説明

画像形成装置

【課題】小型な構成でありながらキット類の操作等のメンテナンス処理が容易に行うことのできる操作性の向上した画像形成装置を提供する。
【解決手段】カムホルダ抓み41が押し込まれた状態で(図6(a),(b) )解除カム42は、そのカムフォロア49が進退カム48のカム溝48aに沿って上に押し上げられ、カム面42aをカム48のカム面48bに摺接させながら時計回り方向に回動する。これで光書込みヘッド11が正規位置に設定される。カムホルダ抓み41が手前に引き出されると(図6(c),(d) )解除カム42は、そのカムフォロア49が進退カム48のカム溝48aに沿って下に押し下げられ、カム面42aをカム48のカム面48bに摺接させながら反時計回り方向に回動する。これで光書込みヘッド11が退避位置に回動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型であって画像形成ユニットの着脱が簡単な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真式の画像形成装置がある。特に近年ではシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のトナーを用い、用紙(枚葉紙状の画像形成媒体、以下同様)にフルカラーの印字(印刷または画像形成を含む、以下同様)を行うタンデム型のページプリンタが実用化されている。
【0003】
通常、電子写真式の画像形成装置は、感光体キットと現像キットとが一体に組み込まれて画像形成ユニットを構成し、この画像形成ユニットに更に光書込みヘッドが組み付けられて画像形成部が構成される。
【0004】
画像形成部で形成された画像は、給紙装置から給送されてくる用紙に転写され、定着部に搬入されて熱と圧力で画像が用紙に定着されて、機外に排出される。
ところで、用紙ジャムや画像形成不良などが発生したときは、それらの不具合回復のためのメンテナンスを行わなければならない。また、新旧のキット又はユニットを交換するときにも同様に交換のメンテナンスを行わなければならない。
【0005】
このようなときは、画像形成装置本体から光書込みヘッド、感光体キット、現像キット等を一体に取り出して分解するのではなく、それらを別体に分離して単体で取り出せるようにしないとメンテナンスの作業が、手数の掛かる面倒なものとなってしまう。
【0006】
そのためには、装置本体上面の蓋が開けられることによって、その蓋の裏面に支持部材を介して取り付けられている光書込みヘッドが蓋の回動と共に円弧状に外部に持ち上げられ、その後、装置本体内部に残されたキット類が外部に取り出し可能となるようにした構成のものがある。(例えば、参考文献1参照。)
また、装置本体上部が上方に大きく移動できるように構成され、この上部に支持部材を介してキット類が支持されるように構成されており、そこでキット類を外部に引き出せるように構成したものもある。(例えば、参考文献2参照。)
【特許文献1】特開平09−160333号公報([要約]、図1)
【特許文献2】特開2001−242763号公報([要約]、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のように上部機体(蓋の裏面に支持部材を介して取り付けられている光書込みヘッド群)を開放してメンテナンスを行う方式では、上面の蓋をヒンジを中心に片開きにするが、上面の蓋は排紙トレーを兼ねており、したがって、この排紙トレーを兼ねた蓋の上面に載っている画像形成済みの用紙を取り除いてからでないと、上部機体の開放が出来ないという面倒がある。
【0008】
また、この場合、特許文献1に示されるようにキットを装置本体下部に残すタイプと、特には図示しないが、キットを上部機体と共に上方に持ち上げるタイプがある。前者のようにキットを装置本体下部に残すタイプは、回動する上部機体部分を軽くすることができるものの、キット下方の搬送路に発生している用紙ジャムの回復処理のためには、キットを更に外部に取り出す煩雑さが付き纏う。
【0009】
また、後者のように、複数のキットを上部機体と共に持ち上げるタイプは、ヒンジを中心に回動する機構に加わる重量が過多となって、メンテナンス機構全体に経時疲労が早期に発生して好ましい構造であるとは言いがたかった。
【0010】
引用文献2では、用紙を取り除く手数を解消し、且つ一部の機構のみに過度に掛かる荷重の問題を解消しているので、操作性が向上し且つメンテナンス機構の寿命の長期化という点でも改善がなされている。
【0011】
しかしながら、平行リンクを用いてキットが傾かないようにすると共に、その重量を支えるために、リンク機構が複雑になって装置が大型化するという問題が残されていた。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、小型な構成でありながらキット操作や用紙ジャム復元処理のメンテナンス処理が容易に行うことのできる操作性の向上した画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以下に、本発明に係わる画像形成装置の構成を述べる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像の形成される感光体ドラムを少なくとも有する画像形成ユニットをドラム軸方向に着脱自在に備える画像形成装置において、上記感光体ドラムに画像形成情報に応じた記録信号を光書込みする光書込みヘッドを上記ドラム軸と直交する方向であり且つ上記感光体ドラムに対して光書き込み可能位置と上記画像形成ユニットの着脱に支障のない退避位置とに回動自在に支持するヘッド支持機構を備えて構成される。
【0013】
上記ヘッド支持機構は、例えば該ヘッド支持機構に備えられた進退カム装置と該進退カム装置に摺接係合する回動カム装置の回動により上記光書込みヘッドを上記光書き込み可能位置と上記退避位置とに回動させるように構成される。
【0014】
この場合、上記ヘッド支持機構は、例えば上記進退カム装置が長軸方向に進退し、該進退カム装置の進退に応じて上記回動カム装置が上記進退カム装置の円弧面に摺接しながら順逆いずれかに回動することにより上記光書込みヘッドを上記光書き込み可能位置と上記退避位置とに回動させるように構成することができる。
【0015】
また、上記進退カム装置は、該進退カム装置を保持するカムホルダ抓みの外部からの操作によって長軸方向に進退するように構成してもよい。
また、この画像形成装置においては、例えば、上記ヘッド支持機構は、長軸方向に進退する円弧面と該円弧面に形成されたカム溝を有する進退カム装置と、該進退カム装置の進退に応じて上記円弧面と上記カム溝とに摺接しながら上記円弧面に沿って順逆いずれかに回動する回動カム装置と、を備え、上記進退カム装置は付勢部材により上記光書込みヘッドを上記退避位置に回動させるべく付勢されるとともに、上記開閉扉の閉成により上記付勢部材の付勢力に抗して上記光書込みヘッドを上記光書き込み可能位置に復帰させるべく上記開閉扉に係合するように構成される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、感光体ドラムに対して光書き込み可能位置と画像形成ユニットの着脱に支障のない退避位置とに回動自在に支持するヘッド支持機構を備えるので、簡単な機構を用いて光書込みヘッドと感光体ドラム間の距離を変化させて入り組んだ部分に隙間を形成することができ、したがって、感光体キットをその長手方向に移動させることが容易にでき、これにより、感光体キット、現像キット等のキット類の操作性の向上した画像形成装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における二次転写式画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。同図に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、4つの画像形成部2、中間転写ベルトユニット3、給紙部4、及び両面印刷用搬送ユニット5で構成されている。
【0018】
上記4つの画像形成部2は、同図の右から左へ4個の画像形成ユニット6(6M、6C、6Y、6K)を多段式に並設した構成からなる。 上記4個の画像形成ユニット6のうち上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット6Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0019】
上記の各画像形成ユニット6は、トナー容器に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0020】
画像形成ユニット6は、最下部に感光体ドラム7を備えている。この感光体ドラム7は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム7の周面近傍を取り巻いて、クリーナ8、帯電ローラ9、光書込ヘッド11、及び現像器12の現像ローラ13が配置されている。
【0021】
現像器12は、上部のトナー容器に同図にはM、C、Y、Kで示すようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備え、下部には側面開口部に上述した現像ローラ13を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ13上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0022】
中間転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト14と、この転写ベルト14を掛け渡されて転写ベルト14を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ15と従動ローラ16を備えている。
【0023】
上記の転写ベルト14は、トナー像を直接ベルト面に転写(一次転写)されて、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への転写位置まで搬送するので、ここではユニット全体を中間転写ベルトユニットといっている。
【0024】
この中間転写ベルトユニット3は、上記扁平なループ状の転写ベルト14のループ内にベルト位置制御機構17を備えている。ベルト位置制御機構17は、転写ベルト14を介して感光体ドラム7の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ18を備えている。
【0025】
ベルト位置制御機構17は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット6M、6C及び6Yに対応する3個の一次転写ローラ18を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させ、ブラック(K)の画像形成ユニット6Kに対応する1個の一次転写ローラ18を上記3個の一次転写ローラ18の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト14を感光体ドラム7から離接させ、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット6Kに対応する一次転写ローラ18のみが転写ベルト14に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ18が転写ベルト14から離れる)に切換える。
【0026】
上記の中間転写ベルトユニット3には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット6Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器19が着脱自在に配置されている。
【0027】
給紙部4は、上下2段に配置された2個の給紙カセット21を備え、2個の給紙カセット21の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ22、給送ローラ23、捌きローラ24、待機搬送ローラ対25が配置されている。待機搬送ローラ対25の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト14を介して従動ローラ16に圧接する二次転写ローラ26が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0028】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置27が配置されて、ベルト式熱定着装置27の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置27から搬出する搬出ローラ対28、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー29に排紙する排紙ローラ対31が配設されている。
【0029】
両面印刷用搬送ユニット5は、上記搬出ローラ対28と排紙ローラ対31との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路32a、それから下方に曲がる中間返送路32b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路32c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対33a、33b、33c、33dを備えている。上記終端返送路32cの出口は、給紙部4の下方の給紙カセット21に対応する待機搬送ローラ対25への搬送路に連絡している。
【0030】
また、本例において中間転写ベルトユニット3の上面部には、クリーニング部35、取り込みローラ36が配置されている。クリーニング部35は、転写ベルト14の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ36はクリーニング部35が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器19に送り込んでいる。
【0031】
また、上記のクリーニング部35を適度の圧力で転写ベルト14に圧接させるために、中間転写ベルトユニット3側には、下方から転写ベルト14をクリーニング部35に向けて押圧する押圧ローラ37が設けられている。
【0032】
図1に示すように、この画像形成装置1は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対25により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト14を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0033】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図1の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
そして、用紙ジャム等の不具合はキット類の配設部では発生しないので、図1の左側に集中するキット類などの消耗品の着脱の操作は、長手方向に入れ替え操作するだけの小さなスペースで良いように構成されている。
【0034】
これにより、キット間の寸法は、可及的に縮小されており、装置本体全体の小型化が図られている。また、光書込みヘッド自体も小型化され、感光体ドラムに、より近接している構成となっている。
【0035】
図2は、そのように小型化された4個の光書込みヘッドがそれぞれヘッドホルダー内に収納されて、これらが集約的にホルダーベースに纏めて保持されている状態を下方から見た斜視図である。
【0036】
尚、図2は、光書込みヘッド11、ヘッドホルダー38、及びホルダーベース39を示している。また、これらとの位置関係を示す参考のために、ヘッドカバーを介して光書込みヘッド11の直下に位置する感光体ドラム7も示している。
【0037】
図3は、図2のA−A′断面矢視図である。図3には、上記の光書込みヘッド11、ヘッドホルダー38、ホルダーベース39、及び感光体ドラム7と、更に、カムホルダ抓み41、回動カムとしての解除カム42、ヘッドサポータ43、ドラムカバー44、及びヘッド回動支持部45を示している。
【0038】
図4は、図2のB−B′断面矢視図である。図4には、上記の光書込みヘッド11、ヘッドホルダー38、ホルダーベース39、及び感光体ドラム7と、更に、ヘッドホルダー38と光書込みヘッド11との間に介装されるカムホルダ抓み41、解除カム42、ヘッドサポータ43、及びヘッドバネ46を示している。
【0039】
図5(a) は、図4に示す構成から、ホルダーベース39を取り除いて示す斜視図であり、図5(b) は、同図(a) から、ヘッドホルダー38を取り除いて示す斜視図である。図5(b) に示すように、カムホルダ抓み41は、ヘッドサポータ43の長手方向に沿って延在して設けられているカムホルダ47に一体に取り付けられている。
【0040】
カムホルダ47は、その両端に、円筒の径方向にほぼ4分割した形状の断面が円のほぼ1/4の円弧状の凹面のカム面を有する進退カム48をそれぞれ保持している。尚、図5(b) では、進退カム48を凸状の外側から見ている。
【0041】
この進退カム48の内側の円弧状の凹面のカム面には、凸状の外側まで達する緩やかな螺旋状のカム溝48aが形成されている。また、この進退カム48は、カムホルダ抓み41の操作によって、ヘッドサポータ43上で長手方向に進退自在に構成されているが、軸廻りの回転は禁止されている。
【0042】
図6(a) は、光書込みヘッド11が正規位置(光書込み位置)に在るときの、カムホルダ抓み41近傍の構成を、見る角度を変えてやや拡大して示す斜視図であり、図6(b) は、そのほぼ横方向から見た斜視図である。
【0043】
また、図6(c) は、図6(a) の状態から光書込みヘッド11が正規位置から解除されたときの状態を示す図であり、図6(d) は、そのほぼ横方向から見た斜視図である。そして、図6(e) は、解除カム42の主要部の構成を示す拡大斜視図である。
【0044】
尚、上記の解除カム42は、その軸廻りに回動可能に構成されているが、長手方向への移動は禁止されている。
また、ドラムカバー44は、図6(a),(c) に示すように、感光体ドラム7の上方から右横まで広がる部材であり、右横に広がる上に凹状部分44aでは、上部に現像器12のトナーカートリッジが配置され、下部に現像器12の現像ローラ13その他のトナー供給部材が配設された現像部が配置される。
【0045】
図6(e) に示すように、解除カム42には、そのカム面42aに、進退カム48のカム溝48aに嵌入するカムフォロア49が形成されている。これにより、解除カム42は、進退カム48のカム溝48a及びカム面48bと係合している。
【0046】
図6(b) に示すように、カムホルダ抓み41が奥方向(図の左側方向)に押し込まれている状態では、緩やかな螺旋状つまり斜めに形成されているカム溝48aに沿ってカムフォロア49が上に押し上げられる。
【0047】
そして、このカムフォロア49が上に押し上げられることに伴って、図6(a) に示すように、解除カム42が、そのカム面42aを進退カム48の凹状のカム面48bに摺接させながら、軸を中心に図6(a) の時計回り方向に回動する。
【0048】
この状態で、進退カム48のカム面48bの解除カム42に対する位置は、解除カム42の回動前よりも解除カム42の軸から離れるように変化する。そして、この状態で、図4に示したヘッドバネ46の付勢力により、光書込みヘッド11が正規位置に設定される。
【0049】
他方、図6(d) に示すように、カムホルダ抓み41が手前方向(図の右側方向)に引き出されると、螺旋状(斜め)に形成されているカム溝48aに沿ってカムフォロア49が下に押し下げられる。
【0050】
そして、このカムフォロア49が下に押し下げられることに伴って、図6(d) に示すように、解除カム42が、そのカム面42aを進退カム48の凹状のカム面48bに摺接させながら、軸を中心に図6(c) の反時計回り方向に回動する。
【0051】
この状態で、進退カム48のカム面48bの解除カム42に対する位置は、解除カム42の回動前よりも解除カム42の軸に近づくように変化する。解除カム42の軸位置は不動であるので、進退カム48のカム面48bが解除カム42の軸方向に近づくように変化した分だけ、カム面48bすなわち進退カム48が解除カム42のカム面42aによって図6(c) の左方向に押し遣られる。
【0052】
これにより、ヘッド回動支持部45を支点にして、ヘッドサポータ43が進退カム48と共に、図6(c) に示すように、反時計回り方向に僅かに回動する。このヘッドサポータ43の僅かな回動で、光書込ヘッド11と感光体ドラム7の直上のドラムカバー44との間に僅かな間隙が形成される。
【0053】
この僅かな間隙さえ形成されれば、光書込みヘッド11と干渉を引き起こすことなく、感光体ドラム7すなわち感光体キットを軸方向に引き出すことができる。感光体キットの交換後の位置設定は、図6(a),(b) で述べた場合と同様のカムホルダ抓み41の動作で完了する。
【0054】
尚、特には図示ないが、図1に示した画像形成装置1には、正面(図1の紙面奥行き方向手前側)に、メンテナンス用の開閉扉が設けられている。上述した感光体キット等のキット類の軸方向への引き出しは、上記の開閉扉を開いた後に行われる。
【0055】
そこで、カムホルダ47を手前側に押出すように付勢する付勢部材を設け、開閉扉を開いたときに、付勢部材の付勢力によりカムホルダ47が自動的に装置前面方向に押出されるようにすれば、開閉扉を開いた時点で、図6(c),(d) に示したように、光書込ヘッド11とドラムカバー44との間に間隙が自動的に形成され、これにより、開閉扉を開成後、直ちに感光体キットを軸方向に引き出すことができて便利である。
【0056】
また、カムホルダ抓み41の形状を垂直な形状から水平な形状に変更し、開閉扉の内側に摺接するように構成し、開閉扉を閉じることに応じて開閉扉によりカムホルダ抓み41が付勢部材の付勢力に抗して内部に押し込まれるように構成する。
【0057】
これにより、カムホルダ抓み41を押し込み操作する手数を掛けずに、単に開閉扉を閉成するだけで、図6(a),(b) に示したように、光書込ヘッド11とドラムカバー44との間の間隙が自動的に解除され、光書込みヘッド11が自動的に正規位置に設定される。
【0058】
(実施形態2)
次に、光書込ヘッド11と感光体ドラム7との位置決めについて、実施形態2として以下に説明する。
【0059】
図7は、実施形態1にも示した画像形成ユニット6をヘッドホルダー38と共に示す断面図である。ヘッドホルダ38には、光書込ヘッド11が保持されている。また、図1に示した現像器12は、図7に示すように、上部のトナーカートリッジ51と下部の現像部52に分かれている。
【0060】
また、感光体ドラム7と現像部52は、ドラムカバー44を介して一体に組み込まれている。そして、現像部52は、内部に既に述べた現像ローラ13のほかに、この現像ローラ13にトナーを供給するトナー供給ローラ53、及び現像ローラ13上に供給されたトナーの層を一定の厚さに規制するドクターブレード54等を備えている。
【0061】
図6(a) 〜(d) で説明したように感光体ドラム7と光書込ヘッド11とが相対的に接離する構成であるとき、光書込みヘッド11が正規位置に設定されるとき、その位置決めのために、通常、突き当てピン、スライドカム等の位置決め装置が使用されている場合が多い。本例では、感光体ドラム7と光書込ヘッド11間の位置決めにスペーサを使用している。
【0062】
図8(a),(b),(c) は、実施形態2としてのスペーサの感光体ドラムへの配設位置を示す図である。
図9(a) は、実施形態2としてのスペーサの実際の組み込み状態を示す図であり、図9(b) は図9(a) と共にその動作状態を示す図である。
【0063】
尚、図8(a),(b),(c) では、感光体ドラムへの配設位置を分かり易く示すためスペーサ55を単体で示しているが、実際には本例のスペーサ55は、図8(a),(b),(c) に示すように単体で配設されるのではなく、図9(a),(b) に示すように、帯電ローラ9の軸受56に一体化して取り付けられている。
【0064】
図8(a) に示すように、スペーサ55は、感光体ドラム7の両端部のフランジ57(57a、57b)の、ドラム部7−1との境界部分58に摺接するように配設される。これにより、図9(a) に示すように、感光体ドラム7と光書込ヘッド11との間隔が位置決めされる。
【0065】
感光体ドラム7の一方の端部のフランジ57aは、図8(b),(c) に示すうように、上記のドラム部7−1との境界部分58、ギア部59、及び本体装置駆動系との係合部61から成る。
【0066】
また、感光体ドラム7の他方の端部のフランジ57bは、図8(a) に示すように、ドラム部7−1との境界部分58、及びギア部62から成る。
上記の係合部61は、本体装置の駆動系に係合して回転駆動され、両端部のギア部59及び62により、画像形成ユニットの回転系に係合して、画像形成ユニット内に配設されている回転部材に回転駆動を伝達する。
【0067】
図1にも示した帯電ローラ9は、表面が導電性の樹脂製スポンジからなり、画像形成装置1が印字動作中であるときは、図9(a) に示すように感光体ドラム7に圧接している。このように画像形成装置1が印字動作中では感光体ドラム7と帯電ローラ9は、同一線速度で同一接線方向に回転しているので帯電ローラ9には変形等の支障は起きない。
【0068】
しかし、画像形成装置1の印字動作が中断又は停止しているときは、帯電ローラ9が感光体ドラム7に圧接したままでは、帯電ローラ9のスポンジ状の表面に変形をきたし、したがって、次に画像形成装置1が印字動作を開始したとき、帯電ローラ9による初期化帯電が均一に行われなくなり、感光体ドラム7上にトナー像が正しく現像されなくなる。
【0069】
したがって、画像形成装置1の印字動作が中断又は停止しているときは、図9(b) に示すように、帯電ローラ9を感光体ドラム7への圧接から解除するようにしている。この帯電ローラ9を感光体ドラム7への圧接から解除する方法(機構又は仕組み)は、従来種々提案又は実用化されていて周知である。
【0070】
本例では、帯電ローラ9の軸受56を、感光体ドラム7と光書込ヘッド11との離接に連動して移動させることにより、帯電ローラ9の感光体ドラム7への圧接(図9(a) 参照)及び圧接解除(図9(b) 参照)の動作を行わせるようにしている。
【0071】
そして、本例のスペーサ55は、上述したように帯電ローラ9の軸受56に一体化して取り付けられていることにより、上記の帯電ローラ9の感光体ドラム7への圧接及び圧接解除の動作に連動して、スペーサ55が感光体ドラム7の両端部と離接し、このスペーサ55に光書込ヘッド11の両端部が離接する。
【0072】
このようにスペーサ55が帯電ローラ9の軸受56と一体化していることにより、感光体ドラム7及び光書込ヘッド11との離接によっても位置が変動することなく、図9(a) に示すように、感光体ドラム7と光書込ヘッド11とに接して両者間に介装されるときは常に同一位置で介装され、これにより、感光体ドラム7と光書込ヘッド11との間隔が常に安定して位置決めされるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】実施形態1における二次転写式画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】4個の光書込みヘッドを収納したヘッドホルダーがホルダーベースに纏めて保持されている状態を下方から見た斜視図である。
【図3】図2のA−A′断面矢視図である。
【図4】図2のB−B′断面矢視図である。
【図5】(a) は図4に示す構成からホルダーベースを取り除いて示す斜視図、(b) は(a) からヘッドホルダーを取り除いて示す斜視図である。
【図6】(a) は光書込みヘッドが正規位置に在るときのカムホルダ抓み近傍の構成を示す斜視図、(b) はそのほぼ横方向から見た斜視図、(c) は(a) の状態から光書込みヘッドが正規位置から解除されたときの状態を示す図、(d) はそのほぼ横方向から見た斜視図、(e) は解除カムの主要部の構成を示す拡大斜視図である。
【図7】画像形成ユニットをヘッドホルダーと共に示す断面図である。
【図8】(a),(b),(c) は実施形態2としてのスペーサの感光体ドラムへの配設位置を示す図である。
【図9】(a) は実施形態2としてのスペーサの実際の組み込み状態を示す図、(b) は(a) と共にその動作状態を示す図である。
【符号の説明】
【0074】
1 プリンタ
2 画像形成部
3 中間転写ベルトユニット
4 給紙部
5 両面印刷用搬送ユニット
6(6M、6C、6Y、6K) 画像形成ユニット
7(7m、7c、7y、7k) 感光体ドラム
7−1 ドラム部
8 クリーナ
9 帯電ローラ
11 光書込ヘッド
12 現像器
13 現像ローラ
14 転写ベルト
15 駆動ローラ
16 従動ローラ
17 ベルト位置制御機構
18 一次転写ローラ
19 廃トナー回収容器
21 給紙カセット
22 用紙取出ローラ
23 給送ローラ
24 捌きローラ
25 待機搬送ローラ対
26 二次転写ローラ
27 ベルト式熱定着装置
28 搬出ローラ対
29 排紙トレー
31 排紙ローラ対
32a 開始返送路
32b 中間返送路
32c 終端返送路
33a、33b、33c、33d 返送ローラ対
35 クリーニング部
36 取り込みローラ
37 押圧ローラ
38 ヘッドホルダー
39 ホルダーベース
41 カムホルダ抓み
42 解除カム
43 ヘッドサポータ
44 ドラムカバー
44a 凹状部分
45 ヘッド回動支持部
46 ヘッドバネ
47 カムホルダ
48 進退カム
48a カム溝
48b カム面
49 カムフォロア
51 トナーカートリッジ
52 現像部
53 トナー供給ローラ
54 ドクターブレード
55 スペーサ
56 軸受

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像の形成される感光体ドラムを少なくとも有する画像形成ユニットをドラム軸方向に着脱自在に備える画像形成装置において、
前記感光体ドラムに画像形成情報に応じた記録信号を光書込みする光書込みヘッドを前記ドラム軸と直交する方向であり且つ前記感光体ドラムに対して光書き込み可能位置と前記画像形成ユニットの着脱に支障のない退避位置とに回動自在に支持するヘッド支持機構を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ヘッド支持機構は、該ヘッド支持機構に備えられた進退カム装置と該進退カム装置に摺接係合する回動カム装置の回動により前記光書込みヘッドを前記光書き込み可能位置と前記退避位置とに回動させることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ヘッド支持機構は、前記進退カム装置が長軸方向に進退し、該進退カム装置の進退に応じて前記回動カム装置が前記進退カム装置の円弧面に摺接しながら順逆いずれかに回動することにより前記光書込みヘッドを前記光書き込み可能位置と前記退避位置とに回動させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記進退カム装置は、該進退カム装置を保持するカムホルダ抓みの外部からの操作によって長軸方向に進退することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記ヘッド支持機構は、
長軸方向に進退する円弧面と該円弧面に形成されたカム溝を有する進退カム装置と、
該進退カム装置の進退に応じて前記円弧面と前記カム溝とに摺接しながら前記円弧面に沿って順逆いずれかに回動する回動カム装置と、
を備え、
前記進退カム装置は付勢部材により前記光書込みヘッドを前記退避位置に回動させるべく付勢されるとともに、前記開閉扉の閉成により前記付勢部材の付勢力に抗して前記光書込みヘッドを前記光書き込み可能位置に復帰させるべく前記開閉扉に係合する、ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−208808(P2006−208808A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−21771(P2005−21771)
【出願日】平成17年1月28日(2005.1.28)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】