆動を制御するフィニッシャ制御手段502との通信が解除され、前記複合機100は、当該フィニッシャ127の装着とは無関係に、コピー機能等の提供を行うことが可能となる。
【0066】
尚、S101において、他の場合、例えば、前記フィニッシャ127との通信が可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が可能であると検知した場合(図6:S101NO)などについては、後述する。
【0067】
さて、前記フィニッシャ127の切り離し制御の実行が完了すると、前記通信検知手段501は、その旨を表示受付手段503に通知し、当該通知を受けた表示受付手段503は、当該フィニッシャ127の使用不可を知らせるとともに、前記複合機100の機能に関する設定条件(複合機設定条件とする)を入力可能な初期画面をタッチパネル301に表示する(図6:S103)。
【0068】
前記初期画面800には、図8(A)に示すように、前記複合機設定条件に対応する複数の設定項目キー801が押下可能に表示されるとともに、前記フィニッシャ127が使用不可であることを示すメッセージ802が表示される。
【0069】
そこで、ユーザは、原稿を原稿台101に載置し、前記初期画面800を見ながら、所定の設定条件に対応する設定項目キー801、例えば、印刷された用紙の排出先を選択するための設定項目キー(「排出先選択」キー)801aを押下すると(図6:S104)、前記表示受付手段503は、当該「排出先選択」キーの押下を受け付けて、その旨を複合機100のブリッジ排出受付手段504に通知する。当該通知を受けたブリッジ排出受付手段504は、前記ブリッジ121の(ブリッジ)搬送路202内を前記用紙の排出先として選択するためのブリッジキーを押下可能に表示した排出先選択画面をタッチパネル301に表示する(図6:S105)。
【0070】
前記排出先選択画面803には、図8(B)に示すように、ユーザに用紙の排出先の選択を促すメッセージ804と、当該排出先に対応する複数の排出先選択キー805と、OKキー806とが表示される。
【0071】
ここで、前記排出先選択キー805は、現時点で、用紙を排出しても問題のない排出先に対応するキーのみが押下可能に表示される。具体的には、従来技術でも表示され得る、前記複合機100の胴内排紙トレイ123とは別個に設けられたジョブセパレータに対応する「ジョブセパレータ」キー805aと、本発明に係る前記ブリッジ121(の搬送路202内)に対応する「ブリッジ」キー805bとが押下可能に表示される。
【0072】
一方、現時点で、用紙を排出すると問題となる排出先、例えば、前記胴内排紙トレイ123、前記フィニッシャ127の上部排紙トレイ132、下部排紙トレイ133のいずれにも対応する各キーは、押下不可で表示され、例えば、図8(B)に示すように、押下不可を示す押下不可表示805cがなされる。
【0073】
これにより、従来では、前記ブリッジ121を用紙の排出先として選択出来なかったものを、本発明では、当該ブリッジ121を用紙の排出先として選択出来るため、当該排出先の選択肢を増やすことが可能となる。
【0074】
さて、ユーザが、前記排出先選択画面803を見ながら、前記「ブリッジ」キー805bを押下すると、前記ブリッジ排出受付手段504は、その旨を複合機100のブリッジ内状態検知手段505に通知する(図6:S106YES)。当該通知を受けたブリッジ内状態検知手段505は、前記複合機側通信部207と前記ブリッジ側通信部208とを介して、前記ブリッジ121の用紙検知センサ204からの信号を受信し、当該ブリッジ121の搬送路202内に用紙が存在するか否かを検知する(図7:S201)。
【0075】
尚、前記「ジョブセパレータ」キー805aが押下された場合については(図6:S106NO)、後述する。
【0076】
ここで、前記ブリッジ121の搬送路202内に用紙が存在するか否かの検知は、例えば、前記用紙検知センサ204が用紙を検知した場合に発信するオン信号と、用紙を検知しない場合に発信するオフ信号とに基づいてなされる。
【0077】
前記検知の結果、前記用紙検知センサ204がオン信号を発信する場合、前記ブリッジ内状態検知手段505は、前記ブリッジ121の搬送路202内に用紙が存在すると検知し(図7:S201YES)、その旨を前記ブリッジ排出受付手段504に通知する。当該通知を受けたブリッジ排出受付手段504は、ユーザに、前記ブリッジ121の搬送路202内の用紙の取り除きを促す第一の用紙取除画面(第一のガイダンス画面)をタッチパネル301に表示する(図7:S202)。
【0078】
前記第一の用紙取除画面900には、図9(A)に示すように、ユーザに、前記ブリッジ121内に用紙が存在することを示すメッセージ901と、ユーザに、前記ブリッジ121からの用紙の取り除きを促すメッセージ902と、前記ブリッジ121からの用紙の取り除きの具体的手順903と、前記用紙の排出先としてブリッジからジョブセパレータに変更可能なことを示すメッセージ904と、前記用紙の排出先としてジョブセパレータを選択するための「ジョブセパレータ」キー905と、OKキー906とが表示される。
【0079】
これにより、ユーザは、前記ブリッジ121の搬送路202内に用紙が存在している(残っている)ことに気が付いて、当該ブリッジ121の搬送路202から用紙を取り除くか、用紙の排出先として新たにジョブセパレータ124を選択するか選ぶことが可能となる。
【0080】
尚、前記OKキー906は、用紙が前記ブリッジ121の搬送路202内に存在している場合には、前記ブリッジ排出受付手段504により、押下不可に表示される。
【0081】
ここで、ユーザが、前記第一の用紙取除画面900を見ながら、前記「ジョブセパレータ」キー905を押下することなく(図7:S203NO)、前記ブリッジ121の搬送路202から用紙を取り除く場合は、以下のようになる。
【0082】
先ず、ユーザが、前記ブリッジ121のブリッジカバー205を開くと、前記ブリッジ121の開閉検知センサ206が当該ブリッジカバー205の開状態を示すオフ信号を発信し、当該オフ信号を受信したブリッジ内状態検知手段505は、前記ブリッジカバー205が開状態であることを検知する。
【0083】
次に、ユーザが、前記ブリッジ121の搬送路202内の用紙を取り除くと、前記用紙検知センサ204が当該用紙の不存在を示すオフ信号を発信するため、前記ブリッジ内状態検知手段505が当該オフ信号を受信して、当該用紙の取り除きが適切になされたことを検知する。
【0084】
更に、ユーザが、前記ブリッジカバー205を正常に閉じると、前記開閉検知センサ206が当該ブリッジカバー205の閉状態を示すオン信号を発信するため、当該オン信号を受信したブリッジ内状態検知手段505が、前記ブリッジ121の搬送路内に用紙を搬送しても問題ないことを検知する(図7:S204YES)。そして、前記ブリッジ内状態検知手段505が、その旨を前記ブリッジ排出受付手段504に通知する。当該通知を受けたブリッジ排出受付手段504は、前記第一の用紙取除画面900のOKキー906を押下可能とし、当該OKキー906の押下を許可する(図7:S205)。
【0085】
一方、前記ブリッジ内状態検知手段505が、前記用紙検知センサ204からのオフ信号と、前記開閉検知センサ206からのオン信号とを受信しない場合には(図7:S204NO)、前記ブリッジ排出受付手段504に、前記第一の用紙取除画面900の前記OKキー906の押下の許可を通知しないため、当該OKキー906は、ユーザにより押下不可の状態のままとなる(図7:S203)。
【0086】
これにより、前記ブリッジ121に用紙を排出しても問題ない場合のみに、当該ブリッジ121を用紙の排出先として設定することが可能となるため、当該ブリッジ121への用紙排出に伴うトラブルを事前に回避することが可能となる。
【0087】
そして、ユーザが、前記第一の用紙取除画面900のOKキー906を押下すると、前記ブリッジ排出受付手段504は、当該OKキー906の押下を受け付けて、その旨を前記表示受付手段503に通知する(図7:S206YES)。当該通知を受けた表示受付手段503は、前記設定条件のうち、用紙の排出先をブリッジ121とする(図7:S207)。これにより、前記ブリッジ121が用紙の排出先として適切に選択されたことになる。そして、前記表示受付手段503は、S103へ移行し、前記設定条件が反映された初期画面800をタッチパネル301に表示することになる(図6:S103)。
【0088】
一方、S201において、前記ブリッジ121に用紙が存在しない場合、つまり、前記用紙検知センサ204がオフ信号を発信する場合、前記ブリッジ内状態検知手段505は、前記ブリッジ121の搬送路202内に用紙が存在しないと検知し、その旨を前記表示受付手段503に通知する。当該通知を受けた表示受付手段503は、S207へ移行し、前記設定条件のうち、用紙の排出先をブリッジとする(図7:S207)。この場合は、上述した前記ブリッジ121からの用紙の取り除きをする必要がないため、速やかに当該ブリッジ121が用紙の排出先として選択されることになる。
【0089】
又、S203において、ユーザが、前記第一の用紙取除画面900の「ジョブセパレータ」キーを選択した場合については、後述する。
【0090】
さて、S107において、ユーザが、前記初期画面800を見ながら、排出先選択キー801aを更に押下することなく(図6:S104NO)、スタートキー305を押下すると、前記表示受付手段503は、当該スタートキー305の押下を受け付けて(図6:S107YES)、前記設定条件を機能提供手段506に通知する。当該通知を受けた機能提供手段506は、前記設定条件に基づいてコピー機能(印刷ジョブ)を実行する(図6:S108)。
【0091】
ここで、前記設定条件のうち、用紙の排出先がブリッジ121である場合(図6:S109YES)、前記機能提供手段506は、その旨を複合機100の用紙搬送手段507に通知する。当該通知を受けた用紙搬送手段507は、前記複合機側通信部207と前記ブリッジ側通信部208とを介して、前記ブリッジ121と通信し、前記印刷ジョブの実行により印刷された用紙を、前記ブリッジ121の搬送路202に搬送して、当該搬送路202内の所定の位置で停止させる(図6:S110)。
【0092】
具体的には、前記機能提供手段506が印刷済みの用紙を第一の排紙口120から排紙すると、前記用紙搬送手段507は、前記ブリッジ121の駆動モータ408の駆動力を制御し、当該ブリッジ121の用紙検知センサ204が用紙の存在を検知するまで、前記ブリッジ搬送ローラ対203を回転させる。そして、前記用紙検知センサ204が用紙(の下流側の先端)の存在を検知すると、前記用紙搬送手段507は、前記ブリッジ搬送ローラ対203の回転を停止し、前記印刷済みの用紙を前記ブリッジ121の搬送路202内に停止(停滞)させる。
【0093】
これにより、前記用紙を前記ブリッジ121の搬送路202内の所定の位置に停滞させ、当該ブリッジ121を用紙の排出トレイ代わりに使用することが可能となる。
【0094】
尚、前記用紙検知センサ204が、下流側のブリッジ搬送ローラ対203aの上流近傍に存在する場合、当該用紙検知センサ204が用紙の存在を検知した際に、前記用紙搬送手段507が前記ブリッジ搬送ローラ対203の回転を停止すると、丁度、前記用紙の下流側の先端が、下流側のブリッジ搬送ローラ対203aの上流近傍で停止される。そのため、前記ブリッジ121のブリッジカバー205を開状態とすると、前記用紙が丁度外部から取り除きやすい状態となり、好ましい。
【0095】
さて、前記用紙搬送手段507が、前記用紙を前記ブリッジ121の搬送路202内の所定の位置、上述では、下流側のブリッジ搬送ローラ対203aの上流近傍まで搬送すると、その旨を表示受付手段503に通知する。当該通知を受けた表示受付手段503は、ユーザに、前記ブリッジ121の搬送路202内の用紙の取り除きを促す第二の用紙取除画面(第二のガイダンス画面)をタッチパネル301に表示する(図6:S111)。
【0096】
前記第二の用紙取除画面907には、図9(B)に示すように、印刷が完了したことを示すメッセージ908と、ユーザに前記ブリッジ121の搬送路202内の用紙の取り除きを促すメッセージ909と、前記ブリッジ121からの用紙の取り除きの具体的手順910と、OKキー911とが表示される。
【0097】
これにより、ユーザは、前記ブリッジ121に排出された用紙を忘れることなく、当該ブリッジから取り出すことが可能となる。
【0098】
ここで、前記ブリッジ121の搬送路202は、通常、前記ブリッジカバー205により覆われているため、外部から視認することが出来ない。そのため、外部から視認されたくない印刷物(例えば、極秘文書など)を印刷する場合に、前記ブリッジ121を用紙の排出先(排紙トレイ)として利用すれば、ユーザ以外の他のユーザに印刷物の内容を知られることなく、印刷して取得することが可能となり、好ましい。
【0099】
前記ブリッジ121からの用紙の取り除きについては、上述と同様であるため、その説明を割愛する。
【0100】
ところで、S106において、ユーザが、前記排出先選択画面803のうち、前記「ジョブセパレータ」キー805aを押下した場合(図6:S106NO)、前記ブリッジ排出受付手段504は、当該「ジョブセパレータ」キー805aの押下を受け付け、その旨を前記表示受付手段503に通知する。当該通知を受けた表示受付手段503は、前記設定条件のうち、用紙の排出先をジョブセパレータ124とする(図6:S112)。これにより、前記ジョブセパレータ124が用紙の排出先として選択されたことになる。そして、前記表示受付手段503は、前記設定条件が反映された初期画面800をタッチパネル301に表示して、ユーザからスタートキー305の押下を受け付けることになる(図6:S107)。
【0101】
又、S203において、ユーザが、前記第一の用紙取除画面900のうち、前記「ジョブセパレータ」キー905を押下した場合(図7:S203YES)、前記ブリッジ排出受付手段504は、当該「ジョブセパレータ」キー905の押下を受け付け、その旨を前記表示受付手段503に通知する。当該通知を受けた表示受付手段503は、S112へ移行し、前記設定条件のうち、用紙の排出先をジョブセパレータ124とする(図6:S112)。この場合は、例えば、ユーザが、前記ブリッジ121からの用紙の取り除きを手間と感じて、用紙の排出先を変更したい場合に該当する。これにより、速やかに用紙の排出先を変更して、前記複合機100にコピー機能を実行させることが可能となる。
【0102】
さて、S109において、前記設定条件のうち、用紙の排出先がジョブセパレータ124である場合(図6:S109NO)、前記機能提供手段506は、印刷済みの用紙を第二の排出口126から排出するよう制御し、当該第二の排出口126から排出された用紙を、前記ジョブセパレータ124に排出する(図6:S113)。これにより、前記用紙は、前記ジョブセパレータ124に排出されることになる。この場合は、前記第二の用紙取除画面907を表示する必要がないため、前記機能提供手段506は、コピー機能の実行(印刷ジョブ)が完了すると、その旨を前記表示受付手段503に通知し、当該通知を受けた表示受付手段503は、前記初期画面800をタッチパネル301に表示することになる。
【0103】
ところで、S101において、前記フィニッシャ127との通信が可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が可能であると検知した場合(図6:S101NO)、前記通信検知手段501は、その旨を前記表示受付手段503に通知する。当該通知を受けた表示受付手段503は、前記複合機設定条件と前記フィニッシャ127の機能に関する設定条件(フィニッシャ設定条件とする)とを入力可能な操作画面をタッチパネル301に表示する。この場合は、前記ブリッジ121が用紙の排出先として選択されなくても、前記フィニッシャ127の排紙トレイなどが利用出来る場合である。
【0104】
例えば、前記フィニッシャの127の排紙トレイが排出先として選択された場合は、前記機能提供手段506が、前記通信部406及び前記通信部414を介して、前記フィニッシャ127のフィニッシャ制御手段502を制御し、印刷済みの用紙を前記フィニッシャ127の排紙トレイに排出することになる。この場合の手順は、従来技術と同様であるため、その説明は割愛する。
【0105】
又、前記フィニッシャ127との通信が不可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が不可能であると検知した場合(図6:S101NO)、前記通信検知手段501は、その旨を前記表示受付手段503に通知し、当該通知を受けた表示受付手段503は、前記フィニッシャ127及び前記ブリッジ121の使用不可を示す第一の使用不可画面をタッチパネル301に表示する。この場合は、前記表示受付手段502が、前記第一の使用不可画面により、ユーザに前記ブリッジ121及び前記フィニッシャ127の取り外し、装着不良の確認、サービスマンへの連絡を促す。この後の手順も、従来技術と同様であるため、その説明は割愛する。
【0106】
又、前記フィニッシャ127との通信が可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が不可能であると検知した場合(図6:S101NO)、前記通信検知手段501は、その旨を前記表示受付手段503に通知し、当該通知を受けた表示受付手段503は、前記ブリッジ121の使用不可を示す第二の使用不可画面をタッチパネル301に表示する。この場合は、前記表示受付手段503が、前記第二の使用不可画面により、ユーザに前記ブリッジ121の取り外し、装着不良の確認、サービスマンへの連絡を促す。この後の手順も、従来技術と同様であるため、その説明は割愛する。
【0107】
このように、本発明に係る複合機100は、前記ブリッジ121の搬送路202内を、印刷された用紙の排出先として選択するための「ブリッジ」キー805bを押下可能にユーザに表示し、当該「ブリッジ」キー805bの押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジ121とするブリッジ排出受付手段504と、前記用紙の排出先が前記ブリッジ121とされると、当該用紙を、当該ブリッジ121の搬送路202に搬送して、当該搬送路202内の所定の位置で停止させる用紙搬送手段507とを備える。
【0108】
これにより、従来では、前記ブリッジ121を用紙の排出先として選択出来なかったものを、本発明では、当該ブリッジ121を用紙の排出先として選択出来るため、当該排出先の選択肢を増やすことが可能となる。又、前記ブリッジ121の搬送路202は、前記ブリッジカバー205の開閉により外部から露出可能であるから、前記用紙を当該ブリッジ121の搬送路202内の所定の位置に停滞させて、当該ブリッジ121を用紙の排出トレイ代わりに使用することが可能となる。
【0109】
尚、本発明の実施形態では、通信検知手段501を設けて、前記ブリッジ排出受付手段504が、前記フィニッシャ127との通信が不可能であり、且つ、前記ブリッジ121との通信が可能であると検知された場合に、前記「ブリッジ」キー805bを押下可能に表示するよう構成した。この場合は、前記フィニッシャ127の排紙トレイが利用出来ないことを前提とし、当該フィニッシャ127の排紙トレイの代替として、前記ブリッジ121を用紙の排出先として設定可能としたが、他の構成でも構わない。例えば、前記ブリッジ121の通信が可能であるなら、当該ブリッジ121を用紙の排出先として設定しても、特に問題とならない。そのため、前記用紙の排出先の選択肢を広げるために、前記ブリッジ排出受付手段504が、前記フィニッシャ127との通信が可能であっても、前記「ブリッジ」キー805bを押下可能に表示するよう構成してもよい。
【0110】
又、本発明の実施形態では、複合機100が、前記胴内排紙トレイ123の他に、ジョブセパレータ124を備える構成を採用したが、他の構成であってもよい。例えば、前記ジョブセパレータ124の有無と、前記ブリッジ121を排出先として選択することとは、無関係であるため、特に、当該ジョブセパレータ124が無くても、本発明の作用効果を奏する。
【0111】
又、本発明の実施形態では、前記用紙搬送手段507が、前記ブリッジ搬送ローラ対203の回転制御により、印刷済みの用紙を前記ブリッジ121の搬送路202に搬送して、当該搬送路202内の所定の位置で停止させるよう構成したが、他の構成でも構わない。例えば、前記所定の位置に、前記搬送路202へ出入可能な用紙受け手段を設けて、前記用紙搬送手段507が、当該用紙受け手段を当該搬送路202へ出して、前記用紙を停止させるよう構成しても構わない。
【0112】
又、本発明の実施形態では、前記ブリッジ121が用紙の排出先として設定された場合に、当該用紙の枚数について特に制限をしていないが、通常、当該ブリッジ121の搬送路202に載置(蓄積)出来る用紙枚数は、1枚−5枚の範囲内の枚数であることから、当該用紙の枚数を制限するよう構成してもよい。例えば、本発明は、更に、印刷される用紙の枚数が、1枚−5枚の所定の範囲内であるか否かを判定する印刷枚数判定手段を備え、前記ブリッジ排出受付手段504は、前記用紙の枚数が前記所定の範囲内であると判定された場合に、前記「ブリッジ」キー805bを押下可能に表示する、又は前記用紙の排出先を前記ブリッジ121とするよう構成してもよい。これにより、前記ブリッジ121への用紙の搬送を制限して、当該ブリッジ121内に用紙が溢れるなどのトラブルを事前に防止することが可能となる。
【0113】
又、本発明の実施形態では、前記ブリッジ121を用紙の排出先として設定する場合、当該用紙の内容が、機密文書など外部に視認されると問題のある内容であると好ましいため、セキュリティーを向上させるために、更に、下記の構成を追加しても構わない。例えば、前記用紙を前記ブリッジ121の搬送路202に搬送する前に、ユーザから暗証番号を受け付けた場合に、前記用紙が前記ブリッジ121の搬送路202へ搬送されると、当該ブリッジ121のブリッジカバー205の開閉を禁止し、前記暗証番号と同一の暗証番号をユーザから新たに受け付けた場合に、前記ブリッジカバー205の開閉を許可するロック手段を備える。これにより、ユーザが、例えば、操作部122を介して、適切な暗証番号を入力しない限り、前記ブリッジ121から用紙を取り出すことが出来なくなるため、更にセキュリティーを向上させることが可能となる。
【0114】
又、本発明の実施形態では、複合機100のコピー機能の処理に関して採用したが、例えば、ファクシミリ受信機能、プリント機能等に対しても採用できる。
【0115】
又、本発明の実施形態では、複合機100が各手段を備えるよう構成したが、当該各手段を実現するプログラムを記憶媒体に記憶させ、当該記憶媒体を提供するよう構成しても構わない。当該構成では、前記プログラムを複合機100に読み出させ、その複合機100が前記各手段を実現する。その場合、前記記録媒体から読み出されたプログラム自体が本発明の作用効果を奏する。さらに、各手段が実行するステップをハードディスクに記憶させる方法として提供することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0116】
以上のように、本発明に係る画像形成装置及び画像形成方法は、複合機はもちろん、複写機、プリンタ等に有用であり、自装置と後処理装置とを中継するブリッジを印刷済みの用紙の排出先として選択することが可能な画像形成装置及び画像形成方法として有効である。
【符号の説明】
【0117】
100 複合機
121 ブリッジ
122 操作部
123 胴内排紙トレイ
124 ジョブセパレータ
127 フィニッシャ
202 ブリッジ搬送路
203 ブリッジ搬送ローラ
204 用紙検知センサ
205 ブリッジカバー
206 開閉検知センサ
207 ブリッジ側通信部
208 複合機側通信部
407 駆動モータ
501 通信検知手段
502 フィニッシャ制御手段
503 表示受付手段
504 ブリッジ排出受付手段
505 ブリッジ内状態検知手段
506 機能提供手段
507 用紙搬送手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置と後処理装置とを中継し、搬送路を覆うブリッジカバーが開閉可能であるブリッジが取り付けられた画像形成装置において、
前記ブリッジの搬送路内を、印刷された用紙の排出先として選択するためのブリッジキーを押下可能にユーザに表示し、当該ブリッジキーの押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジとするブリッジ排出受付手段と、
前記用紙の排出先が前記ブリッジとされると、当該用紙を、当該ブリッジの搬送路に搬送して、当該搬送路内の所定の位置で停止させる用紙搬送手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
更に、前記後処理装置との通信が可能か不可能かを検知するとともに、前記ブリッジとの通信が可能か不可能かを検知する通信検知手段を備え、
前記ブリッジ排出受付手段は、前記後処理装置との通信が不可能であり、且つ、前記ブリッジとの通信が可能であると検知された場合に、前記ブリッジキーを押下可能に表示する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
更に、前記ブリッジの搬送路内に用紙が存在するか否かを検知するブリッジ内状態検知手段を備え、
前記ブリッジ排出受付手段は、前記ブリッジの搬送路内に用紙が存在しないと検知された場合に、前記用紙の排出先を前記ブリッジとする
請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
更に、印刷される用紙の枚数が、1枚−5枚の所定の範囲内であるか否かを判定する印刷枚数判定手段を備え、
前記ブリッジ排出受付手段は、前記用紙の枚数が前記所定の範囲内であると判定された場合に、前記ブリッジキーを押下可能に表示する、又は前記用紙の排出先を前記ブリッジとする
請求項1−3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
更に、前記用紙を前記ブリッジの搬送路に搬送する前に、ユーザから暗証番号を受け付けた場合に、前記用紙が前記ブリッジの搬送路へ搬送されると、当該ブリッジのブリッジカバーの開閉を禁止し、前記暗証番号と同一の暗証番号をユーザから新たに受け付けた場合に、前記ブリッジカバーの開閉を許可するロック手段を備える
請求項1−4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
自装置と後処理装置とを中継し、搬送路を覆うブリッジカバーが開閉可能であるブリッジが取り付けられた画像形成装置の画像形成方法において、
前記ブリッジの搬送路内を、印刷された用紙の排出先として選択するためのブリッジキーを押下可能にユーザに表示し、当該ブリッジキーの押下を受け付けると、前記用紙の排出先を前記ブリッジとするブリッジ排出受付ステップと、
前記用紙の排出先が前記ブリッジとされると、当該用紙を、当該ブリッジの搬送路に搬送して、当該搬送路内の所定の位置で停止させる用紙搬送ステップと
を備えることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載のプログラムを記憶したコンピュータに読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−73020(P2013−73020A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−212017(P2011−212017)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】