説明

画像形成装置用ブレード

【課題】交換時期を把握することが可能な画像形成装置用ブレードを提供する。
【解決手段】長尺形状のプレートと、長尺形状のプレート上にプレートの長手方向に沿って配設され、被接触体に当接される第1弾性部材と、長尺形状のプレート上に、プレートの長手方向に沿って且つ第1弾性部材と並列に配設された第2弾性部材とを備え、第2弾性部材は第1弾性部材とは性状の異なる部材よりなり、第2弾性部材が、被接触体との当接による第1弾性部材の摩耗に伴って被接触体に当接して、第1弾性部材の摩耗状態の指標となるようにした画像形成装置用ブレードである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられるブレードに関し、特に、薄肉のプレートの片面上に弾性部材を配設してなる画像形成装置用ブレードに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式または静電記録方式を採用した画像形成装置においては、現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等の種々のブレードが用いられている。
【0003】
具体的には、感光ドラム上に形成した静電潜像に対して現像ローラを介してトナーを付着させて静電潜像を可視化した後、可視化した像(トナー像)を感光ドラムから紙等の記録媒体に転写して画像を形成する従来の画像形成装置において、現像ブレードは、現像ローラの表面に供給されたトナーを均一な厚さに規制すると共に該トナーを摩擦帯電させるために用いられている。また、クリーニングブレードは、トナー像を紙等の記録媒体に転写した後に感光ドラム上に残存した余分なトナーを掻き取るために用いられている。更に、転写ブレードは、感光ドラム上のトナー像を紙等の記録媒体に転写するために用いられている。
【0004】
ここで、従来、現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等の画像形成装置用ブレードとしては、長尺形状の金属製薄肉プレートの片面上にゴム等の弾性部材をプレートの長手方向に沿って配設したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。なお、プレート上に配設される弾性部材は、ブレードの用途等に応じて所望の性能を発揮し得る形状および硬さに調製されている。
【0005】
そして、従来の画像形成装置では、上述した画像形成装置用ブレードの弾性部材が現像ローラ、感光ドラム、記録媒体などに接触することで、トナーの厚さ規制および摩擦帯電、余分なトナーの掻き取り、並びに、トナー像の転写などが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−216275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記従来の画像形成装置では、画像形成装置用ブレードの弾性部材と現像ローラ等の被接触体とが接触した状態で被接触体を駆動するため、画像形成装置用ブレードの弾性部材が経時的に摩耗することは避けられない。
【0008】
そして、上記画像形成装置では、画像形成装置用ブレードの弾性部材の摩耗が許容限界を超えて進行すると、画像形成装置用ブレードが所期の性能を発揮し得なくなる。即ち、画像形成装置用ブレードの弾性部材が許容限界を超えて摩耗すると、画像形成装置用ブレードのトナーに対する摩擦帯電付与機能やトナーの掻き取り機能などが低下して、そのブレードを採用している画像形成装置が十分な性能を発揮し得なくなる。そのため、画像形成装置用ブレードは、弾性部材が許容限界を超えて摩耗する前に交換する必要がある。
【0009】
そこで、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する手法を確立することが求められていた。また、このような画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する手法の確立は、弾性部材の許容限界を超えた摩耗が発生し易い場合、例えば、画像形成装置用ブレードを長期に亘って使用する場合や、使用済の画像形成装置用ブレードの摩耗した弾性部材を新しい弾性部材に張り替えることで金属製薄肉プレートをリサイクルして使用する場合等において特に求められていた。
【0010】
しかしながら、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握する有効な手法は未だに確立されていなかった。そこで、本発明は、交換時期を把握することが可能な画像形成装置用ブレードを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の画像形成装置用ブレードは、長尺形状のプレートと、前記長尺形状のプレート上に該プレートの長手方向に沿って配設され、被接触体に当接される第1弾性部材と、前記長尺形状のプレート上に、該プレートの長手方向に沿って且つ前記第1弾性部材と並列に配設された第2弾性部材とを備え、前記第2弾性部材は前記第1弾性部材とは性状の異なる部材よりなり、前記第2弾性部材が、前記被接触体との当接による前記第1弾性部材の摩耗に伴って前記被接触体に当接して、第1弾性部材の摩耗状態の指標となるようにしたことを特徴とする。このように、第1弾性部材の摩耗に伴って現像ローラ等の被接触体に当接する第2弾性部材を設ければ、第1弾性部材の摩耗が進行した際に第2弾性部材が被接触体に接触するので、第1弾性部材の摩耗状態を目視等により把握することができる。また、第2弾性部材を第1弾性部材とは異なる性状の部材で構成すれば、第1弾性部材のトナーに対する性能(摩擦帯電付与機能、トナーの掻き取り機能等)と、第2弾性部材のトナーに対する性能とを異ならせることができる。従って、画像形成装置用ブレードの使用に伴って第1弾性部材が摩耗した際、即ち所定時間が経過し、画像形成装置用ブレードを用いて所定数の画像を形成した際に、第1弾性部材とは性能の異なる第2弾性部材を被接触体に接触させて、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を把握することができる。
【0012】
ここで、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第1弾性部材の高さが、前記第2弾性部材の高さよりも高いことが好ましい。第1弾性部材の高さを第2弾性部材の高さよりも高くすれば、簡便な構成を用いて第1弾性部材の摩耗後に第2弾性部材を被接触体に当接させることができるからである。なお、本発明において、弾性部材の高さが弾性部材内で変化している場合には、第1弾性部材の高さと第2弾性部材の高さとの比較は、各弾性部材の最大高さ同士を比較して行う。
【0013】
また、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第1弾性部材の表面粗さと、前記第2弾性部材の表面粗さとが互いに異なることが好ましい。第1弾性部材の表面粗さと第2弾性部材の表面粗さとを異ならせれば、第1弾性部材のトナーに対する性能と第2弾性部材のトナーに対する性能とを簡便に異ならせることができるので、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を容易に把握することができるからである。
【0014】
更に、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第1弾性部材の硬さと前記第2弾性部材の硬さとが互いに異なることが好ましい。第1弾性部材の硬さと第2弾性部材の硬さとを異ならせれば、第1弾性部材のトナーに対する性能と第2弾性部材のトナーに対する性能とを簡便に異ならせることができるので、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を容易に把握することができるからである。
【0015】
また、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第1弾性部材の電気抵抗と前記第2弾性部材の電気抵抗とが互いに異なることが好ましい。第1弾性部材の電気抵抗と第2弾性部材の電気抵抗とを異ならせれば、第1弾性部材のトナーに対する性能と第2弾性部材のトナーに対する性能とを簡便に異ならせることができるので、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を容易に把握することができるからである。
【0016】
更に、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第1弾性部材を構成する材料の帯電列上の位置と、前記第2弾性部材を構成する材料の帯電列上の位置とが互いに異なることが好ましい。第1弾性部材の構成材料の帯電列上の位置と第2弾性部材の構成材料の帯電列上の位置とを異ならせれば、第1弾性部材のトナーに対する性能と第2弾性部材のトナーに対する性能とを簡便に異ならせることができるので、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を容易に把握することができるからである。
【0017】
そして、本発明の画像形成装置用ブレードは、前記第2弾性部材の高さが、前記プレートの長手方向に沿って変化していることが好ましい。プレートの長手方向に沿って第2弾性部材の高さを変化させれば、第1弾性部材が摩耗して第2弾性部材が被接触体に当接した際に、第2弾性部材の一部(高さが高い部分)のみが被接触体に接触し、形成される画像が変化するからである。即ち、第1弾性部材の摩耗後に第2弾性部材の一部のみを被接触体に接触させて、形成される画像の変化により画像形成装置用ブレードの交換時期を容易に把握することができるからである。
【発明の効果】
【0018】
本発明の画像形成装置用ブレードによれば、第2弾性部材を用いて第1弾性部材の摩耗状態を把握することにより、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(a)は、本発明に従う代表的な画像形成装置用ブレードの概略構成を示す斜視図であり、(b)は、図1(a)に示す画像形成装置用ブレードのI−I線に沿う断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置用ブレードを適用した画像形成装置の一部の構成を示す説明図である。
【図3】図1に示す画像形成装置用ブレードの第1弾性部材が摩耗した状態を示す図である。
【図4】(a)は、本発明に従う画像形成装置用ブレードの一変形例を示す正面図であり、(b)は、図4(a)に示す画像形成装置用ブレードの側面図である。
【図5】(a)〜(c)は、本発明に従う画像形成装置用ブレードの他の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。本発明の画像形成装置用ブレードは、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置において現像ブレード、クリーニングブレード、転写ブレード等として用いることができる。
【0021】
そして、本発明の画像形成装置用ブレードは、長尺形状のプレートと、長尺形状のプレート上に該プレートの長手方向に沿って配設され、被接触体に当接される第1弾性部材と、長尺形状のプレート上に、該プレートの長手方向に沿って且つ第1弾性部材と並列に配設された第2弾性部材とを備えており、第1弾性部材と第2弾性部材とが性状(例えば、材質や形状など)の異なる部材よりなることを特徴とする。そして、本発明の画像形成装置用ブレードは、使用開始時には被接触体に対して第1弾性部材のみが接触するが、被接触体との接触により第1弾性部材が摩耗すると、第2弾性部材が被接触体に新たに当接するように構成されている。なお、本発明の画像形成装置用ブレードの弾性部材が当接する被接触体はブレードの用途によって異なり、例えば、本発明の画像形成装置用ブレードを現像ブレードとして使用する場合には被接触体は現像ローラであり、クリーニングブレードとして使用する場合には被接触体は感光ドラムや転写ベルトであり、転写ブレードとして使用する場合には被接触体は転写ベルト等である。また、以下では、本発明の画像形成装置用ブレードの一例を現像ブレードとして用いた場合について説明するが、本発明の画像形成装置用ブレードは、クリーニングブレードや転写ブレード等として用いた場合にも同様の効果を得ることができる。
【0022】
ここで、図1(a),(b)に、本発明の画像形成装置用ブレードの一例としての現像ブレード10を示す。この現像ブレード10は、図1(a)に斜視図を示すように、長尺形状のプレート1の一方の表面上に、プレート1の長手方向(図1(a)に矢印Xで示す方向)に沿って延在する第1弾性部材2および第2弾性部材3をプレート1の幅方向(図1(a)に矢印Yで示す方向)に並列配置してなる。そして、現像ブレード10は、画像形成装置において、現像ローラの表面に供給されたトナーを均一な厚さに規制すると共に該トナーを摩擦帯電させるために用いられる。
【0023】
図1に示す現像ブレード10のプレート1は、平面視形状が長方形の薄肉の金属板からなる。そして、プレート1の長手方向の寸法は例えば200〜300mmとすることができ、幅方向の寸法は例えば10〜20mmとすることができ、厚さは例えば0.08〜0.15mmとすることができる。なお、プレート1は、特に限定されることなく、ステンレス鋼(SUS)やリン青銅などの金属材料を用いて既知の方法で形成することができる。
【0024】
第1弾性部材2は、回転する現像ローラに当接して現像ローラの表面に供給されたトナーを均一な厚さに規制すると共に該トナーを摩擦帯電させる部材である。そして、第1弾性部材2は、図1(b)に図1(a)のI−I線に沿う幅方向断面を示すように、プレート1の一方の表面(図1(b)では上側の表面)から測定した高さ(最大高さ)がhで、プレート1側とは反対側に位置する稜線部を丸めた略四角柱形状をしている。
【0025】
また、第2弾性部材3は、現像ブレード10の使用開始時には現像ローラに当接しないが、第1弾性部材2の摩耗に伴い現像ローラに当接する。そして、現像ローラに当接した第2弾性部材3は、後に詳述するように、画像形成装置において形成される画像を変化させる等して、第1弾性部材の摩耗状態を示す指標として機能する。
【0026】
具体的には、第2弾性部材3は、図1(b)に示すように、プレート1の一方の表面(図1(b)では上側の表面)から測定した高さ(最大高さ)がhで、プレート1側とは反対側に位置する稜線部を丸めた略四角柱形状をしている。そして、第2弾性部材3の高さhは第1弾性部材2の高さhよりも低く、また、第2弾性部材3の長手方向(図1(a)に矢印Xで示す方向)の寸法は、第1弾性部材2の長手方向(図1(a)に矢印Xで示す方向)の寸法と略等しい。なお、第2弾性部材の高さや配設位置は、第1弾性部材が摩耗して第1弾性部材が所期の機能(トナー厚さ規制機能および摩擦帯電付与機能)を発揮し得なくなった際に第2弾性部材が現像ローラに新たに接触するように適宜設計することができる。
【0027】
ここで、現像ブレード10の第1弾性部材2と第2弾性部材3とは、性状が互いに異なる部材からなり、第1弾性部材2のトナーに対する性能(摩擦帯電付与機能や、トナーを掻き取ってトナーの層厚を規制する機能等)と、第2弾性部材3のトナーに対する性能とは互いに異なっている。従って、第1弾性部材2の摩耗に伴い第2弾性部材3が現像ローラに当接すると、画像形成装置において形成される画像に画像乱れ等の変化が発生する。因みに、第1弾性部材2および第2弾性部材3は、特に限定されることなく、2液硬化性ポリウレタン、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ミラブルシリコーン、液状シリコーンゴムなどの熱硬化性のゴム材や、ポリウレタン系熱可塑性ゴムや、ポリスチレン系熱可塑性ゴムを用いて形成することができる。
【0028】
なお、第1弾性部材2と第2弾性部材3とで性状を異ならせる方法は、第1弾性部材のトナーに対する性能と第2弾性部材のトナーに対する性能とを互いに異ならせることができれば特に限定されることはない。従って、後に詳細に説明するように、例えば表面粗さや、硬さや、電気抵抗や、構成材料の帯電列上の位置等を第1弾性部材2と第2弾性部材3とで異ならせることにより、両弾性部材の性状を異ならせることができる。
【0029】
そして、図1に示す現像ブレード10では、第1弾性部材2および第2弾性部材3は、プレート1の一方の表面上であって、プレート1の幅方向(図1(a)に矢印Yで示す方向)中央よりも幅方向一方の端縁1a側に寄せて配設されている。より具体的には、第1弾性部材2および第2弾性部材3は、第2弾性部材3が第1弾性部材2よりも端縁1a側に位置するように、且つ、プレート1の幅方向に隣接するように並列配置されている。因みに、プレート1の表面に対する第1弾性部材2および第2弾性部材3の配設は、LIM成形(Liquid Injection Molding)や、予め成形しておいた弾性部材の接着などの既知の手法を用いて行うことができる。
【0030】
ここで、上述したような構成を有する現像ブレード10は、図2に示すように、画像形成装置の一部を構成する現像ユニット50で用いられる。なお、図2に一部の構成のみを示す画像形成装置は、既知の手法で感光ドラム60上に形成した静電潜像に対して現像ユニット50を介してトナーを付着させて静電潜像を可視化した後、可視化した像(トナー像)を紙等の記録媒体(図示せず)に転写して画像を形成する装置である。また、図2に示す現像ユニット50は、現像剤としてのトナー51を収容するトナーボックス52と、トナーボックス52内のトナー51を撹拌する撹拌機53と、トナーボックス52内のトナー51を現像ローラ55の表面に供給するトナー搬送ローラ54と、現像ローラ55に当接するように常時付勢された現像ブレード10とをハウジング56内に収容してなる。
【0031】
より具体的には、上述したような構成を有する現像ブレード10は、使用開始時には第1弾性部材2のみが現像ローラ55に当接するように、且つ、プレート1の一方の端縁1a側から他方の端縁1b側に向かう方向にトナー51が供給されるように、現像ユニット50のハウジング56に設置される。なお、この現像ブレード10では、第1弾性部材2の高さhを第2弾性部材3の高さhよりも高くするという簡便な構造を用いて、使用開始時には第1弾性部材2のみが現像ローラ55に当接し、現像ローラ55との当接により第1弾性部材2が摩耗すると、図3に示すように第2弾性部材3が現像ローラ55に新たに当接するようにしている。しかし、本発明の画像形成装置用ブレードでは、プレートを折り曲げたり、第1弾性部材と第2弾性部材とを同じ高さとしつつ互いに離間させて配置したりすることで使用開始時に第1弾性部材のみが被接触体(現像ローラ等)に当接するようにしても良い。但し、第1弾性部材と第2弾性部材との間にトナーが溜まってトナー溜まりが発生するのを防止する観点からは、図1に示す現像ブレード10のように、第1弾性部材と第2弾性部材とを異なる高さとしつつ互いに密接させて配置することが好ましい。
【0032】
そして、この現像ユニット50では、使用開始から所定の時間が経過するまで、或いは、所定の数の画像を形成するまでの間は、トナー搬送ローラ54を介してトナーボックス52から現像ローラ55へと供給されたトナー51が、現像ローラ55に当接する現像ブレード10の第1弾性部材2により均一な厚さに規制されると共に摩擦帯電させられる。なお、現像ローラ55上で所定の層厚に規制され、且つ、摩擦帯電されたトナーは、現像ローラ55の回転に伴って感光ドラム60へと搬送され、感光ドラム60の表面に形成された静電潜像上に付着する。
【0033】
ここで、現像ブレード10は回転する現像ローラ55に向かって常時付勢されているので、現像ブレード10の第1弾性部材2は、回転する現像ローラ55に対して所定の圧力で常時押し付けられる。そのため、図3に示すように、現像ブレード10の第1弾性部材2は、回転する現像ローラ55との接触により経時的に摩耗する。そして、現像ブレード10は、第1弾性部材2が許容限界を超えて摩耗すると、所期の機能(トナー厚さ規制機能および摩擦帯電付与機能)を発揮し得なくなる。
【0034】
従って、現像ブレード10を採用している画像形成装置では、第1弾性部材2の摩耗が許容限界を超えて進行し、画像形成装置が十分な性能を発揮し得なくなる前に、現像ブレード10を交換する必要がある。
【0035】
ここで、上記のような現像ブレードの交換の必要性の問題に対し、現像ブレード10では、第2弾性部材3が第1弾性部材2の摩耗状態を示す指標として機能するので、現像ブレード10の交換時期を容易に把握することができる。具体的には、現像ブレード10では、第1弾性部材2が摩耗すると、第2弾性部材3が現像ローラ55に新たに当接するように構成されており、且つ、第1弾性部材2と第2弾性部材3とが互いに性状の異なる(即ち、トナーに対する性能の異なる)部材よりなるので、第2弾性部材3が第1弾性部材2の摩耗状態を示す指標として機能し、現像ブレードの交換時期を容易に把握することができる。第1弾性部材2とは性状の異なる第2弾性部材3が現像ローラ55に当接すると、現像ローラ55上のトナーの厚みやトナーに付与される電荷に変化が生じて形成される画像が乱れる(例えば、画像の濃度が大きく変化する)ので、該画像の乱れにより第1弾性部材2の許容限界を超えた摩耗(第2弾性部材3の現像ローラ55への当接)を把握することができるからである。
【0036】
従って、この現像ブレード10を用いれば、画像の乱れの発生により現像ブレード10の交換時期を容易に把握することができる。なお、現像ブレード10では、第2弾性部材3への現像ローラの接触の有無(例えば、第2弾性部材3の表面の摩耗痕の有無)を目視で確認することにより第1弾性部材2の摩耗状態および現像ブレード10の交換の要否を確認しても良いが、より容易に現像ブレード10の交換時期を把握する観点からは、上述のように画像の乱れの発生を利用することが好ましい。
【0037】
なお、上述した現像ブレード10においては、第1弾性部材2が摩耗して第2弾性部材2が現像ローラ55に当接する際には、第1弾性部材2と第2弾性部材3との双方が現像ローラ55に当接する。しかし、この現像ブレード10は、第2弾性部材3が第1弾性部材2よりもトナー供給側に位置するように配設されているので、第1弾性部材2よりも先に現像ローラ55に当接する第2弾性部材3により、現像ローラ55に担持されるトナー51の量等を制御して画像の乱れを発生させることができる。また、第1弾性部材2は、第2弾性部材3に密接して配置されているので、第1弾性部材2は第2弾性部材3の支承としても機能することができる。更に、上述した現像ブレード10では、第1弾性部材2の摩耗状態の指標となる第2弾性部材が弾性材料よりなるので、現像ローラ55を傷付けることなく、第1弾性部材2の許容限界を超えた摩耗を把握することができる。また、現像ブレード10では、摩耗状態の指標となる部材(第2弾性部材)が弾性材料よりなるので、摩耗状態の指標となる部材が金属材料等よりなる場合と比較し、摩耗状態の指標となる部材の寸法や形状の設計自由度が高い。
【0038】
ここで、第1弾性部材2を構成する部材の性状と、第2弾性部材3を構成する部材の性状とは、画像の乱れの発生等により第1弾性部材2の許容限界を超えた摩耗を把握できれば、任意の手法を用いて異ならせることができる。
【0039】
具体的には、現像ブレード10では、第1弾性部材2の硬さと、第2弾性部材3の硬さとを異ならせることにより、第1弾性部材2のトナーに対する性能と第2弾性部材3のトナーに対する性能とを互いに異ならせて、第2弾性部材3が現像ローラ55に接触した際に画像の乱れを発生させても良い。より具体的には、弾性部材の硬さが硬い方がトナー帯電量(Q/M)は低くなるので、例えば、第2弾性部材3の硬さを第1弾性部材2の硬さよりも小さくし、第2弾性部材3が現像ローラ55に当接したした際のトナー帯電量(Q/M)を大きくすることにより、現像ローラ55に担持されるトナー51の量を急激に増加させて、画像の乱れを発生させても良い。
【0040】
なお、第1弾性部材2および第2弾性部材3の硬さは、特に限定されることなく、例えば第1弾性部材2の硬度を60〜80°とし、第2弾性部材3の硬度を40〜60°とするようにしても良い。
ここで、弾性部材の硬さは、例えば、マイクロゴム硬度計(高分子計器(株)社製MD−1)のプローブが弾性部材に対して垂直な方向から接触するように現像ブレードを設置し、弾性部材の長手方向に40mmピッチで硬度を5点測定し、測定した硬度の平均値を算出することにより求めることができる。なお、弾性部材の幅方向における測定位置は、硬度が最大となる位置とすることができる。
因みに、弾性部材の硬さは、弾性部材の形成に使用する材料を変更することにより調整することができ、例えば液状シリコーンゴムや充填材の配合量の少ないゴムを材料として用いれば弾性部材の硬度は低くなり、2液硬化性ポリウレタンや充填材の配合量の多いゴムを材料として用いれば弾性部材の硬度は高くなる。
【0041】
ところで、現像方式や使用するトナーの種類によっては、トナーの帯電量(Q/M)を小さくすることにより、現像ローラ55に担持されるトナー51の量を急激に増加させることができる場合もあるが、この場合には、上記と逆の構成を採用すれば良い。即ち、何れの場合においても、トナーの担持量が急激に変化するようにすれば良い。
【0042】
また、現像ブレード10では、第1弾性部材2の表面粗さと、第2弾性部材3の表面粗さとを異ならせることにより、第1弾性部材2のトナーに対する性能と第2弾性部材3のトナーに対する性能とを互いに異ならせて、第2弾性部材3が現像ローラ55に接触した際に画像の乱れを発生させても良い。より具体的には、第1弾性部材2の表面粗さを第2弾性部材3の表面粗さよりも粗くし、第2弾性部材3の、トナーを掻き取ってトナーの層厚を規制する機能を、第1弾性部材2の、トナーを掻き取ってトナーの層厚を規制する機能よりも低くすることにより、現像ローラ55に担持されるトナー51の量を急激に増加させて、画像の乱れを発生させても良い。
【0043】
なお、第1弾性部材2および第2弾性部材3の表面の粗さ(算術平均粗さRa)は、特に限定されることなく、例えば第1弾性部材2の算術平均粗さRaを0.2〜2.0μmとし、第2弾性部材3の算術平均粗さRaを0.01〜0.2μmとするようにしても良い。
ここで、弾性部材の表面粗さは、JIS B0601に準拠して求めることができる。
因みに、弾性部材の表面粗さは、弾性部材の製造に使用する金型のキャビティ内面の加工や、弾性部材の表面の研磨など、既知の手法を用いて調整することができる。
【0044】
また、現像ブレード10では、第1弾性部材2の電気抵抗と、第2弾性部材3の電気抵抗とを異ならせることにより、第1弾性部材2のトナーに対する性能と第2弾性部材3のトナーに対する性能とを互いに異ならせて、第2弾性部材3が現像ローラ55に接触した際に画像の乱れを発生させても良い。より具体的には、例えば、第2弾性部材3の電気抵抗を第1弾性部材2の電気抵抗よりも大きくし、第2弾性部材3の摩擦帯電付与機能を第1弾性部材2の摩擦帯電付与機能よりも低くすることにより、画像の乱れを発生させても良い。
【0045】
なお、第1弾性部材2および第2弾性部材3の電気抵抗は、特に限定されることなく、例えば第1弾性部材2の電気抵抗値を3logΩ以下とし、第2弾性部材3の電気抵抗値を10logΩ以上とするようにしても良い。
ここで、弾性部材の電気抵抗値は、JIS K6249に準拠して、例えば直径10mmの金属棒(質量155g)を現像ブレードの弾性部材上に配置し、現像ブレードのプレート(金属製)と、金属棒との間に弾性部材を挟持し、金属棒の両端に500gの荷重を負荷した状態で金属棒とプレートとの間の電気抵抗(体積抵抗)を測定することにより求めることができる。
因みに、弾性部材の電気抵抗は、弾性部材の製造に使用する材料を変更することにより調整することができ、例えば導電剤の配合量の多いゴムを材料として用いれば、弾性部材の電気抵抗値は小さくなる。
【0046】
また、現像ブレード10では、第1弾性部材2を構成する材料の帯電列(摩擦帯電列)上の位置と、第2弾性部材3を構成する材料の帯電列上の位置とを異ならせることにより、第1弾性部材2のトナーに対する性能と第2弾性部材3のトナーに対する性能とを互いに異ならせて、第2弾性部材3が現像ローラ55に接触した際に画像の乱れを発生させても良い。より具体的には、例えば、第2弾性部材3を構成する材料の帯電列上の位置を、第1弾性部材2を構成する材料の帯電列上の位置よりも負側にし、第2弾性部材3の摩擦帯電付与機能を第1弾性部材2の摩擦帯電付与機能よりも低くすることにより、画像の乱れを発生させても良い。
【0047】
なお、帯電列上の位置は、材料の選択により異ならせても良いし、同一の材料中にテフロン(登録商標)粒子等を配合することで異ならせても良い。因みに、材料の選択により帯電列上の位置を異ならせる場合、特に限定されることなく、例えば第1弾性部材2を構成する材料を2液硬化性ポリウレタンとし、第2弾性部材3を構成する材料をシリコーンゴムとするようにしても良い。
【0048】
以上、図面を参照して本発明の画像形成装置用ブレードの一例としての現像ブレード10について説明したが、本発明の画像形成装置用ブレードは、上記一例に限定されることは無く、本発明の画像形成装置用ブレードには、適宜変更を加えることができる。
【0049】
具体的には、本発明の画像形成装置用ブレードは、例えば図4および図5に示すような構成にすることができる。なお、図4および図5では、図1に示す現像ブレード10と同様の構成を有する部分には同一の符号を付している。
【0050】
ここで、図4(a)にトナー供給方向から見た正面図を示し、図4(b)に側面図を示す画像形成装置用ブレード10Aは、第2弾性部材3Aの高さがプレート1の長手方向に沿って変化している点以外は、先の一例の現像ブレード10と同様の構成を有している。具体的には、図4(a),(b)に示す画像形成装置用ブレード10Aでは、第2弾性部材3Aの高さが、長手方向両側で低く、長手方向中央側で高くされている。
【0051】
従って、この画像形成装置用ブレード10Aでは、第1弾性部材2の摩耗が進行した際に、第2弾性部材3Aの高さが高い部分(中央側)が被接触体に最初に接触し、第2弾性部材3Aの高さが低い部分(両端側)は被接触体に接触しない。そのため、この画像形成装置用ブレード10Aによれば、第1弾性部材2が許容限界を超えて摩耗した際に、第2弾性部材3Aの一部のみを被接触体に接触させて、該第2弾性部材3Aが接触している部分に対応する位置に画像の乱れ(例えば、縦スジ)を発生させることができる。従って、この画像形成装置用ブレード10Aによれば、縦スジなどの視認し易い画像の乱れにより画像形成装置用ブレードの交換時期を把握することができる。なお、本発明の画像形成装置用ブレードでは、第2弾性部材3Aの高さを高くする位置は、長手方向中央側に限られることはなく、任意の長手方向位置とすることができる。
【0052】
また、図5(a)に示す画像形成装置用ブレード10Bは、第2弾性部材3Bの長手方向の寸法が、第1弾性部材2の長手方向の寸法よりも短く、第2弾性部材3Bがプレート1の長手方向中央側にのみ設けられている点以外は、先の一例の現像ブレード10と同様の構成を有している。そして、このような画像形成装置用ブレード10Bによれば、第2弾性部材3Bがプレート1の長手方向中央部で第1弾性部材2と並列に配設されているので、第1弾性部材2が許容限界を超えて摩耗した際に、画像の乱れが視認し易い画像中央部にのみ発生し、画像形成装置用ブレード10Bの交換時期をより確実に把握することができる。
【0053】
更に、図5(b)に示す画像形成装置用ブレード10Cは、2個の第2弾性部材3Cがプレート1の長手方向両側に設けられている点以外は、先の一例の現像ブレード10と同様の構成を有している。そして、このような画像形成装置用ブレード10Cによれば、第2弾性部材3Cがプレート1の長手方向両端側で第1弾性部材2と並列に配設されているので、第1弾性部材2が許容限界を超えて摩耗した際に、画像の端部のみで乱れが発生する。従って、画像へ与える影響を最小限に抑制しつつ、画像形成装置用ブレード10Cの交換時期をより確実に把握することができる。
【0054】
また、図5(c)に示す画像形成装置用ブレード10Dは、3個の第2弾性部材3Dがプレート1の長手方向に沿って複数個(図5(c)では3個)設けられている点以外は、先の一例の現像ブレード10と同様の構成を有している。そして、このような画像形成装置用ブレード10Dによれば、プレート1の長手方向に沿って複数個の第2弾性部材3Dが第1弾性部材2と並列に配設されているので、第1弾性部材2が許容限界を超えて摩耗した際に、画像の乱れが複数箇所で発生する。従って、画像形成装置用ブレード10Dの交換時期をより確実に把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明の画像形成装置用ブレードによれば、第2弾性部材を用いて第1弾性部材の摩耗状態を把握することにより、画像形成装置用ブレードの交換時期を把握することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 プレート
1a 端縁
1b 端縁
2 第1弾性部材
3 第2弾性部材
3A,3B,3C,3D 第2弾性部材
10 現像ブレード
10A,10B,10C,10D 画像形成装置用ブレード
50 現像ユニット
51 トナー
52 トナーボックス
53 撹拌機
54 トナー搬送ローラ
55 現像ローラ
56 ハウジング
60 感光ドラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺形状のプレートと、
前記長尺形状のプレート上に該プレートの長手方向に沿って配設され、被接触体に当接される第1弾性部材と、
前記長尺形状のプレート上に、該プレートの長手方向に沿って且つ前記第1弾性部材と並列に配設された第2弾性部材と、
を備え、
前記第2弾性部材は前記第1弾性部材とは性状の異なる部材よりなり、
前記第2弾性部材が、前記被接触体との当接による前記第1弾性部材の摩耗に伴って前記被接触体に当接して、第1弾性部材の摩耗状態の指標となるようにした、画像形成装置用ブレード。
【請求項2】
前記第1弾性部材の高さが、前記第2弾性部材の高さよりも高いことを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項3】
前記第1弾性部材の表面粗さと、前記第2弾性部材の表面粗さとが互いに異なることを特徴とする、請求項1または2に記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項4】
前記第1弾性部材の硬さと前記第2弾性部材の硬さとが互いに異なることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項5】
前記第1弾性部材の電気抵抗と前記第2弾性部材の電気抵抗とが互いに異なることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項6】
前記第1弾性部材を構成する材料の帯電列上の位置と、前記第2弾性部材を構成する材料の帯電列上の位置とが互いに異なることを特徴とする、請求項1〜5の何れかに記載の画像形成装置用ブレード。
【請求項7】
前記第2弾性部材の高さが、前記プレートの長手方向に沿って変化していることを特徴とする、請求項1〜6の何れかに記載の画像形成装置用ブレード。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−61550(P2013−61550A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200813(P2011−200813)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】