説明

画像形成装置

【課題】 メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制しつつ、輸送時にベルトユニットが装置本体から外れてしまうことを防止する。
【解決手段】 従動ローラ32の軸を装置本体2に固定する固定部材50をベルトユニット30及び装置本体2に対して着脱可能に組み付ける。これにより、画像形成装置1を輸送する際には固定部材50を組み付け、一方、画像形成装置1の使用時等の非輸送時には、固定部材50を取り外しておく、といった使い方が可能となる。したがって、メンテナンス時にベルトユニット30を容易に装置本体2から取り外すことができるので、メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制できる。また、輸送時には、固定部材50によりベルトユニット30が装置本体2に強固に固定されるので、ベルトユニット30が装置本体2から外れてしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するもので、特に、電子写真方式の画像形成装置に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置では、転写ベルト用のベルトユニットや記録用紙等の被記録媒体を搬送するためのベルトユニットが設けられている。そして、例えば特許文献1に記載の発明では、転写ベルト用のベルトユニットが装置本体に対して着脱可能に組み付けられている。
【特許文献1】特開2002−60039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、画像形成装置は精密機械であるため、定期的にメンテナンスすることが望ましいが、メンテナンス作業の中には、ベルトユニットを装置本体から取り外す必要がある作業もある。このため、メンテナンス作業の作業性を向上させるためには、ベルトユニットを装置本体から容易に取り外すことができる構成とすることが望ましい。
【0004】
しかし、ベルトユニットを装置本体から容易に取り外すことができる構成とすると、輸送時に発生する振動や加振力により、ベルトユニットが装置本体から外れてしまい、ベルトユニットが損傷してしまうおそれがある。
【0005】
これに対しては、ベルトユニットが装置本体に対して変位することを規制するロック機構の保持力を強くすれば、解決することができるものの、ロック機構の保持力を強くすると、ベルトユニットを装置本体から容易に取り外すことができなくなるので、メンテナンス時の作業性が悪化してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記点に鑑み、メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制しつつ、輸送時にベルトユニットが装置本体から外れてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、装置本体(2)内に収納され、被記録媒体に画像を形成する画像形成部(10)と、無端ベルト(33)を回転駆動させる駆動ローラ(31)、駆動ローラ(31)と離隔した位置に回転可能に配設されて無端ベルト(33)に張力を付与する従動ローラ(32)、及び従動ローラ(32)が変位可能に保持されたフレーム(34)を有して構成され、装置本体(2)内に着脱可能に組み付けられたベルトユニット(30)と、装置本体(2)に設けられ、従動ローラ(32)の軸端側を受ける受け部(2G)と、装置本体(2)に設けられ、従動ローラ(32)の軸(32A)を受け部(2G)側に向けて押圧することによりベルトユニット(30)が装置本体(2)に対して変位することを規制するロック機構(35、36)と、ベルトユニット(30)及び装置本体(2)のうち少なくとも一方に対して着脱可能に組み付けられ、従動ローラ(32)を装置本体(2)に固定する固定部材(50)とを備えていることを特徴とする。
【0008】
これにより、請求項1に記載の発明では、例えば画像形成装置の輸送時には、固定部材(50)を組み付け、一方、画像形成装置の使用時等の非輸送時には、固定部材(50)を取り外しておく、といった使用方法が可能となる。
【0009】
そして、固定部材(50)を上記のように使用すれば、メンテナンス時にベルトユニット(30)を容易に装置本体(2)から取り外すことができるので、メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制できる。また、輸送時には、固定部材(50)によりベルトユニット(30)が装置本体(2)に強固に固定されるので、ベルトユニット(30)が装置本体(2)から外れてしまうことを防止することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、軸(32A)を挟んで受け部(2G)と反対側に位置して受け部(2G)と協働して軸(32A)を挟む第1挟み面(50A)が設けられていること特徴とする。
【0011】
これにより、請求項2に記載の発明では、軸(32A)が受け部(2G)と第1挟み面(50A)とによって挟み込まれた状態で保持されるので、固定部材(50)にてベルトユニット(30)を強固に固定することが可能となる。
【0012】
なお、請求項2に記載の発明は、受け部(2G)と第1挟み面(50A)とが軸(32A)に接触して直接的に挟持する構成は勿論のこと、請求項3に記載の発明のごとく、軸(32A)の軸端側に軸受(32B)が設けられている場合には、受け部(2G)と第1挟み面(50A)とが軸(32A)に接触することなく、軸受(32B)を介して間接的に軸(32A)を挟み込むような構成であってもよい。
【0013】
また、固定部材(50)は、請求項4に記載の発明のごとく、受け部(2G)を挟んで第1挟み面(50A)と反対側から装置本体(2)の一部に接触する第2挟み面(50B)、及び第1挟み面(50A)が設けられた部位と第2挟み面(50B)が設けられた部位とを連結する連結部(50C)を有して略コの字状に形成されていることが望ましい。
【0014】
また、請求項5に記載の発明のごとく、第1挟み面(50A)が、ロック機構(35、36)の押圧面(36A)に対して交差する方向に平行となるように構成すれば、より確実にベルトユニット(30)を装置本体(2)に対して固定できる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、装置本体(2)には、ベルトユニット(30)が収容された収容空間(2E)の開口部(2F)を開閉する開閉ドア(3A)が設けられており、さらに、固定部材(50)は、収容空間(2E)内のうち開閉ドア(3A)側に組み付けられることを特徴とする。
【0016】
これにより、請求項6に記載の発明では、メンテナンス作業を行う作業者は、開口部(2F)側から容易に固定部材(50)に触れることができるので、作業者は、固定部材(50)の着脱作業を容易に行うことができる。
【0017】
請求項7に記載の発明では、固定部材(50)は、固定部材(50)が装置本体(2)から取り外された状態に対して弾性的に変形した状態で組み付けられていることを特徴とする。
【0018】
これにより、請求項7に記載の発明では、固定部材(50)で発生する弾性力(復元力)によりベルトユニット(30)を装置本体(2)に対して確実に固定することができる。
【0019】
請求項8に記載の発明では、装置本体(2)内に収納され、被記録媒体に画像を形成する画像形成部(10)と、無端ベルト(33)、無端ベルト(33)に張力を付与するローラ(32)、及びローラ(32)が変位可能に保持されたフレーム(34)を有して構成され、装置本体(2)内に着脱可能に組み付けられたベルトユニット(30)と、ベルトユニット(30)及び装置本体(2)のうち少なくとも一方に対して着脱可能に組み付けられ、ローラ(32)を装置本体(2)に固定する固定部材(50)とを備えていることを特徴とする。
【0020】
これにより、請求項8に記載の発明も請求項1に記載の発明と同様に、例えば画像形成装置の輸送時には、固定部材(50)を組み付け、一方、画像形成装置の使用時等の非輸送時には、固定部材(50)を取り外しておく、といった使い方することが可能となるので、メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制しつつ、輸送時にベルトユニット(30)が装置本体(2)から外れてしまうことを防止することができる。
【0021】
因みに、上記各手段等の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段等との対応関係を示す一例であり、本発明は上記各手段等の括弧内の符号に示された具体的手段に限定されるものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態は、本発明に係る画像形成装置を電子写真方式の画像形成装置(レーザプリンタ)に適用したものであり、以下、図面と共に本実施形態を説明する。
1.図面の説明
図1は本実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す中央断面図であり、図2は画像形成装置1の装置本体(フレーム)2の左斜視図であり、図3は装置本体2からベルトユニット30を取り外した場合における図2のA部拡大図であり、図4は図2のA部拡大図であり、図5は図4において、搬送ベルト33及びユニットフレーム34の一部を透視した透視図である。
【0023】
図6は装置本体2の右斜視図であり、図7は装置本体2からベルトユニット30を取り外した場合における図6のA部拡大図であり、図8は図6のA部拡大図であり、図9は図8において、搬送ベルト33及びユニットフレーム34の一部を透視した透視図である。
【0024】
図10はベルトユニット30及びテンションレバー36を左側から見た図であり、図10はベルトユニット30及びテンションレバー36を右側から見た図であり、図12(a)は右側の固定部材50の正面図であり、図12(b)は右側の固定部材50の左斜視図であり、図12(c)は右側の固定部材50の右斜視図である。
【0025】
図13(a)は左側の固定部材50の正面図であり、図13(b)は左側の固定部材50の右斜視図であり、図13(c)は左側の固定部材50の左斜視図であり、図14は図1のA部拡大図である。
【0026】
2.画像形成装置の構成
図2に示す装置本体(フレーム)2は、図1に示すように、外観意匠を構成する筐体3に覆われており、この筐体3の上面部には、印刷(画像形成)を終えて筐体3から排出される用紙やOHPシート等(以下、単に用紙という。)が載置される排紙トレイ4が設けられている。
【0027】
また、装置本体2は、図2に示すように、水平方向(左右方向)両端側に設けられた略板状のサイドフレーム2A、2B、これらサイドフレーム2A、2Bの上端側を連結する天板部2C、及びサイドフレーム2A、2Bの下端側を連結する底板部2D等から構成されている。
【0028】
そして、装置本体2には、サイドフレーム2A、2Bによって左右両側が囲まれるようにして前後方向に拡がる収容空間2Eが形成されており、この収容空間2Eの前方側に設けられた開口部2Fは、図1に示すように、筐体3に揺動可能に組み付けられた開閉ドア3Aによって開閉される。
【0029】
また、装置本体2、つまり収容空間2E内には、画像形成部10、フィーダ部20及びベルトユニット30等が収納されており、画像形成部10にて画像形成が終了した用紙は、中間搬送ローラ40及び排出シュート(図示せず。)にてその搬送方向が上方側に略180°転向された後、排出ローラ41により排紙トレイ4に排出される。
【0030】
2.1.フィーダ部(図1参照)
フィーダ部20は、後述する給紙トレイ21に載置されている用紙を画像形成部10側に送り出す送り手段である。具体的には、装置本体2の最下部に収納された給紙トレイ21、給紙トレイ21の前端部上方に設けられて給紙トレイ21に載置された用紙を画像形成部10側に給紙(搬送)する給紙ローラ22、及び用紙に所定の搬送抵抗を与えることにより給紙ローラ22により給紙される用紙を1枚毎に分離する分離パッド23等を有して構成されている。
【0031】
2.2.ベルトユニット
ベルトユニット30は、フィーダ部20から送られてきた用紙を搬送する搬送手段であり、このベルトユニット30は、図1に示すように、後述する感光ユニット12の下方側に配置された状態で装置本体2に着脱可能に組み付けられている。
【0032】
また、ベルトユニット30は、画像形成部10の作動と連動して回転する駆動ローラ31、駆動ローラ31と離隔した位置に回転可能に配設された従動ローラ(テンションローラ)32、駆動ローラ31と従動ローラ32と間に巻き付けられた搬送ベルト33、並びに駆動ローラ31及び従動ローラ32を支持するベルトユニットフレーム34(図10参照)等を有して構成されている。
【0033】
そして、駆動ローラ31は、ベルトユニットフレーム34に対して固定された位置にて軸受(図示せず。)を介してベルトユニットフレーム34に回転可能に組み付けられている。
【0034】
一方、従動ローラ32の回転軸32Aは、図14に示すように、その軸端側に軸受32Bが装着されているとともに、ベルトユニットフレーム34に形成された長穴34Aに挿入されて駆動ローラ31から離隔する向き及び近接する向きに変位することができるようにベルトユニットフレーム34に組み付けられている。
【0035】
また、装置本体2(サイドフレーム2A、2B)には、図10及び図11に示すように、回転軸32Aの軸端側を受ける受け部2Gが設けられており、回転軸32Aは軸受32Bを介して受け部2Gにより支持されている。なお、本実施形態では、受け部2Gは、サイドフレーム2A、2Bに一体成形されているが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
そして、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられた状態においては、従動ローラ32は、テンションレバー36を介してコイルバネ35(図14参照)等の弾性手段による弾性力を受けて駆動ローラ31から離隔する向きに押圧される。
【0037】
また、ベルトユニット30(ベルトユニットフレーム34)には、サイドフレーム2A、2B側に突出する突起部34A(図1参照)が設けられ、一方、サイドフレーム2A、2Bには、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられた状態において従動ローラ32側にて突起部34Aに係合する係合部2H(図1参照)が設けられている。
【0038】
このため、ベルトユニット30が装置本体2に対して正規の装着位置に組み付けられた状態においては、突起部34Aと係合部2Hとの係合によってベルトユニット30が従動ローラ32側に移動してしまうことが規制されるので、テンションレバー36の押圧力によって搬送ベルト33に従動ローラ32から所定の張力が付与される。
【0039】
なお、正規の装着位置とは、ベルトユニット30を正常作動させることができる得る装着位置をいい、ベルトユニット30が正規の装着位置に組み付けられていない状態では、用紙を正常搬送することができず、この状態では、用紙に形成される画像の品質が低下する、又は搬送中に用紙が詰まってしまう等の不具合が発生する可能性がある。
【0040】
また、テンションレバー36は、図14に示すように、その一端側にコイルバネ35が連結され、他端側には軸受32Bに接触して従動ローラ32を押圧する押圧面36Aが形成されているとともに、その長手方向中間部には、テンションレバー36を揺動可能に支持する支持部36Bが設けられている。
【0041】
そして、テンションレバー36は、ベルトユニット30が正規の装着位置に向けて下向きに所定量押し込まれたときに、従動ローラ32(軸受32B)を駆動ローラ31から離隔する向き及び受け部2G側に向けて押圧することより、ベルトユニット30を装置本体2に対して正規の装着位置に固定する。
【0042】
因みに、テンションレバー36のうち押圧面36Aが形成された部位は、図3に示すように、樹脂又はゴムからなる覆い部材36Cに覆われており、この覆い部材63Cにより、金属製のテンションレバー36(押圧面36A)と軸受32Bとが直接接触してしまうことが防止されている。
【0043】
2.3.画像形成部
画像形成部10は、図1に示すように、露光器(スキャナ)11、感光ユニット12及び定着装置14等を有して構成されている。
【0044】
そして、本実施形態に係る画像形成部10では、用紙の搬送方向上流側からブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの4色の現像剤(トナー)に対応した4つの現像剤カートリッジ13K、13Y、13M、13Cが用紙の搬送方向(ベルトユニット30の着脱方向)に沿って直列に並んで配設されている。
【0045】
なお、本実施形態に係る画像形成部10は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンそれぞれの現像剤像が、ベルトユニット30上を搬送される用紙上で重ね合わせられるダイレクトタンデム方式のものである。
【0046】
2.3.1.露光器
露光器11は、筐体3内の上部に設けられるとともに、感光ドラム13Dの表面に静電潜像を形成する露光手段であり、具体的には、レーザ光源、ポリゴンミラー、fθレンズ及び反射鏡等から構成されている。
【0047】
そして、画像データに基づいてレーザ光源から発光されるレーザビームは、ポリゴンミラーで偏向走査されて、fθレンズを通過した後、反射鏡によって光路が折り返された後、反射鏡によってさらに光路が下方に屈曲されることにより、後述する感光ドラム13Dの表面上に照射され、静電潜像が形成される。
【0048】
2.3.2.感光ユニット
感光ユニット12は、4つの現像剤カートリッジ13K、13Y、13M、13C(以下、総称するときは、現像剤カートリッジ13と記す。)を有して構成されており、これらの現像剤カートリッジ13はケーシング12Aに収納されている。このため、本実施形態では、4つの現像剤カートリッジ13を装置本体2に対して一体的に着脱することができる。
【0049】
因みに、現像剤カートリッジ13Kはブラックの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Yはイエローの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Mはマゼンタの現像剤が収納され、現像剤カートリッジ13Cはシアンの現像剤が収納されている。そして、これら4つの現像剤カートリッジ13は収納されている現像剤の色が異なるのみで、その構造は全て同一であり、具体的には、以下の通りである。
【0050】
現像剤収容部13Aは、現像剤が収容された現像剤収容室13B、現像剤を感光ドラム13Dに供給する供給ローラ13E及び現像ローラ13F等を有して構成されている。
そして、現像剤収容室13Bに収容されている現像剤は、供給ローラ13Eの回転によって現像ローラ13F側に供給され、さらに、現像ローラ13F側に供給された現像剤は、現像ローラ13Fの表面に担持されるとともに、層厚規制ブレード13Gにより担持された現像剤の厚みが所定の厚みにて一定(均一)となるよう調整された後、露光器11にて露光された感光ドラム13Dの表面に供給される。
【0051】
また、感光ドラム13Dは、用紙に転写される画像を担持する画像担持手段をなすもので、最表層がポリカーボネート等からなる正帯電性の感光層により形成される円筒状のものであり、帯電器13Hは、感光ドラム13Dの表面を帯電させる帯電手段をなすものである。
【0052】
転写ローラ13Jは、搬送ベルト33を挟んで感光ドラム13Dと対向して配設されており、この転写ローラ13Jは、搬送ベルト33の回転と連動して回転し、用紙が感光ドラム13D近傍を通過する際に、感光ドラム13Dに帯電した電荷と逆極性の電圧を印加(作用)させることにより、感光ドラム13Dの表面に付着した現像剤を用紙の印刷面に転写させる転写手段をなすものである。なお、本実施形態では、転写ローラ13Jは、ベルトユニット30(ベルトユニットフレーム34)に回転可能に組み付けられている。
【0053】
因みに、装置本体2には、ケーシング12A(感光ユニット12)の装着方向前進側(後方側)に設けられたガイドローラ12Bに摺接して感光ユニット12を正規の装着位置に案内する案内レール2Gが設けられている。
【0054】
2.3.3.定着装置
定着装置14は、用紙の搬送方向において感光ドラム13Dより後流側に配設され、用紙に転写された現像剤を加熱溶融させて定着させるものであり、この定着装置14は、装置本体2に着脱可能に組み付けられている。
【0055】
具体的には、定着装置14は、用紙の印刷面側に配設されて現像剤を加熱しながら用紙に搬送力を付与する加熱ローラ14A、及び用紙を挟んで加熱ローラ14Aと反対側に配設されて用紙を加熱ローラ14A側に押圧する加圧ローラ14B等を有して構成されている。
【0056】
2.4.固定部材
固定部材50は、図1に示すように、従動ローラ32の回転軸32Aを装置本体2に固定することによってベルトユニット30を装置本体2に固定する固定具であり、この固定部材50は、収容空間2Eのうち閉ドア3A側において、ベルトユニット30及び装置本体2に対して着脱可能に組み付けられている。
【0057】
すなわち、固定部材50は、図10及び図11に示すように、回転軸32Aを挟んで受け部2Gと反対側(本実施形態では、回転軸32Aの上側)に位置して受け部2Gと協働して回転軸32Aを挟む第1挟み面50A、受け部2Gを挟んで第1挟み面50Aと反対側(本実施形態では、下側)から装置本体2の一部(本実施形態では、受け部2Gの下面側)に接触する第2挟み面50B、及び第1挟み面50Aが設けられた部位と第2挟み面50Bが設けられた部位とを連結する連結部50Cを有して略コの字状に形成されている。
【0058】
なお、本実施形態では、第1挟み面50Aは軸受32Bの外周面に接触しているため、受け部2Gと第1挟み面50Aとは、軸受32Bを介して間接的に回転軸32Aを挟み込んだ構成となっている(図14参照)。
【0059】
そして、本実施形態では、固定部材50は、第1挟み面50A、第2挟み面50B及び連結部50Cが樹脂にて一体成形されているとともに、固定部材50が装置本体2から取り外された状態に対して弾性的に変形した状態で組み付けられている。
【0060】
つまり、本実施形態では、固定部材50を装着したときの第1挟み面50Aと第2挟み面50Bとの距離H(図12(a)及び図13(a)参照)が、固定部材50を装着する前の距離Hに比べて大きくなっている。
【0061】
また、固定部材50が装着された状態においては、図14に示すように、第1挟み面50Aは、受け部2Gに対して平行となるように略水平なるのに対して、テンションレバー36は、前述したように、従動ローラ32(軸受32B)を駆動ローラ31から離隔する向き及び受け部2G側に向けて押圧するので、その押圧面36Aは、受け部2Gに向けて伏せるように鉛直方向に対して傾斜している。このため、固定部材50が装着された状態においては、第1挟み面50Aは、押圧面36Aに対して下方側に向けて交差する方向に平行となる。
【0062】
また、連結部50Cには、図12及び図13に示すように、固定部材50を着脱する際に固定部材50を把持するための把持部50Dが設けられており、本実施形態では、可撓性を有するフィルム状の部材にて把持部50Dが設けられている。
【0063】
3.本実施形態に係る画像形成装置の特徴
本実施形態に係る画像形成装置1では、ベルトユニット30及び装置本体2に対して着脱可能に組み付けられて、従動ローラ32を装置本体2に固定する固定部材50を備えているので、少なくとも画像形成装置1を輸送する際には固定部材50を組み付け、一方、画像形成装置1の使用時等の非輸送時には、固定部材50を取り外しておく、といった使用方法が可能となる。
【0064】
そして、固定部材50を上記のように使用すれば、メンテナンス時にベルトユニット30を容易に装置本体2から取り外すことができるので、メンテナンス時の作業性が悪化することを抑制できる。また、輸送時には、固定部材50によりベルトユニット30が装置本体2に強固に固定されるので、ベルトユニット30が装置本体2から外れてしまうことを防止することができる。
【0065】
また、固定部材50には、回転軸32Aを挟んで受け部2Gと反対側に位置して受け部2Gと協働して回転軸32Aを挟む第1挟み面50Aが設けられているので、回転軸32Aが受け部2Gと第1挟み面50Aとによって挟み込まれた状態で保持されるので、固定部材50にてベルトユニット30を強固に固定することが可能となる。
【0066】
また、本実施形態のごとく、第1挟み面50Aが、テンションレバー36の押圧面36Aに対して交差する方向に平行となるように構成すれば、より確実にベルトユニット30を装置本体2に対して固定できる。
【0067】
また、本実施形態では、固定部材50が収容空間2E内のうち開閉ドア3A側に組み付けられるので、メンテナンス作業を行う作業者は、開口部2F側から容易に固定部材50に触れることができる。したがって、作業者は、固定部材50の着脱作業を容易に行うことができる。
【0068】
また、本実施形態では、固定部材50は、固定部材50が装置本体2から取り外された状態に対して弾性的に変形した状態で組み付けられているので、固定部材50で発生する弾性力(復元力)によりベルトユニット30を装置本体2に対して確実に固定することができる。
【0069】
また、本実施形態では、マゼンタ、イエロー、シアン及びブラック以外の色(本実施形態では、オレンジ)にて固定部材50を構成することにより、利用者から見たときの固定部材50の視認性を高めている。
【0070】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、テンションレバー36及びコイルバネ35にて特許請求の範囲に記載されたロック機構が構成され、搬送ベルト33が特許請求の範囲に記載された無端ベルトに相当し、ベルトユニットフレーム34が特許請求の範囲に記載されたフレームに相当し、従動ローラ32が特許請求の範囲に記載されたローラに相当する。
【0071】
(その他の実施形態)
上述の実施形態では、回転軸32Aの軸端側に軸受32Bが設けられていたので、受け部2Gと第1挟み面50Aとが回転軸32Aに接触することなく、軸受32Bを介して間接的に回転軸32Aを挟み込むような構成であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、受け部2Gと第1挟み面50Aとが回転軸32Aに接触して直接的に挟持する構成であってもよい。
【0072】
また、上述の実施形態では、固定部材50が組み付けられた状態においては、固定部材50を装着する前に比べて距離Hが大きくなるように弾性的に変形していたが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
因みに、上述の本実施形態では、従動ローラ32の回転軸32Aを固定部材50にて装置本体2に固定したが、ベルトユニットフレーム34を固定部材50にて装置本体2に固定するようにしても、本願の課題を解決することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置1の要部を示す中央断面図である。
【図2】画像形成装置1の装置本体(フレーム)2の左斜視図である。
【図3】装置本体2からベルトユニット30を取り外した場合における図2のA部拡大図である。
【図4】図2のA部拡大図である。
【図5】図4において、搬送ベルト33及びユニットフレーム34の一部を透視した透視図である。
【図6】装置本体2の右斜視図である。
【図7】装置本体2からベルトユニット30を取り外した場合における図6のA部拡大図である。
【図8】図6のA部拡大図である。
【図9】図8において、搬送ベルト33及びユニットフレーム34の一部を透視した透視図である。
【図10】ベルトユニット30及びテンションレバー36を左側から見た図である。
【図11】ベルトユニット30及びテンションレバー36を左側から見た図である。
【図12】(a)は右側の固定部材50の正面図であり、(b)は右側の固定部材50の左斜視図であり、(c)は右側の固定部材50の右斜視図である。
【図13】a)は左側の固定部材50の正面図であり、(b)は左側の固定部材50の右斜視図であり、(c)は左側の固定部材50の左斜視図である。
【図14】図1のA部拡大図である。
【符号の説明】
【0075】
1…画像形成装置、2…装置本体、2A、2B…サイドフレーム、2C…天板部、
2E…収容空間、2F…開口部、2G…案内レール、2G…受け部、3…筐体、
3A…開閉ドア、4…排紙トレイ、10…画像形成部、11…露光器、
12…感光ユニット、12A…ケーシング、12B…ガイドローラ、
13…現像剤カートリッジ、13A…現像剤収容部、13B…現像剤収容室、
13C…現像剤カートリッジ、13D…感光ドラム、13F…供給ローラ、
13F…現像ローラ、13G…層厚規制ブレード、13H…帯電器、
13J…転写ローラ、13K…現像剤カートリッジ、13M…現像剤カートリッジ、
13Y…現像剤カートリッジ、14…定着装置、14A…加熱ローラ、
20…フィーダ部、21…給紙トレイ、22…給紙ローラ、30…ベルトユニット、
31…駆動ローラ、32…従動ローラ、32A…回転軸、32B…軸受、
33…搬送ベルト、34…ベルトユニットフレーム、34A…長穴、
35…コイルバネ、36…テンションレバー、36A…押圧面、36B…支持部、
41…排出ローラ、50…固定部材、50A…第1挟み面、50B…第2挟み面、
50C…連結部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体内に収納され、被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
無端ベルトを回転駆動させる駆動ローラ、前記駆動ローラと離隔した位置に回転可能に配設されて前記無端ベルトに張力を付与する従動ローラ、及び前記従動ローラが変位可能に保持されたフレームを有して構成され、前記装置本体内に着脱可能に組み付けられたベルトユニットと、
前記装置本体に設けられ、前記従動ローラの軸端側を受ける受け部と、
前記装置本体に設けられ、前記従動ローラの軸を前記受け部側に向けて押圧することにより前記ベルトユニットが前記装置本体に対して変位することを規制するロック機構と、
前記ベルトユニット及び前記装置本体のうち少なくとも一方に対して着脱可能に組み付けられ、前記従動ローラを前記装置本体に固定する固定部材と
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記固定部材には、前記軸を挟んで前記受け部と反対側に位置して前記受け部と協働して前記軸を挟む第1挟み面が設けられていること特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記軸の軸端側には軸受が設けられており、
前記受け部と前記第1挟み面とは、前記軸受を介して間接的に前記軸を挟み込んでいることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記固定部材は、
前記受け部を挟んで前記第1挟み面と反対側から前記装置本体の一部に接触する第2挟み面、及び
前記第1挟み面が設けられた部位と前記第2挟み面が設けられた部位とを連結する連結部を有して略コの字状に形成されていることを特徴とする請求項2又は3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記第1挟み面は、前記ロック機構の押圧面に対して交差する方向に平行であることを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記装置本体には、前記ベルトユニットが収容された収容空間の開口部を開閉する開閉ドアが設けられており、
さらに、前記固定部材は、前記収容空間内のうち前記開閉ドア側に組み付けられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記固定部材は、前記固定部材が前記装置本体から取り外された状態に対して弾性的に変形した状態で組み付けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項8】
装置本体内に収納され、被記録媒体に画像を形成する画像形成部と、
無端ベルト、前記無端ベルトに張力を付与するローラ、及び前記ローラが変位可能に保持されたフレームを有して構成され、前記装置本体内に着脱可能に組み付けられたベルトユニットと、
前記ベルトユニット及び前記装置本体のうち少なくとも一方に対して着脱可能に組み付けられ、前記ローラを前記装置本体に固定する固定部材と
を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−203741(P2008−203741A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−42304(P2007−42304)
【出願日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】