説明

画像形成装置

【課題】異なる構成の画像形成ユニットを装置本体内に収容することのできる画像形成装置を提供する。
【解決手段】異なる構成の画像形成ユニットである内部ユニット101を選択的に本体シャーシ90に装着可能な画像形成装置において、第1の調節部により内部ユニットにシートを搬送するシート搬送部7の内部ユニットに対する位置を調節し、第2の調節部により画像が形成されたシートを排出するシート排出部6の内部ユニットに対する位置を調節する。そして、内部ユニット101を選択的に装着する際、第1の調節部及び第2の調節部により、シート搬送部7及びシート排出部6の交換された内部ユニット101に対する位置を調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関し、特に異なる構成の画像形成ユニットを本体内に収容するための構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の画像形成装置は、シートに画像を形成するための画像形成部を備えている。なお、画像形成部は、レーザスキャナやLEDアレイからなる画像書き込み手段、感光ドラム、一次及び二次帯電手段、トナー供給手段、転写手段、トナー回収及び清掃手段、画像定着手段、駆動手段、紙搬送手段などの要素を備えている。
【0003】
また、このような画像形成部としては、一つの感光ドラムを備えたモノクロ電子写真方式、複数の感光ドラムを直線的に配置したタンデム型のカラー電子写真方式、複数の感光ドラムを公転させるロータリー型カラー電子写真方式のものがある。
【0004】
ところで、従来、画像形成部が寿命となると、画像形成部を機外へ取り出して交換や修理等を行えるようにしたものがある。そして、このような画像形成装置では、例えば画像形成部の構成要素である作像部が寿命によって交換を必要とする場合の目安を明示すると共に、作像ユニットと感光ドラムが装置本体に着脱可能に構成されているものがある(特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】特開昭64−26865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような画像形成部の交換が可能な従来の画像形成装置においては、画像形成部の交換等は可能であるが、近年の商品の多種多様化に応じた対応がなされていない。即ち、画像形成部として既述したような各種の電子写真方式の装置があるが、電子写真方式が異なる場合、シートが進入してくる位置と方向、シートを排出する位置と方向が異なる。また、定着器などの熱源の位置、構成要素によるエアフロー(気圧勾配)の条件などが異なる。
【0007】
このため、画像形成部を装置本体から完全に取り外し、構造の異なる別の画像形成部を装置本体に組み込むことが出来ない。よって、例えば装置本体を回収し、装置本体の枠体、即ち画像形成部の支持体をリサイクルしようとすると、支持体を、新たに組み込む画像形成部の型にあわせて個別に設計しなければならなかった。
【0008】
つまり、従来の画像形成装置では、画像形成部を交換して装置本体をリサイクルしようとしても、回収前の画像形成部とは異なる構造の画像形成部を本体本体内に収納することができないため、装置本体(の枠体)の流用や共通化ができない。また、本体を流用する場合には、多くの設計工数を必要としたり、リサイクル管理コストが上昇するなどの課題があった。
【0009】
そこで、本発明は、このような現状に鑑みてなされたものであり、異なる構造の画像形成ユニットを選択的に装置本体に装着することのできる画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、異なる構造の画像形成ユニットが選択的に装着可能な装置本体と、前記装置本体に装着された前記画像形成ユニットにシートを搬送するシート搬送部と、前記画像形成ユニットにより画像が形成されたシートを排出するシート排出部とを備えた画像形成装置において、前記画像形成ユニットに対する前記シート搬送部の接続位置を調節するための第1の調節部と、前記画像形成ユニットに対する前記シート排出部の接続位置を調節するための第2の調節部と、を備え、装着された画像形成ユニットに応じて、前記第1の調節部及び前記第2の調節部により前記シート搬送部及び前記シート排出部の前記画像形成ユニットへの接続位置を調節することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明のように、シート搬送部及びシート排出部の画像形成ユニットに対する位置を調節することにより、異なる構成の画像形成ユニットを選択的に装置本体内に収容することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの外装を外した外観概要図、図2は、このカラープリンタの画像形成部を引き出したときの状態を示す斜視図である。なお、このカラープリンタは、中間転写ベルトを用いた4ドラムフルカラープリンタである。
【0014】
図1及び図2において、1はカラープリンタ、2はカラープリンタ本体、10はイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の4色のドラムユニット10aを備えた画像形成部である。31は中間転写体である中間転写ベルト、40は定着器である。
【0015】
ここで、4色のドラムユニット10aは、それぞれ中間転写ベルト31に沿って並列配置されると共に、像担持体である感光体ドラム11を備えている。さらに、感光体ドラム11の外周表面上には、それぞれ感光体ドラム表面を一様に帯電する不図示の一次帯電器と、レーザスキャナ13による露光により形成された感光体ドラム表面上の静電潜像を現像する現像器14を備えている。
【0016】
そして、このように構成されたカラープリンタ1では、画像形成動作が開始されると、例えばイエローのドラムユニットにおいては、まず感光体ドラム11の表面が一次帯電器によって一様にマイナス帯電される。次にレーザスキャナ13により画像露光が行われ、これにより感光体ドラム11の表面にはイエロー画像成分と対応した静電潜像が形成される。
【0017】
次に、この静電潜像は、現像器14によりマイナス帯電したイエロートナーを用いて現像され、イエロートナー像として可視化される。そして、このようにして得られたイエロートナー像は、一次転写ブレード17により中間転写ベルト31上に一次転写される。
【0018】
そして、このようなトナー画像形成動作を、他のドラムユニットにおいて所定のタイミングを持って行い、各感光体ドラム11上に形成された各色トナー像をそれぞれ一次転写ブレード17により中間転写ベルト31上に順次重ねて一次転写する。次に、中間転写ベルト31上に転写された4色のトナー像は、中間転写ベルト31の回転に伴い、中間転写ベルト31と二次転写ローラ35とにより構成される二次転写部に移動される。
【0019】
一方、このようなトナー画像形成動作に並行してカセット20又はマルチ給紙トレイ25からシートが給送され、この後、このシートは、後述する図6に示すレジストローラ対23により中間転写ベルト31上のトナー像と同期を取って二次転写部に搬送される。
【0020】
そして、中間転写ベルト31上のカラーのトナー像は、この二次転写部においてシートに転写される。この後、シートのトナー像は、定着器40によって加熱加圧されることでシートに定着される。
【0021】
次に、このようにトナー像が定着された後、シートの片面にのみトナー像を形成する場合には、シートは後述する図5に示す切り換えフラッパ61の切り換えにより排紙ローラ206を介して装置本体2の上面に配置されている排紙部64に排出される。
【0022】
一方、シートの両面にトナー像を形成する場合は、定着器40によってトナー像が定着されたシートを、排紙ローラ206により排紙部64の方向へ搬送し、シートの後端がフラッパ61を通過した後、排紙ローラ206を逆回転させる。
【0023】
ここで、シートの後端がフラッパ61を通過すると、フラッパ61が自重により下方へ移動して後述する図5に示す両面搬送路70を開放するので、排紙ローラ206を逆回転させると、シートは、両面搬送路70に搬送される。そして、この後、排紙ローラ206の逆回転により、シートは両面搬送路70と共に再搬送路を形成する搬送路73を経由してレジストローラ対23に到達する。このとき、シートは表裏反転した状態にあり、これにより既述した片面画像形成と同様の過程を経て他方の面に画像が形成される。
【0024】
ところで、101は、本発明の画像形成ユニットとしてのタンデム型の内部ユニット、6は排紙ローラ206等を備えた排紙ユニット、7はレジストローラ対23等を備えたレジストユニット、210はファンダクト、90は装置本体としての本体シャーシである。そして、内部ユニット101は本体シャーシ90に交換可能に設けられている。また、シート排出部である排紙ユニット6、シート搬送部であるレジストユニット7、排気手段であるファンダクト210は本体シャーシ90に上下方向及び横方向にスライド調整自在に取り付けられている。
【0025】
内部ユニット101は、既述した4色分の4つのドラムユニット10aを感光ドラム11の軸に対して互いに平行になるように配置した画像形成部10、レーザスキャナ13を備えている。
【0026】
また、中間転写ベルト31、中間転写ベルト31上の4色のトナー像をシートに転写する二次転写ローラ35、定着器40、及び感光ドラム11、中間転写ベルト31、定着器40を回転駆動させるモータを含む不図示の駆動ユニットを備えている。
【0027】
さらに、現像器14にトナーを供給する不図示のホッパ及び4色のトナーボトル77、中間転写ベルト31表面に残ったトナーを清掃、回収する不図示のクリーニングユニット及びトナー回収器を備えている。
【0028】
また、二次転写ローラ35から定着器40へシートを案内する不図示の定着入り口ガイド、シートがレジストローラ23を通過した後に経由する転写路76の入り口を構成する転写入り口ガイド75、これら各機器等を支持するプリンタ支持筐体80を備えている。
【0029】
ここで、図2に示すように、内部ユニット101を構成するプリンタ支持筐体80の上面を構成する定着器40には位置決め穴101aが形成され、底面には二箇所、突起81a,81bが設けられている。また、転写入り口ガイド75の底面には位置決め穴101cが二箇所、設けられている。なお、この位置決め穴101cのうち一方の図示していない。
【0030】
また、本体シャーシ90の下部には、互いに平行な案内手段としてのレール91a,91bが設けられている。なお、このレール91a,91bは金属レールを2段もしくは3段に伸縮自在に連結したものである。
【0031】
そして、このレール91a,91bに設けられた不図示の嵌合穴にプリンタ支持筐体80の底面に形成された突起81a,81bを嵌合することにより、内部ユニット101を水平方向に移動させながら本体シャーシ90内に引き出し可能に収容することができる。なお、内部ユニット101を取り外す場合は、レール91a,91bと共に内部ユニット101を本体シャーシ90内から引き出した後、レール91a,91bとの嵌合を解除するようにする。
【0032】
ここで、このレール91a,91bの引き出し方向上流側の後端には、図3に示すように抜け止め突起91cが設けられている。また、本実施の形態において、給紙カセット20は、内部ユニット101の引き出し方向に引き出し可能に装置本体2(本体シャーシ90)に装着されている。
【0033】
そして、給紙カセット20が装置本体2に装着されているときには、レール91a,91bの抜け止め突起91cが給紙カセット20の後部係止突起20aに係止するようになっており、これによりレール91a,91bの抜け止めがなされるようになっている。したがって、給紙カセット20を引き出さなければレール91a,91bを引き出すことはできない。つまり、内部ユニット101を引き出すためには、給紙カセット20を引き出さなければならない。
【0034】
なお、レール91a,91bの引き出し方向下流側の先端部には給紙カセット20を引き出した後、内部ユニット101と共にレール91a,91bを引き出した際、給紙カセット20の把手20bに当接する支持部91dが設けられている。そして、レール91a,91bを引き出した際、この支持部91dを給紙カセット20の把手20bに当接させることにより、給紙カセット20によってレール91a,91bを下方から支えることができる。これにより、レール91a,91bを安定させた状態で、内部ユニット101を交換、載置することができる。
【0035】
なお、内部ユニット101を本体シャーシ90内に収容する際には、給紙カセット20を引き出したままの状態でレール91a,91bをスライドさせながら内部ユニット101と共に移動させるようにする。このとき、支持部91dは、バネ91eに抗してスライドの妨げにならない位置に移動する。
【0036】
図4は本体シャーシ90内に設けられた排紙ユニット6の斜視図、図5は、排紙ユニット6の構成を説明した図である。シート排出部である排紙ユニット6は第1の調節部であるハウジング207と、排紙ローラ対206と、シート排出路である排紙搬送路201と、両面搬送路70とを具備している。
【0037】
ここで、排紙搬送路201を構成するガイド部材201d,201eは、ハウジング207に設けられた二つの水平方向に延びた長穴201a,201bにより、ハウジング207に対して水平方向に移動可能となっている。また、両面搬送路70を構成するガイド部材70d,70eも、ハウジング207に設けられた、同様に水平方向に延びた長穴70a,70bによりハウジング207に対して水平方向に移動可能となっている。
【0038】
なお、図5に示す70f、70gは両面搬送路70を構成するガイド部材70d,70eに設けられた軸である。そして、この軸70f,70gを長穴70a,70bに挿通させることにより、ガイド部材70d,70e(両面搬送路70)の水平方向の移動が可能となっている。201f、201gは排紙搬送路201を構成するガイド部材201d,201eに設けられた軸である。この軸201f,201gを長穴201a,210bに挿通させることにより、ガイド部材201d,201e(排紙搬送路201)の水平方向の移動が可能となっている。
【0039】
一方、ハウジング207には、上下方向に延びた長穴207a,207bが設けられている。そして、この長穴207a,207bを本体シャーシ90に設けられた不図示の係止部と係止することにより、ハウジング207は本体シャーシ90に対して鉛直方向に移動可能となっている。つまり、この長穴207a,207bを本体シャーシ90に設けられた係止部と係止することにより、ハウジング207を介して両面搬送路70及び排紙搬送路201の垂直方向への移動が可能となっている。
【0040】
このように、長穴70a,70b,201a,201b,207a,207bを備えたハウジング207に両面搬送路70及び排紙搬送路201を設けることにより、両面搬送路70及び排紙搬送路201を垂直及び水平方向へ移動させることができる。
【0041】
また、ハウジング207の下面は定着器40から搬送されてくるシートを排紙ローラ対206へ導引するための開口部201cと、搬送路73(図2参照)へシートを送出するための開口部70cが設けられている。さらに、ハウジング207の下面には内部ユニット101上の位置決め穴101a(図2参照)に嵌合して排紙ユニット6の位置決めを行う位置決め突起207cが形成されている。
【0042】
そして、内部ユニット101を交換する場合、或は内部ユニット101の代わりに後述する図10に示す他の構成の内部ユニット102を収納する際には、まず内部ユニット101を取り外すようにしている。次に、内部ユニット101、又は他の構成の内部ユニット102(以下、内部ユニット101等という)が本体シャーシ90内に収容される前に排紙ユニット6(ハウジング207)を長穴207a,207bに沿って上方に退避させる。
【0043】
次に、内部ユニット101等を本体シャーシ90内に納めた後、長穴70a,70b,201a,201bに沿って両面搬送路70及び排紙搬送路201を、内部ユニット101等の定着器40及び搬送路73に臨む位置に移動させる。この後、位置決め突起207cを内部ユニット101等の位置決め穴101aに嵌合する。
【0044】
これにより、排紙ユニット6の内部ユニット101等に対する鉛直方向及び水平方向の位置決めがなされるようになる。この結果、排紙搬送路201の開口部201cと両面搬送路70の開口部70cを、内部ユニット101等の定着器40の出口及び搬送路73に係合させて固定することができる。本実施の形態において、排紙搬送路201の開口部201cと両面搬送路70の開口部70cは内部ユニット101に対する紙搬送インターフェースとして機能する。
【0045】
なお、図5において、203は排紙搬送路201及び両面搬送路70が水平方向に移動することによって生じる排紙ローラ対206との間隙を補正するための上下一対の延長ガイドである。この延長ガイド203は、ハウジング207に対して回動軸203a,203bを支点として上下方向に回動自在となっており、ばね204により排紙搬送路201のガイド部材201dの上端下面と両面搬送路70のガイド部材70eの上端上面に圧接している。
【0046】
図6は本体シャーシ90内に設けられたシート搬送部であるレジストユニット7の構成を説明する斜視図である。レジストユニット7は本体シャーシ90の底部に設けられ、本体シャーシ90の下方の給紙カセット20と内部ユニット10の間に位置する。
【0047】
レジストユニット7は、第2の調節部であるハウジング222と、レジストローラ対23と、レジストガイド224と、レジストローラ対23及びレジストガイド224の両端を支持する側板225とからなっている。そして、シートを画像形成部10に搬送するシート搬送路を構成するレジストガイド224及びレジストローラ対23を備えた側板225は、水平方向に延びたスライド長穴225aにより、ハウジング222に対して水平方向に移動可能となっている。
【0048】
また、ハウジング222は、上下方向に延びたスライド長穴222aにより、本体シャーシ90に対して鉛直方向に移動可能となっている。そして、このようにスライド長穴225a,222aを備えたハウジング222に側板225を設けることにより、レジストガイド224及びレジストローラ対23を垂直及び水平方向へ移動させることができる。
【0049】
また、側板225の上面には、既述した内部ユニット101上の位置決め穴101c(図2参照)に嵌合してレジストユニット7の位置決めを行う位置決め突起225bが設けられている。なお、この位置決め突起225bは、長手方向反対側に位置する不図示の側板にも設けられている。
【0050】
そして、内部ユニット101を交換する場合、或は内部ユニット101の代わりに他の内部ユニットを収納する際には、まず内部ユニット101を取り外すようにしている。次に、内部ユニット101等が本体シャーシ90内に収容される前にレジストユニット7(ハウジング222)をスライド長穴222aに沿って下方にスライド退避させる。
【0051】
次に、内部ユニット101等を本体シャーシ90内に納めた後、スライド長穴222aに沿ってハウジング222を上方に移動させる。また、側板225と一体にレジストガイド224及びレジストローラ対23を内部ユニット101等の転写路76(図2参照)に臨む位置に移動させる。この後、位置決め突起225bを内部ユニット101の位置決め穴101cに嵌合する。
【0052】
これにより、レジストユニット7の内部ユニット101等に対する鉛直方向及び水平方向の位置決めがなされるようになる。この結果、レジストユニット7は、レジストガイド224及びレジストローラ対23を内部ユニット101等の転写路76に臨む位置に固定される。なお、このようにレジストユニット7を内部ユニット101に位置決めして取り付けたとき、レジストローラ対23は内部ユニット101に対する紙搬送インターフェースとして機能する。
【0053】
図7は、本体シャーシ90の背面部の電装ハウジング93に設けられた排気手段であるファンダクト210の斜視図、図8はファンダクト210の構成を説明する図である。
【0054】
図7及び図8において、211はファンであり、このファン211は装置体背面の外装カバー92に設けたスリット付き開口部92aに面して電装ハウジング93に取り付けられている。そして、ファン211の四隅には弾性変形可能なワイヤー217が4本設けられており、これらワイヤー217の先端には第1の固定板214が、ワイヤー217に沿って移動可能に取り付けられている。
【0055】
なお、この第1の固定板214の中央部には風路の入り口として機能する開口部である吸気口214aが形成されている。また、本実施の形態においては、4本のワイヤー217の周囲を布、ゴムまたは伸縮自在の樹脂などで覆って排気ダクト216を構成し、第1の固定板214からファン211までの空気漏れを防いでいる。
【0056】
ここで、第1の固定板214は、図9に示す電装ハウジング93に取り付けられた第3の調節部である第2の固定板215に設けられた上下方向に延びた長穴215aに沿って第2の固定板215に対して鉛直方向に移動可能となっている。そして、任意の位置でビス212により、第2の固定板215に固定されるようになっている。
【0057】
また、第2の固定板215は、水平方向に延びた長穴215bを有しており、この長穴215bに沿って電装ハウジング93に対して水平方向に移動可能となると共に、任意の位置で電装ハウジング93にビス212により固定できるようになっている。なお、この第2の固定板215も第1の固定板214と同じく開口部215cを有し、また電装ハウジング93も同じく開口部を有している。これにより、ファン211から本体シャーシ90内部への空気の流れを保証している。
【0058】
このように、長穴215a,215bを備えた第2の固定板215に開口部214aを備えた第1の固定板214を取り付けることにより、吸気口214aを垂直及び水平方向へ移動させることができる。
【0059】
そして、内部ユニット101を交換する場合、或は内部ユニット101の代わりに他の内部ユニットを収納する際には、まず内部ユニット101を取り外すようにしている。次に、内部ユニット101等が本体シャーシ90内に収容される前に第1の固定板214を長穴215aに沿って上下方向に移動させる。また、第2の固定板215を長穴215b沿って左右方向に移動させる。
【0060】
この後、内部ユニット101からの排熱に最適な位置で二つの固定板214,215を固定する。これにより、吸気口214aを内部ユニット101等に臨む位置に移動させることができる。なお、排気ダクト217に別途開口部を設け、電装ハウジング93内の排熱を行ってもよい。
【0061】
図10は、このような構成のカラープリンタ1に装着可能な他の構成の画像形成ユニットとしてのロータリー型の内部ユニットの構成を示す図である。なお、図10において、図2と同一符号は、同一又は相当部分を示している。
【0062】
ここで、ロータリー型の他の内部ユニット102は、図2に示すタンデム型の内部ユニット101と異なる構成の画像形成部10を有しており、シートが画像形成部10に進入してくるのに最適な位置は、タンデム型の内部ユニット101とは異なる。また、定着部40も異なる位置にあるため、シートが定着器40から排出される位置もそれぞれ異なり、さらに熱源や熱容量や内部エアフロー(風が通る隙間)も異なるため、排熱に最適なファンダクトの位置がそれぞれ異なる。
【0063】
なお、この他の内部ユニット102には、タンデム型の内部ユニット101と同様の位置に、位置決め突起81a,81b及び位置決め穴101a,101cが設けられている。
【0064】
次に、タンデム型の内部ユニット101と他の内部ユニット102とを交換する方法について説明する。
【0065】
まず、タンデム型の内部ユニット101を本体シャーシ90から取り外す。この場合、最初にマルチ給紙トレイ25を取り外し、この後、排紙ユニット6を上方に移動させながら排紙搬送路201と定着器40との接続を解除する。また、レジストユニット7を下方に移動させながら転写入り口ガイド75との接続を解除する。なお、ファンダクト210は内部ユニット101に対して接続手段を有していないため、接続解除の必要はない。
【0066】
次に、給紙カセット20を図2の右手前方向に引き出した後、内部ユニット101をレール91と共に引き出し、この後、レール91との嵌合を解除することにより、内部ユニット101を本体シャーシ90から取り外す。
【0067】
次に、他の内部ユニット102を、位置決め突起81a,81bをレール91にそれぞれ嵌合させてレール91に搭載し、この後、他の内部ユニット102をレール91と共に本体シャーシ90内に収容する。このとき、予め排紙ユニット6を上方に退避させ、レジストユニット7を下方へ退避させておく。また、マルチ給紙トレイ25は外しておく。
【0068】
次に、他のユニット102の定着器40の上部両側に設けた位置決め穴101a,101aに対して、排紙ユニット6の位置決め突起207c(図4参照)を嵌合させて排紙ユニット6の前後左右上下方向を決定し、固定する。
【0069】
次に、レジストユニット7の位置決め突起225b(図6参照)を他のユニット102の転写入り口ガイド75近傍に設けた位置決め穴101cに嵌合させ、レジストユニット7を固定する。次に、マルチ給紙トレイ25を他の内部ユニット102の側方に、給紙カセット20を本体シャーシ90内にそれぞれ装着する。
【0070】
なお、ファンダクト210は他の内部ユニット102の排熱に最適な位置を選択して第1及び第2の固定板214,215を移動させ、吸気口214aが他の内部ユニット102に臨む排熱(排気)に最適な位置に固定する。これにより、他の内部ユニット102が、排紙ユニット6及びレジストユニット7の位置の違いによる制約を受けることなく、本体シャーシ内に収容される。
【0071】
このように、内部ユニット交換時、排紙ユニット6及びレジストユニット7の、交換された他の内部ユニット102に対する位置を調節することにより、異なる構成の画像形成部10を備えた内部ユニット102を選択的に装置本体内に収容することができる。これにより、画像形成部10の構成が異なっても排紙ユニット6、レジストユニット7、ファンダクト210の位置を自由に設定でき、装置本体2(本体シャーシ90)を共通化することが出来る。
【0072】
以上説明した構成により、異なる画像形成方式(構造)の画像形成部(画像形成ユニット)を一つの本体シャーシ(装置本体)に装着でき、これにより装置本体の流用や共通化が可能となり、製品コストの低減を図ることができる。また、リサイクルをする場合にも、容易に画像形成ユニットを外すことができるため、リサイクルコストが低減でき、さらに、方式が異なる画像形成装置への作り替えも容易に行える。
【0073】
なお、これまでの説明においては、中間転写ベルトを用いたカラープリンタについて述べたが、本発明は、これに限定するものではない。例えば、中間転写ベルトを用いないカラープリンタや、像担持体である、例えば感光ドラムが一つのカラー電子写真プリンタや、白黒プリンタにおいても、勿論適用可能である。
【0074】
また、本実施の形態では、内部ユニット101,102に対する排紙ユニット6及びレジストユニット7の取り付けとして長穴により位置調整を行う構成を一例として示したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、複数の位置決め穴を設けて選択的に使用することにより位置調整をしてもよい。さらに、長穴と位置決め穴との両方を用いて位置調整をしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるカラープリンタの外装を外した外観概要図。
【図2】上記カラープリンタの画像形成部を引き出したときの状態を示す斜視図。
【図3】上記カラープリンタの、画像形成部を備えた内部ユニットを引き出す構成を説明する図。
【図4】上記カラープリンタ本体シャーシ内に設けられた排紙ユニットの斜視図。
【図5】上記排紙ユニットの構成を説明する図。
【図6】上記本体シャーシ内に設けられたレジストユニットの構成を説明する斜視図。
【図7】上記本体シャーシ内に設けられたファンダクトの斜視図。
【図8】上記ファンダクトを説明する図。
【図9】上記ファンダクトを説明する他の図。
【図10】上記カラープリンタに装着可能な他の構成の画像形成部を備えたロータリー型の内部ユニットの構成を示す図。
【符号の説明】
【0076】
1 カラープリンタ
2 装置本体
6 排紙ユニット(シート排出部)
7 レジストユニット(シート搬送部)
10 画像形成部
23 レジストローラ対
70 両面搬送路
73 搬送路
90 本体シャーシ(装置本体)
91 レール
101 内部ユニット(画像形成ユニット)
102 内部ユニット(画像形成ユニット)
201 排紙搬送路
207 ハウジング
210 ファンダクト
214 第1の固定板
214a 吸気口
215 第2の固定板
216 排気ダクト
222 ハウジング
224 レジストガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異なる構造の画像形成ユニットが選択的に装着可能な装置本体と、前記装置本体に装着された前記画像形成ユニットにシートを搬送するシート搬送部と、前記画像形成ユニットにより画像が形成されたシートを排出するシート排出部とを備えた画像形成装置において、
前記画像形成ユニットに対する前記シート搬送部の接続位置を調節するための第1の調節部と、
前記画像形成ユニットに対する前記シート排出部の接続位置を調節するための第2の調節部と、を備え、
装着された画像形成ユニットに応じて、前記第1の調節部及び前記第2の調節部により前記シート搬送部及び前記シート排出部の前記画像形成ユニットへの接続位置を調節することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記シート搬送部は、シートを前記画像形成ユニットに搬送するシート搬送路を備え、前記シート搬送路の選択的に装着される画像形成ユニットに対する位置を調節するよう前記第1の調節部により前記装置本体に対する前記シート搬送路の位置を調節することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記シート排出部は、前記画像が形成されたシートを排出するシート排出路を備え、前記シート排出路の選択的に装着される画像形成ユニットに対する位置を調節するよう前記第2の調節部により前記装置本体に対する前記シート排出路の位置を調節することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記シート排出部は、前記画像が形成されたシートを再度、画像形成ユニットに向かわせる再搬送路を備え、前記再搬送路の選択的に装着される画像形成ユニットに対する位置を調節するよう前記第2の調節部により前記装置本体に対する前記再搬送路の位置を調節することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記装置本体に設けられた排気手段と、
前記排気手段の前記画像形成ユニットに対する位置を調節する第3の調節部と、を備え、
前記第3の調節部により前記排気手段の選択的に装着される画像形成ユニットに対する位置を調節することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記排気手段は前記画像形成ユニットに臨む開口部を有する排気ダクトを備え、選択的に装着される画像形成ユニットに対する前記排気ダクトの開口部の位置を調節するよう前記第3の調節部により前記装置本体に対する排気ダクトの開口部の位置を調節することを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記画像形成ユニットを前記装置本体内に収容するための案内手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−271660(P2007−271660A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93633(P2006−93633)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】