説明

画像形成装置

【課題】 排熱ファンにより消費される電力を必要最小限に抑えるための制御を有し、同時に排熱ファンによる騒音を抑えることができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 排熱ファンにより外気が給紙カセットに収容された転写材の上面を通って機内に吸引され、積載量検知手段により検知した転写材の積載高さに応じて排熱ファンの回転速度が制御される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式を採用する複写機やレーザービームプリンタ等の画像形成装置に関し、特に排熱ファンの回転速度制御に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7に、従来の画像形成装置を示す。各色の感光体ドラム、101K、101M、101Y、101C、はレーザースキャナ装置102によって静電潜像を形成され、図示しない現像手段によって各色トナー像が担持される。給紙カセット103から給紙ローラ104によって送り出された転写材105は、レジストローラ対106を通過し転写搬送ベルト107によって搬送されながら感光体ドラム101K、101M、101Y、101Cから各色のトナー像を転写され、定着装置108によって熱と圧力を加えられることによりトナー像が転写材105に溶融固着され、画像として排紙トレイ109に排出、積載される。
【0003】
感光体ドラム101K、101M、101Y、101Cを内包するプロセスカートリッジ110K、110M、110Y、110Cは、転写搬送ベルト装置111を回動支点112を中心に矢印A方向に回動することにより本体前面(図中右側)に開口部を作ることで着脱することができ、交換を行うことができる。
【0004】
画像形成装置には定着装置108や図示しない電子部品などの発熱源があり、それらの発熱により装置内の温度は上昇する。プロセスカートリッジ110内に収容されたトナーは、ある温度以上になると溶融し始め、感光体ドラムに溶着するなどの画像不良の要因になる。また、レーザースキャナ装置102の温度が上昇すると、各種レンズおよびミラーを収容したスキャナ箱が熱膨張し、各色レーザー光の各色感光体ドラム101への照射位置がずれて、各色が互いにずれた「色ずれ」と呼ばれる画像不良になる。
【0005】
上記問題を防止するために、冷たい外気を装置内に送り込み、装置内の暖かい空気を装置外へ排出する排熱ファンを設けるのが一般的である。このとき、外気取り込み口として装置外装にルーバーを設けたものがあるが、外観上の不都合が生じる場合があった。この問題を解決するため、および風路断面積を大きく稼ぐため、装置本体から給紙カセットを突出させるための開口部から転写材上面を経て装置内に外気を取り込むようにしたものがある。図7は、このような従来の画像形成装置を説明するためのもので、排熱ファン113は給紙カセット103の上方に位置し装置本体を構成するフレームである底板114に支持されている。この排熱ファン113の回転により、図中太矢印で示すように本体背面にある給紙カセット103が突出した開口部から外気が吸引され、給紙カセット103に収容積載された転写材105の上を通り、底板114に設けられた図示しないルーバーを通り、排熱ファン113を通過して装置内に外気が送り込まれる。排熱ファン113を通過した空気の流れは、図中太矢印で示すように、レーザースキャナ装置102の周囲を通って図示しない本体背面にあるルーバーから装置外へ放出される流れと、レーザースキャナ装置102を支持するスキャナ支持板115に設けられた図示しないルーバーを通過してプロセスカートリッジ110周囲を通って定着装置108の上を通過して転写材105の排出口から装置外へ放出される流れとがあり、それぞれはレーザースキャナ装置102およびプロセスカートリッジ110を冷却して昇温を抑え、上記問題を防止している。
【0006】
又、従来例としては、例えば特許文献1と特許文献2をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平7-154559号公報
【特許文献2】特開2002-333815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記に説明したような排熱ファン113の駆動電圧は、給紙カセット103に収容された転写材105の積載高さによらず一定であり、図8に示すように、転写材105の積載高さが高いときには転写材105と底板114とで挟まれる風路断面積が小さいため装置内に送り込まれる風量が少なく、転写材105の積載高さが低いときには転写材105と底板114とで挟まれる風路断面積が大きいため装置内に送り込まれる風量が多いという関係があった。転写材105が満載のときの風量でも装置内の温度がある一定値以下になるように排熱ファン113の電圧を設定する必要があるが、図8に示すような転写材積載高さと風量の関係があるため、転写材積載高さが低いときは必要とされる以上の風量(図8の斜線部)を装置内に送り込んでいた。その結果、転写材積載高さが低いときは、必要以上の電力を消費し、また、外気取り入れ口となる本体背面の開口部も大きくなって装置外に漏れる排熱ファン113の騒音が転写材積載高さが高いときよりも大きくなるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、上記のような問題を解決するために、排熱ファンにより消費される電力を必要最小限に抑えるための制御を有し、同時に排熱ファンによる騒音を抑えることができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成装置は、少なくとも一つの回転する像担持体と、該像担持体を帯電させるための帯電手段と、帯電された前記像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材を積載して収容しておく給紙カセットと、該給紙カセットに収容された前記転写材の積載高さを検知する積載量検知手段と、機内の過剰な温度上昇を防止する排熱ファンとを有する画像形成装置において、前記排熱ファンにより外気が前記給紙カセットに収容された前記転写材の上面を通って機内に吸引され、前記積載量検知手段により検知した前記転写材の積載高さに応じて前記排熱ファンの回転速度が制御されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように、本発明に係る画像形成装置によれば、給紙カセットに収容された転写材の積載高さを検知する積載量検知手段と、機内の過剰な温度上昇を防止する排熱ファンとを有し、排熱ファンにより外気が給紙カセットに収容された転写材の上面を通って機内に吸引され、積載量検知手段により検知した転写材の積載高さに応じて排熱ファンの回転速度を制御することで、転写材積載高さが低いときに必要最小限の風量となるように排熱ファンへの印加電圧を下げて回転数を抑えて排熱ファンにより消費される電力を必要最小限に抑えることができる。また、排熱ファンの回転数を必要最小限とすることで、転写材積載高さが低いときに外気吸引口となる開口部が大きくなり排熱ファンの騒音が装置外に漏れやすくなるときでも、排熱ファンによる騒音を最小限に抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明に係る画像形成装置の実施の形態を図面に則して詳しく説明する。
【0012】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。1K、1M、1Y、1Cは感光体ドラムであり、それぞれブラック、マゼンダ、イエロー、シアンの各色の現像剤(トナー)を備えたプロセスカートリッジ2K、2M、2Y、2C毎に回転自在にその両端を支持されて設けられ、図示しない駆動モータおよび駆動伝達手段により一方の端部から駆動伝達され、図中反時計周りに回転駆動される。表面に有機光導電体層を塗布された各感光体ドラム1K、1M、1Y、1Cは、帯電ローラ3K、3M、3Y、3Cに帯電バイアスを印加することによりその表面が一様に帯電させられ、レーザースキャナ装置20から発せられたレーザー光により選択的に露光され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像手段4K、4M、4Y、4Cにより各色のトナーを付着させられトナー像として現像される。給紙カセット5には転写材6が積載されており、転写材6は、図示しない駆動モータおよび駆動伝達手段により所定のタイミングで駆動される給紙ローラ7により給紙された後、レジストローラ対8を通って転写搬送ベルト9に搬送される。転写搬送ベルト9は、駆動ローラ10および従動ローラ11により支持されており、感光体ドラム1K、1M、1Y、1Cに接触しながら図示しない駆動モータおよび駆動手段により駆動ローラが回転することにより図中時計回りに回転駆動される。転写材6への転写手段である転写ローラ12K、12M、12Y、12Cには、それぞれ所定の転写バイアスが印加され、転写搬送ベルト9によって搬送される転写材6に感光体ドラム1K、1M、1Y、1C表面上の各色トナー像が転写される。4色のトナー像を転写された転写材6は定着装置13に搬入され、トナー像は熱と圧力により転写材6に溶融固着されることによりカラー画像が得られる。定着装置13により搬送された転写材6は排紙ローラ対14を通って排紙トレイ15に排出、積載される。
【0013】
図3に示すように、転写搬送ベルト9、駆動ローラ10、従動ローラ11とを有する転写搬送ベルト装置16は、その回動支点17を中心に回動可能に構成されており、装置前面側(図中右側)へ開閉可能となっている。転写搬送ベルト装置16を開けて装置前面に開口部が作られた状態においてプロセスカートリッジ2K、2M、2Y、2Cを着脱することができ、各プロセスカートリッジ2の交換、または各色のトナーの補充を行うことができる。
【0014】
次に本発明の特徴である排熱ファンの回転制御について説明する。図1に示すように排熱ファン21は吸気ダクト22に支持されており、吸気ダクト22は本体フレームを構成する底板23に支持されている。底板23の吸気ダクト22内側にあたる部分には図示しないルーバーが形成されており、空気が底板23を通過できるようになっている。また、本体フレームを構成しレーザースキャナ装置20を支持しているスキャナ支持板24にも排熱ファン21と対向する位置に図示しないルーバーが形成されており、空気がスキャナ支持板24を通過できるようになっている。この排熱ファン21の回転により、図中太矢印で示すように本体背面にある給紙カセット5が突出した開口部から外気が吸引され、給紙カセット5に収容積載された転写材6の上を通り、底板23に設けられた図示しないルーバーを通り、吸気ダクト22内を通り、排熱ファン21を通過して装置内に外気が送り込まれる。排熱ファン21を通過した空気の流れは、図中太矢印で示すように、レーザースキャナ装置20の周囲を通って図示しない本体背面にあるルーバーから装置外へ放出される流れと、スキャナ支持板24に設けられた図示しないルーバーを通過してプロセスカートリッジ2周囲を通って定着装置13の上を通過して転写材6の排出口から装置外へ放出される流れとがあり、それぞれはレーザースキャナ装置20およびプロセスカートリッジ2を冷却して昇温を抑えている。
【0015】
25は転写材残量検知フラグであり、給紙カセット5に収容された転写材6の積載高さを検知するためのものである。ここで転写材残量検知手段について説明する。転写材残量検知手段は、図4に示すように、転写材残量検知フラグ25と2個のフォトインタラプタ26、27とで構成される。軸25aの両端は装置本体に軸25a中心に転写材残量検知フラグ25が回動可能に保持されており、図示しないバネで図中反時計回り方向に付勢されており、軸25aの長手方向で画像中心付近に位置するレバー25b先端が積載された転写材6の上面に常に突き当たっている。転写材6の積載量が変化すると、それに応じてレバー25bを介して転写材残量検知フラグ25が回動する。転写材残量検知フラグ25には軸25aの長手方向で給紙カセット5から外れた位置にリブ25cとリブ25dが形成されており、それらが装置本体に固定された2個のフォトインタラプタ26、27を斜光するか否かで転写材6の積載量を検知する。検知できる積載量は、図5の(a)に示すように積載量が多くて2個のフォトインタラプタ26、27が共に斜光されていない段階、(b)に示すように積載量がやや多くてフォトインタラプタ26のみ斜光されている段階、(c)に示すように積載量がやや少なくて2個のフォトインタラプタ26、27が共に斜光されている段階、(d)に示すように積載量が少なくてフォトインタラプタ27のみ斜光されている段階の4段階である。これら検知した積載量の信号は、コントローラを通して図示しないオペレーションパネルに給紙カセット内の転写材の残量を表示させ、ユーザーに知らせる。
【0016】
排熱ファン21は印加される電圧により回転数が変化し、印加電圧が低いほど回転数が少ない。本実施の形態では、給紙カセット5に収容された転写材6の転写材残量検知手段によって検知した積載量に応じて排熱ファン21への印加電圧を制御しており、図6に示すように図5の(a)の段階のとき24V、(b)の段階のとき20V、(c)の段階のとき16V、(d)の段階のとき12V印加している。そのときの風量は、図6に示すように、必要最小限以上に常になっていて、且つ必要以上の風量である斜線部の面積が従来例の印加電圧一定のときより小さくなっている。
【0017】
なお、本実施形態では、転写材の残量検知手段としてフラグとフォトインタラプタを使用したが、その他の残量検知手段でも良い。また、検知できる段階は4段階である必要はなく、2段階でもリニアに検知できるものでも良い。
【0018】
また、本実施形態では、給紙カセットが装置背面から突出しているが、給紙カセットに収容された転写材の上の空間が冷却風路になっていれば給紙カセットは装置本体から突出していなくても良い。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の画像形成装置の冷却風路を示す概略図。
【図2】本発明の画像形成装置の概略構成を説明するための概略図。
【図3】本発明の画像形成装置のプロセスカートリッジを着脱する際の概略図。
【図4】転写材残量検知手段を説明するための概略図。
【図5】転写材残量検知手段の検知段階を示す概略図。
【図6】転写材積載高さと排熱ファンの電圧・風量の関係を示す図。
【図7】従来の画像形成装置を説明するための概略図。
【図8】従来の画像形成装置の転写材積載高さと排熱ファンの電圧・風量の関係を示す図。
【符号の説明】
【0020】
2 プロセスカートリッジ
5 給紙カセット
6 転写材
20 レーザースキャナ装置
21 排熱ファン
22 吸気ダクト
23 底板
24 スキャナ支持板
25 転写材残量検知フラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの回転する像担持体と、該像担持体を帯電させるための帯電手段と、帯電された前記像担持体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナー像として現像する現像手段と、前記像担持体上の前記トナー像を転写材に転写する転写手段と、前記転写材を積載して収容しておく給紙カセットと、該給紙カセットに収容された前記転写材の積載高さを検知する積載量検知手段と、機内の過剰な温度上昇を防止する排熱ファンとを有する画像形成装置において、
前記排熱ファンにより外気が前記給紙カセットに収容された前記転写材の上面を通って機内に吸引され、前記積載量検知手段により検知した前記転写材の積載高さに応じて前記排熱ファンの回転速度が制御されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記給紙カセットは、前記転写材が搬送される方向に対して上流側が装置本体から突出していることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記排熱ファンは、前記積載量検知手段により前記転写材の積載高さが高いと検知したときには回転速度を速く、積載高さが低いと検知したときには回転速度を遅く制御されることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記積載量検知手段により前記転写材の積載高さが低いと検知したときに前記排熱ファンに印加される電圧は、積載高さが高いと検知したときの印加電圧の約半分となるように制御されることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−33644(P2007−33644A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−214454(P2005−214454)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】