説明

画像形成装置

【課題】画像調整モードに起因するデッドタイムを極力縮小し、生産性、操作性を向上させた画像形成装置を得る。
【解決手段】画像濃度の調整やカラー画像のレジスト調整を行う画像調整モードを備えた電子写真法による画像形成装置。画像調整モードの実行を中断又は終了させる入力手段を備え、画像調整モードの実行中であってもその中断又は終了が入力されると、画像調整モードを中断又は終了させるとともに、プリントモードなど他のモードでの動作を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、特に、画像調整モードを備えた複写機やプリンタなどの電子写真法による画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真法による画像形成装置では、一定の画像品質を確保するため、帯電、露光、現像、転写のそれぞれの出力値調整やカラー画像のレジスト補正などの画像調整モードを所定の条件を満たした場合に実行するようにしている。この画像調整モードが一旦実行されると、それが終了するまで他のモードでの動作(特に、画像形成動作モード)を実施することができず、その間はユーザにとってはデッドタイムとなっていた。
【0003】
前記デッドタイムによる操作性の悪さを改善するため、特許文献1には、特定プリントモードが設定されていた場合には、キャリブレーション処理を強制的に行った後にプリント動作を開始することにより、ジョブの途中でキャリブレーションが実行されることがないようにした制御方法が記載されている。特許文献2には、必要時間の異なる画像調整モードを備え、ジョブ実行中などに調整が必要になった場合には、必要時間の短い画像調整モードを選択実行し、ユーザのデッドタイムを短くする制御方法が記載されている。さらに、特許文献3には、次回濃度調整実行までの印刷可能ページ数をユーザに通知し、作業性の悪化を改善する制御方法が記載されている。
【0004】
しかしながら、以上の改善策では、デッドタイムが生じることには変わりはなかったり、デッドタイムを僅かしか縮小できないのでユーザは“待たされている”という印象を受けてしまう。また、たとえ画像調整モードを実行する条件を絞り込んで実行回数を減少させたとしても、連続プリント中に同モードが起動すればユーザは不快感を覚えてしまう、といった不具合は避けられない。
【0005】
また、画像調整モードの実行は一定の予測のもとに、画像が変化してしまうだろう、という条件が成立する場合に行われる。しかし、画像の種類によっては画像調整モードが不要であったり、ユーザによっては最適画像を得ることよりも一刻でも早く出力させたい、など状況に応じて画像調整モードの必要性が変化する。しかし、一定条件のもとで画像調整モードが実行されてしまうと、ユーザは“待たされている”と感じてしまう。
【特許文献1】特開2000−227684号公報
【特許文献2】特開2005−164922号公報
【特許文献3】特開2004−330626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明の目的は、画像調整モードに起因するデッドタイムを極力縮小し、生産性、操作性を向上させた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するため、本発明は、画像調整モードを備えた電子写真法による画像形成装置において、画像調整モードの実行を中断又は終了させる入力手段と、画像調整モードの実行中であっても前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されると、画像調整モードを中断又は終了させるとともに、他のモードでの動作を可能とする制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
本発明に係る画像形成装置においては、画像調整モードを強制的に中断又は終了させることができ、ユーザのデッドタイムをほぼゼロにすることが可能になる。従って、ユーザが“待たされている”という感覚を持つことがなくなる。
【0009】
本発明に係る画像形成装置において、入力手段は、操作パネル上に設けた入力スイッチ又はネットワークで接続されたコンピュータ上に設けられた専用のボタン若しくはコマンドであることが好ましい。画像調整モードの中断又は終了を指示するための操作が容易である。この入力手段は、プリント開始スイッチを所定時間以上オンすることであってもよい。画像調整モードに入った場合に画像形成を行おうとするユーザが当然操作するプリント開始スイッチに該画像調整モードの中断又は終了の指示機能を持たせることで違和感のない操作性を実現できる。
【0010】
本発明に係る画像形成装置において、制御手段は、入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、既に画像形成動作の指示が発せられている場合には、画像形成動作モードの実行を継続させてもよい。画像形成動作モードを継続することで生産性の悪化を抑制することができる。
【0011】
また、制御手段は、入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、動作中の画像形成手段に対して所定の順序に従って出力値の調整又は出力の停止を行わせてもよい。画像調整モードが強制的に中断又は終了しても、像担持体へキャリアが付着するなどの異常現象の発生を防止できる。
【0012】
さらに、入力手段からの入力指示の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、制御手段は、入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、履歴記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて画像調整モードを中断又は終了させるか否かを判断するように構成してもよい。履歴記憶手段に記憶される履歴情報は画像調整モードの中断又は終了指示の所定期間中の入力回数であり、制御手段は、入力回数が所定値以上の場合には画像調整モードを中断又は終了させないと判断することが好ましい。画像調整モードの中断又は終了に条件を持たせることで、極端に劣化した画像が形成されることを防止できる。
【0013】
あるいは、温度・湿度の環境条件を検出する検出手段と、画像調整モードが実行された際の環境条件を記憶する環境条件記憶手段と、を備え、制御手段は、入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、検出手段による現在の検出結果と環境条件記憶手段に記憶された前回の検出結果とを比較し、所定の条件を満たした場合には画像調整モードを中断又は終了させないと判断するように構成してもよい。極端に劣化した画像が形成されることを防止できる。
【0014】
さらに、画像調整モードは複数種類が実行可能であり、制御手段は、入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、実行されている画像調整モードの種類に応じて中断又は終了させるか否かを判断するように構成してもよい。必要不可欠な調整項目、例えば、カラー画像のレジスト調整に関しては中断又は終了を禁止することで極端に劣化した画像が形成されることを防止できる。
【0015】
また、制御手段が画像調整モードを中断又は終了させないと判断した場合、画像調整モードの中断又は終了不可をユーザに知らせる手段を備えていることが好ましい。さらに、中断又は終了不可の理由をユーザに知らせる手段を備えていてもよい。ユーザが“待たされている”、“どうしたんだろう”という心理状態になることを回避できる。
【0016】
また、制御手段は、画像形成動作中に画像調整モードが中断された場合、その画像形成動作の終了後に中断されていた画像調整モードを再開させてもよい。経時的な画像劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施例について、添付図面を参照して説明する。
【0018】
(画像形成装置の概略構成、図1参照)
図1に本発明に係る画像形成装置の一実施例である電子写真方式によるカラープリンタ10を示す。このカラープリンタ10は、いわゆるタンデム式で4色の画像を合成するように構成したもので、感光体ドラム21、帯電装置22、画像露光装置23、現像装置24、残留トナーや残留電荷のクリーニング装置25などを含むYMCK(イエロー、マゼンタ、シアン及びブラック)の画像を形成するプリントヘッド20Y,20M,20C,20Kが中間転写ベルト11の直下に並置されている。
【0019】
画像データは図示しない画像読取り装置(スキャナ)あるいはコンピュータ(図3参照)などから制御部40の画像メモリに送信される。制御部40は前記各種作像装置を駆動し、送信された画像データに基づいて各感光体ドラム21上に静電潜像を形成し、該潜像を現像することでトナー画像を形成する。このような電子写真プロセスは周知であり、その説明は省略する。
【0020】
中間転写ベルト11は、駆動ローラ12及び支持ローラ13,14に無端状に張り渡され、矢印A方向に回転駆動され、駆動ローラ12を設置した部分の中間転写ベルト11に対向する部分(2次転写部15)には転写ローラ16が配置されている。
【0021】
カラープリンタ10の下段には、積載されている転写材を1枚ずつ給紙する自動給紙部30が設置されている。2次転写部15の直上にはトナーの定着装置50が設置されている。また、各現像装置24の上方には図示しないトナー収容容器が配置され、消費された量を補うためにトナーが適時補給される。
【0022】
各感光体ドラム21上に形成されたトナー画像は矢印A方向に回転駆動される中間転写ベルト11上に1次転写ローラ26から付与される電界にて順次1次転写され、4色の画像が合成される。一方、転写材は1枚ずつ自動給紙部30から上方に給紙され、2次転写部15で転写ローラ16から付与される電界にて中間転写ベルト11から合成画像が2次転写される。その後、転写材は定着装置50に搬送されてトナーの加熱定着が施され、排紙ローラ38からトレイ39上に排出される。
【0023】
カラープリンタ10は、基本的には、トナーの補給以外はメンテナンス不要で長期にわたって画像形成が行えるように構成されている。しかし、環境条件(温度・湿度)の変化やユーザの使用頻度などにより画像が劣化してしまう場合がある。そこで、画像品位を一定に保持するために画像調整モードが搭載されている。
【0024】
画像調整モードは、帯電装置22や画像露光装置23の出力値、現像装置24の現像バイアス値、転写ローラ26の出力値などを所定の条件に設定して中間転写ベルト11上にテスト画像を転写し、センサ45にて該テスト画像を光学的に読み込み、その読込み情報に基づいて各カラー画像のレジスト調整を行い、かつ、各プリントヘッド20における帯電出力値、現像バイアス出力値、露光出力値、転写出力値などを調整する。また、カラープリンタ10の内部には、環境条件(温度・湿度)を検出するためのセンサ46が設置されている。
【0025】
(制御例1:基本的制御、図2参照)
図2に、画像調整モードに関する制御の基本的形態を示す。カラープリンタ10のアイドリング中や画像形成動作中に、予め設定された実行条件を満たすと画像調整モードが起動される(ステップS1)。ここでの実行条件とは、(1)電源投入時、(2)前回の画像調整モード実行時から所定時間の経過、(3)前回の画像調整モード実行時からの所定枚数のプリント、(4)前回の画像調整モード実行時の環境条件(温度・湿度)から所定の変化があった場合、などであり、これらの実行条件と画像調整モードの調整内容自体は周知である。本カラープリンタ10では前記(1),(3),(4)を実行条件としている。
【0026】
画像調整モードが起動されると、同制御モードが完了するまでの間、プリント動作などが禁止される。しかし、同制御モードの実行中であっても、ユーザが中断又は終了の指示を行うことで(ステップS2でYES)、直ちに、あるいは、予め設定した順序に従って画像調整モードを中断又は終了させる(ステップS3)。
【0027】
画像調整モードが中断又は終了した場合、画像調整の各種パラメータは前回設定時の調整値を選択する。しかし、画像調整モードの途中であっても新調整値が既に把握できているパラメータがあり、この調整値をもとに他のパラメータの調整値が予測可能であれば、それらのパラメータも新調整値に設定変更してもよい。なお、中断又は終了の指示を受け付けた場合に、画像調整モードを直ちに中断又は終了させてもよいし、画像調整モードの中断又は終了に都合のよいタイミングで中断又は終了を実行してもよい。
【0028】
(中断又は終了の指示、図3参照)
前記画像調整モードの実行中における中断又は終了の指示は、図3に示すように、操作パネル60上に設けられた専用の入力スイッチ61であってもよい。あるいは、ネットワークで接続されたコンピュータ70上に設けられた専用のボタン71又はコマンドであってもよい。
【0029】
(制御例2:プリント開始スイッチによる指示、図4参照)
前記画像調整モードの中断又は終了の指示は、プリント開始スイッチ62(図3参照)を所定時間以上(例えば、2秒以上)押し続けることによって発せられてもよい。例えば、数十枚、数百枚の連続プリントを実行している途中で画像調整モードが起動された場合、ユーザは使い慣れた人であれば“またか”と感じ、使い慣れていない人であれば“どうしたんだろう”という感覚を抱く。プリント開始スイッチ62を2秒以上押し続けることは、どうしてもプリントを実行したいというユーザの意思の表れである。従って、プリント開始スイッチ62の長押しを画像調整モードの中断又は終了の指示とし機能させることは、ユーザにとって違和感のない操作性を実現することになる。
【0030】
図4にこのような制御手順を示す。画像調整モードの起動が指示されると(ステップS11でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS12)、制御部40はプリント開始スイッチ62が長押しされたか否かを判定する(ステップS13)、プリント開始スイッチ62が長押しされると、画像調整モードが強制的に終了する(ステップS15)。プリント開始スイッチ62の長押しがなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS14)。
【0031】
(制御例3:プリントモードの優先、図5参照)
画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、既にプリント開始の指示が発せられている場合には、感光体ドラム21などの回転を停止させることなくプリントモードの実行を継続させることが好ましい。プリント生産性の悪化が抑制される。
【0032】
具体的には、図5に示すように、画像調整モードの起動が指示されると(ステップS21でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS22)、制御部40は終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS23)。終了の入力がなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了し(ステップS24)、その後は感光体ドラム21などを停止させて待機モードになる(ステップS27)。
【0033】
一方、終了の指示が入力されると、制御部40はプリント待ちのジョブがあるか否かを判定し(ステップS25)、ジョブがなければ、感光体ドラム21などを停止させて待機モードになる(ステップS27)。即ち、画像調整モードは強制的に終了することになる。プリント待ちのジョブがあれば、そのままプリントモードを実行させる(ステップS26)。この場合も画像調整モードは強制的に終了する。プリントモードが完了すれば、感光体ドラム21などが停止されて待機モードになる(ステップS27)。
【0034】
(制御例4:出力値の調整、図6参照)
画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、動作中の各種作像装置に対して所定の順序に従って各種作像装置の出力値を調整又は出力を停止させる。作像装置のいくつかにダメージを与えることを防止するためである。
【0035】
例えば、転写、露光、帯電、現像バイアスの順序で出力の調整、停止を行うカラープリンタ10では、帯電装置22が出力中に現像装置24の出力である現像バイアス出力をオフすると、現像剤中に含まれるトナーとは逆極性のキャリアが感光体ドラム21に付着してしまい、中間転写ベルト11や定着ユニット50などにダメージを与える可能性がある。
【0036】
具体的には、図6に示すように、画像調整モードが起動し、感光体ドラム21などを回転させる高電圧が出力(ステップS31)された後、画像調整モードの終了指示が入力されなければ(ステップS32でNO)、画像調整モードが継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS42)。
【0037】
一方、画像調整モードの終了指示が入力されると(ステップS32でYES)、転写出力を停止又は調整し(ステップS33)、露光出力中であれば(ステップS34でYES)、その出力を停止させる(ステップS35)。次に、帯電出力中であれば(ステップS36でYES)、帯電出力を停止又は調整する(ステップS37)。次に、現像バイアス出力中であれば(ステップS38でYES)、現像バイアス出力を停止又は調整する(ステップS39)。
【0038】
その後、プリント動作の指示がなければ(ステップS40でNO)、感光体ドラム21などの回転を停止させて待機モードになる(ステップS41)。プリント動作の指示があれば(ステップS40でYES)、画像調整モードを終了する。
【0039】
なお、動作中の各種作像装置の出力値を調整又は出力を停止させる順序は、画像形成装置の構成によって異なる。従って、図6に示した制御は一例であることは勿論である。
【0040】
(制御例5:画像劣化の防止、図7参照)
制御部40のメモリに、画像調整モードの中断又は終了が連続して指示された回数を記憶し、画像調整モードの中断又は終了の指示が入力されると、メモリに記憶されたこれまでの入力回数に基づいて画像調整モードを中断又は終了させるか否かを判断してもよい。例えば、3回以上連続して画像調整モードの中断又は終了が入力されると、画像調整モードの中断又は終了を禁止する。これにて、画像調整モードが長期にわたって実行されず、極端に劣化した画像が形成されることを防止できる。
【0041】
具体的には、図7に示すように、画像調整モードの起動が指示されると(ステップS51でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS52)、制御部40は終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS53)。終了の入力がなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS54)。
【0042】
一方、終了の指示が入力されると、制御部40はメモリに入力回数としてxに「1」を加算し(ステップS55)、入力回数xがn(ここでは、n=3)以上か否かを判定する(ステップS56)。xがn以上であれば、画像調整モードを継続させる(ステップS54)。xがn未満であれば、画像調整モードを強制的に終了させる(ステップS57)。
【0043】
(制御例6:画像劣化の防止、図8参照)
極端な画像劣化を防止するための判断基準は、環境条件(温度・湿度)であってもよい。即ち、画像調整モードが実行されたときの環境条件をセンサ46で検出して制御部40のメモリに記憶し、画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、現在の環境条件と既に記憶されている前回の環境条件とを比較し、所定の条件を満たした場合には画像調整モードを中断又は終了させないと判断してもよい。所定の条件とは、例えば、温度10℃以上、あるいは、湿度20%以上の変化などである。
【0044】
即ち、図8に示すように、画像調整モードの起動が指示されると(ステップS61でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS62)、制御部40は終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS63)。終了の入力がなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS66)。
【0045】
一方、終了の指示が入力されると、温度・湿度が所定の条件か否かを判定し(ステップS64)、所定の条件を満たしていない場合は、画像調整モードを強制的に終了させる(ステップS65)。所定の条件を満たしていれば、そのまま画像調整モードを継続させる(ステップS66)、即ち、画像調整モードを終了させない。
【0046】
(制御例7:画像劣化の防止、図9)
さらに、極端な画像劣化を防止するために、複数種類の画像調整モードが存在する場合、画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、実行されている画像調整モードの種類に応じて中断又は終了させるか否かを判断してもよい。複数種類の画像調整モードとは、例えば、画像濃度の調整モードと、カラー画像のレジスト調整モードであり、レジスト調整モードはカラー画像を形成するうえで必要不可欠である。従って、カラー画像のレジスト調整モードを実行中は、たとえ中断又は終了が入力されても、中断又は終了を禁止する。
【0047】
即ち、図9に示すように、画像調整モードの起動が指示されると(ステップS71でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS72)、制御部40は終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS73)。終了の入力がなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS76)。
【0048】
一方、終了の指示が入力されると、所定の画像調整モード、例えば、レジスト調整モードの実行中か否かを判定し(ステップS74)、所定のモードでなければ、その画像調整モードを強制的に終了させる(ステップS75)。所定のモードであれば、そのまま画像調整モードを継続させる(ステップS76)、即ち、画像調整モードを終了させない。
【0049】
(制御例8:中断/終了不可の通知、図10参照)
前記制御例5,6,7において、画像調整モードを中断又は終了させないと判断した場合、中断又は終了不可をユーザに知らせる手段を備えていてもよい。具体的には、操作パネル60上への文字表示、内蔵スピーカからの音声表示、あるいは、プリントを指示したコンピュータ70へのメールの送信など種々の方法を採用できる。
【0050】
即ち、図10に示すように、画像調整モードの起動が指示されると(ステップS81でYES)、同モードの実行が開始され(ステップS82)、制御部40は終了の指示が入力されたか否かを判定する(ステップS83)。終了の入力がなければ、画像調整モードは継続され、所定の調整を終えることで同モードが完了する(ステップS87)。
【0051】
一方、終了の指示が入力されると、終了可能であるか否かを判定し(ステップS84)、終了可能であれば、その画像調整モードを強制的に終了させる(ステップS86)。終了不可であれば、終了不可を通知し(ステップS85)、そのまま画像調整モードを継続させる(ステップS87)、即ち、画像調整モードを終了させない。
【0052】
さらに、前記画像調整モードを中断又は終了させないとの不可を通知する際(ステップS85)、併せてその理由をユーザに知らせてもよい。不可理由は、前記制御例5,6,7の判断基準などである。
【0053】
(画像調整モードの再開)
前記各制御例でプリント動作中に画像調整モードが中断された場合、そのプリント動作の終了後に中断されていた画像調整モードを再開させてもよい。次回の画像調整モード実行までの経時的な画像劣化を防止できる。再開は、中断したタイミングに応じて、かつ、調整項目よって、中断した箇所から行ってもよい。あるいは、画像調整モードの全体を最初からやり直してもよい。
【0054】
(他の実施例)
なお、本発明に係る画像形成装置は前記実施例に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更できる。
【0055】
例えば、本発明は前記実施例に示したタンデム式のカラープリンタに限らず、モノクロプリンタやカラー/モノクロ複写機、ファクシミリなど種々の画像形成装置に適用することができる。
【0056】
また、極端な画像劣化を防止するための判断基準は、前記制御例5,6,7で示した条件以外に画像形成装置に応じて適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る画像形成装置であるカラープリンタを示す概略構成図である。
【図2】制御例1を示すフローチャート図である。
【図3】操作パネル及びネットワークで接続されたコンピュータを示す説明図である。
【図4】制御例2を示すフローチャート図である。
【図5】制御例3を示すフローチャート図である。
【図6】制御例4を示すフローチャート図である。
【図7】制御例5を示すフローチャート図である。
【図8】制御例6を示すフローチャート図である。
【図9】制御例7を示すフローチャート図である。
【図10】制御例8を示すフローチャート図である。
【符号の説明】
【0058】
10…カラープリンタ
11…中間転写ベルト
21…感光体ドラム
40…制御部
45…トナー濃度検出センサ
46…環境条件検出センサ
60…操作パネル
61…中断又は終了入力スイッチ
62…プリント開始スイッチ
70…コンピュータ
71…中断又は終了入力ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像調整モードを備えた電子写真法による画像形成装置において、
前記画像調整モードの実行を中断又は終了させる入力手段と、
前記画像調整モードの実行中であっても前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されると、画像調整モードを中断又は終了させるとともに、他のモードでの動作を可能とする制御手段と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記入力手段は、操作パネル上に設けた入力スイッチ又はネットワークで接続されたコンピュータ上に設けられた専用のボタン若しくはコマンドであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記入力手段は、プリント開始スイッチを所定時間以上オンすることであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、既に画像形成動作の指示が発せられている場合には、画像形成動作モードの実行を継続させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御手段は、前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、動作中の画像形成手段に対して所定の順序に従って出力値の調整又は出力の停止を行わせることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記入力手段からの入力指示の履歴を記憶する履歴記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、前記履歴記憶手段に記憶された履歴情報に基づいて画像調整モードを中断又は終了させるか否かを判断すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記履歴記憶手段に記憶される履歴情報は画像調整モードの中断又は終了指示の所定期間中の入力回数であり、
前記制御手段は、前記入力回数が所定値以上の場合には画像調整モードを中断又は終了させないと判断することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
温度・湿度の環境条件を検出する検出手段と、
画像調整モードが実行された際の環境条件を記憶する環境条件記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、前記検出手段による現在の検出結果と前記環境条件記憶手段に記憶された前回の検出結果とを比較し、所定の条件を満たした場合には画像調整モードを中断又は終了させないと判断することを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像調整モードは複数種類が実行可能であり、
前記制御手段は、前記入力手段から画像調整モードの中断又は終了が入力されたとき、実行されている画像調整モードの種類に応じて中断又は終了させるか否かを判断すること、
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段が画像調整モードを中断又は終了させないと判断した場合、画像調整モードの中断又は終了不可をユーザに知らせる手段を備えたことを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段が画像調整モードを中断又は終了させないと判断した場合、画像調整モードの中断又は終了不可の理由をユーザに知らせる手段を備えたことを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、画像形成動作中に画像調整モードが中断された場合、その画像形成動作の終了後に中断されていた画像調整モードを再開させることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−199428(P2007−199428A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−18292(P2006−18292)
【出願日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】