説明

画像形成装置

【課題】中間転写ベルト等の無端ベルト状の像担持体の蛇行を防止しつつ、クリーニング不良に伴う画像不良を防止し、像担持体の画像領域における局所的な損傷を軽減する。
【解決手段】トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体30と、像担持体30を回転可能に張架する複数のローラ14,32,34,36,38とを備えた画像形成装置2において、少なくとも1つのローラ36を、その軸方向に伸びる芯軸70と、軸方向に沿って並べられ且つ芯軸70を中心として回転可能な複数の円柱体72とで構成し、複数の円柱体72の軸方向端部の外縁部が描く回転軌道のうち、最も大きな径を有する回転軌道がローラ36の軸方向の一端部に配置され、該回転軌道と同じか又は該回転軌道の次に大きな径を有する回転軌道がローラ36の軸方向の他端部に配置されるように、複数の円柱体72を配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真方式の画像形成装置に関し、特に、複写機、プリンタ、ファクシミリまたはこれらの機能を複合的に備えた複合機等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無端状の中間転写ベルトを有するカラー画像形成装置では、静電潜像担持体の表面に形成されたトナー像が、静電潜像担持体と一次転写ローラとのニップ部で、このニップ部を通る中間転写ベルトへ転写(一次転写)され、一次転写により4色のトナー像が中間転写ベルト上に重ねられることでフルカラーの画像が形成される。このフルカラー画像は、中間転写ベルトと二次転写ローラとのニップ部において、このニップ部を通る用紙等の記録媒体へ転写(二次転写)される。二次転写後、中間転写ベルト上に残された未転写トナーは、ベルトに当接配置されたクリーニングブレードにより掻き取られ、ベルトの表面から除去される。
【0003】
中間転写ベルトは、複数のローラに張架されて設けられる。中間転写ベルトが張架されるローラとしては、従来から金属ローラが用いられているが、近年、金属ローラに代えて、一層安価な樹脂ローラを用いることが求められている。
【0004】
樹脂ローラの成型に用いる金型としては、ローラの周方向に脱型可能なものと、ローラの軸方向に脱型可能なものが考えられるが、前者の金型を用いると、金型の継目跡(バリ等)が生じてしまうため、後者の金型を用いる必要がある。後者の金型は、軸方向の脱型が可能となるようにテーパ状に形成されるため、この金型により成型された樹脂ローラの形状は、軸方向の一端から他端にかけて拡径するテーパ状となる。しかし、テーパ状のローラに中間転写ベルトを張架すると、このローラへの巻回部分においてベルトが傾いてしまうため、ベルトの蛇行が発生してしまう恐れがある。
【0005】
このような問題に鑑みて、特許文献1の技術では、中間転写ベルトを張架するローラが、複数の樹脂製の円柱体を軸方向に繋ぎ合わせて構成されている。この技術によれば、ベルトが、ローラへの巻回部分において傾いてしまうことを防止でき、ベルトの蛇行を防止できる。
【特許文献1】特開2003−345091号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ローラを構成する円柱体の成型は、上述した樹脂ローラの成型と同様、軸方向に脱型可能な金型を用いて行われるため、各円柱体はテーパ状に成型される。したがって、複数の円柱体を繋ぎ合わせてローラを構成しても、ローラの外径を全長に亘って均一にすることはできず、円柱体の継目に巻回されたベルト部分が外側へ突出した状態となってしまう。
【0007】
そのため、複数の円柱体を並べて構成したローラが、ベルトを介してクリーニングブレードに対向配置された場合、クリーニングブレードは、円柱体の継目に巻回されたベルト部分への押し当て部分において局所的に摩耗しやすくなる。クリーニングブレードの局所的な摩耗が、ブレードと中間転写ベルトの画像領域との当接部において発生すると、該摩耗部分においてクリーニング不良が発生し、これに伴って画像不良が発生する恐れがある。また、中間転写ベルトの内側の面が、円柱体の継目への巻回部分において局所的に損傷し、画質に影響を及ぼす恐れがある。
【0008】
そこで、本発明は、中間転写ベルト等の無端ベルト状の像担持体の蛇行を防止しつつ、クリーニング不良に伴う画像不良を防止でき、像担持体の画像領域における局所的な損傷を軽減できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、
トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体と、
該像担持体を回転可能に張架する複数のローラとを備えた画像形成装置であって、
少なくとも1つの上記ローラは、該ローラの軸方向に伸びる芯軸と、上記軸方向に沿って並べられ且つ上記芯軸を中心として回転可能な複数の円柱体を備え、
上記複数の円柱体の上記軸方向端部の外縁部が描く回転軌道のうち、最も大きな径を有する回転軌道が上記ローラの軸方向の一端部に配置され、該回転軌道と同じか又は該回転軌道の次に大きな径を有する回転軌道が上記ローラの軸方向の他端部に配置されるように、上記複数の円柱体が配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無端ベルト状の像担持体を張架するローラが、複数の円柱体を並べて構成された画像形成装置において、円柱体の外縁部が描く回転軌道が、ローラの軸方向の両端部よりも中間部において小径となるため、像担持体は、ローラの軸方向中間部への巻回部分すなわち画像領域では、円柱体の継目への巻回部分においても外側へ顕著に突出することなく扁平に近い状態となる。したがって、像担持体の外周面に接触するクリーニング部材が、像担持体の画像領域へ局所的に強い力で押し当てられて摩耗することを回避でき、画像領域におけるクリーニング不良を防止でき、画像不良の発生を防止できる。また、像担持体の画像領域に相当する部分における損傷を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向や位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」及びそれらの用語を含む別の用語)を用いるが、それらの用語の使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置2の概略構成を示す。
【0013】
画像形成装置2は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、又はそれらの機能を複合的に備えた複合機等の電子写真式画像形成装置である。現在、電子写真方式の画像形成装置として種々の形態のものが提案されているが、図示する画像形成装置は、所謂4サイクル方式のカラー画像形成装置である。ただし、本発明は、この種の画像形成装置にのみ適用されるものではなく、他の形態の画像形成装置、例えば、所謂タンデム方式のカラー画像形成装置、または一つの現像装置しか備えていないモノクロ画像形成装置にも等しく適用できる。
【0014】
画像形成装置2は、その内部のほぼ中央部に感光体4を備えている。感光体4は、図示しない駆動モータにより図中時計回り方向に回転駆動される。
【0015】
感光体4の周囲にはその回転方向(図中時計回り方向)に沿って順に、感光体4の表面を一様に帯電させる帯電装置(図の例ではスコロトロン帯電器)8と、感光体4上に各色の静電潜像を順次形成するための露光装置10と、各色のトナーを感光体4に順次供給し、これにより静電潜像を顕在化する現像装置12と、感光体4上のトナー像を後述の中間転写ベルト30へ転写させるため、感光体4と共に中間転写ベルト30を挟圧する一次転写ローラ14と、感光体用クリーニングブレード16が配置されている。
【0016】
現像装置12は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容した4つの現像器18(18Y,18M,18C,18K)を図中時計回り方向に90°ずつずらして現像器ラック20に順次取り付けたもので、軸21を中心に図中反時計回り方向に回転可能となっている。現像装置12は、感光体4上に各色の静電潜像が形成されるごとに、対応する現像器18の現像ローラ22(22Y,22M,22C,22K)が感光体4に近接又は接触する現像位置に移動するように回転する。現像ローラ22には、図示しない電源より所定の現像バイアス電圧が適宜印加される。
【0017】
各現像器18には、一成分トナーまたは二成分トナーが収容されている。なお、図示は省略するが、各現像器18は、現像ローラ22にトナーを供給する供給ローラと、現像ローラ22に担持されたトナーの層厚を規制するとともに、そのトナー層を所定の帯電量に帯電させる規制部材を有している。
【0018】
感光体用クリーニングブレード16は、その先端において感光体4の表面に当接しており、このブレード16により、一次転写後において感光体4の表面に残留するトナーが掻き取られる。
【0019】
感光体4の上側には、中間転写ベルト30(特許請求の範囲における像担持体に対応。)が配置されている。中間転写ベルト30は、複数のローラ14,32,34,36,38により回転可能に張架されている。ベルト30の引張弾性率は、1.0GPa以上であることが好ましく、具体的には、例えば1.0GPa以上3.0GPa以下とされている。
【0020】
ローラ32は図示しない駆動モータに連結され、このローラ32の回転に伴って残りのローラ14,34,36,38が従動回転する。中間転写ベルト30は、ローラ14,34,36,38の回転に伴い、図中反時計回り方向に回転駆動される。ベルト30を張架するローラ14,32,34,36,38の具体的な構成は後述する。
【0021】
中間転写ベルト30としては、例えば、樹脂に導電剤を配合してなる半導電性ベルトが用いられる。ベルト30の素材として用いられる樹脂として、具体的には、例えば、ポリイミド、ポリカーボネイト等が挙げられる。ベルト30の厚みは、50μm以上であることが好ましく、具体的には、例えば50μm以上200μm以下とされる。
【0022】
画像形成装置2は、中間転写ベルト30上に4色のトナー像を重ねて転写させることによりカラー画像を形成するカラーモードと、中間転写ベルト30上にブラックのトナー像のみを転写させることによりモノクロ画像を形成するモノクロモードとの間で切り替え可能となっている。
【0023】
中間転写ベルト30の内側には、上述の一次転写ローラ14が、中間転写ベルト30を挟んで感光体4に対向して配置されている。一次転写ローラ14は、中間転写ベルト30に常時圧接した状態で設けられている。
【0024】
中間転写ベルト30の外側には二次転写ローラ40および中間転写ベルト用クリーニングブレード42が配置されている。
【0025】
二次転写ローラ40は、中間転写ベルト30のローラ32で支持された部分に圧接した状態と、中間転写ベルト30から離間した状態との間で切り替え可能となっている。二次転写ローラ40と中間転写ベルト30とのニップ部は二次転写領域41を形成しており、二次転写領域41を通る用紙等の記録媒体46は、中間転写ベルト30と二次転写ローラ40とに挟圧される。
【0026】
中間転写ベルト用クリーニングブレード42は、その先端において中間転写ベルト30のローラ36で支持された部分に当接した状態と、中間転写ベルト30から離間した状態との間で切り替え可能となっている。クリーニングブレード42のエッジが中間転写ベルト30に当接した状態では、ブレード42により二次転写後において中間転写ベルト30の表面に残留する未転写トナーが掻き取られる。クリーニングブレード42の素材としては、例えばウレタンゴムが用いられる。
【0027】
画像形成装置2の下部には、給紙カセット44が着脱可能に配置されている。給紙カセット44内に積載収容された記録媒体46は、給紙カセット44に積載された記録媒体46の先端近傍に対向した位置に配置された給紙部材48の回転によって最上部のものから1枚ずつ搬送路50に送り出される。
【0028】
搬送路50は、給紙カセット44から、タイミングローラ対52のニップ部、二次転写領域41、定着ローラ対56のニップ部、および排紙ローラ対60のニップ部を通って、画像形成装置2の上部に設けられた排紙部64まで延びている。
【0029】
画像形成装置2の上部には、画像形成動作を制御する制御部66が設けられている。ただし、画像形成装置2において制御部66が配置される位置は特に限定されるものではない。
【0030】
次に、画像形成装置2のカラーモードにおける画像形成動作について説明する。
【0031】
先ず、制御部66において外部端末又は操作部から送信されたプリント信号を受信すると、感光体4および中間転写ベルト30が所定のタイミングで回転駆動を開始する。
【0032】
続いて、感光体4表面の帯電電位を安定させるための帯電処理が開始されるとともに、現像器ラック20が回転駆動して、イエローのトナーを収容した現像器18Yが感光体4に対向配置される。
【0033】
その後、所定のタイミングで感光体4の露光が行われるとともに、イエローのトナーを収容した現像器18Yの駆動が開始される。また、所定のタイミングで、一次転写ローラ14に転写電圧が印加される。
【0034】
感光体4の露光が行われると、感光体4上にイエロー画像用の静電潜像が形成され、その静電潜像は、現像器18Yから供給されるイエローのトナーにより顕在化される。このようにして感光体4上に形成されたイエローのトナー像は、感光体4の回転により、中間転写ベルト30を挟んで一次転写ローラ14と対向する一次転写領域に達すると、感光体4から中間転写ベルト30上へ一次転写される。
【0035】
一次転写後、感光体4上に残留したトナーは、感光体4とクリーニングブレード16との当接部に達すると、クリーニングブレード16のエッジで掻き取られる。
【0036】
イエローのトナーを収容した現像器18Yは、所定のタイミングで駆動が停止され、イエロー画像の現像および一次転写が終了する。その後、再び感光体4の帯電処理が行われるとともに、現像器ラック20が回転駆動して、マゼンタのトナーを収容した現像器18Mが感光体4に対向配置される。
【0037】
続いて、イエローのトナー像を形成する時と同様、マゼンタ画像の現像および一次転写、並びにクリーニングブレードによる感光体4表面の清掃が行われる。マゼンタのトナー像は、一次転写の際、中間転写ベルト30上のイエローのトナー像の上に重ねられて転写される。
【0038】
同様に、シアンおよびブラックのトナー像も、中間転写ベルト30上に順次一次転写され、中間転写ベルト30上に4色のトナー像が重ね合わせられる。
【0039】
中間転写ベルト30上で重ね合わされた4色のトナー像は、二次転写ローラ40に転写電圧が印加された後、中間転写ベルト30によって二次転写領域41に搬送される。また、そのタイミングに合わせて、給紙カセット44に収容された記録媒体46が、二次転写領域41に搬送される。
【0040】
続いて、二次転写領域41において、上記4色のトナー像が中間転写ベルト30から記録媒体46に転写される。トナー像が転写された記録媒体46は、搬送路50のさらに下流側へ搬送され、定着ローラ56によってトナー像が記録媒体46に定着された後、排紙ローラ60によって排紙部64に送り出される。
【0041】
その後、二次転写ローラ40における転写電圧の印加が、所定のタイミングで停止されるとともに、中間転写ベルト用クリーニングブレード42が、所定のタイミングで中間転写ベルト30に圧接し、二次転写後において中間転写ベルト30上に残留した未転写トナーがブレード42により掻き取られる。
【0042】
続いて、中間転写ベルト30を張架するローラ14,34,36,38の構成を説明する。
【0043】
本実施形態において、中間転写ベルト30を張架するローラ14,34,36,38のうち、駆動ローラ32は、例えばアルミニウム製の金属ローラであり、従動ローラ14,34,36,38は、例えばポリアセタール(POM)製の樹脂ローラである。
【0044】
以下、樹脂ローラ14,34,36,38の構成を具体的に説明する。樹脂ローラ14,34,36,38は、互いに同様の構成からなるため、これらのローラ14,34,36,38を代表して、ベルト30を挟んでクリーニングブレード42に対向配置されたローラ36の構成を説明する。
【0045】
なお、図2、図4、図6および図7において、クリーニングブレード42の図示を省略しているが、クリーニングブレード42は、ベルト30に対して図中の上側に配置され、ブレード42の先端が、図中の左右方向の全幅に亘ってベルト30の外周面に当接している。
【0046】
図2に示すように、ローラ36は、ローラ36の軸方向に伸びる例えばステンレス製の芯軸70と、ローラ36の軸方向に沿って並べられた複数の樹脂製の円柱体72とを備えている。円柱体72は、隣接する円柱体72に対して端面同士を当接させた状態で並べられ、芯軸70を中心として回転可能に設けられている。具体的には、芯軸70の両端部が画像形成装置2の本体に固定され、円柱体72が、芯軸70に回転自在に支持されている。ただし、円柱体72を芯軸70に回転不能に固定して、芯軸70を、画像形成装置2の本体に設けた軸受により回転可能に支持してもよい。
【0047】
図2において、円柱体72は4つ設けられているが、円柱体72の個数は、複数であれば特に限定されない。
【0048】
各円柱体72は、図3に示すように、ローラ36の軸方向に直角な断面が円形または略円形であり、且つ、ローラ36の軸方向の一端側の小径断面76から他端側の大径断面74にかけて拡径する円錐台状の部材である。このように、円柱体72はテーパ状に成型されている。円柱体72のテーパ角は、円柱体72の軸方向の長さ、円柱体72の素材、または円柱体72の成形条件等によって異なるが、約1°程度とされる。ただし、図面において、円柱体72のテーパ角は、説明の便宜上、実際よりも大きく示している。
【0049】
円柱体72の径方向中央部には、芯軸70を挿通させるための挿通穴78が軸方向に貫通して形成されている。挿通穴78は、軸方向の全長に亘って均一または略均一の径を有する。
【0050】
円柱体72の軸方向の長さは、特に限定されないが、例えば20mm以上160mm以下とされる。円柱体72の外径は、特に限定されないが、例えば12mm以上40mm以下とされる。挿通穴78の直径は、芯軸70の外径と同じか又は僅かに小さく、具体的な寸法は特に限定されないが、例えば6mm以上12mm以下とされる。
【0051】
図2に戻って、本発明では、ローラ36を構成する円柱体72のうち、少なくとも1つの円柱体72の大径端面74の外径が、別の円柱体72の大径端面74の外径と異なる構成とされている。具体的に、本実施形態では、2つの大径端面74a,74bの外径が、残りの2つの大径端面74c,74dの外径よりも大きい構成とされている。また、大径端面74aの外径は、大径端面74bの外径と比較して同一または大きく、大径端面74cの外径は、大径端面74dの外径と比較して同一または大きい構成とされている。
【0052】
なお、大径端面74の外径が異なる円柱体72は、異なる金型を用いて成型することで用意される。ただし、共通の金型を用いて円柱体72を成型した後、寸法誤差により大径端面74の外径が異なることとなった円柱体72を、大径端面74の大きさ別に選別して用意してもよい。
【0053】
円柱体72の配置については様々な態様が考えられ、円柱体72を不作為に並べてローラ36を構成すると、例えば、図6または図7に示す態様で円柱体72が配置される場合がある。
【0054】
図6および図7に示す構成では、ローラ36を構成する複数の円柱体72のうち、最も大きな外径を有する大径端部74a、および大径端面74aと同じか又は大径端面74aの次に大きな外径を有する大径端面74bが、軸方向の中間部に配置されている。
【0055】
図6に示す構成では、中間転写ベルト30が、ローラ36の軸方向中間部に位置する大径端面74aと大径端面74bとの当接部への巻回部分Fにおいて、ベルト30の外側、すなわちブレード42側へ顕著に突出するため、クリーニングブレード42の幅方向中間部は、ブレード42側へ突出したベルト部分Fへ強い力で押し当てられて、局所的に摩耗しやすくなる。ブレード42の幅方向中間部が局所的に摩耗すると、ローラ36の軸方向中間部へ巻回されたベルト部分、すなわちベルト30表面の画像領域でクリーニング不良が発生し、これに伴って画像不良が発生してしまう。また、中間転写ベルト30の内面が、大径端面74aと大径端面74bとの当接部への巻回部分Fにおいて局所的に大きな応力を受けるため、損傷しやすくなる。
【0056】
図7に示す構成では、中間転写ベルト30が、ローラ36の軸方向中間部に位置する大径端面74aへの巻回部分Gおよび大径端面74bへの巻回部分Hにおいて、ブレード42側へ顕著に突出するため、クリーニングブレード42の幅方向中間部は、ブレード42側へ突出したベルト部分G,Hへ強い力で押し当てられて、局所的に摩耗しやすくなる。したがって、図6に示す構成と同様、クリーニング不良に伴う画像不良が発生しやすくなる。また、中間転写ベルト30の内面が、大径端面74aへの巻回部分Gと大径端面74bへの巻回部分Hにおいて局所的に大きな応力を受けるため、損傷しやすくなる。
【0057】
このような問題に鑑みて、本発明では、ローラ36を構成する円柱体72が、以下で述べるように配置されている。
【0058】
(第1の実施形態)
図2に示す第1の実施形態では、ローラ36の軸方向中間部の円柱体72c,72dの大径端面74c,74d同士が当接し、軸方向中間部の円柱体72c,72dの小径端面76c,76dと、軸方向端部の円柱体72a,72bの小径端面76a,76bとが当接した状態で、円柱体72が並べられている。なお、軸方向両端の円柱体72a,72bの大径端面74a,74bには、芯軸70に固定された位置決め部材80が当接して設けられ、これにより、円柱体72の軸方向の位置ずれを防止可能となっている。
【0059】
このような態様で円柱体72を並べることで、ローラ36を構成する円柱体72の各端面74,76のうち、最も大きな外径を有する大径端面74aが、ローラ36の軸方向の一端部に配置され、大径端面74aと同じか又は大径端面74aの次に大きな外径を有する大径端面74bが、ローラ36の軸方向の他端部に配置される。また、両端の大径端部74a,74bよりも小さい外径を有する大径端面74c,74dは、ローラ36の軸方向の中間部に配置される。このように円柱体72a〜72dを配置することで、円柱体72a〜72dの軸方向端部の外縁部が描く回転軌道のうち、最も大きな径を有する回転軌道がローラ36の軸方向の一端部に配置され、該回転軌道と同じか又は該回転軌道の次に大きな回転軌道がローラ36の軸方向の他端部に配置されることとなる。
【0060】
このようにしてローラ36を構成することで、ベルト30のローラ36への巻回部分のうち、ローラ36の軸方向両端に位置する大径端面74a,74bへの巻回部分A,Bが、ベルト30の外側、すなわちクリーニングブレード42側へ向かって顕著に突出する。これに対して、ローラ36の軸方向の中間部では、両端と比較して外径が小さくなるため、ローラ36の軸方向中間部に位置する大径端面74c,74dへ巻回されたベルト部分Cは、ブレード42側へ大きく突出することがなく、ベルト30の剛性により、ローラ36の軸方向中間部へ巻回されたベルト部分は扁平に近い状態となる。特に、ベルト30の引張弾性率を1.0GPa以上とし、ベルト30の厚みを50μm以上とすることで、ベルト30が十分な剛性を有することとなるため、ローラ36の軸方向中間部へ巻回されたベルト部分を、扁平な状態に一層近づけることができる。
【0061】
したがって、ローラ36の軸方向の幅と比較してクリーニングブレード42の幅が大きい場合、ブレード42の幅方向の両端部は、ローラ36の両端へ巻回されたベルト部分、すなわちブレード42側へ顕著に突出したベルト部分へ強い力で押し当てられるため、局所的に摩耗しやすくなるが、ブレード42の幅方向の中間部は、扁平に近い状態のベルト部分に押し当てられるため、局所的な摩耗が生じにくい。中間転写ベルト30の外周面において、ローラ36の軸方向両端部への巻回部分は非画像領域となっているため、ブレード42の幅方向の両端部が局所的に摩耗して、この摩耗部分においてクリーニング不良が発生しても、画像不良の発生を回避できる。
【0062】
一方、ローラ36の軸方向の幅と比較してクリーニングブレード42の幅が小さい場合、クリーニングブレード42は、その全幅に亘って、ローラ36の軸方向中間部へ巻回されたベルト部分、すなわち扁平に近い状態のベルト部分に接触するため、局所的な摩耗が生じ難く、クリーニング不良が発生し難い。
【0063】
また、中間転写ベルト30の内側の面は、ローラ36の軸方向両端への巻回部分、すなわち非画像領域において、局所的に強い応力を受けるため損傷しやすいが、ローラ36の軸方向中間部への巻回部分、すなわち画像領域においては、局所的に強い応力を受けることがないため損傷しにくく、ベルト30の損傷が画質に影響を及ぼす恐れを解消できる。
【0064】
(第2の実施形態)
図4に示す第2の実施形態では、第1の実施形態と同様の円柱体72a〜72dが用いられているが、円柱体72の配置の態様が、第1の実施形態と異なる。第2の実施形態では、ローラ36の軸方向一端部の円柱体72aの小径端面76aに、円柱体72cの小径端面76cが当接し、円柱体72cの大径端面74cに円柱体72dの小径端面76dが当接し、円柱体72dの大径端面74dに円柱体72bの小径端面76bが当接した状態で、円柱体72a〜72dが並べられている。軸方向両端の円柱体72a,72bの大径端面74a,74bには、第1の実施形態と同様、芯軸70に固定された位置決め部材80が当接して設けられている。
【0065】
このような態様で円柱体72を並べることで、第1の実施形態と同様、ローラ36を構成する円柱体72の各端面74,76のうち、最も大きな外径を有する大径端面74aが、ローラ36の軸方向の一端部に配置され、大径端面74aと同じか又は大径端面74aの次に大きな外径を有する大径端面74bが、ローラ36の軸方向の他端部に配置され、両端の大径端面74a,74bよりも小さい外径を有する大径端面74c,74dは、ローラ36の軸方向の中間部に配置される。
【0066】
そのため、ベルト30のローラ36への巻回部分のうち、ローラ36の軸方向両端に位置する大径端面74a,74bへの巻回部分A,Bが、クリーニングブレード42側へ向かって顕著に突出する。これに対して、ローラ36の軸方向中間部に位置する大径端面74c,74dへ巻回されたベルト部分D,Eは、ブレード42側へ大きく突出することがなく、ベルト30の剛性により、ローラ36の軸方向中間部へ巻回されたベルト部分は扁平に近い状態となる。
【0067】
したがって、第1の実施形態と同様、クリーニングブレード42の幅の大きさに関わらず、クリーニング不良に伴う画像不良の発生を回避できる。また、第1の実施形態と同様、中間転写ベルト30の内側の面は、ローラ36の軸方向中間部への巻回部分、すなわち画像領域において損傷しにくいため、ベルト30の損傷が画質に影響を及ぼす恐れを解消できる。
【0068】
なお、第2の実施形態において、その他の構成及び効果は第1の実施形態と同様であり、図4において、第1の実施形態と同様の機能を有する部材については同符号を付してある。
【0069】
第1および第2の実施形態では、ローラ36を構成する円柱体として、図3に示す円柱体72に代えて、図5に示す円柱体82を用いることができる。
【0070】
図5に示す円柱体82は、軸方向に直角な断面が円形または略円形とされ、且つ、軸方向において均一または略均一な外径を有する円柱状の部材である。図3に示す円柱体72と同様、円柱体82の径方向中央部には挿通穴78が軸方向に貫通して形成されているが、挿通穴78は、第1の実施形態と異なり、軸方向の一端側の小径部84から他端側の大径部86にかけて拡径するように形成されている。挿通穴78の小径部84は、芯軸70の外径よりも小径とされ、挿通穴78の大径部86は、芯軸70の外径と比較して同一または僅かに小さい径とされている。
【0071】
円柱体82の挿通穴78に芯軸70を挿通させると、芯軸70により挿通穴78の内壁が径方向外側へ押し拡げられて、挿通穴78は、全長に亘って芯軸70の外径と同一の径となるように拡大する。芯軸70により挿通穴78の内壁が押し拡げられると、これに伴って、挿通穴78の周囲の円柱体82の肉厚部も径方向外側へ押し拡げられ、円柱体82の外径が拡大する。挿通穴78の拡大率は、大径部86で最も小さく、軸方向において大径部86から小径部84に向かうに連れて漸増し、小径部84で最も大きくなる。したがって、挿通穴78に芯軸70が挿通された状態において、円柱体82の外径は、大径部86側の端部で最も小さく、軸方向において大径部86側の端部から小径部84側の端部に向かうに連れて漸増し、小径部84側の端部で最も大きくなる。すなわち、挿通穴78に芯軸70が挿通された状態において、円柱体82の形状は、図3に示す円柱体72と同様のテーパ状となり、小径部84側の端面が大径端面74となり、大径部86側の端面が小径端面76となる。
【0072】
図5に示す円柱体82を用いる場合、ローラ36を構成する円柱体82のうち、少なくとも1つの円柱体82の小径部84の直径が、別の円柱体82の小径部84の直径と異なるように、円柱体82を用意すればよい。このように円柱体82を用意することで、円柱体82の挿通穴78に芯軸70を挿通させた状態では、少なくとも1つの円柱体82の大径端面74の外径が、別の円柱体82の大径端面74の外径と異なる構成となる。
【0073】
なお、小径部84の直径が異なる円柱体82は、異なる金型を用いて成型することで用意される。ただし、共通の金型を用いて円柱体82を成型した後、寸法誤差により小径部84の直径が異なることとなった円柱体82を、小径部84の大きさ別に選別して用意することもできる。
【0074】
円柱体82の配置に際しては、ローラ36を構成する複数の円柱体82の挿通穴78の小径部84および大径部86のうち、最も小径の小径部84をローラ36の軸方向の一端部に配置し、該小径部84と同じか又は該小径部84の次に小径である小径部84をローラ36の軸方向の他端部に配置すればよい。このように複数の円柱体82が配置されるように、これらの円柱体82の挿通穴78に芯軸70を挿通させることで、第1および第2の実施形態と同様、ローラ36を構成する複数の円柱体82の大径端面74のうち、最も大きな外径を有する大径端面74が、ローラ36の軸方向一端部に配置され、該大径端面74と同じか又は該大径端面74の次に大きな外径を有する大径端面74が、ローラ36の軸方向他端部に配置されることとなり、第1および第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0075】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【0076】
例えば、上述の実施形態では、中間転写ベルトを張架するローラの構成について説明したが、本発明は、中間転写ベルト以外の無端ベルト状の像担持体(例えば、ベルト状の感光体)を張架するローラにも同様に適用できる。
直接転写ベルトでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】第1の実施形態に係るローラの構成を示す図である。
【図3】ローラを構成する円柱体を示す斜視図である。
【図4】第2の実施形態に係るローラの構成を示す図である。
【図5】その他の実施形態に係る円柱体を示す斜視図である。
【図6】不作為に円柱体を並べて構成されたローラの一例を示す図である。
【図7】不作為に円柱体を並べて構成されたローラのその他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
2:画像形成装置、
14,34,36,38:ローラ、
30:像担持体(中間転写ベルト)、
42:クリーニングブレード(クリーニング部材)、
72,82:円柱体、
74:大径端面、
76:小径端面、
78:挿通穴、
84:小径部、
86:大径部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー像を担持する無端ベルト状の像担持体と、
該像担持体を回転可能に張架する複数のローラとを備えた画像形成装置であって、
少なくとも1つの上記ローラは、該ローラの軸方向に伸びる芯軸と、上記軸方向に沿って並べられ且つ上記芯軸を中心として回転可能な複数の円柱体を備え、
上記複数の円柱体の上記軸方向端部の外縁部が描く回転軌道のうち、最も大きな径を有する回転軌道が上記ローラの軸方向の一端部に配置され、該回転軌道と同じか又は該回転軌道の次に大きな径を有する回転軌道が上記ローラの軸方向の他端部に配置されるように、上記複数の円柱体が配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
上記円柱体は、上記軸方向の一端側の小径端面から他端側の大径端面にかけて拡径する部材であり、
上記複数の円柱体の小径端面および大径端面のうち、最も大きな外径を有する大径端面が上記ローラの軸方向の一端部に配置され、該大径端面と同じか又は該大径端面の次に大きな外径を有する大径端面が、上記ローラの軸方向の他端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
上記芯軸の外径は、上記軸方向の全長に亘って均一または略均一とされ、
上記円柱体は、上記軸方向において均一または略均一な外径を有する部材であり、
該円柱体には、上記芯軸を挿通させるための挿通穴が、上記軸方向に貫通して、且つ、上記軸方向の一端側の小径部から他端側の大径部にかけて拡径するように形成され、
上記挿通穴の少なくとも上記小径部は、上記芯軸の外径よりも小径とされ、
上記挿通穴に上記芯軸が挿通された状態において、上記円柱体が上記軸方向の上記大径部側の端部から上記小径部側の端部にかけて拡径する状態となる画像形成装置であって、
上記複数の円柱体の挿通穴の小径部および大径部のうち、最も小径の小径部が上記ローラの軸方向の一端部に配置され、該小径部と同じか又は該小径部の次に小径である小径部が、上記ローラの上記軸方向の他端部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
上記少なくとも1つのローラは、上記像担持体上のトナーを掻き取るクリーニング部材に対して、上記像担持体を挟んで対向配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−170672(P2008−170672A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3195(P2007−3195)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】