説明

画像形成装置

【課題】 付加画像を埋め込んだ画像の複製において意図したとおりに付加画像を再現させる。
【解決手段】 目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物を複製するとき、印刷物の画像データを読み取り、前記印刷物からコードを検知する。そして、検知したコードを元に読み取った画像データにスタンプ画像を合成し、スタンプ画像を合成した画像データを用紙に形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不正複写防止に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子写真技術を利用した複写機が普及し、これを利用してだれでも簡単に紙などに印刷された文字や画像を複写できるようになった。特に、最近のカラーデジタル複写機、複合機(MFP)などでは画像処理技術や画像形成技術が飛躍的に向上していて、原本との見分け方がきわめて困難な複写物でさえも容易に作成できるようになった。そのため、重要文書、機密文書などの複製が禁止された原本を複写することにより、不正に原本と同等の印刷物が入手され、また、社外などへ流出、漏洩されるという問題が生じるようになった。また、スキャン機能の普及により、重要文書などの複製が禁止された原本をスキャンして電子ファイル化しネットワークを通して流通することも増加している。したがって、重要書類などの偽造、変造、不正コピー、不正複製を防止することが重要な課題となっている。
【0003】
不正コピーの防止対策として、原本に目視では認識できないまたは認識しにくい潜像を埋め込んでおき、コピー作成時に潜像を現出させる技術が提案されている(たとえば特開2004−223854号公報)。これは、複製が禁止された原本を複写した場合や電子ファイルに複製した場合に原本と同等の複写物を出力しないようにして、心理的に不正複写を抑止する効果をねらった技術である。この技術では、原本の画像に埋め込まれる潜像は、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって、潜像を含む印刷物を原稿として画像形成装置で複製を作成するとき、顕像化して、明らかに浮き出てくるように作成されている。潜像として、たとえば「コピー禁止」等の文字列を原本の画像に埋め込んでいると、そのような付加画像を含む原本の印刷物を複製するとき、画像に埋め込まれていた付加画像すなわち「コピー禁止」等の隠し文字が顕像化される。したがって、その印刷物と同等の複製物は作成されず、得られた複製物を見ると、原本に含まれていない「コピー禁止」等の文字が現れているので、原本でないことをただちに判別できる。これにより、心理的に不正複製を抑止できる。
【特許文献1】特開2004−223854号公報
【特許文献2】特開2003−169204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述の心理的に不正複製を抑止できる効果を生じる潜像を埋め込んだ原本を画像形成装置で印刷して複製物を作成する場合、意図したとおりに心理的に不正複製を抑止できるように付加画像が形成されないことがある。たとえば、その印刷物が拡大または縮小されると、顕像化された付加画像も拡大または縮小されている。付加画像が拡大される場合、付加画像が欠損して付加画像の一部しか現れないことがある。また、付加画像が縮小される場合、付加画像が浮き出しにくくなる。そのような場合、心理的に不正複製を抑止するという効果が損なわれてしまう。また、複製物が原本からの複製物であることも明確に区別することが困難となる場合もある。
【0005】
なお、本発明では、後で説明するように地紋にコードを埋め込むが、これは、電子透かしの1種とも考えられる。特開2003-169204号公報に記載された電子透かし埋め込み装置では、画像に電子透かし情報を埋め込むが、その画像がスケーリングや回転を受けた場合でも、埋め込んだ透かし情報を検出する。なおこの技術では複製物か否かを識別できない。
【0006】
本発明の目的は、付加画像を埋め込んだ画像の複製において意図したとおりに付加画像を再現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像形成装置は、印刷物の画像データを読み取る撮像部と、前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知するコード検知手段と、検知したコードを元に読み取った画像データにスタンプ画像を合成する合成手段と、スタンプ画像を合成した画像データを形成する印刷手段とからなる。
【0008】
好ましくは、前記画像形成装置において、前記合成手段は、画像の拡大または縮小が設定されている場合に、前記のスタンプ画像の合成を行う。好ましくは、前記合成手段は、前記コードは付加画像の大きさの情報を含み、画像の拡大が設定されている場合でも、拡大された付加画像が欠損しないと判断すると、スタンプ画像を合成しない。また、好ましくは、前記合成手段は、画像の拡大が設定されている場合、原本の画像のサイズと倍率との積が用紙サイズより大きく、かつ、付加画像が欠損する場合、読み取った画像にスタンプ画像を合成する。また、好ましくは、前記コードは、付加情報のドット配置情報を含み、前記合成手段は、画像の縮小が設定されている場合でも、検知したコードから得られる付加情報のドット配置情報より、付加画像が顕像化されると判断すると、スタンプ画像を合成しない。
【0009】
好ましくは、前記画像形成装置において、画像を形成したい綴じ代を設ける綴じ代モードが設定されている場合、前記合成手段は、設定された綴じ代により付加画像が欠損すると判断すると、読み取った画像データに綴じ代を設け、かつ、スタンプ画像を合成する。
【0010】
好ましくは、前記画像形成装置において、表紙を前面に付加する表紙付加モードが設定されている場合、前記合成手段は、表紙の画像にスタンプ画像を合成する。
【0011】
好ましくは、前記画像形成装置において、スキャン条件の設定が可能である場合、前記合成手段は、設定されたスキャン条件により付加画像が顕像化されないと判断する場合、前記のスタンプ画像の合成を行う。
【0012】
好ましくは、前記画像形成装置において、前記合成手段は、スタンプ画像の合成において、読み取った前記画像データから前記付加画像を消去する。
【0013】
本発明に係る画像形成方法では、印刷物の画像データを読み取り、前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知する。そして、検知したコードを元に読み取った画像データにスタンプ画像を合成し、スタンプ画像を合成した画像データを形成する。
【0014】
好ましくは、前記画像形成方法において、画像の拡大または縮小が設定されている場合に、前記のスタンプ画像の合成を行う。好ましくは、前記コードは付加画像の大きさの情報を含み、画像の拡大が設定されている場合でも、拡大された付加画像が欠損しないと判断すると、スタンプ画像を合成しない。また、好ましくは、前記画像形成方法において、画像の拡大が設定されている場合、原本の画像のサイズと倍率との積が用紙サイズよりおおきく、かつ、付加画像が欠損する場合、読み取った画像にスタンプ画像を合成する。また、好ましくは、前記画像形成方法において、前記コードは、付加情報のドット配置情報を含み、画像の縮小が設定されている場合でも、検知したコードから得られる付加情報のドット配置情報より、付加画像が顕像化されると判断すると、スタンプ画像を合成しない。
【0015】
好ましくは、前記画像形成方法において、画像を形成したい綴じ代を設ける綴じ代モードが設定されている場合、設定された綴じ代により付加画像が欠損すると判断すると、読み取った画像データに綴じ代を設け、かつ、スタンプ画像を合成する。
【0016】
好ましくは、前記画像形成方法において、表紙を前面に付加する表紙付加モードが設定されている場合、さらに、表紙の画像にスタンプ画像を合成する。
【0017】
好ましくは、前記画像形成方法において、スキャン条件の設定が可能である場合、設定されたスキャン条件により付加画像が顕像化されないと判断する場合、前記のスタンプ画像の合成を行う。
【0018】
好ましくは、前記画像形成方法において、前記スタンプ画像の合成において、読み取った前記画像データから前記付加画像を消去する。
【0019】
本発明に係る画像形成装置に実行させるためのプログラムは、印刷物の画像データを読み取るステップと、前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知するステップと、検知したコードを元に読み取った画像データにスタンプ画像を合成するステップと、スタンプ画像を合成した画像データを形成するステップと
からなる。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、画像の複製において、コード検知制御での強制的なスタンプ処理により複写物であることが確実に区別できるようになり、意図したとおりに心理的に不正複製を抑止する効果を生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、添付の図面を参照して発明の実施の形態を説明する。
この発明に係る画像形成装置では、印刷の際に、原本の画像に背景を付加するが、その背景の中に目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像(隠し画像)を埋め込んでおく。ここでは、背景と付加画像を合わせて地紋という。付加画像は、付加画像を含む文書を画像形成装置で複製するときに顕像化するように作成されている。1例では、背景を形成するドットの解像度を撮像部の読み取り解像度より小さくし、付加画像を形成するドットの解像度を撮像部の読み取り解像度より大きくする。ただし、両者の全体の画像濃度は同じであるようにするので、付加画像は目視では識別しにくい。付加画像としてたとえば「コピー禁止」等の文字列を原本の画像に埋め込んでいると、そのような付加画像を含む原本を複製するとき、得られた複製物を見ると、背景が消え、画像に埋め込まれていた付加画像すなわち「コピー禁止」等の文字が顕像化される。したがって、複製物を見ると、原本と同等の複製物は作成されていず、それが原本でないことは明らかになる。
【0022】
しかし、そのような地紋付き原稿を拡大して複製する場合、また、縮小して複製する場合(Nin1モードを含む)などでは、浮き出た文字の大きさが変化するため、その意味が分からなくなることがある。そのような場合、付加画像を浮き出させる効果が小さくなる。図1は、その1例を示す。元の印刷物には、原本に潜像として「管理外」の文字列が埋め込まれている。文字列は指定された間隔で配列される。これをそのまま拡大してコピーを作成するとき、浮き出させたい文字の意味が不明になってくることがある。
【0023】
この発明では、地紋付き画像の中にコードを埋め込み、付加画像についての情報を持たせておく。コードとして、付加画像である文字の文字列などのデータ(スタンプ情報)を含む。上述の隠し文字のばあい、その文字列、大きさ、配置、色を表すコードが埋め込まれている。このコードは、一般的には任意の場所に埋め込んでもよいが、好ましくは地紋の中にまたは隠し文字の中に埋め込む。画像データの大きさを変える場合(たとえば縮小モード/Nin1モード/拡大モード)、付加画像が意味不明になると判断すると、スタンプ画像を強制的に元の画像データに上書きして、印刷する。好ましくは、地紋と付加画像を消去してスタンプ画像を追加する。スタンプ画像は用紙に収まるように原画像に合成する。スタンプ画像は、画像から検知したコードのスタンプ情報を元に作成する。この場合、画像の大きさが変わっても、付加画像はもとと同じ大きさで画像上に印刷される。ただし、何らかのコードが検知された場合、スタンプ画像として、あらかじめ設定された画像を用いてもよい。図1の例では、コードとして埋め込まれている情報を読み取って、隠し文字がはみ出ると判断すると、背景と潜像(隠し文字)を消去して、元の印刷物に付加されていた隠し文字と同じ大きさの文字をスタンプ画像として合成する。
【0024】
付加画像が隠し文字である場合、スタンプ情報の1例は、その隠し文字の文字列情報、フォントの大きさ、リピート間隔、文字の色を含む。この情報を用いてスタンプ画像が形成できる。他の例では、スタンプ情報は、背景部および隠し文字部のそれぞれの線数、スクリーン角、ディザパターンの形状を含む。表1は、コード(埋め込み情報)の1例である。
【0025】
【表1】

埋め込み情報のテーブル
【0026】
図2は、画像形成装置の1例である複合機(MFP)の構成を示す。システムコントローラ10は、CPU12を備え、複合機内の各構成部分を制御する。操作部14は、操作者が指示を入力するための入力部やデータなどを表示するための表示装置を備える。撮像部16は、原稿の画像を読み取る。読み取られた画像は入力画像処理部18で各種補正などの処理を施される。画像データは、印刷の場合は、出力画像処理部20で印刷データに変換され、プリントヘッド22で用紙に印刷される。また、画像データはネットワークコントローラ24によりネットワークを経て外部の機器に送信される。また、外部の機器からネットワークコントローラ24を通って入力される画像データも出力画像処理部20で印刷データに変換され、プリントヘッド22で用紙に印刷される。また、画像データの蓄積が指示されると、記憶装置26に記憶される。なお、付加画像の情報(たとえば後で説明する隠し文字の文字列情報、フォントの大きさ、文字のリピート間隔、文字の色など)を設定し編集する設定編集部28、この付加画像情報をコードに変換するコード変換部30と、その付加画像およびコードを原本の画像に埋め込む付加画像コード埋め込み部32は、システムコントローラ10により実行される処理である。
【0027】
この複合機は、拡大/縮小/Nin1コピーの機能、とじ代作成機能、表紙付加機能を備える。拡大機能と縮小機能では、原稿画像が拡大または縮小して印刷される。また、Nin1コピー機能では、N枚の原稿が縮小されて1枚の用紙に印刷される。また、綴じ代作成機能では、綴じ代部分だけずらして原稿画像を用紙に印刷する。また、表紙付加機能では、原稿画像の表側に、表紙を付加する。
【0028】
この複合機では、原本に地紋を付加した地紋付き原稿を印刷できる。図3に示すフローチャートにおいて、操作部34での操作者による複写条件の設定を入力し(S10)、次に、地紋を付加する場合は、付加画像の情報(たとえば後で説明する隠し文字の文字列情報、フォントの大きさ、文字のリピート間隔、文字の色などの文字列及び配置に関する情報)の操作者による設定と編集を入力する(S12)。そして、この付加画像情報をコードに変換する(S14)。次に、操作部14でスタートボタンが押されると、撮像部16で原本の原稿を読み取る(S16)。次に、読み取られた画像データに対して付加画像とコードを埋め込む(S18)。そして、プリントヘッド22で用紙に画像を形成する(S20)。ステップS12,S14,S18の処理は、図2の設定編集部28,コード変換部30、コート埋め込み部32に対応する。具体的な処理内容としては公知の手法を用いればよいので説明を省略する。こうして作成された地紋付き原稿をさらに複写するとき、等倍であれば、画像から、埋め込まれているコードを抽出することなく、通常の地紋処理、すなわち、そのまま隠し文字を浮き上がらせた複写処理を行う。これは、等倍であればそのまま隠し文字を浮き上がらせることで、当初の編集設定時の操作者の狙いどおりに画像が形成され、複製の抑止効果を引き出すことができるので、あえて埋め込まれているコードを抽出する必要がないうえに、コード抽出処理、地紋消去処理、抽出されたコードからのスタンプ画像生成処理、スタンプ画像の合成処理といった各種処理が不要になるので、生産性や画質を維持することができる、という効果があるからである。
【0029】
次に、画像データの縮小時/Nin1モード/拡大時にネットワークコントローラ24が行う処理について説明する。図4は、この処理を示す。ネットワークコントローラ24は、撮像部16で読み取られ入力画像処理部18で処理された、地紋を含む原稿画像の画像データを受け取る。画像処理によって付加画像が意味不明になると判断する場合は、画像データからコードを抽出する。次に、地紋を含む画像データから地紋データを除去して原本の画像データを求める。一方、抽出したコードを解析して、コードに含まれるスタンプ情報(たとえば文字列情報、フォントの大きさ、文字のリピート間隔、文字の色)を得る。読み取ったコードの情報を基にスタンプ画像を生成する。こうして得られたスタンプ画像で原本画像データを上書きする。そして、得られた合成画像を出力画像処理部20に送る。こうして、プリントヘッド22で用紙に画像を形成すると、検知されたコードを基にスタンプ画像が強制的に追加される。
【0030】
次に、地紋付き原稿の拡大、縮小などを伴う複製が作成される場合のネットワークコントローラ24が行う処理を説明する。いずれの実施の形態でも、付加画像は隠し文字であり、原稿画像データの中に、予め隠し文字パターン情報、スタンプ情報、その他の情報を示すセキュリティコードが地紋に合成されている。
【0031】
第1の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき、拡大/縮小の場合にはスタンプ画像を合成する。図5は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた画像データを入力する(S30)。画像データを解析して、埋め込んだコードが検出されると、すなわち、コード入り地紋が含まれていると判断すると(S32でYES)、設定されているコピーモードを判別する(S34)。コピーモードを基に画像データが拡大または縮小されて印刷されると判断したら(S36でYES)、付加画像が意味不明になる可能性があるので、画像データから地紋を除去して(S38)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを拡大/縮小する。次に、検出したコードからスタンプ情報を読み出し(S40)、拡大/縮小した原本の画像データの上に、読み出したスタンプ情報に従ってスタンプ画像を上書きする(S42)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、画像を用紙に形成させる(S44)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断すると(S32でNO)、または、画像データが拡大または縮小されないと判断したら(S36でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S46)、ステップS44に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0032】
図6は、スタンプ画像合成(図5、S42)のフローチャートである。初期設定において、描画用のカーソルの位置を画像の左上に移動する(S50)。次に、指定された文字の色/フォントの大きさで、文字列情報で指定された文字列(スタンプ画像)を描画する(S52)。すなわち、スタンプ画像を原画像に上書きする。カーソルをリピート間隔または文字列長の大きい方の分だけ移動する(S54)。カーソルが画像に右に達していない場合(S56でNO)、ステップS52に戻る。カーソルが画像に右に達すると、カーソルが画像の下に達したか否かを判断する(S58)。画像の下に達していない場合、カーソルを1行下に移動し、かつ、画像の左に移動する(S60)。そして、ステップS52に戻る。カーソルが画像の下に達すると、この処理を終了する。
【0033】
第2の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき、拡大時では、付加画像(隠し文字)の配置を考慮する。拡大コピーであっても、隠し文字が用紙からはみ出ないと判断したら、通常の出力処理を行う。
【0034】
図7は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた原稿画像データを入力する(S70)。原稿画像データを解析して、埋め込んだコードが検出されると、すなわち、コード入り地紋が含まれている判断すると(S72でYES)、設定されているコピーモードと、コードから得られる隠し文字の配置情報から隠し文字が欠損するか判断する(S74、図8参照)。隠し文字が欠損すると判断する場合(S76でYES)、画像データから地紋を除去し(S78)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。次に、コードからスタンプ情報を読み出し(S80)、読み出したスタンプ情報に従って画像データにスタンプ画像を上書きする(S82、図6参照)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、用紙に画像を形成させる(S84)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断すると(S72でNO)、または、隠し文字が欠損しないと判断したら(S76でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S86)、ステップS84に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0035】
図8は、隠し文字が欠損するか否かの判断(図7,S74)のフローチャートである。コピーモードから原稿のどの領域が用紙にコピーされるかを算出する(S90)。隠し文字のフォントの大きさ、文字列、リピート間隔から隠し文字の配置情報を算出する(S92)。隠し文字の配置情報とコピーされる領域の情報から、欠損せずに収まる文字列があるかを判断する(S94)。欠損せずに収まる文字列がある場合(S96でYES)、隠し文字は欠損しないと判断するが(S98)、そうでなければ、隠し文字は欠損すると判断する(S100)。
【0036】
画像を縮小する場合(縮小/Nin1コピーモード)、隠し文字が再現されにくくなる。そこで、第3の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき、画像を縮小する場合、背景および隠し文字のドット配置を考慮し、隠し文字が再現されると判断したら、通常の出力処理を行う。隠し文字が再現されない場合に上述の強制スタンプ処理をする。
【0037】
図9は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた原稿画像データを入力する(S110)。原稿画像データを解析してコード入り地紋が含まれている判断すると(S112でYES)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。コードから背景および隠し文字部のドット配置情報を読み出し、隠し文字が用紙上に再現するかを判断する(S114、図10参照)。地紋および隠し文字部のドット配置情報は、線数、スクリーン角、ディザパターンの形状を含む。隠し文字のパターンが用紙上に再現できないと判断すると(S116でNO)、画像データから地紋を除去し(S118)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。コードからスタンプ情報を読み出し(S120)、読み出したスタンプ情報に従ってスタンプを原稿画像データに合成する(S122、図6参照)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、用紙に画像を形成させる(S124)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断すると(S112でNO)、または、隠し文字が再現しないと判断したら(S116でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S126)、ステップS124に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0038】
図10は、隠し文字が再現するか否かの判断(図9、S114)のフローチャートである。コピーモードから倍率を求める(S130)。次に、ドット配置情報から隠し文字部と地紋部のそれぞれのドット幅を求める(S132)。次に、倍率とドット幅からコピー後のコントラストを求める(S134)。コントラストが所定値以上ならば(S136でYES)、隠し文字は再現すると判断するが(S138)、そうでなければ、隠し文字は再現しないと判断する(S140)。
【0039】
第4の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき綴じ代作成モードを考慮する。綴じ代が作成される場合でも、隠し文字が意図したとおりに複写用紙に再現させる。図11は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた原稿画像データを入力する(S150)。原稿画像データを解析してコード入り地紋が含まれている判断すると(S152でYES)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。次に、綴じ代モード作成である課否かを判断し(S154)、綴じ代モードであれば、次に、設定されている綴じ代モードの処理により隠し文字が欠損するか否かを判断する(S156)。隠し文字が欠損すると判断する場合、画像データから地紋を除去し(S158)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。次に、コードからスタンプ情報を読み出し(S160)、読み出したスタンプ情報に従って原稿画像データにスタンプ画像を上書きする(S162、図6参照)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、用紙に画像を形成させる(S164)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断すると(S152でNO)、または、綴じ代モードでないと判断したら(S154でNO)、または、隠し文字が欠損しないと判断したら(S156でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S166)、ステップS164に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0040】
第5の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき、拡大コピーにおいても、原稿サイズと倍率を考慮して、画像が欠損する場合、意図したとおりに隠し文字を用紙に再現させる。図12は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた原稿画像データを入力する(S170)。原稿画像データを解析してコード入り地紋が含まれている判断すると(S172でYES)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。次に、原稿サイズ×倍率が用紙サイズより大きいか否かを判断する(S174)。原稿サイズ×倍率が用紙サイズより大きい場合、次に、そのための隠し文字が欠損するかを判断する(S176)。隠し文字が欠損する場合は、画像データから地紋を除去し(S178)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。コードからスタンプ情報を読み出し(S180)、読み出したスタンプ情報に従ってスタンプを原稿画像データに合成する(S182、図6参照)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、用紙に画像を形成させる(S184)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断すると(S172でNO)、または、原稿サイズ×倍率が用紙サイズより大きいと判断すると(S174でNO)、または、隠し文字が欠損しないと判断したら(S176でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S186)、ステップS184に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0041】
第6の実施の形態では、地紋付き原稿をコピーするとき、表紙付加モードを考慮する。表紙が付加されると、隠し文字が浮き出た原稿が見えなくなってしまうので、表紙にもスタンプ画像を印刷する。図13は、この処理を示すフローチャートである。まず、原稿を撮像部16にセットし、操作部14でコピーモードを設定し、スタートボタンを押下する。これにより撮像部16で読み取られた原稿画像データを入力する(S190)。原稿画像データを解析してコード入り地紋が含まれている判断すると(S192でYES)、原本の画像データを求め、コピーモードに従って原本の画像データを処理する。次に、表紙付加モードであるか否かを判断する(S194)。表紙付加モードにおいて、表紙にコピーをする場合は(S196でYES)、コードからスタンプ情報を読み出し(S198)、読み出したスタンプ情報に従ってスタンプを表紙の画像データに合成する(S200、図6参照)。そして、得られた画像データを出力画像処理部20に送って、用紙に画像を形成させる(S202)。一方、コード入り地紋が含まれていないと判断する場合(S192でNO)、または、原稿サイズ×倍率が用紙サイズより大きいと判断する場合(S194でNO)、または、隠し文字が欠損しないと判断する場合(S196でNO)、必要ならばコピーモードに従って画像データを処理した後(S204)、ステップS202に進んで、画像を用紙に形成させる。
【0042】
また、第7の実施の形態では、撮像部16におけるスキャン条件を操作者が操作部14で設定できる場合を扱う。スキャン条件によっては、隠し文字が浮かび上がらない場合や浮かび上がりにくい場合が生じる。図14は、この処理を示すフローチャートである。システムコントローラ10は、画像形成の際に、設定されたスキャン条件を読み出し(S220)、スキャン条件に応じて(S222)、隠し文字が浮かび上がらない場合や浮かび上がりにくい場合に、コードに基づいた出力処理を行うが(S224)、そうでない場合は、コードに基づかない出力処理を行う(S226)。コードに基づいた出力処理は、たとえば、スタンプ画像の合成である。この場合、好ましくは、背景と付加画像を除去する。コードに基づかない出力処理は、たとえば、コードによらずに隠し文字を浮き上がらせる処理である。これにより、スキャン条件の変更によって、付加画像が浮かび上がらない場合や浮かび上がりにくい場合に、スタンプ画像を付加する。
【0043】
なお、上述の実施の形態では、用紙上に画像を形成する例を説明したが、本発明は、これに限ることなく、画像をファイル画像として形成する場合にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による隠し文字処理の考え方を説明するための図
【図2】複合機の構成を示すブロック図
【図3】地紋埋め込みのフローチャート
【図4】地紋処理の制御を説明するための図
【図5】第1の実施の形態における複写のフローチャート
【図6】スタンプ画像生成のフローチャート
【図7】第2の実施の形態における複写のフローチャート
【図8】隠し文字が欠損するか否かの判断のフローチャート
【図9】第3の実施の形態における複写のフローチャート
【図10】隠し文字が再現するか否かの判断のフローチャート
【図11】第4の実施の形態における複写のフローチャート
【図12】第5の実施の形態における複写のフローチャート
【図13】第6の実施の形態における複写のフローチャート
【図14】第7の実施の形態における複写のフローチャート
【符号の説明】
【0045】
10 システムコントローラ、 12 CPU、 14 操作部、 16 撮像部、20 出力画像処理部、 22 プリントヘッド、 26 記憶装置、 28 設定編集部、 30コード変換部、 32 コード埋込部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷物の画像データを読み取り、
前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知し、
検知したコードを元に、読み取った画像データにスタンプ画像を合成し、
スタンプ画像を合成した画像データを形成する
画像形成方法。
【請求項2】
画像の拡大または縮小が設定されている場合に、前記のスタンプ画像の合成を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記コードは付加画像の大きさの情報を含み、画像の拡大が設定されている場合でも、拡大された付加画像が欠損しないと判断すると、スタンプ画像を合成しないことを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
【請求項4】
画像の拡大が設定されている場合、原本の画像のサイズと倍率との積が用紙サイズよりおおきく、かつ、付加画像が欠損する場合、読み取った画像にスタンプ画像を合成することを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記コードは、付加情報のドット配置情報を含み、画像の縮小が設定されている場合でも、検知したコードから得られる付加情報のドット配置情報より、付加画像が顕像化されると判断すると、スタンプ画像を合成しないことを特徴とする請求項2記載の画像形成方法。
【請求項6】
画像を形成したい綴じ代を設ける綴じ代モードが設定されている場合、設定された綴じ代により付加画像が欠損すると判断すると、読み取った画像データに綴じ代を設け、かつ、スタンプ画像を合成することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項7】
表紙を前面に付加する表紙付加モードが設定されている場合、さらに、表紙の画像にスタンプ画像を合成することを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項8】
スキャン条件の設定が可能である場合、設定されたスキャン条件により付加画像が顕像化されないと判断する場合、前記のスタンプ画像の合成を行うことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
【請求項9】
好ましくは、前記スタンプ画像の合成において、読み取った前記画像データから前記付加画像を消去することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項10】
印刷物の画像データを読み取る撮像部と、
前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知するコード検知手段と、
検知したコードを元に、読み取った画像データにスタンプ画像を合成する合成手段と、
スタンプ画像を合成した画像データを形成する印刷手段と
からなる画像形成装置。
【請求項11】
前記合成手段は、画像の拡大または縮小が設定されている場合に、前記のスタンプ画像の合成を行うことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記合成手段は、前記コードは付加画像の大きさの情報を含み、画像の拡大が設定されている場合でも、拡大された付加画像が欠損しないと判断すると、スタンプ画像を合成しないことを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記合成手段は、画像の拡大が設定されている場合、原本の画像のサイズと倍率との積が用紙サイズよりおおきく、かつ、付加画像が欠損する場合、読み取った画像にスタンプ画像を合成することを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記コードは、付加情報のドット配置情報を含み、前記合成手段は、画像の縮小が設定されている場合でも、検知したコードから得られる付加情報のドット配置情報より、付加画像が顕像化されると判断すると、スタンプ画像を合成しないことを特徴とする請求項11記載の画像形成装置。
【請求項15】
画像を形成したい綴じ代を設ける綴じ代モードが設定されている場合、前記合成手段は、設定された綴じ代により付加画像が欠損すると判断すると、読み取った画像データに綴じ代を設け、かつ、スタンプ画像を合成することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項16】
表紙を前面に付加する表紙付加モードが設定されている場合、前記合成手段は、表紙の画像にスタンプ画像を合成することを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項17】
スキャン条件の設定が可能である場合、前記合成手段は、設定されたスキャン条件により付加画像が顕像化されないと判断する場合、前記のスタンプ画像の合成を行うことを特徴とする請求項10記載の画像形成装置。
【請求項18】
好ましくは、前記合成手段は、スタンプ画像の合成において、読み取った前記画像データから前記付加画像を消去することを特徴とする請求項10〜17のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項19】
印刷物の画像データを読み取るステップと、
前記印刷物が、原本の画像に、目視では認識できないまたは認識しにくい付加画像であって画像形成装置で複製を作成するとき顕像化される付加画像、および、その付加画像に関する情報のコードを追加した印刷物である場合に、前記コードを検知するステップと、
検知したコードを元に読み取った画像データにスタンプ画像を合成するステップと、
スタンプ画像を合成した画像データを形成するステップと
からなり、画像形成装置に実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−19841(P2007−19841A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198978(P2005−198978)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】