説明

画像形成装置

【課題】帯電特性の揃ったトナーを用いた場合でも、転写電流を大きくすることなく、中間転写体に形成された多色画像を効率よく転写用紙などの二次転写材に転写することができる画像形成装置を得る。
【解決手段】画像形成装置10は、感光体12を含む。帯電器14で感光体12を帯電させ、露光装置16で感光体12に静電潜像を形成する。現像器20a〜20dで静電潜像に各色のトナーを付与し、トナー画像を形成する。各色のトナー画像を順次中間転写体22に転写し、全ての色のトナー画像を転写することにより多色画像を形成する。非磁性1成分トナーを用いる場合、印字率の高い順に各色のトナー画像を形成し、中間転写体22に順次転写して、多色画像を形成する。中間転写体22に形成された多色画像を転写用紙36に転写する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関し、特にたとえば、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ、ファクシミリおよびそれらの複合機などの画像形成装置に関し、特に、トナー像が中間転写体を介して転写用紙等の二次転写材に転写される画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、従来の画像形成装置の一例を示す図解図である。画像形成装置1は、像担持体としての感光体2を含む。感光体2の周囲には、レーザ光を照射するための露光装置3が形成される。さらに、感光体2の回転方向における露光装置2の下流側には、現像器4a,4b,4c,4dが配置される。これらの現像器4a,4b,4c,4dは、感光体2にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを付与するためのものである。さらに、現像器4a,4b,4c,4dの下流側には、ベルト状の中間転写体5が形成される。中間転写体5に対向して、転写ローラ6が形成される。この転写ローラ6と中間転写体5との間に、二次転写材としての転写用紙7を供給するため、給紙ローラ8が形成される。
【0003】
この画像形成装置1では、感光体2の表面が均一に帯電させられる。この状態で、たとえばイエローの画像に対応して、露光装置3によって感光体2にレーザ光が照射され、レーザ光照射部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。この静電潜像に、たとえば現像器4a〜4dの1つによってイエローのトナーが付与される。それにより、感光体2の表面に、イエローのトナー画像が形成される。このとき、トナーは、均一に帯電した感光体2の電位と同極性となるように帯電させられることにより、レーザ光によって電荷が除去されて形成された静電潜像部分にトナーが付与される。感光体2に形成されたトナー画像は、中間転写体5に転写される。このとき、中間転写体5側がトナーと逆極性となるように、中間転写体5と感光体2との間に電界が印加されることにより、感光体2から中間転写体5にトナーが移動する。
【0004】
さらに、マゼンタ、シアン、ブラックの各色についても、イエローのトナー画像と同様にして、感光体2上にトナー画像が順次形成され、中間転写体5に転写される。このようにして、各色のトナー画像が中間転写体5に転写されることによって、中間転写体5上には、多色画像が形成される。中間転写体5と転写ローラ6の間には、給紙ローラ8によって転写用紙7が供給される。そして、転写用紙7側がトナーと逆極性となるように、転写用紙7と中間転写体5の間に電界が印加された状態で、転写用紙7が中間転写体5に押し当てられることにより、転写用紙7上に中間転写体5上の多色画像が転写される。転写用紙7に転写された多色画像が定着させられた後、転写用紙7は排紙トレイに排紙される。
【0005】
このような画像形成装置1において、各色の印字率に応じて、感光体2と中間転写体5の移動速度を調整することにより、転写画像の中抜けや色ずれを防止する技術が開示されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−39648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような画像形成装置において、感光体に形成された静電潜像にトナーを付与するとき、一定の順序で各色のトナー画像を形成し、順次中間転写体に転写している。一般的に、感光体上に淡色であるイエローのトナー画像が最初に形成され、中間転写体に転写される。そののち、感光体上にマゼンタおよびシアンのトナー画像が順次形成され、それぞれのトナー画像が中間転写体に転写される。最後に、感光体上にブラックのトナー画像が形成され、中間転写体に転写される。このようにして得られた多色画像が、転写用紙に転写される。
【0008】
このように、中間転写体上に複数回トナーが転写されるため、最初に転写されたトナーは転写のために印加される電界を複数回受け、最後に転写されるトナーは電界を1回しか受けない。たとえば、樹脂などの非磁性1成分トナーの場合、その帯電量は大きく、電界を数回受けることにより、トナーの帯電量が小さくなるが、電界を1回受けただけでは、トナーの帯電量はほとんど変化しない。したがって、最後に転写されたトナー、つまり中間転写体の最外層にあるトナーの帯電量は大きく、中間転写体に近い位置にあるトナーの帯電量は小さくなる。
【0009】
しかしながら、多色画像を転写用紙に転写する際、帯電量の大きいトナーの転写効率が低くなる傾向がある。これは、帯電量が大きいと、それにみあった転写電流が必要となるためである。そのため、中間転写体の最外層にある帯電量の大きいトナー、つまり転写用紙に最も近いトナーを転写するためには、転写電流を大きくする必要がある。
【0010】
また、磁性1成分トナーの場合、トナーの帯電量が小さい。このようなトナーを使用したとき、感光体から中間転写体への転写の際、電界を1回受けただけでは、帯電量はほとんど変化しないが、電界を複数回受けた場合、トナーの極性が反転してしまう場合がある。そのため、中間転写体上には、帯電量は小さいものの、逆極性のトナーによる多色画像が形成され、転写用紙への転写効率が悪くなる。
【0011】
さらに、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナーとして非磁性1成分トナーを使用し、ブラックのトナーとして磁性1成分材料を使用した場合、上述のような問題が混在することとなる。通常、ブラックのトナーは、最後に現像されるように設定されているため、中間転写体の最外層には、帯電量の小さいブラックのトナーが配置されることになる。しかしながら、ブラックのトナーに隣接するトナーは、上述のように、最も帯電量の大きいトナーであり、転写用紙に多色画像の転写を行うには、転写電流を大きくする必要がある。
【0012】
通常、全ての色について、非磁性1成分トナーが使用される場合が多く、各色の現像方式は同じものである。異なる現像方式を組み合わせるとしても、ブラックのみ磁性1成分トナー使用するものがあるくらいである。同一の現像方式を採用した場合、各色において、トナーの帯電特性に大きく差をもたせることは難しい。これは、帯電特性に差をつけた場合、各々の現像特性に差がでてしまい、カラーバランスが環境や耐久で変化してしまうからである。それに対して、各色のトナーの帯電特性を等しくした場合、現像装置のばらつきが少なく、現像性能の環境・耐久での変化を抑えることができるが、上述のように、色順による転写性能に差がでてしまう。
【0013】
それゆえに、この発明の主たる目的は、帯電特性の揃ったトナーを用いた場合でも、転写電流を大きくすることなく、中間転写体に形成された多色画像を効率よく転写用紙などの二次転写材に転写することができる画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明は、像担持体と、像担持体を帯電させるための帯電手段と、像担持体の表面に潜像を形成するための露光手段と、像担持体上の潜像に複数色のトナーを付与してトナー画像を形成するための複数の現像手段と、現像手段によって像担持体上に形成されたトナー画像を転写するための中間転写体とを含み、現像手段によって形成された各色のトナー画像を順次中間転写体に転写して多色画像を形成し、中間転写体上に形成された多色画像を二次転写材に転写する画像形成装置において、多色画像における各色の印字率に応じて現像手段による各色の現像順序が決定されることを特徴とする、画像形成装置である。
多色画像における各色の印字率に応じて各色の現像順序を決定することにより、中間転写体に積層される各色のトナー画像の中で、最も転写効率の高いトナー画像を広い範囲に形成することができる。それにより、広い範囲に形成された転写効率の高いトナー画像が確実に二次転写材に転写され、多色画像全体が効率よく二次転写材に転写される。
【0015】
このような画像形成装置において、トナーの帯電性が高い場合、印字率の高い色から順に現像が行われることが好ましい。
また、トナーの帯電性が低い場合、印字率の低い色から順に現像が行われることが好ましい。
トナーの帯電性が高い場合、複数回の像担持体から中間転写体へのトナー画像の転写により、中間転写体に近いトナーほど帯電量が小さくなる。そのため、印字率の高い色から順に現像を行うことにより、中間転写体に近い位置に、帯電量の小さいトナーが広い範囲で配置され、中間転写体から遠い位置に、帯電量の大きいトナーが狭い範囲で配置される。それにより、小さい転写電流で転写できる帯電量の小さいトナーが、帯電量の大きいトナーの上から被さる形で、二次転写材に多色画像が転写される。
トナーの帯電性が低い場合、複数回の電界を受ける中間転写体に近いトナーの帯電量は、0に近くなったり、極性が反転したりする。それに対して、中間転写体から遠い位置にあるトナー画像については、現像時の帯電量がほとんど変わらず、低い転写電流で二次転写材に転写できる。そのため、印字率の低い色から順に現像を行うことにより、中間転写体に近い位置にあるトナーの帯電量が0に近くなったり、極性が反転したとしても、広い範囲に配置された転写効率の高いトナーが二次転写材に引き付けられ、二次転写材に多色画像が転写される。
【0016】
また、帯電性の高いトナーと帯電性の低いトナーが用いられる場合、帯電性の高いトナーについて印字率の高い色から順に現像が行われ、その後、帯電性の低いトナーについて印字率の低い色から順に現像が行われることが好ましい。
帯電性の高いトナーと帯電性の低いトナーとが用いられる場合、帯電性の低いトナーは電界を受ける回数が少ないほうが転写効率の高い状態が保たれ、帯電性の高いトナーは電界を受ける回数が多いほうが転写効率が高くなる。そのため、帯電性の高いトナーを先に現像し、帯電性の低いトナーをその後に現像することにより、中間転写体に近い位置に転写効率の高いトナーを配置することができる。このとき、印字率に応じて、トナーの現像順序を決定することにより、中間転写体に近い位置に、転写効率の高いトナーを広い範囲で配置することができるとともに、二次転写材に近い位置にも、転写効率の高いトナーを配置することができる。
【0017】
また、ブラックのトナーとして磁性1成分トナーを用い、ブラック以外のトナーとして非磁性1成分トナーを用いることができる。
この場合、ブラック以外のトナーについて帯電性の高い色から順に現像が行われ、最後にブラックのトナーについて現像が行われる。
このように、ブラックのトナーとして、帯電性の低い磁性1成分トナーを使用することができ、ブラック以外のトナーとして、帯電性の高い非磁性1成分トナーを使用することができる。
このとき、上述のように、ブラック以外のトナーについて帯電性の高い色から順に現像が行われ、最後にブラックのトナーについて現像が行われることにより、中間転写体側の広い範囲に転写効率の高いトナーが配置され、さらに、二次転写材に近い位置に、転写効率の高いブラックのトナーが配置される。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、広い範囲に配置された転写効率の高いトナーが、二次転写材に確実に転写されるため、多色画像全体として、効率よく二次転写材に転写することができる。さらに、多色画像全体を効率よく二次転写材に転写することができるため、転写電流を大きくする必要がない。したがって、帯電特性の揃ったトナーを用いた場合でも、各色の現像特性にばらつきが少なく、環境等によるカラーバランスの変化を防止することができる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、この発明の画像形成装置の一例を示す図解図である。画像形成装置10は、像担持体としての感光体12を含む。感光体12は、たとえば円筒状に形成され、図1の矢印に示すように、一定方向に回転させられる。感光体12の外周面近傍には、感光体12を帯電させるための帯電手段としての帯電器14が形成される。感光体12の回転方向における帯電器14の下流側には、露光手段としての露光装置16が形成される。露光装置16からレーザ光が照射され、このレーザ光が反射ミラー18によって感光体12方向に反射させられる。
【0021】
さらに、露光装置16の下流側には、現像手段としての複数の現像器20a,20b,20c,20dが形成される。これらの現像器20a,20b,20c,20dは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナーを感光体12に付与するためのものである。現像器20a,20b,20c,20dの下流側には、中間転写体22が形成される。中間転写体22は、たとえばベルト状に形成され、一次転写ローラ24で感光体12に押し当てられている。中間転写体22は、一次転写ローラ24と二次転写ローラ26とテンションローラ28とで回転可能に支持されている。さらに、中間転写体22の下流側には、感光体12に残ったトナーを除去するためのクリーニング装置30が形成される。
【0022】
また、二次転写ローラ26に対向する位置において、中間転写体22に押し当てられるようにして、別の二次転写ローラ32が配置される。さらに、画像形成装置10は、給紙トレイ34を含む。この給紙トレイ34には、二次転写材としての転写用紙36が載置される。さらに、給紙トレイ34に載置された転写用紙36を引き出すように、給紙ローラ38が形成される。給紙ローラ38の近傍には、引き出された転写用紙36の向きを変えるための反転ローラ40が形成される。
【0023】
給紙ローラ38で引き出された転写用紙36は、反転ローラ40で反転して、中間転写体22と二次転写ローラ32との間に導かれるが、ここを通過した転写用紙36は、定着ローラ42と押圧ローラ44との間に導かれる。そして、定着ローラ42と押圧ローラ44の間を通った転写用紙36は、搬送ローラ46,48で搬送され、たとえば排紙トレイ(図示せず)などに排出される。
【0024】
この画像形成装置10を用いて、転写用紙36に多色画像を形成するために、感光体12に各色のトナー画像が形成されるが、ここでは、イエロー、マゼンタ、シアンの各色のトナーとして非磁性1成分トナーを用い、ブラックのトナーとして磁性1成分トナーを用いた例について説明する。
【0025】
まず、帯電器14によって、感光体12が一様に帯電させられる。次に、イエロー、マゼンタ、シアンの中の1つの画像が形成されるように、露光装置16によって、レーザ光が感光体12に照射される。それによって、レーザ光が照射された部分の電荷が除去され、感光体12の表面に静電潜像が形成される。このとき、最終的に形成される多色画像中における上述の3色の印字率が計算され、最も印字率の高い色の静電潜像が最初に形成される。たとえば、マゼンタの印字率が最も高い場合、最初にマゼンタの画像についての静電潜像が形成される。
【0026】
さらに、マゼンタのトナーを有する現像器20bが作動する。ここで、マゼンタのトナーは非磁性1成分トナーであり、絶縁性が高く、帯電性の高いものである。そして、トナーは、現像器20bの層厚規制部で、帯電した感光体12と同じ極性となるように接触帯電させられる。したがって、現像器20bから送り出されたトナーは、感光体12の電荷がない部分、つまりレーザ光で形成された静電潜像部分に付与され、マゼンタのトナー画像が形成される。
【0027】
次に、感光体12に形成されたマゼンタのトナー画像は、一次転写ローラ24で感光体12に押し当てられた中間転写体22に転写される。このとき、中間転写体22側が帯電したトナーと逆極性となるように、中間転写体22と感光体12の間に電界が印加される。それにより、感光体22のトナー画像が中間転写体22に転写される。そして、感光体12に残ったトナーは、クリーニング装置30で除去される。
【0028】
さらに、イエローおよびシアンの各色についても、マゼンタと同様にして、順次感光体12上にトナー画像が形成され、中間転写体22に形成されたマゼンタのトナー画像上に転写される。このとき、最終的に得られる多色画像の中において、たとえばイエローの印字率がシアンの印字率より高い場合、2番目にイエローのトナー画像が感光体12に形成されて中間転写体22に転写される。そして、3番目にシアンのトナー画像が感光体12に形成され、中間転写体22に転写される。
【0029】
最後に、ブラックのトナー画像が感光体12に形成され、3色のトナーによって形成された中間転写体22の画像上に転写される。それにより、中間転写体22上には、フルカラーの多色画像が形成される。この多色画像が、転写用紙36に転写される。そのために、給紙トレイ34に載置された転写用紙36が、給紙ローラ38で引き出され、反転ローラ40で反転して、二次転写ローラ32と中間転写体22の間に導かれる。ここで、中間転写体22に形成された多色画像が転写用紙36に押し当てられ、転写用紙36に多色画像が転写される。このとき、転写用紙36側が帯電したトナーと逆極性となるように、転写用紙36と中間転写体22との間に電界が印加される。
【0030】
多色画像が転写された転写用紙36は、定着ローラ42と押圧ローラ44の間に導かれ、多色画像が転写用紙36に定着させられる。多色画像が定着した転写用紙36は、搬送ローラ46,48で搬送され、排紙トレイ(図示せず)などに排出される。
【0031】
この画像形成装置10では、非磁性1成分トナーで形成されたイエロー、マゼンタ、シアンの各色の画像について、感光体12上に、印字率の高い色から順にトナー画像が形成され、順次中間転写体22に転写される。そのため、上述の例では、図2に示すように、中間転写体22に最も近い位置に、マゼンタのトナー画像が形成され、次にイエローのトナー画像が形成され、その次にシアンのトナー画像が形成されている。さらに、最後にブラックのトナー画像が形成され、フルカラーの多色画像が形成されている。
【0032】
このとき、マゼンタのトナー画像は、最も印字率の高い画像であるため、中間転写体22上の最も広い範囲に形成される。そして、イエロー、シアンの順にトナー画像の範囲が大きく、印字率の高い色のトナー画像上に印字率の低いトナー画像が狭い範囲で配置される。さらに、3色のトナー画像の上に、ブラックのトナー画像が形成される。
【0033】
この例では、イエロー、マゼンタ、シアンの各色の画像が非磁性1成分トナーで形成されているため、現像器20a〜20cにおいて層厚規制部における接触帯電の帯電量が大きく、感光体12に付与されたトナーの帯電量も大きいものとなる。ところが、中間転写体22にトナー画像が転写される際に、中間転写体22側がトナーの電荷と逆極性となるように電界が印加されるため、転写によってトナーの帯電量が低くなる。ここで、最初に転写されるマゼンタのトナーは、4色の転写が終わったとき、合計4回電界を受けることになり、3番目に転写されるシアンのトナーは、合計2回電界を受けることになる。そのため、マゼンタのトナーの帯電量は低くなり、シアンのトナーの帯電量は高い状態が保たれる。なお、ブラックのトナーは磁性1成分材料であるため、もともと帯電量は低く、最後に転写されるため、中間転写体22に転写された後においても、低い帯電量の状態が保たれる。
【0034】
このように帯電量の異なるトナーからなる多色画像が、転写用紙36に転写される。このとき、転写用紙36と中間転写体22の間に電界が印加されるが、各色のトナーの帯電量が異なるため、各色ごとに転写性が異なる。帯電量が高いと、それにみあう転写電流が必要となるため、転写効率が低くなる傾向がある。そのため、小さい転写電流で効率よく転写するためには、トナーの帯電量があまり高くないほうが好ましい。したがって、最初に中間転写体22に転写されたマゼンタのトナーの転写効率が高く、3番目に転写されたシアンのトナーの転写効率が低くなる。なお、ブラックのトナーの帯電量は低いため、転写効率は高い。
【0035】
したがって、マゼンタのトナー画像は小さい転写電流で効率よく転写用紙36に転写することができる。このマゼンタのトナー画像は、他の色のトナー画像を覆うようにして転写用紙36に転写されるため、転写効率の低い色のトナー画像も、マゼンタのトナー画像によって転写用紙36に近づけられ、多色画像全体として、転写効率を良好にすることができる。
【0036】
なお、上述の例では、マゼンタのトナー画像が最初に中間転写体22に転写され、続いてイエローおよびシアンのトナー画像が中間転写体22に転写されたが、この順序は各色の印字率に応じて変更されるものである。したがって、たとえば、シアン、マゼンタ、イエローの順に印字率が高い場合には、その順序でトナーが感光体12に付与され、得られたトナー画像が中間転写体22に転写される。
【0037】
このように、最も転写性の良好な色のトナー画像の範囲が広く、かつ中間転写体22側に配置されることにより、他の色のトナー画像を転写用紙36に近づけるようにして転写されるため、多色画像全体の転写性を良好にすることができる。
【0038】
なお、全てのトナーが非磁性1成分トナーである場合には、全ての色について、印字率の高いものから順に感光体12にトナー画像が形成され、中間転写体22に順次転写される。それにより、中間転写体22側において、最も広い範囲に転写効率の高いトナー画像を形成することができ、多色画像全体を転写用紙36に効率よく転写することができる。
【0039】
また、全ての色が磁性1成分トナーである場合には、印字率の低いものから順に感光体12にトナー画像が形成され、中間転写体22に順次転写される。磁性1成分トナーは、帯電性が低いため、感光体12にトナー画像を形成したときから、トナーの帯電量は低いものである。そのため、中間転写体22への転写により、複数回電界を受けると、最初に転写されたトナーの帯電量は低下し、0に近くなるか、場合によっては極性が反転する。ここで、印字率の低い色から順にトナー画像を中間転写体22に転写することにより、中間転写体22側において、狭い範囲に帯電量が0に近いかまたは極性の逆転したトナー画像が配置される。また、中間転写体22から最も離れた位置において、広い範囲に帯電量の低いトナー画像が配置される。そのため、中間転写体22から転写用紙36に多色画像を転写する際に、小さい転写電流で、広い範囲に形成されたトナー画像を転写用紙36に引き付けることができ、多色画像全体の転写性を良好にすることができる。
【0040】
このように、各色の印字率に応じて、感光体12から中間転写体22へのトナー画像の転写順序を変えることにより、中間転写体22から転写用紙36への多色画像の転写性を良好にすることができる。したがって、帯電特性の揃ったトナーを用いた場合でも、各色の現像特性のばらつきが少なく、環境等によるカラーバランスの変化を防止することができる。なお、色再現性からいうと、ブラックのトナー画像は、最も中間転写体22から遠い位置にあることが好ましい。つまり、ブラックのトナー画像については、最後に感光体12から中間転写体22に転写されることが好ましい。
【0041】
また、上述の例では、円筒状の感光体12の周囲に現像器20a〜20dを配置する方式としたが、ロータリー方式やタンデム方式でも、同様に構成することができる。ただし、色順変更については、円筒状の感光体12の周囲に現像器20a〜20dを配置する構成のほうが、ロスタイムを少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の画像形成装置の一例を示す図解図である。
【図2】図1に示す画像形成装置において、複数色のトナー画像が転写された中間転写体を示す図解図である。
【図3】図2に示す中間転写体の多色画像が転写された転写用紙を示す図解図である。
【図4】従来の画像形成装置の一例を示す図解図である。
【符号の説明】
【0043】
10 画像形成装置
12 感光体
14 帯電器
16 露光装置
20a,20b,20c,20d 現像器
22 中間転写体
36 転写用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体、
前記像担持体を帯電させるための帯電手段、
前記像担持体の表面に潜像を形成するための露光手段、
前記像担持体上の前記潜像に複数色のトナーを付与してトナー画像を形成するための複数の現像手段、および
前記現像手段によって前記像担持体上に形成された前記トナー画像を転写するための中間転写体を含み、
前記現像手段によって形成された各色の前記トナー画像を順次前記中間転写体に転写して多色画像を形成し、前記中間転写体上に形成された前記多色画像を二次転写材に転写する画像形成装置において、
前記多色画像における各色の印字率に応じて前記現像手段による各色の現像順序が決定されることを特徴とする、画像形成装置。
【請求項2】
前記トナーの帯電性が高い場合、印字率の高い色から順に現像が行われる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナーの帯電性が低い場合、印字率の低い色から順に現像が行われる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
帯電性の高い前記トナーと帯電性の低い前記トナーが用いられる場合、帯電性の高い前記トナーについて印字率の高い色から順に現像が行われ、その後、帯電性の低い前記トナーについて印字率の低い色から順に現像が行われる、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
ブラックの前記トナーとして磁性1成分トナーが用いられ、ブラック以外の前記トナーとして非磁性1成分トナーが用いられる、請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ブラック以外の前記トナーについて帯電性の高い色から順に現像が行われ、最後にブラックの前記トナーについて現像が行われる、請求項5に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−134299(P2008−134299A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−318493(P2006−318493)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】