説明

画像形成装置,画像形成方法

【課題】 原稿画像が下地画像を有する場合に,メモリコピー時の画像圧縮による画像劣化を抑えつつ,画像圧縮率を高めてメモリ消費量をより低減できること。
【解決手段】 いわゆるメモリコピー機能を備えた画像形成装置において,原稿からの読取り画像をその原稿の下地に対応する下地画像とその他の画像(形成画像)とに分離し(S2),その下地画像と形成画像とを各々個別の圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させる(S4,S7,S8)。その際,圧縮率の影響が少ない下地画像については,より高圧縮率を設定し,その他の画像(形成画像)については,その画像の種類を判別し(S3),その画像の種類に応じて画像劣化が生じない(許容される)範囲で最も高い圧縮率を設定する(S4)。さらに,下地画像については画像形成を望まない場合も多いことから,その下地画像について,画像圧縮又は画像形成を行うか否かを選択可能とする(S6)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,原稿から読み取った画像を圧縮して記憶手段に一旦記憶させた後,その画像を伸張して画像形成を行う画像形成装置及び画像形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ装置,複写機能を備えた複合機等の画像形成装置では,画像読取手段により原稿から画像が読み取られ,その読み取り画像のデータに基づいて印刷部によって記録紙等の被転写部材への画像形成が行われる。
さらに,このような画像形成装置には,原稿からの画像読み取りと並行して読み取り画像の印刷(複写)を行う直接コピー機能の他に,読み取り画像を圧縮してハードディスク等の記憶手段に一旦記憶させた後,印刷ページ順序や部数を設定するいわゆる電子ソート処理や集約処理等の処理結果に従って,或いは所定の出力開始操作が行われるまで待って,前記記憶手段に記憶された圧縮画像を伸張(復元)しながらその印刷出力(複写)を行うメモリコピー機能を備えるものがある。
一般に,メモリコピーにおける画像圧縮方式は,圧縮率を上げてメモリ消費量を抑えるため,非可逆圧縮方式が採用される。ここで,メモリ消費量抑制の観点からすれば,より高い圧縮率とすることが望ましい。しかし,圧縮率を高めるほど,画像劣化(伸張時の画像の再現性の悪化)が著しくなるため,一般的には,画像劣化が許容される程度に収まるよう圧縮率は予め所定の値に設定されている。特に,原稿画像の種類が写真画像等の多階調の画像である場合,文字画像である場合に比べ,圧縮率を高めることによる画像劣化への影響が顕著となる。
これに対し,特許文献1や特許文献2では,利用者により設定された圧縮率や画像読み取りモード(テキストモード,写真モード等)に従って,画像の圧縮率を切り替えるものが提案されている。
【特許文献1】特開平11−004347号公報
【特許文献2】特開2003−333344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで,原稿には,その被転写部材が着色された記録紙(色紙)である場合や,光の照射や経時変化等により記録紙が変色している場合等,被転写部材上に形成された画像(以下,形成画像という)の他に,その形成画像よりも濃度の薄い下地画像を有するものがある。このような下地画像は,一般に単調な画像であるため,高い圧縮率で圧縮しても画像形成時の画像劣化として現れにくい。
しかしながら,原稿からの読み取り画像が下地画像を有する場合に,例えば前記形成画像の種類が写真画像等であるがために比較的低い圧縮率で圧縮したとすると,下地画像については必要以上に低圧縮率で圧縮されることになり,メモリ消費量を十分に低減できないという問題点があった。
また,特許文献1や特許文献2のように,画像読み取りの都度,利用者が圧縮率や画像読み取りモードを入力することは操作が煩雑であり,誤操作による画質劣化やメモリ消費量増大にもつながり得るという問題点もあった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,原稿画像が下地画像を有する場合に,メモリコピー時の画像圧縮による画像劣化を抑えつつ,画像圧縮率を高めてメモリ消費量をより低減でき,また,メモリコピー時の操作を簡略化できる画像形成装置及び画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために本発明は,いわゆるメモリコピー機能を備えた画像形成装置及びその画像形成方法に適用されるものであり,原稿からの読み取り画像をその原稿の下地に対応する下地画像とその他の画像(前記形成画像)とに分離し,その下地画像とその他の画像とを各々個別の圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させることを特徴とするものである。
これにより,圧縮率の影響が少ない下地画像についてのみ,より高圧縮率で圧縮することができるので,前記形成画像(その他の画像)の画像劣化防止のためにその部分の圧縮率を低くしなければならない場合であっっても,圧縮後の画像全体のメモリ消費量を低減することができる。
さらに,前記形成画像(その他の画像)の種類を,所定の入力手段を通じた利用者による入力に従って,或いは自動判別により設定し,その設定結果に応じて前記形成画像の圧縮率を設定するとともに,前記形成画像(その他の画像)をその設定された圧縮率により圧縮すれば,前記形成画像の種類に応じて,その画像劣化が生じない(許容される)範囲で最も高い圧縮率を設定してその圧縮率で圧縮を行うことができる。
例えば,前記形成画像が文字画像である場合には相対的に高い圧縮率とし,写真画像である場合には相対的に低い圧縮率とすることが考えられる。
また,下地画像については画像形成を望まない場合も多いことから,その下地画像について,画像圧縮又は画像形成を行うか否かを選択可能とすることも考えられる。
これにより,下地画像の画像圧縮自体を行わないよう選択できれば,よりメモリ消費量を低減でき,下地画像の圧縮は行うがその出力(画像形成)を行うか否かを選択できれば,一旦圧縮して記憶した画像の出力の際に,必要に応じて下地画像の出力/非出力を選択でき,自由度が高まる。
特に,下地画像が光の照射等により記録紙が変色したものである場合には,そのような下地画像の再現は通常は不要であるので,ノイズ画像フィルタとしての機能を果たすことになり,高品質の出力画像が得られるので好適である。
また,下地画像の分離を行わない場合でも,原稿からの読み取り画像の種類を自動判別により設定し,その設定結果に応じて前記形成画像の圧縮率を設定するとともに,前記読み取り画像をその設定された圧縮率により圧縮することが考えられる。
これにより,読み取り画像の種類に応じて,その画像劣化が生じない(許容される)範囲で最も高い圧縮率を設定してその圧縮率で圧縮する処理が自動化される。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば,原稿からの読み取り画像を下地画像とその他の画像とに分離して各々個別の圧縮率により圧縮するので,圧縮率の影響が少ない下地画像についてのみ,より高圧縮率で圧縮することができるので,圧縮後の画像全体のメモリ消費量を低減することができる。
さらに,前記その他の画像の種類に応じてその圧縮率を設定すれば,前記その他の画像の劣化が生じない(許容される)範囲で最も高い圧縮率を設定でき,よりメモリ消費量を低減することができる。
さらに,下地画像について,画像圧縮又は画像形成を行うか否かを選択可能とすれば,さらなるメモリ消費量の低減効果,或いは出力画像の高画質化効果が得られる。
また,下地画像の分離を行わない場合でも,原稿からの読み取り画像の種類を自動判別により設定し,その設定結果に応じて前記読み取り画像の圧縮率を設定するとともに,前記読み取り画像をその設定された圧縮率により圧縮すれば,読み取り画像の種類に応じた圧縮率の設定とその圧縮率による圧縮処理とが自動化される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの概略構成を表すブロック図,図2は画像形成装置Xにおけるメモリコピーの処理手順を表すフローチャートである。
【0007】
以下,本発明の実施形態について,図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の実施形態に係る画像形成装置Xは,原稿から読み取った画像を圧縮して記憶手段に一旦記憶させた後,その画像を伸張して画像形成を行うメモリコピー機能を備えた複写機等の画像形成装置である。
図1は,本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの概略構成を表すブロック図である。
画像形成装置Xは,図1に示すように,液晶タッチパネル等からなる入出力手段である操作・表示部11と,原稿から画像を読み取るとともに,得られた画像データ(輝度データ)についてシェーディング補正,MTF補正及びγ補正等の画像補正処理を施す画像読み取り部12(画像読読取手段の一例)と,原稿からの読み取り画像データ(画像補正処理後の輝度データ)についての各種画像処理の際にその画像データを一時記憶する画像メモリ13と,各種データを記憶するハードディスクなどの書き換え可能な大容量不揮発メモリであるデータ記憶部14と,CPU及びその周辺装置(ROM,RAM等)からなり,前記ROMに格納された所定のプログラムに従った処理を実行することにより当該画像形成装置Xを制御する制御部15と,原稿からの読み取り画像データ(輝度データ)について各種画像処理を行う画像処理部16と,画像処理後の画像データを後述する圧縮率設定処理により設定された圧縮率に従って圧縮し,圧縮後のデータを前記データ記憶部14に格納する圧縮処理,及び前記データ記憶部14に格納された圧縮済みの画像データを読み出し,これを伸張して印刷部18に出力する伸張処理を実行する圧縮・伸張部17(第1,第2の画像圧縮手段及び画像伸張手段の一例)と,前記画像処理部16による画像処理後の画像データ或いは前記圧縮・伸張部17により伸張された画像データに基づいてその画像を記録紙へ画像形成(出力)する印刷部18(画像形成手段の一例)と,該印刷部18への記録紙の供給を行う給紙部19とを具備している。
【0008】
次に,図2のフローチャートを用いて,本画像形成装置Xにおけるメモリコピー処理の手順について説明する。以下,S1,S2,…は,処理手順(ステップ)の識別符号を表す。前記制御部15は,予め記憶された制御プログラムに従って,以下に示すメモリコピー処理を制御する。
また,本メモリコピー処理は,利用者により,前記画像読み取り部12に原稿がセットされ,前記操作・表示部11を通じてメモリコピー処理を開始する旨の所定の操作がなされた際に実行される。
まず,前記制御部15による処理開始指令が出力されることにより,前記画像読み取り部12によって原稿から画像を読み取る(S1)。その際,前記画像読み取り部12により,得られた画像データ(輝度データ)について,シェーディング補正やMTF補正,γ補正等の周知の画像補正処理を施す。
次に,前記画像処理部16により,前記画像メモリ13がワークメモリとして使用されて,読み取られた画像のデータ(以下,読み取り画像データという(なお,ここでは,画像補正処理後の画像データを指すが,この限りではない))について,下地画像とその他の画像との分離処理を行うとともに(S2,画像分離手段の一例),前記形成画像(下地以外の画像)について,その画像が文字画像であるか写真画像であるかの種類判別(自動判別)を行い,その判別結果を記憶(設定)する(S2)。
【0009】
以下,前記画像処理部16により実行される下地画像の分離処理及び画像種類の判別処理の一例について説明する。もちろん他の判別処理であってもかまわない。
前記画像処理部16は,前記読み取り画像データから,順次,注目画素を中心とした所定単位の画素ブロック(例えば,主走査方向画素数×副走査方向画素数=15×7の画素ブロック)を取り出し,その画素ブロック毎に以下の処理を行って,前記注目画素がどのような画像領域の画素であるかを判別する。
即ち,まず,前記注目画素を含む主走査方向及び副走査方向の各々について,濃度値の最大濃度差(最大濃度値−最小濃度値)と,隣接する画素の濃度差の絶対値の総和である総和濃度繁雑度とを算出する。
次に,主走査方向及び副走査方向の各々について,前記最大濃度差と前記総和濃度繁雑度とに基づいて,前記注目画素が下地領域,文字領域,網点領域のいずれの領域の画素であるかを判別する。
例えば,前記最大濃度差及び前記総和濃度繁雑度が,ともに所定の各閾値未満であれば,前記注目画素が下地領域の画素であると判別する。また,前記最大濃度差及び前記総和濃度繁雑度が,ともに所定の各閾値以上である場合に,前記最大濃度差に対する前記総和濃度繁雑度の割合が所定の閾値以上である場合には前記注目画素が網点領域の画素であると判別し,その割合が所定の閾値未満である場合には前記注目画素が文字領域の画素であると判別する。
そして,このようにして判別した結果により,前記下地領域の画素であると判別した画素の集合(領域)を前記下地画像として分離する。ここで,主走査方向と副走査方向との一方で前記下地領域の画素と判別され,他方でその他の領域の画素(形成画像領域)と判別された場合は,例えば,前記他方の判別結果を採用する(下地領域ではないと判別する)。また,前記読み取り画像データがカラー画像データである場合,上述の判別をR,G,Bの各色の画像データ毎に行うが,対応する画素(同じ位置の画素)について,異なる判別結果が出た場合,予め定めた最優先の色についての判別結果を採用する,或いは多数決で判別する等の処理により1の判別結果を得る。
【0010】
一方,残りの前記形成画像の領域については,各画素(前記注目画素)の種類(網点領域の画素又は文字領域の画素)毎に,その判別結果が出た画素数をカウントし,そのカウント数に基づいて前記形成画像の種類を判別する。
例えば,前記形成画像の領域(下地領域の画素と判別されなかった画素の領域)の総画素数に対する文字領域と判別された画素のカウント数の割合が所定の閾値以上,かつ,網点領域と判別された画素数の割合が所定の閾値未満の場合に,前記形成画像の種類は文字画像であると判別する。
また,前記形成画像の領域の総画素数に対する文字領域と判別された画素のカウント数の割合が所定の閾値未満,かつ,網点領域と判別された画素数の割合が所定の閾値以上の場合に,前記形成画像の種類は写真画像であると判別する。
ここで,主走査方向と副走査方向とで前記注目画素についての判別結果が異なる場合,例えば,予め定めた一方の判別結果のみ(例えば,主走査方向の判別結果のみ)を優先してカウントする,或いは,主走査方向及び副走査方向の各判別結果に合計を1とする重み係数を掛けて各々をカウントする等の処理を行う。また,カラー画像データにおけるR,G,Bの各データで判別結果が異なる場合も同様に処理する。
なお,画像の種類判別(設定)は,自動判別によらず,前記操作・表示部11を通じて,当該メモリコピー処理の開始前に予め利用者によって入力される原稿種類の設定情報(写真原稿であるか,文字・図形原稿であるかについての情報)に従って行ってもよい。
【0011】
次に,ステップS3で判別された画像の種類に応じて,前記制御部15により,前記形成画像(下地画像以外の画像)についての圧縮率を設定する(S4,第1の圧縮率設定手段の一例)。
例えば,予め設定された複数の圧縮率(文字画像用圧縮率と写真画像用圧縮率等)の中からいずれかを選択することにより,画像の種類に応じた圧縮率を設定する。その際,画像の種類が文字画像である場合,それが写真画像である場合よりもより高い圧縮率を設定(選択)する。一般に,文字画像のように中間調データが少ない画像データについては,高圧縮率で圧縮しても復元(伸張)された画像における画像劣化は目立たないが,写真画像のように中間調の多い画像データを高圧縮率で圧縮すると,復元後の画像劣化が顕著となるからである。
これにより,前記形成画像の種類に応じて,画像劣化が問題とならない範囲で最も高い圧縮率を設定できる。
さらに,前記画像処理部16により,前記形成画像について周知の空間フィルタ処理や中間調データを2値データで擬似的に表現する誤差拡散法等を用いた中間調処理(2値化処理)等の画像処理を行う(S5)。
【0012】
次に,前記制御部15により,予め設定された所定の下地抜き設定情報を参照し,前記下地画像を省略して処理する旨の設定がなされたか否かを判別する(S6)。前記下地抜き設定情報は,前記下地画像の画像出力(画像形成)を省略するか否かを選択する情報であり,当該メモリコピー処理の開始前に,利用者により,前記操作・表示部12を通じて入力される情報である。
ここで,前記下地画像の出力を省略する旨(下地抜き)の設定であると判別された場合は,前記圧縮・伸張部17により,前記下地画像を除いた前記形成画像(その他の画像)についてのみ,その画像データをステップS4で設定された圧縮率に従って圧縮し,前記データ記憶部14に格納する(S8)。
一方,前記下地画像の出力を省略しない旨(「下地抜き」ではない)の設定であると判別された場合は,前記圧縮・伸張部17により,前記下地画像のデータを予め設定された下地画像用圧縮率に従って圧縮し,前記データ記憶部14に格納する(S7)とともに,前記形成画像(その他の画像)のデータをステップS4(第1の圧縮率設定手段の処理)で設定された圧縮率に従って圧縮し,前記データ記憶部14に格納する(S8)。ここで,前記下地画像用圧縮率は,前記形成画像(その他の画像)についてステップS4で設定される圧縮率よりも高い圧縮率が予め設定される。一般に,下地画像は単調な画像であるため,高圧縮率で圧縮しても,画像復元(伸張)後における画像劣化にあまり影響しないからである。
このように,前記下地画像と前記形成画像(その他の画像)とを各々個別の圧縮率により圧縮して前記データ記憶部14に記憶させるので(S7,S8),圧縮率の影響が少ない下地画像についてより高圧縮率で圧縮でき,圧縮後の画像全体のメモリ消費量を低減することができる。
また,前記操作・表示部11を通じた「下地抜き」の選択操作及び前記制御部15による分岐処理(S6)により,前記下地画像について,画像圧縮を行うか否かを選択可能としているので(第1の下地画像処理選択手段の一例),画像圧縮を行わない旨が選択された場合は,メモリ消費量をより低減することができる。
さらに,前記下地画像については画像形成を望まない場合も多いので,そのような場合に前記下地画像の画像圧縮を行わない旨の選択をすれば,前記下地画像の出力が行われず好適である。特に,前記下地画像が記録紙の変色等によるものである場合には,そのような下地画像の再現は通常は不要であるので,ノイズ画像フィルタとしての機能を果たすことになり,高品質の出力画像が得られる点で好適である。
【0013】
以上のステップS1〜S8の処理が終了すると,前記制御部15により,当該メモリコピー処理の開始前に,予め利用者により前記操作・表示部11を通じて選択されたメモリデータ処理(前記データ記憶部14に圧縮記憶された画像データの処理)を実行する(S9)。
前記メモリデータ処理としては,例えば,複数ページ分の前記読み取り画像についての印刷ページ順序や部数を設定するいわゆる電子ソート処理や,複数ページ分の前記読み取り画像を1枚の記録紙に画像形成するための集約処理等がある。また,利用者により,記憶した画像データの出力開始操作が前記操作・表示部11を通じて行われるまで待機し,その出力開始操作がなされた際に次のステップS10に移行させる処理も前記メモリデータ処理の一例である。
次に,前記圧縮・伸張部17により,前記データ記憶部14に記憶された圧縮済みの画像データを読み出すとともに,その画像データを伸張しながら前記印刷部18に順次転送する(S10)。これに伴い,前記印刷部18により,伸張後の画像データに基づいて画像出力(画像形成)を行い(S11),画像出力完了後に本処理を終了させる。
【0014】
図2に示した処理では,前記下地画像について,画像圧縮を行うか否かを選択可能(S6)としたが,これに限るものでなく,例えば,前記下地画像について,画像形成を行うか否かを選択可能とする構成も考えられる(第2の下地画像処理選択手段の一例)。この場合,図2のステップS10及びS11において,前記下地画像の画像形成を行わない旨が選択された場合に,前記形成画像(その他の画像)のみを伸張及び画像出力するよう構成すればよい。
これにより,必要に応じて前記下地画像の出力/非出力を選択でき,自由度が高まる。
また,前記下地画像以外の前記形成画像(その他の画像)について,複数の領域ごとに画像の種類を判別し,その複数の領域ごとにその画像の種類に応じた圧縮率を設定するとともに,その複数の領域の画像ごとに,設定された圧縮率に従った画像圧縮を行うことも考えられる。この場合,画像出力時に各領域の伸張画像をつなぎ合わせて出力すればよい。これにより,前記形成画像の一部にのみ写真画像があり,その他は文字画像であるような場合に,前記形成画像全体を写真画像に合わせた低圧縮率で圧縮する場合に比べ,メモリ消費量をより低減することが可能となる。
また,図2におけるステップS2(下地画像の分離)を省略し,ステップS3において,原稿からの読み取り画像について,ステップS3(画像種類の自動判別による設定),ステップS4(画像種類設定結果に基づいて読み取り画像の圧縮率を設定する処理(第2の圧縮率設定手段の処理の一例)),ステップ8(読み取り画像をステップS4で設定された圧縮率により圧縮して前記データ記憶部14に記憶させる処理(第2の画像圧縮手段の処理の一例))の各処理を行う構成とすることも考えられる。
これにより,画像読み取りの都度,利用者が圧縮率や画像読み取りモードを入力するという煩雑な操作が不要となり,メモリコピー時の操作を簡略化できる。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は,画像形成装置への利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置Xの概略構成を表すブロック図。
【図2】画像形成装置Xにおけるメモリコピーの処理手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
【0017】
11…操作・表示部
12…画像読み取り部
13…画像メモリ
14…データ記憶部
15…制御部
16…画像処理部
17…圧縮・伸張部
18…印刷部
19…給紙部
X…画像形成装置
S1,S2,,…処理手順(ステップ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿から画像を読み取る画像読取手段と,
原稿からの読み取り画像を前記原稿の下地に対応する下地画像とその他の画像とに分離する画像分離手段と,
前記下地画像と前記その他の画像とを各々個別の圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させる第1の画像圧縮手段と,
前記記憶手段内の圧縮された画像を伸張する画像伸張手段と,
前記画像伸張手段により伸張された画像に基づいて画像形成を行う画像形成手段と,
を具備してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記その他の画像の種類を入力手段による入力に従って又は自動判別により設定する画像種類設定手段と,
前記画像種類設定手段による設定結果に基づいて前記その他の画像の圧縮率を設定する第1の圧縮率設定手段と,を具備し,
前記第1の画像圧縮手段が,前記その他の画像を前記第1の圧縮率設定手段により設定された圧縮率により圧縮してなる請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記下地画像について,前記第1の画像圧縮手段による画像圧縮を行うか否かを選択する第1の下地画像処理選択手段を具備してなる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記下地画像について,前記画像形成手段による画像形成を行うか否かを選択する第2の下地画像処理選択手段を具備してなる請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
原稿から画像を読み取る画像読取手段と,
原稿からの読み取り画像の種類を自動判別により設定する画像種類設定手段と,
前記画像種類設定手段による設定結果に基づいて前記読み取り画像の圧縮率を設定する第2の圧縮率設定手段と,
前記読み取り画像を前記第2の圧縮率設定手段により設定された圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させる第2の画像圧縮手段と,
前記記憶手段内の圧縮された画像を伸張する画像伸張手段と,
前記画像伸張手段により伸張された画像に基づいて画像形成を行う画像形成手段と,
を具備してなることを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
原稿から画像を読み取る画像読取工程と,
原稿からの読み取り画像を前記原稿の下地に対応する下地画像とその他の画像とに分離する画像分離工程と,
前記下地画像と前記その他の画像とを各々個別の圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させる第1の画像圧縮工程と,
前記記憶手段内の圧縮された画像を伸張する画像伸張工程と,
前記画像伸張工程により伸張された画像に基づいて画像形成を行う画像形成工程と,
を有してなることを特徴とする画像形成方法。
【請求項7】
原稿から画像を読み取る画像読取工程と,
原稿からの読み取り画像の種類を自動判別により設定する画像種類設定工程と,
前記画像種類設定工程による設定結果に基づいて前記読み取り画像の圧縮率を設定する第2の圧縮率設定工程と,
前記読み取り画像を前記第2の圧縮率設定工程により設定された圧縮率により圧縮して記憶手段に記憶させる第2の画像圧縮工程と,
前記記憶手段内の圧縮された画像を伸張する画像伸張工程と,
前記画像伸張工程により伸張された画像に基づいて画像形成を行う画像形成工程と,
を有してなることを特徴とする画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−25090(P2006−25090A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200437(P2004−200437)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】