説明

画像形成装置

【課題】本発明の目的は、定期交換部品の交換の容易性、定期交換ユニットの低コスト化、定期交換部品の相対位置の高精度化、交換部品の寿命検知の簡素化を実現可能とすることである。
【解決手段】転写材に転写するトナー像を担持する中間転写ベルト8と、前記中間転写ベルト8上のトナー像を転写材に転写する2次転写ローラ15と、転写後に前記中間転写ベルト8上に残留したトナーを除去する中間転写体クリーニングブレード11と、前記ブレード11により除去したトナーを収容する廃トナー容器14とを有する画像形成装置であって、画像形成装置本体に対して着脱可能な交換ユニット25を備え、前記交換ユニット25が、前記中間転写ベルト8と、前記2次転写ローラ15と、前記中間転写体クリーニングブレード11と、前記廃トナー容器14を一体に有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交換可能な中間転写体を有する複写機やプリンタなどの画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式のフルカラー画像形成装置において、トナー像を担持している感光体から一旦中間転写体に転写を行い、トナー像を中間転写体に重畳した後、レジローラ等の斜行補正手段で紙等の転写材先端部の斜行補正と先端位置合わせを行った後に給送された転写材に前記中間転写体上のトナー像を2次転写部で一括して転写し、中間転写体上に残留したトナーを板状ブレードなどのクリーナで除去し、除去したトナーを廃トナーボトルなどの格納スペースに搬送するという画像形成装置は数多く実用化されている。
【0003】
前記したような構成を持つ画像形成装置において、装置本体の寿命が長い場合、中間転写体、クリーナ、廃トナーボトル、2次転写部材を定期的に交換する必要性がある。
【0004】
【特許文献1】特開2001−209295号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来技術においては、ユーザーまたはサービス技術者が定期的に上記定期交換部品の交換を行っているが、上述したように定期交換部品が複数あると各定期交換部品ごとに寿命を検知しなければならず、また各定期交換部品の交換タイミング(寿命)が異なる場合、交換が煩雑になるという問題がある。
【0006】
また中間転写体のクリーナや廃トナーボトルを交換する際には、廃トナーがこぼれ落ちる可能性がある。この問題を対策するために、中間転写体クリーナや廃トナーボトルの開口部にはシャッターや弁などを設けて、廃トナー飛散を防止することも提案されているが、結果として装置が複雑化し、逆に着脱の操作性が低下したり、装置コストが高くなったり、中間転写体クリーナの取り付け位置精度が出ない等の問題が発生する。
【0007】
また、従来技術においては、中間転写体は交換可能なユニットであるのに対し、例えば2次転写部材は画像形成装置本体側に取り付けられている。この場合、着脱可能な中間転写体と、装置本体側の2次転写部材の相対位置にばらつきが出る可能性がある。この着脱可能な中間転写体と装置本体側の2次転写部材の相対位置は、中間転写体上のトナー像を転写材上の正しい位置に転写するための重要な要素であり、高精度に配置する必要がある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、定期交換部品の交換の容易性、定期交換ユニットの低コスト化、定期交換部品の相対位置の高精度化、交換部品の寿命検知の簡素化を実現可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明の代表的な構成は、転写材に転写するトナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に転写する転写部材と、転写後に前記中間転写体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去したトナーを収容する廃トナー容器とを有する画像形成装置であって、画像形成装置本体に対して着脱可能な交換ユニットを備え、前記交換ユニットが、前記中間転写体と、前記転写部材と、前記クリーニング手段と、前記廃トナー容器を一体に有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、定期的な交換を要する定期交換部品を、画像形成装置本体に着脱可能な交換ユニットとして一体化したため、該定期交換部品の交換が容易となる。更に定期交換部品の相対位置の高精度化が実現できる。また定期交換部品を交換ユニットとして一体化することにより、例えば定期交換部品の耐性を一番劣化し易い部品にあわせることができるため、定期交換部品の寿命検知の簡素化および交換ユニットの低コスト化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
〔第1実施形態〕
図1は電子写真方式のカラー画像形成装置であるタンデム式のカラー画像形成装置を示す構成図である。
【0013】
カラー画像形成装置は、図1に示す様に画像形成部分において、画像入力データに基づき各画像形成部の電子写真感光体2上に静電潜像を形成し、該静電潜像に対して単色トナーを現像し単色トナー像を形成し、該単色トナー像を中間転写体8上で重ね合わせて多重トナー像を形成し、該多重トナー像を用紙等の転写材20に一括転写し、転写材上の多重トナー像を定着器21で定着させる構成となっている。
【0014】
各色画像形成部には、それぞれ電子写真感光体(第1の像担持体)としての感光体ドラム2a,2b,2c,2dが一列に配置されている。
【0015】
各感光体ドラム2a,2b,2c,2dの周囲には、1次帯電手段としての帯電ローラ7a,7b,7c,7d、露光装置1a,1b,1c,1d、現像手段を構成する現像装置3a,3b,3c,3d、感光体ドラムクリーニングブレード5a,5b,5c,5dが配置されている。各現像装置には、各色のトナーカートリッジ6a,6b,6c,6dが収納されている。
【0016】
各色感光体ドラム2a,2b,2c,2dは、本実施の形態では有機感光体でアルミニウムのドラム基体(不図示)上にOPC感光層を有しており、駆動装置(不図示)により所定のプロセススピードで回転駆動される。
【0017】
各色感光体ドラム2a,2b,2c,2dの下部は、各1次転写ニップ部13a,13b,13c,13dにて、中間転写体(第2の像担持体)を構成する無端状の中間転写ベルト8を介して1次転写ローラ4a,4b,4c,4dと当接している。中間転写ベルト8は、回転体である駆動ローラ10およびテンションローラ9によって張架されており、2次転写対向ローラ、中間転写体クリーナ対向部材としての役割をあわせ持つ駆動ローラ10の駆動により矢印の方向に回転される。
【0018】
給送カセットから分離給送された転写材20は、斜行補正手段を構成する停止状態のレジローラ18とレジ対向ローラ17とのニップ部に突き当てられ、該転写材20のコシによりループを形成することにより転写材先端部の斜行を矯正する。そして、レジセンサー16の信号でタイミングを取ることによりレジクラッチ(不図示)を介してレジローラ18に動力が伝わり、斜行が補正された転写材が2次転写部に給送される。この2次転写部とは、転写部材としての2次転写ローラ15と、中間転写ベルト8を介して2次転写ローラ15と対向する駆動ローラ10とのニップ部である。
【0019】
前記2次転写部への給送のタイミングは、転写材20がレジセンサー16に到達してからレジローラ18により給送を行うまでの時間で管理されており、この時間を調整することにより中間転写ベルト8上のトナー像と2次転写部に搬送される転写材20の相対的な記録位置精度を得ることが可能となる。
【0020】
レジローラ18により給送された転写材は、搬送ガイド19に沿うように2次転写ローラ15と中間転写ベルト8によって形成されるニップ部(2次転写部)に導かれ、中間転写ベルト8上に形成されたトナー像が転写材上に転写され、定着器21にて加圧および加熱することにより定着されたトナー像を転写材上に得ることが可能となる。
【0021】
一方、2次転写部において転写材に転写できなかった中間転写ベルト8上のトナー(廃トナー)は、クリーニング部材としての中間転写体クリーニングブレード11で中間転写ベルト8から掻き取った後、廃トナー送り機構12により廃トナー容器14に送られる。
【0022】
廃トナー送り機構12は中間転写ベルト8の長手巾全域(転写材の搬送方向と直交する幅方向全域)に渡りスクリュー形状をした部材であり、中間転写クリーニングブレード11により掻き取った廃トナーは装置本体奥側に搬送され、図2に示す廃トナー送り機構開口22へと送られる。
【0023】
廃トナー送り機構開口22へと送られた廃トナーは、自由落下により廃トナー容器14に送られ収容される。
【0024】
前記廃トナーを自由落下により廃トナー容器14に落下させる場合には、該廃トナーが詰まることなく潤滑に移動できるように、廃トナー落下スペースのトナー通路断面積(不図示)を広く取る必要性がある。必要となるトナー通路断面積は、廃トナー送り機構12のスクリューの廃トナー搬送スピード、つまりはスクリュー回転速度により異なる。
【0025】
もし、装置内部のスペース上制約から十分なトナー通路断面積を取れない場合には、図3に示すように、中間転写クリーニングブレード11により掻き取った廃トナーを廃トナー容器14に移動させる廃トナー移動部材23を設ける。この廃トナー移動部材23を駆動することにより、廃トナーの移動量を増やす事も可能となる。図中では、廃トナー移動部材23はキャタピラ形状となっているが、これに限定されるものではなく、スクリュー形状等の構成をとることも可能である。
【0026】
本実施の形態に係る画像形成装置は、図2に示すように、画像形成装置本体から抜き差し可能な交換ユニット25を備えており、該交換ユニット25は定期的な交換を要する以下の定期交換部品を一体に有する構成となっている。すなわち本実施形態に係る交換ユニット25は、中間転写体を構成する中間転写ベルト8、テンションローラ9、駆動ローラ10、転写部材としての2次転写ローラ15、クリーニング手段としての中間転写体クリーニングブレード11、廃トナー容器14を一体に有する。更に本実施形態に係る交換ユニット25には、1次転写ローラ4、廃トナー送り機構12が含まれる。
【0027】
なお、前記した交換ユニットの構成部品は本発明の一実施形態の説明であり、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施が可能である。
【0028】
図4に示すように、交換ユニット25は画像形成装置の外装を兼ねたカバー部材としてのドア26を開放することにより、該交換ユニット25の周辺に配置された部材を着脱または退避させることなく、該交換ユニット25を着脱することが可能である。
【0029】
次に本実施形態の定期交換ユニットの交換の容易性について説明する。
【0030】
本実施形態の場合、感光体ドラム2、現像装置3、帯電ローラ7、感光体ドラムクリーニングブレード5によって構成されるプロセスカートリッジを、図4の手前側から転写材の幅方向に着脱する必要性がある。
【0031】
この場合、中間転写ベルト8を含む交換ユニット25を図4の手前側から同方向に着脱する構成とすると、装置本体前面の開口が大きくなりすぎてしまい、装置本体の剛性が保たれない可能性があるため、交換ユニット25は図4中の左または右から引き抜く必要性がある。
【0032】
本実施形態においては、転写材の通路が図4中の装置本体右側に集中しており、紙詰まり処理、定着器21交換などの作業と同じ装置本体右側から、前記交換ユニット25を着脱することが、ユーザビリティの観点からも、装置簡略化の観点からも望ましい。
【0033】
しかし、従来技術のように2次転写ローラ15が装置本体側に設けられている場合、中間転写ベルト8を含むユニットを装置本体から取り出すために、2次転写ローラを取り出すか、或いは2次転写ローラ15を退避させないと、中間転写ベルトユニットを装置本体から着脱することができず、定期交換部品の交換が煩雑である。
【0034】
また、2次転写ローラ15をドア26に取り付けることにより、2次転写ローラ15を取り出したり、退避させる必要性はなくなるが、2次転写ローラ15の中間転写ベルト8に対する位置精度が著しく悪化することにより転写性が低下する可能性があり、2次転写ローラ15の中間転写ベルト8に対する位置精度を高精度化しようとすると、装置が複雑化しコストアップにつながる。
【0035】
よって本実施形態では、図4に示すように、中間転写体を構成する中間転写ベルト8等を有する交換ユニット25が、前記2次転写ローラ5を一体に有する構成であるため、装置本体に対して開閉可能なドア26を開放し、前記交換ユニット25の側面に設けられたレール27を、装置本体に設けられたレールガイド28に沿うように移動させることにより、該交換ユニット25の周辺に配置された部材を取り外したり、退避させることなく、該交換ユニット25を着脱することが可能であり、本装置に精通していないユーザーにも容易に交換を行う事が出来るという利点がある。
【0036】
次に本実施形態の定期交換ユニットの低コスト化について説明する。
【0037】
交換ユニット25を構成する部材のうち、使用により特性劣化する部材は、ユニットの構成や部材の材質により異なるが、一般に寿命が長いものとしては、中間転写ベルト8等が上げられる。
【0038】
従来技術のように、中間転写ベルト等の寿命の長い部材が、中間転写体クリーナ等の寿命の短い部材とは違う交換タイミングに設定されている場合、中間転写ベルトを含む交換ユニットは、ランニングコストを抑えるために、耐久に耐えうる構成が必要となり、結果としてイニシャルコストが高くなるという問題があった。
【0039】
特に中間転写ベルトにおいては、長寿命に耐えうる材料は限られており、ポリイミドに代表されるような非常に高価な高機能ポリマー材料を選ばざるを得なかった。
【0040】
さらに、中間転写クリーナのブレードが中間転写ベルト上面に当接し、該中間転写クリーナの開口部が下側を向いている場合、寿命の短い中間転写クリーナのみを交換しようとすると、該中間転写クリーナ内部に滞留したトナーが前記開口部からこぼれ落ちるという問題があった。
【0041】
これを対策しようとすると、中間転写クリーナに開口部を塞ぐシャッターをつけるなどの対策が必要となり、機構が複雑化し、交換ユニット自体が高くなるという弊害が生まれる。
【0042】
よって本実施形態においては、中間転写体を構成する中間転写ベルト8等を有する交換ユニット25が、前記中間転写体のクリーニング手段を構成する中間転写体クリーニングブレード11と廃トナー送り機構12とを一体に有する構成であるため、装置本体に対して開閉可能なドア26を開放し、前記交換ユニット25の側面に設けられたレール27を、装置本体に設けられたレールガイド28に沿うように移動させることにより、該交換ユニット25の周辺に配置された部材を取り外したり、退避させることなく、該交換ユニット25を着脱することが可能であり、本装置に精通していないユーザーにも容易に交換を行う事が出来るという利点がある。更に、交換ユニットの寿命を該ユニット中一番劣化し易い中間転写体のクリーニング手段とし、このクリーニング手段の耐性にあわせて中間転写ベルト8はPET、アクリル、ABS等の安価な汎用ポリマーの選択することにより、交換ユニットを従来のものより安価にすることが可能となる。
【0043】
以上のように、本実施形態によれば、定期的な交換を要する前記定期交換部品を、画像形成装置本体に着脱可能な交換ユニット25として一体化したため、該定期交換部品の交換が容易となる。更に交換ユニット25として一体化したため、該ユニットを構成する定期交換部品の相対位置の高精度化が実現できる。また定期交換部品を交換ユニット25として一体化することにより、例えば定期交換部品の耐性を一番劣化し易い部品にあわせることができるため、定期交換部品の寿命検知の簡素化および交換ユニットの低コスト化が可能となる。
【0044】
〔第2実施形態〕
第2実施形態における画像形成装置の概略構成は、前述した第1実施形態と略同じであるが、交換ユニットを構成する部材が異なる。第2実施形態に係る交換ユニットの概略構成を図5に示す。
【0045】
図5に示すように、本実施形態に係る交換ユニット25は、1次転写ローラ4、中間転写ベルト8、テンションローラ9、駆動ローラ10、2次転写ローラ5、中間転写体クリーニングブレード11、廃トナー送り機構12、廃トナー容器14を一体に有するだけでなく、更に斜行補正手段を構成するレジローラ18、レジ対向ローラ17、搬送ガイド19を一体に有する構成となっている。
【0046】
以上のように、交換ユニット25にレジローラ18、レジ対向ローラ17、搬送ガイド19をも含めることにより、前述した第1実施形態で説明した交換ユニットの着脱の容易性を維持しつつ、記録位置精度をさらに良化することが可能となる。以下に、どのように記録位置精度が良化するかを説明する。
【0047】
転写材上に高い記録位置精度の画像を得るためには、レジローラ18から給送された転写材20が、規定時間に斜行することなく2次転写ローラ5と中間転写ベルト8のニップ(2次転写部)に突入することが不可欠となる。
【0048】
図6を用いて、どのように記録位置精度が高く、安定した先端余白を持つ画像を転写材上に得られるかを説明する。
【0049】
図6は、転写材がレジセンサー16を通過してから2次転写ローラ15のニップ(2次転写部)に突入するタイミングを、レジセンサー信号、レジクラッチ信号、中間転写ベルト上の画像領域を用いて模式的に表したものである。
【0050】
図6中のAは転写材がレジセンサー16に到達した時刻、Bは転写材が停止状態のレジローラ18ニップに到達した時刻、Cはレジクラッチがオンになり転写材が給送する時刻、Dは転写材先端が2次転写ローラ5ニップに突入した時刻を意味する。
【0051】
転写材の搬送速度が一定と仮定した場合、時刻A〜Bの時間(以下tA−Bと記す)は、転写材がレジセンサー16に到達してからレジローラ18に到達する時間で、レジセンサー16とレジローラ18の相対距離に依存する。
【0052】
時刻B〜Cの時間(以下tB−Cと記す)は、転写材が停止状態のレジローラ18とレジ対向ローラ17のニップに突き当たり、さらに転写材が押し込まれることによりループを形成し、転写材先端の斜行を矯正する時間である。
【0053】
この時間が短すぎると転写材先端の斜行の矯正が不十分となり、2次転写部へ転写材が斜行して送られる原因となる。
【0054】
本実施形態においては、装置本体が持つ制御手段としてのCPU(不図示)に格納されているプログラムに時間tA−C(時刻A〜Cの時間)、つまりは転写材がレジセンサー16を切ってからレジローラ18により給送されるまでの時間は、定数として保存されている。
【0055】
よって、時間tA−Bが大きくなると時間tB−Cは小さくなり、転写材先端部の斜行が悪化する可能性がある。
【0056】
時間tA−Bを安定させるために、つまりは、レジセンサー16からレジローラ18までの距離を一定にするためには、レジセンサー16を交換ユニット25に取り付けることにより、レジセンサー16とレジローラ18の取り付け精度を向上することが可能である。
【0057】
しかしながら、本実施形態においてはレジセンサー16を装置本体側に設置しても時間tA−Bのバラツキが少なかったため、レジセンサー16は装置本体側に設置したが、場合によってはレジセンサー16を交換ユニット側25に設置することも有効な手段である。
【0058】
また、前記レジセンサー16としてフォトセンサーを用いる場合、通常フォトセンサーは使用による性能劣化が無いため、センサーフラグは交換ユニットに設置し、センサー自体を装置本体に設置するという構成としてもよく、該構成により交換ユニットのコストを下げることも可能である。
【0059】
時刻C〜Dの時間(以下tC−Dと記す)は、転写材の搬送速度が一定と仮定した場合、転写材がレジローラ18から給送されて搬送ガイド19を沿って2次転写ローラ5ニップに突入するまでの転写材の通る軌跡距離に相当し、転写材の先端余白と直接的に関係するものである。
【0060】
図6中では時刻D〜Eの時間(距離)が転写材の画像領域までの先端余白に相当し、前述の時刻Dまでの時間(距離)が短くなれば(図6中のD')その分だけ先端余白が長くなり(D'〜E)、前述の時刻Dまでの時間(距離)が長くなれば(図6中のD'')その分だけ先端余白は短くなる(D''〜E)。
【0061】
転写材の画像領域までの先端余白を安定させるためには、D〜Eの距離のバラツキを1mm以下、好ましくは0.5mm以下にする必要性がある。
【0062】
しかしながら、中間転写ベルト8と2次転写ローラ5とレジローラ18が同一ユニット上に無い従来技術においては、これらの部材を精度良く取り付けを行うのは困難であり、結果として先端余白に上記バラツキ以上のバラツキが生じていた。
【0063】
よって、図5に示すように中間転写ベルト8と2次転写ローラ5とレジローラ18を同一ユニット上に設置することにより、高い精度で取り付けを可能とし、安定した先端余白を得ることが可能となった。
【0064】
より高い精度を実現させるためには、2次転写ローラ5、レジローラ18、レジ対向ローラ17と、2次転写部における中間転写ベルト8の位置を決定する駆動ローラ10を、同一の支持部材(フレーム、側板など)上で位置決めすることが有効である。
【0065】
上記のように中間転写ベルト8と2次転写ローラ5とレジローラ18とレジ対向ローラ17を精度良く取り付けることにより、これらのパーツのアライメントが向上し、転写材先端の斜行補正も更に良化する。
【0066】
また、中間転写体のクリーニング手段を構成する中間転写体クリーニングブレード11等も前述した同一の支持部材に取り付けることにより、中間転写体クリーニングブレード11の中間転写ベルト8に対する相対位置を安定させ、安定したクリーニング性能を得ることも出来る。
【0067】
次に図7を用いて第2実施形態における交換ユニットの着脱方法について説明する。
【0068】
第2実施形態においても、画像形成装置本体に対して開閉可能なドア26を開放し、上記交換ユニット25の側面に設けられたレール27を、装置本体に設けられたレールガイド28に沿うように移動させることにより、該交換ユニット25の周辺に配置された部材を取り外したり、退避させることなく、該交換ユニット25を着脱することが可能であり、本装置に精通していないユーザーにも容易に交換を行う事が出来るという利点がある。
【0069】
尚、本発明は前述した実施形態で例示した画像形成装置への適用に限定されるものでなく、従来公知または周知の技術を必要に応じて置換及び付加することが可能である。図8および図9に変形例を記す。
【0070】
図8に示す画像形成装置の動作に関しては、第2実施形態で説明したものと同じであるため、同等の機能を有する部材に同一符号を付して説明を省略するが、本構成においても交換ユニット25が、1次転写ローラ4、中間転写ベルト8、テンションローラ9、駆動ローラ10、2次転写ローラ5、中間転写体クリーニングブレード11、廃トナー送り機構12、廃トナー容器14、レジローラ18、レジ対向ローラ17、搬送ガイド19を一体に有する構成となっている。これにより、交換ユニットの交換の容易性と高い記録位置精度が実現可能となる。
【0071】
図9に示す画像形成装置も同様に、交換ユニット25が、1次転写ローラ4、中間転写ベルト8、テンションローラ9、駆動ローラ10、2次転写ローラ5、中間転写体クリーニングブレード11、廃トナー送り機構12、廃トナー容器14、レジローラ18、レジ対向ローラ17、搬送ガイド19を一体に有する構成となっている。これにより、交換ユニットの交換の容易性と高い記録位置精度が実現可能となる。
【0072】
〔第3実施形態〕
図10を用いて、第3実施形態における画像形成装置の交換ユニットについて説明する。
【0073】
図10に示す本実施形態に係る交換ユニット25は、第1実施形態で説明を行った画像形成装置の交換ユニット25と略同じである。本実施形態では、交換ユニット25における廃トナー容器14内の廃トナーの満杯を検知する廃トナー満杯検知手段としての廃トナー満杯検知センサ29が設置されている。
【0074】
本実施形態に係る廃トナー満杯検知センサ29は、発光素子からの光が廃トナー容器14を通過するように入射し、廃トナー容器14通過後の光強度を受光素子で測定することにより、廃トナー満杯を検知するものであり、設置位置は交換ユニット25でも画像形成装置本体のいずれでも良い。
【0075】
本実施形態では、交換ユニット25の交換タイミング(寿命)が、交換ユニット25内にある使用により性能劣化する部材のうち、最も寿命が短い部材の寿命、または、廃トナー満杯検知の早い方で定義されるところにある。
【0076】
交換ユニット25内には、使用により性能劣化する部材として、1次転写ローラ4、中間転写ベルト8、中間転写体クリーニングブレード11、2次転写ローラ5、駆動ローラ10がある。
【0077】
主たる寿命決定要因は用いる材質にもよるが、1次転写ローラ4と2次転写ローラ5が通電劣化による電気抵抗の上昇や外径の変化、中間転写体クリーニングブレード11はブレード先端部磨耗によるクリーニング不良、中間転写ベルト8は表層のシワや破断、廃トナー容器は満杯、駆動ローラ10は摩擦抵抗低下によるものである。
【0078】
上記耐久劣化する部材がユニット化されていない従来技術のような画像形成装置の場合、各々の部材をそれぞれの寿命に基づいて交換を行う必要性がある。
【0079】
この場合、各々の部材に対して、記録枚数や通電時間や回転時間を測定し、その結果を保持し、寿命達成時にそれを告知しなければならない。
【0080】
これに対し、本実施形態においては、上記耐久劣化する部材が交換ユニットとして一体化されているため、上記耐久劣化する部材の内、最も寿命が短くなる可能性がある部材のみ寿命検知を行えばよい。
【0081】
耐久劣化する部材の寿命は、装置構成や使用される部材により異なるが、本実施形態においては、中間転写体クリーニングブレード11の寿命が最も短いため、該中間転写体クリーニングブレード11のみの寿命検知を行っている。
【0082】
本実施形態では、中間転写体クリーニングブレード11の寿命は、中間転写ベルト8の積算走行時間と良い相関があったため、装置本体に装備されている制御手段としてのCPU(不図示)により中間転写ベルト8の積算走行時間を測定し、その結果をメモリに格納し、その値が寿命のための閾値を超えた場合に、中間転写体クリーニングブレード11の寿命と判断している。
【0083】
寿命データを格納するメモリは、NV(Non Volatile)RAMを使用した。メモリの設置場所に関しては、交換ユニット25上でも装置本体上でもよい。
【0084】
一方、廃トナーに関しては、使用される画像パターンや使用モードにより大きく廃トナーの回収率が異なるために、枚数や通電時間でその寿命を知ることは極めて困難である。
【0085】
よって、本実施形態においては、廃トナー満杯検知センサ29により検知される廃トナー満杯検知と、中間転写体クリーニングブレード11の寿命検知のうち、早い方を交換ユニットの寿命としている。このようにして交換ユニット25の寿命と判断した場合は、ユーザに寿命告知を行っている。
【0086】
なお、本実施形態においては、中間転写体クリーニングブレード11の寿命検知を行ったが、画像形成装置の構成によっては、交換ユニット25内の他の部材の寿命の方が短い場合もあるため、該交換ユニット25内の部材のうちの、最も寿命が短くなる可能性がある部材であれば、その他の部材であっても良い。また、耐久劣化する部材の寿命を検知する寿命検知手段として、画像形成装置本体の制御手段により、中間転写ベルト8の積算走行時間を測定し、その結果をメモリに格納し、その値が閾値を超えたか否かを判断する構成を例示したが、これに限定されるものではなく、耐久劣化する部材の寿命を検知する部材の寿命を検知するものであれば、その他の構成であっても良い。
【0087】
以上のように、本実施形態によれば、定期的な交換を要する前記定期交換部品を、画像形成装置本体に着脱可能な交換ユニット25として一体化したため、該定期交換部品の交換が容易となる。更に交換ユニット25として一体化したため、該ユニットを構成する定期交換部品の相対位置の高精度化が実現できる。また定期交換部品を交換ユニット25として一体化することにより、例えば定期交換部品の耐性を一番劣化し易い部品にあわせることができるため、煩雑になりがちな定期交換部品の寿命検知を簡素化することが可能となり、更に交換ユニットの低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】第1実施形態に係る画像形成装置の構成概略図
【図2】第1実施形態に係る交換ユニットの構成図
【図3】前記交換ユニットにおける廃トナー送り機構の詳細図
【図4】第1実施形態に係る画像形成装置の交換ユニットの着脱方法の説明図
【図5】第2実施形態に係る交換ユニットの構成図
【図6】第2実施形態に係る画像形成装置における先端余白に関する説明図
【図7】第2実施形態に係る画像形成装置の構成概略図
【図8】第2実施形態に係る画像形成装置の変形例の構成概略図
【図9】第2実施形態に係る画像形成装置の変形例の構成概略図
【図10】第3実施形態に係る交換ユニットの構成図
【符号の説明】
【0089】
1a,1b,1c,1d …露光装置(露光手段)
2a,2b,2c,2d …感光体ドラム(像担持体)
3a,3b,3c,3d …現像装置(現像手段)
4a,4b,4c,4d …1次転写ローラ
5a,5b,5c,5d …感光体ドラムクリーニングブレード
6a,6b,6c,6d …トナーカートリッジ
7a,7b,7c,7d …帯電ローラ(帯電手段)
8 …中間転写ベルト(中間転写体)
9 …テンションローラ
10 …駆動ローラ
11 …中間転写体クリーニングブレード(クリーニング手段)
12 …廃トナー送り機構
13a,13b,13c,13d …1次転写ニップ部
14 …廃トナー容器
15 …2次転写ローラ(転写部材)
16 …レジセンサー
17 …レジ対向ローラ
18 …レジローラ(斜行補正手段)
19 …搬送ガイド
20 …転写材
21 …定着器
22 …廃トナー送り機構開口
23 …廃トナー移動部材
25 …交換ユニット
26 …ドア
27 …レール
28 …レールガイド
29 …廃トナー満杯検知センサ(廃トナー満杯検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
転写材に転写するトナー像を担持する中間転写体と、前記中間転写体上のトナー像を転写材に転写する転写部材と、転写後に前記中間転写体上に残留したトナーを除去するクリーニング手段と、前記クリーニング手段により除去したトナーを収容する廃トナー容器とを有する画像形成装置であって、
画像形成装置本体に対して着脱可能な交換ユニットを備え、前記交換ユニットが、前記中間転写体と、前記転写部材と、前記クリーニング手段と、前記廃トナー容器を一体に有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記中間転写体上のトナー像を転写する前記転写部材による転写部に搬送する転写材の斜行を補正する斜行補正手段を有し、前記交換ユニットは更に前記斜行補正手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記交換ユニットが有する中間転写体は、無端状ベルト部材と、前記無端状ベルト部材を張架する2つ以上の回転体と、前記回転体を回転自在に支持する支持部材とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記交換ユニットが有するクリーニング手段は、前記中間転写体上の残留トナーを掻き取るクリーニング部材と、前記クリーニング部材で掻き取ったトナーを前記廃トナー容器に送る廃トナー送り機構とを有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成装置の外装の一部をなす開閉可能なカバー部材を有し、前記カバー部材を開放することにより前記交換ユニットが着脱可能となることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記廃トナー容器内の廃トナーが満杯になったことを検知する廃トナー満杯検知手段と、前記交換ユニット内の使用により劣化する部材の寿命を検知する寿命検知手段と、を有し、
前記廃トナー満杯検知手段による廃トナー満杯検知又は前記寿命検知手段による前記交換ユニット内の部材の寿命検知のいずれか一方の検知により前記交換ユニットの寿命とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−38989(P2006−38989A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−215359(P2004−215359)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】