説明

画像形成装置

【課題】現像装置本体内のトナー量を検出するレベルセンサを採用しないことを前提として過剰なトナーの供給を確実に防止することができるようにする。
【解決手段】プリンタ10に適用される現像装置20は、軸心回りの回転によってトナーを感光体ドラム131に供給する現像ローラ34を備えた現像装置本体30と、現像装置本体30にトナーを軸心回りの回転によって補給する補給ローラ43を備えたトナーカートリッジ40と、現像装置本体30内のトナー量が予め設定された上限レベルLに到達しているか否かにより補給ローラ43を停止および回転の間で機械的に切り換える切換機構50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電潜像の形成された像担持体に現像装置から現像剤を供給することにより前記像担持体に静電潜像に沿った現像剤像を形成させ、この現像剤像を被転写材に転写するように構成された複写機やファクシミリ装置、さらにはプリンタ等の画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
通常、複写機やファクシミリ装置、さらにはプリンタ等の画像形成装置は、所定の画像情報に基づき静電潜像の形成された像担持体としての例えば感光体ドラムに、現像装置から現像剤を供給することにより前記像担持体に静電潜像に沿った現像剤像を形成させ、この現像剤像を用紙(被転写材)に転写するように構成されている。かかる画像形成装置に使用される現像装置は、現像装置本体と、この現像装置本体にトナー(現像剤)を補給する着脱自在のトナーカートリッジとから構成されているのが一般的である。
【0003】
トナーカートリッジおよび現像装置本体には、トナーカートリッジ内のトナーを現像装置本体内へ補給するための補給開口および受入開口がそれぞれ設けられている。そして、トナーカートリッジが現像装置本体に装着されることにより、これら各開口を閉止していた蓋体がそれぞれ開放され、これによってトナーカートリッジ内のトナーが各開口を介して現像装置本体内に補給され得るようになっている。
【0004】
現像装置本体は、互いに平行に配された一対の攪拌搬送部材としてのスクリューフィーダと、これら一対のスクリューフィーダの軸心回りの駆動回転によって攪拌されながら現像装置本体内を循環搬送されつつあるトナーの一部を感光体ドラムの周面に供給する現像ローラとを備えている。
【0005】
一方、トナーカートリッジは、内部のトナーを攪拌する攪拌部材と、攪拌されつつあるトナーを送出開口に向けて送り込む補給ローラとを有している。従って、トナーカートリッジを現像器本体に装着し、蓋体を開放した状態でトナーカートリッジの攪拌部材および補給ローラを所定の駆動モータの駆動で動作させることにより、トナーカートリッジ内のトナーは、送出開口および受入開口を介して現像装置本体内に補給されることになる。
【0006】
ところで、現像装置本体内がトナーで満杯になっているにも拘わらず、トナーカートリッジの補給ローラが駆動を継続していると、トナーカートリッジから現像装置本体内へトナーが押し込まれることになり、現像装置内のトナーが過剰な圧迫を受け、適正に循環搬送され得なくなったり、トナーが凝集して適正に感光体ドラムに供給し得なくなったりするといった不都合が生じる。かかる不都合を解消するべく、現像装置本体内のトナーのレベルを検出するレベルセンサを設け、このレベルセンサが所定のレベルを検出すると、トナーカートリッジの攪拌部材および補給ローラの駆動を停止させる制御が行われるのが一般的である。
【0007】
しかしながら、かかる制御を行うとなると、レベルセンサや制御手段を設ける必要があり、部品コストや設計コストが嵩むという問題点が生じる。
【0008】
そこで、レベルセンサを設けることなく現像装置本体内のトナーを適正に循環移動させる構造が採用されたものとして、例えば、特許文献1に記載された現像装置が知られている。この特許文献1に記載の現像装置は、現像装置本体内における受入開口下部のトナー受入領域の下流側にトナーの搬送能力が局部的に低減される特定領域が設けられている。この特定領域では、搬送手段の搬送スクリューの径寸法を小さくすることによって搬送能力が低減されている。
【0009】
このような構成を採用することにより、現像装置本体内のトナー量の多寡に拘わらず特定領域には常にトナーが詰まった状態になるため、この詰まったトナーによってトナーカートリッジからさらに現像装置本体内に過剰のトナーが供給されることが防止され、レベルセンサを採用しなくてもよくなる。
【0010】
しかしながら、かかる搬送スクリューの径寸法が他より小さい特定領域を設けると、特定領域でトナーがトンネル状に残留してしまい、最後までトナーを使い切ることができなくなるという不都合の生じることがある。
【0011】
また、トナーが全く装填されていない初期段階において、トナーカートリッジから現像装置本体内にトナーが供給されると、供給されたトナーは、特定領域で滞留してしまい、現像装置本体内を循環搬送されなくなるため、循環搬送が行われるまで長時間に亘って現像装置を使用し得なくなり、迅速性に欠けるという不都合も生じる。
【0012】
かかる不都合を解消するものとして、特許文献2に記載されたような現像装置が提案されている。この現像装置においては、現像装置本体内に平行に並設された2本の搬送スクリューの長さ寸法や搬送能力を所定の条件を満足するように適正に設定することにより、特定領域にトナーを滞留させてトナーカートリッジからの現像装置本体への過剰なトナーの供給を抑制しつつ、現像装置本体内でのトナーの循環搬送が適正に行われるようになされている。
【特許文献1】特開2001−235933号公報
【特許文献2】特開2004−151340号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献2に記載されているように、たとえ現像装置本体内に平行に並設された2本の搬送スクリューの長さ寸法や搬送能力を所定の条件を満足するように適正に設定し、これによってトナーカートリッジからの現像装置本体への過剰なトナーの供給を抑制しつつ、現像装置本体内でのトナーの循環搬送を適正に行うようにしても、現像装置本体へのトナーの過剰な供給の抑制は、特定領域に滞留したトナーによってのみ行われるため、トナーカートリッジ内の攪拌部材や補給ローラが駆動されている限り、特定領域内のトナーは、常にトナーカートリッジからのトナーによって押圧されているため、例えば特定領域に滞留しているトナーが団塊化して一度に搬送されてまったりすると、トナーが過剰に現像装本体置内に供給されてしまうという不都合の生じる虞がある。
【0014】
本発明は、従来のかかる状況に鑑みなされたものであって、現像装置本体内のトナー量を検出するレベルセンサを採用しないことを前提として過剰なトナーの供給を確実に防止することができるように構成された現像装置を有する画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1記載の発明は、静電潜像の形成された像担持体に現像装置から現像剤を供給することにより当該像担持体に静電潜像に沿った現像剤像を形成させ、この現像剤像を被転写材に転写するように構成された画像形成装置において、前記現像装置は、軸心回りの回転によって現像剤を前記像担持体に供給する現像ローラを備えた現像装置本体と、軸心回りの回転によって前記現像装置本体に現像剤を補給する補給ローラを備えた現像剤補給容器と、現像装置本体内の現像剤量が所定の貯留量に到達しているか否かにより前記補給ローラを停止と回転との間で機械的に切り換える切換機構とを備えていることを特徴とするものである。
【0016】
かかる構成によれば、画像形成装置において、現像ローラの軸心回りの回転によって現像装置から静電潜像の形成された像担持体に現像剤を供給することにより像担持体に静電潜像に沿った現像剤像が形成される。この像担持体に形成された現像剤像を被転写材に転写処理することにより被転写材に現像剤像が形成される。
【0017】
そして、現像装置は、現像ローラを備えた現像装置本体と、現像装置本体に現像剤を補給する補給ローラを備えた現像剤補給容器と、現像装置本体内の現像剤量に応じて補給ローラを回転と停止との間で機械的に切り換える切換機構とを備えているため、予め切換機構が切換動作を行う現像装置本体内の現像剤量(所定の貯留量)を設定しておくことにより、現像装置本体内が所定の貯留量に到達するまでは補給ローラは回転し、これによって現像剤補給容器内の現像剤が現像装置本体内に供給される。
【0018】
そして、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達すると、切換機構が機械的に動作して補給ローラが停止するため、現像剤補給容器からの現像装置本体への現像剤の補給は行われなくなる。
【0019】
このように、現像装置本体内の現像剤量が所定の貯留量に到達しているか否かにより現像剤補給容器の補給ローラを停止および回転の間で機械的に切り換える切換機構を設けることにより、従来のように現像装置本体内の現像剤の貯留量を検出するレベルセンサを設けて電気的な制御を行う必要がなくなるばかりか、現像装置本体内に部分的に現像剤を滞留させる部分を設ける場合に比較して現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達した状態で現像剤補給容器からの現像剤の現像装置本体への供給が確実に阻止される。
【0020】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記切換機構は、前記現像装置本体内の現像剤量が前記所定の貯留量に到達していない状態で支持軸回りに回動し得る回動板と、前記回動板と一体回動して前記補給ローラの回転を許容する許容姿勢と前記補給ローラの回転を規制する規制姿勢との間で姿勢変更する切換レバーと、前記切換レバーが許容姿勢に姿勢設定された状態で所定の駆動手段からの駆動力を前記補給ローラに伝達する一方、切換レバーが規制姿勢に姿勢設定された状態で前記駆動手段からの駆動力の前記補給ローラへの伝達を遮断するクラッチ機構とを備えていることを特徴とするものである。
【0021】
かかる構成によれば、現像装置本体内に装填されている現像剤が所定の貯留量に到達していない状態では、切換レバーが補給ローラの回転を許容する許容姿勢に姿勢設定されているため、現像剤補給容器内の現像剤は、補給ローラの駆動回転により現像装置本体内に供給される。
【0022】
これにより回動板は、現像装置内の現像剤量の増加に伴い現像剤に押されて支持軸回りに回動し、回動板と一体の切換レバーも同時に回転する。そして、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達すると、切換レバーが規制姿勢に姿勢変更され、これによってクラッチ機構が駆動手段からの駆動力の補給ローラへの伝達を遮断するため、現像剤補給容器からの現像装置本体内への現像剤の補給が中断される。従って、現像装置本体内で現像剤が過剰になることが防止される。
【0023】
そして、現像装置本体内の現像剤が消費されることにより所定の貯留量より少なくなっていくと、回動板に対するトナーの押圧力が減少し、これによって回動板と一体の切換レバーが支持軸回りに逆方向に向けて回動して規制姿勢から許容姿勢に姿勢変更する。これによってクラッチ機構が駆動手段からの駆動力を前記補給ローラに伝達するようになるため、現像剤が現像剤補給容器から現像装置本体に供給される。
【0024】
このように、切換レバーが現像装置本体内の現像剤の多寡に応じて回動板を介して正逆回動し、これによる切換レバーの許容姿勢と規制姿勢との間の姿勢変更によるクラッチ機構の作用によって補給ローラが駆動回転したり停止したりするようになされているため、従来の現像装置本体内の現像剤のレベルをレベルセンサにより検出してこの検出信号に基づき現像装置本体内への現像剤の供給を制御する方式に比べて切換機構が簡単なものになる。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記補給ローラには、当該補給ローラと同心で一体回転可能なローラ側ギヤが設けられている一方、前記現像剤補給容器には、前記駆動手段の駆動力が伝達される第1中継ギヤと、前記第1中継ギヤと同心で対向配置され、かつ、前記ローラ側ギヤと噛合するとともに前記規制姿勢に設定された切換レバーにより回転が阻止される第2中継ギヤとが設けられ、前記クラッチ機構は、前記第1および第2中継ギヤ間に介設されて付勢力による摩擦力で第1中継ギヤの駆動回転を第2中継ギヤに伝達する一方、第2中継ギヤの回転が阻止された状態で第1中継ギヤの駆動回転が第2中継ギヤに伝達されなくなるバネクラッチを備えていることを特徴とするものである。
【0026】
かかる構成によれば、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達していない状態では、切換レバーが許容姿勢に設定されていることから、第2中継ギヤが切換レバーにより回転が阻止されることはなく、従って、第1中継ギヤの駆動回転がバネクラッチおよび第2中継ギヤを介してローラ側ギヤに伝達され、これによる補給ローラの回転で現像剤補給容器内の現像剤が現像装置本体内に供給される。
【0027】
これに対し、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達すると、切換レバーが許容姿勢から規制姿勢に姿勢変更して第2中継ギヤの回転が阻止されるため、たとえ第1中継ギヤが駆動回転していても、バネクラッチが滑って第2中継ギヤが回転しない。従って、第2中継ギヤと噛合したローラ側ギヤが回転することはなく、現像剤補給容器内の現像剤が現像装置本体内に供給されることはない。
【0028】
このように、駆動手段の駆動力が伝達される第1中継ギヤと、この第1中継ギヤと同心で対向配置され、かつ、ローラ側ギヤと噛合するとともに規制姿勢に設定された切換レバーにより回転が阻止される第2中継ギヤとの間にバネクラッチを介設することにより、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達した状態でローラ側ギヤ、すなわち補給ローラの回転を阻止する構造が簡単なものになる。
【0029】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の発明において、前記現像剤は、着色剤であるトナーのみによって構成されていることを特徴とするものである。
【0030】
通常、現像剤は、着色剤としてのトナーのみからなる1成分系のものと、トナーと、当該トナーに電荷を与えるためのキャリヤとの混合物からなる2成分系のものとの2種類があるが、2成分系の現像剤の場合、トナーのみが現像装置から像担持体に供給され、キャリヤは現像装置本体内に残留する。従って、トナーが消費されても現像装置本体内の現像剤の体積は残留したキャリヤによってそれ程減少しないため、現像装置本体内で回動板を回動させ得る空間が確保され難く、従って、回動板によりトナー減少の良好な検出精度の高い回動が得られない。
【0031】
これに対し、現像剤がトナーのみの1成分系のものである場合(請求項4)には、トナーの減少が即回動板の回動動作につながるため、トナー減少に対する高い検出精度が得られる。従って、現像剤が着色剤であるトナーのみによって構成されている場合の方が、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達したとき現像剤補給容器からの現像剤の現像装置本体への供給を阻止するために好適である。
【発明の効果】
【0032】
請求項1記載の発明によれば、現像装置本体内の現像剤量が所定の貯留量に到達しているか否かにより現像剤補給容器の補給ローラを停止および回転の間で機械的に切り換える切換機構が設けられているため、従来のように現像装置本体内の現像剤の貯留量を検出するレベルセンサを設けて電気的に制御する必要がなくなるばかりか、現像装置本体内に部分的に現像剤を滞留させる部分を設ける場合に比較して現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達した状態で現像剤補給容器からの現像剤の現像装置本体への供給を確実に阻止することができる。従って、現像装置本体内に過剰に補給された現像剤が凝集し、これによって現像剤を像担持体に適正に供給し得なくなり、結果として画像不良が生じるような不都合の発生を、簡易な構成で安価でありながら確実に防止することができる。
【0033】
請求項2記載の発明によれば、切換レバーが現像装置本体内の現像剤の多寡に応じて回動板を介して正逆回動し、これによる切換レバーの許容姿勢と規制姿勢との間の姿勢変更によるクラッチ機構の作用によって補給ローラが駆動回転したり停止したりするようになされているため、従来の現像装置本体内の現像剤のレベルをレベルセンサにより検出してこの検出信号に基づき現像装置本体内への現像剤の供給を制御する方式に比べて切換機構を簡単なものにすることができる。
【0034】
請求項3記載の発明によれば、駆動手段の駆動力が伝達される第1中継ギヤと、この第1中継ギヤと同心で対向配置され、かつ、ローラ側ギヤと噛合するとともに規制姿勢に設定された切換レバーにより回転が阻止される第2中継ギヤとの間にバネクラッチを介設することにより、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達した状態でローラ側ギヤ、すなわち補給ローラの回転を阻止する構造を簡単なものにすることができる。
【0035】
請求項4記載の発明によれば、現像剤がトナーのみの1成分系のものである場合には、トナーの減少が即回動板の回動空間確保につながり、トナー減少に対する高い検出精度が得られるため、現像剤が着色剤であるトナーのみによって構成されている場合の方が、現像剤がトナーとキャリヤとで構成されている場合に比較し、現像装置本体内の現像剤が所定の貯留量に到達したとき現像剤補給容器からの現像剤の現像装置本体への供給を阻止する上で有効である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は、本発明に係るプリンタ10の一実施形態を示す側面断面視の説明図である。この図に示すように、プリンタ(画像形成装置)10は、印刷処理に供する用紙(被転写材)Pを貯留する用紙貯留部12と、この用紙貯留部12に貯留された用紙束P1から繰り出された1枚ずつの用紙Pに対して画像形成処理を施す画像形成部13と、この画像形成部13で転写処理の施された用紙Pに対して定着処理を施す定着部14とが装置本体11に内装されると共に、定着部14で定着処理の施された用紙Pが排紙される排紙部15が装置本体11の頂部に設けられることによって構成されている。
【0037】
前記用紙貯留部12には、所定数(本実施形態では1つ)の用紙カセット121が装置本体11に対して挿脱自在に設けられている。用紙カセット121の上流端(図1の右方)には、用紙束P1から1枚ずつの用紙Pを繰り出させるピックアップローラ122が設けられている。このピックアップローラ122の駆動によって用紙カセット121から繰り出された用紙Pは、給紙搬送路123およびこの給紙搬送路123の下流端に設けられたレジストローラ対124を介して画像形成部13に給紙されるようになっている。
【0038】
前記画像形成部13は、コンピュータ等から電送された画像情報に基づき用紙Pに転写処理を施すものであり、前後方向(図1の紙面と直交する方向)に延びるドラム心回りに回転可能に設けられた感光体ドラム(像担持体)131の周面に沿うように、当該感光体ドラム131の直上位置から時計方向に向けて帯電器132、露光装置133、現像装置20、転写ローラ134およびクリーニング装置135が配設されることによって形成されている。
【0039】
前記感光体ドラム131は、周面に静電潜像およびこの静電潜像に沿ったトナー像(現像剤像)を形成させるためのものであり、周面に平準で、かつ、強靱なアモルファスシリコン層が積層され、これによってこれらの像を形成させるのに適したものになっている。
【0040】
前記帯電器132は、ドラム心回り時計方向に回転している感光体ドラム131の周面に一様な電荷を形成させるものであり、図1に示す例では、コロナ放電によって感光体ドラム131の周面に電荷を付与する方式が採用されている。なお、感光体ドラム131の周面に電荷を付与する部材として帯電器132に代えて周面が感光体ドラム131の周面と当接しながら従動回転しつつ電荷を付与する帯電ローラを採用してもよい。
【0041】
前記露光装置133は、コンピュータ等の外部の機器から電送されてきた画像データに基づき強弱の付与されたレーザー光を回転している感光体ドラム131の周面に照射し、これによる感光体ドラム131周面のレーザー光が照射された部分の電荷の消去によって当該感光体ドラム131の周面に静電潜像を形成させるものである。
【0042】
前記現像装置20は、感光体ドラム131の周面にトナーを供給することによって周面の静電潜像が形成された部分にトナーを付着させ、これによって感光体ドラム131の周面にトナー像を形成させるものである。なお、現像装置20については、図2〜図4に基づき後に詳述する。
【0043】
前記転写ローラ134は、感光体ドラム131の直下位置に送り込まれた用紙Pに対して当該感光体ドラム131の周面に形成されているプラスに帯電したトナー像を用紙Pに転写させるものであり、トナー像の電荷と逆極性であるマイナスの電荷を用紙Pに付与するようになっている。
【0044】
従って、感光体ドラム131の直下位置に到達した用紙Pは、転写ローラ134と感光体ドラム131とによって押圧挟持されつつ、プラスに帯電した感光体ドラム131周面のトナー像がマイナスに帯電した用紙Pの表面に向けて引き剥がされ、これによって用紙Pに対し転写処理が施されることになる。
【0045】
前記クリーニング装置135は、転写処理後の感光体ドラム131の周面に残留しているトナーを取り除いて清浄化するためのものである。このクリーニング装置135によって清浄化された感光体ドラム131の周面は、次の画像形成処理のために再び帯電器132へ向かうことになる。
【0046】
前記定着部14は、画像形成部13によって転写処理の施された用紙Pのトナー像に加熱による定着処理を施すものであり、用紙Pに熱を加える定着ローラ141と、この定着ローラ141の下部に対向配置された加圧ローラ142とを備えて構成されている。そして、転写処理後の用紙Pは、定着ローラ141と加圧ローラ142との間に形成されたニップ部Nへ向けて送り込まれ、当該ニップ部Nを通過することによって、定着ローラ141からの熱を得て定着処理が施されるようになっている。定着処理の施された用紙Pは、排紙搬送路143を通って排紙部15へ排出されることになる。
【0047】
前記排紙部15は、装置本体11の頂部が凹没されることによって形成され、この凹没した凹部の底部に排紙された用紙Pを受ける排紙トレイ151が形成されている。
【0048】
図2および図3は、現像装置20の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、図2は、切換機構50が分解された状態、図3は、切換機構50が組み立てられた状態をそれぞれ示している。また、図4は、図3のI−I線断面図(但し、駆動モータ21、駆動ギヤ22、第2中継ギヤ52、ラッチ歯車53、切換レバー553および捻りバネ554については左側面図)であり、図4(A)は、切換レバー553が許容姿勢S1に姿勢設定された状態、図4(B)は、切換レバー553が規制姿勢S2に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。なお、図2〜図4においてX−X方向を左右方向、Y−Y方向を前後方向といい、特に−X方向を左方、+X方向を右方、−Y方向を前方、+Y方向を後方という。
【0049】
これらの図に示すように、現像装置20は、前記感光体ドラム131の直後方に隣設される現像装置本体30と、この現像装置本体30の上部に着脱可能に装着されて当該現像装置本体30に現像剤(本実施形態ではトナー)を補給するトナーカートリッジ(現像剤補給容器)40と、現像装置本体30とトナーカートリッジ40との間に介設され、トナーカートリッジ40内のトナーを現像装置本体30へ供給し得る状態と、当該供給を停止させる状態との間で機械的に切り換える切換機構50とを備えた基本構成を有している。
【0050】
因みに現像剤は、トナーのみからなる、いわゆる1成分系のものと、トナーとキャリヤとからなる、いわゆる2成分系のものとがある。トナーは、着色剤、電荷制御剤およびワックス等の添加剤をバインダー樹脂中に分散させた粒径が6〜12μmの微粉体である。これに対してキャリヤは、磁鉄鉱(Fe)等の粒径が60〜200μmの磁性粒子であり、トナーを帯電させるために使用される。そして、トナーは、トナーカートリッジ40から現像装置20に適宜補給される消耗品であるのに対し、キャリヤは、予め所定量が現像装置20内に装填されており、消耗することなく循環使用されるのが一般的である。そして、本実施形態においては、現像剤としてトナーのみからなる1成分系のものが採用されている。
【0051】
前記現像装置本体30は、箱形の本体側ケーシング31内に、左右方向に延びる第1スクリューフィーダ32と、第2スクリューフィーダ33と、現像ローラ34とが後方から前方に向かって並設されることによって構成されている。
【0052】
前記本体側ケーシング31の天板における第1スクリューフィーダ32の直上には、トナーカートリッジ40内のトナーを本体側ケーシング31内へ受け入れるための受入開口311(図4)が設けられているとともに、本体側ケーシング31の前面には、当該本体側ケーシング31の左右方向の略全長に亘って開口されたトナーを感光体ドラム131へ供給するためのトナー供給開口312(図4)が開口されている。
【0053】
そして、前記トナーカートリッジ40から受入開口311を介して導入されたトナーは、第1および第2スクリューフィーダ32,33の駆動回転によって攪拌されつつ本体側ケーシング31内を周回し、その一部が駆動回転している現像ローラ34の周面を介して感光体ドラム131の周面へ供給されるようになっている。
【0054】
トナー供給開口312の上部には、図4に示すように、下端縁部が現像ローラ34の周面と対向した層厚規制ブレード35が設けられ、現像ローラ34の軸心回りの反時計方向へ向かう回動で当該現像ローラ34の周面によって感光体ドラム131へ向けて供給されるトナーは、層厚規制ブレード35と現像ローラ34の周面との間の隙間を通ることで所定の層圧になるようになされている。
【0055】
そして、前記第1および第2スクリューフィーダ32,33並びに現像ローラ34は、いずれも図略の駆動モータの駆動力が本体側ケーシング31の右側面に設けられた図略のギヤ機構を介して伝達され、これによって同期回転するようになっている。
【0056】
前記トナーカートリッジ40は、現像装置本体30内へ内部のトナー量に応じてトナーを補給するためのものであり、現像装置本体30に着脱可能に装着されている。かかるトナーカートリッジ40は、下部が側面視で漏斗状を呈した箱形のカートリッジ側ケーシング41内に、左右方向に延びるスクリューフィーダ42と、このスクリューフィーダ42と略同一長の左右方向に延びる補給ローラ43とを備えている。
【0057】
前記スクリューフィーダ42は、カートリッジ側ケーシング41における左右の側壁411の漏斗状の部分間であって、前後方向の中央部より若干後方寄りの部分に架設されている。かかるスクリューフィーダ42は、スクリュー軸421と、このスクリュー軸421の周面に同心、かつ、同一ピッチで連続的に形成されたスパイラルフィン422とを備えている。
【0058】
そして、このようなスクリューフィーダ42は、プリンタ10の装置本体11内の適所に設けられた駆動モータ(駆動手段)21の駆動力が、所定のギヤ機構211、装置本体11内におけるカートリッジ側ケーシング41の左面後方下部位置に設けられた駆動ギヤ22および後述する第1中継ギヤ51を介して伝達され、これによってスクリュー軸421回りに駆動回転し得るようになっている。
【0059】
前記補給ローラ43は、カートリッジ側ケーシング41における左右の側壁411の漏斗状の部分間の下部であって、前後方向の中央部に架設され、これによって前記スクリューフィーダ42の前方位置に並設された状態になっている。
【0060】
かかる補給ローラ43は、カートリッジ側ケーシング41の一対の側壁411間に貫通架設されるローラ軸431と、このローラ軸431に同心で一体回転可能に外嵌された補給ローラ本体432とを備えている。
【0061】
そして、このような補給ローラ43は、前記駆動モータ21の駆動力が、前記ギヤ機構211、前記駆動ギヤ22、前記第1中継ギヤ51、後述するバネクラッチ(クラッチ機構)54、後述する第2中継ギヤ52およびこの第2中継ギヤ52と噛合し、かつ、前記ローラ軸431に同心で一体回転可能に外嵌された補給ローラ側ギヤ(ローラ側ギヤ)44とを介して伝達され、これによってローラ軸431回りに駆動回転し得るようになっている。
【0062】
従って、駆動モータ21が駆動されると、この駆動力は、ギヤ機構211、駆動ギヤ22および第1中継ギヤ51を介してスクリューフィーダ42に伝達されるとともに、第1中継ギヤ51の回転は、バネクラッチ54、第2中継ギヤ52および補給ローラ側ギヤ44を介して補給ローラ43に伝達され、これによってスクリューフィーダ42と補給ローラ43とは同時に同期回転することになる。
【0063】
そして、前記カートリッジ側ケーシング41の底部には、前記補給ローラ43と対向する位置の左側部側に、カートリッジ側ケーシング41内のトナーを本体側ケーシング31内に導出するための導出開口433(図4)が設けられ、スクリューフィーダ42と補給ローラ43との同時駆動によってトナーカートリッジ40内で攪拌されながら搬送されつつあるトナーは、この導出開口433および現像装置本体30の受入開口311を介して本体側ケーシング31内に補給されるようになっている。
【0064】
前記切換機構50は、現像装置本体30の本体側ケーシング31内に貯留されているトナーが、予め設定された上限レベル(所定の貯留量)L(図4(B))に到達していない状態で補給ローラ43の駆動回転を許容する一方、トナーが上限レベルLに到達した状態で補給ローラ43の駆動を停止させるように補給ローラ43の動作を切り換えるものである。
【0065】
かかる切換機構50は、スクリューフィーダ42のスクリュー軸421に同心で一体回転可能に外嵌され、かつ、前記駆動ギヤ22に噛合し得るように径寸法が設定された第1中継ギヤ51と、この第1中継ギヤ51の左側において前記スクリュー軸421に同心で相対回転可能に外嵌された第2中継ギヤ52と、この第2中継ギヤ52の左面側に同心で一体回転可能に固定されたラッチ歯車53と、第2中継ギヤ52と第1中継ギヤ51との間に介設され、かつ、前記ローラ軸431に同心で相対回転可能に外嵌されたバネクラッチ54と、本体側ケーシング31内のトナー量に応じ後述する支持軸551回りに正逆回動して前記ラッチ歯車53の回転を許容したり止めたりする回動調整部材55とを備えて構成されている。
【0066】
本実施形態においては、第1中継ギヤ51と第2中継ギヤ52とは、同一径寸法に設定されているのに対し、ラッチ歯車53は、第2中継ギヤ52より若干小径に設定されている。かかるラッチ歯車53の周面には、周方向に等ピッチで複数のラッチ531が突設されている。
【0067】
前記バネクラッチ54は、バネ板によって形成され、前記スクリュー軸421に外嵌される中心孔を備えた前記第1中継ギヤ51より小径のバネ円板541と、このバネ円板541の周縁から周方向に等ピッチで外方に向かって突設された複数のクラッチ片542とを備えている。各クラッチ片542は、バネ円板541からの突設量が同一に設定されているとともに、第1中継ギヤ51へ向けて所定角度(本実施形態ではバネ円板541に対して略30°)折り曲げられている。
【0068】
そして、かかるバネクラッチ54は、第1中継ギヤ51がスクリュー軸421の奥まで外嵌された後に当該スクリュー軸421に外嵌される。引き続き第2中継ギヤ52およびラッチ歯車53がスクリュー軸421に外嵌され、バネクラッチ54が第1および第2中継ギヤ51,52に押圧挟持された状態で、スクリュー軸421のラッチ歯車53から外部に突出している部分に袋ナット45(図3)などの抜け止め部材が装着され、これによってバネクラッチ54の付勢力が確保されるようになっている。
【0069】
そして、バネクラッチ54がスクリュー軸421に装着された状態では、各クラッチ片542が第1および第2中継ギヤ51,52によって押圧挟持されることにより、右方に向けた突出量が減少するように弾性変形し、これによる付勢力で各クラッチ片542の先端部分が第1中継ギヤ51の左面に押圧当接するとともに、バネ円板541の左面が第2中継ギヤ52の右面に押圧当接し、普段はこの押圧当接による摩擦力で第2中継ギヤ52がスクリュー軸421回りに第1中継ギヤ51と一体回転するようになっている。
【0070】
この一体回転によって第2中継ギヤ52と噛合している補給ローラ側ギヤ44がローラ軸431回りに回転し、これによって補給ローラ43が回転するため、この回転に誘導されてカートリッジ側ケーシング41内のトナーが導出開口433(図4)および受入開口311を介して本体側ケーシング31内に導入されることになる。
【0071】
そして、前記回動調整部材55の所定の動作でラッチ歯車53の回転が阻止されると、第1中継ギヤ51の回転力がバネクラッチ54の摩擦力より大きいことから、第1中継ギヤ51は、バネクラッチ54と摺接状態で回転するため、この回転が第2中継ギヤ52に伝達されることはない。
【0072】
前記回動調整部材55は、本体側ケーシング31の上下方向の略中央部において、後面板314に沿うように一対の側板313間に架設された支持軸551と、本体側ケーシング31内においてこの支持軸551から径方向に下方に向かって突設された回動板552と、この回動板552と反対方向に向かうように支持軸551における左側の側板313から外部へ突出した部分に固定された切換レバー553と、回動板552および切換レバー553を支持軸551回りに時計方向に向けて付勢する捻りバネ554とを備えて構成されている。
【0073】
前記後面板314には、外方に向かって膨設された左右方向の全長に亘って延びる膨設部315が設けられ、前記支持軸551は、図3に示すように、この膨設部315の裏側に凹設された長尺凹部に摺接状態で嵌め込まれるようになっている。こうすることによって、トナーが支持軸551の上部から回動板552と後面板314との間の空間(回動板可動空間V)に入り込むのが防止されるようになっている。
【0074】
また、本体側ケーシング31の底板316は、その後部上面が支持軸551の軸心を曲率中心とした状態で回動板552の先端縁部が摺接する円弧面316aになっている。また、回動板552の下端縁部には、後方へ向かって円弧面316aに摺接するように若干量だけ突設された突設された左右方向の全長に亘って延びる突出縁部552aが設けられている。これによって回動板552の先端縁部と円弧面316aとの間から回動板可動空間V内にトナーが入り込むのを有効に防止し得るようになっている。
【0075】
また、前記回動板552は、左右方向の長さ寸法が一対の側板313の各対向面に摺接し得るように設定され、これによって本体側ケーシング31内のトナーが回動板552の側縁面と側板313の内面との間から回動板可動空間V内に入り込むのを有効に防止し得るようになっている。
【0076】
前記切換レバー553は、回動板552の突出縁部552aが回動板可動空間V内の円弧面316aにおいて最前端位置に位置した状態(切換レバー553が補給ローラ43の回転を許容する許容姿勢S1に姿勢設定された状態(図4(A)))から所定量だけ反時計方向に回動した状態(具体的には、本体側ケーシング31内にトナーが補給されることによりトナーの上面が上限レベルLに到達し、回動板552がこのようなトナーに押されて所定量回動することにより切換レバー553が補給ローラ43の回転を規制する規制姿勢S2に姿勢設定された状態(図4(B)))で、切換レバー553の上端がラッチ歯車53の先下がりで斜め後方に向いたラッチ531の下面に当接するように長さ寸法および回動板552に対する設置位相が設定されている。
【0077】
そして、かかる切換レバー553は、許容姿勢S1と規制姿勢S2との間でのみ支持軸551回りに回動し得るように、本体側ケーシング31の適所には図略のストッパが設けられている。また、前記捻りバネ554は、トナーの上面が上限レベルLに到達した状態における当該トナーの回動板552に対する押圧力より弾性力の小さいものが採用されている。
【0078】
このように構成された切換機構50によれば、本体側ケーシング31内にトナーが貯留されていない状態では、図4(A)に示すように、回動板552にトナーの圧力が加わることがないため、回動板552の突出縁部552aは、捻りバネ554の付勢力によって回動板可動空間V内の円弧面316aの最前方位置に位置し、これによって切換レバー553が許容姿勢S1に姿勢設定されている。
【0079】
そして、切換レバー553が許容姿勢S1に姿勢設定された状態では、当該切換レバー553の上端部がラッチ歯車53のラッチ531から外れているため、ラッチ歯車53は、スクリュー軸421回りに回転可能になっている。従って、この状態で駆動モータ21が駆動されると、この駆動力は、ギヤ機構211、駆動ギヤ22、第1中継ギヤ51、バネクラッチ54、第2中継ギヤ52および補給ローラ側ギヤ44を介してローラ軸431へ伝達され、これによる補給ローラ本体432のローラ軸431回りの一体回転によってカートリッジ側ケーシング41内のトナーが導出開口433および受入開口311を介して本体側ケーシング31内に補給される。
【0080】
このトナーの補給によって本体側ケーシング31内のトナーのレベルが上昇していくと、回動板552は、当該トナーの圧力によって押圧され、これによって捻りバネ554の付勢力に抗して支持軸551回りに反時計方向に向けて回動し始める。
【0081】
そして、本体側ケーシング31内のトナーのレベルが上限レベルLに到達すると、回動板552は、上限レベルLのトナーの押圧力を受けて支持軸551回りに反時計方向に向けて最大量回動した状態になり、これによって許容姿勢S1であった切換レバー553は、図4(B)に示すように、規制姿勢S2に姿勢変更する。この姿勢変更によって切換レバー553の上端がラッチ歯車53のラッチ531に噛み込んだ状態になるため、ラッチ歯車53は回転が規制される。
【0082】
従って、駆動モータ21の駆動による第1中継ギヤ51の回転は、バネクラッチ54が第1中継ギヤ51の左面および第2中継ギヤ52の右面で滑ることにより、第2中継ギヤ52には伝達されないため、補給ローラ43が回転することはなく、これによりカートリッジ側ケーシング41内のトナーが本体側ケーシング31内に供給されることはない。
【0083】
この状態で本体側ケーシング31内のトナーが消費されることにより減少していくと、トナーの押圧力の減少による回動板552の支持軸551回りの時計方向に向かう回動によって規制姿勢S2に姿勢設定されていた切換レバー553が許容姿勢S1へ戻って切換レバー553の上端がラッチ歯車53のラッチ531から外れるため、第2中継ギヤ52が回転を再開し、これによって補給ローラ43が回転するようになり、カートリッジ側ケーシング41内のトナーが本体側ケーシング31内に補給される。
【0084】
このように、本体側ケーシング31内のトナー量の増減に応じて切換レバー553が規制姿勢S2と許容姿勢S1との間で姿勢変更することにより、本体側ケーシング31内のトナー量は適正な範囲内で増減を繰り返すため、本体側ケーシング31内がトナーで満杯になっているにも拘わらず、補給ローラ43の駆動によってカートリッジ側ケーシング41からトナーが本体側ケーシング31内に押し込まれ、これによって本体側ケーシング31内のトナーが凝集してしまい、感光体ドラム131へトナーを適正に供給することができず、画像不良が生じるような不都合の発生が有効に防止される。
【0085】
以上詳述したように、本発明にかかるプリンタ10は、静電潜像の形成された感光体ドラム131に現像装置20からトナーを供給することにより感光体ドラム131に静電潜像に沿ったトナー像を形成させ、このトナー像を用紙Pに転写するように構成されているため、現像ローラ34の軸心回りの回転によって現像装置20から静電潜像の形成された感光体ドラム131にトナーを供給することにより感光体ドラム131に静電潜像に沿ったトナー像が形成される。この感光体ドラム131に形成されたトナー像を用紙Pに転写処理することにより、当該トナー像は、用紙Pに転写される。
【0086】
かかるプリンタ10に適用される現像装置20は、軸心回りの回転によってトナーを感光体ドラム131に供給する現像ローラ34を備えた現像装置本体30と、現像装置本体30にトナーを軸心回りの回転によって補給する補給ローラ43を備えたトナーカートリッジ40と、現像装置本体30内のトナー量が予め設定された上限レベルLに到達しているか否かにより補給ローラ43を停止および回転の間で機械的に切り換える切換機構50とを備えているため、予め切換機構50が切換動作を行う現像装置本体30内のトナー量(上限レベルL)を設定しておくことにより、現像装置本体30内が上限レベルLに到達するまで補給ローラ43は回転し、これによってトナーカートリッジ40内のトナーが現像装置本体30内に供給される。
【0087】
そして、現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達すると、切換機構50が動作して補給ローラ43が停止するため、トナーカートリッジ40からの現像装置本体30へのトナーの補給は行われなくなる。
【0088】
このように、現像装置本体30内のトナー量が予め設定された上限レベルLに到達しているか否かによりトナーカートリッジ40の補給ローラ43を停止および回転の間で切り換える切換機構50を設けられているため、従来のように現像装置本体30内のトナーの貯留量を検出するレベルセンサを設け必要がなくなるばかりか、現像装置本体30内に部分的にトナーを滞留させる部分を設ける場合に比較して現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達した状態でトナーカートリッジ40からのトナーの現像装置本体30への供給を確実に阻止することができる。
【0089】
そして、切換機構50は、現像装置本体30内のトナー量が上限レベルLに到達していない状態で支持軸551回りに回動し得る回動板552と、この回動板552と一体回動して補給ローラ43の回転を許容する許容姿勢S1と補給ローラ43の回転を規制する規制姿勢S2との間で姿勢変更する切換レバー553と、この切換レバー553が許容姿勢S1に姿勢設定された状態で駆動モータ21からの駆動力を補給ローラ43に伝達する一方、切換レバー553が規制姿勢S2に姿勢設定された状態で駆動モータ21からの駆動力の補給ローラ43への伝達を遮断するバネクラッチ54とを備えているため、現像装置本体30内に装填されているトナーが上限レベルLに到達していない状態では、切換レバー553が補給ローラ43の回転を許容する許容姿勢S1に姿勢設定されているため、トナーカートリッジ40内のトナーは、補給ローラ43の駆動回転により現像装置本体30内に供給される。
【0090】
これにより回動板552は、現像装置20内のトナー量の増加に伴いトナーに押されて支持軸551回りに回動し、回動板552と一体の切換レバー553も同時に回転する。そして、現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達すると、切換レバー553が規制姿勢S2に姿勢変更され、これによってバネクラッチ54が駆動モータ21からの駆動力の補給ローラ43への伝達を遮断するため、トナーカートリッジ40からの現像装置本体30内へのトナーの補給が中断される。従って、現像装置本体30内でトナーが過剰になることが防止される。
【0091】
そして、この状態で現像装置本体30内のトナーが消費されることにより上限レベルLより少なくなっていくと、回動板552に対するトナーの押圧力が減少していく。押圧力が捻りバネ554の付勢力より小さくなると、回動板552と一体の切換レバー553が支持軸551回りに逆方向に向けて回動して規制姿勢S2から許容姿勢S1に姿勢変更し、これによってバネクラッチ54が駆動モータ21からの駆動力を補給ローラ43に伝達するようになるため、トナーがトナーカートリッジ40から現像装置本体30に供給される。
【0092】
このように、切換レバー553が現像装置本体30内のトナーの多寡に応じて回動板552を介して正逆回動し、これによる切換レバー553の許容姿勢S1と規制姿勢S2との間の姿勢変更によるバネクラッチ54の作用によって補給ローラ43が駆動回転したり停止したりするようになされているため、従来の現像装置本体30内のトナーのレベルをレベルセンサにより検出してこの検出信号に基づき現像装置本体30内へのトナーの供給を制御する方式に比べて切換機構50を簡単なものにすることができる。
【0093】
また、補給ローラ43には、当該補給ローラ43と同心で一体回転可能な補給ローラ側ギヤ44が設けられている一方、トナーカートリッジ40には、駆動モータ21の駆動力が伝達される第1中継ギヤ51と、第1中継ギヤ51と同心で対向配置され、かつ、補給ローラ側ギヤ44と噛合するとともに規制姿勢S2に設定された切換レバー553により回転が阻止される第2中継ギヤ52とが設けられている。
【0094】
そして、バネクラッチ54は、第1および第2中継ギヤ52間に介設されて付勢力による摩擦力で第1中継ギヤ51の駆動回転を第2中継ギヤ52に伝達する一方、第2中継ギヤ52の回転が阻止された状態で第1中継ギヤ51の駆動回転が第2中継ギヤ52に伝達されなくなるように構成されているため、現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達していない状態では、切換レバー553が許容姿勢S1に設定されていることから、第2中継ギヤ52が切換レバー553により回転が阻止されることはなく、従って、第1中継ギヤ51の駆動回転がバネクラッチおよび第2中継ギヤ52を介して補給ローラ側ギヤ44に伝達され、これによる補給ローラ43の回転でトナーカートリッジ40内のトナーが現像装置本体30内に供給される。
【0095】
これに対し、現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達すると、切換レバー553が許容姿勢S1から規制姿勢S2に姿勢変更して第2中継ギヤ52の回転が阻止されるため、たとえ第1中継ギヤ51が駆動回転していても、バネクラッチが滑って第2中継ギヤ52が回転しない。従って、第2中継ギヤ52と噛合した補給ローラ側ギヤ44が回転することはなく、トナーカートリッジ40内のトナーが現像装置本体30内に供給されることはない。
【0096】
このように、駆動モータ21の駆動力が伝達される第1中継ギヤ51と、この第1中継ギヤ51と同心で対向配置され、かつ、補給ローラ側ギヤ44と噛合するとともに規制姿勢S2に設定された切換レバー553により回転が阻止される第2中継ギヤ52との間にバネクラッチを介設することにより、現像装置本体30内のトナーが上限レベルLに到達した状態で補給ローラ側ギヤ44、すなわち補給ローラ43の回転を阻止する構造を簡単なものにすることができる。
【0097】
そして、本実施形態においては、現像剤として1成分系のトナーのみものを採用しているため、キャリヤが存在しない分トナーの減少が即回動板552の回動動作につながり、トナー減少に対する高い検出精度を得ることができる。
【0098】
本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下の内容をも包含するものである。
【0099】
(1)上記の実施形態においては、画像形成装置としてプリンタ10を例に挙げて説明したが、本発明は、画像形成装置がプリンタ10であることに限定されるものではなく、複写機やファクシミリ装置であってもよい。
【0100】
(2)上記の実施形態においては、トナーカートリッジ40は、現像装置本体30に対して着脱自在とされているが、本発明は、トナーカートリッジ40が現像装置本体30に対して着脱自在であることに限定されるものではなく、現像装置本体30とトナーカートリッジ40とが一体化された、いわゆる現像ユニットであってもよい。
【0101】
(3)上記の実施形態においては、トナーカートリッジ40にスクリューフィーダ42が設けられているが、本発明は、トナーカートリッジ40にスクリューフィーダ42を設けることに限定されるものではなく、特にスクリューフィーダ42を設けなくてもよい。
【0102】
(4)上記の実施形態においては、第1および第2中継ギヤ51,52並びにバネクラッチ54が補給ローラ43のローラ軸431に装着されているが、本発明は、第1および第2中継ギヤ51,52並びにバネクラッチ54を補給ローラ43のローラ軸431に装着することに限定されるものではなく、別途専用の軸を設け、この軸に第2中継ギヤ521やバネクラッチ54を装着するようにしてもよい。
【0103】
(5)上記の実施形態においては、クラッチ機構としてバネ円板541と、このバネ円板541の周縁から突設された複数のクラッチ片542とからなるバネクラッチ54が採用されているが、本発明は、クラッチ機構がこのようなバネクラッチ54であることに限定されるものではなく、通常のコイルスプリングをクラッチ機構として採用してもよい。すなわち、コイルスプリングを圧縮状態で第2中継ギヤ52とラッチ歯車53との間に介設することにより、本実施形態のバネクラッチ54と同様の作用を得ることができる。
【0104】
(6)上記の実施形態においては、カートリッジ側ケーシング41内にスパイラルフィン422を備えたスクリューフィーダ42が設けられているが、かかるスクリューフィーダ42に代えて、先端縁部がカートリッジ側ケーシング41の内壁面に摺接しながら軸回りに回転する掻き取り羽根を備えた掻き取り部材を設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明に係るプリンタ10の一実施形態を示す側面断面視の説明図である。
【図2】現像装置の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、切換機構が分解された状態を示している。
【図3】図2に示す現像装置の組み立て斜視図である。
【図4】図3のI−I線断面図であり、(A)は、切換レバーが許容姿勢に姿勢設定された状態、(B)は、切換レバーが規制姿勢に姿勢設定された状態をそれぞれ示している。
【符号の説明】
【0106】
10 プリンタ(画像形成装置)
11 装置本体 12 用紙貯留部
121 用紙カセット 122 ピックアップローラ
123 給紙搬送路 124 レジストローラ対
13 画像形成部 131 感光体ドラム(像担持体)
132 帯電器 133 露光装置
134 転写ローラ 135 クリーニング装置
14 定着部 141 定着ローラ
142 加圧ローラ 143 排紙搬送路
15 排紙部 151 排紙トレイ
20 現像装置 21 駆動モータ(駆動手段)
211 ギヤ機構 22 駆動ギヤ
30 現像装置本体 31 本体側ケーシング
311 受入開口 312 トナー供給開口
313 側板 314 後面板
315 膨設部 316 底板
316a 円弧面 32 第1スクリューフィーダ
33 第2スクリューフィーダ
34 現像ローラ 35 層厚規制ブレード
40 トナーカートリッジ(現像剤補給容器)
41 カートリッジ側ケーシング
411 側壁 42 スクリューフィーダ
421 スクリュー軸 422 スパイラルフィン
43 補給ローラ 431 ローラ軸
432 補給ローラ本体 433 導出開口
44 補給ローラ側ギヤ(ローラ側ギヤ)
45 袋ナット 50 切換機構
51 第1中継ギヤ 52 第2中継ギヤ
521 中継ギヤ 53 ラッチ歯車
531 ラッチ 54 バネクラッチ(クラッチ機構)
541 バネ円板 542 クラッチ片
55 回動調整部材 551 支持軸
552 回動板 552a 突出縁部
553 切換レバー 554 捻りバネ
L 上限レベル(所定の貯留量)
N ニップ部 P 用紙
P1 用紙束 S1 許容姿勢
S2 規制姿勢 V 回動板可動空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像の形成された像担持体に現像装置から現像剤を供給することにより当該像担持体に静電潜像に沿った現像剤像を形成させ、この現像剤像を被転写材に転写するように構成された画像形成装置において、
前記現像装置は、軸心回りの回転によって現像剤を前記像担持体に供給する現像ローラを備えた現像装置本体と、
軸心回りの回転によって前記現像装置本体に現像剤を補給する補給ローラを備えた現像剤補給容器と、
現像装置本体内の現像剤量が所定の貯留量に到達しているか否かにより前記補給ローラを停止と回転との間で機械的に切り換える切換機構とを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記切換機構は、前記現像装置本体内の現像剤量が前記所定の貯留量に到達していない状態で支持軸回りに回動し得る回動板と、
前記回動板と一体回動して前記補給ローラの回転を許容する許容姿勢と前記補給ローラの回転を規制する規制姿勢との間で姿勢変更する切換レバーと、
前記切換レバーが許容姿勢に姿勢設定された状態で所定の駆動手段からの駆動力を前記補給ローラに伝達する一方、切換レバーが規制姿勢に姿勢設定された状態で前記駆動手段からの駆動力の前記補給ローラへの伝達を遮断するクラッチ機構とを備えていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記補給ローラには、当該補給ローラと同心で一体回転可能なローラ側ギヤが設けられている一方、前記現像剤補給容器には、前記駆動手段の駆動力が伝達される第1中継ギヤと、前記第1中継ギヤと同心で対向配置され、かつ、前記ローラ側ギヤと噛合するとともに前記規制姿勢に設定された切換レバーにより回転が阻止される第2中継ギヤとが設けられ、
前記クラッチ機構は、前記第1および第2中継ギヤ間に介設されて付勢力による摩擦力で第1中継ギヤの駆動回転を第2中継ギヤに伝達する一方、第2中継ギヤの回転が阻止された状態で第1中継ギヤの駆動回転が第2中継ギヤに伝達されなくなるバネクラッチを備えていることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記現像剤は、着色剤であるトナーのみによって構成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2007−310134(P2007−310134A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139037(P2006−139037)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】